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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 江 屋 一 洋

学 位 論 文 題 名

長期呼吸 循環繍助を目 的とした小型 人エ´黼システ ムの開発と評価

―´良陸動物実験での呼吸循環完全代行による検討―

学位論文内容の要旨

  長 期 呼 吸 循 環 補 助 を 目 的 と し た 小 型 人 工 心 肺 シ ス テ ム を 開 発 し 、 慢 性 動 物 実 験 に て そ の 性 能 を 評 価 し た 。 開 発 し た 人 工 心 肺 シ ス テ ム は 、 空 気 駆 動 式 拍 動 型 補 助 人 工 心 臓(VAD) と 小 型 膜 型 人 工 肺 か ら 成 る 。VADは 、1回 拍 出 量70ml、 最 大 拍 出 量7L/minの 性 能 を 有 し 、 材 質 は セ グ メ ン ト 化 ポ リ ウ レ タ ン で あ る 。 す で に200例 を 超 す 臨 床 例 か ら 、 優 れ た 抗 血 栓 性 と 機 械 耐 久 性 を 有 す る こ と が 示 さ れ て い る 。 膜 型 肺 は 、 膜 面 積l.2ni2、 充 填 量 140mlと 非 常 に 小 型 で あ る 。 ま た 、 熱 交 換 器 を 廃 し た 構 造 で あ り 、 圧 力 損 失 が 最 大 血 流 量6.OL/mm時 で 約50mmHgと 低 値 で あ る た め 、VADへ の 組 み 込 み も 可 能 で あ る 。 膜 型 肺 の ガ ス 交 換 膜 に は 、 血 液 接 触 面 が 盲 端 と な っ て い る ポ リ オ レ フ ィ ン 製 中 空 糸 が 用 い ら れ て い る 。 し た が っ て 、 長 期 使 用 時 に お い て も 血 漿 漏 出 を き た さ な い 。 ま た 、 膜 型 肺 の 全 血 液 接 触 面 に は 新 た に 開 発 し た 共 有 結 合 の み か ら な る へ バ リ ン 結 合 が 施 さ れ て お り 、 長 期 間 に わ た り 優 れ た 抗 血 栓 性 を 有 す る と 考 え ら れ る 。 シ ス テ ム の 評 価 に は 、 体 重28―36kg の 成 山 羊7頭 を 用 い た 。 完 全 心 肺 バ イ バ ス を 設 立 す る こ と に よ り 、 覚 醒 下 の 動 物 の ガ ス 交 換 能 お よ び 血 液 ポ ン プ 機 能 を ほ ぽ 完 全 に 代 行 さ せ 、 最 長336時 間 に わ た り 評 価 を 行 っ た 。 評 価 期 間 中 は 、 抗 凝 血 療 法 は 一 切 施 行 し な か っ た 。 実 験 期 間 を 通 じ て 、 シ ス テ ム の 酸 素 添 加 能 は142か ら174ml/min,炭 酸 ガ ス 除 去 能 は78か ら148 ml/mmと 良 好 に 維 持 さ れ 、 動 物 の 動 脈 血 液 ガ ス 所 見 も 、 酸 素 分 圧 が146か ら 323mHg、 二 酸 化 炭 素 分 圧 が38か ら 50rnrnHgと 良 好 に 保 た れ た 。 全 身 血 液 灌 流 量 は 、 実 験 期 間 を 通 じ て107か ら 130ml/′kg/mmと 完 全 心 肺 パ イ バ ス 開 始 前 の 心 拍 出 量 の128ml/l娼/mmと ほ ぼ 一 致 す る 値 に 維 持 さ れ た 。 し か し な が ら 、 平 均 大 動 脈 圧 は 前 値 の98mmHgよ り 完 全 心 肺 バ イ バ ス 開 始 後62か ら82mrnHgへ と 低 下 し た 。 一 方 、 中 心 静 脈 圧 は 、 前 値 の 7mmHgか ら 完 全 心 肺 バ イ バ ス 開 始 後 は 著 明 な 変 化 を 示 さ な か っ た 。 凝 固 ・ 線 溶 系 の 指 標 で は 、 フ ィ プ リ ノ ー ゲ ン が 前 値 の 250mg/d1か ら 完 全 心 肺 バ イ バ ス 開 始 後 は 96か ら 205mg/dlで 推 移 し 軽 度 の 低 下 を 示 し た が 、 プ 口 ト ロ ン ピ ン 時 間 お よ びFDPは ほ と ん ど 変 化 を 認 め な か っ た 。 血 小 板 数 は 、 前 値 の45.2万/mm3か ら 完 全 心 肺 パ イ バ ス 開 始24時 間 後 に32.2万 /11H3へ と 軽 度 の 低 下 を 認 め た 。 血 漿 遊 離 ヘ モ グ 口 ピ ン 値 は 、 前 値 の5.7mg/d1か ら 完 全

