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シ ス テ ム

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Academic year: 2021

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博 士 ( 情 報 科 学 ) 濱 村 有 一

学 位 論 文 題 名

シ ス テ ム LSI 製 造 に おけ る 歩留り管理・向上手法に関する研究

学位論文内容の要旨

  システムLSIは、高 速化や高機能化の市場要求 に伴い、高集積化の一途を辿ってきた。微細化と 多層化の進むシステ ムLSIの製造難度は益々上昇 しており、新製品をできるだけ早く、かつ廉価で 市場投入するために は、製造歩留りを速やかに立上げ、かつ高歩留りを安定的に保つ歩留り管理・

向上手法の開発なら ぴに高度化が求められている 。

  本論文では、シス テムLSI製造のプロセス開発 およぴ製品量産における歩留り管理・向上に関連 する従来の取組みと 、近年、課題となっている製品設計の段階から歩留りを考慮する従来の取組み に 関 す る 技 術 課 題 を 明 ら か に し 、 こ れ ら の 課 題 に 対 す る 解 決 策 に つ い て 論 じ た 。   品種数が多く、ラ イフサイクルの短いシステムLSIのプロセス開発段階では、歩留りに大きく影 響する多層配線工程 を対象として、製品に依存しない標準プロセスを用いた配線工程診断TEG(Test Element Group)により欠陥を低減する手法 が用いられている。配線工程 診断TEGの歩留り管理規 格は、製品が所望の 歩留りを達成できるように製品の目標歩留りから換算される。この換算では、

製造ラインで発生す る欠陥粒径分布と、配線工程 診断rIEGおよび製品のレイ アウトデータに基づ いて歩留りを予測す るCAA(Critical Area Analysis)が用いられるため、欠陥粒径分布測定の高精 度化が重要となって いる。しかし、電気テストで実際に不良となった欠陥の粒径分布を測定する場 合、微小な欠陥が不 良となるかどうかは欠陥と配線との位置関係に依存するため、電気テストの段 階で微小異物を見逃 してしまう点が考慮されていなかった。そこで、プロセス開発段階における配 線工 程診 断TEGの 管 理基 準の 適正 化を 目 的と して 、測 定 した 微小 欠陥 数をCAAを用いて補正す ることにより欠陥粒 径分布測定を高精度化する手法を開発した。本手法で補正した欠陥粒径分布を 用いて配線工程診断 ´rEGの不良率を推定した結 果、実際の不良率との相対誤 差土10%以内と精度 良く予測できること を確認した。

  一 方、 プ ロセ ス開 発段 階 にお いて 、配 線工 程 診断TEGにおける短絡 や断線などの欠陥性不良 を低減するには、ま ずはじめに、その不良箇所を 特定する必要がある。この 不良箇所は、システ ムLSIの微細化 に伴い、従来の光学式異物・ 外観検査装置では容易に特 定できなくなってきてお り、FIB (Focused Ion Beam)やSEM(ScanningElec缸.onMicroscope)により不良箇所の特定が容易 なVC(丶bltageContc鵠t)法を活用できる 配線工程診断TEGが提案され てきた。しかし、VC法を 活用 できる配線 工程診断TEGでは電気テスト を行える構造にはなってい なかった。そこで、断線 およぴ短絡不良の有 無を触針式の電気テストによ り検知可能とし、さらにVC法で不良箇所特定を 可能 とするCVC‐TEG(Contact一addedVC一1EG)とその解析手法を開発 した。このCVC‐1EGは、

Si基板上に設けたSi02上に、蛇行配線と、この蛇 行配線の間隙に孤立配線を 設置し、この孤立配

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線 が コ ン タ ク ト プ ラ グ に よ りPウ ェ ル 領 域 内 のn型 拡 散 層 と 接 続 し た 構 造 と し た 。CVC‑TEG の試作品に疑似断線およ ぴ擬似短絡を予め搭載し、触針式の電気テストにより不良検知性能を評価 した結果、断線およぴ短 絡不良の有無を電気的に検 知できることが分かった。また、FIBを用いた VC法により上記の疑似欠 陥のコントラスト差を確認 することができ、不良箇所を 特定できること が分かった。

  システムLSIの量産段 階では、多数の製品の中から 歩留り改善余地のある問題製品を顕在化させ る必 要が ある 。 この ため、製 品の歩留り習熟時に到達する 欠陥性歩留りをCAAにより予 測し、実 績歩留りとの乖離を把握 する必要がある。また、量 産段階では、コスト削減のため、工程診断TEG を用いずに、製品の歩留 りを予測する技術が求めら れていた。そこで、CAAで求めた短絡、断線、

