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305 昭 和54年6月20日 Fig. (正 常 値 U),α-GTP851Uと め ら れ,ChlEは9001U(正 と 低 値 で あ つ た.総 二昇 が 認 蛋 白 ぱ6.3g/dlと 原(RPHA法),抗 と も に 陰 性,α-フ マ ン 反 応(北 Clinical や

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Academic year: 2021

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臨 床

早期梅毒にみ られた肝障害 の1例

川崎市立川崎病院内科 鈴 太 洋 捕 東 冬 彦 入 交 昭 一 郎 藤 森 一 平 同 病理 福 田 純 也

Key words: Early Syphilis, Liver involvement, Drug induced hepatitis

1.は じめ に 従 来梅 毒 は 第 三期 梅 毒 と くに神 経 や 肝 臓 な どの 実 質 臓 器 の障 害 の た め 臨 床 上極 め て重 視 さ れた. 戦 後 ペ ニ シ リ ソ療 法 に よ り容 易 に軽 快 す る様 に な つ て 以来,一 時 激 減 し晩 期 梅 毒 に 遭 遇 す る機 会 も まれ に な つ た.し か し早 期 梅 毒 は最 近 再 び 増 加 傾 向 に あ り,臨 床 上 問 題 とな るケ ー ス が少 くな い. 梅 毒 は早 期 で あれ ば 充 分 に ペ ニ シ リソや そ の他 の 抗 生 剤 で治 癒 す る こ とが知 られ て お り,通 常 早期 梅 毒 で は実 質 臓 器 障 害 を きたす こ とは まれ と考 え られ て い る.最 近 わ れ わ れ は早 期 梅 毒 に よる と思 わ れ る肝 障 害 の1例 を 経 験 した の で,若 干 の文 献 的 考 察 を加 え て報 告 す る. 2.症 例 38歳 主婦 主 訴 発 熱 既 往 歴22歳 虫 垂 切 除 術,輸 血 歴 な し 家 族 歴 結 婚22歳,出 産2回,現 在4歳 と10歳 の健 康 な 男 子二 人 あ り.流 産 な し. 現 病 歴 昭 和52年9月16日 特 に誘 因 な く,突 然 悪 感 戦 棟 を伴 なつ た39℃ 以 上 の発 熱 を 認 め,20日 市 立 川 崎 病 院 内科 外 来 を受 診,ア ス ピ リ ンと ジ ョ サ マ イ シ ソの投 与 を うけ一 時 下 熱 した.3日 後 再 び39℃ 前 後 の発 熱 を認 め るた め26日 精 査 目的 で入 院 となつ た. 入 院 時 現 症:体 格 中等,栄 養 良 好,体 温36℃ 脈 拍 毎分70整,血 圧130/80mmHg,眼 験 結 膜 に負 血 あ り,眼 球 結膜 に黄 疸 な し,皮 膚 に発 疹 を認 め な い が両 側 頚 部 と激 践 部 の表 在 リ ンパ節 は いず れ も 小 指 頭 大 か ら栂 指 頭 大 に腫 脹 し,硬 度 は軟 で無 痛 性 で あつ た.胸 部 心 音 純,肺 野打 聴 診 上 異 常 な し.腹 部 平 担,軟,圧 痛 な し,肝 臓 は 右 季 肋 下 で 一 横 指 触 知 し,辺 縁 やや 鈍,硬 度 軟,圧 痛 な し. 脾 腎 は触 知 せず.下 腿 に浮 腫 な し,神 経 学 的 所 見 は 異 常 認 め な か つ た. 入 院 時 検 査 所 見(Table1) 血 沈 は1時 間 値68mmと 尤 進,検 便,検 尿 は 異 常 な し,末 梢 血 で は,ヘ モ グ ロ ビ ン7.79/dl,ヘ マ トク リ ッ ト27.0%と 低 色素 性 小球 性 貧 血 が あ り, 白血 球i数は3,300mm3と や や減 少 して い るが,百 分 率 は正 常 で あ つ た.血 清 化 学 で は,GOT491U, GPT261U,ア ル カ リフ ォス フ ァ タ ー・ゼ5251U

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昭 和54年6月20日 305

Fig. 1 Clinical course was presented

(正 常 値51∼1521U),α-GTP851Uと 」二昇 が 認 め ら れ,ChlEは9001U(正 常 値2,375-47501U) と 低 値 で あ つ た.総 蛋 白 ぱ6.3g/dlと や や 低 い が γlグ ロ ブ リ ン と く にIgMは269mg/dlと 増 加 し て い た.HB抗 原(RPHA法),抗 体(PHA法) と も に 陰 性,α-フ ェ ト プ ロ テ イ ン 陰 性,ワ ッ セ ル マ ン 反 応(北 研 法)20倍 で 強 陽 性 ,T.P.H.A.160 倍 陽 性 で あ つ た.ツ ベ ル ク リ ン 反 応 は 陰 性 で あ つ

