栄養疫学の基礎①
栄養疫学の基礎①
デザインと解析
デザインと解析
国立保健医療科学院
国立保健医療科学院
技術評価部
技術評価部
横山徹爾
横山徹爾
第3回日本栄養改善学会「実践栄養学研究集中セミナー」 2008.1.12.名古屋 最終版資料世の中にあふれる健康情報
世の中にあふれる健康情報
どれがどのくらい信用できるの???
どれがどのくらい信用できるの???
血清総コレステロ-ルが高いと虚血性心疾患に罹 血清総コレステロ-ルが高いと虚血性心疾患に罹 患する危険が高い 患する危険が高い 抗酸化ビタミンをたくさん摂ると、がんに罹患する危 抗酸化ビタミンをたくさん摂ると、がんに罹患する危 険が下がる 険が下がる 赤ワインに多く含まれるポリフェノールは動脈硬化 赤ワインに多く含まれるポリフェノールは動脈硬化 を予防する を予防する 辛いものを食べると食道がんに罹患しやすい 辛いものを食べると食道がんに罹患しやすい 減塩して血圧が下がると脳卒中に罹患する危険が 減塩して血圧が下がると脳卒中に罹患する危険が 下がる 下がる コーヒーを飲む人は肝がんに罹患しにくい コーヒーを飲む人は肝がんに罹患しにくい世の中にあふれる健康情報
世の中にあふれる健康情報
どれがどのくらい信用できるの???
どれがどのくらい信用できるの???
「信用できる」とは? 「信用できる」とは? – –偉い人が言った偉い人が言った – –新聞・テレビで報道された新聞・テレビで報道された ・・・ではなくて、 ・・・ではなくて、 – –証拠(科学的根拠)が十分にある証拠(科学的根拠)が十分にあることこと では、証拠とは何? では、証拠とは何? – –例:血清総コレステロールが高いと虚血性心疾患に罹患例:血清総コレステロールが高いと虚血性心疾患に罹患 する危険が高い する危険が高い ということは誰でも知っている ということは誰でも知っている では、その証拠は何だか知っていますか? では、その証拠は何だか知っていますか?証拠(科学的根拠)
証拠(科学的根拠)
メカニズムを追求しようとするもの メカニズムを追求しようとするもの – – コレステロ-ルが高いとなぜ虚血性心疾患に罹患しやすいのだろう?コレステロ-ルが高いとなぜ虚血性心疾患に罹患しやすいのだろう? – – 緑黄色野菜を多く食べるとなぜがんに罹患しにくいのだろう?緑黄色野菜を多く食べるとなぜがんに罹患しにくいのだろう? 動物実験 動物実験 試験管の中での(ヒトの細胞を使った)実験 試験管の中での(ヒトの細胞を使った)実験 ある現象が本当にヒトにおいて生じているかどうかを調べるもの ある現象が本当にヒトにおいて生じているかどうかを調べるもの – – コレステロ-ルが高いと虚血性心疾患になりやすいという現象が本当にコレステロ-ルが高いと虚血性心疾患になりやすいという現象が本当に 人間集団の中でおきているのだろうか? 人間集団の中でおきているのだろうか? – – 緑黄色野菜を多く食べるとがんに罹患しにくいという現象が本当に人間集緑黄色野菜を多く食べるとがんに罹患しにくいという現象が本当に人間集 団の中でおきているのだろうか? 団の中でおきているのだろうか? 疫学研究(観察研究) 疫学研究(観察研究) – – じゃあ、コレステロ-ルを下げたら虚血性心疾患になりにくくなるのだろうじゃあ、コレステロ-ルを下げたら虚血性心疾患になりにくくなるのだろう か? か? – – ビタミン剤を摂取したらがんが予防できるだろうか?ビタミン剤を摂取したらがんが予防できるだろうか? 疫学研究(介入研究) 疫学研究(介入研究)疫学的な研究論文の読み方
疫学的な研究論文の読み方
疫学研究の主な結果は原著論文(主に英語)と
疫学研究の主な結果は原著論文(主に英語)と
して発表される
して発表される
– –英語が苦手だと読めない?英語が苦手だと読めない? はい。でも、 はい。でも、疫学の原理と方法疫学の原理と方法を知っていれば辞書を引きを知っていれば辞書を引き ながら( ながら(時間を時間をかければ)読むことは可能。かければ)読むことは可能。 – –日本語論文ならば(誰でも)読める?日本語論文ならば(誰でも)読める? いいえ。 いいえ。疫学の原理と方法疫学の原理と方法を知らない人が100回読んでを知らない人が100回読んで も、正しく理解することは不可能。 も、正しく理解することは不可能。つまり、「疫学的な研究論文を読む」ためには
つまり、「疫学的な研究論文を読む」ためには
– –疫学の原理と方法を学ぶことが必須!疫学の原理と方法を学ぶことが必須!疫学
は
人間集団を対象
とし,病態すな
わち疾病の結果をみるのではなく,疾病の
原因を追究
する学問である。
脳卒中 心筋梗塞 がん 人間集団 原因? 脳卒中 心筋梗塞 がん 高血圧 高脂血症 喫煙 運動不足 肥満 過剰飲酒 これらの証拠
は? ・・・ 多くは疫学研究
の結果に基づく 食習慣原因追及の過程
原因追及の過程
-疫学のサイクル-
-疫学のサイクル-
第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
– –生態学的研究生態学的研究 – –横断研究横断研究第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
– –症例・対照研究症例・対照研究 – –コホート研究コホート研究第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
– –介入研究介入研究 仮説設定の糸口を得る 仮説を検証する 因果関係を決定する 証拠能力 低い 高い 講義の目標:各研究デザインの原理と解析方法を理解する第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
–
–横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 地域レベルの横断研究
地域レベルの横断研究
=生態学的研究
=生態学的研究(ecological study)(ecological study)
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case-control study)-control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い 高い
第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
