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いることにした. なお, マルチボディダイナミクス解析のソルバーには, 市販化されている商業用の解析ソルバー MADYMO(Ver7.5) を使用した. 本研究では事故類型の中で死亡 重傷者数の最も多い 出会い頭事故 (3) を対象とし, 自転車モデルと自動車モデルの衝突角度を 9 に設定した. ま

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りである.  入反射角度 °に設定すると氷の表面状態の識別が可能 となるが,表面状態が滑らかな氷と水膜の判別は困難で ある.  入反射角度を °に設定し,表面下からの反射光と表面 反射光との比を用いれば水膜下の凍結路面の有無を判別 できることが判明した.なお,3 波によればその判別精度 が高くなることも明らかとなった.  従って,本手法によって路面の滑りやすさを識別するた めには,入反射角度 °と °の二通りの測定を行うこ と,QP を主測定波長とすれば良いことが明らかとな った.  参 考 文 献  仁平陽一郎,浅野基樹,林華奈子:車両走行が雪氷路面 に与える影響について 続報 ,北海道開発土木研究所月 報,1R,S    高田哲也,徳永ロベルト,高橋尚人:冬期気象条件下に おける交通事故発生形態について,北海道の雪氷,1R, S    福原輝幸,渡邊洋,荒川智之,玉置肇:0$66 車による 冬期路面の滑り摩擦計測,福井大学地域環境研究教育セ ンター研究紀要「日本海地域の自然と環境」,1R, S    切石亮,福原輝幸,森永啓詩,徳永ロベルト,高橋尚人: 冬季路面状態の評価技術に関する研究について,第  回寒地技術シンポジウム講演論文集,S    後藤彰彦,加世田将光,北川和男,島村哲郎,大道賢, 土屋忠寛,石丸修,白石哲也:画像処理を用いた排水性 舗装路面の排水状況評価,自動車技術会学術講演会前刷 集,1RS  

 Johan Casselgren, Michael Sjödahl, James LeBlanc: Angular spectral response from covered asphalt, Applied Optics, Vol.46, No.20, p. 4277-4288(2007)

 Massimo Bertozzi, Rean Isabella Fedriga, Carlo D’Ambrosio: Adverse Driving Conditions Albert: Investigations on the SWIR Bandwidth for Road Status Monitoring, ICIAP 2013, Part Ⅰ, LNCS 8156, p. 592-601(2013)

 Johan Casselgren, Michael Sjödahl: Polarization resolved classification of winter road condition in the rear-infrared region, Applied Optics, Vol. 51, Issue 15, p. 3036-3045(2012)  P. Pyykönen, M. Jokela, J. Birgitta, Martinkauppi, M. Kutila:

Road friction monitoring, SIRWEC 2012 Helsinki, ID 0049, p. 1-6(2012)  二瓶光弥,清水健一,安藤泰之:氷路面の摩擦痕断面形 状計測によるタイヤ氷摩擦の解析,自動車技術会論文 集,9RO,1R,S    古川義純:氷の表面は溶けている!:滑りやすさのメカ ニ ズ ム , 日 本 機 械 学 会 誌 , 9RO , 1R , S    岩間大舗,北川浩史,城戸章宏,長沼要:近赤外偏光分 光計測による凍結路面の表面粗さ解析 第  報 ,自動車 技術会論文集,9RO,1RS    岩間大舗,北川浩史,城戸章宏,長沼要:近赤外偏光分 光計測による凍結路面の表面粗さ解析 第  報 ,自動車 技術会論文集,9RO,1RS    田幸敏治ほか:光学的測定ハンドブック,東京,朝倉書 店,,S

コンピュータシミュレーション解析手法を用いた

自転車対自動車衝突事故時の自転車乗員の

対自動車および路面衝突時別頭部保護対策手法の検討

* 面田 雄一1) 鴻巣 敦宏2)

Analysis of Bicyclists’ Head Protection Methods During Head Impacts to a Car and the Ground

in Bicyclist and Car Traffic Accidents, Using a Computer Simulation Analysis Method

Yuichi Omoda Atsuhiro Konosu

In order to achieve further reduction of the number of fatally and seriously injured persons in traffic accidents, consideration of bicyclists' head protection methods is vital. To be helpful for the reduction, we conducted a computer simulation analysis regarding bicyclists' head protection methods during head impacts to a car and the ground in bicyclist and car traffic accidents using commercialized software called MADYMO. As a result, several bicyclists’ head protection methods were created from the car side and bicyclist side respectively. Moreover, effectiveness of those protection methods was analyzed quantitatively by calculating the head injury criterion (HIC) value using deceleration values generated at a bicyclist’s head.

