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内田滋

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経営と経済 第74巻第1号1994年6月

ニュージーランドにおける貿易と金融

内田滋

I.はじめに

ニュージーランド経済は,90年代に入ってから景気回復の兆しを見せ始め 93年以降回復基調に乗りつつあると観察される。

周知のように,73年におけるイギリスのEC(欧州共同体,現在EU(欧 州連合))加盟がニュージーランドに与えた影響には大きいものがあった。

いわゆる「イギリスの酪・農場」として,かつては英国に仕向けた農業産品 が輸出の主要部分を構成するほどの供給基地であったことからの転換は必ず

しも容易でなかったのである。

そこには,同年秋の石油危機にともなう経済変動も,他の主要先進国と同 様にマイナスのインパクトを同国経済に及ぼした。それは,またイギリスや アメリカなどに顕著であったスタグフレーションとそれへの政策的対応にも 概ね類似した状況を提示したのである。

財政収支の悪化とそれへの対応をはじめとして,いくつかの経済政策にお けるポリシー・ミックスないし割当て問題が存在したが,政策運営としては 物価安定などかなりの成果をおさめたと見なすことができる。

産業構造についても,近年では他のOECD(経済協力開発機構)加盟諸

*本稿は,長崎大学経済学部東南アジア研究交流奨励金の平成5年度研究助成を受けて平

成6年3月20−26日に実施された調査研究の成果の一部である。

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国並みに第 1次産業部門のウェイトが相対的に低下し,製造・工業さらには 第 3 次産業の部門比率が増大してきている。

また, 8 4 年における金融制度改革の実施については,同国経済の規模がた とえば OECD 諸国に比しても小さいものであるという点はあるものの,わ が国における金融の自由化や国際化を考える場合に参考となるところが少な

くない。

最近の GATT (貿易と関税に関する一般協定)のウルク市ァイ・ラウンド を見るまでもなく,金融やサービスの諸分野を含む国際取引と市場動向には,

たとえば APEC (アジア・太平洋経済協力会議)や NAFTA (北米自由 貿易協定)といった新たな政治経済面での視点もあわせて対処することが求 められるようになってきた。

その意味においても,ヨーロッパからアジアへの貿易シフトを強めつつあ る同国経済の位置づけには十分な関心が持たれるところである。本稿では,

その経済分析へのファースト・ステップとして,主として近年における国際 貿易および金融面についてその推移の概況といくつかの間題点を整理し制度 的考察をおこなうことにする。

1I.マク口的経済構造の推移

1.経済社会の動き

ニュージーランドの人口は,最新のセンサスによれば 3 4 3 . 5 万人(1 9 9 1 年 3 月)で,国土面積は 2 6 . 8 万平方キロメートルである。その歴史は, 1 4 世紀 頃にマオリ人が移住し定着,開拓したといわれているが, 1 6 4 2 年にオランダ 人のタスマンが訪れ, 1 7 6 9 年にイギリス人のキャプテン・クックが探検し測 量を実施した。その後, 1 8 4 0 年にイギリスの植民地となり, 1 9 0 7 年には自治

1 )   New Z e a l n a d  D e b t  M a n a g e m e n t  O f f i c e   ( 1 9 9 4 )   p . 7 による。

(3)

ニュージーランドにおける貿易と金融 4 3  

領となったが, 1 9 4 7 年に英連邦の一員として独立国家となった。

したがって,立憲君主国(エリザベス E世を元首とする)である。国会は,

一院制で,近年では 2 期続いた労働党政権の後, 1 9 9 0 年1 0 月から国民党が政 権を担っており,それまでの経済政策を基本的に引継ぐと同時に,労働党政 権が徹底しえなかった財政改革に着手した。

社会福祉給付金の削減,医療費の一部利用者負担,年金給付金の削減等の 実施などがそれであり,労働組合への自由加入制など労働市場改革にも取組 んでいる。

1 9 7 3 年および7 9 年における石油危機の影響は,イギリスの E C 加盟による 農産物輸出へのマイナス効果と相侠って,貿易収支の悪化と経済成長率の低 下およびインフレーションの拡大などいわゆる欧米型スタグフレーションに 類似した経済状況を導いた。

これに対して,公共投資の拡大と同時に, 8 2 年から 8 4 年の所得政策(賃金

・物価の凍結を含む)の導入などがおこなわれた。その後,国民党に代わる 労働党政権は,インフレーション抑制を掲げて,金融引締めや市場原理にも

とづく規制緩和,政府機関の民営化などの諸政策を実施した。

財政収支の悪化に対しても, 8 6 年1 0 月所得税減税と GS  T ( G o o d s   &  S e r ‑ v i c e s  Tax) 間接税課税を実施し,後者は 1 0 パーセントから 8 9 年 7 月に 1 2 . 5 パーセントになった。

インフレーションについては, 8 7 年に消費者物価上昇率が 1 8 . 9 パーセント を記録したが, 9 3 年には1. 3 パーセントに落ち着いた。しかし他方で,同 年の失業率が 9パーセント台と依然高い水準にある。景気動向は,長期不況

も 9 1 年後半に底と見なされ,その後徐々に回復基調にある。

2  )以上は,準備銀行 (RBNZ) ( 1 993b) および全国地方銀行協会(1 9 9 4 )2 5 ー 2 7 頁に

もとづく。なお,経済社会の歩みや現状,企業行動・組織などについては,たとえば

Hawke  ( 1 9 8 5 ) .   B i r k s  a n d  C h a t t e r j e e   ( 1 9 8 8 ) .   Ham i 1 t o n  a n d  S h e r g i 1 1   ( 1 9 9 3 ) など参照。

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同国においても,イギリスやアメリカに準じて,スタグレーションを抑制 するのに高い失業率をともなうという雇用面でのコスト負担が小さくなかっ たといえるのである。

2 . 主要経済指標

国内総生産 (GDP) をはじめとする主要経済指標については,表 1に示 されている。なお,本稿では,特に断らない限り s NZ  $  (ニュージーラ ンド・ドル)を表わす。 GDP (現在価格表示)からは,景気回復の足どり が順調であることがうかがわれる。

ただ,その実質値レベルでの成長については,わずかにマイナス値となっ た年度もあって, 9 3 年度に入りようやく本格化したといってよい。

失業率は,依然として高い水準にあるが改善の兆しがあり,また,他方で 正規社員を抑えてパート・タイマーなどに振り替えるなどの雇用構造の変化

も見逃せない。

物価動向については, 8 6 年導入の GST が 8 9 年に 2 . 5 ポイント引上げられ た影響を90 年度の7.6 という上昇率数値に見ることができる程度で,全般的 に低位安定化が観察される。

8 5 年 3 月に自由変動相場制に移行した通貨レートも,対米ドル相場でN Z ドル高傾向がわずかではあるが見ることができる。さらに,交易条件におい ても,林業価格の上昇や原油価格低下などにより改善を示していることがう かがわれる。

