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軽度発達障害児のコンピテンスと社会的場面における他者認知の関連について [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)軽度発達障害児のコンピテンスと社会的場面における他者認知の関連について キーワード:軽度発達障害児,コンピテンス,社会的場面,他者認知. 人間共生システム専攻 岩元 美稚子. 問題と目的. しかし,コンピテンスに関する先行研究では,様々な理由から. 1.軽度発達障害とは. 一貫した結果が得られていない.. 近年,様々な領域で「軽度発達障害児」という存在が注目さ. 4.本研究の目的. れている.彼らは,「知的障害はほとんどないか,あっても軽微. 本研究では,軽度発達障害児のコンピテンスと社会的な場面. であるものの,学習面や行動面で著しい困難を示す一群」で. の他者認知の関連について検討することを目的とする.. あり,学習障害( LD) ,注意欠陥/多動性障害( ADHD) ,高機能. 方法. 広汎性発達障害(HFPDD)などが含まれる( 市川,2005) .彼らは,. 1.対象. その本来の特性によって,またそれに伴う経験不足のために,. 定型発達児群: A 県の公立学校の小学 5 年生,中学 2 年生の. 友人関係を持つことができない,極限られているなど,対人場面. 計 365 名.. において困難を生じる可能性がある(大嶋,2000;Bryan,1974. 軽度発達障害児群:集団や対人関係に困難をもつ障害児計. 等) .. 24 名であった(Table1,Table2).. 2.軽度発達障害児の社会的場面の他者認知 T a bl e 1. 人は「 社会的場面において,自分を取り巻く状況や周囲の人. 軽 度 発 達 障 害 児 の 診 断 ご との 人 数. 診 断 名. LD. AD HD. P DD. その他. 人 数. 3. 7. 11. 4. 間の反応を,自分と関係付け,他者に対して主観的な認知・ 理. T a bl e 2. 解」 をすると考えられる.これを『 他者認知』 と操作的に定義す. WI S C − Ⅲ. 言 語 性 IQ. 動 作 性 IQ. 全 検 査 IQ. Me a n (S D ). 91. 5(21. 0). 92. 3( 21. 9). 92. 2( 22. 3). [ 最 大 値 :最 小 値 ]. [ 135:56]. [ 132:58]. [ 137:59]. る.軽度発達障害児の不適応の問題が,日常の対人関係の. 軽 度 発 達 障 害 児 の WI S C − Ⅲ の 平 均 値. 困難と関連があるのであれば,社会的文脈から切り離した形で. 2.手続き. はなく,日常でよく遭遇する社会的場面における軽度発達障害. 質問紙は,「コンピテンス尺度」と「社会的場面の他者認知尺度」. 児の他者認知について検討することが重要であると考えられ. の 2 つの尺度によって構成された.. る.そこで,軽度発達障害児が,社会的場面における自分への. 1) コンピテンス尺度. 他者の対応とその対応の背景にある気持ちをどのように理解. 「児童用コンピテンス尺度」(桜井,1992)と「自己イメージスケー. しているのかという他者認知について検討することとする.. ル」(南・中田等,2004)を参考に計35項目を作成した(5 件法) .. 3.軽度発達障害児のコンピテンス. 2) 「 社会的場面の他者認知尺度」 の作成. コンピテンスとは,「 ∼における自信」 であり,他者からの評価. 南・ 中田等(2004)の LD 児,AD/HD 児の状況認知テストを参. や役割遂行などの経験から形成されるものである.そして松. 考に,遊び場面,援助場面,情緒的接触場面の3つの場面を. 崎・ 松永( 2004)はコンピテンスと友人との対人場面における適. 設定した.各場面ごとに,主人公が他者に対して働きかけようと. 応感は関連していることを指摘している.そして軽度発達障害. する場合を積極的関わり,相手から働きかけられる場合を受. 児は,失敗体験や周囲の無理解のために,苦手な領域のコン. 身的関わりとした.そして,主人公が他者から言われたことばと. ピテンスが低いこと,全般的にコンピテンスが低いことが指摘さ. そのときの他者の気持ちの推測を求めた( Table3) .大学生に. れている(Black,1974;Lincoln,1979).よって,軽度発達障. 本尺度について自由記述を求め,質問ごとに主人公に対して. 害児はもともとの特性から引き起こされるコンピテンスの低さに. ポジティブな反応2つ(以下,P1,P2)ネガティブな反応2つ(以. よって,より対人場面の困難が深刻なものになると考えられる.. 下,N1,N2)の 4 つの選択肢を作成した( Table4) ..

