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日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

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(1)

重症心不全における心エコー図による pu lmonary arter ia lcapac itanceの臨床的意義に関する検討

日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

齋藤 佑記

修了年 2016年

指導教員 平山 篤志

(2)

重症心不全における心エコー図による pu lmonary arter ia lcapac itanceの臨床的意義に関する検討

日本大学大学院医学研究科博士課程 内科系循環器内科学専攻

齋藤 佑記

修了年 2016年

指導教員 平山 篤志

(3)

目次

Ⅰ)略語一覧

Ⅰ)略語一覧 ・・・・・ 11ペペーージ

Ⅱ)概要

Ⅱ)概要 ・・・・・ 22ペペーージ

Ⅲ)緒言

Ⅲ)緒言 ・・・・・ 33ペペーージ

Ⅳ)方法

Ⅳ)方法 ・・・・・ 99ペペーージ

Ⅴ)結果

Ⅴ)結果 ・・・・・ 1515ペペーージ

Ⅵ)考察

Ⅵ)考察 ・・・・・ 1818ペペーージ

Ⅶ)まとめ

Ⅶ)まとめ ・・・・・ 2222ペペーージ

Ⅷ)表

Ⅷ)表 ・・・・・ 2323ペペーージ

Ⅸ)図

Ⅸ)図 ・・・・・ 3232ペペーージ

Ⅹ)図説

Ⅹ)図説 ・・・・・ 3939ペペーージ

Ⅺ))引引用用文文献 ・・・・ 4242ペペーージ

Ⅻ))研研究究業業績 ・・・・ 4747ペペーージ

(4)

略語語一一覧覧

PAC=pu lmonaryarter ia lcapac itance

PAWP(pu lmonaryarter ia lwedgepressure)=肺動脈楔入圧 PVR(pu lmonaryvascu larres istance)=肺血管抵抗

PH(pu lmonaryhypertens ion)=肺高血圧症

PAH(pu lmonaryarter ia lhypertens ion) =肺動脈性肺高血圧症 Pre-cap i l laryPH=前毛細血管性肺高血圧症

Post-cap i l laryPH=後毛細血管性肺高血圧症

(5)

概 概要要

背景景:左心不全では高頻度に肺高血圧症を合併することが知られており、左心 不全に肺高血圧症を合併すると右室後負荷が上昇する。左心不全において右室 後負荷は右心不全発症の原因となり、予後に関わる因子であると考えられる。

肺動脈のコンプライアンスを表す pulmonaryarterialcapacitance(PAC)は、

右心カテーテル検査で算出され、右室後負荷を反映する指標の一つであり、近 年、この指標が原発性肺動脈性肺高血圧症や左心不全の予後予測因子であるこ とが報告された。一方、PACを非侵襲的に心エコー図で測定する方法も報告さ れている。しかし、左心不全においてこの心エコー図による PACの有用性や カテーテル検査での血行動態指標との関係性は明らかでない。

方法法:研研究究11 2010年 8月~2014年 9月に心不全の血行動態評価の目的で入 院した全症例のうち、心エコー図検査と右心カテーテル検査を同日に施行した 左室駆出率 35%未満の左心不全症例、30例(うち 3例は異なる時期に各検査 を施行した重複症例)を対象とした。心エコー図による PACと肺動脈楔入圧

(pulmonaryarterial wedgepressure: PAWP)、肺血管抵抗 (pulmonary vascularresistance:PVR)といったカテーテルによる血行動態指標との相関関 係を評価した。研研究究 22 2010年 1月~2013年 7月に心不全管理の目的で入院

(6)

した全症例のうち、65歳以下、左室駆出率 35%未満の左心不全症例 72例を対 象 と し 、 後 方 視 的 に 解 析 し た 。 心 エ コ ー 図 で 求 め た PAC の 中 央 値