また,金利動向については,長期ならびに短期金利のいずれも低下傾向に ある。インフレーション・レベルが低下し,鎮静化の状態が続けば,あるい は金融市場に懸念材料が生じなければ,国際的水準に近いレベルで推移する ことも予想される。

財政面では,表 l の AFB から財政赤字の改善がうかがえるものの,他の

3) たとえば,金融自由化後の銀行業などにおいて概に観察されている。

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ニュージーランドにおける貿易と金融 45  表 1 主要経済指標の推移

¥ ¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3   GDP  b ① i l . ②   s  6 6 . 4   7 1 .   4  7 3 . 6   7 3 . 4   7 7 . 1   GRGDP ① き ム 1 . 1 1 . 3  ム 0 . 4 ム 1 . 6 2 . 9   RUE  ①  %  7 . 2   7 . 5   1 0 .  1  1 0 . 0   9 . 1   GCPI  ④  %  4 . 4   7 . 6   2 . 8   1 . 0  1 . 3  E X R   0 . 5 9 5   0 . 5 9 0   0 . 5 4 1   0 . 5 4 6   0 . 5 3 8   TTI  ② ①     , 1 1 3 9   1 , 1 7 2     , 1 0 9 5     , 1 0 8 1     , 1 1 2 4   BR90  ⑥  %  1 3 . 5   1 3 . 8   9 . 9   6 . 8   6 . 4   GLR5  ⑥  %  1 3 . 1   1 2 . 3   9 . 6   8 .  1  7 . 1   A F B   b i l .   $  ム 9 . 5 ム 9 . 4 ム 2 5 . 6 ム 2 4 . 5 ム 1 8 . 2 制 GRGDP: 実質 GDP 伸び率, RUE:失業率, G C   P 1 消費者物価指数変化率,

EXR:対N Zドル為替レート(米ドル), T T   1  :交易条件指数, B R90 :  9 0 日銀行 手形レート, G L R   5 :  5 年物国債レート, AFB: 実質調整済み財政収支,① 3 月 末締めの年度,②1 9 9 3 年は暫定値,③ 6 月度 4 半期・季節調整済み,① 6 月度 4 半期,

① 6 月末締めの年度で1 9 8 9 年までの1 0 年間の平均を1 , 0 0 0 とする。① 6月度月次平均。

(出所, N  Z  D M O   ( 1 9 9 4 ) にもとづく)

先進諸国と同様に財政支出の対 GDP 比率の低下などといった財政再建問題 への解決努力も求められている。

このように,近年におけるニュージーランド経済のパフォーマンスは,雇 用面で緩やかであるが概ね順調に回復過程を辿っていると考えられる。

4  )以上は,ピル・パーチ(1 9 9 4 ) にもとづく。また,最新時点での財政データについて

はBi r c h ( 1 9 9 3   )を見よ。なお,表 l には示していないが, 9 4 年度1 4 . 4 , 9 5 年度1 1 . 9 ,  9 6 年

度5 . 4 ( 1 0 億ドル)が見込まれている。厳重な支出抑制と債務返済コストの低下,税収

入の循環的上昇などにもとづき財政状態が改善されるとしている。

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表 2 主要産業別 GDP 構成比 (単位: %) 

¥ ¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3   1 9 9 4   1 9 9 8   農 業 5 . 8   6 . 0   4 . 9   5 . 7   5 . 7   5 . 8   5 . 5   林 業 2 . 2   2 . 2   2 . 2   2 . 4   2 . 6   2 . 9   2 . 4   そ の 他 1 . 5  1 . 5  1 . 7  1 . 7  1 . 8  1 . 7  1 . 8  第 1次産計 業 部 門 9 . 5   9 . 7   8 . 8   9 . 8   1 0 . 1   1 0 . 4   9 . 7  

E 5 . 8   5 . 7   5 . 9   5 . 9   6 . 4   6 . 5   6 . 5   製 紙 印 刷 2 . 5   2 . 6   2 . 6   2 . 6   2 . 4   2 . 5   2 . 8   化

プ 学 ・ ゴ ム

ラ ス チ ッ ク 2 . 2   2 . 2   2 . 2   2 . 4   2 . 4   2 . 3   2 . 2   組 立 金 属 他 4 . 0   3 . 9   3 . 4   3 . 1   3 . 7   3 . 8   4 . 3   そ の 他 3 . 4   3 . 5   3 . 4   3 . 4   3 . 4   3 . 8   4 . 1   第 2 次産計 業 部 門 1 7 . 9   1 7 . 9   1 7 . 5   1 7 . 4   1 8 . 3   1 8 . 9   1 9 . 9  

電 力 ・ ガ ス ・ 水 道 3 . 0   2 . 9   2 . 8   2 . 9   2 . 7   2 . 8   2 . 8   建 設 4 . 9   4 . 6   4 . 2   3 . 3   3 . 1   3 . 2   3 . 5   商 レ 業 ・ ホ テ ル

ス ト ラ ン 1 5 . 7   1 5 . 6   1 6 . 3   1 5 . 4   1 5 . 5   1 5 . 3   1 5 . 3   運 輸 倉 庫 5 . 1   4 . 9   4 . 9   5 . 2   4 . 8   4 . 6   5 . 4   通 信 3 . 2   3 . 0   3 . 2   3 . 2   3 . 0   3 . 0   3 . 1   金 融 保 険 1 5 . 3   1 5 . 3   1 5 . 1   1 4 . 9   1 4 . 5   1 4 . 7   1 4 . 9   住 宅 所 有 権 7 . 4   7 . 4   8 . 1   7 . 8   7 . 7   7 . 5   7 . 3   社向会けなサしーいビ個人 ス 3 . 5   3 . 3   3 . 2   3 . 3   3 . 3   3 . 3   3 . 2   中 央 政 府 サ ー ビ ス 1 0 . 8   1 0 . 7   1 0 . 6   1 0 . 8   1 0 . 3   1 0 . 0   9 . 5   そ の 他 3 . 7   4 . 7   5 . 3   6 . 0   6 . 7   6 . 3   5 . 4   第 3 次産計 業 部 門 7 2 . 6   7 2 . 4   7 3 . 7   7 2 . 8   7 1 .   6  7 0 .  7  7 0 . 4  

i 口 L  計 1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 。 1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 .