(2) ことば P1. 君 も一 緒 に遊 ぼ う. P2. 一 人 なら一 緒 に遊 ぼ う. N1. N2. 気持ち. ことば. 計 合. 関. ス コ. ン. ピ. テ. 誘 う場 面. 自. 族 家. 誘 わ れ る場 面. ン. 運. 係. 動. Ta b l e 4 社 会 的 場 面 の他 者 認 知 尺 度 例 〈遊 び 場 面 〉. 係. 定型発達児 発達障害児. 人. 励 ます 関 わ り. 値. 怒 られ る関 わ り. 援 助 す る関 わ り. 価. 援 助 され る関 わ り. 誘 う関 わ り. 友. 誘 わ れ る関 わ り. 積 極 的 関 わり. 己. 受 身 的 関 わり. *. 0.20 0.10 0.00 - 0.10 - 0.20 - 0.30 - 0.40 - 0.50. 習. 情 緒 的 接 触 場 面. 関. 援 助 場 面. 因子得点. 遊 び 場 面. 学. T a b l e 3. 社 会 的 場 面 の 他 者 認 知 尺 度 の 図 版. 気持ち. Figure3  群 ごとの 各 コンピテンスの 因 子 得 点 の 平 均 値. この 子 と遊 ぶ と楽 しい. いいよ一 緒 に. こ の 子 が い る と楽 し. か ら遊 び たい. 遊 ぼう. い。一 緒 に遊 びたい. この 子 は 一 人 だ か ら. 遊 び たい なら一 緒. 一 緒 に遊 ん であげ て. 誘 ってあげ よう. に遊 んでもいいよ. もいいな. この結果から,障害児は,定型発達児よりも,運動について苦 手だと感じていると考えられる.この背景として,対象の年代に おいて,体育という特定の時間だけではなく遊びという日常の. 人 数 足 りないか ら. ちょうど暇 そうだし. ご め ん 。もう人 数. あんまり一 緒 に. 一 緒 に遊 ぼ う. この 子 を誘 おう. 足 りてるんだ. 遊 びたくない. 他 に 誘 い た い 子 が い るん. できたら他 の 子 を誘 い. い や だ よ。今 他 の. この 子 と遊 ん でも楽 し. だけど来 たいならおいで. たいんだけど仕 方 ない. 人 と遊 んでるか ら. くない。遊 びたくない. 中でも,運動能力を求められる機会が多く,苦手だと意識しやす いと考えられる.また,運動は単に身体能力だけではなく,他者と. 定型発達児群: 集団で質問紙調査.. の協力,ルール理解等彼らが困難な面が要求されることが関. 軽度発達障害児群: 個別に半構造化面接調査を行い,質問紙. 連していると考えられる.. や図版を提示した.. 3. 軽度発達障害児のコンピテンスのあり方. 両群とも,面接者が教示と各質問項目を読み上げ,回答を求め. 各領域のコンピテンスが相互に与える影響について検討する. た.対象者の言語反応は面接者が記述記録した.. ために,群別にコンピテンス尺度の各下位尺度の因子得点に. 結果と考察. ついて相関分析を行った(Table6-1,Table6-2).また「 コンピテ. 1.コンピテンス尺度の因子分析. ンス尺度」 の各下位尺度の因子得点を目的変数,それ以外の. 主因子法による因子分析を行った( プロマックス回転) .その結. 得点を説明変数として,群別に強制投入法による重回帰分析. 果,「運動」「 家族関係」 「学習」「 自己価値」 「友人関係」の 5 因子. を行った(Table7-1,Table7-2).. が抽出された(Table5).. T a b le 6 - 1   定 型 発 達 児 の. Table5 コンピテンス尺 度 の 因 子 分 析 結 果 (主 因 子 法 フ ゚ロ マ ッ ク ス 法 ) 項目 1 第 1因 子 < 運 動 > (α = .847) 20 スポ ー ツで体 を動 か す ことが 好 き .883 24 運 動 は 、さん か す るよりも、見 てい る方 が 好 き* .761 30 新 しい スポ ー ツは 、す ぐや ってみ た くなる .754 5 体 育 の 時 間 は 、楽 しみ に してい る .742 10 初 め ての スポ ー ツでも、うまくできる自 信 が あ る  .576 15 運 動 をしてい るところを、あ まり人 に 見 られ た くない * .409 第 2因 子 < 家 族 関 係 > (α = .843) 13 元 気 が ない とき、家 族 は 心 配 してくれ る - .083 8 嫌 な事 が あ っても家 族 とい ると元 気 に なる .105 3 困 った ときに 家 族 一 緒 に 住 ん でい る人 が 助 け てくれ ると思 .089 33 自 分 は 、家 族 と仲 が よい と思 う .002 28 親 は ,自 分 が が ん ば った ときい つ もほ め てくれ る - .032 23 自 分 が い ない と、家 族 は 寂 しい と思 う .009 第 3因 子 < 学 習 > (α = .845) 27 勉 強 は 、とくい - .096 17 授 業 が 、よく分 か る  - .048 34 