人、場所、時、の変数について、疾病頻度を記述する 人、場所、時、の変数について、疾病頻度を記述する。どん。どん な人が、どんな場所で、どんな時に疾病になるのか、克明に な人が、どんな場所で、どんな時に疾病になるのか、克明に 記述することは、疫学的方法を用いて疾病の原因に接近す 記述することは、疫学的方法を用いて疾病の原因に接近す るための第1歩といえる。 るための第1歩といえる。 ある要因と疾病との因果に関する ある要因と疾病との因果に関する仮説を設定するための糸仮説を設定するための糸 口 口を得る。を得る。 – – 食塩摂取量が多い地域ほど、高血圧者の有病率が高い食塩摂取量が多い地域ほど、高血圧者の有病率が高い 食塩多量摂取が血圧上昇の原因なの 食塩多量摂取が血圧上昇の原因なのかもしれないかもしれない – – 野菜・果物摂取量が多い地域ほど、循環器疾患・がん罹患率が低い野菜・果物摂取量が多い地域ほど、循環器疾患・がん罹患率が低い 野菜・果物(に含まれる何らかの成分)が循環器疾患・がんを予防する 野菜・果物(に含まれる何らかの成分)が循環器疾患・がんを予防するかか もしれない もしれない – – 送電線の近くでは小児白血病の罹患率が高い送電線の近くでは小児白血病の罹患率が高い 電磁波が、白血病に罹患する危険を高める 電磁波が、白血病に罹患する危険を高めるかもしれないかもしれない (次のスライドで用語チェック)疾病頻度の表し方
疾病頻度の表し方
有病率 有病率(prevalence)(prevalence) – –ある一時点で疾病Aである者の割合(点有病率)ある一時点で疾病Aである者の割合(点有病率) 例:今年の国民健康・栄養調査では高血圧者が40%でした。 例:今年の国民健康・栄養調査では高血圧者が40%でした。 罹患率罹患率(incidence rate)(incidence rate) – –ある期間中(1年間など)に疾病Aに罹患する人の割合ある期間中(1年間など)に疾病Aに罹患する人の割合 例:地域がん登録によると、今年の肺がん罹患率は人口10万対 例:地域がん登録によると、今年の肺がん罹患率は人口10万対 30でした。 30でした。 死亡率
死亡率(mortality rate, death rate)(mortality rate, death rate) – –ある期間中(1年間など)に疾病Aで死亡する人の割合ある期間中(1年間など)に疾病Aで死亡する人の割合 例:人口動態統計によると、今年の脳卒中死亡率は人口10万人 例:人口動態統計によると、今年の脳卒中死亡率は人口10万人 対100でした。 対100でした。 ※Morbidity rateという言葉が登場することがあり、罹患率を指すことが多いが、使 い方があいまいなので、本来は使うべきではない用語。
第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
概念図 概念図 個人の血圧 (地域の高血圧 有病率)など 現在 食塩摂取量 比較 時間軸 どちらが原因か 分からない(1)横断研究(生態学的研究を含む)
(地域間で異なる要因は 他にもいろいろある)(人口動態統計) 田中平三著 疫学入門演習 南山堂 フレンチ・パラドックスは 生態学的研究から出てきた話 1人あたり乳脂肪摂取が多い、肉消費も 多い、しかし虚血性心疾患死亡率は低い
S.Renaud et al.:The Lancet,339,1523(1992)
因果関係の逆転に注意! 値は年齢調整最小二乗平均と標準誤差 横断研究による血圧と肥満度・食塩摂取量の関係(40歳以上女性1347名) 110 115 120 125 130 135 140 Q1 Q2 Q3 Q4 肥満度(BMI)の四分位 収縮期血 圧(mm Hg) P<0.001 for trend 110 115 120 125 130 135 140 Q1 Q2 Q3 Q4 食塩摂取量の四分位 収縮 期血圧(m m H g) P=0.005 for trend
個人レベルの横断研究の例
個人レベルの横断研究の例
飲酒量が多い人ほど血圧が高い 飲酒量が多い人ほど血圧が高い 肥満度が高い人ほど中性脂肪が高い 肥満度が高い人ほど中性脂肪が高い – – 相関、回帰分析相関、回帰分析 運動習慣がある人はHDLコレステロールが高い 運動習慣がある人はHDLコレステロールが高い 喫煙者は血中ビタミンC濃度が低い 喫煙者は血中ビタミンC濃度が低い 脳卒中患者は血圧が高い 脳卒中患者は血圧が高い – – 平均値の差の検定平均値の差の検定 肺がん患者は喫煙率が低い 肺がん患者は喫煙率が低い – – 割合の差の検定割合の差の検定横断研究でよく使われる解析方法1
横断研究でよく使われる解析方法1
平均値を群間で比較する 平均値を群間で比較する – – 平均値と標準誤差(や標準偏差)を群毎に計算して、平均値と標準誤差(や標準偏差)を群毎に計算して、 tt検定(2群の差、正規分布)、検定(2群の差、正規分布)、MannMann--Whitney UWhitney U検定(非正規分布)検定(非正規分布) 分散分析(3群以上の差)、
分散分析(3群以上の差)、KruskallKruskall--WallisWallis検定(非正規分布)検定(非正規分布) 共分散分析(交絡変数で調整して2群以上の差) 共分散分析(交絡変数で調整して2群以上の差) 割合を群間で比較する 割合を群間で比較する – – 割合(%)を群毎に計算して、割合(%)を群毎に計算して、 χ χ22検定(2検定(2××3以上のクロス表)3以上のクロス表) Fisher Fisherの正確な検定(2の正確な検定(2××2表、小標本)2表、小標本) Mantel
Mantel--HaenszelHaenszel検定(交絡変数で調整したクロス表)検定(交絡変数で調整したクロス表) 拡張 拡張MantelMantel検定(2検定(2××3以上のクロス表で順序尺度の場合)3以上のクロス表で順序尺度の場合) 多重ロジスティックモデル(多変量解析) 多重ロジスティックモデル(多変量解析) 統計
医学
医学
データの種類
データの種類
計量 計量データ:量的に測定できる連続的な測定値データ:量的に測定できる連続的な測定値 – –連続データ連続データ (例)身長、体重、血圧、血清総コレステロー(例)身長、体重、血圧、血清総コレステロー ル ル、栄養素摂取量、栄養素摂取量 – –離散データ離散データ (例)(例)うう歯の本数歯の本数 計数 計数データ:データ:カテゴリー型のものカテゴリー型のもの – –2値2値 (例)性別の(例)性別の““男男””とと““女女””、既往歴の、既往歴の““有り有り””とと““なしなし”” – –カテゴリーが3つ以上カテゴリーが3つ以上 順序尺度順序尺度ordinal scaleordinal scale:順序関係はあるが絶対量としての意味:順序関係はあるが絶対量としての意味 はない測定値。 はない測定値。 – –(例)(例)濃い味付けが好きですか:濃い味付けが好きですか: とても好き、好き、ふつう、嫌い、ととても好き、好き、ふつう、嫌い、と ても嫌い ても嫌い 名義尺度
名義尺度nominal scalenominal scale:順序関係がない分類のための変数。:順序関係がない分類のための変数。
– –(例)(例)喫煙の喫煙の““現喫煙現喫煙””,,““非喫煙非喫煙””,,““やめたやめた””, , などなど.. ポイント: 一見同じ質的データに見えても、順序尺度で量反応関 係に注目する場合は、用いる統計手法が違う 基本 統計
データを整理する
データを整理する
いきなり平均・標準偏差を計算しない!