(1.33ml/mmHg)により症例を 2群(highPAC群、lowPAC群)に分け、1 年間の心事故発生率(死亡もしくは左室補助人工心臓装着)を比較した。

結果果:研研究究11 心エコー図による PACは、右心カテーテル検査で測定した PAC と有意な相関関係を認め(r=0.75,p<0.0001)、また PAWP、PVRと負の相関 関係を認めた(r=-0.40,p=0.02,r=-0.72,p<0.0001)。研研究究22 LowPAC群で は、NYHA(NewYorkHeartAssociation) 分類が増悪しており、血中 BNP濃 度、総ビリルビン値も highPAC群より高値であった。LowPAC群では、high PAC群に比べ心事故発生率が高値であった(p=0.001)。PACは年齢、性別と NYHA≧3、logBNP、左室駆出率、右室拡張末期径、最大下大静脈径、総ビリ ルビン値、三尖弁逆流圧較差を組み合わせて補正しても心事故発生に有意に関 係した。

結論論:心エコー図による PACは重症心不全における予後予測に有用であると 考えられた。

緒 緒言言

はじじめめに

(7)

慢性心不全とは、慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し、末梢主 要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を拍出できない状態であり、肺、体 静脈系にうっ血をきたし日常生活に障害を生じた病態である 1。心不全は先進 諸国の多くで高い有病率が報告されている。米国では約 500万人の心不全患者 がいて、毎年 55万人の新規患者が発生している2。心不全患者の予後は不良で あり、1年死亡率は 4~8%と報告されている34

心不全の予後を予測することは、診療におけるリスク管理のために重要であ る。心不全の予後予測因子は、代表的なものとして、血圧、運動耐容能、左室 の大きさや駆出率、血清 Na値、BNP値などが挙げられる。近年、心不全に肺 高血圧を合併すると予後不良であることが明らかにされ、その臨床的意義が注 目されている。

肺高高血血圧圧症症ととは

肺高血圧症 (pulomonaryhypertension: PH)とは肺動脈圧上昇を認める 病態の総称であり、予後不良の難治性疾患として知られている。安静時に右心 カテーテル検査を用いて実測した平均肺動脈圧が 25mmHg以上の場合に、PH と診断される 5。本症の診断確定時や治療法の変更時には、正確な病態評価を 行うため、右心カテーテル検査による肺血行動態の直接測定が必要であるとさ

(8)

れている 6。しかし、近年心エコー図により、非侵襲的に肺動脈圧や心拍出量

を推定することが可能となり、本症の診断において有用な検査となっている。

肺高高血血圧圧症症のの分分類

PHを生じる病態は多岐にわたる。現状では病態生理、組織所見、臨床病像、

治療法といった特徴から症例を 5群に分けた肺高血圧症臨床分類(ニース分類)

を参考に治療が行われている 5(表 1)。グループ 1は肺動脈性肺高血圧症

(pulmonaryarterialhypertension:PAH)であり、肺動脈における血管収縮

や血管のリモデリング、血栓形成により肺動脈圧が上昇する疾患群である。グ

ループ 1には明らかな基礎疾患のない特発性 PAHや遺伝性 PAH、膠原病や先

天性短絡性疾患など他疾患に伴う PAHなどが含まれる。また肺静脈閉塞性疾

患 /肺毛細血管腫症による肺高血圧症も、病変の主体が肺動脈ではなく肺静脈

に存在するものの、臨床的または組織的に PAHと類似した疾患であることか

らグループ 1の亜型と分類されている。

グループ 2は左心系心疾患に伴う肺高血圧症で、左室の収縮機能障害や拡張

症機能障害をきたす左心系疾患や弁膜症に起因する左房圧の上昇により肺動脈

圧が上昇することで生じる肺高血圧症である。肺高血圧症の原因疾患として最

も頻度が高いとされている。

グループ 3は肺疾患および低酸素症に伴う肺高血圧症で、慢性閉塞性肺疾患、

(9)