テストでは 、た い てい よい 成 績 を取 れ る - .068 11 む ず か しい 問 題 に も、ちょうせ ん してみ る .204 6 宿 題 は 、短 い 時 間 でや り終 えることが できる - .003 25 先 生 の しつ もん に 、答 えられ ない ことが あ る* .167 第 4因 子 < 自 己 価 値 > (α = .804) 16 自 分 に は い い ところが あ る - .077 21 自 分 に は 、人 に じまん できるところが あ ると思 う - .017 7 自 分 に 、自 信 が あ る   .057 2 た い てい の ことは 、人 よりうまくできると思 う  .061 26 自 分 は 将 来 、幸 せ に なってい ると思 う .057 第 5因 子 < 友 人 関 係 > (α = .763) 31 何 でも話 せ る友 だ ちが い る - .058 29 仲 の よい 友 達 が い る .003 14 困 った ときに 友 だ ちが 助 け てくれ ると思 う .011 22 友 だ ちか ら、よく遊 び に さそ わ れ る .045 18 友 だ ちとけ ん か をしてもす ぐ仲 直 りできる .007 因子間相関  2 .243 3 .386 4 .517 5 .411 *反転項目. 2. 3. 4. 5. 共通性. - .029 .064 .009 .035 - .113 .092. - .049 .029 .034 .051 - .015 - .049. - .071 - .048 - .021 - .050 .282 .096. .048 - .108 .062 .032 - .016 - .057. .715 .526 .620 .578 .508 .207. .785 .725 .682 .677 .655 .594. .020 - .026 - .112 - .014 .118 .010. - .012 - .084 .019 - .023 - .022 .192. - .033 .034 .015 .045 - .007 - .087. .568 .526 .484 .472 .459 .452. - .036 .114 .086 - .030 - .122 - .006. .893 .791 .787 .640 .560 .413. - .001 - .039 .038 - .074 .032 .049. .026 .016 - .054 .047 .034 - .103. .731 .640 .643 .500 .306 .255. .156 - .004 .029 - .172 .091. - .062 - .067 .106 .138 - .041. .739 .729 .632 .624 .501. .014 .036 - .060 - .044 .104. .595 .497 .506 .425 .392. .003 - .079 .210 .033 - .019. - .072 - .007 - .009 .114 .077. - .056 - .032 - .005 .132 .171. .795 .741 .533 .476 .446. .550 .475 .446 .412 .328. .318 .505 .530. .509 .221. .483. 2.コンピテンスの群間差 障害児と定型発達児におけるコンピテンスの群間差につい て検討するために,「 群」 (2)を独立変数,「 コンピテンス尺度」 の. 家 学 自 友. 族 関 係 習 己 価 値 人 関 係. 運 動 * .2 4 6 * .4 0 8 .5 8 5 * .4 4 2 *. T a ble 6- 2 軽 度 発 達 障 害 児 の. 家 学 自 友. 族 関 係 習 己 価 値 人 関 係. 運動 家族関係 学習 自己価値 友人関係 2 R. 「コ ン ピ テ ン ス 尺 度 」の 下 位 尺 度 間 相 関. 家 族 関 係. 学 習. 自 己 価 値. * * * * * * * *. * * *. .3 6 0 .5 6 8 * .5 9 5 *. * * * *. .5 7 7 * .2 3 8 *. * * * *. .5 6 0 *. * *. 「コ ン ピ テ ン ス 尺 度 」の 下 位 尺 度 間 相 関. 運 動 家 族 関 係 学 習 自 己 価 値 * * .608 * * * + .675 .362 .746 * * * .520 * * .636 * * * * * * * * * * * * * .756 .807 .569 .743 * * * p < .001 * * p < .01 * p < .05 + p < .10. Table7- 1 定型発達児における各コンピテンスの重回帰分析結果 運動 家族関係 学習 自己価値 b β b β b β b β .306 .309 ― ― - .225 - .225 .167 .164 * * * - .253 - .252 ― ― .159 .157 * * * .264 .267 .152 .154 * * .129 .131 * * ― ― .303 .310 .483 .479 * * * .371 .368 * * * .525 .513 * * ― ― .300 .288 * * * .476 .458 * * * - .227 - .215 * * - .225 .190 .408 .473 .368 .618. *** *** ***. ***. 