氏 名 上田
ウ エ ダ リョウ亮
所 属 人間健康科学研究科 人間健康科学専攻 学 位 の 種 類 博士(放射線学)
学 位 記 番 号 健博 第
187号 学位授与の日付 令和
2年
3月
25日
課程・論文の別 学位規則第4条第1項該当
学 位 論 文 題 名
脳卒中後上肢麻痺患者に対する経頭蓋磁気刺激と作業療法の併用療法前後の
MRIを用いた介入効果と大脳構造の関係性評価
論 文 審 査 委 員 主査 教 授 妹尾 淳史 委員 教 授 古川 顕 委員 准教授 沼野 智一
【論文の内容の要旨】
健側一次運動野への1 Hz の反復経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial Magnetic
Stimulation:rTMS)および集中的作業療法(Occupational Therapy:OT)の併用療法は、慢性期脳卒中後上肢麻痺患者の運動機能を有意に改善し、臨床的に有益であることが報告 されている。しかし、運動機能の回復機序は不明な点が多い。さらに運動機能の改善は明 らかになっているものの、運動機能の変化度には個人差があり、変化度に何が関係してい るのか明らかとなっていない。これらの解明は運動機能の回復効果の予測や、重症度の違 いに基づいた介入の開発など、より効果的な介入法の開発に繋がることが期待される。本 研究では、rTMS・OT の介入による運動機能の改善と大脳構造の関係性を明らかにすること を目的に多面的な検討をした。
本研究では、慢性期脳卒中後上肢片麻痺患者を対象に、低頻度rTMS とOT からなる15 日 間の入院治療を実施した。入院初日と最終日に実施されるMRI のデータと運動機能評価ス コアを用いて検討をした。MRI データとして3 Dimension-T1 Weighted Image(3D-T1WI)
とDiffusion Tensor Imaging(DTI)を利用して画像解析をし、得られた定量値を用いて統 計解析をした。運動機能評価にはFugl–Meyer Assessment (FMA)とWolf Motor Function Test
(WMFT)を用いた。本研究では大きく分けて、①皮質厚、②脳卒中損傷部位と損傷体積、
③白質微細構造、④白質神経接続を基にした大脳神経ネットワーク、これら4 種類の画像 解析をした。
従来の作業療法では、慢性期の脳卒中後上肢麻痺の運動機能改善は見込めないが、
rTMS・OT による治療によって慢性期においての運動機能の回復が認められ、その有効性を本研究
では証明した。
皮質厚の解析をした結果、患側の中心後回と縁上回の皮質厚が運動機能変化度と相関し ていることが明らかとなった。脳卒中損傷部位の解析をした結果、皮質脊髄路や一次運動 野に投射する視床領域の損傷が、rTMS・OT による運動機能変化度に関係していた。介入前 後の白質微細構造変化を解析した結果、介入前後で患側の内包前脚および前視床放射線の 拡散定量値が変化し、介入によって白質微細構造が変化することが示唆された。さらに介 入前の白質微細構造と運動機能変化度との相関解析をした結果、患側の上放線冠や前視床 放線の拡散定量値が運動機能変化度と相関していた。白質神経接続を基にした大脳神経ネ ットワークの調査をした結果、介入によってネットワーク指標が変化し、介入によって神 経の接続変化がもたらされることが示唆された。
rTMS・OT を用いた本介入法は、大脳白質の構造的変化をもたらし、このような大脳微細