間質性肺疾患、睡眠呼吸障害など種々の肺疾患や低酸素血症に合併する。

グループ 4は慢性血栓塞栓性肺高血圧症で、器質化した肺動脈内血栓による 肺高血圧症である。

グループ 5は原因不明あるいは複合的な要因による肺高血圧症である。骨髄 増殖性疾患などの血液疾患、サルコイドーシス、代謝性疾患、腫瘍など合併し た肺高血圧症がグループ 5に分類される。

また、欧州心臓病学会からは血行動態による肺高血圧症の分類が提唱されて いる7(表 2)。肺動脈楔入圧(pulmonaryarterialwedgepressure:PAWP)

が 15mmHg以下の場合は異常が肺動脈に起因する前毛細血管性肺高血圧症 (pre-capillaryPH)、15mmHg超であれば異常が肺静脈以降の左心系心疾患に 起 因 す る 後 毛 細 血 管 性 肺 高 血 圧 症 (post-capillary PH)に 分 類 さ れ る 。 Pre-capillaryPHの血行動態を呈するものには肺動脈性、肺疾患性、慢性血栓 塞栓による肺高血圧症が含まれる。また、post-capillaryPHの血行動態を呈す ると左心系心疾患に伴う肺高血圧症と診断される。

左心心系系心心疾疾患患にに伴伴うう肺肺高高血血圧圧症

肺高血圧をきたすような左心系の病態として、左室駆出率の低下した心不全、

左室駆出率の保たれた心不全、弁膜疾患が挙げられる 8。左心不全では高頻度

(10)

した心不全の 60%、左室駆出率の保たれた心不全の 70%に post-capillaryPH を合併するとされる 7。左心不全に伴う肺高血圧症は、初期には上昇した左房 圧、肺静脈圧が肺毛細血管を介して肺動脈系に伝搬され、肺動脈圧が上昇する ことにより生じる。この段階は post-capillary PHの中でも受動的肺高血圧症 と呼ばれており、肺高血圧は可逆性で、左房圧を下げるような治療により肺動 脈圧も低下すると考えられている。しかしこの状態が長期にわたり持続すると、

肺動脈の機能性収縮と肺血管リモデリングの進行により、肺高血圧はさらに進 行してしまう。このような状態は反応性肺高血圧症と呼ばれている。

左心不全に post-capillary PHを合併すると右室後負荷が上昇する11,12。右 室は左室と比較し、圧負荷に対する代償が弱く、長期的な右室後負荷の上昇に より心内膜下心筋虚血や壁応力が増大し、右心不全に進行する13-15。左心不全 に右心不全を合併すると予後不良であることが報告されており11、そのため、

左心不全において右室後負荷は右心不全発症の原因となり、予後に関わる因子 であると考えられる。

右室室後後負負荷荷ににつついいて

肺血管の状態を表して、右室後負荷を反映する指標には2つの指標がある。

1つは、肺毛細血管の抵抗を表す肺血管抵抗 (pulmonaryvascularresistance:

(11)

PVR)であり、もう1つが、近年注目されている肺動脈のコンプライアンスを表 す pulmonaryarterialcapacitance(PAC)という指標である16。以下に PVRと PACの計算式を示す。

・PVR(WoodUnit, WU)=(平均肺動脈圧 - 肺動脈楔入圧)/心拍出量

・PAC(ml/mmHg)= 一回拍出量 /(肺動脈収縮期圧 - 肺動脈拡張期圧)

PACは右室からの拍出に対する肺動脈の伸展性を表しており、値が低いほど 肺動脈の進展性が低いということを意味する指標である。この 2つの指標の関 係性は、以前には反比例の関係であると考えられてきた。 しかし、2012年に PAWPが変化すると、PACは PVRより大きく変化する、つまり PAC は PVR より PAWPの変化を反映しやすい指標であることが報告された17。PAWPの上 昇によって生じる左心系心疾患に伴う肺高血圧症では、PVRは上昇していなく ても PACは低下していることがわかってきた。

