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経営アーキテクチャー構築に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 橋 本 忠 夫

学 位 論 文 題 名

エ コ ロ ジ ス テ イ ク ス の

経営アーキテクチャー構築に関する研究 学位論文内容の要旨

  

戦後の日本経済の復興とその後の高度成長を支えた原動カは製造業にある、

ということは国内外を問わず広く認められている。製造とは原材料を調達し、

工場 で付 加価 値を付 け、 顧客 に届 けることである。もしその商品が消費財で あれ ば、 直接 の顧客 だけ でな く、 最終消費者に届くまでの全プロセスに関心 を持 ち続 け、 商品開 発設 計時 に想 定した使用方法が浸透するまで、あらゆる 情報提供を続けることである。

  

環境経営が避けて通れない今日、持続的発展が地球的関心に高まり、ロジス ティクスはなお一層重要な経営課題となりつっある。とくに従来のロジスティ クスに「環境」を、利益や品質とまったく対等の重みで加えた「エコロジステ イクス」のコンセプトを明確にし、周知させ、ビジネス界でそのスキル向上を 努カすべき時代となった。エコロジスティクスとは、エコロジーとロジスティ クスというニつの概念を単純に足しものではなく、それらを包含した新しいコ ンセプトであり、本論文ではそのアーキテクチャーを構築したものである。本 論文の概要は以下の通りである。

  

1

章 で は 、 本 論 文 の 背 景 ・ 目 的 お よ び 内容 ・ 構 成 に つ い て ま と め た。

  

第2章で は、 日本 にお けるロ ジス ティ クス課題及び環境課題にっいて、食品 業 界を 実例にして述べた。っいで、「エコロジスティクス」のコンセプトとそ の必要性を、さらに「エコロジスティクス」をマネジメントしてゆくときの「経 営 アー キテ クチャ ー」 の意 義と フレー ムワ ーク につ いて述 べた 。経 営者は品 質 ・コ スト・売上・利益・環境等を対等の重みで、総合的に判断するエコロジ スティクス経営の重要´陸を明らかにした。

  

第3章で は、 オー プン システ ムで ある 環境マネジメントを含まない、すなわ ち 一企 業内のクローズドシステムとしてのロジスティクス業務の改善に韜いて

(2)

も、現状の可視化と共有化がいかに重要であるかを明確にした。すなわち、可 視化と共有化が実現できなければ、ロジスティクスという横串機能は有効に果 たすことはできないことを実例によって説明した。また可視化と共有化が企業 のビジネスロジスティクスにとってキーであるとき、消費者を含め、関係者の より多いエコロジスティクスにとっては、なお一層重要であることを示めした。

  

第4章では、設備投資を伴う意思決定問題を実例に、環境負荷は減少しても、

そ のこ とに 対する消費者の納得性が必要なケースを取り上げ、今後の「エコロ ジ ステ ィク ス」に対する方向性を示唆した。現在のミネラルウォータの充填方 法 は、 高温 環境により、微生物を死滅させるホットパック充填方式と、クリー ン ルー ム環 境下で微生物の侵入を防ぐ無菌充填方式が主カとなっている。耐熱 性

PET

ボト ルと 非耐 熱性PETボト ルの環 境負 荷面 での差 異は 、科 学製 品の使 用 量 の差 であ るとい える 。非 耐熱 性PETが 耐熱性

PET

に比 して 約12.3% 軽量で あ り 、こ れに より製 造時 に消 費さ れるエ ネル ギー値、排出されるC02、NOx、SOx 値が少なくなることを示した。

  

5

章 では 、今後 の「 エコ ロジ スティ クス」の推進には消費者のサポートが 必須 である こと をふ まえ、

AHP

モ デルと 価格感度分析法による低公害車の購入 意識 調査を行った。低公害車の価格は普通車に比べて10〜20%ほど高くなって いる が、環境意識の高いグループはその負担をしても低公害車を購入する意思 のあることが確認された。さらに札幌と東京の消費者を比.べたところ、環境意 識の 高さは札幌が勝っているが、低公害車の支払い意志額は東京の消費者が高 額であることは明らかになった。

  

6

章 では 、エ コロ ジステ ィク スの経営アーキテクチャーの構築に関する具 体的方法を提案し、一企業における事例について述べた。「将来にわたって必要 なアウトプットを想定することは不可能に近い」ことと、「将来を見通したイン プットシステムの上手な設計・開発が、効果的・効率的経営実現のキー」という

2

つのメ ッセ ージ の間 には大 きな ジレンマが存在する。このジレンマのブレイ クス ルーを可能にしたのが「IT技術の進歩」と、「インプット中心のシステム 開発 」という設計思想のパラダイム変革である。環境は一企業ではマネジメン トできないので、企業活動のフェーズを合わせる必要がある。企業が、独自に、

自由 に、動くことを良しとする経済社会で、企業活動の環境面でのフェーズを 合わ せようとすれば、経営アーキテクチャーのフェーズを合わせるのがーつの 有 カ な 方 法で あ る 。 本 論 文 で は 、

5WIH

と重 点 モ デ ル の マト リック ス表 現が

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有効であることを提言した。

  

第7章では、本研究で得られた結論と、今後の課題と展望をまとめた。

1236

(4)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    佐 藤 馨 一 副 査    教 授    加賀 屋 誠一 副 査    教 授    森 吉 昭 博