いきなり平均・標準偏差を計算しない!
– –まず、まず、ヒストグラムヒストグラム等等を描いて分布を視覚的に確を描いて分布を視覚的に確 認 認 – –その後、適切なその後、適切な要約統計量要約統計量を決めて分布の特徴を決めて分布の特徴 を表現する を表現するいきなり検定しない!
いきなり検定しない!
– –まず、まず、図や要約統計量で比較図や要約統計量で比較して特徴を確認して特徴を確認 – –その後、適切な方法で検定その後、適切な方法で検定 統計分布型を確認
分布型を確認
統計学的方法 統計学的方法のうち、よく使うのうち、よく使うパラメトリックな方法パラメトリックな方法(t検定など)で(t検定など)では、左は、左 右対称な分布( 右対称な分布(正規分布正規分布)を前提としている)を前提としているものが多い。ものが多い。 従って、可能ならば、何らかの 従って、可能ならば、何らかの変換変換によって正規分布に近似させてからによって正規分布に近似させてから 処理すべきである。 処理すべきである。 –– 対数変換対数変換、平方根変換、、平方根変換、BoxBox--CoxCox(べき)変換など(べき)変換など 正規分布に近似できない場合、 正規分布に近似できない場合、ノンパラメトリックな方法ノンパラメトリックな方法を考慮(後述)。を考慮(後述)。 図3 対数正規分布 測定値 度 数 右に歪んでいる (対数正規分布) 測定値を対数変換(横軸 をlog[測定値]に)すると、 左右対称になる 図2 正規分布 測定値 度 数 左右対称でベル形 (正規分布) 統計
中性脂肪 (mg/dL) 0 20 40 60 80 100 120 34. 0-68. 3-102. 6-136. 9-171. 3-205. 6-239. 9-274. 2-308. 5-342. 8-377. 2-411. 5-445. 8-480. 1-514. 4-548. 7-583. 1-617. 4-651. 7-686. 0-度数 ( 人 ) log 中性脂肪 (log mg/dL) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 3. 5 -3. 7 -3. 8 -4. 0 -4. 2 -4. 3 -4. 5 -4. 6 -4. 8 -4. 9 -5. 1 -5. 3 -5. 4 -5. 6 -5. 7 -5. 9 -6. 1 -6. 2 -6. 4 -6. 5 -度数 ( 人 )
対数正規分布の典型例
対数正規分布の典型例
– –中性脂肪、ビタミン中性脂肪、ビタミンAA摂取量など摂取量など正規分布の典型例
正規分布の典型例
– –身長、体重、総エネルギー・主栄養素摂取量など身長、体重、総エネルギー・主栄養素摂取量など医学データは、少し右裾が長いことが多い
医学データは、少し右裾が長いことが多い
対数 変換 統計代表値(中心位置の指標)
代表値(中心位置の指標)
平均値・・・左右対称な場合に有用
平均値・・・左右対称な場合に有用
中央値・・・非対称等、歪んだ分布の場合
中央値・・・非対称等、歪んだ分布の場合
幾 何 平 均 最 頻 値 歪んだ分布 (対数正規分布など) 中央値 平 均 値 図4 分布型と代表値 平 均 値 中 央 値 最 頻 値 左右対称の分布 (正規分布など) 統計代表値(中心位置の指標)
代表値(中心位置の指標)
と
と
散布度(バラツキ
散布度(バラツキ
の指標)
の指標)
として、
として、
– –「「平均と標準偏差」平均と標準偏差」 – –「「中央値と四分偏差」中央値と四分偏差」 の組合せがよく用いられる。 の組合せがよく用いられる。 図5 標準偏差はバラツキの指標 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 測定値 度数 平均=100 標準偏差=20 平均=100 標準偏差=40 平均±1標準偏差 (全体の68%) 平均±2標準偏差 (全体の95%) 箱ヒゲ図 上側 隣接値 75%点 中央値 25%点 下側 隣接値 統計 血清総コレステロール (mg/dL) 0 10 20 30 40 50 60 11 3. 0-12 4. 6-13 6. 3-14 7. 9-15 9. 5-17 1. 2-18 2. 8-19 4. 4-20 6. 1-21 7. 7-22 9. 3-24 0. 9-25 2. 6-26 4. 2-27 5. 8-28 7. 5-29 9. 1-31 0. 7-32 2. 4-33 4. 0-度数 ( 人 ) 平均193, 標準偏差20 (mg/dL) 平均193, 標準誤差3 (mg/dL) 血清総コレステロール (mg/dL) 標準偏差は、データのばらつき 標準誤差は、標本平均の確からしさ どちらを使うかは、何を言いたいかによる どちらを示したか、必ず明記する標準偏差と標準誤差を混同しない
標準偏差と標準誤差を混同しない
統計ところで、検定って何?
ところで、検定って何?