これまでの研究で、PACは PAHの予後予測因子であることが報告されてお 16、また左心不全において、PACは PAWPや PVRと負の相関関係を呈し、

予後予測因子であると報告された18。しかし、右心カテーテル検査は侵襲的な 検査であり、PACを繰り返し測定することは困難である。

(12)

心エエココーー図図でで求求めめるる PACPACとと本本研研究究のの目目的

一方、PACを非侵襲的に心エコー図で測定する方法も報告されている19。こ の指標は、PAHにおいて予後予測因子であると報告されている。しかし、この 指標は健常人においても肺高血圧患者においても、心臓カテーテル検査で求め た PAC と比較した研究は過去になく、また左心不全においてこの指標の有用 性は明らかでない。本研究では 2つのプロトコールでの検討を行った。研究1 の目的は、①心エコー図による PAC と右心カテーテル検査による血行動態の 指標との関係を検討することである。研究2の目的は、②心エコー図による PACと心不全の重症度や右室機能障害との関係を検討すること、③心エコー図 による PACと左心不全の予後との関係を検討することである。

方 方法法

研究究 11.

対象象患患者

本研究は、大阪大学医学部附属病院の承認を取得し施行した(研究テーマ:心 不全病態解明のための、遺伝子発現、蛋白機能および病理組織解析による探索 研究、倫理委員会承認番号:10081-10)。2010年 8月~2014年 9月に心不全 の血行動態評価の目的で大阪大学医学部附属病院に入院した全心不全症例のう

(13)

ち、心エコー図検査と右心カテーテル検査を同日に施行した左室駆出率 35%未 満の左心不全症例、30例(うち 3例は異なる時期に各検査を施行した重複症例)

を対象とした。Framinghamstudyの心不全診断基準(表 3)を満たした状態 を心不全と定義した。また心不全の重症度分類には、NYHA(NewYorkHeart Association) 分類(表 4)を用いた。先天性心疾患や弁膜症性心疾患、補助循 環装着中の症例、心エコー図検査にて三尖弁逆流や肺動脈弁逆流を認めなかっ た症例は除外した。なお、本研究は左心不全に基づく post-capillary PHを対 象としており、pre-capillaryPHと診断された症例は除外されている。

右心心カカテテーーテテルル検検査

右心カテーテル検査は、心臓カテーテル検査室にてスワンガンツカテーテル を用いて施行した。圧測定は、患者が臥位の状態で呼気時に行った。PAWP、

平均肺動脈圧、肺動脈収縮期圧、肺動脈拡張期圧、平均右房圧、Fick法による 心拍出量を測定した。

心エエココーー図図検検査

心エコー図検査の結果を後方視的に解析した。検査は経験のある 2人の心臓 超音波専門技師が施行した。左室拡張末期径、左室収縮末期径、左房径は傍胸

(14)

骨左室長軸像から計測し、左室駆出率は modifiedSimpson 法を用いて計測し た。左室拡張機能の評価として、左室流入血流速波形と組織ドプラ法を用いた 僧帽弁輪部速度を評価した。左室流入血流速波形は、心尖部三腔像あるいは四 腔像においてサンプルボリュームを僧帽弁弁尖に置き、超音波パルスドプラ法 を用いて波形を記録し、急速流入血流期血流速波形(E波)と心房収縮期血流 速波形(A波)の高さを計測した(図 1A)。僧帽弁輪部速度は、心尖部四腔像 にて僧帽弁弁輪部(中隔側)にサンプルボリュームを置き、組織ドプラ法にて 波形を記録し、拡張早期の陰性波(E’波)と心房収縮期の陰性波(A’波)を 計測した(図 1B)。心房細動の症例では、A波を測定することができないため、