層間接続不良のクリティ カルエリアの相互関係に相 関があることを利用し、複数 製品の実績歩留 りとCAAによ る短 絡ク リティカ ルエリアから歩留りを予測 する新たな歩留り予測モデル を開発し た。適用の結果、同予測 モデルによる歩留り予測誤 差(d)は、およそ3.3%程度であり、また、実 際の 製造 ライ ン にお ける問題 製品の特定にも成功した(32製品中、2製品特定)。CAAア ルゴリズ ムとしては、ランダムに 配置した欠陥からニつの配線が短絡する距離を測定する短絡距離測定法を 開発 し、CAAの結 果と して欠陥 座標と短絡粒径を保存する ことにより、製造ラインごと に粒径分 布パ ラメ ータ が 異な る場合や 、回路モジュールごとの歩留 りを算出する場合に、CAAを 再度実行 せずとも対応できるよう にした。同アルゴリズムの妥当性を検証するため、二っの市販シミュレー タと の計 算結 果 を比 較し、精 度面で問題がないことを確認 した。また、設計データの 収集、CAA シミュレーション、実績 歩留りの収集、歩留り解析を支援するサーバ群で、問題製品を精度良く簡 便に 特定 するCAA歩留 り統合管 理システムを構築した。同 システムは、問題製品特定機 能、歩留 り推移表示機能、回路モ ジュール解析機能、8(平均致命率)マップ表示機能などを搭載しており、

一連の解析に必要な作業 工数をおよそ1/20に削減す ることができた。製造現場で の解析者だけで なく、生産管理担当者や 設計者へも同一基準の評価尺度を提供し、製品歩留り向上に向けた活動を 支援している。

  一方、システムLSIの 製造歩留りを向上させる設計手法として、冗長回路による.救済設計手法が 従来 から 用い ら れて きた 。本 論 文で は、 シス テムLSIの組 込 みSRAMに 着目して、設計 段階で冗 長回 路規 模を 適 正化 するため の救済歩留り予測技術の開発 について述べる。従来は、CAAで仮想 的に投下したすべての欠 陥に対して、どのような不良となるかを分類する専用シミュレータや回路 情報が必要であった。本 研究では、これらを用いずに、不良となる配線の組合せとこれにより生じ る不 良の 種類 を 予め 分類して おき、この分類結果に基づい て各カの配線の組合せごと にCAAを実 施し て救 済歩 留 りを 予測する 手法を開発した。まず、配線 組合せ別CAAをジオメトリ法 により解 析的 に解 く方 法 を開 発し 、SRAM製品 の救 済歩 留りを予測 した結果、平均2.3010の誤差 で予測す るこ とが でき た 。次 に、配線 組合せ別CAAの工数を削減す るため、モンテカルロ法を用 いた市販 CAAシミ ュレ ータ を改 良した。 平均クリティカルエリアの 計算誤差は、いずれの配線組 合せにお いても土O.Olmm2以内で あり、製品の救済歩留り換算 で土0.17%以内に抑えられ 、所要計算時間 は10時間(従来27時間) と実用可能な見通しを得た 。さらに、複数の冗長回路規 模の組合せに対 して、製品歩留り習熟推 移を仮定して、製造コストを最小化するシミュレーションを試行し、冗長 回路数の適正化手法を明 らかにした。

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学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

客員教授 教授 教授 教授 准 教 授

中 川 金 子 小 野 里 北 田 中

学 位 論 文 題 名

泰夫 俊一 雅彦 裕幸 孝之

シ ス テ ム LSI 製 造 に お け る 歩 留り管理・向上手法に関する研究

  システムLSIは、高速化や高機能化の市場 要求に伴い、高集積化の一途を辿ってきた。微細化と 多層化の進むシ ステムLSIの製造難度は益々 上昇しており、新製品をできるだけ早く、かつ廉価で 市場投入するた めには、製造歩留りを速やかに立上げ、かつ高歩留りを安定的に保つ歩留り管理・

向上手法の開発 ならぴに高度化が求められ ている。本論文では、システムLSIの設計、プロセス開 発、およぴ製品 量産における歩留り管理・向上に関連する従来技術の課題とその解決策について論 じている。

  第1章では、 システムLSIのプロセス開発 およぴ製品量産における従来 の取組みと、近年、課題 となっている製 品設計の段階から歩留りを考慮する従来の取組みに関する技術課題を明確にし、本 研究の位置付けと目的について述べている。