制 1 9 9 1  :暫定値, 1 9 9 2 ・ 9 3 :推定値, 1 9 9 4 ・ 9 8:予測値。

(資料, N  Z 1  E  R  ( 1 9 9 3 ) による)

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ニュージーランドにおける貿易と金融 4 7   3 . 産業構造の動向

産業構造について,最近の GDP に占めるシェアから眺めてみよう。表 2 には 3 月度締めの各年度における主要産業の対 GDP 比率がパーセント表 示されている。

この表から容易に知れるように,かつて 30‑40 年前まで言われた「イギリ スの酪・農園 J としてのイメージは失われつつある。もっとも,地理的・風 土的なイメージとしては,依然として人口密度の低さや視覚にもとづく認識 において健在である。それは,最近におけるわが国などアジアからの観光客 が増加し,その殆んどが山歩きや釣りなど豊富な自然資源と直接にかかわり 合うことからも推測できるであろう。

ただ,ここでは, GDP に占める第 l 次産業部門の割合についてのことで あり,周知のように,輸出・入に関するタームは入らない。なお,それらに ついては,いくばくか次節において取扱われる。この割合がおよそ 1 0 パーセ ント前後というのは,他の主要先進国とも類似した数字といってよい。

第 2 次産業部門については,概ね 17‑18 パーセントの水準を保っている。

ただ,海外からの投資にもとづく分が,近い将来にわたっての工業生産の相 対的増大(の期待)としていかほど織込まれているかは不詳である。

近時,電力,ガス・水道や建設,運輸・倉庫を製造・工業に近い産業とし て位置づける見方がある。しかし,ここでは,従来通りの産業分類の考え方 にもとづいて区分している。

将来的には,この比率が 7 0 パーセントへ向かっているが,現状では少しオー バーしていることがわかる。景気が回復から拡大過程へ移行するにともなっ て,製造,工業の生産水準が上昇し,相対的にサービス部門のウェイトが後 退することも産業連関のレベルなどに低存する形であり得ょう。

5 )   NZIER( ニュージーランド経済研究所) ( 1 9 9 3 ) によれば,これは GDP 総計

に占める各産業別の投入に対する付加価値の百分率となっている。

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なお,ついでながら,オーストラリアと同様にこの国においても羊の放牧 が盛んであるが G A P (農業総生産高)に占める羊毛 (Woo l)の割合は, 8 8 年度 1 8 . 8 ,  8 9 年度1 8 . 5 , 9 0 年度 1 3 . 8 ,9 1 年度1 0 .   , 1 9 2 年度8.7 (暫定値) (パーセ ント)と低下傾向にある。

I D . 貿易構造の変化

1.輸出の推移

国内総生産レベルの順調な回復については先に見た通りであるが,ここで は同国の国際経済面について,とりわけ貿易収支とその内容を中心に調べる ことにしよう。

先ず,貿易収支の動きについては, 8 9 年度2 4 .   , 1 9 0 年度ム 6 . , 1 9 1 年度4 . 4 , 9 2 年度2 4 .   , 1 9 3 年度 1 6 . 7 (億ドル)となっており, 9 0 年度に赤字を計上して いる。

次に,輸出における主要項目とその大きさについてまとめると表 3のよう になる。これが示すように,輸出構成の上位は農・林・水産業にもとづく品 目によって占められていることがわかる。しかしながら,製造・工業品目に ついても,たとえば機械・鉄鋼・電気製品類の比率が8 9 年度5 . 6 , 9 1 年度6 . 6 , 9 3 年度6 . 7 (パーセント)と微増傾向にある。

1 9 6 0 年度では,羊毛3 3 ,乳製品2 9 ,食肉類2 3(パーセント)と輸出の8 5 パー セントを占めていたが, 1 9 9 3 年度では,さらに魚類・果樹園芸品を入れても 4 9 パーセントにすぎず,工業製品類が2 4 パーセントに拡大してきた。

6  )逆に増加傾向にあるのが肉牛 ( C a t t l e ) で,それぞれ 1 2 . 9 , 1 4 . 4 ,  1 3 .   , 1 1 6 . 7 ,  1 5 . 8   (パー セント)となっている。

7)  9 3 年度は暫定値。 NewZ e a l a n d  Debt Mg t .   O f f i c e ,  o p .   c i t .   p .   3 7

8 ,  9)  A  N Z Banking Group  ( 1 9 9 4 )   pp.4 ‑5  . 

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ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド に お け る 貿 易 と 金 融 49  表 3 主要輸出項目 (単位:億ドル)

¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3   食 肉 類 2 4 . 2   2 3 . 2   2 5 . 9   3 0 . 0   3 0 . 6   手 L 製 口口 1 8 . 8   2 0 . 7   2 0 . 2   2 3 . 8   2 6 . 7   林 産 E 1 2 . 1   1 3 . 6   1 5 . 6   1 7 . 9   2 2 . 8   羊 毛 1 8 . 0   1 3 . 2   9 . 6   1 0 . 8   9 . 0   魚 類 5 . 4   5 . 0   5 . 4   7 . 9   8 . 1   果 実 6 . 6   7 . 4   7 . 9   9 . 0   7 . 8   ア ル ミ ニ ウ ム 類 8 . 8   7 . 4   7 . 8   6 . 9   6 . 6   皮 革 類 7 . 3   6 . 6   5 . 6   5 . 5   5 . 8   カ ゼ イ ン 類 3 . 4   4 . 4   4 . 1   4 . 4   5 . 1   機 械 類 3 . 3   3 . 8   3 . 9   4 . 0   5 . 0   鉄 鋼 類 3 . 2   3 . 3   4 . 3   4 . 3   4 . 3   電 気 製 品 1 . 8  2 . 3   2 . 2   2 . 7   3 . 4   そ の 3 6 . 2   4 0 .  7  4 5 . 2   5 1 .  7  5 4 . 9   言 十 1 4 9 . 1   1 5 1 .  6  1 5 7 . 7   1 7 8 . 9   1 9 0 . 1  

L 一 一

制 いずれも 6 月度締めの年度で, 1 9 9 3 年度は暫定値。 F.O. B.ベース。その他に再輸出を 含む。

(出所,表 1 に同じ)

ただ,食肉‑乳製品‑魚類といった食料品目の割合は依然として高水準に ある。気候や風土に依存するところがあるとしても,酪農に関連する生産技 術とその体制などが果たす役割も見逃すことができないものである。

輸出先については,表 4 にあるように, CER  (経済緊密化)協定を結ん

でいる隣国オーストラリアが概ね最大の貿易相手国であり,近年では日本が

(10)

第 2 位,次いでアメリカ,イギリス,韓国の順となっている。このうち,韓 国の経済発展の持続程度にも依るが,イギリスと逆転することは時間の問題 であろう。

1 9 6 0 年では,イギリス 5 3 ,その他ヨーロッパ 1 8 ,アメリカ 1 3 ,日本 3 ,そ の他アジア 2 ,オーストラリア 5 (パーセント)という地域別構成み, 1 9 9 3   年では,イギリス 7 ,その他ヨーロッパ 6 ,アメリカ 1 2 ,日本 1 5 ,その他ア ジア 1 5 ,オーストラリア 1 9 (パーセント)というように変化してきた。