A波、E/A比の解析では、心房細動症例を除外して解析を行った。僧帽弁逆流・

三尖弁逆流は、心尖部四腔像にてカラードプラ法を用いて 4段階(Ⅰ-Ⅳ)で評 価した。

心エコー図検査による PACは、以下の計算式を用いて算出した。PACを算 出するには一回拍出量、肺動脈収縮期圧と肺動脈拡張期圧の圧較差が必要であ る。一回拍出量は左室流出路でのドプラ法による時間積分値と左室流出路径か ら測定することが可能である(図 2A)。心エコー図検査において、逆流波形の 速度は連続波ドプラ法により測定される。また、簡易ベルヌーイ式により、圧 較差は 4×速度2で求めることができる。よって、三尖弁逆流圧較差は 4×三尖

(15)

弁逆流の流速2で求められ、肺動脈収縮期圧は三尖弁逆流圧較差 (図 2B)に 右房圧を加えることで推定される。同様に、拡張末期での肺動脈弁逆流圧較差 は、4×拡張末期での肺動脈弁逆流の流速 2で求められ、肺動脈拡張期圧は肺 動脈弁逆流圧較差(図 2 C)に右房圧を加えて推定される。このことから、肺 動脈収縮期圧と肺動脈拡張期圧の圧較差は三尖弁逆流圧較差と肺動脈弁逆流圧 較差の圧較差より推定することができる。よって、一回拍出量を三尖弁逆流圧 較差と肺動脈弁逆流圧較差の圧較差で除すことで、PACを算出できると報告さ れている19

PAC(ml/mmHg)= 一回拍出量 /(三尖弁逆流圧較差 - 肺動脈弁逆流圧較差)

研究究 22..

対象象患患者

本研究は、大阪大学医学部附属病院の承認を取得し施行した(研究テーマ:心 不全病態解明のための、遺伝子発現、蛋白機能および病理組織解析による探索 研究、倫理委員会承認番号:10081-10)。本研究では、2010年 1月~2013年 7 月に心不全管理の目的で大阪大学医学部附属病院に入院した全心不全症例のう ち、65歳以下、左室駆出率 35%未満の左心不全症例を対象とし、後方視的に

(16)

解析した。研究 1の対象患者とは異なる群である。本研究では、主要評価項目 の 1つに左室補助人工心臓の装着を設定したため、心臓移植の適応のある 65 歳以下の症例のみに限定した。108例をスクリーニングし、先天性心疾患の症 例(n=1)や弁膜症性心疾患の症例(n=2)、左室補助人工心臓を装着中の症例

(n=6)、経皮的心肺補助装置を装着中の症例(n=1)、心エコー図検査にて三 尖弁逆流や肺動脈弁逆流を認めなかった症例(n=25)、経過を追跡できなかっ た症例(n=1)は除外し、72例を解析の対象とした。なお、本研究は左心不全 に基づく post-capillary PHを対象としており、pre-capillary PHの症例は除 外されている。

心エエココーー図図にによよるる右右心心機機能能評評価

心エコー図検査での計測は、研究 1で示したように施行した。右室機能評価と して、右室拡張末期径、三尖弁輪部移動距離、右室面積変化率を評価した。こ れらの計測は、右室に焦点をあてた心尖部四腔像にて American Societyof Echocardiographyのガイドラインに従って行った 20。右室拡張末期径は拡張 末期における右室中部径を測定した(図 3A)。三尖弁輪部移動距離は、右室自 由壁側の三尖弁輪の長軸方向移動距離を M モード法にて計測した(図 3B)。

また、右室面積変化率は右室断面積の右室収縮による変化率であり、(拡張末期

(17)

右室面積-収縮末期右室面積) /拡張末期右室面積により求めた(図 3C)。入 院時に一番近い時点での心エコー図検査で PACを算出した。

経過過追追跡

本研究では、主要評価項目を死亡と左室補助人工心臓装着に設定し、後方視的 に経過を追跡した。生存分析に用いた追跡期間は、心エコー図検査施行日から 一年間あるいは主要評価項目までの期間とした。データは診療録より抽出した。

