前向きコホート調査に基づいたSedentary behaviorに関する疫学研究 [ PDF
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(2) 用いた先行研究に従って加速度の検出が 0 であった時 間が 60 分を超えて連続した場合に,その時間帯を未装. (data not shown). SB と身体活動指標の相関分析の結果を 表 1 に示す.. 着状態と判定した(ただし 2 分以下の短い活動はノイズ. LPA を歩・走行活動とそれ以外の活動に分類すると,. として許容する).一日あたりの装着時間が 600 分以上. 全ての業種で歩・走行活動よりも歩・走行以外の活動と. かつ 4 日以上のデータが得られた者を解析対象とした.. の相関が強かった(歩・走行活動, ρ= -0.64 ~ -0.74; 歩・. 本研究において SB は「座位または横たわった姿勢で. 走行以外の活動,ρ= -0.79 ~ -0.87).同様に MVPA を分. あり,エネルギー消費が 1.5METs 以下の全ての覚醒時. 類した場合にも,歩・走行活動よりも歩・走行以外の活. の活動」3)と定義した.この定義に従い,SB は活動強. 動との相関が強かった(歩・走行活動, ρ= -0.26 ~ -0.38;. 度 1.5METs 以下の活動が装着時間に占める割合(%)を. 歩・走行以外の活動,ρ= -0.54 ~ -0.71).. 集計した.同様に,軽度身体活動(以下, LPA)は 1.6METs から 2.9METs,中等度以上の身体活動(以下, MVPA)は. (%). 100. 3METs 以上の活動と定義した.LPA, MVPA については,. 90. それぞれを歩・走行活動と歩・走行以外の活動に分け. 80. たうえで,一日あたりの活動量(メッツ・時/日)を集計. 70. した.すなわち,①歩・走行 LPA, ②歩・走行 MVPA,. 60. ③歩・走行以外の LPA,④歩・走行以外の MVPA を身. 50. 体活動の指標とした. (4) その他の測定項目 各企業の健康診断より得られたデータから body mass. 40 30 20 10 0. index(BMI)を算出し,BMI が 25 以上の者を肥満と判定. 健康関連業. した.配偶者の有無・教育歴・収入・喫煙の有無・飲. 情報関連業. 運輸・観光業. 生活関連業. 図 1.業種ごとの Sedentary behavior の分布. 酒の有無は質問紙法によって測定した. 表 1 .強度・種類ごとの身体活動と Sedentary behavior の偏相関. (5) 統計解析 SB に影響を与える個人特性を明らかにするため,各 個人特性を説明変数,SB を応答変数とした一般線形モ デルを用いた.対象者の特性が業種によって異なって いたことから,業種の効果および業種と各説明変数の 交互作用項を併せてモデルに投入した.次に,SB と身. 健康関連. 情報関連. 運輸. 生活関連. 歩・走行以外の活動. -0.87. -0.87. -0.79. -0.83. 歩・走行活動. -0.69. -0.68. -0.64. -0.74. 軽度身体活動. 中等度以上の身体活動. 体活動の関係を検討するために,身体活動指標と SB の. 歩・走行以外の活動. -0.67. -0.54. -0.57. -0.71. 相関分析を行った.SB および身体活動指標が正規分布. 歩・走行活動. -0.26. -0.38. -0.34. -0.26. に従わないことから,スピアマンの順位相関分析を適. 値はスピアマンの順位相関(ρ)を示す.調整因子:性・年齢・職種・婚姻状況,教育歴, 所得,喫煙・飲酒の有無,Body mass index. 用し,性,年齢,職種,配偶者の有無,肥満,教育歴, 収入,喫煙,飲酒を調整して偏相関係数を算出した.. 考察 本研究の対象者の SB は活動量計を用いた先行研究 7). 結果. とほぼ同水準であった.SB は全業種の管理職,情報関. 全対象者の平均装着時間は 847±100 分であった.SB. 連業の専門技術職で長かったことから,業務内容に強く. は平均 57.7±14.4%であった.業種ごとの SB の分布を. 規定されると考えられる.勤労者の SB を測定する場合. 図 1 に示す.情報関連業では中央値,第 1・第 3 四分位. には,職種による影響を業務内容とあわせて充分に考慮. 点のいずれも他の業種より高く,ヒンジが短い特徴が. することが重要であろう.. 認められた. 個人特性と SB の関係を業種ごとに検討したところ,. SB と身体活動量の相関を検討したところ,MVPA よ りも LPA で強い相関が認められた.さらに身体活動を. 全ての業種で有意な関係が認められたのは職種のみで. 歩・走行活動とそれ以外の活動に分けたとき,前者に比. あった(p< 0.01).管理職はいずれの業種でも SB が長. べて後者で SB との強い相関が認められた. これは LPA,. く,また情報関連業では専門技術職の SB が長かった. MVPA のいずれでも同様の関係が認められており,活.