´ 己 丶 肺 パ イバ ス開 始後 は9.8か ら16.2mg/dlの 間に 維持 され 、著 明な 変化 を示 さな かっ た。

実 験 終 了 後 の 人 工 心 肺 シ ス テ ム は 、 感 染 症 を 合 併 し た 一 動 物 に 適 用 さ れ た 膜 型 肺 とVAD

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に肉眼的な血栓の形成を認めた。その他のシステムは、最長336 時間の評価後のものを 含めて、肉眼的には明らかな血栓の形成は認めなかった。また、動物の腎・脾・脳・消化 管・肝などの主要臓器には、いずれも明らかな出血あるいは塞栓症などは認めなかった。

以上より、開発した人工心肺システムは移植までのブリッジなどの長期呼吸循環補助療法

にも十分に使用可能な性能を有すると考えられた。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

長期呼吸循環補助を目的とした小型人工´ふ肺システムの開発と評価

―´ 漫慴湧 む物 実験 での 呼吸 循環 完全 代; 行による検討―

  末 期呼 吸不 全患 者に 対す る治 療法 とし ては、 現在では肺あるいは心肺移植が唯一の有効 な手 段で ある 。し かし 、臓 器提 供者 の不 足は欧 米でも深刻な問題であり、移植に代わる新 たな 治療 手段 の開 発が 望ま れて いる 。人 工臓器 による呼吸循環補助療法や臓器置換治療法 は、 その 有望 な手 段の ーつ とし て開 発が 期待さ れている。本研究では、人工臓器による呼 吸循 環補 助療 法を 確立 すべ く、 長期 使用 が可能 な人工心肺システムを開発することを目的 とし た。

  開 発 し た 人 工 心 肺 シス テ ム は 、 空 気 駆 動 式 拍 動型 補助人 工心 臓(VAD)と小 型膜 型人工 肺 か ら 成 る 。VADは 、1回 拍 出 量70ml、 最 大 拍 出 量7L/rnmの 性 能 を 有し 、 材 質 は セ グ ヌン ト化 ポリ ウレ タン であ る。 すで に200例を 超す 臨床 例か ら、 優れ た抗血 栓性と機械耐 久性 を有 する こと が示 され てい る。 膜型 肺は、 膜面 積1.2m2、充 填量140mlと非常に小型 で あ る 。 ま た 、 熱 交 換器 を 廃 し た 構 造 で あ り 、 圧 力 損 失 が 最 大 血 流 量6.OL/mm時で約 50mmHgと 低 値 で あ る ため 、VADへ の 組 み 込 み も可 能で ある 。膜 型肺 のガ ス交 換膜 には、

血液 接触 面が 盲端 とな って いる ポリ オレ フィン 製中空糸が用いられている。したがって、

長期 使用 時に おい ても 血漿 漏出 をき たさ ない。 また、膜型肺の全血液接触面には新たに開 発し た共 有結 合の みか らな るへ バリ ン結 合が施 されており、長期間にわたり優れた抗血栓 性 を 有 す る と 考 え ら れる 。 シ ス テ ム の 評 価 に は 、体 重28ー36kgの成 山羊7頭 を用 いた。