KEY WORDS: Safety, Protection for vulnerable road users, Damage mitigation, Bicyclists' head protection (C1) 1.は じ め に 近年,交通事故による死亡・重傷者数は減少傾向にある. しかし,図 1 に示すように,自転車乗車中の死亡・重傷者数 が全体に占める割合(1)は増加傾向にあり,今後,交通事故によ る死亡・重傷者数をさらに低減させるには,自転車乗員の保 護対策の促進が重要となる. 一方,自転車乗員の保護対策については,これまで殆ど手 つかずの状態であり,自転車乗員の保護対策の促進は,我が 国において喫緊に取り組むべき重要な課題の一つといえる. 筆者らは,既報(2)にて,自転車乗員の交通事故における危険 性を明確化することを目的に,特に死亡事故において損傷主 部位となる割合が高い自転車乗員の頭部に着目し,同部が自 動車ならびに路面に対する衝突状況を,コンピュータシミュ レーション(以下,「CAE」という)解析手法を用いて解析 した.その結果,路面との衝突(2 次衝突)時および A ピラ ーとの衝突時に頭部に重篤な傷害が発生する可能性が高いこ とが明らかになった. そこで,本研究では,自動車衝突時の自転車乗員の保護対 策の検討を促進させることを目的に,自転車対自動車衝突事 故時の自転車乗員の頭部保護対策手法(対自動車・路面衝突 時別)を,自転車乗員側および自動車側から検討し,CAE 解 析手法を用いて,その効果を定量的に検証した. 0 10 20 30 40 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 201 1 2012 R at e [ % ] Year Vehicle Motocycle Pedestrian Bicycle

Fig.1 Transition of fatally and seriously injured persons in the past 10 years(1)

2.CAE モデルの概要 2.1. CAE モデルの構成

2 に本研究で作成した自動車対自転車衝突解析用 CAE モ

デルの外観を示す.同モデルは大別して,自動車モデル

Vehicle Model),路面モデル(Ground Model),自転車モ

デル(Bicycle Model) および自転車乗員モデル(Bicyclist

Model)の計 4 つのモデルから構成されている. 本研究では,(1) 2 次衝突までを解析対象とすることおよび (2) 100 ケース近いパラメータスタディを行う理由から,解析 時間の比較的に短いマルチボディダイナミクス解析手法を用 *2015 年 10 月 22 日受理.2015 年 10 月 16 日自動車技術会秋季 学術講演会において発表. 1)・2) (一財)日本自動車研究所(305-0822 茨城県つくば市苅 間2530)

during

(2)

いることにした.なお,マルチボディダイナミクス解析のソ ルバーには,市販化され て いる商業用の解析ソルバー 「MADYMO(Ver7.5)」を使用した. 本研究では事故類型の中で死亡・重傷者数の最も多い「出 会い頭事故」(3)を対象とし,自転車モデルと自動車モデルの衝 突角度を90°に設定した.また,両モデルが確実に衝突する ように,自動車モデルの前面中央部に,自転車モデルのサド ル部が衝突するようにした.なお,各モデルの形状や荷重- 貫入量特性などの詳細については既報(2)に記載しているので, 参照されたい. Bicyclist Model Bicycle Model Vehicle Model Ground Model

Fig.2 Bicyclist-vehicle traffic accident CAE analysis model 2.2. 衝突条件

1 に衝突条件の一覧を示す.自動車モデルの車種は,乗

用車の大半を占めていると考えられる Sedan, SUV(Sport

Utility Vehicle)および 1BOX の 3 車種とした.

