九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
コウサスル シュウハスウ ヘンカオン ノ レンゾク セイ ノ チカク ニツイテ
黒田, 剛士
Faculty of Design, Kyushu University
https://doi.org/10.15017/16819
出版情報:Kyushu University, 2009, 博士(芸術工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
付記
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1. Bregman and Dannenbring (1977) の用いた音パターン (実験 1) の誘導音の立ち上がり 時間と立ち下がり時間は 1 ms 以下であった。振幅の減衰区間と増加区間の付加されないと きの被誘導音の立ち上がり時間と立ち下がり時間は 1 ms 以下であった。
近年の連続聴錯覚の研究においては,被誘導音と誘導音との振幅遷移が時間的に重ねら れることが多い。すなわち,被誘導音の振幅が減衰し始めると誘導音の振幅が増加し始め,
被誘導音の振幅が増加し始めると誘導音の振幅が減衰し始めるように音パターンが作られ ることが多い。なお,初期の研究においては,立ち上がりと立ち下がりとについての記述 がなされていないことが多い。
2. 実験 3 は,江口俊太朗 (S.E.) との共同で計画した (江口, 2009)。彼の結果は他の参 加者と大きく異なるものではなかった。なお,他の実験は全て,著者が計画した。
3. 対応のある 2 要因分散分析と下位検定とを行ない,長音空隙条件における長い音と短い 音との割合の平均値について,相対レベルの等しい条件の間に有意差があるかどうかにつ いて検証した。要因の一つは方向条件,もう一つはレベル条件であった。分散分析は,長 い音の割合と短い音の割合とのそれぞれについて別個に行なわれたので,計 2 回行なわれ た。長い音について,レベル条件の主効果が有意であったので (F(32, 192) = 12.4, p < .01),
有意水準を 5%とした最小有意差検定 (LSD 検定) による下位検定を行い,相対レベルの等 しいレベル条件の対において有意差があるかどうかについて検証した (相対レベルの等し い条件の対は全部で 48 対あった)。結果,相対レベルの等しいレベル条件の対においては,
どのような対であっても有意差のないことがわかった。短い音についても,レベル条件の 主効果が有意であったので (F(32, 192) = 35.2, p < .01),同じように下位検定を行ない,
相対レベルの等しいレベル条件の対において有意差があるかどうかについて検証した。結 果,6 対においてのみ (-6/-6 条件と-4/-4 条件,-4/-4 条件と+6/+6 条件,-4/-4 条件と+8/+8 条件,-2/-2 条件と+6/+6 条件,-2/-2 条件と+8/+8 条件, 0/0 条件と+8/+8 条件),有意差 のあることがわかった。
4. 長音空隙条件と同じように,対応のある 2 要因分散分析と下位検定とを行なった。長い 音について,レベル条件の主効果は有意ではなかった (F(32, 192) = 1.4, p > .05)。短 い音について,レベル条件の主効果が有意であったので (F(32, 192) = 16.1, p < .01),
長音空隙条件と同じように最小有意差検定による下位検定を行なった。結果,相対レベル の等しい条件においては,どのような対であっても有意差のないことがわかった。
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