• 検索結果がありません。

制裁解除とビジネス重視の環境が整う影響で 2016 年と 2017 年の実質 GDP 成長率は 4.2% と 4.6% に押し上げられ 経済指標も全般的に上向くと考えられている 製造面では 主に炭化水素の生産増と原油価格回復の見通しが成長に寄与する 支出面では消費 投資 輸出が主な要因になるとみられ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "制裁解除とビジネス重視の環境が整う影響で 2016 年と 2017 年の実質 GDP 成長率は 4.2% と 4.6% に押し上げられ 経済指標も全般的に上向くと考えられている 製造面では 主に炭化水素の生産増と原油価格回復の見通しが成長に寄与する 支出面では消費 投資 輸出が主な要因になるとみられ"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

2016 年 11 月 JETRO ドバイ事務所作成

イラン経済の現状

世界銀行の最新の中東・北アフリカ地域(MENA)経済モニターレポートでは、イランの成長 率は制裁解除と環境がビジネス重視の方向に進む影響で、2016 年は 4.2%、2017 年は 4.6%にな ると予測している。 2016 年 1 月の核開発問題関連の制裁解除、および国会議員選と専門家会議の選挙における穏健 派と改革派の躍進が、改革を推進するハサン・ローハニ(Hassan Rouhani)大統領の政権運営 にとって追い風となった。イランと P5+1(米国、英国、フランス、ロシア、中国、ドイツ)は 2015 年 7 月、対イラン制裁の解除計画を示した包括的共同作業計画に合意した。2016 年 1 月 16 日にその履行日を迎え、イランに対する核開発問題関連の制裁は実質的にすべて解除された。 一方、2016 年 2 月に行われた国会と専門家会議(主な役割は最高指導者の選出)の選挙では、 穏健派と改革派が勢力を大きく拡大し、中心的保守派は支持を失った。これらの動向と改革促 進派政権の存在を考えると、経済改革を進めやすい環境が整ったと言える。さらに、年間 8%の 実質 GDP 成長率を目指す新たな 5 カ年開発計画が 2017 年 3 月 21 日に始動することも、ビジ ネス環境にはプラス材料である。 主要経済指標 2014 2015 推計 2016 予測 2017 予測 実質 GDP 成長率 (%) 3.0% 0.5% 4.2% 4.6% インフレ率 (%) 15.6% 14.2% 13.1% 11.6% 経常収支(対 GDP) 3.8% 0.6% -0.4% 1.2% 財政収支(対 GDP) -1.2% -2.7% -1.8% -1.0% 出典:世界銀行 制裁の影響による 2012 年および 2013 年の深刻な景気低迷を経て、2014 年の実質 GDP は 3%上 昇した。2013 年 11 月にイランと P5+1 が共同作業計画に暫定合意し、制裁の一部解除により消 費者と企業のマインドが改善されたことが影響した。共同作業計画の暫定合意による活力が 2014 年の経済回復につながったが、共同作業計画による制裁解除時期の不透明感が当初の進展 に水を差し、回復傾向は 2015 年に小休止した。最終的に 2015 年のイランの経済成長率は 0.5% になるとみられている。 消費者物価指数は 2012 年 10 月にピークとなる年率 45.1%に達した後、2016 年 1 月には 12.6% に下落しているため、拡張的金融政策には慎重になりインフレ率は下がり続けることが予想さ れる。しかし雇用創出ペースは鈍化したままで、失業率は 2014 年の 10.6%から 2015 年は 11.7%に上昇した。原油価格の低迷により、財政赤字も対 GDP 比で 2014 年の 1.2%から 2015 年 は 2.7%に拡大している。同様に経常収支の黒字は、対 GDP 比で 2014 年の 3.8%から 2015 年は 0.6%に下落している。

(2)

