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水中硝酸イオン還元無害化のための

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Academic year: 2021

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博士(地球環境科学)    坂本啓典

学 位 論 文 題 名

水中硝酸イオン還元無害化のための Cu ― Pd ナノクラスター触媒の設計

学位論文内容の要旨

  近年、重要な水資源 の地下水が、硝酸イオン(N03−)によって汚染されている。汚染源 は主に農地への窒素肥 料の過剰な施肥と未処理な家畜し尿であり、世界的な食料増産の流 れの中で、今後、N03一汚染のさらなる拡大が予想される。現在、生物処理法や吸着処理法 によるN03一汚染水の浄化が、検討されているが、生物処理法は処理速度が遅く、細かな制 御が必要であり、吸着除去法は高濃度N03−の二次処理が必要と言う問題がある。固体触媒 法を使ってN03―を窒素へと還元除去する方法は、高速かつ簡便にN03−を還元無害化でき る新しい技術として注 目されている。この反応にはCu−Pd合金などのバイメタル触媒が有 効であり、N03−は亜硝酸イオン(N02ー)を経由し て窒素(N2)へと還元される事が報告さ れ てい る。 固体 触媒 法の 問題 は、N2の他に、水質的に望ましくなぃアンモニア(NH3)が 副 生す る事である。そこで、本研究では、低NH3副生での水中N03―還元無害化のための 固体触媒法の実現を目 的として、構造が明確なCu‑Pdクラスターを触媒としたN03―還元を 検討し、その触媒作用を明らかにした。

  ポリ ビニ ルピ ロ リド ン(PVP)また はク エン 酸 ナト リウ ム(SC)を安 定剤 と してCu‑Pd ク ラス ター を調 製 し活 性炭(AC)に担 持す る事 で、 約4nmの金 属粒 子を 担体 上に 保持 す る 事が でき た。 また 触媒 解析 によ りCu‑Pdクラスター/ACは、Cu‑Pdバイメタル粒子で構 成されている事が分かった。この触媒は、N03―還元で中間生成物のN02−が高選択的に生成 する特異な触媒作用を 発揮し、この事はN03―からN02―への活性点がCu‑Pdバイメタルサ イトである事を示した 。一方、通常の含浸法で調製したCu‑Pd/ACによるN03亠還元では、

Cu‑PdクラスターノACと異なり、低いN02一選択性を示す事が分かった。触媒解析により通 常 の含 浸法で調製したCu‑Pd/ACにはCuーPdバイメタル 粒子の他に、Pd粒子の存在も示さ れた事から、PdによるN02−の還元が示唆された。Cu‑Pdクラスター/AC調製時に使用する 安定剤の種類や、Cu‑Pdの比、及びクラスター担持 量による触媒特性への検討から、どの 調 製条 件においてもCu‑Pdクラスターの特性である高いN02一選択性を示す事を明らかに し た。 特に 、SC安定 化Cu‑Pdク ラス ター が優 れたN03一 還元 活性を与えたので、以後SC 安定化Cu‑Pdクラスターを中心に触媒作用の解明を行った。

  Cu‑Pdクラスター触媒によるN03一還元でN02−を与える特性を詳しく検討するため、N02一 還元特性を調べた。Cu‑Pdクラスター触媒によるN02一還元は、アルカリ条件では進行しな か った が、 中性 条件 で速 やか に還 元され、N2と亜酸化窒素(N20)を与えた。これらの結 果から、反応特性への水酸化物イオン(OH―)の関与を推測し、N03−、N02一還元を広いpH で系統的に検討した。 速度論からN03一還元速度はどのpHでも低いN03―濃度依存性を示す が、N02―還元速度はアルカリ条件で高いN02ー濃度依存性を示す事が分かった。N03―、N02― 還元速度への濃度依存 性の違いから、活性点へのN03―吸着はOHーによって阻害されず、

N02― 吸着はOH―によって 阻害される事が示唆された。以上よりCu‑Pdクラスター触媒の

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N03一還元でN02―を与える特性は、N03―、N02−およびOH−の競争吸着から、N03―は活性点 に吸着し還元 され、生成したN02−は吸着せず還元されないために現れると理解できた。こ れを利用し、 強アルカリ性においてN03一 還元を行う事で、より高選択的にN02−を得る事 ができた。

  次に、明ら かになったCu‑Pdクラスター の触媒作用の、N03―の還元無害化への適応を検 討した。アル カリ条件でのN03一還元でN02―を生成し、中性条件でのN02一還元でN2とN20 を生成する事に注目し、N03−を還元する前段(アルカリ条件)と、N02−を還元する後段(中 性条件)を組 み合わせた、二段法の構築を試みた。N03―転化率と生成物選択性の経時変化 の検討から、 前段でN03−がN02―と一部NH3に還元され、後段でN02―が完全に還元されて N2、N20及ぴNH3になる事が確認でき、実際に二段法でN03―を還元できる事が分かった。

また、後段に おけるNH3選択性は、N03−を一段で還元した場合のNH3選択性より低く、二 段 法が 優れ たN03一還元法である 事が明らかになった。さらにNH3副生を抑えるために、