完全 心肺 バイ バス を設 立す るこ とに より 、覚醒 下の動物のガス交換能および血液ポンプ機 能を ほば 完全 に代 行さ せ、 最長336時 間に わた り評 価を 行っ た。 評価 期間中 は、抗凝血療 法 は 一 切 施 行 し な か っ た 。 実 験 期 間 を 通 じ て 、 シ ス テ ム の 酸 素 添 加 能 は142か ら 174ml/mm、 炭 酸 ガ ス 除 去 能 は78か ら148ml/mmと 良 好 に 維 持 さ れ 、 動 物 の 動 脈 血 液 ガ ス 所 見 も 、 酸 素 分 圧 が146か ら323mmHg、 二 酸 化 炭 素 分 圧 が38か ら50mmHgと 良 好 に 保 た れ た 。 全 身 血 液 灌 流 量 は 、 実 験 期 間 を 通 じ て107か ら130ml/kg/mmと 完 全 心 肺 パ イ バ ス 開 始 前 の 心 拍 出 量 の128m1/kg/mmと ほ ぽ 一 致 す る 値 に 維 持さ れ た 。 し か し な が ら 、 平 均 大 動 脈 圧 は 前 値 の98mmHgよ り 完 全 心 肺 バ イ バ ス 開 始 後62か ら82mmHg

秀 顕

慶  

  秀

田 畠

安 北

授 授

教 教

査 査

主 副

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へ と低 下した 。一方、中心静脈圧は、前値の 7mmHg から完全心肺パイパス開始後は著 明 な 変 化 を 示 さ な か った 。 凝 固・ 線溶系 の指 標で は、 フィブ リノ ーゲ ンが 前値の 250mg/dl から 完全 心肺 パイ パス開 始後 は96 から205mg/dl で推移し軽度の低下を示し たが、プ口トロンピン時間および FDP はほとんど変化を認めなかった。血小板数は、前 値の45.2 万 /nun3 から完全心肺バイバス開始24 時間後に32.2 万/IIlI:Cl3 へと軽度の低下を 認めた。血漿遊離ヘモグ口ピン値は、前値の 5.7mg/dl から完全心肺バイバス開始後は 9.8 から16.2mg/dl の間に維持され、著明な変化を示さなかった。実験終了後の人工心 肺システムは、感染症を合併した一動物に適用された膜型肺とVAD に肉眼的な血栓の形 成を認めた。その他のシステムは、最長 336 時間の評価後のものを含めて、肉眼的には明 らかな血栓の形成は認めなかった。また、動物の腎・脾・脳・消化管・肝などの主要臓器 に は 、 い ず れ も 明 ら か な 出 血 あ る い は 塞 栓 症 な ど は 認 め な か っ た 。    以上の結果より、開発した人工心肺システムは移植までのブリッジなどの長期呼吸循環 補助療法にも十分に使用可能な性能を有すると結論した。

     学位論文の公開発表に際して、副査の川口教授からは基材に結合したヘバリン分子の 抗血栓性の効果および長期使用時の脱離の有無、開発した人工肺の構造、動物実験におけ る人工肺のガス交換能の経時的変化、副査の北畠先生からは実験動物の死亡原因、人工肺 で肺を完全に置換した場合に生体に生じる影響、臨床使用する場合に適応となる疾患、主 査の安田教授からは人工臓器を使用した場合に生じるサイトカインの活性化などを含む生 体反応、ポータブルな小型人工心肺システムの臨床使用の可能性について等の質問があっ たが、申請者は豊富な実験結果と、蓄積された学識をもって、誠実にかつ概ね適切に回答 し得た。

     この研究は長期使用が可能な人工心肺システムを開発することを目的とし、開発され た人工心肺システムが長期呼吸循環補助療法にも十分に使用可能な性能を有し、人工臓器 による心肺同時置換の生体におよぼす病態の解明と,心肺移植待機患者へのプリッジ使用 への応用に開いた点で高く評価され、今後臨床例ぺの使用に向けての装置の信頼性試験を つめることが期待される.

     審査員一同は、申請者の豊富な学識に併せてこの研究が関連領域研究の進展に与える

成果を評価し、申請者が博士(医学)を受けるのに十分な資格を有するものと判定した。

参照

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