検定とは
検定とは
– –観測された差(や関連)が観測された差(や関連)が偶然によるものか否か偶然によるものか否か を判断 を判断する方法する方法検定の論法
検定の論法
– –「真実(母集団)は差(や関連)がない」と仮定する「真実(母集団)は差(や関連)がない」と仮定する (= (=帰無仮説帰無仮説HH00)) – –帰無仮説が正しい場合に、標本において帰無仮説が正しい場合に、標本において観測され観測され た差(や関連)が生じる確率( た差(や関連)が生じる確率(P値P値))を計算するを計算する – –その確率が十分に小さければ(例えばその確率が十分に小さければ(例えばP<0.05P<0.05)、)、 帰無仮説が正しい場合に偶然では起こりにくいこ 帰無仮説が正しい場合に偶然では起こりにくいこ とが起きたということなので、帰無仮説を棄却して とが起きたということなので、帰無仮説を棄却して 「真実は差(や関連)がある」(= 「真実は差(や関連)がある」(=対立仮説対立仮説HH11)と)と 判断する。(一般に、「有意差がある」という) 判断する。(一般に、「有意差がある」という) 統計母集団
血圧未知母集団
血圧未知 肥満者 正常体重者 標本20例 平均=130mmHg 標本30例 平均=120mmHg 帰無仮説(肥満と正常体重で母集団の血圧の平均は同じ)が正しい場 合に標本平均に10mmHgの差が生じる確率は? → t検定で1%(P=0.01)と計算された。 → 帰無仮説が正しければめったに生じない現象がおきたといえる。従っ て、たぶん帰無仮説は正しくないのだろう。 → 対立仮説(肥満と正常体重で母集団の血圧の平均は異なる)を採用。 統計 差がある 差がない(あると はいえない) 差がある ○ 第2種の過誤(βエラー) 差がない 第1種の過誤(αエラー) ○ 真 実 判断(検定結果)検定における2種類の判断ミス
検定における2種類の判断ミス
検定は万能ではなく、
検定は万能ではなく、
しばしば
しばしば
誤った判断に
誤った判断に
陥ることがある。
陥ることがある。
P値は、第1種の過誤が生 じる確率。判断の基準とす る確率を有意水準という。 第2種の過誤が 生じない確率の ことを検出力 (パワー)という 一般に、標本数が小さいほど 検出力も小さい=第2種の過 誤が生じやすい →例数設計の必要性 統計“有意差なし”
“有意差なし”
は“差がない”
は
“差がない”
ことを
ことを
積極的に示したわけではない!
積極的に示したわけではない!
例1 例1 – – 肥満者と正常体重者肥満者と正常体重者10人ずつ10人ずつの血圧を測った。平均値の血圧を測った。平均値 の差は の差は10mmHg10mmHgで、で、有意差はなかった有意差はなかった。。 – – 肥満者と正常体重者肥満者と正常体重者100人ずつ100人ずつの血圧を測った。平均の血圧を測った。平均 値の差は 値の差は10mmHg10mmHgで、で、有意差があった有意差があった。。 「差がない」ことを証明するためには、ケチって小標 「差がない」ことを証明するためには、ケチって小標 本にすればいい???(そんな馬鹿な!) 本にすればいい???(そんな馬鹿な!) 統計横断研究でよく使われる解析方法2
横断研究でよく使われる解析方法2
相関と回帰
相関と回帰
相関係数
相関係数
– –--11~~+1+1の値の値をとり、2変数のをとり、2変数の直線的な関連の強さ直線的な関連の強さ を表す。 を表す。 – –検定も行う(帰無仮説:母相関係数検定も行う(帰無仮説:母相関係数=0=0)) 正相関 -3 3 -3 3 測定値A 測 定 値 B 負相関 -3 3 -3 3 測定値A 測 定 値 B 無相関 -3 3 -3 3 測定値A 測 定 値 B 図7 正相関と負相関 統計相関と回帰(続き)
相関と回帰(続き)
相関係数の検定(帰無仮説: 相関係数の検定(帰無仮説: 母相関係数 母相関係数=0=0)) 回帰係数の検定(帰無仮説: 回帰係数の検定(帰無仮説: 母回帰係数 母回帰係数=0=0)) 両者の結果は一致する。 両者の結果は一致する。 図8 回帰直線 -3 3 -3 3 測定値X (独立変数) 測 定 値 Y ( 従 属 変 数 ) α y=βx+α この距離2 の合計が最小になるように 直線を決める(最小二乗法)回帰直線
回帰直線
– –2つの連続量の関係を、2つの連続量の関係を、 y= y=ββx+x+ααの形の1次の形の1次 式で表したもの。 式で表したもの。回帰係数
回帰係数
β
β
– –相関係数と違い、相関係数と違い、単位単位 がある があるので、様々な値ので、様々な値 をとる。独立変数が1 をとる。独立変数が1 増加した時の、従属変 増加した時の、従属変 数の増加量の期待値 数の増加量の期待値 を表す。 を表す。 統計第1段階(記述疫学)のポイント
第1段階(記述疫学)のポイント
生態学的研究
生態学的研究
と、
と、
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
。
。
比較的容易
比較的容易
にできる。
にできる。
原因と結果の
原因と結果の
時間的順序関係を考慮してい
時間的順序関係を考慮してい
ない
ない
。
。
因果関係を証明する
因果関係を証明する
証拠能力は乏しい(最も
証拠能力は乏しい(最も
低い)
低い)
。
。
ある要因と疾病との因果に関する
ある要因と疾病との因果に関する
仮説を設
仮説を設
定するための糸口
定するための糸口
を得る。
を得る。
因果関係があると結論してはいけない第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
––横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 地域レベルの横断研究
地域レベルの横断研究
=生態学的研究
=生態学的研究(ecological study)(ecological study) 個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case--control study)control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
原則的には
原則的には
コホート研究(前向き研究)
コホート研究(前向き研究)
によっ
によっ
て、まずある事象(要因)が起こり、これに続
て、まずある事象(要因)が起こり、これに続
いて他の事象(疾病)が起こることを記述する。
いて他の事象(疾病)が起こることを記述する。
疫学的仮説を統計学的に検定して、ある要因
疫学的仮説を統計学的に検定して、ある要因
と疾病との
と疾病との
因果関係を推理
因果関係を推理
する。
する。
コホート研究が不可能な疾患(困難な場合)
コホート研究が不可能な疾患(困難な場合)
に関しては、
に関しては、
症例・対照研究(後向き研究)
症例・対照研究(後向き研究)
も
も
行われる。
行われる。