Fig. 2 The portal tract was seen infiltration of raund cells including polymorphonuclear leukoc-ytes. In the lobulus of liver several scattered focie of degeneration and necrosis also were observed. (H-E stain. 100 X)

た.胆 道 造 影 お よ び 腎 孟 尿 管 造 影 も異 常 を 認 め な か つ た. 入 院 後 経 過(Fig.1)入 院 前39℃ 前 後 み ら れ た 発 熱 も入 院 と 同 時 に 解 熱 剤 も使 用 せ ず 平 熱 と な つ た.一 方 発 熱 の 精 査 目 的 で 山液,尿,十 二 指 腸 液 の培 養,ツ ベ ル ク リ ン 反 応,胆 道 お よ び 腎 孟 尿 管 造 影 等 の 検 査 を 施 行 した が,す べ て 正 常 範 囲 内 も し く は,異 常 を 認 め な か つ た.し か し 血 清 酵 素 と く にGOTと ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ は 入 院 後 さ ら に 上昇 傾 向 を 示 した た め 肝 生 検 を 施 行 し た と こ ろFig2とFig3に 示 す 様 な 所 見 を 得 た 。組 織

Fig. 3 Many scatterred foci of necrosis of liver cells were obsereve in this area.

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学 的 に グ リソ ン鞘 に は 中等 度 の炎 症 性 細 胞 浸 潤 を 認 め た.細 胞 浸潤 は,リ ンパ球,組 織 球 を 中心 と して 好 中 球 お よび 好酸 球 を含 み これ らの細 胞 が 崩 壊 した 核 片 を も認 め た.小 葉 内 の 類 洞 に も好 中 球,リ ンパ 球 の 軽 度 の 浸 潤 を 認 め た.ま た肝 細 胞 の変 性 壊 死 巣 が散 在 性 に認 め られ た.ク ッペ ル 星 細 胞 の軽 度 の 腫 大 が あ り,動 員 像 が 認 め られ た.な お肝 細 胞 の 核 分 裂 像 も伴 な わ れ て いた. Treponema pallidumは 見 い 出 せ な かつ た.以 上 の所 見 か ら,こ の肝 組 織 片 のみ で は 不 明 で あ る が,何 か のNoxeが 加 わ り,こ れ に対 して肝 組 織 が反 応 して い る状 態 す な わ ち 一種 の肝 炎 と考 え ら れ,一 方 で は す で に再 生現 象 の発 来 を お もわ せ た 所 見 も認 め られ た.ま た 入 院 時検 査 所 見 で ワ ッセ ル マ ン反 応 陽 性,T.P.H.A.陽 性 で あ る こ と,頚 部 と猟 膜 部 の リンパ節 腫 脹 を認 め,さ らに 詳 し く 家 族 歴 を聴 取 した と ころ夫 が海 外 旅 行 後 に初 期 硬 結 を認 め て い た こ とお よび夫 の ワ ッセル マ ン反 応 (北 研 法)20倍 で強 陽 性 で あつ た.以 上 よ りNoxe がTreponema pallidumで あ る こ とも充 分 に 考 え られ,ま た発 熱 の原 因 も梅 毒 に よる も の と思 わ れ た.本 患 者 で は ペ ニ シ リンア レル ギ ー の あ る こ と が,患 者 の 既往 歴 お よび皮 内反 応 よ り確 認 され た た め,エ リス ロマ イ シ ン1日1,200mg投 与 を 開 始 し1),約10日 で 肝 機 能 は 正 常化 し,発 熱 も認 め な かつ た.ま た 肝 腫 大 お よび リ ンパ 節 腫 脹 は約1 週 間 で消 失 傾 向 を示 した.本 患 者 では ワ ッセル マ ン反 応10倍 以下 に な る ま でエ リス ロマ イ シ ン の投 与 を1日1,200mgで 約30日 を要 した. 3.考 察 梅 毒 の 肝 障 害 は 一般 に 第3期 に み られ,ゴ ム腫 と して 知 られ て お り,臨 床 症 状 と して は,徴 熱, 心 窩 部 痛 を認 め,肝 機 能 障 害 を伴 な い,一 見 肝 炎 の病 像 を呈 す る こ とが あ る.し か し早期 梅 毒 で も とき に肝 機 能 障 害 を き た す こ とが あ る.Bockus の教 科 書2)に も早 期 梅 毒 の 約1.7%に 肝 障 害 を認 め,そ の症 状 と して は,軽 度 の黄 疸 と肝 機 能 異 常 を認 め,肝 生 検 の所 見 と して は,軽 度 の細 胞 浸 潤 と脂 肪 変 性 を 認 め る こ とが あ る とい う.こ の こ とは,1943年Hahn3)が 報 告 して 以 来 知 ら れ て い た が,1970年 代 に な り,Baker4)ら が 発 表,つ い で,Sobel5),Feher6),Wancher7)ら が 早 期 梅 毒 に 肝 障 害 を 認 め た 例 を 報 告 して い る.こ れ ら の 報 告 を ま とめ て み る と早 期 梅 毒 に 認 め ら れ る 肝 障 害 は 次 の 様 に な る. 1.梅 毒 感 染 が 明 らか で あ る. 2.HB抗 原,抗 体 は 全 て 陰 性 3.肝 腫 大 は 軽 度 認 め る が,圧 痛 は 余 り認 め な い. 4.黄 疸 は あ つ て も軽 度 5.血 清 酵 素 で はFeherの 症 例 で は17例 中5例 にGOTの 上 昇 を 認 め る が,ア ル カ リ フ ォ ス フ ア タ ー ゼ の 上 昇 は17例 中2例 に しか 認 め て い な い. しか し他 の 報 告 例 で は 全 例 にGOTの 上 昇 と ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ の 上 昇 を 認 め て お り,と く にBakerら は ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ の 上 昇 は 特 徴 的 で あ る と さ え 述 べ て い る. 6.免 疫 グ ロ ブ リ ン で はFeherは,IgGとIgM が ほ ぼ 全 例 に 上 昇 し て お り,特 徴 的 と し て い る. 7.組 織 所 見 で は,胆 管 や 中 心 間 小 静 脈 周 囲 へ の リ ン パ 球,多 核 球 等 の 細 胞 浸 潤,肝 小 葉 に 壊 死 巣 を も つ こ と,さ ら に は,ト レポ ネ ー マ を 見 い 出 す こ と とFeherは 述 べ て い る.さ ら にFeherは, piece meal necrosisの 所 見 を 呈 し た 抗 核 抗 体 陽 性

