生活時間配分と家族の触れ合い
―生活時間から見た現代家庭生活(1)―
谷 村 賢 治
Contemporary Home Life from the view points of Living Time(1)
Kenji TANIMURA
Zさん 時間は非人的資源のうちのひとつの生活資源にすぎませんが、今後、これまで 以上に大きな役割を果たすことになると予測されています。本稿では、この生活時間の配 分あるいはその経年的変化を通して、この数字の背後にある家族生活の動きを観察してみ ます。今風に言えば、家庭のリエンジニアリング(機能変革)が進むなかで、はたしてそ の動きは触れ合いのある家族へと通ずる道なのでしょうか。
1 生活時間の分類
現状の分析に入る前にまずもって生活時間に関する基本的なタームの整理をしておこう:
図1。一口に生活時間とはいっても、それには性格の異なる様々な時間がある。そこでそ の性格を基にこれまでいろいろな分類がなされてきたが、ここでは最も簡明な二分法に基 づいて整理してみる(1)。
生活時間
拘束時間 自由時間
労働時間 生理的時間 余暇時間
図1 生活時間:二分法
さてなんびとも生命を維持するには睡眠などの「生理的生活時間」が不可欠である。こ れに、事実上個人の裁量にゆだねにくい「労働時間」を加えたものが「拘束時間」となる。
同じ労働時間といっても、収入労働と家事労働では拘束度(あるいは自由度)がいくぶん 異なることは云うまでもない。その残余が「自由時間」で、労働のあと個人が恣意的に使 える時間というわけである。それゆえ自由時間はイコール「余暇時間」といえよう。そう いえば余暇に関連した言葉にレジャーがあるが、その語源はギリシャ語のスコレ(Skole)
で、それには学問、訓練の他に、自由に使用できる時間といった意味があるという。
2 ライフステージ別にみた生活時間配分
「生活時間」に接近する方法としては通常、①同一カテゴリーに属する人々の異時点問 の比較を観る「時系列比較」、②異なる社会的属性問の比較を調べる「カテゴリー別比較」、
③それを国際的に行う「国際比較」。そして④生活行動別の数字の比較を通じてその背景 にある生活の動きを探る「生活行動別考察」などが考えられる:J.P. Robinson[1977]。
以下ではこれらの接近法を適宜に利用して、家族構成員は各自の行動スケジュールに基づ いて日々の行動を行っており、その差異は大きいといわれているので、ライフステージ別 に観察していくことにする。具体的には、まず就学期の小・中・高・大学生、つぎに成人 期の夫と妻がつづき、最後は熟年期の高齢者、という順に接近を試みる。
2.1 就学期の生活時間の変化
ここでは小・中学生と高校・大学生に分けて生活時間の変化をみていこう。
2.1.1 小・中学生の生活時間
平成4年度「国民生活白書」はNHK「国民生活時間調査」によって昭和45年と平成2
年の20年閤に小・中学生の生活時間の変化を比較している:表1。それによれば、1 増加した項目は、小・中学生ともに「勝負ごと」。小学生では「スポーツ」「趣味・け いこごと」も増えている。「学業」に関しては、ことに中学生の日曜日は「課外活動」
や「学校外での学習」時間の追加により2時間50分から4時間4分へと1時間14分も大
きく増えている。確かに、厚生省「児童環境調査」(平成3年)によれば、通塾率(学習塾に行ってい る数の対客児童・生徒数)は小学校高学年で42〜48%、中学生になると5割を超し、学 年が上がる毎に数値も高まり、3年では58%にも達している。
2 この「学業」は中学生の1日の生活時間のうち、平日で38.1%、日曜でも16.9%を占 あている。
3 逆に減少した項目では、「すいみん」「家事」「テレビ」があり、なかでも家事が中学 生では平日に42分から15分へ3分の1に、日曜でも2時間から58分へと半減している。
以上から写し出される子供の家庭での生活ぶりは、まさに「企業戦士」予備軍で、学校 での勉強、加えて放課後や休日の塾通いあるいはけいこごとで忙しく、そのためすいみん までも圧縮し、家の手伝いまではなかなか手が回らなくなっている。
表1子供の生活時間の変化
(単位:時間.分)
小 学 生 中 学 生
平 日 日 曜
平 日日 曜
昭45年
平2年
昭45年平2年
昭45年平2年
昭45年平2年 す い み ん
9.23 9.03 10.12 9.48 8.03 7.52 9.21 9.08食 事
1.31 1.31 1.29 1.33 1.22 1.23 1.33 1.29学 業
業・学校の行事
ロ 外 活 動
w校外での学習7.03
T.43 P.20
7.19
T.47
D19
P.13
1.58
D48
P.10
1.33 D21 D12