心臓移植の適応となる末期重症心不全で、最大限の内科治療にもかかわらず、

安静時でも明らかな心不全症状があるものを左室補助人工心臓装着の適応とし た。

統計計学学的的解解析

全ての統計は JMP12ソフトウェア(SASInstitute,Cary, NC, USA)を用い て解析した。連続変数は平均値±標準偏差で表記した。正規分布している 2群 間の比較には Student’st 検定を用い、非正規分布である 2群間の比較には

Wilcoxon の順位検定を用いた。カテゴリー変数の 2群間の比較にはχ2検定を 用いた。なお、BNPは指数関数的に変動する指標であるため、log BNPに変 換した。心エコー図による PACとカテーテルによる血行動態指標(PAC、PAWP、

(18)

PVR)、logBNP 、右室拡張末期径、右室面積変化率との相関関係を回帰分析で 評価した。PVRとの相関関係には逆数の回帰式を、その他の因子との相関関係 には直線回帰式を用いた。また、カテーテルでの PVR>3WU

21

を予測する心エ コー図による PACの cutoff値は、rece iveroperat ingcharacter ist ic(ROC)曲 線から算出した。Kap lan-Me ier 法で生存時間分析を行い、2群間の生存率を log-rank検定で比較した。心事故発生に関連したリスク因子の同定に Cox比例 ハザード分析を行った。最終モデルは、NYHA≧3、logBNP 、左室駆出率、右 室拡張末期径、最大下大静脈径、総ビリルビン値、三尖弁逆流圧較差と年齢、

性別を組み合わせて調整した。p<0 .05で統計学的有意とした。

結 結果果

研 研究 究 1 1 . . 対

対象 象患 患者 者の の臨 臨床 床的 的特 特徴 徴

表 5に対象症例の背景と心エコー図データ、カテーテルデータを示す。対象症 例の 80%の基礎心疾患は拡張型心筋症であり、平均の LVEFは 21±7%であっ た。

心エ エコ コー ー図 図に によ よる る PAC PACと と右 右心 心カ カテ テー ーテ テル ル検 検査 査に によ よる る血 血行 行動 動態 態指 指標 標と との の関 関係 係

(19)

心エコー図による PACは、右心カテーテル検査で測定した PACと有意な相関 関係を呈した(r=0.75,p<0.0001、図 4 A)。さらに、右心カテーテル検査で 測定した PAWPと有意な負の相関関係を呈し(r=-0.72,p<0.0001、図 4B)、

PVRと負の相関関係を認めた(r=-0.40,p=0.02、図 4C)。

PVR>3WU

PVR>3WUのの感感度度・・特特異異度

ROC分析を用いて心エコー図検査における PACの PVR>3WUの検出力を評 価したところ、AUCが 0.75であり、cutoff値 2.01(ml/mmHg)で、感度 83%、

特異度 78%であった(図 5)。

研究究 22..

対象象患患者者のの臨臨床床的的特特徴

対象患者の 62%(42例)は拡張型心筋症の症例であった。対象患者を PACの 中央値で 2群(high PAC群、low PAC群)に分けて解析を行った。表 6、7 に 2群間の背景と心エコー図データを示す。LowPAC群では、NYHA心機能 分類が増悪しており、血中 BNP濃度、総ビリルビン値も high PAC群より高 値であった。心エコー図検査データに関しては、E/A、三尖弁逆流圧較差、肺 動脈弁逆流圧較差は lowPAC群で有意に高値であり、心拍出量は有意に低値で

(20)

あった。図 6に PACの分布を示す。PACの中央値は 1.33ml/mmHg(0.93-2.29) であった。

PAC

PACとと心心不不全全重重症症度度、、右右室室機機能能障障害害ととのの関関係

PACは logBNPと負の相関関係を認めた(r=-0.25,p=0.03)。また、NYHA≧

3の症例(n=53)は、NYHA2 の症例(n=19)より PAC は低値であった

(1.49±1.17vs2.40±1.47,p=0.009)。さらに、PACは右室面積変化率と相関関 係を呈し (r=0.28,p=0.02)、右室拡張末期径と負の相関関係を呈した (r=-0.28, p=0.01)。