イギリスをはじめとするヨーロッパの地位の低下は, E C の存在ないしそ の活動にもとづくところが大きい。また,逆に,そのアジア・シフトについ ては, NIES  (新興工業経済群)や A SEAN  (東南アジア諸国連合)な どに見られるようなアジア地域での経済発展がこの 30‑40 年間においてめざ ましいものであったことも関係している。

わが国を含む G5"‑'7 の主要先進国ないし OECD 諸国などで議論されて きた世界貿易における自由主義の展開は, IMF=GATT 体制のもとで着 実に拡大の途を歩んできた。ただ,北欧諸国ならびに東欧諸国の E U 加盟動 向や NAFTA , APEC などの動きいかんによっては,主要地域聞におけ る国際取引とそこでの市場競争についてエリア間関係も含めて新たな状況が 現われてくることも考えられる。

2 . 輸入の推移

輸入構成については,表 5 から知ることができる。それによると,製造・

工業部門に向けた原材料や素材製品などが多くなっているのは同国の産業構 造を反映したものと見なすことができる。

C.  I .   F. ベースでは, 8 9 年度 1 2 4 . 9 , 9 0 年度 1 5 7 . 7 , 9 1 年度 1 5 3 . 3 , 9 2  

1 0 ) 国際通貨基金については, 7 0 年代における主要国の変動為替相場制移行にともなって

一部に機能低下が指摘されたが,途上国累積債務問題への取組みを含めて依然、として

少なからぬ国際的役割を担っている。

(11)

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド に お け る 貿 易 と 金 融 5 1   表 4 主要輸出相手国 (単位: %) 

ー ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3  

オ ー ス ト ラ リ ア 1 6 . 8   1 9 . 0   1 8 . 0   1 8 . 6   1 9 . 3   日 本 1 8 . 3   1 7 . 0   1 7 . 2   1 5 . 9   1 5 . 3   ア メ リ カ 1 3 . 4   1 3 . 3   1 3 . 3   1 3 . 3   1 2 . 2   イ ギ リ ス 7 . 0   7 . 3   6 . 6   6 . 6   6 . 5   韓 国 3 . 2   3 . 5   4 . 8   4 . 5   4 . 7  

ぷ 口品 、 湾 1 . 9  1 . 7  2 . 1   2 . 5   2 . 7  

ド イ ツ 2 . 1   2 . 3   2 . 4   2 . 4   2 . 6   香 港 1 . 7  1 . 4  1 . 5  2 . 1   2 . 2   マ レ ー シ ア 1 . 7  1 . 7  1 . 9  2 . 0   2 . 1   中 国 3 . 7   1 . 1  1 . 2  2 . 1   2 . 0   カ ナ タ 1 . 8  1 . 7  1 . 5  1 . 5  1 . 7  シ ン ガ ポ ー ル 1 . 1  1 . 1  1 . 3  1 . 5  1 . 5  ベ ル ギ 一 1 . 1 . 1 . 1 . 1 .

フ フ ン ス 1 . 4  1 . 2  1 . 1  1 . 2  1 . 2  イ タ リ ア 2 . 2   1 . 8  1 . 7  1 . 2  1 . 1  そ の 他 1 1 .   9  1 4 . 7   2 4 . 3   2 3 . 2   2 3 . 7  

計 1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   的再輸出分は含まず。(出所,表 l に同じ)

年度 1 5 4 . 8 ,9 3 年度1 7 3 . 3 (ドル)であり, 9 3 年度 1 年間の伸びが大きい。こ れには,景気回復ととりわけ輸入を中心とした投資活動の持直しに支えられ たものとされており,他方,同国の生産者の競争力増強を反映して比較的制 限されている面もあるとしている。

1 1 ) ピル・パーチ,前掲吉による。 C.I .  F. 運賃・保険料込み価格。なお, F.O. B. 

本船渡し価格。

(12)

表 5 主要輸入項目 (単位:億ドル)

¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3   鉱 物 ・ 化 成 品 2 6 . 5   3 2 . 9   3 5 . 2   3 6 . 3   4 0 . 0   機 械 類 3 0 . 2   2 6 . 7   2 0 . 6   2 1 .  0  2 3 . 5   工 業 材 料 品 9 . 2   1 1 .  7  1 1 .  0  1 2 . 2   1 4 . 1   飲 ‑ 食 料 品 8 . 9   1 0 .  1  9 . 9   1 0 . 6   1 2 . 0   織 物 類

e

7 . 1   8 . 6   8 . 3   9 . 3   1 0 . 5   金 属 類 8 . 6   1 0 . 3   9 . 1   9 . 7   1 0 . 3   そ の 他 2 3 . 5   4 3 . 9   4 6 . 4   4 3 . 1   4 9 . 4   三 十 1 1 4 . 0   1 4 4 . 2   1 4 0 . 5   1 4 2 . 2   1 5 9 . 8   制 V.  F.  D. ベース。 1 9 9 3 年度は暫定値。(出所,表 1 に同じ)

では,輸入相手国については,どうであろうか。表 6 によれば,オースト ラリア,アメリカ,日本の順で大きく,いずれも 1 0 パーセント以上を占めて いる。

ここでも,イギリスの地位は低下しておりその傾向が継続している。ただ,

輸入の品目構成とニュージーランドの GDP ないし産業構造とによって,

ヨーロッパ地域としての大幅な比率低下は近年に関する限り見られない。

他方,中国などアジア地域の経済発展が順調であることにより,パートナー としても相対的にアジア・シフトが徐々に観察されるところとなっている。

もとより,個別の品目ないし種類によって差異はあるにせよ,アジア地域 からの第 l 次産品や工業製品のうち少なからぬ部分は,国際競争力の面にお いて入り込めないところがある。その点も含めて,アジア・西太平洋地域に おける各市場分野での相互にわたる棲み分け問題は,人件費から流通コスト

1 2 )なお,輸出・入ともに,アメリカにはアメリカ・サモア,グアム,北マリアナ諸島,

プエルト・リコ,パージン諸島を含み,オーストラリアにノーフォーク島を含む。

(13)

ニュージーランドにおける貿易と金融 53  にいたる諸種の市場価格要因の動向と相侠って流動的であるといわざるをえ ない。

表 6 主要輸入相手国 (単位: %) 

¥ ¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3   オ ー ス ト ラ リ ア 2 1 .   6  2 0 . 8   2 0 . 5   2 2 . 2   2 1 .   7  ア メ リ カ 1 6 . 7   1 8 . 1   1 7 . 3   1 8 . 4   1 8 .  7  日 本 1 8 . 5   1 6 . 4   1 5 . 0   1 5 . 2   1 5 . 3   イ ギ リ ス 7 . 7   9 . 0   7 . 1   6 . 2   6 . 2   ド イ ツ 4 . 4   4 . 4   4 . 6   4 . 2   4 . 3   中 国 1 . 1  1 . 1  1 . 4  2 . 2   2 . 9  