P.00
&49
U.07 Q.42
9.08
U.03
D47
Q.18
2.50
D24
Q.26
404
D39 D48
Q.37
家 事
.21 .16 1.21 1.02 .42 .15 2.00 .58レジャー活動のうち
X ポ 一 ツ 氈@負 ご と
・。・けいこごと
.11
D01 D20
.17
D13 D21
.29
D03 D26
1.02
D39 D48
.04
D00 D12
.05
B09 D09
.24 D02 D25
.20
D22 D23 メディア接触のうち
e レ ビ V聞・雑誌・本
2.11
D19
2.01
D19
3.44
D42
242
D37
2.07 B17
1.57
D21
3.47
D36
3.02
D36
生活必需行動
11.46 11.37 12.35 12.23 10.15 10.221L45
11.47社会生活行動
8.28 8.25 3.38 3.09 10.5610.14
5.30 5.19自由時間行動
3.41 3.46 7.36 7.44 2.46a14
6.30 6.26(備考)1.NHK「国民生活時間調査」により作成。
2.平日は月曜から金曜までの平均である。
3.昭和45年の「学校外での学習」は「課外活動」に含まれる。
また、「勝負ごと」はテレビゲームを含む。「生活必需行動」は「すいみん」「食事」
「身のまわりの用事」「療養・静養」の合計、「社会生活行動」は「仕事」「学業」「家 事」「通勤」「通学」「社会参加」「仕事のつきあい」の合計、「自由時間行動」は「会 話・交際」(「社会参加」「仕事のつきあい」を除く)「レジャー活動」「マスメディア 接触」「休息」「その他の自由行動」の合計である。
2.1.2 高校・大学生の生活時間
ここでは上と同じく平成2年度「国民生活時間調査」によって作成した図2から、高校・
大学生の生活ぶりを小・中学生とも比較しながら覗いてみよう。
%
1聞
92
8日
72
6@
田
4日
細 四
1日
z
NHK国民生活時間調査=平成2年度
囮唾鴫圓学業團家事囲仕事闘余暇活動圏その他
図2 高校,大学生の生活時間 平日(月曜〜金曜)の平均
1 「学業」は、大学生の場合は1日の20.5%で、これは小学生の30.5%よりも10ポイン トも少ない。高校生は33.8%で、中学生の38.0%よりも少ないが、小学生よりは3.3ポイ ント多い。
2 逆に、余暇活動は大学生が24.5%と群を抜き、高校生が19.6%で続いている。小・中 学生は15.6%程度しかない。これはレジャー活動やマスメディア接触の多寡によるもの である。
3 睡眠時間は小学生が37.7%と最多。中学生は学業に時闇を割いた分だけ睡眠時間が減っ て32.8%。高校・大学生は30%台で、大差はない。
4 「アルバイト」の多寡が、高校生と大学生の違いをつくっている。
最近のことだが地方のある国立大学の「学生生活調査報告書」を眺めたあとなので以 上の観察結果は、ほぼ予想していた通りであった。そこでのアルバイトの目的は「学資 の調達」から「遊び」に移り、1日の平均予習・復習時間は「殆どしない」が全学部で
6割、これに「1時間未満」を加えると8割を上回る(ただし歯学部を除く)とい
う(2)、「世渡り」のための「保険」を得るには、これで十分だということであろうか、とはいうもののまことにお寒いかぎりの勉学状況ではある。
2。2夫の生活時間
夫の暮らしぶりを知ろうとすれば、まず労働時間から見ていくことは、その生活時間に 占める位置からして理に叶っているとおもわれる。日本の労働時間は長過ぎるということ をよく耳にする。はたしてそれは事実なのか、事実とすればどの程度長く、その影響はど
うなのか、知りたいところである。
2.2.1 収入労働時間の実態
表2は先進諸国の製造業生産労働者の年間労働時間を比較したもので、これによると、
1990年現在、日本の労働者の年間総実労働時間は2,124時間となっており、米国や英国に 比べ170時間以上長い。(旧西)ドイツやフランスに対しては、なんと500あるいは400時間 を上回って長いことが知れる。表2によれば確かにわが国においても、1985年に比べると 着実に労働時間の短縮は進みつつあるようだ。とはいうものの、依然として日本の労働者 の労働時間の長さは、先進諸国の中では際立っていることも確かなことである。
このような時間差は、先進諸国中、出勤日数の最も多い米国よりも21日も多いことから 推して、出勤日数の差に起因すると考えられる。ではなぜ出勤日がそのように多いのか、
表2 各国の労働時間 国 別
諱@分
日 本 米 国 イギリス ドイツ フランス
年閻総実労働時問
時間 Q,124 i2,168)
時間
P,948iL924)
時間