喫煙群 非喫煙群 現在 将来(例、10年後) 肺がん罹患率 肺がん罹患率 比較 (3)コホート研究 (コホート) 肺がん 患者 非患者 過去(患者は発病前) 現在 喫煙習慣 喫煙習慣 比較 (2)症例・対照研究 肺がん患者100名と健康な 非患者(対照)の発病前(過 去)の喫煙習慣を調べた。肺 がん患者では8割が喫煙者 だった。対照では4割が喫煙 者だった。喫煙が肺がんの 原因である可能性がある。 (対照=control) (case) 健康な人々1万人の現在の 喫煙状況を健診で調べた。 その後10年間追跡調査した ところ、喫煙群からの肺がん 罹患率は非喫煙群からの肺 がん罹患率の10倍だった。 喫煙が肺がんの原因である 可能性がある。関連の強さの指標
関連の強さの指標
(相対危険
(相対危険
: relative risk
: relative risk
)
)
「喫煙していると肺癌になりやすくなる」・・・この意味をよく考えて 「喫煙していると肺癌になりやすくなる」・・・この意味をよく考えて みたことがありますか? みたことがありますか? – –「喫煙していると「喫煙していると5倍5倍、肺癌になりやすくなる」というのと、、肺癌になりやすくなる」というのと、 – –「喫煙していると「喫煙していると10倍10倍、肺癌になりやすくなる」というのでは、、肺癌になりやすくなる」というのでは、 – –後者の方が、より喫煙と肺癌の関連が強いと考えられる。後者の方が、より喫煙と肺癌の関連が強いと考えられる。 この、「 この、「○○倍○○倍」の部分を「」の部分を「相対危険相対危険」と呼ぶ。」と呼ぶ。 – –ある要因Yによる疾病Xの発生の相対危険度が5である、といある要因Yによる疾病Xの発生の相対危険度が5である、とい うのは、要因Yに暴露されると、疾病Xになる確率が5倍に増 うのは、要因Yに暴露されると、疾病Xになる確率が5倍に増 加することを意味する。 加することを意味する。 相対危険=曝露群の罹患率 相対危険=曝露群の罹患率÷÷非曝露群の罹患率非曝露群の罹患率 – – 喫煙しなくても肺癌になる人がいるのも事実である。しかし、もし、あなたが喫煙して喫煙しなくても肺癌になる人がいるのも事実である。しかし、もし、あなたが喫煙して いなければ、将来、肺癌になる確率はかなり小さい。一方、喫煙していれば、将来、 いなければ、将来、肺癌になる確率はかなり小さい。一方、喫煙していれば、将来、 肺癌になる確率は、喫煙しなかった場合に比べて、5~10倍程度に大きなものとな 肺癌になる確率は、喫煙しなかった場合に比べて、5~10倍程度に大きなものとな る(相対危険が5~10程度)であろう。 る(相対危険が5~10程度)であろう。 食物繊維 多量摂取群 食物繊維 少量摂取群 現在 将来(例、10年後) 大腸がん罹患率 大腸がん罹患率 比較 (3)コホート研究 (コホート) 大腸がん 患者 非患者 過去(患者は発病前) 現在 食物繊維摂取量 食物繊維摂取量 比較 (2)症例・対照研究 症例・対照研究 コホート研究 方向 後向き 前向き 人数 100~数百症例+対照 数千~数十万人 費用・労力 比較的少ない 多大 要因曝露情報 信頼性やや低い 信頼性高い 疾病の診断 正確 やや不正確(診断基準が必要) 対照群の偏り 生じやすい - 稀な疾病 調査可能 調査不可能 相対危険 オッズ比で近似可能 直接計算可能
第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
–
–横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 地域レベルの横断研究
地域レベルの横断研究
=生態学的研究
=生態学的研究(ecological study)(ecological study)
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case-control study)-control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い 高い 大腸がん 患者 非患者 過去(患者は発病前) 現在 食物繊維摂取量 食物繊維摂取量 比較 (2)症例・対照研究
患者と非患者(対照)の過
患者と非患者(対照)の過
去の要因曝露状況を比較。
去の要因曝露状況を比較。
対照を集める際に偏りが
対照を集める際に偏りが
生じやすい。
生じやすい。
要因曝露は記憶に頼るの
要因曝露は記憶に頼るの
で偏る可能性あり。
で偏る可能性あり。
性年齢構成を合わせるた
性年齢構成を合わせるた
めに、マッチド・ペア法も用
めに、マッチド・ペア法も用
いられる。
いられる。
大腸がん 患者 非患者 過去(患者は発病前) 現在 食物繊維摂取量 食物繊維摂取量 比較 (2)症例・対照研究 症例・対照研究では、相対危険の近似値としてオッズ比を計算。 論文では主な結果を示す場面で、必ずオッズ比(とその信頼区間) が出てくる。 70 30 40 60 田中平三著 疫学入門演習 南山堂 自分で計算してみよう症例対照研究で必ず使う解析方法
症例対照研究で必ず使う解析方法
答え胃がん症例
対照
喫煙
はい
70
40
いいえ
30
60
計
100
100
オッズ比=(70/30)/(40/60)=3.5
オッズ比の
オッズ比の
検定と信頼区間
検定と信頼区間
オッズ比を計算するだけでなく、その信頼区間も同時 オッズ比を計算するだけでなく、その信頼区間も同時 に計算して示す。 に計算して示す。 – –例:オッズ比例:オッズ比(95%(95%信頼区間信頼区間)=)=0.29 (0.160.29 (0.16--0.51)0.51) 研究結果は少数標本に基づくものなので、偶然によって関連が見ら 研究結果は少数標本に基づくものなので、偶然によって関連が見ら れただけかもしれない。 れただけかもしれない。 そこで信頼区間を計算する。真の値 そこで信頼区間を計算する。真の値がが0.160.16--0.510.51の範囲にあるの範囲にある可能可能 性がとても高い 性がとても高いと解釈する。と解釈する。関連の強さはこの範囲のどこかだろう。関連の強さはこの範囲のどこかだろう。 これが例えば これが例えば0.10.1--1.21.2だとすると、真の値はだとすると、真の値は11かも知れないので、関連かも知れないので、関連 があるとは判断できない。 があるとは判断できない。 検定することもある。 検定することもある。 – –例:オッズ比例:オッズ比=0.29, =0.29, P=0.01P=0.01 本当は関連がない(母オッズ比 本当は関連がない(母オッズ比=1=1)なのに、)なのに、偶然によってこのオッズ偶然によってこのオッズ 比が得られる確率 比が得られる確率ががPP値。値。P=0.01P=0.01ならば、偶然によってこのように小ならば、偶然によってこのように小 さなオッズ比 さなオッズ比0.290.29が得られる確率はが得られる確率は1%1%である。従って偶然とは考えである。従って偶然とは考え にくいので、関連があると判断する。 にくいので、関連があると判断する。 これが例えば これが例えばP=0.2P=0.2だとすると、5回に1回は偶然で見られる関連とだとすると、5回に1回は偶然で見られる関連と いうことを意味する。だから偶然かも知れないので、 いうことを意味する。だから偶然かも知れないので、関連があるとは関連があるとは 判断できない 判断できない。。 統計交絡因子の調整