A 口

a

3 . 3   2 . 8   2 . 5   2 . 8   2 . 8   サ ウ ジ ア ラ ビ ア 3 . 0   3 .  1  3 . 4   3 . 2   2 . 3   イ タ リ ア 1 . 7  2 . 0   2 . 4   2 . 3   2 . 3   フ ブ ン ス 1 . 5  1 . 6  2 . 2   1 . 8  1 . 8  韓 国 2 . 5   1 . 9  1 . 6  1 . 6  1 . 6  カ ナ タ 2 . 0   1 . 8  1 . 7  1 . 6  1 . 4  シ ン ガ ポ ー ル 1 . 2  1 . 3  1 . 5  2 . 4   1 . 4  ス ウ ェ ー デ ン 1 . 5  1 . 1  3 . 7   1 . 2  1 . 4  マ レ ー シ ア 0 . 6   0 . 6   0 . 9   1 . 0  1 . 4  香 港 1 . 8  1 . 4  1 . 2  1 . 4  1 . 4  オ フ ン タ 1 . 1  1 . 1  1 . 1  1 . 1  1 . 1  そ の 他 9 . 8   1 1 .   5  1 1 .   9  1 1 .   2  1 2 . 0  

5 十 1 0 0 . 。 1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 . 0   1 0 0 .

制 v .   F.  D. ベース。(出所,表 1 に同じ)

(14)

3 . ガ y ト・ウルグァイ・ラウンド

ガット (GATT) ウルグァイ・ラウンドがおよそ 7年越しの事前協議の 末,周知のように昨年 1 2 月1 5 日に決着した。

ニュージーランドは,酪・農業ないしその関連産業のウェイトが高いこと や,そこでの生産コストが他国と比較して相対的に低いこと,さらには近年 において当該分野への補助金などを削減してきたことなどもあって,ウルグ ァイ・ラウンドへの取り組みには積極的なものがあったと見なしてよい。

とりわけ,それは,農産品の国際取引に関する分野において妥当する。同 ラウンドでは,農業市場での広範な貿易障壁の軽減をはじめとして,製造・

工業からサービス(金融‑保険を含む),各種パテントおよびロイヤルティと いった知的所有権などにいたる自由貿易への一層の進展と努力が確認された。

農家所得を支援する国内補助金支出の 2 0 パーセント削減や,輸出補助金を 金額で 3 6 パーセント,数量で 2 1 パーセント削減することなどが議論された。

ガットによるこの改革がうまくいけば,例えばニュージーランドの食肉類や 乳製品について輸出業者が享受する価格上昇は平均して 1 7 パーセントにおよ ぶという見方もある。

同国では,農業生産者への補助金該当額(対生産額ベース)が 8 7 年度 1 5 パー セントを切って以来,年々低下しており 9 1 年度から 5 パーセントを下まわっ て9 2年度では約 3パーセント水準となっている。他方,同年レベルのオース トラリア,アメリカ, E C ,日本は,それぞれ1 0 パーセント超, 2 5 パーセン ト 超 , 4 5 パーセント超, 7 0 パーセント超(いずれも対全産品)の高い水準に ある。

したがって,自立ないし価格競争力を強めてきた同国の農業生産者に対し

て,諸外国では逆に補助金削減が生産者の誘因を低減させるように作用する

であろう。このため,供給量低下から価格上昇に結び、つくことになる。それ

と同時に,従来の規制的な取引活動が市場アクセスを制限していたことによ

るリスクもガ、ソトの取り決めで軽減されることになるというものである。そ

(15)

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド に お け る 貿 易 と 金 融 55  して,農家の収益性や投資,生産高の上昇につれて,農業向けの第 2 次産業 部門の成果も増大するであろうとしている。

たしかに,短期ないし中期的な見方としては,いくばくか楽観的かも知れ ないがあり得べきケースといってよい。とりわけ,農業生産者ないし農業生 産システムそのもののあり方にまで朔って検討することが求められているわ が国にとっては,農業における生産性・効率,市場性,国際競争力などにお いてニュージーランド農業とその生産システムが示唆しているものは決して 少なくないのである。

4 . 資本収支と外貨準備

ここでは,国際収支のうち経常収支および資本収支,外貨準備の大きさに ついて見ておこう。表 7 にまとめられているように,近年では貿易収支で黒 字基調となっているが,貿易外収支で赤字が継続している。このため,経常 収支尻が赤字で推移することとなっている。

表 7 国際収支と外貨準備 (単位:億ドル)

貿 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ 収 支 1 9 8 3 9 3   . 2   1 9 9 1 0 3   . 5   1 9 9 1 1 5   . 6   1 9 9 3 2 5   . 9   1 9 3 9 4 3 .   8  

貿 易 外 収 支 ム 3 5 . 9 ム 3 7 . 5 ム 3 1 . 3  ム 5 1 . 7  ム 4 8 . 8 経 常 収 支 ム 2 . 7 ム 2 4 . 0 ム 1 5 .7  ム 1 5 . 8 ム 1 4 . 0 資 本 収 支 ム 1 4 . 1 3 7 . 9   2 4 . 9   0 . 8   1 4 . 6   総 合 収 支 ム 1 6 . 9 1 3 . 9   9 . 2   ム 1 5 . 0 0 . 6   準公備的高外合計 貨 5 0 . 2   5 4 . 5   5 9 . 9   5 4 . 7   6 2 . 0   制 フロー分は 3 月末締めの年度で,ストック分は 6 月度締めの年度である。

(資料, N Z  D M O   ( 1 9 9 4 ) より作成)

1 3 ,  1 4 )   A N   Z  B. G. 前掲吉 pp.4‑ 5 。なお, N Z 1  E  R の予測として,牛肉,羊肉,

乳製品,小麦への価格効果がそれぞれ 4 , 1 4 ,  7  ~4 1, 7  (パーセント)のプラス,

小麦を除く数量効果が 3 , 2 ,  2~3 (パーセント)のプラスとなることが示されて

いる。

(16)

なお,表中,貿易外収支に移転収支を含み,観光・運輸が貿易外収支の主 要部分を占めている。

資本収支については,公的部門での流出を民間部門(固有企業分を含む) での流入がカバーする形となっている。

公的外貨準備高は,概ね 5 0 ないし 6 0 億ドル水準で推移している。ただ, 1  M F での準備ポジションは, 8 9 年度 0 . 5 , 9 0 年度1. 0 ,  9 1 年度1. 3 ,  9 2 年度1. 6 ,  9 3 年度 2 . 8 (億ドル)と数値そのものは小さいが増加傾向にある。

また,同国における金融自由化ないし国際化の進展にともなって予想され る国際金融面での市場性については,たとえばサページ(1 9 8 8 ) によればそ の 1F C ( I n t e r n a t i o n a l  F i n a n i c i a l  C e n t e r ) への発展過程として, 8 4 年以前 では小規模・閉鎖型市場であったが 8 4 年以降は小規模・開放型市場段階へと 移行したとして将来展望に触れている。

N. 金融構造の推移

1.金融制度改革

1 9 8 4 年以降,金融制度改革を含む経済改革が実施されてきたが,その中心 となったのは規制緩和ないし民営化への政策転換である。金融部門における 主体活動や市場分野についても同様であった。

銀行数や銀行競争に関する規制を撤廃し,商業銀行に関する一般的監督を プルーデ、ンシャルなものにすることなどに加えて, 8 7 年からの政府系企業の

1 5 )   N  Z  DMO.  o p .   c i t .   p .   3 8 .   1 6 )   i b i d .  p .  4 9 .  