P,953 i1,952)時間
P,598 i1,659)時間
P,683iL643)
所定内労働時間
樺闃O労働時間
1,905
iL939)
@219
i229)
1,756 i1,752)
@192
i172)
1,766
iL791)
@187
i161)
1,499
iL576)
@99 i 83)
==
年間休日等の日数
H8 139 147 157 154
週休日 85
104 104 104 104
週休以外の休日 21 9 8 12 8
年次有給休暇 9 19
24
2926
欠勤日
3 7 11 12 16注:0内は1985年 資料:r労働白書』
その理由としては、完全週休二日制がなかなか普及しにくいことや年次有給休暇の取得日 数の差が効いているもようだ。
じつは日本の労働者にとってさらに追い打ちをかけるような事実があることも、見逃し てはなるまい。通勤時間の存在、これである。島田([1989]p.9)によれば、通勤に1時
間以上とられる労働者の比率はアメリカ6%、フランス4%、西ドイツ3%に対して、日
本では16%余りにも達するという。国によって1日の長さに違いがあろうはずはなく、労 働時間や通勤時間が長いということは、その他の生活時間の配分に大きな影響を与えているであろう。したがってそのしわ寄せ具合を、もう一歩家庭に踏み込んで観察する必要が ありそうだ。
2.2.2長時間労働がもたらす家庭生活:「三過ぎる」の構造
それを試みる前にいま一度、長時間労働を形づくっている生活の様子をトータル・タイ ム・ファンド(国民全体の生活時間)によって概観しておきたい。
経済企画庁総合計画局編[1989]『1800労働時間社会の創造』は「社会生活基本調査報 告」に依拠して生活行動を仕事、学業、家事・育児、休養・くつろぎそして趣味・娯楽・
スポーツの5っに分けて各行動が男女のいかなる年齢層によって担われているかを、各年 齢層の年間時間の構成比を人数の構成比で除した特化係数でもって指標化し、その計測結 果から:表3、「家庭は共同の活動を行う場ではなく、分業する場となっていること」を 指摘している。すなわち学業は10代後半に、仕事は20から59歳の男子に、家事・育児は25 から59歳の女性に、休養・くつろぎそして趣味・娯楽・スポーツは20歳未満と60歳以上に 集中している。そこには、子ども時代は勉強に偏り過ぎ、大人になったら仕事に偏りすぎ、
熟年期には暇があり過ぎるという、いわゆる「三過ぎる」構造が存在するというわけであ
る。
表3 5大生活行動の性別・年齢層別特化係数*
仕 事 学 業 家事・育児 休養・くつろぎ 趣味・娯楽・スホ。一ッ 年齢層 特化 年齢層 捌口 年齢層 特化 年齢層 特化 年齢層 特化
係数 係数
騰
係数騰
30代 1.72 10代後半 8.84 70歳以上 1.91 10代後半 1.75 男 20代後半 1.71 20代前半 1.91 60代後半 1.67
性
40
1.70 70歳以上 1.6250 1.54
10代後半 8.37 30代 2.64 70歳以上 2.02
女 20代後半 2.41
40代 2.14
50代 2.07
性 60代前半 2.00
60代後半 1.77
資料:経済企画庁編[1989]p.28
原資料:「社会生活基本調査報告」昭和61年
注:特化係数は各年齢層別に年間時間の構成比を人数の構成比で除したもの
長い労働時間
休暇が本人の都合通り 取れるとは限らない
職のある人は十分に家庭内 の活動に時間が割けない
家族・夫婦・親子が共同でやること 時間や物事をシェアしあうチャンス が少ない、予定が立たない
ノ
聯碁漕口劉
子供は学校で預かって欲しい
家族は分担・分業しあう 関係(=三過ぎる構造)
愚____
隊燃費匪δ緬亙到
教育の外部化 の促進
,/
〆
職を持つ人は家庭のこと に関心を示さずに、仕事 に専念出来ることを望ん でしまう
子供が勉強さえしてれば安心
図3 家庭生活分断サイクル 資料:経済企画庁総合計画局編[1989]P.76
かかる「三過ぎる」の家庭内分業体制は、いうならば長時間労働を支えるべく構築され たシステムといってもよく、人生60年時代の高度経済成長期には多分に経済効率的だった わけであるが、そうであったから余計に図3に示される通り、人生80年時代の今日、むし ろ多くの問題を抱え込んでいると言わねばなるまい。それがいかなる課題なのか、そこの ところをこれからみていくことになろう。
2.3主婦の生活時間
そこで眼を少しく移し、主婦(家庭婦人)の生活時間の割り振りをみていく。表4は昭 和45年(1970)から平成2年差1990)までの主婦の平日の生活時間を5年毎にみたもので ある。これを見ると、この20年間で主婦の生活がどのように変化したかよくわかる。