自転車乗員モデルの体格には,自転車乗員の事故において 死傷者数が多い10 歳代の子供および 70 歳代男女を解析の対 象とし,各年代の平均身長と体重を元に 5 種類のモデルを作 成した(10Y-C,15Y-F,19Y-M,70Y-M,70Y-F). 10 歳代の子供のモデル(10Y-C,15Y-F,19Y-M)の作成に おいては,子供の身長が年齢によって大きく変化するため, 最低身長と最高身長の年齢を,男女別に調査(4)して,モデル化 を行った.はじめに,最低身長を有する年齢は,男女ともに 10 歳であり,また,男女間に大きな差が見られないことから, 10 歳の男女の身長ならびに体重の平均値を用いてモデル化 (10Y-C)を行った.一方,最高身長の年齢については,男性19 歳ならびに女性は 15 歳であり,その身長の差も大きか ったことから,男女別のモデル化(19Y-M,15Y-F)を行った. 自動車モデルの衝突速度については,事故発生頻度分布(3) から20, 30, 40km/h の 3 種類とした.自転車モデルの走行速度 についても,事故発生頻度分布を参考に0, 10km/h の 2 種類と した.なお,自動車モデルの減速度は0.5G の 1 種類とし,衝 突瞬間からブレーキによる車両の減速度が加わる状況を模擬 した.

Table 1 Parameters for CAE analysis

3.路面との衝突時の自転車乗員の頭部保護対策手法の検討 本章では,はじめに,既報(2)の解析結果に基づき,自動車と の衝突において,より高いHIC が発生する路面との衝突時の 自転車乗員の頭部保護対策手法の検討を行った.以下,同対 策について,「自転車乗員側」ならびに「自動車側」別に述 べる. 3.1.自転車乗員側での対策 路面との衝突時の自転車乗員側での自転車乗員の頭部保護 対策方法としては,ヘルメットを着用する方法が考えられる. そこで,自転車乗員にヘルメットを着用させたCAE 解析を実 施し,その効果を確認した. 3.1.1. ヘルメットモデル 本研究で作成した,ヘルメットモデルを図3 に示す.同モ デルは単純な楕円体要素(Ellipsoid)で構築されており,実際 のヘルメットの厚みを考慮して,同モデルの端部と自転乗員 モデルの頭頂部,側頭部,後頭部および前頭部の間隔が,約 20mm になるようにモデル化した.なお,ヘルメットの質量は 300g とし,同モデルと自転車乗員モデルの頭部は「ブラケッ トジョイント(Bracket Joint)」により結合させた. 同モデルに与えた荷重-貫入量特性を図4 に示す.同特性 は,McNally(5)が複数の自転車用ヘルメットの落下試験結果か ら求めた平均的な荷重-変形量特性を参考に設定した. 一方,各自転車乗員モデルに着用させるヘルメットモデル の大きさを決めるために,本研究での解析対象とした各自転 車乗員の頭部周囲長を調査(6)した.その結果,平均が 551mmS.D.=26mm)であり,各自転車乗員の頭部周囲長の差は小 さいことから,各自転車乗員モデルには,同じ大きさのヘル メットを着用させ,解析を行った.

Fig.3 Helmet model

Fig.4 Stiffness of the helmet model 3.1.2. HIC 値の解析結果

CAE 解析により得られた頭部傷害基準(HIC)値を表 2 に 示す.同表では,全体的な対策の効果を確認することを目的

Parameter Number Detail

Vehicle Type 3 Sedan, SUV, 1Box

Bicyclist 5 10Y-C, 15Y-F, 19Y-M,70Y-F, 70Y-M Vehicle impact velocity [km/h] 3 20, 30, 40 Bicycle traveling velocity [km/h] 2 0, 10

Total cases 90 (=3×5×3×2) 20mm Helmet (Ellipsoid) Restraint: Bracket joint 0 2000 4000 6000 8000 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 Fo rce [N ] Penetration [m] Loading Unloading(Hysteresis slope)

(3)