交絡因子の調整
大腸がん 患者 非患者 過去(患者は発病前) 現在 食物繊維摂取量 食物繊維摂取量 比較 (2)症例・対照研究 高齢者が多い 喫煙者が多い 高齢者が少ない 喫煙者が少ない 若年者、非喫煙者は食物繊維摂 取量が多いとすると、 こういう状 況では比 較しても解 釈不能。 この場合、年齢と喫煙のことを、大腸癌と食物繊維との関連における交絡因子という。 交絡因子の影響を取り除くことを、「調整する」という。例えば、「年齢と喫煙で調整した (adjusted for age and smoking)」などという。何で調整しているか要注意。 調整してオッズ比を計算するために、マッチングや、ロジスティック回帰(logistic regression)がよく用いられる。交絡変数(交絡因子)
交絡変数(交絡因子)
注目している2変数間の関連に影響を及ぼして、そ 注目している2変数間の関連に影響を及ぼして、そ の関連を の関連を見えにくくしたり、誤って見えにくくしたり、誤って見かけ上関連があ見かけ上関連があ るように見せてしまう るように見せてしまう、第3の変数。、第3の変数。 食塩摂取量 血圧 年齢 見かけの関連 正相関 正相関=交絡変数
直接的な関係第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
–
–横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 地域レベルの横断研究
地域レベルの横断研究
=生態学的研究
=生態学的研究(ecological study)(ecological study)
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case-control study)-control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い 高い 途中で脱落する人の情報も含めるために、人年法を 途中で脱落する人の情報も含めるために、人年法を 用いることが多い。 用いることが多い。 性・年齢等の 性・年齢等の交絡因子の調整交絡因子の調整を行って相対危険をを行って相対危険を 推定するために、直接法、間接法、 推定するために、直接法、間接法、CoxCox比例ハザー比例ハザー ドモデル ドモデルなどが用いられる。などが用いられる。 食物繊維 多量摂取群 食物繊維 少量摂取群 現在 将来(例、10年後) 大腸がん罹患率 大腸がん罹患率 比較 (3)コホート研究 (コホート) 健康な大勢の人々につい 健康な大勢の人々につい て、現在の要因曝露状況を て、現在の要因曝露状況を 比較(健診等)。 比較(健診等)。 その後、長年追跡して、要 その後、長年追跡して、要 因曝露状況別の罹患率や 因曝露状況別の罹患率や 死亡率を比較する。 死亡率を比較する。 コホート研究では、相 対危険を直接計算。 論文中で主な結果を示 すために必ず相対危険 (ハザード比など)が出 てくる。 食物繊維 多量摂取群 食物繊維 少量摂取群 現在 将来(例、10年後) 大腸がん罹患率 大腸がん罹患率 比較 (3)コホート研究 (コホート) 田中平三著 疫学入門演習 南山堂 1000 2000 30 20
コホート研究で必ず使う解析方法
コホート研究で必ず使う解析方法
疾病の罹患率は、多くの場合、「1年間に、人口1000人あたり2人」というような表 現をする。コホート研究で、1000人の集団を10年間追跡したところ、20人の患者 が発生したとすると、これは「10年間に、人口1000人あたり20人」と考えてよいの だろうか?(実は必ずしも正しくない!) 一般住民を10年も観察していれば、転居等によって、追跡不能となることもある し、注目している疾病にはならなかったものの、他の理由で死亡してしまう者もいる だろう。つまり、集団の人口が10年の間に大きく変化する可能性がある。罹患率を 計算するためには、分母である集団の人口が変わってしまっては困るので、前述の 「10年間に、人口1000人あたり20人」は、必ずしも適切な表現ではない。そこで、 以下のように罹患率を計算することがよく行われる。これを人時法(人年法)という。直接法による年齢調整死亡率で比較 基準集団 非喫煙群 喫煙群 年齢階級 人年※ 死亡率 期待死亡数 死亡率 期待死亡数 40歳代 700 5.0% 35 10.0% 70 50歳代 800 10.0% 80 20.0% 160 60歳以上 500 50.0% 250 70.0% 350 全年齢計 2000 365 580 年齢調整死亡率(直接法) 365÷2000=0.18 580÷2000=0.29 年齢調整相対危険 基準群(=1) 0.29÷0.18=1.59 ※非喫煙群+喫煙群の人年計とした 粗死亡率で比較 非喫煙群 喫煙群 年齢階級 人年 死亡数 死亡率 人年 死亡数 死亡率 40歳代 200 10 0.05 500 50 0.10 50歳代 600 60 0.10 200 40 0.20 60歳以上 400 200 0.50 100 70 0.70 全年齢計 1200 270 0.23 800 160 0.20 相対危険 基準(=1) 0.20÷0.23=0.89 統計 間接法・標準化死亡比(SMR) 基準集団 非喫煙群 喫煙群 年齢階級 死亡率※ 人年 期待死亡数 観測死亡数 人年 期待死亡数 観測死亡数 40歳代 0.086 200 17 10 500 43 50 50歳代 0.125 600 75 60 200 25 40 60歳以上 0.540 400 216 200 100 54 70 全年齢計 0.215 1200 308 270 800 122 160 標準化死亡比(SMR) 270÷308=0.877 (87.7) 160÷122=1.311 (131.1) 年齢調整相対危険 基準群(=1) 1.311÷0.877=1.50 ※非喫煙群+喫煙群計の死亡率とした 粗死亡率で比較 非喫煙群 喫煙群 年齢階級 人年 死亡数 死亡率 人年 死亡数 死亡率 40歳代 200 10 0.05 500 50 0.10 50歳代 600 60 0.10 200 40 0.20 60歳以上 400 200 0.50 100 70 0.70 全年齢計 1200 270 0.23 800 160 0.20 相対危険 基準(=1) 0.20÷0.23=0.89 統計
血中VC低値
脳卒中
脳卒中
発症率を比較する追 跡
1977年 2000年 新潟県新発田市 某地域血中VC高値
コホート研究の例
コホート研究の例
血清ビタミンC濃度と脳卒中罹患リスク
血清ビタミンC濃度と脳卒中罹患リスク
