一歩前進・グリーンテクノロジー
著者 梶谷 剛
一歩前進・グリーンテクノロジー
梶谷 剛
工学研究科応用物理学専攻
.12/03/09
2011.3.11 の大震災を経験して
l
目 次
l
1
.
過去のエネルギー危機
l
2
.
可能性に富んだ将来像
オイル危機
l
1973年 イスラエルとエジプトとの戦争
に対する先進国の態度に反発して
OPEC
諸国が石油輸出を規制
l
1979年 イラン革命による受給逼迫
l
1990年 湾岸戦争による石油輸出規制に
よって原油価格高騰
l
2000-‐2001年 アメリカのエンロン社の
不正市場操作・倒産により
、
アメリカ
西部の電力が逼迫し
、
世界中の石油価
2.可能性に富んだ将来像
グリーンテクノロジーへ
l
化石燃料の枯渇
、
CO
2による地球温暖化
、
およ
び極地方のオゾンホールの拡大は地球全体の環
境に対する喫緊の課題です
。
とりわけ
、
日本
は工業的な大量生産によって多くの国民が生活
していますが
、
それに見合う地下資源には恵ま
れておらず
、
今後複雑な国際情勢の中
、
どのよ
うに暮らして行くべきか暗中模索状態です
。
l
エネルギー問題は今回の原発事故以来
、
国民
的な課題になっています
。
l
Green Technologyは再生可能なエネルギーを作
り出し
、
大規模農業や大規模商業施設に頼るこ
となく
、
人々の生活を経済的にも文化的にも成
再生可能なエネルギー生産技術
水力・風力
l
最も実用的な再生可能エネルギー源は
水力発電であり
、
年間通じて変動が少
なく
、
かつ
、
揚水発電を考慮すれば
、
安全で大規模な蓄電も可能にする優れ
たものです
。
水量が豊かで
、
海運への
障害が少なく
、
かつ大水対策のための
閘門が余り必要のない河川からの発電
では
、
ダム建設は必ずしも必要がなく
、
ヨーロッパで行われているような低落
差発電が可能です
。
l
風力発電は日本海沿岸地方のように冬
季に強い西風が吹く地方では有利です
。
同様の気象条件にある北ヨーロッパ北
海沿岸地方の風力発電の活況を見れば
、
その有利さは理解できます
。
和歌山県船津ダム 2.5MW発電 右図は九州大学グループの風レンズ 風車を使った洋上風力発電ユニット .12/03/09 77
現在の風力発電
洋上型風車一台当たり、1〜3MWの電気出力がある
各発電施設の出力が福島原発一号機300MW程度である。 最も風力発電量の多い国はイギリスで、1.3GWで、ヨー
地熱
l地熱に代表される地学的エネルギー
(
Geophysical Energy)利用は中米
、
ニュージーランド
、
フィリピンで盛
んであり
、
国全体の消費電力に対し
てフィリピンでは14%
、
ニュー
ジーランドで5%の電力量を賄って
います
。
日本の発電量
535MWは米国
(
2,534MW)の約1/5であり
、
イタリ
ア(
790MW)よりも少ない状況です
。
日本で地熱利用が進まない理由には
政策的なものと
、
地熱地帯が温泉街
に近く
、
反対が根強いことがありま
す
。
発電設備については
、
日本は先
進国で
、
各国の発電設備の大部分は
日本から輸出されたものです
。
By the 1980s it was believed that all of New Zealand's high
temperature geothermal
resources had been identified, a situation that few other
countries can claim even today. Of New Zealand's 129 identified geothermal areas, fourteen are in the 70-‐140ºC range, seven in the 140-‐220ºC range and fifteen in the >220ºC range.
太陽光・太陽熱
1kw/m
2
バイオマス
l 汚水などによるメタン発酵とバイオ石油生産が研究されていて、メタン発酵はすで に首都圏などで実用化されています。メタンガスは外部に販売される程は発生せず、 発酵タンクの加熱源に使われています。バイオ石油は植物性プランクトンによるも のですが、23℃前後の温度管理、養分管理、酸素量管理などが常に必要であり、今 の所、先行研究している米国でも大規模化には踏み出せないようです。バイオエタノール・藻類
山崎博:エネルギー研 究会(2008.11.04)
Cost:¥30/lブラジル、¥45/lアメリカ、 ¥70-‐80/l 日本
グリーンテクノロジー・水素
l
水素エネルギーは
Liと同様に二次エネル
ギーの主役であり
、
1974年から国家プロ
ジェクト(工業技術院
、
経産省資源エネ
ルギー庁)に取り上げています
。
l
1974-‐1993 サンシャイン計画
l
1993-‐2001 ニューサンシャイン計画
l
2003-‐ 水素安全利用等基盤技術開発
水素アクチュエータ280N-‐13cm(東大先端研) Ni水素電池水素貯蔵と放出
l
液化水素とガソリンの発熱量はリット
ル当たり
、
10MJ/34.6MJ
l
水素には資源的制約が全くない
l
製造方法
、
貯蔵方法と利用方法が問題
l
現在:電気分解
、
炭化水素の熱分解
l
運搬に
MgH
2
を利用すると
、
1kg当たり
38molなので
、
液化水素
1リットル(70g,
35mol)に相当する
。
ただし
、
水素を取
り出すためには
260
℃
が必要
水素吸蔵物質・
LaNi5/MmNi5
l