友人関係 b β .242 .252 .433 .450 - .167 - .176 .251 .258 ― ― .482. *** *** *** ***. 数値は非標準偏回帰係数(b)と標準化偏回帰係数(β)。 「−」はその分析で投入しなかったことを示す。* P<.05 + P<.10. 運動 家族関係 学習 自己価値 友人関係 R2. Table7- 2 軽度発達障害児における各コンピテンスの重回帰分析結果 運動 家族関係 学習 自己価値 友人関係 b β b β b β b β b β .061 .070 .265 .290 ― ― .049 .054 .483 .524 * + .072 .066 ― ― - .383 - .381 .444 .471 .488 .490 .392 .362 * - .214 - .215 ― ― .173 .185 .130 .131 .077 .066 .386 .364 + .270 .253 ― ― .132 .125 .296 .293 .194 .205 ― ― .490 .448 .621 .619 * .664 .725 .514 .644 .782. *. 数値は非標準偏回帰係数(b)と標準化偏回帰係数(β)。 「−」はその分析で投入しなかったことを示す。* P<.05 + P<.10. 各下位尺度得点を従属変数として分散分析を行った.その結. それらの結果から,両群ともに,「 家族関係」 「 友人関係」 という対. F(1,385)=4.00,p<.05),障害 果,「運動」において有意であり(. 人関係において,相互に関連があることが示された.定型発達. 児群は定型発達児群よりも「 運動」 のコンピテンスが低いことが. 児は,「 運動」 や「 学習」 が「 自己価値」 と関連があることが示され. 示された( Figure3) .. た.一方,障害児では,「家族関係」と「自己価値」に関連があるが,.

(3) コンピテンスの相関が高く,偏回帰係数が低く有意でないこと から,「 学習」 ,「 運動」 ,「 友人関係」 について,「自己価値」との間 に何らかの要因が関連していると考えられる.以上の結果から, 定型発達児は,運動や学習の能力についての自信が現在の 自分の自信につながり,また学習,運動への取り組みにつなが ると考えられる.一方,障害児は,家族とよい関係であると認知す ることが自分に自信を持つために重要であると考えられる.鈴 木・ 中野(2002)は,他者評価と自己評価の重要性を指摘してお り,重要な他者である家族から,本人ができたと感じたときによ いフィードバックがなされることが重要であると考えられる. 4.コンピテンスの類型化について. T able 8− 2 コ ン ピ テ ン ス に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 わ れ る (受 身 )の 他 者 の こ と ば 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 86( 74.8) 16( 13.9) 10( 8.7) 3( 2.6) コン ピ テ ン 期 待 度 数 85.44 20.99 6.21 2.37 ス平 均 群 残 差 0.14 - 1.44 1.86+ 0.5 実 際 度 数 159( 82.8) 29( 15.1) 2( 1.0) 2( 1.0) コン ピ テ ン 期 待 度 数 142.64 35.04 10.37 3.95 ス高 群 残 差 3.80* * - 1.59 - 3.75* * - 1.39 実 際 度 数 44( 53.7) 26( 31.7) 9( 11.0) 3( 3.7) コン ピ テ ン 期 待 度 数 60.92 14.97 4.43 1.69 ス低 群 残 差 - 4.81* * 3.55* * 2.52* 1.15 * * * p < .001 * * p < .01 * p < .05 + p < .10. Table6- 3 障 害 の 有 無 に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 わ れ る (受 身 )の 他 者 の 気 持 ち 回答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実際度数 231( 63.5) 76( 20.9) 51( 14.0) 6( 1.6) 定型発達 期待度数 224.8 78.07 53.61 7.52 残差 2.74* * - 