に,各条件下での自転車走行速度0km/h と 10km/h の解析結果 の平均値を示している.全車種および全衝突速度でのHIC の 平均値をみると,対策無しの場合の HIC の平均値は 2219AIS4+傷害発生リスク:95%)であるのに対し,対策有りの 場合は 971(AIS4+傷害発生リスク:15%)となり,AIS4+の 傷害発生リスクが約 80%低減していることがわかる.また, 対策有りの場合のHIC の平均値は,歩行者の頭部保護に関す る道路運送車両の保安基準の閾値(7)として使われている HIC1000(AIS4+傷害発生リスク:17%)をやや下回る結果とな っていることもわかる. 以上から,全体的には,対策無しの場合よりも,対策有り の場合の方がHIC 値が低下しており,かつ,保安基準の閾値 なども下回っていることから,リアルワールドの自転車事故 での対策の効果が期待できる.ただし,一部のケースにおい ては,対策無しの場合よりも対策有りの場合の方がHIC 値が 増加したケースも存在する(表2 注記部分).5 に,HIC 値が1000以上大きくなった例(19歳男性,1BOX, 自動車の衝突速度40km/h,自転車走行速度 0km/h)を示す. この例では,同図に示すように,対策無しの場合には,自転 車乗員の頭部が比較的に浅い角度で路面と衝突しているのに 対して,対策有りの場合には,頚部を起点に頭部が大きくし なり,比較的に深い角度で路面に衝突している.さらに,対 策有りの場合には,ヘルメットで保護されていない顔面部が 路面と衝突したことから,対策有りの場合の方が高いHIC 値 が観察された.これは,ヘルメットの着用により,路面衝突 前の自動車と自転車乗員の頭部の衝突状況が変化したことで, 路面と頭部の衝突部位が変化し,対策有りの場合のHIC 値が 上昇したものと思われる.このような場合,ヘルメットの保 護エリアを拡張したり,路面と緩衝する部分の厚みを増すこ とでHIC 値を低減できる可能性がある.

Table 2 HIC values of the secondary collisions in conditions when bicyclists wear helmets

Velocity

[km/h] 10Y-C 15Y-F 19Y-M 70Y-F 70Y-M 20 69 103 471 171 158 30 173 254 372 179 510 40 302 248 1883 354 887 20 3521 568 799 1856 35 30 1064 1043 1149 571 1612* 40 1172 3923** 869 3238 2151 20 2847** 367* 104 1842 356 30 499* 385 172 210 661 40 1128 223 4386** 884 429 1BOX Sedan SUV Average HIC w countermeasure (2219: wo countermeasure)971

(a) without countermeasure (b) with countermeasure Fig.5 Difference of head impact situation to the road surface by

with/without the countermeasure 3.2.自動車側での対策:(1)路面との衝突緩和 路面衝突時の自動車側での自転車乗員の頭部保護対策とし ては,(1)「路面との衝突緩和」および(2)「自動車の衝突速度 の低減」が考えられる.そこで,はじめに本節では,「路面 との衝突緩和」に関する検討を行った. 路面と自転車乗員の頭部の衝突においては,路面の剛性が 高いことによって頭部の重傷発生リスクが高まると考えられ る.したがって,自動車から緩衝材を路面に射出するなどの 方法(8)を用いることで,自転車乗員の頭部が路面に直接衝突す ることを防ぐことができれば,自転車乗員の頭部の被害低減 につながると考えられる.そこで,本研究では,同状況を模 擬したCAE 解析を実施し,その効果を検証した.なお,CAE 解析モデルを単純化するため,本研究では,路面全体に,緩 衝材の荷重-貫入量特性を付与した.なお,同特性について は,図4 に示したヘルメットの荷重-貫入量特性を与えた. HIC 値の解析結果を表 3 に示す.同表においては,全体的 な対策の効果を確認することを目的に,各条件下での自転車 走行速度0km/h と 10km/h の解析結果の平均値を示している. なお同表において,「NG」と記載したケース(70 歳代女性, 1BOX,自動車の衝突速度 40km/h,自転車走行速度 0km/h)は 自転車乗員モデルの頭部が路面に衝突する前に,同モデルの 関節部に過度の関節トルクが加わり,計算が発散・強制終了 し,解析結果が得られなったことを示している.全車種およ び全衝突速度でのHIC の平均値をみると,対策無しの場合は HIC の平均値が 2219(AIS4+傷害発生リスク:95%)であるの に対し,対策有りの場合は512(AIS4+傷害発生リスク:3%) となり,AIS4+の傷害発生リスクが約 90%低減することが確認 できた.また,対策有りの場合のHIC の平均値は,保安基準 の閾値として使われているHIC 値1000を大きく下回っており, その有効性が確認できた. 以上から,路面の緩衝特性を変更することで全体的に HIC 値は低減することが明らかとなり,自動車から緩衝材の射出 を的確に行うことができた場合,リアルワールドでの自転車 乗員の頭部のAIS4+の傷害発生リスクを低減できる可能性が あると考えられる. なお,70 歳代女性,SUV,自動車の衝突速度 30km/h など一 部のケースで,ヘルメット着用時のHIC 値よりも(表 2;571), ヘルメットの特性を路面全体に用いたほうが(表3;1518)増 加していた.そこで,同ケースでの頭部衝突状況を確認する と,前者の場合では自転車乗員の頭部が比較的に浅い角度で *, **: HIC of "w countermeasure" is higher than that of "wo countermeasure".