結晶系:
P6/mmm
a=5.0228,c=3.9826
Å
l La/Mm 0,0,0 l Ni 1/3, 2/3, 0 l Ni 2/3, 1/3, 0 l Ni ½, 0, ½ l Ni 0, ½, ½ l Ni ½, ½, ½ l H 1/2 , 0, 0 又は0.455, 0, 0.110 Green: La/Mm Grey: Ni Pink: H Ni-‐H電池反応
+電極:NiOOH + H2O + e-‐ = Ni(OH)2
-‐電極:MH + OH-‐ = M + H2O + e-‐
LaNi5H5におけるHの位置
l
LaNi5は最も利用
されている水素吸
蔵合金です
。
しか
し
、
水素がどうし
て簡単に吸蔵・放
出されるのか良く
分かっていません
。
l
水素原子は
Ni4La2
が作る八面体の中
央付近にあります
が
、
余り座りが良
くないようです
。
LaNi5H0.12の中性子散乱強度測定
Schonfeld et al.:PRB 50(1994) 853. による測定例. 100,120meVの ピークは3fサイトに水素が居るこ とを示す。
Metal hydride: ZrO0.4H0.1
Mukawa,Kajitani,Hirabayashi:
J.Less-‐Common Met. 103(1984) 19. Zrはhcp格子を作り、ZrOxはε-‐ Fe2N構造である。どこにHがあ るのか決めた。
水素燃料製造
l工業的に水素燃料を発生させる方法は
、
炭化水素(メ
タンなど)の「水蒸気改�質」
、
「部分燃焼」
、
それら
を同時に行う「自己熱改�質」です
。
l
半導体による水の光分解が魅力的です
。
水に半導体を
沈めて水素ガスと酸素ガスを同時に発生させる形式で
す
。
その場合
、
次の二つの化学反応がおきます
。
4H
++ 4e
-‐-‐> 2H
24OH
-‐+ 4h
+-‐> O2 + 2H
2O hは正孔
二つの反応のケミカルポテンシャル差が
1.23eVで
、
半導
体のバンドギャップの中にこれがないと
、
ガスが出ませ
ん
。
3.最近の研究成果と将来像
Thermoelectrics:熱電半導体
ZT=S2σT/κ:S;ゼーベック係数 σ:電気伝導率 κ;熱伝導率梶谷研の熱電半導体研究
Modulated Structure of the Thermoelectric Compound [Ca2CoO3]0.62CoO2
Y.Miyazaki, M.Onoda, T.Oku, M.Kikuchi, Y.Ishii, Y.Ono, Y.Morii and T.Kajitani
J.Phys.Soc. Jpn 71(2002) 491-‐497.
Crystal Structure, Electric and Magnetic Properties of Layered Cobaltite β-‐NaxCoO2
Y.Ono,R.Ishikawa,Y.Miyazaki,Y.Ishii,Y.Morii,T.Kajitani J.Solid State Chem. 166(2002) 177-‐181.
Preparation and Low-‐Temperature Thermoelectric Properties of the Composite Crystal
[Ca2(Co0.65Cu0.35)2O4]0.624CoO2
Y.Miyazaki, T.Miura, Y.Ono and T.Kajitani Jpn J.Appl.Phys. 41(2002) L849-‐L851.
熱電半導体の結晶構造:性能
l熱電半導体はp型半導体とn型半導体の対がないと、性能が発
揮できません。
l熱電半導体は、基本的にはバンドギャップの小さい、
Narrow-‐
gap型
(0.5eVより小さい)化合物半導体です。
l電気伝導性が高いヘビードープ型の利用形態です。
l
格子熱伝導率を低くしないと性能がでません。格子熱伝導率の
低さは
結晶構造の複雑さ
や非等方性とも通じるものです。
l
Phonon-‐glass/Electron-‐crystal状態が理想的だと言われています。
lSeebeck係数は電荷の運ぶエントロピーを直接反映するので、
Fermi面の
電荷の有効質量の大きい
ことが望まれます。
l
強相関電子系の酸化物熱電半導体もあります
が、電荷がスピン
のエントロピーも運ぶ場合に高い性能がでます
幾つかの例:所謂
Ca349
Si化合物系:
l
性能指数が高い
l
資源的に好ましい
l
p/n型の双方を作ることができる
l
比較的古くから知られている
l
例:
β-‐FeSi
2
(ZT
max
〜
0.1)
MnSi
1.74
(ZT
max
〜
0.85) p-‐type
MnSiγ(γ〜1.7)系
l
p-‐typeの半導体は自然ドープ状態でZT
max=0.8程度になるが
、
Mg
2
Si系
l
軽い点と資源的な問題が少ない点が特
徴です
。
Sbを少し加えると
、
性能が向�
上して
、
ZT
max
が
1.0を少し越えるように
なります
。
作り方も比較的簡単です
。
l
大変性能の良いn型半導体ですが
、
そ
れに見合うp型半導体が見いだせませ
んでしたが
、
この二年間の研究により
金鉱脈を探り当てたようです
p型熱電変換材料及びその製造方法、並びに、熱電変換素子および熱電変 換モジュール 出願番号:特願2010-‐261266 発明者:菊池将太、林慶、宮崎譲、梶谷剛 出願日:2010年11月24日 .12/03/09 3333A-‐Mg-‐Si系(A=Ca,Sr,Ba)
l