学 位 論 文 題 名

エ コ ロ ジ ス テ イ ク ス の

経 営 ア ー キ テ ク チ ャ ー 構 築 に 関 す る 研 究

  今 日、 地 球 環 境の 持 続 的発 展に関心 が集ま っており 、ロジ スティク スにおい ても環 境は 重 要 な 経営 課 題 と なり つ っ ある。と くに「 利益と品 質」に「 環境」 を加えた 「エコ ロジス テ ィクス 」は、エ コロジ ーとロジ スティク スとい うニつの 概念を 単純に足しものではなく、

そ れ ら を包 含 し た 新し い コ ンセプト である 。産業界 において もその コンセプ トを広 く周知 さ せ 、IT技 術 を 駆使 し た スキ ルの向上 を図る 必要があ り、本 論文はこ のための アーキ テチ ヤ ーを構 築したも のであ る。本論 文の概要 は以下 の通りで ある。

   1章 で は 、 本 論 文 の 背 景 ・ 目 的 お よ び 内 容 ・ 構 成 に つ い て ま と め た 。   2章 で は 、 日本 に お ける ロ ジ ステ ィ ク スの 課 題 およ び環 境問題に ついて食 品業界 を実 例 にとり まとめた 。次に 「エコロ ジスティ クス」 のコンセ プトと その必要性を述べ、「エコ ロ ジ ス ティ ク ス 」 をマ ネ ジ メントす るとき の「経営 アーキテ クチャ ー」のフ レーム ワーク に つ い て考 察 を 行 った 。 さ らに品質 .コス ト・売上 ・利益・ 環境を 対等の重 みで、 総合的 に 判 断 す る エ コ ロ ジ ス テ ィ ク ス が 今 後 の 経 営 に 不 可 欠 で あ る こ と を 示 し た 。   3章 で は 、 オー プ ン シス テ ム であ る 地 球環 境 を 含ま なぃ ロジステ ィクス、 すなわ ち企 業 内 の クロ ー ズ ド シス テ ム としての ロジス ティクス について 、デー タの可視 化と共 有化が い か に 重要 で あ る かを 詳 述 した。す なわち データの 可視化と 共有化 が実現で きなけ れば、

ロ ジ ス ティ ク ス の 横断 的 機 能は有効 に働か ないこと を実例に よって 説明した 。また データ の 可 視 化と 共 有 化 は企 業 の ビジネス ロジス ティクス において は当然 のことな がら、 消費者 や 地 球 環境 に 関 わ るエ コ ロ ジスティ クスに おいては キーとな るコン セプトで あるこ とを示 し た。

  4章 で は 、 設備 投 資 を伴 う 意 思決 定 問 題を 取 り 上げ 、企 業活動に よる環境 負荷を 減少 さ せ て も、 そ の こ とに 対 す る消費者 の理解 が不可欠 であるこ とを述 べ、今後 の「エ コロジ ス テ ィ クス 」 経 営 のあ り 方 を提示し た。現 在、ミネ ラルウォ ータの 充填方法 は、高 温環境     1237

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により微生物を死滅させるホットパック充填方式と、クリーンルーム環境下で微生物の侵 入 を防 ぐ無 菌充 填方式が主カとなっている。耐熱性PETボトルと非耐熱性PETボトルの 環境負荷面での差異は、科学製品の使用量の差として現れる。非耐熱性PETは耐熱性PET に比して約12.3%軽量であり、これにより製造時に消費されるエネルギー値や、排出され るC02、NOx、SOx値が少なくなっている。

  第5章では、「エコロジスティクス」の推進には消費者のサポートが必須であることをふ まえ、低公害車の購入意識をAHPモデルと価格感度分析法によって分析した。低公害車 の価格は普通車に比べて10〜20%ほど高くなっているが、環境意識の高いグループはその 負担をしても低公害車を購入する意向を有していた。さらに札幌と東京の消費者を比べた ところ、札幌の環境意識は東京に比べて高いが、低公害車の支払い意志額は東京より低く なっており、この差が平均所得の違いによるのか、意識と行動のギャップによるのかにつ いての課題を提示した。

  第6章では、エコロジスティクスの経営アーキテクチャー構築に関する具体的方法を提 案した。将来にわたって必要なアウトプットを想定することは不可能に近いこと、将来を 見通したインプットシステムの上手な設計・開発がキーになる、という2つの課題間には大 きなジレンマが存在する。このジレンマのブレイクスルーを可能にしたのがIT技術の進 歩と、インプット中心のシステム開発という設計思想のパラダイム変革である。地球環境 は一企業ではマネジメントできなぃため、企業活動においてフェーズを合わせる必要があ る。企業が独自に、自由に活動することを前提にした場合、経営アーキテクチャーにおい て フェ ーズ を合 わせるのが現実的な解決法である。本論文では5WIHと重点モデルのマ トリックス表現が効果的であることを示した。

  第7章では、本研究で得られた結論と、今後の課題と展望をまとめた。エコロジスティ クスが企業に定着するには、エコロジスティクスマネジャー(CELO)の組織内の位置づけ が 重要 であ り、 財政管理者(CFO)、運営管理者(COO)、情報管理者(CIO)と同等の職 責があることを結論とした。

  これを要するに、著者は、「利益と品質」に「環境」を加えた「エコロジスティクス」を 新しく提言し、インプット中心の「経営アーキテクチャー」を新しく構築して実際の企業 活動に導入し、地球環境負荷の低減を図り、大幅なコストダウンを実現したものであり、

今後の企業組織の中にエコロジスティクスマネジャー(CELO)を設けるべきことを提言し たものであり、都市計画学、環境工学、経営工学に貢献するところ大なるものがある。

  よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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