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平成3年度修士論文要旨

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Academic year: 2021

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平成3年度修士論文要旨

その他のタイトル Desumee der Magisterarbeit 1991

著者 黒沢 宏和

雑誌名 独逸文学

巻 36

ページ 150‑151

発行年 1992‑06‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00018283

(2)

修士論文要旨

『体験話法におけるモダリテートについて』

黒沢宏和

体験話法は,これまでさまざまな研究がなされてきたのにもかかわらず,

数多くの未解決の問題を残し,今日では体験話法に関する研究そのものが 減少する傾向にある.それに加え,語学的見地からのアプローチが比較的 少なく,それらも主として形態論的見地から論じられたものがほとんどで

ある.

しかしながら,法・人称・時称などにまたがる複雑な文法構造をもつ体 験話法を形態論的見地からのみ考察するのは,必ずしも得策だとは思われ

ない.

そこで本稿では,体験話法を意味論, とりわけ現在注目されつつあるモ ダリテート (Modalitat)の側から考察することにした.

体験話法に関しては, 「名称」「内的独白との比較」 「3人称直説法過去 形」の問題に照明を当て,それらの考察を通じて筆者なりの定義をするに

とどめた.

モダリテートに関しては,一般にモダリテートを表すとされている話 法の助動詞(Modalverben),話法詞 (Modalw6rter), 心態詞(Mo‑

dalpartikeln),話法の不定詞(Modalelnfinitive), そしてその形態か ら言えば明らかに形態論に属するものの,それを構成する各々はモダリテ ートを表すとされている法(Modi), さらに以上を総括した話法の体系 (Modalsysteme)をそれぞれ概観した.その結果,次のような問題点が 挙げられる.

1. 「モダリテート」という語自体暖昧で,厳密な定義がなされていない.

2. ,,Modaladverben:@, ,,Modalw6rter@4, ,,Modalpartikeln$@等の語 の区別が暖昧である.

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3.

Modalverben,Modalw6rter,Modalpartikeln等のモダリテート を表す語彙的手段にのみ,研究が集中している.

以上のことを考え合わせれば, 「モダリテート」という語の定義が暖昧 なまま,モダリテートを表すModalverben,Modalw6rter,Modalparti‑

kelnなどの語彙的手段にのみ,研究者の目が向けられている,と言えよう.

以上の体験話法及びモダリテートの考察を踏まえ,体験話法におけるモ ダリテートを考究した結果, 「願望」「推量」 「疑惑」「必然性」「否定」な ど, さまざまなモダリテートが体験話法によっても表されることが判明し た. さらに筆者は,体験話法におけるモダリテートを次のように特徴づけ

た.

1.体験話法におけるモダリテートは,体験話法という限られたフィクシ ョンの中でのみ表される.

2.体験話法は,Modalverben,Modalw6rter,Modalpartikelnなどの 語彙的手段と同様に, さまざまなモダリテートを表しうるが,体験話法 におけるモダリテートは,その性質上,モダリテートが作者自身のもの であるのか,あるいは登場人物のものであるのか区別し難い.

3.これまでの主として語彙的手段に注目したモダリテート研究では,個 々の語彙的手段の表すモダリテートは考察されてきたが,残念ながらそ れらを総括したモダリテートはいまだ考究されていない. これに対し,

体験話法の表すモダリテートは,一般にこれらの語彙的手段をすべて含 みうるので,語彙的手段を超えて,文あるいは文章全体の表すモダリテ

ートを考察できる.

1970年代以降の語用論, コミュニケーション論の発達に伴い,モダリテ ートの研究の中でもとりわけModalpartikelnなどの語彙的手段に研究 が集中している.すでにW.Schmidtが指摘したように,今後この傾向 は益々強まるように思われる.

しかし,モダリテートを表しうるのは, Modalverben,Modalw6rter, Modalpartikelnなどの語彙的手段だけではない.そこで, これらの一般 にモダリテートを表すとされている語彙的手段をすべて含みうる体験話 法を,新しいモダリテート研究の一領域として考えるのも有意義なことで

はなかろうか.

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参照

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