1.08 - 1.58 - 2.30* 実際度数 8( 34.8) 7( 30.4) 6( 26.1) 2( 8.7) 障害 期待度数 14.2 4.93 3.39 0.48 残差 - 2.74* * 1.08 1.58 2.30* * * * p < .001 * * p < .01 * p < .05 +p < .10 T able 8- 4 コ ン ピ テ ン ス に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 わ れ る (受 身 )の 他 者 の 気 持 ち 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 65( 57.0) 25( 21.9) 22( 19.3) 2( 1.8) 期 待 度 数 70.4 24.45 16.79 2.36 残 差 - 1.24 0.15 1.64 - 0.28 実 際 度 数 143( 74.5) 33( 17.2) 14( 7.3) 2( 1.0) コン ピ テ ン 期 待 度 数 118.57 41.18 28.28 3.97 ス高 群 残 差 5.11* * - 2.03* - 4.10* * - 1.41 実 際 度 数 31( 38.3) 25( 30.9) 21( 25.9) 4( 4.9) コン ピ テ ン 期 待 度 数 50.02 17.37 11.93 2( 8.7) ス低 群 残 差 - 4.89* * 2.32* 3.20* * 2.04* * * * p < .001 * * p < .01 * p < .05 + p < .10 コン ピ テ ン ス平 均 群. コンピテンスについて,各群を込みにして分類を行った.対象. ( 2) 遊び場面―誘う( 積極的) 関わりについて. 者それぞれのコンピテンス尺度の下位尺度についてクラスタ. 他者のことばについての分析の結果,群,クラスターで,回答. ー分析(war d法,平方ユークリッド距離)を行った結果,3 つのク. が有意であった(G2 =12.02,df=3,p<.01:G2 =56.94,df=. ラスターが抽出された.クラスター1 を「 コンピテンス平均群」 115. (Table8-5,8-6).気持ちについての分析の結果,群, 6,p<.01). 名( 障害児 5 名) ,クラスター2 を「 コンピテンス高群」 192 名(障. G2 クラスターで回答が有意であった( G2=10.29,df=3,p<.05:. 害児 12 名),クラスター3 を「 コンピテンス低群」 82 名(障害児7. =59.14,df=6,p<.01)(Table8-7,Table8-8).結果より,他. 名)とした.各クラスター(3)を独立変数,コンピテンス尺度の下位. 者のことばと気持ちについて障害児は否定的に捉えており,コ. 尺度の因子得点を従属変数として分散分析を行った結果,全. ンピテンスが高い者は肯定的に,低い者は否定的に捉えてい. ての群間で 0.1%水準で有意差があった.. ると考えられる.. 5.軽度発達障害児と定型発達児との場面反応の比較 障害児が,「コンピテンス」の程度で,「社会的場面の他者認知」 に差異があるのか検討するために,場面ごとの各関わりにお ける他者のことばと気持ちについての回答の人数に関して,群 (障害児/定型発達児)×クラスター(平均/高/低)×回答(P1 /P2/N1/N2) の 3 要因尤度比検定を行った. ( 1) 遊び場面―誘われる( 受身的) 関わりについて 他者のことばについての分析の結果,群,クラスターで,回答 が有意であった(G2 =16.96,df=3,p<.01:G2 =33.96,df= ( Table8-1,8-2) .気持ちについての分析の結果,群, 6,p<.01) クラスターによって,回答が有意であった(G2 =9.01,df= (Table8-3,8-4).結果より, 3,p<.05:G2=37.75,df=6,p<.01) 他者のことばと気持ちについて障害児は否定的に捉えており, コンピテンスが高い者は肯定的に,低い者は否定的に捉えて いると考えられる. Table8- 1 障 害 の 有 無 に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 わ れ る (受 身 )の 他 者 の ことば 回答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実際度数 280( 76.7) 62( 17.0) 16( 4.4) 7( 1.9) 定型発達 期待度数 271.17 66.62 19.7 7.51 残差 4.26* * - 2.52* - 3.45* * - 0.75 実際度数 9( 37.5) 9( 37.5) 5( 20.8) 1( 4.2) 障害 期待度数 17.83 4.38 1.3 0.49 残差 - 4.26* * 2.52* 3.45* * 0.75 * * * p < .001 * * p < .01 * p < .05 +p < .10. T a b le 8 - 5  障 害 の 有 無 に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 う (積 極 )の 他 者 の 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ 実 際 度 数 2 8 9 ( 7 9 .2 ) 6 5 ( 1 7 .8) 5 ( 1.4 ) 定 型 発 達 期 待 度 数 2 8 5.2 4 6 4 .7 4 8 .4 4 残 差 1.9 2 ^ 0 .1 4 - 4 .8 3 * * 実 際 度 数 1 5 ( 6 2 .5 ) 4( 1 6 .7) 4 ( 1 6.7 ) 障 害 期 待 度 数 18 .7 6 4 .2 6 0 .5 6 残 差 - 1 .9 2 ^ - 0 .1 4 4 .8 3 * * * * * p< .0 0 1 * * p < .0 1 * p < .0 5 + p < .1 0. ことば テ ィブ 2 6 ( 1 .6 ) 6 .57 - 0.9 1 ( 4 .2 ) 0 .43 0.9. T able8- 6 コ ン ピ テ ン ス に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 う(積 極 )の 他 者 の こ と ば 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 76( 66.1) 33( 28.7) 2( 1.7) 4( 3.5) コン ピ テ ン 期 待 度 数 89.87 20.4 2.66 2.07 ス平 均 群 残 差 - 3.73* * 3.67* * - 0.49 1.61 実 際 度 数 177( 92.2) 10( 5.2) 5( 2.6) 0( 0.0) コン ピ テ ン 期 待 度 数 150.05 34.06 4.44 3.46 ス高 群 残 差 6.61* * - 6.39* * 0.38 - 2.64* * 実 際 度 数 51( 62.2) 26( 31.7) 2( 2.4) 3( 3.7) コン ピ テ ン 期 待 度 数 64.08 14.54 1.9 1.48 ス低 群 残 差 - 3.94* * 3.73* * 0.09 1.43 * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10 T a ble 8- 7 遊 び 場 面 ー 誘 う (積 極 )の 他 者 の 気 持 ち 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 176( 48.4) 166( 45.6) 17( 4.7) 5( 1.4) 定 型 発 達 期 待 度 数 175.43 162.3 18.76 7.51 残 差 0.24 1.57 - 1.68^ - 3.72* * 実 際 度 数 11( 45.8) 7( 29.2) 3( 12.5) 3( 12.5) 障 害 期 待 度 数 11.57 10.7 1.24 0.49 残 差 - 0.24 - 1.57 1.68^ 3.72* * * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 + p< .10. T able 8- 8 コ ン ピ テ ン ス に よ る 遊 び 場 面 ー 誘 う(積 極 )の 他 者 の 気 持 ち 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 39( 33.9) 68( 59.1) 6( 5.2) 2( 1.7) 期 待 度 数 55.43 51.28 5.93 2.37 残 差 - 3.65* * 3.74* * 0.04 - 0.29 実 際 度 数 127( 66.1) 59( 30.7) 3( 1.6) 3( 1.6) コン ピ テ ン 期 待 度 数 92.54 85.61 9.9 3.96 ス高 群 残 差 7.00* * - 5.44* * - 3.17* * - 0.69 実 際 度 数 21( 25.9) 46( 56.8) 11( 13.6) 3( 3.7) コン ピ テ ン 期 待 度 数 39.04 36.12 4.18 1.67 ス低 群 残 差 - 4.51* * 2.48* 3.86* * 1.17 * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10 コン ピ テ ン ス平 均 群. ( 3) 援助場面―援助される( 受身的) 関わりについて 他者のことばについての分析の結果,群で回答が有意であり, クラスターで有意でなかった(G2 =17.06,df=3,p<01:G2 = 11.79,df=6,ns) (Table9-1).気持ちについての分析の結果, 各セルの独立性が有意でなかった(χ2(15)=24.44,ns).結.