生活必需行動では睡眠時間がわずかずつだが減っている。余暇行動では会話・交際やレ ジャー活動が2あるいは3倍に大幅に増えた。自由時間や自宅外で過ごす時間も1時間前 後増えている。逆に仕事、家事などの労働時間は減少している。以下ではこの観察結果を ふまえて、いま一歩主婦の暮らしぶりに迫ってみよう。
表4 家庭婦人の生活時間の変化(時、分)
行 動 昭和45年
昭和50年 昭和55年 昭和60年
平成2年 生活必需時間睡眠
7.39 7.30 7.33 7.24 7.25食事
1.44 1.45 1.44 1.42 1.44身のまわりの用事 1.01 1.13 1.00 LOO 1.02
労働時間
仕事
1.12 1.10 1.06 1.02 0.31家事
7.57 7.46 7.36 7.29 7.18余暇行動時間
会話・交際 0.46 0.50 0.51 1.00 1.33
休養
0.40 0.40 0.41 0.42 0.35レジャー活動
0.24 0.29 0.39 0.57 0.58テレビ
4.30 4.57 4.44 4.25 4.21新聞・雑誌・本 0.27 0.27 0.37 0.37 0.39
. 魑 o , ● 一 ● の ● の . 一 一 鴨 一 ● 一 ● 画 願 騨 , , , 卿 o , 一 〇 〇 〇 一 , 一 騨 ・ ・ 一 9 一 一 一 の 一 , 一 聯 一 一 一 , , ● 一 ・ 一 一 一 , 一 一 一 一 . 一 ● 一 一 一 一 ・ 一 一 一 〇 〇 一 〇 〇 .
自由時間行動
3.58 4,02 4.14 4.33 5.15自宅外時間
2.51 3.07 3.11 3.40 3.41休養=療養・静養+休息 資料:NHK国民時間調査 2.3.1 片働きと共働き主婦の生活時間
ひとくちに主婦とはいっても、今日では共働きが片働きを上回るまでに社会進出が進み っつあるので、ここでは生活時間の配分状況を片働き(専業主婦)と共働きの主婦に分け て比較しながら観察してみたい。
表5はその主婦の代表として30代の場合を取り上げたもので、それによれば、睡眠時間 はいずれの場合も7時間10分前後、と大差はない。当然のことだが賃金労働時間には大きな 違いがあり、その差が起床在宅時間の違いをもたらしている。13時間余りの専業主婦に対
して、パートタイムの主婦が9時間18分、フルタイムの主婦は7時間余りしかない。そこ から家事時間をひねり出すわけだが、平日の家事時間は専業主婦が8時間44分なのに対し て、フルタイムの主婦は3時闇45分、これは専業主婦の半分にもみたない水準である。パー
トタイムの主婦も5時間12分となっており、パートの場合でも専業主婦よりは家事時間は ずいぶんと短い。これは、その内の炊事、掃除、洗濯の場合にも同じ様な傾向がみられる から、これらの諸活動を反映したものといえよう。
その家事労働の少ない分を共働き主婦はどう対処しているのかといえば、掃除、洗濯は 平日と休日では逆転傾向を示しており、日曜に回しているようだ。したがって彼女達は
「仕事」時間の減った分を全て自由時間に取り込むことができず、自由時間に乏しいこと が知れる。
このような有り様をもう少し知ることができる。資料的には少しばかり古いが、妻の就 労形態別に勤労者世帯の生活時間を追跡した興味深い調査がある:表6(3)。この調査結果 によれば(PP.62−3)、3者間で生理的生活時間に差はない。平日の勤務と通勤を合わせ た時間は、パートの妻が6時間、常勤の妻は8時間半となっている。パートの妻は、自分 の労働時間を抑制して家事育児をこなし、家庭生活を支えている事情を反映し、夫の労働 時間の延長に伴って減少する。社会的・文化的生活時間は常勤やパートの妻では1から2 時間と短く、以上の様子はおおむね先の「国民生活時間調査」の結果に近い。
表5 主婦の生活時間*
(単位二時間.分)
共働きの主婦
専業主婦
フルタイム パートタイム平日 日曜 平日 日曜 平日 日曜
す い み ん
7.17 8.06 7.09 8.03 7.09 8.04仕 事
.23 .12 7.14L34
4.59 1.02家 事
・3.44.ユ瓠
3.雄銑45i
,、き;1嬬辱 .炊 事
サ う じ た く Dい物・編み物メ@い 物 q供の世話
a人や老人の世話
ニ庭雑事
2L3音∵
D騰 ki留i
D10 D45 Q.23 D04
kOO
_2、12一∵31・
C1.2畦
@.06
@.53
@1.25
@.03
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.垂.3瑳.,.,
@.4簸
@.01
@.18 @.43
@.02 @.26
一1.:45i.