1 7)国際競争力の向上や財政収支の改善(財政改革)などは特に金融制度改革と関連す

るところが少なくない。国内金融市場や外国為替市場を含む金融部門改革では,利

子率決定における自由化や金融機関の財務指標基準の見直しなどを含めて検討され

た。詳しくは, R e s e r v e  Bank o f  New Z e a l a n d   ( 1 9 8 6 ) 参照。

(17)

ニュージーランドにおける貿易と金融 5 7  

活性化政策により政府系金融機関の民営化も行なわれた。

その結果,多くの金融機関が広範な金融サービス供給において競争するよ うになったが, 8 9 年準備銀行法の制定も大きな前進であった。これは,金融 システムの安定性維持に多大の関心を払う政策であり,金融政策の第一目標 に価格(物価)安定を掲げると共に準備銀行 ( RB  N  Z ) にその目標遂行へ の一層大きな自主権を与えている。

また,政府債券流通市場の拡大や先物契約,オプション,金利・外為先物 などの新規金融手法の導入と,金利・為替レートのリスク・ヘッジへの利用 増大なども観察されている。

金融市場やその他に関して 8 4 年以前におこなわれていた主要規制は,金利 規則をはじめとして,信用配分と金融機関行動に対する規則,外国為替の取 引規制および固定 ( 7 9 ' " " ' ‑ ' 8 2 年はクローリング・ペッグ)相場制,非金融産業 への経済政策などであった。

上限規制を含むすべての金利(預金および貸出金利)規制は, 8 4 年 7‑8 月に撤廃され,量的信用供与規制も同様となった。 N Zドルは8 5 年 3 月から 変動相場制に移行している。 OECD の主要先進国では(日本を含めて) 7 0   年代に既に移行済のところが多かったが,同国のように規模の小さな経済に あっては必ずしもそうではなかった。

金融サービス産業とりわけ銀行業への参入規制は, 8 6 年の準備銀行法改正 によって除去された。外資系企業の国内金融市場での営業活動規制は 8 4 年 1 1 月に撤廃され,居住者の投資目的による外国為替購入規制も同年 1 2 月撤廃さ れた。

1 8 ) 以上は, N Z  DMO ,  o p .  c i t .  p p .   2 3 一 2 4 1こもとづく。なお,金融改革の政策的影響を 分析したものに, M a r g a r i t i s ,  H y s l o p  a n d  Rae  ( 1 9 9 2 ) などがある。

1 9 )   M a r g a r i t i s  e t  a l .   ( 1 9 9 2 )   p .  3  . 

2 0 ) たとえば R e s e r v eBank N .  Z .   o p .  c i t .   p p .  19‑2 1 .  

2 1 )   M a r g a r i t i s  e t  a l .   o p .  c i t .  p .  4 

(18)

また, 8 8 年 2月にはすべての金融機関を対象に,小切手やクレジット・カー ド等を除いて印紙税が撤廃された。同年証券法改正により,インサイダー取 引への対策や先物商品および生命保険業への新しい規制体系が導入された。

また,最近では, 9 3 年財務報告法や9 3 年テイクオーバー(買付け)法など が制定され,それぞれ新たな機関設置と監督等の機能強化がはかられるよう になっている。

2  .金融機関の動向

リーテイル・バンキングは,商業銀行 ( 2 1 行)のなかでも 4 大銀行 ( 9 3 年 に政府からナショナル・オーストラリア銀行に売却されたニュージーランド 銀行 (BN S) ,ウエストパック銀行 (WBC) ,オーストラリア・ニュージー ランド銀行 (ANZ) ,ニュージーランド・ナショナル銀行 (NBNZ)) が 表 8に見るように主導的地位を占めており,これらに続いてニュージーラン

表 8 主要商業銀行 (単位:百万ドル)

¥ ¥ ¥ ¥   総資産有形 高 純 税 引 利 後 益 従業員 ω 数 決算期日 筆 頭 株 主 保有比帥 率 ニュージーランド銀行 1 9 . 8 1 2   1 7 1   5 . 7 4 4   3 月3 1 日 ナ ト シ ラ リ ョ ナ ア 銀 ル 行 ・オース 1 0 0   オーストラリド銀 ア・ニュ

ージーラン 行 1 0 . 9 7 7   9 6   3 . 9 2 2   9 月3 0 日 オジーストラド銀リ行 ア・ーュー

ーラン グループ 1 0 0   ニ ナ シ ュ ー ョ ナ ジ ー ル 銀 ラ 行 ンド 1 0 . 9 4 8   1 0 2   3 . 8 4 2   1 2 月3 1 日 ロイズ銀行 PLC 1 0 0   ウエストパック銀行 1 0 . 6 9 8   1 1 7   3 . 8 5 7   9 月3 0 日 ウエストパック銀行 1 0 0   銀 ニ 行 ュージーランド信託 6 . 6 0 3   4 2   3 . 0 2 1   3 月3 1 日 コミュニティ信託会社 1 0 0   A  S  B 銀 行 4 . 4 8 9   3 7     , 1 7 1 0   6 月3 0 日 A  コモ B ン S ウ コ ェ ミ ル ュ ニ ス 銀 テ 行 ィ 信 グ ル 託 ー 会 社 プ 7 2 5 5    郵 便 貯 金 銀 行 3 . 5 8 8   4 9   2 . 6 3 8   9 月3 0 日 オ ラ ー ン ス ド 銀 ト 行 ラ グ リ ア ル ー ・ ニ プ ュージー 1 0 0   カントリーワイド銀行 3 . 5 8 0   ム 4 1   , 1 0 1 9   6 月3 0 日 スコットランド銀行 1 0 0   ル ー ラ ル 銀 行 2 . 8 4 7   8 3   3 7 9   6 月3 0 日 ロイズ銀行 PLC 1 0 0   ナ ラ シ リ ア ョ 銀 ナ 行 ル オースト 2 . 1 0 9   1 2   5 7 5   9 月3 0 日 ナ ト シ ラ リ ョ ナ ア 銀 ル 行 ・オース 1 0 0   制連結勘定による。

(出所. KPMG P e a t M a r w i c k ( 9 3 ) )  

(19)