(4) 果より,教科書を忘れ見せてもらう際,障害児は他者から注意. 気持ちについての分析の結果,群で回答が有意でなく,クラス. される,文句を言われると捉えていると考えられる.また障害の. ターで有意であった( G2=4.01,df=3,ns:G2=35.03,df=6,. 有無,コンピテンスに関係なく,他者の気持ちについて両群と. p<01)(Table11-2).結果から,平均群の障害児は定型発達児. もに同様の他者認知をしていると考えられる.. より他者の反応を否定的に予測しているが,高群,低群では障. Table9- 1 障 害 の 有 無 に よ る 援 助 場 面 ー 援 助 され る (受 身 )の 他 者 の ことば 回答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実際度数 214( 58.6) 88( 24.1) 58( 15.9) 5( 1.4) 定型発達 期待度数 206.43 88.2 62.87 7.51 残差 3.22* * - 0.1 - 2.72* * - 3.72* * 実際度数 6( 25.0) 6( 25.0) 9( 37.5) 3( 12.5) 障害 期待度数 13.57 5.8 4.13 0.49 残差 - 3.22* * 0.1 2.72* * 3.72* * * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10. ( 4) 援助場面―援助する( 積極的) 関わりについて 他者のことばについての分析の結果,群で回答が有意でなく, クラスター で有 意 であった(G2 = 3.40,df = 3,ns :G2 = (Table9-2).気持ちについての分析の結 19.66,df=6,p<01) 果,群で回答が有意でなく,クラスターで有意であった(G2= (Table9-3).結果よ 4.35,df=3,ns:G2=44.35,df=6,p<01) り,障害の有無は関係なく,コンピテンスによって他者認知が異 なると考えられる. T able9- 2 コ ン ピ テ ン ス に よ る 援 助 場 面 ー 援 助 す る (積 極 )の 他 者 の こ とば 回答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実際度数 64( 55.7) 37( 32.2) 11( 9.6) 3( 2.6) コン ピ テ ン ス 期待度数 62.97 35.18 12.12 4.73 平均群 残差 0.23 0.44 - 0.41 - 0.97 実際度数 110( 57.3) 60( 31.2) 20( 10.4) 2( 1.0) コン ピ テ ン ス 期待度数 105.13 58.74 20.24 7.9 高群 残差 0.99 0.28 - 0.08 - 3.01* * 実際度数 39( 47.6) 22( 26.8) 10( 12.2) 11( 13.4) コン ピ テ ン ス 期待度数 44.9 25.08 8.64 3.37 低群 残差 - 1.47 - 0.83 0.55 4.77* * * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10 T able9- 3 コ ン ピ テ ン ス に よ る 援 助 場 面 ー 援 助 す る (積 極 )の 他 者 の 気 持 ち 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 54( 47.0) 33( 28.7) 26( 22.6) 2( 1.7) コン ピ テ ン 期 待 度 数 63.72 31.71 16.01 3.56 ス平 均 群 残 差 - 2.17* 0.32 3.21* * -1 実 際 度 数 131( 68.2) 45( 23.4) 15( 7.8) 1( 0.5) コン ピ テ ン 期 待 度 数 106.39 52.95 26.72 5.94 ス高 群 残 差 5.03* * - 1.81^ - 3.44* * - 2.90* * 実 際 度 数 30( 37.0) 29( 35.8) 13( 16.0) 9( 11.1) コン ピ テ ン 期 待 度 数 44.88 22.34 11.27 2.51 ス低 群 残 差 - 3.74* * 1.86^ 0.62 4.69* * * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10. 害の有無で違いは見られなかった.つまり,障害児はコンピテ ンスが高い時,肯定的に,及び低い時に,否定的にというように 定型発達児と同様の他者認知をしていると考えられる. Table10−2 障害の有無とコンピテンスによる情緒的接触場面ー励ます(積極)の他者のことば 回答 ポジティブ1 ポジティブ2 ネガティブ1 ネガティブ2 実際度数 22( 20.0) 66( 60.0) 21( 19.1) 1( 0.9) 定型発達 期待度数 24.6 65.89 15.84 3.68 コンピテンス 残差 - 0.7 0.03 1.66^ - 1.68^ 平均群 実際度数 1( 20.0) 1( 20.0) 1( 20.0) 2( 40.0) 障害 期待度数 1.12 2.99 0.72 0.17 残差 - 0.13 - 1.83^ 0.36 4.59* * 実際度数 48( 26.7) 113( 62.8) 113( 62.8) 0( 0.0) 定型発達 期待度数 40.26 107.81 25.91 6.02 コンピテンス 残差 1.89^ 1.08 - 2.00* - 3.40* * 