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1/5 スケール模型実験に基づく建物の動的耐震診断法の基礎的検討

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Academic year: 2021

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1/5 スケール模型実験に基づく建物の動的耐震診断法の基礎的検討

A Basic Study on Dynamic Evaluation Method of Seismic Capacity of Residential Houses

Based on Experiments Using 1/5 Scale House Model

土木工学専攻 

26

号    月本  光栄

Koei  TSUKIMOTO

1. はじめに 

我が国では今後,東南海・南海地震や首都直下地震な どの地震の発生が危惧されており,今後は更なる耐震診 断・改修の促進と実施が急務である.日本建築防災協会 による現行の耐震診断

1

では図面を元に診断を行うため,

建物が図面通り建てられていない場合や実際の使用時の 荷重(2 階に設置した重い家具や浴室など)が考慮され ていない. また同診断法による精密診断では, 家屋の隅々 まで診断することが困難である上に,診断時間が長いた め,より簡便で高精度な診断を望む声も大きい.これら に関する既存の研究としては,建物の常時微動に着目し た建物の耐震診断が提案されているが

2,3

,実地震時の耐 震性能を適切に評価しうるかどうかが課題となっている.

よって,筆者らはポータブル起振器を用いて建物を実際 に揺らし,その挙動に基づき耐震性能を診断する手法を 提案する.本研究では,この提案手法のための基礎的検 討として,スチール製ミニチュア模型を用いて振動実験 を行い,より簡便で木造住宅の実情を反映した新しい診 断に必要となるパラメータの検討を行った.

2. 実験に用いた建物模型と起振器 

本実験では,実際の一般的な

2

階建て住宅(延床面積

115.9

㎡,平面図:図 1)を模擬した

1/5

スケールのスチ

ール製のフレーム模型(1820×1274×1120mm,重さ約

80kg)を用いる(図

2) .

2

階床と

2

階屋根裏に合板(15mm 厚)を設置した.

実建物診断を行うためには人力でも運びやすいポータ ブル起振器の使用を予定しているが,今回の実験では小 型起振器(底面:

76×130mm,高さ:149mm,重さ:1.6kg,

3)を用いて振動実験を行った.内部に設置した左右

の扇形の錘(84g×2 個)を同期させて回転し,1 軸に一 定の加振力を発生させるシステムである.

実験では,入力波の振動数はステップ関数(0.1Hz/2 秒)により

15Hz

まで上げた(図 4) .計測には速度計と

1F 2F

図 1  モデル建物の平面図

図 2 

1/5

スケールミニチュア模型

 

図 3  小型起振器(左図:外観,右図:内部の錘)

図 4  入力波の振動数の変化

2階床

速度計 加速度計

  2階屋根裏

加速度計 速度計

X Y

図 5  配置図(●:速度計,■:加速度計)

(2)

加速度計を用い,各フロアに

2

個ずつ設置した(図 5) . 速度計の計測限界は

25,000μm/秒なので,計測値がこれ

を超えた場合に加速度計で得られたデータを用いる.

3. 1/5スケールフレーム模型の起振実験   

3.1 常時微動の測定 

  まず初めに,ブレースを全く入れない状態(実験

No.1)

で模型の常時微動を計測し, 固有周期と変位を測定した.

その結果,1 次固有振動数はX方向で

5.6Hz,Y方向で

5.7Hz

であった.平均的な変位は,X方向では

0.09μm,

Y方向では

0.08μm

であった(図 6) .

3.2 ブレースをバランスよく入れた場合での加振    次に,

60cm

のブレースを長辺にバランスよく配置した 模型(No.9)をX軸方向に起振した.常時微動計測時の 固有振動数はX方向

15.0Hz(1

次) ,

20.0Hz(2

次)であ った(図 7) .起振させた場合の固有振動数は

14.9Hz (平

均最大変位

68.5μm)となった(図

8) .ただし,固有振

図 6  常時微動の測定結果

(左図:X方向,右図:Y方向)

図 7  ブレースの配置図(

No.9)

,常時微動(X 方向)

図 8  起振時の応答変位の推移

動数と平均最大変位は最大変位の前後

0.5

秒間の平均値 とした.また,固有振動数より模型の剛性を算出すると

701.2[KN/m]となった.