ニュージーランドにおける貿易と金融 5 9  

ド信託銀行 (TBNZ) , ASB 銀行,郵便貯金銀行(ポスト・オフィス・

パンク) ( 8 9 年に ANZ へ売却)などがあり,いずれも全国に支庖網を有し ている。

ホールセール・バンキングについても,マーチャント・パンクのみならず 商業銀行の殆んどが営業分野としており,ホールセールの資金取引や内外為 替ディーリングほかをおこなっている。

貯蓄銀行と建築組合は,主として個人・家計向けのリーテイルで住宅ロー ンなどを扱っているが,特に後者はニッチ(すき間・適所)としての住宅産 業や地域密着型営業もおこなっている。他方では,この貯蓄金融機関の分野 への競争が商業銀行などを加えて拡大しつつある。

もう一つのグループは,金融会社(ファイナンス・カンパニー)であり,

割賦販売における信用供与などのリーテイル・ファイナンス分野では製造業 系の企業に加えて規模の大きなリーテイル・パンクなども営業に力を入れる

ょうになってきた。

なお,ニュージーランドにおける中央銀行はニュージーランド準備銀行で あり,ほかに政府系金融機関として郵便貯金銀行,農業金融公社 ( 8 9 年 1 0 月 同国最大の企業フレッチャー・チャレンジ社に売却された),開発金融公社

( 8 8 年 1 1 月同国最大の年金基金の NPF とアメリカの投資銀行のソロモン・

ブラザーズに株式が 8対 2の割合で売却された),住宅金融公社の 4機関が あったが民営化されて,住宅金融公社のみ残されている。外国銀行の中には 退出を含めて,市場規模の小さな同国での経営戦略の見直しを迫られており,

日本からは東京銀行が最大の都市オークランドに事務所を設けている程度で ある。

2 2 )   N Z  D M O ,  o p .   c i t .   p .   2 3 にもとづく。なお,ここにいう商業銀行は R e g i s t e r e d Bankとされ,貯蓄銀行と建築組合 C B u i l d i n gS o c i e t y ) は S a v i n g sI n s t i t u t i o nと呼ば れている。商業銀行の大半は外国銀行の系列銀行か支庖による営業主体である。

i b i d .  p .   5 1  

2 3 )   K  PMG P e a t  Marwick ( 1 9 9 3 )   p .   6 にもとづく。

2 4 )地銀協,前掲苫, 2 9 頁 。

(20)

なお,同国における商業銀行の9 2 年総有形資産高にもとづく市場占有率の 概算は,上位 3 行で5 3 . 1 パーセント,同 5 行で7 5 . 1 パーセント,同 6 行で8 0 . 8 パーセントとなっている。また,そのハーフインダール指数 (H1  ) 

H 1  k  =  L  ( S i )   2 ,  k  =  3 ,  5 ,  6 

は,それぞれ次のようになる。但し, S i は,上位より第 i 番地の企業シェア である。

H 1 3 =0.103  H 1 5  =0.129  H 1 6  =0.132 

これらの数値については,し、く分高めではあるが,たとえばスティグラー ( 1 9 5 5 ) などの意味においても,一般にみられる一部の寡占産業ほどの高水 準な市場支配力を持つ市場集中のケースではないと考えられる。

生命保険業について詳しくは別の機会に譲ることとして,ここでは9 3 年 9 月末時点で 1 4 0 億ドルの総資産を有して同国においても重要な役割を担って おり,合併・公開買収など統合化の動きも出はじめたことのみ記すにとどめ ておく。

中小企業に対する実質的インフラストラクチュアも拡充されつつあり,特 に近年,不動産や広告,保険,会計・法律事務などで金融・財務に関連する サービス供給が拡大されてきた。

金融自由化にともなって,銀行(商業銀行)数も 8 4 年の 4 行から 9 1 年の2 1 行まで増加したが,競争の高まりや国内景気の弱含み状況,収益性向上の必 要性などにより合併や同国市場からの撤退といったケースも見られるように なっている。

2 5 ) 一部のデータに連結財務処理上の控除分があるが, ここでは無視しうるものとした。

2 6 ) 同指数については,たとえば Rosenbluth ( 1 9 5 5 ) など参照。

(21)

ニュージーランドにおける貿易と金融

3 . 証券および家計部門 ( 1 )   証券部門

6 1  

ニュージーランドにおける証券取引は, 1 8 7 0 年代にオークランドなどで始 められた。現在では,証券仲買業法 1 9 8 1 年改正 ( 8 3 年発効)にもとづいてニ ュージーランド証券取引所 (NZ  S  E) を中心にしておこなわれている。 9 1 年 6 月からは,完全に ST S ( S c r e e n  Trading System) へと移行し,ここ にもコンピュータ一利用の技術革新の成果が積極的に採用されている。

フォスター(1 9 9 4 ) によれば,そこでは, 9 3 年1 2 月時点で 1 3 8 社(国内企 業)に加えて外国企業5 1 社の証券が上場されている。 9 2 年中の取引高増加は 6 1 億ドル, 9 3 年は 1 6 0 億ドルで,上場銘柄における発行高合計は2 9 8 億ドル ( 9 2 年1 2 月末), 4 5 8 億ドル ( 9 3 年1 2 月末)であった。このうち9 0 パーセント近く が上場企業上位2 0 社によって占められている。

従来,バークレイズ指数と呼ばれていた同国の証券市場動向を表わす指標 は,現在, N Z S  E40 指数 (NewZ e a l a n d  Stock Exchangeにおける主要4 0 銘柄株価指数)となっている。このほか N Z S  E30 や NZSE‑SCI

(Sma l 1 e r  Companies l n d e x ) などの指数がある。いずれも資本指数と総計指 数の二種あり,後者は配当を含む価格変動を調整したものである。

N Z  S  E  ( 1 9 9 4 )からは, N Z  S  E40  (総計)指数の最近の動きとして, 9 3   年 1 月が1 6 7 6 , 4 月1 8 0 3 , 7 月2 0 4 9 ,1 0 月2 4 7 0 ,1 2 月2 5 6 1 と景気の拡大を織

り込んで上昇傾向にあり,同 SC 1  (総計)も,それぞれ3 7 7 6 , 3 6 2 5 ,  4 4 0 2 ,  4 8 9 3 ,  4 4 9 1 と好調であることが知られる。

産業別にみた市場価値総額のシェアは, 1 9 9 3 年1 2 月末時点で,通信・放送 が2 7 . 1 ,林業2 6 . 3 ,投資・関連1 0 . 4 ,運輸・観光5 . 9 ,酒・煙草4 . 9 ,エネル ギー・燃料4 . 3 ,その他サービス3 . 0 ,化学2 . 7 ,鉱業2 . 6 ,食品2 . 5 (パーセ ント)となっている。

同国の経済規模にも依存して市場そのものの規模は小さいが,景気の回復

と経済構造の改善基調に支えられて当該部門のパフォーマンスも堅実な伸び

(22)