**: Difference is 1000 or higher. *: Difference is less than 1000.

(4)

路面と衝突しているのに対して,後者の場合には比較的に深 い角度で路面に衝突していた.一般的には,路面全体の特性 を変えれば肩部や腰部などでも衝撃を吸収するためヘルメッ ト着用時よりもHIC 値が低下すると考えられるが,このよう な路面に対する衝突角度の違いにより,ヘルメット着用時よ りも,ヘルメットの特性を路面全体に用いたほうがHIC 値が 増加する場合があると考えられる.

Table 3 HIC values of the secondary collisions in conditions when the ground stiffness change to softer

Velocity

[km/h] 10Y-C 15Y-F 19Y-M 70Y-F 70Y-M 20 13 76 338 176 412* 30 719 352 247 155 667 40 184 418 414 816 316 20 869 134 178 733 82 30 681 300 222 1518 118 40 623 1882 624 1871 1441 20 459 253* 84 1309 44 30 35 69 506* 35 584 40 325 149 1448* NG 463 1BOX Sedan SUV Average HIC w countermeasure (2219: wo countermeasure)512 3.3. 自動車側での対策:(2)自動車の衝突速度の低減 自動車の衝突速度を低減させる方法としては,衝突前にカ メラなどのセンサーによって自転車を検知し,自動車が自動 的に制動をかけるような方法が考えられる.同方法を用いる ことで,自転車乗員との衝突を完全に回避することができれ ば,自動車乗員の保護対策として,最も有効な方法となる. また,完全な衝突回避まで至らなくても,衝突直前の速度を ある程度低減させることができれば,自転車乗員頭部の被害 低減につながる可能性も考えられる.そこで,本研究では自 動車の衝突速度低減に関するCAE 解析を行ない,その効果を 確認した. 図 6 に自動車モデルの衝突速度と自転車乗員モデルが路面 と衝突する際に発生するHIC 値の関係を示す.同図では,車 種別での全体的な対策の効果を確認することを目的に,車種 別の各条件下での解析結果の平均値を示した.以下,車種別 に,衝突速度とHIC 値の特徴を分析する. はじめに,Sedan モデルとの衝突の場合をみると,衝突速度 40km/h で HIC の平均値が最も高く,約 2200 であった.一方, 衝突速度30km/h では HIC の平均値が約 1900 となり,さらに, 衝突速度20km/h では,HIC 平均値が約 690 となった.そのた め,Sedan モデルとの衝突においては,衝突速度に対して, HIC の平均値が線形に低減することがわかる. 次に,SUV モデルとの衝突では,衝突速度 40km/h で HIC の平均値が最も高く,約5000 であった.一方,衝突速度 30km/h では HIC の平均値が約 2800 まで低減し,さらに,衝突速度 20km/h では,HIC の平均値が約 2200 となる.そのため,SUV モデルとの衝突においても,Sedan モデルの場合と同様に,衝 突速度に対してHIC の平均値が線形に低減することがわかる. 最後に,1BOXとの衝突では,衝突速度40km/hでHICの平均値 が最も高く,2200であった.また,衝突速度が30km/hとなるHICの平均値は660まで低減するが,衝突速度が20km/hにな るとHICの平均値が約1600 となり,衝突速度が30km/hの場合 よりもHIC値が増加することが確認できた. なお,衝突速度が減少しても,HIC値が増加する場合がみら れるが,その要因については,以下のように説明できる.自 転車乗員頭部と路面との衝突状況は,「頭部が最初に路面と 衝突する場合」と「体の一部が頭部より先に路面と衝突す る場合」に大別でき,かつ,全体的に,前者の方がHIC値 が高くなる傾向がある.そのため,衝突速度が減少しても, 自転車乗員頭部と路面との衝突状況が後者から前者に変化 したことで,結果として,衝突速度の減少に伴う,HIC値 の減少が見られないと考えられる. 以上から,衝突速度の低下により,全体的にHIC の平均値 の低下がみられる一方で,車種により衝突速度に対して HIC 値が線形に減少するとは限らないことが明らかとなった.ま た HIC 値が減少しても保安基準で用いられている閾値 1000AIS4+傷害発生リスク:17%)を上回る場合があり,本解析 の範囲での衝突速度の低下は,路面衝突時の頭部の被害低減 に必ずしも十分とはいえないといえる. 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 20 30 40 H ea d I nju ry C rit er ia