(3) 動の強度に関わらず,歩・走行以外の活動が SB とより. (3) 測定項目. 強く関連することを示している.このことから,SB が. SB と身体活動量に関する4つの指標は,いずれも研. 多い人では歩行よりも家事や軽作業など移動を伴わな. 究 1 と同様の手順ならびに定義に基づいて測定を行な. い動作が減少していることや,あるいは反対に SB が少. った.また個人特性についても,全て研究 1 と同様の. ない人でこうした動作を多く行なっていることが推測. 方法を用いて測定を行なった.. される.SB と LPA の間に強い相関が認められること は既に報告されており,本研究はその結果を支持する. (4) 統計解析. ものである.さらに,本研究では活動の種類によって. 集団全体の変化を明らかにするため SB を従属変数. 関係の強さが異なり,歩・走行以外の活動が SB と最も. として、測定時期を要因とした分散分析を行った.また. 強く関連することが明らかとなった.本研究で用いた. 経年変化量の分布を示すため,2009 年から 2010 年の. 加速度計では,軽作業や家事など姿勢の変化を伴う活. 変化量(ΔSB1)および 2010 年から 2011 年の変化量(Δ. 動が歩・走行以外の活動として分類される.このよう. SB2)を算出した.次に,1 時点から後続する SB の変動. な活動は,日常生活レベルで多く観察されるものであ. を予測しうるかを明らかにするため,ΔSB1,ΔSB2 を. り,SB に日常身体活動が強く関連していることを示唆. 目的変数として,ベースライン時の年齢,性別,職種,. している.. BMI,喫煙・飲酒の有無,身体活動指標をそれぞれ説. 本研究では特徴の異なる4業種を対象としており,. 明変数とした単回帰分析を行った.最後に,これらの変. 全ての業種にわたって同様の関係が認められているこ. 数を調整因子として,身体活動の変化量指標を説明変数. とから,本研究の知見には一定の一般性があると考え. とした重回帰分析を行った.. られる. 結果 各時点の SB の平均は 53.6±13.0%,52.9±11.9%.53.5 ±12.5%であり,3 時点で SB に有意な差は認められな 3.客観的に測定した SB の経時的変化と関連要因 (研究 2) 目的 日本人勤労者の SB について,経時的変化と変化に関 連する要因を明らかにする.. かった(p=0.28). ΔSB1 に関連する要因を検討したところ,2009 年時 点の年齢,性別,婚姻状況,収入,BMI,喫煙・飲酒状 況,職種はいずれもΔSB1 と関連が認められなかった. また 2009 年から 2010 年の各特性の変化を要因とした場 合でも,いずれの特性の変化もΔSB1 と関連が認められ. 方法. なかった.同様にΔSB2 について検討したところ,2010. (1) 研究デザイン. 年時点の特性および 2010 年から 2011 年の特性の変化は,. 研究 1 で対象とした 2 つの前向きコホートのうち,. いずれもΔSB2 と関連が認められなかった.. すでに 2 度の繰り返し調査を終了した CRC コホートの. 次に身体活動指標を要因として,SB の変化量の予測. データを用いた縦断研究として行われた.ベースライ. を行なった.ΔSB1 を目的変数に設定し,2009 年時点. ン調査は 2009 年度(2009 年 12 月より 2010 年 3 月ま. の身体活動を要因とした場合には,多変量を調整したモ. で)に実施された.繰り返し調査は 1 年ごとに,実施さ. デルの全てにおいて偏回帰係数は正の値となったが,. れており,本研究ではベースライン調査と 2010 年度. R2 値は 0.05 から 0.18 と低かった.身体活動指標につい. (2011 年 1 月から 3 月)および 2011 年度(2012 年 1 月か. て,変化量を要因とした場合には,全てのモデルで有意. ら 3 月)の 2 回の繰り返し調査のデータを用いた.. となり,偏回帰係数は負の値を示した(表 2).R2 値は, LPA を歩・走行活動と歩・走行以外の活動に分けると,. (2) 対象者. 歩・走行活動よりも歩・走行以外の活動の説明率が高か. CRC グループのうち,福岡県内の 3 事業所に勤める. っ た ( 歩 ・ 走 行 活 動 R2=0.23 , 歩 ・ 走 行 以 外 の 活 動. 20 歳以上の従業員 395 名であった.このうち,ベース. R2=0.54).MVPA を歩・走行活動と歩・走行以外の活動. ライン調査(2009 年度)と 2 回の繰り返し調査(2010 年. に分けた場合でも,LPA と同様に歩・走行活動よりも. 度,2011 年度)の調査全てに参加,質問票ならびに加速. 歩・走行以外の活動の説明率が高かった(歩・走行活動. 度計のデータの得られた 257 名を解析の対象とした.. R2=0.14,歩・走行以外の活動 R2=0.05).ΔSB2 を目的 変数としたときにも,同様の傾向がみられた..