前 段で もNH3が生 成し てい る事 に注 目し、前段でのN03一転化率を下げてNH3選択性を低 く した とこ ろ、後段でのNH3選択 性はむしろ高くなる事が分かった。Cu‑Pdクラスター触 媒は中性条件 でもN03一還元活性がある事から、前段で未反応のN03−が後段で還元されNH3 選択性が上がったと推測した。そこで、N02一還元活性はあるが、N03一還元活性が無い触媒 が後段に有効 であると考え、Pd触媒に注目し触媒探索を行った。その 結果としてPd/p‑ゼ オライトがN02一還元で優れた選択性を示す事が明らかになった。またPd/p‑ゼオライトは、

N03一混合系におけるN02←還元で、N03一還元活性を示さず優れた選択性を維持した事から、

この触媒ではN03―との相互作用がほとん ど無い事が分かった。そこで、Pd/p‑ゼオライト を後段に用い て二段法還元を行ったところ、推測通り前段でのN03一転化率を下げると後段 で のNH3選択 性が 低く なり 、NH3副生 を飲 料水 目標 値の0.5 ppm以下に迫る0.6 ppmに抑 える事ができ た。これにより、飲料水処理にCu‑Pdクラスター触媒を適応できる可能性が 示された。

  以上、本研 究では、Cu‑Pdバイメタル粒 子で構成されたCu‑Pdクラスター触媒を調製し、

N03−をN02一選択的に還元する触媒を開拓した。また、N03―還元反応におけるN03―からN02− へのステップ に関する重要な知見を得る事ができた。さらに、この触媒特性を利用した二 段法を用いる 事により、N03ー汚染水浄化法の実用化のぺースをさらに速める事ができると 期待される。

1622 ‑

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授   奥 教 授   嶋 教 授   田 助 教 授  廣

原敏夫 津克明 中俊逸 川    淳

学 位 論 文 題 名

水中硝酸イオン還元無害化のための Cu − Pd ナノクラスター触媒の設計

    本 研 究 で は 、硝 酸イ オン(N03―) によ り汚 染さ れた 地下 水の 浄化の ため 、 N03ー を 還 元 無害 化 で き る 固 体 触 媒 法 の 開 発 を 目的 とし てい る。 具体的 には 、 構 造 が 明 確 なCu‑Pdク ラ ス タ ー に 注 目 し 、 そ の 触 媒 作 用 の 解 明 を 行 い 、 望 ま   し く な い ア ン モ ニ ア(NH3)の 副 生 を 抑 制 し つ つN03― を 還 元 無 害 化 で き る 触 媒 法の 実現 を目 指し てい る。

    触 媒 解 析 に よ りCu‑Pdク ラ ス タ ー 触 媒 が 、Cu‑Pdバ イ メ タ ル 粒 子 で 構 成 さ れ て い る 事 を 示 し た 。 こ の 触 媒 が 、N03― 還 元 で 中 間 生 成 物 の 亜 硝 酸 イ オ ン   (N02− ) を 高 選択 的に 生成 する 特異 な触 媒作 用を 発揮 する 事を 見出し 、こ の

. 事 か らN03―か らN02― へ の 活 性 点 がCu‑Pdバ イメ タル サイ トで あると 結論 し   た。 引き 続くN02― 還元 はpH制御 で中 性と する 事に よって 、速 やかに進行し、

  ま た 高 選 択 的 に無 害化 でき る事 を見 出し た。 さら にN03―、N02一還元 を広 い pHで 系 統 的 に 検 討 し 、 こ れ ら の 反 応 特 性 はN03− 、N02― お よ び 水 酸 化 物 イ オ   ン(OH― ) の競 争 吸着 で理 解で きる 事を示 した 。以 上の 知見 をも とに 、N03―   を還 元す る前 段( アル カリ条 件) と、N02−を 還元 する後 段( 中性条件)を組 み 合 わ せ た 、 二 段 法 の 構 築 を 試 み た 。 前 段 にCu‑Pdク ラ ス タ ー 触 媒 を 用 い 、 後 段 のN02→ 還元 に 有 効 なPdモ ノ メ タ ル 触 媒 を 探 索 し た 。 そ の 結 果 、Pd/f3 ‑ ゼ オ ラ イ ト が 優 れ た 選 択 性 を 示 す 事 を 明 らか に し た 。 こ れ ら の 触 媒 か ら な る 二 段 法 に よ っ て 、NH3副 生 を 飲 料 水 目 標 値 の0.5 ppm以 下 に 迫 る0.6ppmに 抑 える 事が でき た。

    以 上 、 本 研 究 は 、Cu‑Pdバ イ メ タ ル 粒 子 で 構 成 さ れ たCu‑Pdク ラ ス タ ー 触 媒 のN03ー 還 元特 性 を 示 し た も の で あ る 。 さ ら に、 この 触媒 によ る二段 法は 、 N03― 汚 染 水 浄化 法 と し て 期 待 さ れ る 。 審 査 員 一同 は、 これ らの 成果を 高く 評 価 し 、 ま た 研 究 者 と し て 誠 実 か つ 熱 心 で あり 、 大 学 院 博 士 課 程 に お け る 研 鑽 や 修 得 単 位 な ど も あ わ せ 、 申 請 者 が 博 士 (地 球 環 境 科 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 充分 な資 格を 有す るも のと判 定し た。

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参照

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