Vehicle impact velocity [km/h] Sedan

SUV 1BOX

Fig.6 HIC values of secondary collisions for each vehicle velocity 4. A ピラーとの衝突時の自転車乗員の頭部保護対策方法 の検討 本章では,3 章で実施した路面との衝突時の自動車乗員頭部 保護対策の検討に引き続き,自動車を構成する部位で,最も 自転車乗員の頭部に対する加害性の高いA ピラーとの衝突時 の自転車乗員の頭部保護対策方法について,「自転車乗員側」 ならびに「自動車側」別に検討した. なお,自転車乗員の頭部がA ピラーと衝突しないケースSUV との衝突など)については,本研究の対象外とした. また,本研究では,ウインドシールドの荷重‐貫入量特性を, A ピラーの荷重-貫入量特性になるように変更することで簡易 的に自転車乗員の頭部とA ピラーの衝突現象の解析を行った.

*: HIC of "w countermeasure" is higher than

that of "wo countermeasure"(Difference is lees than 1000.) NG: Analysis error termination

(5)

4.1.自転車乗員側での対策 Aピラーとの衝突時においても,路面との衝突時と同様に, ヘルメットを着用する方法は有効と考えられる.そこで,自 転車乗員にヘルメットを着用させてCAE 解析を実施し,その 効果を確認した.なお,本解析で使用したヘルメットモデル は,3.1 節で説明したモデルと同じである. HIC 値の解析結果を表 4 に示す.同表では,全体的な対策 の効果を確認することを目的に,各条件下での自転車走行速 度0km/h と 10km/h の解析結果の平均値を示している.全車種 および全衝突速度でのHIC の平均値をみると,対策無しの場 合のHIC の平均値が 1946(AIS4+傷害発生リスク:86 %)で あるのに対し,対策有りの場合は1619(AIS4+傷害発生リス ク:65%)となり,AIS4+の傷害発生リスクが約 20%低減して いることがわかる.しかし,対策有りの場合であってもHIC の平均値は,保安基準の閾値として使われているHIC 値 1000AIS4+傷害発生リスク:17%)を上回る結果となっている. 以上から,自転車乗員のヘルメット着用はA ピラーとの衝 突に対する保護対策として,ある一定の被害低減の効果はみ られるものの,本研究で用いたヘルメットの緩衝特性の状態 では,頭部の重篤な傷害(AIS4+)への対策としては十分では ない可能性がある. なお,19 歳男性,Sedan においては,自動車の衝突速度が 40km/h の場合よりも 30km/h の場合の方が HIC 値が増加して いた.そこで,頭部の衝突状況について,自転車の走行速度 別に確認した.図7 に自転車走行速度 0km/h における頭部の A ピラーに対する衝突状況を衝突速度別に示す.衝突速度 30km/h では,頭部が A ピラーと衝突する際に自転車乗員の肩 部が同時にA ピラーと衝突している.一方,衝突速度 40km/h では肩部に加えて腰部も同時にA ピラーと衝突したことで, 肩部に加えて腰部が衝突エネルギを吸収し,その結果として 頭部のHIC 値が低下したと考えられる.