で い わ ゆ るAutoimmune Hepatitisと 差 異 を 認 め な か つ た 症 例 を 報 告 して い る.以 上 の 特 徴 を わ れ わ れ の 症 例 の所 見 と対 比 して み る と 1.梅 毒 血 清 反 応 は ワ ヅ セ ル マ ン 反 応(北 研 法) 20倍 で 強 陽 性,T.P.H.A.160倍 で 梅 毒 の 感 染 は 明 ら か で あ り,そ の 感 染 源 は 海 外 旅 行 よ り帰 国 し た 夫 を 考 え ら れ る. 2.HB抗 原,抗 体 と も に 陰 性 で あ る. 3.軽 度 の 肝 腫 大 が あ る. 4.黄 疸 は 認 め な か つ た. 5.GOT,ア ル カ リ フ ォ ス フ ァ タ ー ゼ の 上 昇 6.IgMの 軽 度 の 上 昇 7.グ リ ソ ン鞘 に リ ン パ 球 お よび 多 核 白 血 球 の 浸 潤 を 認 め,肝 小 葉 に 変 性 壊 死 の 部 分 が あ つ た. し か しTreponema pallidumは 見 い 出 す こ と が 出 来 な か つ た.

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昭 和54年6月20日 307 以 上 よ り本 症 例 は 従 来 報 告 され て い る早 期 梅 毒 に よる肝 障 害 とほ ぼ一 致 す る も の と考 え られ た. で は梅 毒 に よる肝 炎 あ る いは 肝 障 害 は どの 様 な 機 序 か らお こる も の か を考 えて み る と,ま ず 検 査 所 見 で は,GOT,GPT,ア ル カ リフ ォス フ ァ タ ー ゼ,α-GTPの 上 昇 がみ られ る が,と くに アル カ リフ ォス フ ァタ ー ゼ の上 昇 が著 明 で あ る.こ れ は 肝 炎 型 の 薬 剤肝 障 害 で よ くみ られ る所 見 で あ る. また 軽 度 の γ-グロ ブ リンの 上 昇 は慢 性 肝 炎 の時 に み られ る様 な著 明 な もの で な く,薬 剤 性 肝 障 害 に しば しば み られ る異 常 で あ る.病 理 組織 学 的 に, ウ ィル ス肝 炎 に み られ る肝 細 胞 の 壊 死,グ リソ ン 鞘 の細 胞 浸 潤 な どがみ とめ られ,こ れ らは 肝 炎型 の薬 物 障 害 で も認 め られ る. こ こで 本 症例 が薬 剤 性 肝 障 害 に よる も のか ど う か を 検 討 して み る と,ま ず本 症 例 で使 用 した 薬 剤 は,ア ス ピ リン とジ ョサ マ イ シ ン(マ ク ロ ライ ド 系)で あ る.ア ス ピ リ ンは 肝 障 害 を お こす こ とは 少 な い といわ れ て お り,そ の 可 能 性 は少 な い と考 え られ る.マ ク ロライ ド系 抗 生物 質 の エ リス ロマ イ シ ンは,比 較 的 肝 障 害 を きた す こ とが 多 い と さ れ て い る9).ジ ョサ マイ シ ンもマ ク ロライ ド系 抗 生 物 質 で あ るが,本 症 例 で はエ リス ロマ イ シ ンを 投 与 した に もか か わ らず 肝 機 能 検 査 は正 常 化 して お り,ジ ョサ マ イ シ ンに よる こ とも考 えに くい. 以上 よ り本 症 例 の肝 障 害 のNoxeは 薬 剤 で な く, Treponema pallidumに よ る可能 性 が 強 い と考 え られ た. 4. お わ りに 早期 梅 毒 に よ る と思 わ れ る肝 障 害 の 一例 を若 干 の文 献 的 考 察 を 加 え て報 告 した. 文 献

1) Syphilis: Recommended treatment schedules, 1976. Ann. Intern. Med., 85: 94-96, 1976. 2) Bockus, H. L.: Gastroenterology, 3rd ed.,

W. B. Saunders., Philadelphia 1976, p.509. 3) Hahn, R. D.: Syphilis of the liver. Amer. J.

Syh., 27: 529-562, 1943.

4) Baker, A. L., et al.: Liver disease associated with early syphilis. New. Eng. J. Med., 284:

1422-1423, 1971.