@・湘
P.認:
@.02
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・呉器〜::1,…LIB・ .02 .30 .37 .02 .38
み5驚
蛛D差.30・.
D07 D53 D32 D00 D58
自由時間行動のうち
ニ族との対話
・。・けいこごと e レ ビ
.30
D24 R.48
.32
D13 R.12
.21
D05 Q.16
.25
D13 Q.37
.27
D07 R.06
.33
D19 R.22
起床在宅時間
至3←05 1ゴ22 気ゆ4、灘1
:.:、、9三雄, 10瀞資料:NHK「国民生活時間調査(平成2年度)
注:30代
表6 就職形態別妻の生活時間:平日
無職妻 パート妻 常勤妻
生理的生活時間
睡眠 食事 身の回り 医療 休息
10.11 10.19 10.06
7.04 7.09 7.27 1.34 1.31 1.22 1.00 1.10 0.58
0。12 0.01 0。00
0◎21 0.28 0.19
収 入 労働 時 間
勤労家での仕事 内職的労働
通勤O.03 6.16
8.37
0.00 5.04 7.330.00 0.Ol O.01
0.03 0.17 0.00
0.00 0.54 1、.03家事的生活時間 8.33 5.10 3.32
調理
食事の片づけ 住生活管理 衣生活管理 裁縫・編物
買物育児・教育(私的)
育児・教育(社会的)
世話
家政管理
その他2.04 1。44 1.20 0.51 0.40 0.33 0.54 0.28 0.09 1.07 0.40 0.28 0。19
0.07 0.09
0.55 0.30 0.19 1.45 0.40 0.21 0.10 0.02 0.05 0.09 0.11 0.020.03 0.Ol O.Ol
O.16 0.07 0.05
社会的文化的生活時間 教養・研修
読書 新聞
テレビ・ラジオ
団らん・家族との係わり
趣味運動・散歩
娯楽つきあい・交際
社会的活動(一般)社会的活動(消費)
その他
5.13 2.15 1.45 0.24 0.02 0.02 0.19 0.05 0.07 0.26 0.28 0.08 0,47 0.38 0.37 0,16 0.18 〔】.17
0.44 0.10 0.09 0.14 0.05 0.G3
0.00 0.03 0.00 1.05 0。14 0.14 0.18 0.01 0.01
0.19 0.03 0.00 0.21 0.08 0.07
合
計 24.00 24,00 24.00資料:伊藤・天野編[1989]p.32
2.3.2 家事時間の短縮
さきに表4でみたように、家事時間全体ではこの20年間に39分もの大幅な短縮がみられ た。しかしながらそのなかへもう一歩踏み込むと、少しく異なる生活シーンが現れる。そ こでこの項とつぎの項ではこの点に立ち入って接近してみようとおもう。
表7 家庭婦人ωの家事労働時間ωの変化(時、分)
家事全体i
炊事 そうじ 洗濯 縫い物 買い物 子供の 家事i
編み物 世話 雑事昭和45年 7.57 1
@ : 2.58 0.56 1.03 0.54 0.47 1.07 0.40
55 7.36 :
2.50 0.53 1.16 0.30 0.42 1.04 0.55
平成2 7.18i 2.30 0.44 1.11 0.14 0.45 1.10 1.04
資料:NHK国民時間調査
注1:「家庭婦人」とは主として家事に従事している女性で、配偶者の有無に
は関係ない。2:平日の全員平均時間。全員平均時間とはその行動をとらなかった者も含
めた全員の平均値をさす。家事の主要なものに炊:事、掃除、洗濯、子供の世話がある。その様子を表した表7から、
おそらく主婦が毎日行っているであろう炊事の時間は28分減っている。掃除も12分の減少。
その原因を「これらの軽減には耐久消費財の普及が大きく影響している」と「国民生活白 書」は指摘している:p.64。逆に洗濯時間は増えている。ただし45年から55年にかけて13 分の増加、55年から平成2年には5分の減少のためにこの20年間では8分の増加に過ぎな
い。この動きをどう読むか、さきの「国民生活白書」は、「洗濯機の普及と、衣生活の多 様化に対応して各種の洗剤が売り出されたことから、家庭での洗濯の頻度が増したため、
時間的にはそれほど短縮があらわれなかった」とみる。確かに45年から55年にかけての増 加は、需要側の生活水準の上昇による清潔さに対する欲求度が高まったことも含めての洗 濯回数の増加によるものであろう。またそのあとの洗濯時間の減少は、全自動洗濯機の出 現が洗濯回数の上昇による時間増を吸収し、洗濯時間の節約をもたらしたものと考えられ