制裁解除とビジネス重視の環境が整う影響で、2016 年と 2017 年の実質 GDP 成長率は 4.2%と 4.6%に押し上げられ、経済指標も全般的に上向くと考えられている。製造面では、主に炭化水 素の生産増と原油価格回復の見通しが成長に寄与する。支出面では消費、投資、輸出が主な要 因になるとみられている。イランの基準からするとインフレ率は穏やかに推移する見込みであ る。 制裁解除、特に制裁解除による金融制度へのプラスの影響により対外取引費用は著しく減少す る。外国直接投資および凍結資産の本国還流により資本流入が活発化し、イラン・リアルを押 し上げ輸入インフレ抑制につながるだろう。 財政赤字は主に原油収入の改善により、2016 年が 1.8%、2017 年は 1%に縮小するとみられてい る。経常収支は 2017 年に黒字に転じるとの予測だが、これも主に原油輸出の増加が影響して いる。見通しに対するリスクは原油価格の低迷、世界成長の鈍化、核開発関連以外の制裁が海 外企業に与える不安感によりカントリーリスクが高止まりする可能性などである。イランに持 続的かつ包括的な成長をもたらすための主要課題の 1 つは、第 6 次 5 カ年計画で構想されてい る構造改革に着手する見通しに関連するものである。そして最後に、今後誕生するトランプ政 権がイランに対する敵対姿勢を崩さず、共同作業計画を撤回させようとするリスクが残ってい る。

イランの主なインフラプロジェクト

ここではガス、石油化学製品、電力、輸送、水、廃水などを中心とするイランのさまざまなプ ロジェクト分野を要約する。 これらのインフラビジネス分野については、新規プロジェクトだけでなく既存プロジェクトも 取り上げる。中には下請けやパートナーシップ機会の可能性がある既存プロジェクトもあるた めである。 イランの石油化学投資活動 イランの石油化学産業は、今後 10 年で大きな成長が期待されている。制裁解除、国外からの直 接投資の増加、政府による石油化学分野の促進計画が、このセクター全体の成長につながるこ とはほぼ確実である。それでもなお海外からの投資をイランは切望しており、これらの投資は 石油化学セクターの長期的な持続可能性に不可欠である。 イランには石油化学製品の生産量を 10 年で 1 億 8,000 万トンに拡大するという野心的な目標が あり、石油化学製品の生産において地域のリーダーとなることを目指している。メタノール、 エチレン、ポリエチレン、オレフィン、アンモニア、尿素の各石油化学製品の生産 への投資が、 今後の当該分野の成長に結びつくだろう。現在、67 以上の石油化学産業関連プロジェクトが計 画・進行中である。特別経済・エネルギー区が設置されている湾岸港湾都市アサルーイェ (Assaluyeh)からプラスティックメーカーの集積するケルマンシャー(Kermanshah)を結ぶ 1700m の西エチレンパイプライン、オレフィン 11 および 12 プロジェクト、カブフ(Kaveh)

(3)

ラフィ(Rafi)のメガメタノールプロジェクトの完了により、イランの石油化学産業の持続的 成長への準備は整ったと言える。

イラン国会(マジュリス)研究所(The Research Center of the Parliament <Majlis> of the Islamic Republic of Iran)は、イランの今年度(2017 年 3 月 20 日まで)の石油化学製品生産量は 7.8% 増になると予想している。イランの国営石油化学会社(NPC /National Petrochemical Company) が発表した統計によると、2015 年の石油化学製品生産量は 4,640 万トン、今年の最初の 4 カ月 間は 1,700 万トンだった。今年は通年で 5,000 万トンに達すると予測されている。石油化学産 業は過去 3 年間で 15.5%、去年は 7%成長している。この数年、石油化学プロジェクトが稼働開 始していることで石油化学製品の輸出量は過去 3 年間で 46%、去年は 12%増加した。 子会社を通じてさまざまな下流コンビナートを運営する NPC は、未完成の 55 の石油化学プロ ジェクト完了を目指している。そのうち 15 プロジェクトは現在稼働中で、40 プロジェクトは 完了まで今後 5 年で 2,000 万~2,200 万ユーロの投資が必要になる。 事業費約 22 億ユーロの 7 つの石油化学プロジェクトにより、石油化学の生産能力は約 400 万 トン向上した。このプロジェクトとは次のとおり。 ・湾岸の付け根マフシャフル(Mahshahr)のタフテ・ジャムシード石油化学(TJPC /Takht-E- Jamshid Petrochemical Company)施設