追跡期間中(20年間:1977-1997年)のイベント発生数追跡期間中(20年間:1977-1997年)のイベント発生数 男性 女性 男女計 全コホート対象者 880 1241 2121 脳卒中罹患 全脳卒中 91 105 196 脳梗塞 58 51 109 出血性脳卒中 18 36 54 脳出血 14 24 38 くも膜下出血 4 12 16 鑑別不能 15 18 33 死亡による観察打ち切り 295 285 580 市外転出による観察打ち切り 40 97 137 人数ベースライン時の血清ビタミンC濃度と ベースライン時の血清ビタミンC濃度と 追跡期間中の 追跡期間中の全脳卒中全脳卒中罹患リスク罹患リスク ※多変量調整:性、年齢、平均血圧、血清総コレステロール、BMI、心房細動の有無、降圧剤服用の有無、 虚血性心疾患既往歴の有無、身体活動度、喫煙の有無、飲酒量で調整。 性年齢調整 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 Q1 Q2 Q3 Q4 血清ビタミンC濃度(四分位) 相対危険 男女計(トレンドP=0.002) 男性(トレンドP=0.051) 女性(トレンドP=0.014) ※多変量調整 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 Q1 Q2 Q3 Q4 血清ビタミンC濃度(四分位) 相対危険 男女計(トレンドP=0.017) 男性(トレンドP=0.22) 女性(トレンドP=0.021)
第2段階(分析疫学)のポイント
第2段階(分析疫学)のポイント
症例・対照研究とコホート研究
症例・対照研究とコホート研究
。
。
原因と結果の
原因と結果の
時間的順序関係を考慮してい
時間的順序関係を考慮してい
る
る
。
。
因果関係を証明する
因果関係を証明する
証拠能力はやや高い
証拠能力はやや高い
(介入研究よりは低い)
(介入研究よりは低い)
。
。
ある要因と疾病との因果に関する
ある要因と疾病との因果に関する
仮説を検
仮説を検
定する
定する
。
。
相対危険が大きい
相対危険が大きい
ほど因果関係である可能
ほど因果関係である可能
性が高い。
性が高い。
まだ、因果関係があると結論することはできない第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
––横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 地域レベルの横断研究
地域レベルの横断研究
=生態学的研究
=生態学的研究(ecological study)(ecological study)
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case-control study)-control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い 高い
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
対象集団に積極的に干渉し、例えばビタミン
対象集団に積極的に干渉し、例えばビタミン
剤を投与し続けてみる。プラセボを投与した
剤を投与し続けてみる。プラセボを投与した
集団で肺癌の発生率が変わらず、ビタミン剤
集団で肺癌の発生率が変わらず、ビタミン剤
を投与した集団で肺癌の発生率が低下すれ
を投与した集団で肺癌の発生率が低下すれ
ば、因果関係が確固たるものになる(実際に
ば、因果関係が確固たるものになる(実際に
は複数の介入研究で確認される必要あり)。
は複数の介入研究で確認される必要あり)。
特に、「
特に、「
無作為化比較試験
無作為化比較試験
: randomized
: randomized
controlled trial
controlled trial
」の証拠能力は最も高い。
」の証拠能力は最も高い。
要因を保有している人 要因を保有している人 たちを たちを無作為に2群に無作為に2群に 分ける(無作為配置)。 分ける(無作為配置)。 一方に介入し、他方に 一方に介入し、他方に 介入せず、一定期間後 介入せず、一定期間後 の疾病罹患率を比較す の疾病罹患率を比較す る。 る。 交絡要因の影響は 交絡要因の影響はほとほと んど んど受けない受けない(偶然の(偶然の バラツキ程度の小さな バラツキ程度の小さな 影響が残る) 影響が残る)。。 強力な 降圧治療 通常の 血圧管理 現在 将来(例、5年後) 脳卒中罹患率 脳卒中罹患率 比較 (4)介入研究 図2 介入研究による疾病罹患率の変化の比較 観察期間 疾 病 の 累 積 罹 患 率 対照群 処理群 比較 罹患率ではなく、危険因子等の量的な変数の変化 罹患率ではなく、危険因子等の量的な変数の変化 を追う場合もある。 を追う場合もある。 介入研究による危険因子の変化の比較 120 125 130 135 140 145 150 155 1 2 3 4 5 6 7 観察期間(年) 収縮期血 圧( m m H g) 対照群 処理群 比較 A群 B群 血圧測定 血圧測定 比較(t検定など) 介入 非介入 並行法 A群 B群 血圧測定 血圧測定 比較(対応のあるt検定など) 介入 非介入 交叉法 介入 非介入 血圧測定 血圧測定 ウォッシュアウト期間 交叉法の方が、同じサンプ ルサイズで検出力が高い。 ただし、前半の影響が後半 に残る介入では不可能。 ウォッシュアウト期間
Multiple Risk Factor Intervention Trial (MRFIT)
Multiple Risk Factor Intervention Trial (MRFIT) 冠動脈心疾患の3大危険因子である高血圧、喫煙、高脂血症への介入効果 冠動脈心疾患の3大危険因子である高血圧、喫煙、高脂血症への介入効果 を評価するために米国で行われた大規模介入研究。 を評価するために米国で行われた大規模介入研究。 研究参加者:私企業や政府の従業員でスクリーニング検診を受けた約 研究参加者:私企業や政府の従業員でスクリーニング検診を受けた約3636万万 人の中から、血圧、喫煙本数、血清総コレステロール値がいずれも上位 人の中から、血圧、喫煙本数、血清総コレステロール値がいずれも上位10%10% に入る に入る3535~~5757歳の男性(拡張期血圧≧歳の男性(拡張期血圧≧90mmHg90mmHg、喫煙≧、喫煙≧3030本/日、血清本/日、血清 総コレステロ-ル≧ 総コレステロ-ル≧295mg/dl295mg/dl)。ただし、心疾患の既往がある者、心電図異)。ただし、心疾患の既往がある者、心電図異 常を示した者、糖尿病の者、体重が標準体重の 常を示した者、糖尿病の者、体重が標準体重の150%150%以上の者、血清総コレ以上の者、血清総コレ ステロール≧ ステロール≧350mg/dl350mg/dlまたは拡張期血圧≧または拡張期血圧≧115mmHg115mmHgの者(直ちに治療をの者(直ちに治療を 開始する必要があるため)、定住傾向のない者(追跡困難なため)は除外し 開始する必要があるため)、定住傾向のない者(追跡困難なため)は除外し た。最終的には、インフォームドコンセントを得られた た。最終的には、インフォームドコンセントを得られた12,86612,866名が研究に参加名が研究に参加 した。 した。 無作為割り付け:研究参加者は介入群(