る。
子供の世話は省力化がむずカ・しい部分が多いからであろうか、時間は増えている。子ど もの数は減ったが、ひとりの子どもにかける育児時間はずいぶんと長くなっている。
ところでこのような観察事実に対して、ものが豊かになればそれによって縛られる時間 も多くなる。家を持てば掃除をする時間は増える。車を持ち、家具・調度品を購入すれば 手入れなどの雑事も加わる。台所の改善や新しい家電製品は炊事時間を短くしている面も あれば、手のこんだ料理に時間をむしろ多く費やしている面もある。したがって、家事労 働時間は単調に減っていくものとばかりはいえない、という意見を耳にすることがある。
そしてこのような考え方に共通しているのは、極端に言えば食事はすべて外食したり出前 をとり、衣服の繕いも、洗濯も人にやらせればいい。ただそれでは収入が足りないから仕 方なく家事労働を行なっているわけで、主婦は過重な家事労働の被害者であり、まさに家 事労働は家庭の必要悪だといわんばかりの点である。確かに経済理論的には家事労働が全
て外部化することも不可能ではない。しかしながら、このような考え方に対して溝上
[1968]は、だから家庭電化に始まる変革は家事労働(時間)を減少させたが、そこから 生まれたものは精力不消耗の主婦と現金稼ぎの婦人で、空いた時間を学齢期の子どもを勉 強机にしがみつかせた。これでよいのか。むしろこれを契機に、それを小さい、くだらな いものだといい加減に流さないで、家事は必要善と受けとあることが大切だ、と説く:p p115−26。この説の意図するところをわれわれ流に汲あば、家事を家族のコミュニケー
ションのひとつの「場」として位置づけること一一例えば家事の余暇化による場つくりが それに当たろうか一一が可能で、また今こそ必要だと読みとれる。これもあるいは家事の 見直しの一環といえよう。ただ、家事を減らしてまでも外で働くのは、なんといっても増 える教育費を稼ぎ出すためだとしたら、問題の根は深い。
2.3.3 家事労働時間の世代別差異
これまで家事労働時間は(全体としては)減少傾向にあるかどうか、の論議が活発で、
さらに一歩なかに入り込んだ検討は試みられていなかった。ところが、松村・島崎[1993]
によって家事労働時間の減少に関して「世代差」がみられることが確かあられた。図4に
分
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資料:日本放送協会『NHK生活時闇調査』
注:全員平均時闇、平日
図4 家事労働の世代別の動向
よると、1985年以降家事の社会化を積極的に取り入れて大きな減少傾向にある20代は、社 会化を利用しながらも、それに全てを依存しない(あるいはできない)40代から60代まで の世代に比べ、際立っている。逆に高齢者ひとりあるいは夫婦のみから成る世帯が増え、
従来同居世代に面倒をみてもらっていた70代以上では自分(達)でせざるを得ないために 増加傾向がみられた。いったいこのような世代間の差異は何に起因するのであろうか。
松村・島崎[1993]は、生活歴に基づく生活意識の違いが特有の生活様式を生む、とい
う生活法則的仮設の検証を行ってこの間への接近を試みている。すなわち家計のサービス 化、家事の社会化が進む過程において、生活歴に基づく生活意識の違いがある種の抵抗力
として働き、家事行動の社会化趨勢にブレーキをかけたと考えれば、上でみたような世代 間における動きの違いも説明がつくというものである。20代はブレーキとなる履歴現象が 作用せず一一そもそもそのような履歴を有しない、また40代から60代までの世代では履歴 効果によりある程度のブレーキが効いたわけで、このことは家事労働を規定する要因とし て社会的変動要因(demonstration effect)に加え、生活歴を背景とする履歴効果(after effect)が大きく影響していることを意味する。
なおその際、家事に対する意識を形成するのは結婚前までの期間であるが、実際の行動 パターンを形成するのは小学校時代までの生活歴に大きな影響を受けること。また家事に 対する負担感は性別役割分担意識に基づいた教育に影響されることなども確かめられた。
2.4家族の接する時間
現在の家族規模からしてこれまでで家族を構成する「役者」がほぼ出揃ったので、ここ では家庭を一場の場面と見立ててかれらの「揃踏」をみてみよう。観察資料はふたつある。
ひとつあの『国民生活白書・平成4年版』では、子育て期が家族の共有時間を最も多く 持とうとするはずだと推測してであろうか、その家庭形態として共稼ぎの両親に小学生と 中学生の4人家族をモデルにして、「国民生活時間調査」に依拠して、家族が1日(平日)