5) Sobel, H.J. and Wolf, E. H.: Liver involve-ment in early syphilis. Arch Path., 93: 565-568, 1972.

6) Feher, J.: Early syphilitic hepatitis. Lancet., 1: 869-899, 1975.

7) Birgitte Wanscher and Jens Thormann: Leveraffection ved tidlig syphilis. Ugeskr.

Laeg., 139: 1296-1297, 1977.

8) Goodmann, S. L. and Gilman, A.: The Phar-macological Basis of Therapeutics 5th ed. p. 330, 1975, Macmillan.

9) 大 久 保 滉: 薬 物 ア レ ル ギ ー の 臨 床 統 計, 第18回 日本 医 学 会 総 会 シ ン ポ ジ ウ ム 「薬 物 ア レ ル ギ ー 」

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Liver Involvement of Early Syphilis. A Report of Case

Hiromichi SUZUKI, Fuyuhiko HIGASHI, Shoichiro IRIMAJIRI, Ippei FUJIMORI and *Junya FUKUDA

Department of Internal Medicine *Department of Pathology Kawasaki Municipal Hospital

A 38-year-old woman was admitted on 26th August, because of fever of unknown origin. She enjoyed good health until August 16th, 1977 when she suddenly had high fever accompanied by chills. On 20th August, she called on a physician in the outpatient department of KawasakiMunicipal Hospital. Aspirin and antibiotics were given and then fever disappeared. On 23rd, high feverredeveloped. Her past history disclosed no problems. However, her husband confessed he noticed initial induration on his penis after travelling abroad. Physical examination revealed swelling of surface lymphnodes in the inguinales and axillas and hepatomegaly. Laboratory data showed GOT 49 IU, GPT 26 IU, alkalinephosphatase 525 IU, a-GPT 85 IU, HBAg nagative, STS positive and IgM 269 mg/dl. Liver biopsy was perfomed and it showed that the portal duct was infiltrated by round cells with polymorphonuclear leukocytes and in the lobules of liver several scattered foci of degeration and necrosis were observed. The pathological changes stated above was compatible with the liver involvement of early syphilis. The elevation of serum transaminase gradually went down into the normal range with the treatment of erythromycin.

Table  1  Laboratory  findings
Fig.  1  Clinical  course  was  presented

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