無作為割り付け:研究参加者は介入群(special intervention: SIspecial intervention: SI群)と対照群)と対照 群(
群(usual care: UCusual care: UC群)に、無作為に割り付けられた。群)に、無作為に割り付けられた。SISI群は4カ月に1度、群は4カ月に1度、 降圧治療、禁煙カウンセリング、高脂血症改善のための食事指導からなる強 降圧治療、禁煙カウンセリング、高脂血症改善のための食事指導からなる強 力な是正プログラムを受けた。 力な是正プログラムを受けた。UCUC群は、年に1度の面接と検査を受けた。群は、年に1度の面接と検査を受けた。 結果:平均7年の追跡期間中、 結果:平均7年の追跡期間中、SISI群と群とUCUC群の両方で3つの危険因子の改善群の両方で3つの危険因子の改善 が認められたが、その改善の程度は が認められたが、その改善の程度はSISI群の方が大きかった。冠動脈疾患に群の方が大きかった。冠動脈疾患に よる死亡率は よる死亡率はSISI群の方が少し低かったが、統計学的に有意ではなかった。群の方が少し低かったが、統計学的に有意ではなかった。 文献:
文献:Multiple Risk Factor Intervention Trial Research Group. MultipleMultiple Risk Factor Intervention Trial Research Group. Multiple risk factor intervention trial. Risk factor changes and mortalit
risk factor intervention trial. Risk factor changes and mortality results. y results. JAMA 1982: 248:1465
β
β
カロチン神話の崩壊
カロチン神話の崩壊
中国河南省林県(3万人) 中国河南省林県(3万人)19861986--9191 – –ββカロチン、ビタミンE、セレン投与群で全カロチン、ビタミンE、セレン投与群で全がんがん死亡率死亡率 13% 13%低下、胃低下、胃がんがん21%21%低下低下 フィンランド男性喫煙者(3万人) フィンランド男性喫煙者(3万人)19851985--9393 – –ββカロチン投与群のカロチン投与群の肺肺がんがん罹患率が罹患率が18%18%増加増加 米国男性医師(2万2千人) 米国男性医師(2万2千人)19821982--9595 – –ββカロチンにカロチンにがんがんの予防効果も害もなしの予防効果も害もなし 米国喫煙・アスベスト作業者(1万8千人) 米国喫煙・アスベスト作業者(1万8千人)19881988--9898 – –ββカロチン投与群のカロチン投与群の肺肺がんがん罹患率が罹患率が28%28%増加増加介入研究でよく使う解析方法
介入研究でよく使う解析方法
死亡、罹患等のイベント発生をエンドポイント
死亡、罹患等のイベント発生をエンドポイント
– –相対危険度の推定相対危険度の推定 Cox Cox比例ハザードモデルなど比例ハザードモデルなど平均値の差の検定
平均値の差の検定
t t検定、分散分析、共分散分析など検定、分散分析、共分散分析など割合の差の検定
割合の差の検定
χ χ22検定、検定、FisherFisherの正確な検定、多重ロジスティックモの正確な検定、多重ロジスティックモ デルなど デルなど試験実施計画書(プロトコール)
試験実施計画書(プロトコール)
中止基準 中止基準 有害事象発生時の取扱 有害事象発生時の取扱 実施計画書からの逸脱 実施計画書からの逸脱 の報告 の報告 試験の終了、中止、中断 試験の終了、中止、中断 実施計画書の変更 実施計画書の変更 実施期間 実施期間 統計解析 統計解析 症例数と設定根拠 症例数と設定根拠 背景 背景 目的 目的 治療法の概要 治療法の概要 対象患者(選択・除外基準) 対象患者(選択・除外基準) 同意取得法 同意取得法 試験の方法 試験の方法 評価項目 評価項目 観察・検査項目 観察・検査項目 プロトコールが確定したら、対象を集め始める前に、臨床試験登録 システム(UMIN-CTR等)に必ず登録する! 未登録だと、主要国際誌では受け付けてもらえない。検証的な無作為化比較試験の統計解析
検証的な無作為化比較試験の統計解析
検証的な無作為化比較試験の統計解析
検証的な無作為化比較試験の統計解析
事前に 事前に以下の評価項目を明示しておく以下の評価項目を明示しておく –– 主要評価項目主要評価項目(Primary endpoint)(Primary endpoint)
最も重要な結果変数を具体的に、通常は1つ。 最も重要な結果変数を具体的に、通常は1つ。 評価時点も明記。 評価時点も明記。 統計解析方法も明記。 統計解析方法も明記。 一般に、有効性の評価に関するもの。 一般に、有効性の評価に関するもの。 –
– 副次的評価項目副次的評価項目(Secondary endpoints)(Secondary endpoints)
次に重要な結果変数を具体的に。 次に重要な結果変数を具体的に。 評価時点も明記。 評価時点も明記。 統計解析方法も明記。 統計解析方法も明記。 有効性、安全性に関するもの 有効性、安全性に関するもの 上記以外に、細かい検討を加えることもある(オプ 上記以外に、細かい検討を加えることもある(オプ ション) ション)
第3段階(実験疫学)のポイント
第3段階(実験疫学)のポイント
積極的に介入する。
積極的に介入する。
交絡要因の影響が入らない。
交絡要因の影響が入らない。
因果関係を証明する
因果関係を証明する
証拠能力は高い(特に
証拠能力は高い(特に
無作為化比較試験)
無作為化比較試験)
。
。
ある要因と疾病との因果関係を決定する。
ある要因と疾病との因果関係を決定する。
因果関係があると結論する (ただし複数の研究で支持されること)第1段階(記述疫学)
第1段階(記述疫学)
––横断研究横断研究(cross-(cross-sectional study)sectional study) 生態学的研究
生態学的研究(ecological study)(ecological study)
個人レベルの横断研究
個人レベルの横断研究
第2段階(分析疫学)
第2段階(分析疫学)
–
–症例・対照研究症例・対照研究(case(case--control study)control study) –
–コホート研究コホート研究(cohort study)(cohort study)
第3段階(実験疫学)
第3段階(実験疫学)
–
–介入研究介入研究(intervention study)(intervention study)
証拠能力 低い 高い 複数の研究で支持されれば、より証拠は確固たるものになる。 健康・栄養食品アドバイザ リースタッフ・テキストブック (第一出版)