のうち一緒に過ごす時間をシュミレートしている。それをまとめた図5によれば、各自別々 のスケジュールで行動しており、在宅率にばらつきが生じ、その結果のズレが構成員問の
ミスマッチを生み、家族の個別化現象を招いていると分析している。
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(注)1.NHK「国民生活時間調査」 (平成2年)より作成
2・纏糊繰黒三国難i霊芝1難題黎逸翻鵬髪縮誓羅
3.平日における行為者率であり、平日とは月曜日〜金曜日までの平均である。
図5 家族が一緒に過ごす時間
そこのところを同じく「国民生活時間調査」によっていま少し観察してみる。年齢別の
「起床在宅」時間を昭和55年と平成2年の2時点で捉えると、図6a(男性)b(女性)
の通りになる。男性の場合、60代以上の年齢層とそれ以外の世代一ことに20代から40代 の働き盛り層一との問には大きな時間差があり、しかもこの働き盛りの年齢層ではここ 10年の問にさらに30分から1時間近くも起床在宅時間が短くなっている。
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図6a 年齢別の「起床在宅」時間の変化 平日・全員平均時間・男子
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図6b 年齢別の「起床在宅」時間の変化 平日・全員平均時間・女子
㎝ 7晒
他方、女性はこの10年間に相当程度短くなってはいるが、何と言っても30代以上ではそ の水準が10時間から12時間余りと長い。目につくのは20代で2時間21分も激減している点。
市場労働への参入率がいっそう進んだことと、その一方でこれまでのようには退出率が下 がらないことによるものであろう。
さてもう一度図5に戻りこれを一瞥すれば容易に理解できるように、家族員聞のズレは なんといっても父親の遅い帰宅が原因であり、その調整いかんでは、相当程度ミスマッチ を解消しうるようにおもわれる。ただそれには図6aでみたような在宅時間の圧縮傾向に 歯止めがかからねばならない。この点に関して云えば、昨今(期せずして)時短が進みっ つあり、これは家族の触れ合いということからすれば好ましい。
ふたつあは長時間労働が家庭生活にどのように影響するかについて、先述の伊藤・天野 ら[1989]による多摩ニュータウン在住の雇用労働者夫妻の生活時間調査。天野([1989]
はpp.57−60)これについて以下のように箇条書きにまとめている。すなわち、
妻に対しては、
①妻が就業したくても夫の家事協力が得られず、一人で担うためパート就労となった り、就業ができなかったりする。
②妻が就業している場合も、夫が分担すべき家族への諸役割を妻が行わねばならず、
妻が過重負担になる。
③妻の家事労働の過重負担が、妻自身の個人としての社会的・文化的な時間を奪い、
また待ち時間としての時間が主体性を発揮できなくしている。
子どもに対しては、
④夫・妻、父と子のコミュニケーションが少なくなり家族の生活を豊かにもっことが 出来ない。
⑤(父親として)日常的な生活場面における生活上の注意やしっけの役割が果たせず、
土曜・休日のみの「サービス的接触」に偏ってします。
⑥夫妻の家庭生活内の具体的な協力の様子を子どもに日常的にみせることが出来ず、
今後の労働者家庭に必要な協力の様式の伝達が出来ない。
親に対しては、
⑦老親との交流や世話介護の問題に取り組む時間がなく、必要な社会的対策や措置に 対しても無関心・無理解となり、妻を精神的にも肉体的にも圧迫することになる。
社会に対しては、
⑧地域や社会的問題への関心が薄くなり、地域の人々との関わりの中で問題解決でき る家族や生活上の諸問題に積極的に取り組めず、結果的に生活の質を高めていくこと が出来ない。
2,5高齢者の生活時間
これまでライフステージ別に生活時間を観察した際、高齢者についても担当程度関説し ているので、ここではそれを改あてまとめるとともに、ひとつだけ付け加えるべき事項が あるのでそれについて触れておきたい。
確かに、熟年期には余暇時間が余るほどあることを観てきた:「三過ぎるの構造」。ま た高齢世帯の増加によって家事労働の増加傾向もみられた。そして子どもや孫だちとの交
流(時問)が減っていることが分かった。