(4) 表 2.Sedentary behavior の変化量に対する強度・種類ごとの身体活動. した.本研究で用いた加速度計では,家事や軽作業とい. の変化量の説明率. った活動が歩・走行以外の活動に含まれることから,家 ΔSB1 β. 庭内・仕事場内といった日常生活場面で生じる身体活動. ΔSB2 R2. β. R2. が SB の多寡と関連するといえる. 近年では,行動変容理論に基づいて SB を減少させよ. 軽度身体活動 Δ歩・走行以外の活動. - 3.1. 0.54. - 3.1. 0.64. Δ歩・走行活動. - 5.4. 0.23. - 8.6. 0.35. 中等度以上の身体活動. うとする介入試験が計画されるようになった.しかしな がら,業種や職種といった要因は個人で操作することは 極めて難しい。むしろ作業管理者の裁量や事業所の環境, さらには外環境などが,SB と日常生活場面の身体活動. Δ歩・走行以外の活動. - 4.2. 0.14. - 8.4. 0.34. の配分に大きく寄与すると言える。SB と身体活動に着. Δ歩・走行活動. - 1.4. 0.05. - 1.7. 0.07. 目した健康施策は,事業主や都市環境や政策分野との協. 全て p < 0.01. 働が進められるべきといえよう。 本研究では 3 軸加速度計で測定を行なっていること. 考察. から,測定された SB の妥当性は質問紙調査に比べて高. SB の変化量に注目すると,集団では変化が認められ. いと考えられる.さらに客観的な測定手法を用いて活動. ないものの,個人レベルでは最大 3 時間を超える変動. の種類に関する情報を得たことは本研究の強みといえ. が生じていた.さらに,この変動を予測する因子を,. る.. 個人特性および1時点の身体活動から探索したものの,. 一方で,本研究の限界としては,対象者の運動習慣や. いずれの変数も回帰モデルの説明率が低いことから,. 外科的疾患など身体活動に影響する要因や,測定時の天. 予測力は低いと考えられた.. 候など系統的な誤差を生じる要因について把握しきれ. 一方で,身体活動指標について,SB と同様に変化量. ていない点が挙げられる.また,本研究は観察研究であ. を指標とすると,LPA の変化が SB の変化を強く説明. るため,具体的な介入施策などは研究を進めていく検証. しており,その説明力は歩・走行活動よりもそれ以外. する必要がある.さらに,本研究の対象者は必ずしも一. の活動で高かった.すなわち年間で SB が増加した場合,. 般的な日本人勤労者を代表するサンプルとは言えない.. 反対に歩・走行以外の軽度身体活動が減少している, といった関係が推察される.. しかしながら,複数の業種・職種を含んだ横断研究お よび縦断研究の両者で一貫した結果が得られたことを. この関係は研究 1 で示した内容を支持する結果とい. 踏まえれば,勤労者の SB について議論を行うにあたっ. える.すなわち,SB の変化が生じている背景には,日. て,日常身体活動との関係に注目していくことは十分な. 常生活場面における身体活動の変動が存在しており,. 意義があると考えられる.. SB と LPA,なかでも歩・走行以外の活動が SB と入れ 替わりやすいと考えられる. 本研究で解析を行なった SB の変動と身体活動指標 の変動は同時に生じているため,厳密には前向きのデ ザインを為していない.しかし縦断データを用いて, 第二章と同様に軽強度かつ歩・走行以外の身体活動が 関連していることが,2 年間に共通して認められたこと から,二者の関係はより強固なものと考えられる.. 5.引用文献 1)Katzmarzyk 2)Grøntved. 本研究は,我が国で初めて加速度計を用いて SB の定 量化を行い,勤労者において横断的・縦断的な実態と 関連要因を明らかにした. 本研究で用いた加速度計から,活動の種類及び強度 で分類した身体活動指標と SB の関係を検討したとこ ろ,軽度かつ歩・走行以外の活動が最も強い影響を示. A and Hu FB. JAMA 2011; 305:2448-2455.. 3)Sedentary. Behaviour Research Network. App Physiol,. Nutr Metab 2012; 37:540-542. 4)Bauman. A, Ainsworth BE, Sallis JF, et al. Am J Pre Med. 2011; 41:228-235 5)Oshima. 4.まとめと展望. PT and Lee IM. BMJ Open 2012; 2:e000828.. Y, Kawaguchi K, Tanaka S, et al. Gait &. Posture 2010; 31:370-374. 6)Ohkawara. K, Oshima Y, Hikihara Y, et al. Br J Nutr. 2011; 105:1681-1691 7)Matthews. CE, Chen KY, Freedson PS, et al. Am J. Epidemiol 2008, 167:875-881..
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