・イラン西部のロレスターン石油化学(Lorestan Petrochemical Company)施設 ・西アゼルバイジャン州オルーミーイェ(Orumieh)の硫酸プロジェクト ・中西部・イスファハーン州カーウィアーン(Kavian)石油化学施設の第 2 フェーズ ・南西部・ファールス州マルヴダシュト(Marvdasht)のアンモニアプロジェクト ・北部・コルデスターン州モルバーリド(Morvarid)のエチレングリコールプロジェクト ・西アゼルバイジャン州マハバード(Mahabad)の石油化学プロジェクト 2016 に、さらに次の 7 つのプロジェクトが完了し、稼働を開始する。 ・西エチレンパイプラインの第 1 および第 2 フェーズ

・マフシャフルのカルーン(Karoon)石油化学(KRNPC/Karoon Petrochemical Company)施設 の第 2 フェーズ

・北西部コルデスターン州(Kordestan)のポリエチレンプラント ・テヘラン州パルディス(Pardis)石油化学施設の第 3 フェーズ

・エンテクハブ(Entekhab)石油化学(Entekhab Petrochemical Company)工場

・タフテ・ジャムシード・パルス・アサルーイェ石油化学(TJPAC/Takhtjamshid Pars Asaluyeh Petrochemical Company)工場 ・西部ケルマンシャー州ダーラーフー(Dalahu)群の石油化学施設 今後 10 年間で、事業費見積り 300 億ユーロとなる 28 件の新プロジェクトが予定されており、 いずれも海外からの投資が不可欠である。そのため NPC は海外企業の市場参入を促進する政策 を掲げている。すでにイランの石油化学製品購入計画、および産業(の開発)への協力計画に ついていくつかの海外企業と交渉中である。

(4)

2016 年 4 月、NPC のマネージングディレクターであるマルズィーフ・シャーフダーイー (Marzieh Shahdaie)氏は地元メディアに対し、イランはイラン暦 2016 年度(3 月 20 日から開 始)14 の石油化学プロジェクトを立ち上げる計画であると述べた。新プロジェクトが完了すれ ば、イランの石油化学生産能力は約 600 万~700 万トン引き上げられる。 イランは低迷する下流分野に待望の底入れをするため、技術とインフラ分野で海外からの多額 の投資を必要としている。NPC は、イランの石油化学分野が主に外国直接投資を通じ、毎年 80 億~100 億ドルを集めるとみており、東アジアと欧州企業が高い関心を示している。比較的安 価なエネルギー価格、エネルギーゾーンの免税、7,500 万人の市場のすべてがイランの魅力であ り、多国籍企業によるイランの石油化学プロジェクトへの投資促進が期待されている。 以下は最近のプロジェクト例である。  マフシャフルおよびアサルーイェはこの数年間、石油化学インフラ投資において代表的 な存在であったが、今後もそれは変わらないだろう。NPC は、フーゼスターン州にマフ シャフル石油化学特別経済区(Mahshahr Petrochemical Special Economic Zone)を開発し、 南西部の港町アサルーイェに新たな石油化学コンビナートを開発する予定である。  2015 年後半、NPC がドイツの国際的化学メーカーBASF およびリンデグループ(Linde