Table 4 HIC values of the collisions with the A pillar in conditions when bicyclists wear the helmets

Velocity

[km/h] 10Y-C 15Y-F 19Y-M 70Y-F 70Y-M

20 - 317 601 - 632 30 - 2671 1404 1604 2327 40 - 9140 927 6286 3485* 20 - 388 176 317 153 30 - 952 389 474 291 40 941* 1943 891* 808* 756* Average HIC w countermeasure 1619 (1946: wo countermeasure) Sedan 1BOX (a) 30km/h (b) 40km/h

Fig.7 Difference of bicyclist contact situation to the A pillar by vehicle impact velocity

4.2.自動車側での対策:(1) A ピラーとの衝突緩和 本節では,A ピラー衝突時の自動車側での自転車乗員の頭 部保護対策として,「A ピラーとの衝突緩和」および「自動 車の衝突速度の低減」を検討した.次項では,はじめに「A ピラーとの衝突緩和」についての検討結果を示す. 4.2.1. A ピラー緩衝材モデルの構築 A ピラーに緩衝材を取り付けることで,A ピラーと自転車 乗員頭部の直接的な衝突現象を防ぐことができれば,自転車 乗員頭部の被害を低減できる可能性がある.そこで,本項で はA ピラー前面に緩衝材を取り付けた CAE 解析を行い,その 効果を確認した. 本研究で作成したA ピラー緩衝材モデルを図 8 に示す.具 体的には,緩衝材を摸擬する板要素(Plane)を自動車モデル のウインドシールド部と並行して20mm 前方に取り付けるこ とで,A ピラー緩衝材をモデル化している.A ピラー緩衝材 モデルの荷重-貫入量特性を図9 に示す.本研究では,同モ デルに対する貫入量が20 mm までは,ヘルメットの荷重変形 特性をベースに荷重-貫入量特性を設定し,一方,同モデル に対する貫入量が20 mm 以上においては,A ピラーの荷重変 形特性(9)をベースに荷重-貫入量特性を設定した.

Fig.8 A pillar cushion model

Fig.9 Stiffness of A pillar cushion A pillar cushion (Plane) 0 5000 10000 15000 20000 0 0.005 0.01 0.015 0.02 0.025 0.03 Fo rce [N ] Penetration [m] A pillar characteristic Helmet characteristic

*: HIC of "w countermeasure" is higher than

(6)

4.2.2. HIC 値の解析結果 HIC 値の解析結果を表 5 に示す.同表においては,全体的 な対策の効果を解析することを目的に,各条件下での自転車 走行速度0km/h と 10km/h の解析結果の平均値を示している. 全車種および全衝突速度でのHIC の平均値をみると,対策無 しの場合のHIC の平均値は 1946(AIS4+傷害発生リスク:86%) であるのに対し,対策有りの場合は1678(AIS4+傷害発生リ スク:69%)となり,AIS4+の傷害発生リスクが約 15%低減す ることが確認できる.しかし,対策有りの場合であってもHIC の平均値は,保安基準の閾値として使われているHIC 値 1000AIS4+傷害発生リスク:17%)を上回っている. 以上から,Aピラーに緩衝材を装着する対策を行うことで, 頭部の被害低減効果がみられる一方で,今回の解析で用いた 緩衝材の特性では,被害低減対策としては必ずしも十分とは いえない可能性があることもわかった.

Table 5 HIC values of the collisions with the A pillar in conditions when an A pillar cushon is attached to the windshield

Velocity

[km/h] 10Y-C 15Y-F 19Y-M 70Y-F 70Y-M

20 - 480 744 - 788 30 - 3764 1575 2617* 1966 40 - 9840* 504 6974 2154 20 - 400 85 452 47 30 - 943 165 354 187 40 1148* 2397 658 767 406 Sedan 1BOX Average HIC w countermeasure (1946: wo countermeasure)1678 4.3.自動車側での対策:(2)自動車の衝突速度低減 3.3 節と同様に,衝突前にカメラなどのセンサーによって自 転車を検知することで,自動車に自動的に制動をかけ,自転 車に衝突する自動車の衝突速度を低減できれば自転車乗員頭 部の被害低減につながる可能性が考えられる.そこで,本節 では,自動車の衝突速度低減による自転車乗員の頭部のHIC 値の低減度合いを,CAE 解析を行うことで確認した.10に車種別でのAピラーとの衝突時に発生する各条件下 でのHIC の平均値を示す.全体的な特徴としては,Sedan, 1BOX タイプともに衝突速度が低減すると,HIC の平均値も 線形に低減することがわかる. 車種別にみると,Sedan では,衝突速度 40km/h で HIC の平 均値が最も高く,5555(AIS4+傷害発生リスク:100%)であ った.一方,衝突速度30km/h では HIC の平均値が 2726 (AIS4+ 傷害発生リスク:99%)となり,衝突速度 20km/h では 806AIS4+傷害発生リスク:8%)となった.Sedan の場合では, 衝突速度20km/h まで低減することができれば,保安基準の閾 値として使われているHIC 値 1000 も下回り,傷害発生リスク が大幅に低減できることがわかる. 次に1BOX では,衝突速度 40km/h で HIC の平均値が最も 高く,1422(AIS4+傷害発生リスク:51%)であった.一方, 衝突速度30km/h では HIC の平均値が 732(AIS4+傷害発生リ スク:7%)となり,衝突速度 20km/h では 399(AIS4+傷害発 生リスク:2%)となった.そのため,1BOX では,衝突速度30km/h まで低減することができれば,頭部保安基準の閾値 として使われているHIC値1000を下回ることが可能となるこ とがわかる. 806 2726 5555 399 732 1422 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 20 30 40 H ea d I nju ry C rit er ia