3.3 ブレース有りの場合での加振  3.3.1 ブレース量を変化させた場合 

  ブレースを取り付けていない模型(No.2)にスチール 製のブレースを長辺(180cm)に

1

組(30cm×1 :

No.3)

2

組(30cm×2 :

No.4)

3

組(30cm×3 :

No.5)

4

組(30cm

×4:No.6)と順に本数を増やしながら,それぞれ

15Hz

図 9  単位ブレース量の増やし方(No.3〜6)

図 10  実験パターン−固有振動数図(No.2〜6)

剛性(実験値)[N/m]

0 100 200 300 400 500 600 700

2 3 4 5 6

Experiment Number

Stiffness[KN/]

図 11 実験パターン−剛性図(No.2〜6)

0 100 200 300 400 500 600 700

0 200 400 600 800 1000

Displacement[μm]

Stiffness[KN/m]

No.6

No.2 No.3

No.4 No.5

図 12  変位と−剛性の関係図(No.2〜6)

(3)

まで起振させた(図 9) .ブレースを入れるごとに模型の 剛性は高くなり,常時微動での固有振動数および起振時 の固有振動数が高くなることがわかる(図 10) .また各 固有周期で起振した際の剛性も図 11 の通りに高くなっ ていた.No.2〜6 について剛性と最大変位の関係を見る と,剛性が小さくなるに従って変位が大きくなることが わかる(図 12) .

3.3.2 ブレースの配置を変化させた場合 

  次に,ブレース(長辺:60cm,短辺:

40cm)を建物の

対角の隅に入れた場合(No.7)と,長辺片側の

2

隅にだ けブレース (長辺:

60cm,

短辺:

40cm)

を入れた場合 (No.8) ,

車輪のように長辺の両端にブレース(長辺:60cm×2)

を入れた場合(No.9)の

3

パターンの模型をX軸方向に

15Hz

までX軸方向に起振させた(図 13) .

No.8

のように 片側だけにブレースを取り付けた場合,ブレースをつけ ていない側が大きく揺れ,開口部を大きくとっている

No.7

の場合でも剛性は低かった(図 15) .ブレースをバ ランスよく配置した

No.9

は偏心も起こらず揺れも小さ かった.つまりブレースの配置を変化させることによっ て見掛けの剛性が変化し,変位量が異なってくることが わかる(図 16) .

3.3.3 偏心加重を載せた場合 

  実際の住家では,重いタンスや書斎,2 階の浴室など によって建物が偏心している場合も多い.本実験では,

バランスよくブレースを入れた模型No.9の2 階屋根裏の

1

隅に錘を設置し,偏心の効果を評価する(表 1,図 17) . それぞれ+5kg(No.10) ,+10kg(No.11) ,

+15kg(No.12)

を追加した場合において,X軸方向に

15Hz

まで起振し ていく.錘の追加に従い,固有振動数が徐々に低くなっ ている(図 18) .また入力波の振動数が上昇するに伴っ

表 1  追加荷重パターン

 

図 17  追加荷重の錘

図 18  実験パターン−固有振動数 図 13  ブレース配置を変化させる(左から

No.7

(対

角型) ,No.8(コの字型) ,No.9(車輪型) )

図 14  実験パターン−固有振動数図(No.2〜9)

0 100 200 300 400 500 600 700 800

2 3 4 5 6 7 8 9

Experiment Number

Stiffness[KN/m]

図 15  実験パターン−剛性図(No.2〜9)

0 100 200 300 400 500 600 700 800

0 200 400 600 800 1000

Displacement[μm]

Stiffness[KN/m]

No.6

No.2 No.8

No.3 No.7 No.4 No.5

No. 9

0 100 200 300 400 500 600 700 800

0 200 400 600 800 1000

Displacement[μm]

Stiffness[KN/m]

No.6

No.2 No.8

No.3 No.7 No.4 No.5

No. 9

図 16  変位−剛性(No.2〜9)

(4)

図 19  入力周波数−変位図

図 20  頂点の変位応答履歴

表 2  実験結果一覧

て,変位量が大きくなっている(図 19) .この時,8Hz を境に追加荷重が重いほどその変位量が大きく現れた.