Group)の 2 社と投資機会について交渉したと伝えられている。

9 月 10 日、イランのキーアン石油化学(Kian Petrochemical Company)とドイツ のリン デグループとの FEED (Front End Engineering Design)実施契約が発表された。これによ りキーアン石油化学によるオレフィン、ブタジエン、水添脱アルキル化、およびベンゼ ンユニットの建設においてリンデグループが技術的専門知識を提供する。プラントのマ ネージングディレクターであるモハメド・レザー・ファーゼリー(Mohammad Reza Fazeli)氏によると、現在リンデグループでは積極的にプロジェクトにエンジニアリン グ支援を提供しているという。12 カ月の契約で契約額は 3,494 万ユーロ。キーアン石油 化 学は 2012 年、イラン南部の アサルーイェ石油化学コンプレックス( Asalouyeh Petrochemical Complex)の操業を開始した。FEED とは概念設計やフィージビリティスタ ディの後に行われる基本設計のことであり、FEED 設計では技術要件とプロジェクトの 概算投資費用を重視する。FEED はプロジェクトのさまざまな部分ごとのパッケージに 分割することもできる。

PGHC (Persian Gulf Holding Company)は 9 月 20 日、 事業見積り 60 億ユーロとなる 11 の石油化学施設を建設予定であることを発表した。これまでのところ 11 の施設の予算 は中国が資金提供している。

石油化学産業はドイツ、英国、フランス、オランダなど国外からの投資と国外市場への輸出に 制裁中も大きく依存し続けていた。制裁前に HSBC、フランスのソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)、BN パリバ(Paribas)、ドイツ銀行(Deutsche Bank)の各国際金融機関がイラン の石油化学産業に少なくとも合計 100 億米ドル投資しており、相当量の技術輸入ができたため

(5)

である。イランは、制裁後にこれらの投資家などがイランに戻ることを望んでおり、技術パー トナーとしてフランスのフランス国営石油研究所(IFP /Institut Français du Pétrole)、テクニッ プ(Technip)、オランダのバセル社(Basell)、シェル(Shell)、デンマークのハルダー・ト プソー(Haldor Topsoe)などを迎えることを目指している。イラン政府はアジア太平洋地域か らもパートナーに関心のある団体を探しており、タイのサイアム・セメント・グループ(SCG) は実質的に国外初の技術パートナーである。SCG はイランのポリエチレン会社と 3 億 6,000 万 米ドルの契約を締結している。 最近の NPC のレポートによると、現在バンダル・イマーム・ホメイニ港(Bandar Imam Khomeini Port)などを中心に以下のようなさまざまな石油化学製品生産に関する投資機会があ る。  オレフィン・プロジェクト:生産能力 547,000 トン、必要投資額 4 億 400 万ドル EPDM(※エチレン・プロピレンゴム)プロジェクト:生産能力 45,000 トン、必要投資 額 1 億 3,900 万ドル  ポリマー工学プロジェクト:生産能力 800,000 トン、必要投資額 9 億 1,200 万ドル  ベンゼンチェーン・プロジェクト:生産能力 450,000 トン、必要投資額 3 億 6,600 万ド ル  アクリロトリル・プロジェクト:生産能力 200,000 トン、必要投資額 3 億 1,000 万ドル 建設・運営・移転(BOT)および建設・所有・運営(BOO)のプロジェクト 建設・運営・移転(BOT)と建設・所有・運営(BOO)方式は、海外資本および将来の収益源 を活用して迅速な開発を実現できるため、特に原油価格が低迷し資本が見つけにくい状況にあ ったイランでは頻繁に利用されるようになっている。