ところで、人生80年時代における生涯生活時間の配分を伊藤・天野[1989]はモデル化 してみせてくれた◎それによると、男女を問わずおおよそ60歳を境にして余暇時間=社会 的文化的生活時間の時間配分が圧倒的なウエイトを占めるようになるという。終わり良け れば全て良しということわざがあるが、まさに人生の収穫期を実り多いものとするために は、人生の最後の20年における社会的文化的生活時間の持つ意味を、その重みを、われわ れはここでもう一度確認しておきたい。
3 小 括
簡単にまとめておく。まずはライフステージ別に就学期の子供達からみると、睡眠時間 を減らしてまでも机に向かう傾向にある小・中・高校生の家庭生活ぶりが目につく。
成人期の男性は家計を維持するのに忙しく仕事にどっぶりと浸かり、家事・育児に振り 向ける時闇は乏しい。この家事・育児はもっぱら女性の領域となっていた。家事労働は減 少傾向にあるとは言うものの、これに育児が加わる共働きの女性にはゆとりがない。
中年の男性は相も変わらず労働時間に追われ、自由時間に恵まれない。他方、女性は育 児から開放され、家事労働も減り気味となれば、よゆうのある眼はおのずから家から外へ
と向かう。ねじれ現象の発生である。それが解消するのは熟年期になってからである。
つまるところ家族の接触は少なく、時間帯も限られていた。これはなんと言っても長い 労働農園に起因するもので、期せずして時短が大幅に進みっつあるいま図7のような時間 短縮社会の実現が求あられている。生活時闇が職場から自分や家庭あるいは地域に移れば、
当然関心もそちらの方へ向くことになろう。いくつもの会社以外の集まりに顔を突っ込み、
その多彩な経験に基づく多くのコアを有する個人生活は、われわれのいうエレガント・ファ ミリーの必要条件となるであろう。
労働時間短縮型社会の実現
非労働時間における多彩な経験 非労働時間への需要拡大
多くのコアをもつ個人生活
図7 生活のコアの多元化
資料:経済企画庁総合計画局編[1989]p.97
注
(1)伊藤・天野[1989]は、生活時閤に関する実証分析を試みる過程において「自由時 間」の本来意味するところは、決して「社会的・文化的生活時間」や「余暇時間」と同じ ではなく、また「拘束」に対する「自由」というのでもない。生活時闇すべてに「拘束」
と「自由」という要素が含まれていて、それらは社会・経済的諸条件や主体の意識によっ て変化するものであることに気づき、以下の図のような分類を行っている:pp.66−68。
ここでいう「拘束」とはく強制された〉あるいは〈管理された〉、または〈自分の意のま まに選びとることのできない〉という意味であり、「自由」とはく自分の自主的で主体的 な選択が可能な〉という意味を指す。重要な提起で、それに賛同するものである。
ただ、「内容的には同じグループに入る」(天野[1989]p.64)との指摘もあるように、
統計的調査で用いるこれらのタームには大した差異はないように思われる。
生理的生活 収入労働 家事的生活
社会的・
文化的生活
拘束と自由
拘束と自由(拘束〉自由)
拘束と自由(拘束=自由)
拘束と自由(拘束く自由)
資料:伊藤・天野[1989]p.67
(2)長崎大学学生生活調査分析検討委員会編[1994]「豊かな学生生活を目指して:第 4回学生生活調査報告書(分析編)」長崎大学学生部
(3)伊藤セツらによって1985年に多摩ニュータウンにおいて行われた、子供のある夫婦
(妻無職70、パート50、常勤30、計150の有効ケース)の三日間(平日、土曜日、日曜日各 一日)の生活時間の実態調査である。
(4)生活歴と履歴効果の重要性については、家事労働との関連で谷村[1994]において かなり詳しく述べているので参照されたい。
引用文献
天野寛子[1989]「家事労働・家事様式と生活技術・生活文化」日本家政学会編『家庭生 活の経営と管理』朝倉書店
伊藤セッ[1989]「新しい生活様式の創造と選択のために」日本家政学会編『家庭生活の 経営と管理』朝倉書店
一一 E天野寛子[1989]『生活時間と生活様式』光生館
J.P.Robinson[1977]、厚。ω、4侃θr cαπsθs87享1γLθs, New York, Praeger pp.25−26
経済企画庁総合計画局編[1989]『1800労働時間社会の創造』大蔵省印刷局
松村祥子・島崎利枝[1993]「家事時間の変化を規定する諸要因の分析」『群馬大学教育学 部紀要芸術・技術・体育・生活科学編』28巻
溝上泰子[1968]『生活人間学』国土社
島田晴雄[1989]「豊かさを考える一一勤労者生活の国際比較のために」『日本労働協会雑 誌』358号
谷村賢治[1994]「家庭経営いまなにを問われ、それにどう答えるか」『長崎大学教育学部 教科教育研究報告』24号