FICオープンセミナー報告
著者 法政大学国際文化学部
出版者 法政大学国際文化学部
雑誌名 異文化. 論文編
巻 21
ページ 237‑278
発行年 2020‑04‑01
URL http://hdl.handle.net/10114/00023213
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2019 年 7 月 23 日(火)の 17 時から 19 時にかけて、BT0300 教室に おいて第一回「専任教員による研究発表会」が開催された。本会は国 際文化研究会における FD 活動の一環として企画されたものである。
その主たる目的は、「FIC オープンセミナー」を学部と共催し、大学 院所属の専任教員が自身の研究分野について発表を行うことで、大学 院生のみならず学部生に対しても、大学院における研究活動の一端を 知ってもらうことにあった。今後も毎年度二回程度の開催を予定して いる。
記念すべき第一回発表会では、昨年度にサバティカルを取得された 2 名の専任教員によって発表がなされた。出席者は約 30 名であり、
専任教員、大学院生、学部生、卒業生で構成された。
佐々木一惠研究科長による挨拶の後、まず始めに、輿石哲哉教授よ り「スコットランドにて英語を考える」と題して発表が行われた。言 語学の観点から標準英語と Scottish English、さらに Scottish English と Scots との差異が紹介された上で、特に Scots の成立経緯と諸特徴、
社会的背景について解説が行われた。加えて、輿石教授の関わった英 語辞書の編纂を一つの事例として、英語の文法記述がいかに行われる かについて解説がなされた。「英語帝国主義」が叫ばれる昨今、英語 にも地域ごとの言語偏差が確かに存在すること、またそのような英語 の多様性を認識することが、英語を対象とする言語学研究においてい かに重要であるかが良く分かる発表であった。
続いて、松本悟教授より「今なぜ開発援助か ― 過去を学ぶ意義と 今を見つめる眼差し」と題した発表が行われた。実務と研究という 2 つの側面から、現代日本において「開発援助」という取り組み・概念 について考える意義について論じられた。長年東南アジアにおける開
第一回 専任教員による研究発表会
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発援助に NGO 職員として関わり、そのような実践に関して理論的考 察を続けてきた松本教授による発表では、具体的なデータや体験談に 基づきつつ、過去から現在にかけてどのように「開発援助」の在り方 が変容してきたかについて詳細に解説がなされた。同時に、今後の「開 発援助」のあるべき姿について聴衆に対しても考察を促す発表であっ た。具体的な事例から理論的な考察を行う際のバランス取りや論じ方 は、学部生のみならず大学院生にとっても、極めて示唆に富んだ発表 であったといえる。
以上のような発表がなされた後、質疑応答の時間が設けられた。教 員、学生、卒業生などから活発に質問が投げかけられ、双方とも 1 時 間の持ち時間では足りないほどであった。
第一回研究発表会を通じて感じたのは、大学院と学部との学術交流 という観点からも、専任教員による研究発表会は極めて有意義なもの であるという点である。そもそも、学生たるもの卒論・修論執筆に取 り組む前に、まずは自ら進んで指導教員の研究成果を調べることは当 然ではあろう。そのような前提条件に加えて、本研究会は専任教員に よって未だ論文や書籍にされていない研究途中の成果を見聞きできる 貴重な機会となったと考える。発表内容や発表方法に留まらず、研究 者が研究対象に接近していく中で、どのような逡巡や決意があったの かを含めて、研究を行うことの魅力を感じ取ることのできる発表で あったと思う。
2019 年度秋学期には第二回「専任教員による研究発表会」は実施 予定であるが、第一回以上の聴衆が集まることを祈るばかりである。
(文責:廣松 勲)