イランはバンダル・アッバース発電所(Bandar Abbas Power Plant)、北部のシャヒード・ラジ ャーイー発電所(Shahid Rajee Power Plant)、北部のアルボルズ発電所(Alborz Power Plant)、 南西部のラーミーン発電所(Ramin Power Plant)、南東部のケルマーン発電所(Kerman Power Plant)の拡張について、国際的エネルギー会社と契約交渉を行った。南イスファハーン発電所 (South Isfahan Power Plant)など、いくつかのプロジェクトで BOT 方式が用いられた。南イス ファハーン発電所はイランの電力業界では先駆者的存在であり、イランで初めて稼働に至った 独立系の発電事業者(IPP)プロジェクトである。2002 年、イラン電力開発公社(IPDC /Iran Power Development Corporation)とイランの MAPNA グループは事前契約を結んだ。契約では 発電所の建設期間は 3 年、商業運転開始日(COD)以降の商業運転期間は 20 年とされている。 しかし最近、政府は発電所の大部分を民間セクターに移行することを決定しており、ますます BOO 方式に移行している。

(6)

以下はイランで実施されている主要な BOO および BOT プロジェクトである。 イランにおける BOT および BOO 方式の大規模電力プロジェクト プロジェクト名 発電タイプ 投資形態 生産能力 (MW) プロジェクトの 投資価格 (100 万ユーロ) 回収期間 (年)

South Isfahan ガス BOT 954 320 20

Fars ガス BOT 972 550 20

Parehsar コンバインドサイクル BOT 968 550 20

South Isfahan スチーム BOT 480 0 20

Mianeh コンバインドサイクル BOT 1000 0 20 Rafsanjan コンバインドサイクル BOO 1000 0 20 Rudeshur ガス BOO 2000 700 0 Asaluyeh2 ガス BOO 1000 350 0 Ferdos ガス BOO 1000 350 0 Kahnuj2 コンバインドサイクル BOO 50 31 0 Noshahr コンバインドサイクル BOO 50 31 0

Ali Abad ガス BOO 1000 350 0

Khoramshar ガス BOO 1500 525 0

Khoram コンバインドサイクル BOO 500 310 0

Gevaneh コンバインドサイクル BOO 1000 620 0

Kahnuj1 コンバインドサイクル BOO 1000 620 0

Islam Abad コンバインドサイクル BOO 500 310 0

Yasd2 コンバインドサイクル BOO 500 310 0

(7)

ナショナル・イラニアン・ガス(NIGC/National Iranian Gas Company)のマネージングディレ クターは、制裁解除後はイランに BOO および BOT 方式で 400 億米ドル以上の投資が集まるだ ろうとしている。イランの 1 日あたりのガス輸出量は、今の 80mcm から 300mcm に増加する ことが期待できる。イランにはガス市場への近さ、世界最大のガス生産能力、低額な投資コス ト、さまざまな場所にガスを輸出する充実したインフラがあり、今後も国外のガス分野の投資 家にとって魅力のある投資先であり続ける。 2016 年 8 月に行われた一度の調印式で、民間企業とイランの国立水排水エンジニアリングカン パニー(NWWEC/National Water & Wastewater Engineering Company)の間で計 22 の契約が締 結された。プロジェクト内容は脱塩、地下水開発、下水システムなど多岐にわたる。NWWEC は BOT、BOO、ROT(補修、運営、移転)、バイバック方式などで 54 兆イランリアル(17 億米 ドル以上)の投資を誘致する計画。主な契約は以下のとおり。