高群 実際度数 5( 41.7) 5( 41.7) 1( 8.3) 1( 8.3) 障害 期待度数 2.68 7.19 1.73 0.4 残差 1.63 - 1.31 - 0.61 0.98 実際度数 9( 12.0) 45( 60.0) 12( 16.0) 9( 12.0) 定型発達 期待度数 16.77 44.92 10.8 2.51 コンピテンス 残差 - 2.40* 0.02 0.44 4.64* * 低群 実際度数 2( 28.6) 3( 42.9) 2( 28.6) 0( 0.0) 障害 期待度数 1.57 4.19 1.01 0.23 残差 0.4 - 0.93 1.08 - 0.5 * * * p<.001 * * p<.01 * p<.05 +p<.10 Table10− 3 コン ピ テ ン ス に よ る 情 緒 的 接 触 場 面 ー 励 ま す (積 極 )の 他 者 の 気 持 ち 回答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実際度数 36( 31.3) 54( 47.0) 21( 18.3) 4( 3.5) コン ピ テ ン 期 待 度 数 49.2 44.76 16.89 4.15 ス平 均 群 残差 - 2.97* * 2.11* 1.29 - 0.09 実際度数 109( 56.8) 61( 31.8) 18( 9.4) 4( 2.1) コン ピ テ ン 期待度数 82.14 74.72 28.21 6.93 ス高 群 残差 5.51* * - 2.86* * - 2.93* * - 1.59 実際度数 21( 25.9) 36( 44.4) 18( 22.2) 6( 7.4) コン ピ テ ン 期待度数 34.65 31.52 11.9 2.92 ス低 群 残差 - 3.45* * 1.15 2.15* 2.06* * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10. 6.まとめと今後の課題 遊び場面: 関わり方に関係なく,障害児,またコンピテンスが低 い定型発達児は,自分に対する他者の反応や気持ちを否定 的に捉えていることが示された.遊びという日常的な場面で, 障害の有無,コンピテンスの程度が他者の捉え方に関連があ. ( 5) 情緒的接触場面―怒られる( 受身的) 関わりについて. ることが示された.援助場面: 援助される時障害の有無が関連. 他者のことばについて分析の結果,各セルの独立性が有意で. し,援助する時コンピテンスが関連することが示された.また,. なかった(χ (15)=23.37,ns).気持ちについての分析の結果,. 教科書を貸す行為(援助される)と消しゴムを探してあげる行. 群で回答が有意でなく,クラスターで有意であった(G2 =. 為(援助する)では質的に異なる可能性が考えられる.情緒的. (Table10).結果より 4.00,df=3,ns:G2=23.02,df=6,p<01). 接触場面: コンピテンスによって回答に差異が見られ,怒られ. 障害はことばや気持ちと関連がなく,コンピテンスは気持ちと. る,励ますというようなネガティブな心理状態の他者に関わると. 関連が見られた.怒られるという場面は,相手がネガティブな. き、コンピテンスが重要であると考えられる.. 気持ちであることが前提であるが,コンピテンスが高いとき他者. 以上の結果より,障害やコンピテンスは社会的場面の他者認. は自分を許し関係が保たれると捉えていると考えられる.. 知に関連があると考えられるが,各場面の質の違いによって,. 2. T able10- 1 コ ン ピ テ ン ス 情 緒 的 接 触 場 面 ー 怒 ら れ る (受 身 )の 他 者 の 気 持 ち 回 答 ポ ジ テ ィブ 1 ポ ジ テ ィブ 2 ネ ガ テ ィブ 1 ネ ガ テ ィブ 2 実 際 度 数 35( 30.4) 69( 60.0) 9( 7.8) 2( 1.7) コン ピ テ ン ス 期 待 度 数 47.89 55.87 9.16 2.07 平 均 群 残 差 - 2.91* * 2.92* * - 0.07 - 0.06 実 際 度 数 100( 52.1) 79( 41.1) 12( 6.2) 1( 0.5) コン ピ テ ン ス 期 待 度 数 79.96 93.29 15.3 3.46 高 群 残 差 4.12* * - 2.90* * - 1.24 - 1.87^ 実 際 度 数 27( 32.9) 41( 50.0) 10( 12.2) 4( 4.9) コン ピ テ ン ス 期 待 度 数 34.15 39.84 6.53 1.48 低 群 残 差 - 1.80^ 0.29 1.59 2.36* * * * p< .001 * * p< .01 * p< .05 +p< .10. ( 6) 情緒的接触場面―励ます( 積極的) 関わりについて. その関連の仕方は異なると考えられる.またコンピテンスが高 いほど肯定的に他者認知をしており,障害児のコンピテンスを 支える援助の必要性が示された.今後、対象を増やした上で, コンピテンスを支える要因について検討する必要があると考え られる.また今回取り上げた場面以外にも,軽度発達障害児が. 他者のことばについて分析の結果,群とクラスターによって回. どのような場面でネガティブな認知をする傾向にあるのか検討. 答に差が見られた(G2=13.67,df=6,p<.05)(Table11-1).. する必要があると考えられる..

(5)

参照

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