を示してきたと見なすことができる。

( 2 )   家計部門

近年の同国家計部門による資産選択行動については,次の諸点が指摘され る。先ず,退職後の生、活のためにヨリ多くの貯蓄をおこなうようになったこ とがあげられる。第 2 に,銀行や生命保険会社など金融機関における業種・

業態間での新規サービス・商品面での競争が増大してきたこと。 3 番目に,

たとえば退職者年金に関するものなどへの課税における規制緩和が大幅にお こなわれたこと。最後に,新規貯蓄性商品が開発・販売される一方で,既存 商品も急速に伸びていることである。

表 9は,近年における家計部門の主な流動資産(金融資産)の推移を示し たものである。項目中,銀行預金等は,商業銀行預金が中心であるが金融会 社や建築組合などへの運用分についても含まれ,表中,最大のシェアを有し て安定的に伸びている。

表 9 家計部門主要金融資産 (単位:億ドル)

¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥   1 9 8 9   1 9 9 0   1 9 9 1   1 9 9 2   1 9 9 3  

銀 行 預 金 等 2 3 9   2 8 8   2 9 7   3 0 6   3 1 8  

政 府 証 券 1 6   1 7   1 7   1 6   1 3  

信 託 勘 定 2 8   2 4   1 9   1 7   1 7  

投 資 信 託 他 9  1 1   1 5   2 1   3 2  

生 命 保 険 証 券 1 1   1 2   1 4   1 8   2 4  

退 職 者 年 金 NA  D  1 1   1 8   3 0  

l 口

言 十 3 0 4   3 5 5   3 7 2   3 9 6   4 3 4  

制端数処理上,誤差を含む。(出所, R  B  N Z  ( 1 9 9 3   a )  

2 7 ) 以下, R  B  N Z  ( 1 9 9 3   a ) にもとづく。

(23)

ニュージーランドにおける貿易と金融 6 3  

政府証券は,キーウィ・ボンドと呼ばれる一般向け証券とインフレ調整付 き貯蓄証券が主なものである。最近では,マイナスの伸びとなっている。同 様にシェアを低下させているのが信託勘定 ( S o l i c i t o r s 'T r u s t  A c c o u n t s ) で ある。

他方,近年,急速に成長してきたのが投資信託他で,これには Unit T r u s t s のほか GroupI n v e s t m e n t  Funds が含まれている。同じく次の L i f e I n s u r a n c e  Bonds も高い伸びを示している。これら 2 項目については,たと えば最近における名目金利の低下で,ヨリ高利回りが期待される代替的投資 対象として選好されたものである。

退職者年金について,ここでは R e t a i 1 S u p e r a n n u a t i o n  Schemes に限定し ており,これは一般国民向けのものである。この増加傾向も,他の金融資産 から(退職後の生活対策としても)移し替えられたことによる。なお,公務 員向けの政府退職者年金 (GS  F) については, 9 2 年 1 2 月末で会員による分 が 2 9 億ドルとなっている。

v . 結びにかえて

これまで見たように,ニュージーランド経済は, 7 0 年代から 8 0 年代にわた って国際経済の大きなうねりに直面し揺り動かされた。その低迷期ともいう べき時代から 8 0 年代後半期にいたる間に採用された諸経済政策の対応によっ て,物価動向におけるインフレ収束が達成され,現在でも物価上昇率は低位 安定的に推移している。

それは,たとえば消費者物価における上昇率が 9 1 年秋以降概ね 1‑ ‑ ‑ ‑2 パー セント水準となっており,今後も 9 4 , 9 5 ,  9 6 年でそれぞれ1. 6 , 0 . 6 , 1 . 7 (パー セント)となることが予測されていることから同国経済のパフォーマンスに

2 8 ) 以下の予測値については, R  B  N  Z  ( 1 9 9 4 ) による。

(24)

十分な貢献を果たしていると考えられる。

8 0 年代において実施された規制緩和ないし自由化政策を含む経済改革とも 相侯って, 9 0 年代には経済状況の改善に加えて景気が回復し小規模ながらも,

成長・拡大への兆しが見られるようになった。

そこでは,伝統的に主要産業であった農業部門が有する高水準の国際競争 力をさらに強化することに加えて,アジア・西太平洋地域を含むグローバル

・マーケティング戦略の必要性が提起されるであろう。というのも,世界市 場での棲み分けの動向や,ニュー・ハード傾向を強めている製造・工業部門 の振興状況などにも依存するものの,農業部門が少なくとも当分の聞はリー ディング・インダストリーとしての重要な地位を占めているからである。

同じ第 1次産業に属する林業や園芸業とも関連することであるが,同国の 環境保全とりわけ植物他の森林資源および生態系など自然保護に対する政策 的配慮は,その国民や社会の関心とも相侯って唯に l 次産業のみならず観光 .運輸など他部門・産業の動向にも関係しうる社会的資源ないしインフラス トラクチュアの整備としても有効な側面を持っていよう。

同国経済の対アジア取引の増加傾向がどのレベルまで行くのかは,アジア 諸国の経済発展の動向とも密接に関わることであり,それはまた,産業部門 ごとに対応づけられるものでもある。後者は,産業構造を含む経済構造の状 態や 1人当り G D P レベルでの経済発展状況の差異などが国際間取引に,資 本のケースも含めて,いかなる影響をおよぼす要因となりうるか関心を持た れるところである。

新たな成長軌道に同国経済が乗るとしても,労働市場における失業率の予 測値が9 4 ,9 5 ,  9 6 年でそれぞれ8.9 ,7.9 ,  7.7  (パーセント)と依然高い水 準にある点は考慮されねばならないであろう。

ただ,もう一つの課題である財政収支については, 9 4 ,  9 5 ,  9 6 年でそれぞ

れム 0 . 9 , 6 . 9 ,  2 4 . 5   (億ドル)で,対G D P 比率も,ム0 . , 1 0.8 ,  2 .  7  (パー

セント)と好転する予測となっていることがプラス材料といえる。

(25)

ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド に お け る 貿 易 と 金 融 6 5   農業や金融部門などにおける自由化について,同国経済政策の実施内容と 当該部門の産業ないし企業が経験してきた成果は,経済規模や文化などの違 いにもかかわらず,少なからぬ示唆や教訓をわが国にもたらしうるものと考 えられる。その意味においても,同国経済に関するヨリ詳細な分析は今後の 課題といえるのである。

(平成 6 年 4 月 1 5 日)

参 考 文 献

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表 2 主要産業別 GDP 構成比 (単位: %)  ¥ ¥ ¥ ¥  19 8 9  1 9 9 0  1 9 9 1  1 9 9 2  1 9 9 3  1 9 9 4  1 9 9 8  農 業 5
表 5 主要輸入項目 (単位:億ドル) ¥ ¥ ¥   1 9 8 9  1 9 9 0  1 9 9 1  1 9 9 2  1 9 9 3  鉱 物 ・ 化 成 品 2 6

参照

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