 水の脱塩の BOT ベンチャーは最新の脱塩技術を活用し、15 年間キシュ自由貿易区庁

(KFTZA/Kish free Trade Zone Authority)に水を販売する予定。この期間の終わりに投 資が回収でき次第、プラントの所有権を KFTZA に移転する。  MAPNA グループと NWWEC は、この調印式で 2 つの契約を締結した。 1 つ目は MAPNA グループが、ペルシャ湾最大のゲシュム島(Qeshm)にある電力と水 のコジェネレーションプラントで製造した飲料水の買い取りを保証する BOO 契約であ る。契約に従い、ゲシュム発電所で製造する 1 日あたり 18,000 立方メートルの飲料水 が NWWEC に送られる。MAPNA グループはゲシュムの電力・水コジェネレーションプ ラントの投資家兼 EPC 事業者であり、当該プラントはゲシュム島の人口の半分に飲料水 を提供する目的で 2015 年に稼働を開始した。 2 つ目の契約は、テヘランの南西 30km にある MAPNA グループ所有のパランド (Parand)発電所の下水処理に関連するものである。この契約は同グループの投資企業 (MAPNA Investment Projects)の CEO ハリール・ベフバハーニ(Khalil Behbahani)氏と アリアン・マフターブ・ゴスター(Arian Mahtaab Gostar Company)の代表が調印した。 これにより両社は、パランド発電所の下水処理プロジェクトにおいて共同出資および共 同調達する。

テヘラン南方のゴム(Qom)水・廃水プロジェクトは、この地域への淡水供給に投資お

よび設計するためにゴム水道公社(Water and Wastewater Company)を設立した。5 年 間の BOO 方式契約でイラン輸出銀行(BSI/Bank Saderat)が資金提供した。1 日あたり の生産能力 3,000 立方メートルを目指す。

フーゼスターン州ヘンディージャーン(Hendijan-Khuzestan)市への淡水供給プロジェ クトは、ヘンディージャーンに淡水を供給するためにフーゼスターンの水道公社が立ち 上げた。イラン輸出銀行が 7 年間の BOO 方式契約で資金提供している。1 日あたりの生 産能力 5,000 立方メートルを目指す。

(8)

 その他、輸送インフラにもいくつか BOT 方式の機会がある。イラン道路都市開発省は 1,100km を超える高速道路の整備を計画しており、そのほとんどを BOT 方式の官民パー トナーシップで実施する。次はその一例である。 フーゼスターン州アンディーメシュク-同アフワーズ(Andimeshk – Ahwaz) ゴム州サラフチェガン-マルキャズィー州アラーク(Ghom-Salafchegan-Arak) ケルマーン州シールジャーン-バンダル・アッバース(Sirjan-Bandar Abbas) シーラーズ-ブーシェフル(Shiraz-Busheher) イランの道路都市開発副大臣は 2016 年 7 月、インフラプロジェクトにおけるイランと イタリアの協力を指して、イタリアと連携して鉄道システムの試験センターを設立する と述べた。代表的プロジェクトの 1 つがゴム-アラーク(Qom-Arak)の高速鉄道であ り、テヘラン-ゴム-イスファハーン(Tehran-Qom-Isfahan)ルートにつなげる。この 他にも資金調達は中国が担うものの、テヘラン-ゴム-イスファハーン鉄道の施設と設 備を購入する計画がある。同副大臣によるとイタリアはテヘラン-ハマダーン(Tehran-Hamadan)鉄道の調査も始めており、イタリアと最終契約に至ることはほぼ確実だとい う。 イラン・インフラレポート 2016 年11月作成 日本貿易振興機構(ジェトロ)ものづくり産業部 環境・インフラ課 〒107-6006 東京都港区赤坂1-12-32 Tel. 03-3582-5542

参照

関連したドキュメント

損失時間にも影響が生じている.これらの影響は,交 差点構造や交錯の状況によって異なると考えられるが,

in vivo では RIF は NTCP をほとんど阻害していないと考えられ、血漿中 DHEAS 濃度上 昇の原因にはならないと考えられた。血漿中 DHEAS 濃度の上昇が RIF による OATP

身体主義にもとづく,主格の認知意味論 69

このような背景のもと,我々は,平成 24 年度の 新入生のスマートフォン所有率が過半数を超えると

内部に水が入るとショートや絶縁 不良で発熱し,発火・感電・故障 の原因になります。洗車や雨の

(2011)

フロートの中に電極 と水銀が納められてい る。通常時(上記イメー ジ図の上側のように垂 直に近い状態)では、水

脱型時期などの違いが強度発現に大きな差を及ぼすと