図 20 は,10kg の錘を載荷した№11 の模型を,X方向

14〜16Hz(固有振動数 14.4Hz)で振動させた場合の

錘を載せた頂点とその対角側の頂点の変位応答の履歴で ある(図 20) .錘のある頂点はX軸方向に大きく揺れて いるが,反対側の頂点は偏心しているため,Y軸方向に も揺れて円を描くような応答を示していることがわかる.

  最後に本実験パターンにおいての結果一覧(表 2)を 載せた.

4. 結論と今後の課題 

本研究では,この提案手法の基礎的検討として,スチ ール製ミニチュア模型を用いて振動実験を行い,より簡 便で木造住宅の実情を反映した新しい診断に必要となる パラメータの検討を行った.単位ブレース量を増やして いくことによって,剛性が高まり変位量が低減する効果 を検証することができた.また錘を追加することで剛性 が変化し,変位にも大きな影響を与えた.

一般的に図面のみを用いた診断ではブレースを配置す る場合,壁や開口部のバランスを考慮して偏心が起こら ないようにする必要があるが,実際に建物を使用する時 には家具などの荷重により,偏心が起こりやすい.本手 法を木造住宅へと適用して動的耐震診断を行うことによ り,現状での建物の使用状況に即した補強計画の立案が 可能になると考えられる.

今後は木製模型を用いた実験も行うと共に,実際の住 宅での計測データを蓄積する必要がある.またダンパー の設置などのその他の耐震補強方法による補強効果の検 証や,診断スピードを高めるための作業の簡便化と効率 化が必要である.

【参考文献】

1)財団法人日本建築防災協会:木造住宅の耐震診断と補

強方法−木造住宅の耐震精密診断と補強方法(改訂 版)

2004.

2)毎熊輝記・辻健・山田真・小林直太:常時微動による

戸建て住宅の動的耐震性評価に関する研究, 物理探査 学会第

106

回学術講演会論文集,

236-239,2002.

3)谷口仁士・磯部信宏:木造家屋の耐震力評価と被害予

測への応用,東濃地震科学研究所報告 Seq. No.19,

35-50,2006.

【謝辞】

本実験に際しては,応用地震計測㈱の梶原透氏,太 田賢治氏,飯沼博幸氏及び,ナイス㈱の鈴木芳郎氏,

門脇・石井建築設計事務所の門脇充氏にご協力いただ いた.記して深く感謝の意を表す.

常時微動 [Hz]

固有振動数 [Hz]

最大変位 [μm]

剛性 [KN/m]

No.2 - 5.6 5.3 903 88.7

No.3 30×1 10.5 10.2 343 328.6

No.4 30×2 14.5 13.0 114 533.7

No.5 30×3 15.0 13.9 49 610.2

No.6 30×4 15.5 14.2 23 636.8

No.7 対角 6.9 13.4 198 567.1

No.8 コの字 10.0 9.6 419 291.1

No.9 車輪 15.0 14.9 69 701.2

No.10 +5kg 16.0 14.9 70 701.2

No.11 +10kg 15.5 14.4 98 654.9

No.12 +15kg 15.0 13.8 128 601.5

実験パターン

0 5 10 15 20 25

0 2 4 6 8 10 12 14

Input Frequency[Hz]

Displacementm]

+15kg(No.12)

+10kg(No.11)

+5kg(No.10)

錘なし(No.9)

図 19  入力周波数−変位図  図 20  頂点の変位応答履歴  表 2  実験結果一覧  て,変位量が大きくなっている(図 19) .この時,8Hz を境に追加荷重が重いほどその変位量が大きく現れた.  図 20 は,10kg の錘を載荷した№11 の模型を,X方向 に 14〜16Hz(固有振動数 14.4Hz)で振動させた場合の 錘を載せた頂点とその対角側の頂点の変位応答の履歴で ある(図 20) .錘のある頂点はX軸方向に大きく揺れて いるが,反対側の頂点は偏心しているため,Y軸方向に も揺れて円を

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