  第2章では、 歩留りに大きく影響する多層 配線工程を対象に、このプロセス開発段階で用いられ る配線工程診断TEG(Test Element Group)の 管理基準の適正化を狙いとして、この管理基準の算定 に 用 い る 欠 陥 粒 径 分 布 測 定 を 高 精 度 化 す る 手 法 の 開 発 内 容 に つ い て 述 べ て い る 。   第3章 でほ、プロセス の開発期間短縮を狙いとして 、微小な断線およぴ短絡不 良の有無を触針 式の電気テスト ・により検知可能とし、さらに、従来の光学式異物・外観検査装置では検出困難な 不 良箇 所をFIB(F0cusedIonBeam)やSEM(Sc缸mingElectronMicroscope)を用 いたVCmltag・e Con仕謎t)法により特定するCVC― rEぬ(C曲tact一addedVC‐n獅とその解析手法の開発内容につい て述ぺている。

  第4章 で は、 シス テムLSIの量 産段階において、品 種数の多い製品の中から歩 留り改善余地の ある問題製品を 顕在化させることを狙いと しで、製品の歩留り習熟時に 到達する欠陥性歩留りを CAAによ り予測し、実績 歩留りとの乖離から問題製品 を顕在化する歩留り統合管 理システムの開 発内容にっいて述ぺている。

  第5章 で は、 シス テムLSIの組 込みSRAMに 着目 して 、設 計 段階 で不 良回 路救 済 用の冗長回路 規模を適正化す る救済歩留り予測において、不良となる配線の組合せとこれにより生じる不良の種

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類を 予め 分類しておき、この分類結 果に基づぃて各々の配線の 組合せごとにCAAを実施して 救済 歩留りを予測する手法の開 発内容について述べている 。

  第6章は本論文の結論と なっている。

  第2章では、欠陥粒径分 布測定を高精度化するため、 欠陥粒径分布とレイアウトデータから歩留 りを算出するCAA(Critical Area Analysis)の概念を用いて微小欠陥数を補正する手法を提案し、不 良率の予測精度の実験結果 から欠陥粒径分布の測定精度を向上可能であることを確認しており、そ の有効性にっいて評価した 。

  第3章 では 、CVCーTEGの 構 造と 解析 手法 に つい て提 案し 、CVC‑TEGの 試 作品 に予め搭載 した 疑似断線およぴ疑似短絡に っいて、触針式の電気テストにより断線および短絡不良の有無を電気的 に検 知可 能であり、また、FIBを用 いたVC法により上記の疑似欠 陥のコントラスト差から不 良箇 所が 特定 可能であることを実験的に 示しており、提案したCVC‑TEGの有効性について評価し た。

  第4章 では 、CAAで 求め た短 絡、 断線、層間接続不良のクリテ ィカルエリアの相互関係に 相関 があ るこ とに着目し、複数製品の実 績歩留りとCAAによる短絡ク リティカルエリアから歩留 りを 予測する新たな歩留り予測 モデルを提案し、実際に問題製品の特定事例を示していることを評価し た。また、同モデルを用い た歩留り統合管理システムの構築事例にっいて内容を述ベ、一連の解析 に必要な作業工数を削減可 能であることを実験的に示しており、同システムの有効性にっいて評価 した。

  第5章 では 、ジ オメ トリ 法 を用い た配線組合せ別CAAの実験結 果により、救済歩留りを高 精度 に予測可能であること示し ており、その有効性を評価 した。また、モンテカルロ法を用いた市販 CAAシ ミ ュレ ータ を実 際に 改 良し、 配線組合せ別CAAの工数を削 減した点について評価した 。さ らに、複数の冗長回路規模 の組合せに対して、製品歩留り習熟推移を仮定して、製造コストを最小 化するシミュレーションを 試行し、冗長回路数の適正化手法を明らかにした点にっいて評価した。

  以上を要するに、著者は 、システムLSIの設計、プロ セス開発、およぴ製品量産の各局面におい て、歩留り管理を適正化し 、歩留り向上を支援する各種手法を実現し、実験的にその有効性を明ら かにした。これらの手法は 従来にない新規性の高い手 法である。本研究の成果は、システムLSIに 代表される電子デバイスの 製造技術分野ならびに設計技術分野の発展に寄与するところ大なるもの がある。よって、著者は北 海道大学博士(情報科学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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