Vehicle impact velocity [km/h] Sedan

1BOX

Fig.10 HIC values for each vehicle velocity (collision with windshield which has A pillar stiffness)

5.ま と め 本研究では,自転車対自動車衝突事故時の自転車乗員の頭 部保護対策手法(対自動車・路面衝突時別)を,自転車乗員 側および自動車側から検討し,コンピュータシミュレーショ ン解析手法を用いて,その効果を検証した.その結果,本研 究で検討した対策手法(ヘルメット着用,衝突速度低減など) により,全体的な傾向としては対策無しに比べて頭部傷害基 準(HIC)値が低減することが明らかになった. 一方,本研究で設定した対策や荷重-貫入量特性では,歩 行者の頭部保護に関する保安基準の閾値であるHIC 値 1000 を上回る場合もあることもわかった.さらに同一の対策でも 車種や自転車乗員の体格によって被害低減効果に差があるこ ともわかった.そのため,自転車乗員の被害低減を推進する には,各対策のさらなる自転車乗員頭部保護性能の向上や複 数の対策の組合せなどを検討するとともに,今後、より詳細 に自転車乗員の体格別や車種別での頭部衝突状況ならびに HIC 値の変化に関する分析を行った上で,路面ならびに A ピ ラー衝突時の自転車乗員の頭部保護対策を推進する必要があ る.

*: HIC of "w countermeasure" is higher than

(7)

参 考 文 献 (1) 警察庁交通局:平成24 年中の交通事故の発生状況 (2012) (2) 面田雄一,鴻巣敦宏:コンピュータシミュレーション解 析手法を用いた自転車乗員頭部の自動車ならびに路面に対す る衝突状況解析,自動車技術会論文集,Vol.46, No.2, p.485-490 (2015)

(3) T. Maki et. al.:Comparative analysis of vehicle-bicyclist and vehicle-pedestrian accidents in Japan, Accident analysis and prevention, 35, p927-940 (2003)

(4) 健康局:平成21 年国民健康・栄養調査報告 (2013)

(5) D. S. McNally et. al.:MADYMO simulation of children in cycle accidents: A Novel approach in risk assessment, Accident Analysis and Prevention, 59, p.469-478 (2013)

(6) 河内まき子,持丸正明:日本人頭部寸法データベース2001,

産業技術総合研究所H16PRO-212 (2008)

(7) 国土交通省自動車交通局:歩行者頭部保護基準の概要, http://www.mlit.go.jp/kisha/ kisha04/09/090420/02.pdf ( 参 照 2015.07.15)

(8) K. ANATA et. al.:Injury risk assessment at the timing of a pedestrian impact with a road surface in a car-pedestrian accident, Proceedings of the 22nd ESV Technical Conference, Paper No.11-0119 (2011)

(9) K. Mizuno and J. Kajzer, Head injuries in vehicle-pedestrian impact, SAE Paper, 2000-01-0157 (2000)

図 2 に本研究で作成した自動車対自転車衝突解析用 CAE モ デルの外観を示す.同モデルは大別して,自動車モデル
Table 1 Parameters for CAE analysis
Table 2 HIC values of the secondary collisions in conditions when  bicyclists wear helmets
Table 3 HIC values of the secondary collisions in conditions when  the ground stiffness change to softer
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参照

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