経過過追追跡

一年間の経過観察期間で、7例が死亡し、28例が左室補助人工心臓の植え込み 術を施行された。LowPAC群では、highPAC群に比べ心事故発生率が高値で あった(図 7、p=0.001)。

単変変量量解解析析、、多多変変量量解解析

単変量解析にて、PAC低下は死亡、左室補助人工心臓植え込みと有意に関連す る因子であった (hazardratio0.38,95%CI0.21-0.63,p<0.0001)。その他の因

(21)

子では、年齢、収縮期血圧、NYHA≧3、左室駆出率、logBNP、総ビリルビン 値、右室拡張末期径、心拍出量、最大下大静脈径が心事故発生と有意に関係し た(表 8)。また、多変量解析にて、PACは年齢、性別と NYHA≧3、logBNP 左室駆出率、右室拡張末期径、最大下大静脈径、総ビリルビン値、三尖弁逆流 圧較差を組み合わせて補正しても心事故発生に有意に関係した(表 9)。

考 考察察

この研究の主な知見は、3つある。まず、心エコー図による PACは右心カテ ーテル検査による PAC と有意な相関関係を呈した。また、心エコー図による PAC低値は PAWP、PVRの上昇と関連していた。次に心エコー図で求める PAC は、左心不全において、心不全重症度や右室機能障害と関連があった。PACは logBNPと負の相関関係を認め、NYHA≧3を呈する症例は NYHA2の症例よ り PACは低値であった。さらに、PACは右室面積変化率と相関し、右室拡張 末期径と負の相関関係を呈した。最後に、心エコー図で求める PAC は心事故 発生の独立した有意な予後予測因子であった。多変量解析において、PACは死 亡、左室補助人工心臓装着を予測する独立した有意な予測因子であった。

右室後負荷の指標としては、現在 PVRが最も一般的に用いられている。PVR は定常流における肺毛細血管の抵抗を表す指標である。一方で、PACは右室か

(22)

らの一回拍出における肺血管の伸縮性を表しており、拍動流での右室後負荷を 表している。血液の流れは拍動性であり、肺循環系は、この拍動性の後負荷に 大きく影響される22。最近のカテーテルデータベースからの研究では、PACは PVRよりも優れた心不全の予後予測因子であったと報告されている1823。これ は、生体の血流は拍動流のため、拍動流での右室後負荷を反映する PACは PVR よりもより生体における右室後負荷の観察に優位である可能性を示している。

一方で、非侵襲的に心エコー図で求める PAC の重症心不全における有用性 はこれまで明らかでなかった。また、心エコー図で求める PAC と右心テーテ ル検査で求める PAC の関係性についても過去に報告がなかった。右心カテー テル法は侵襲的な手技であり、繰り返し行うことは難しいが、心エコー図検査 は非侵襲的で繰り返して行うことのできる検査であり、臨床現場で有用である と考えられる。本研究では、非侵襲的に心エコー図で求める PAC が右心カテ ーテル検査で求めた PACと強い相関関係を認めることも示した。

原発性 PAHを対象とした過去の論文19では症例を PACの 3分位値で 4群に 分けているが、本研究では症例数が 72例と少なかったため PACの中央値で 2 群に分けて解析を行った。原発性 PAHの 54例における PACの中央値は 1.25 (ml/mmHg)であったと報告されているが、本研究での PACの中央値とほぼ近 似していた。これは、本研究における対象疾患は左心不全症例であるが、多く

(23)

の症例で post-capillaryPHを合併していたためと考えられる。本研究の研究 1 での PVR>3WUを検出する PACの cutoff値は 2.01(ml/mmHg)であったが、

研究 2の対象が重症左心不全症例を多く含む群であり、多くの症例が 2.01 (ml/mmHg)を下回ったため、PAC の中央値を解析に用いた。左心不全を対象 とした過去の研究では、右心カテーテル検査による PACが 2.15(ml/mmHg) 未満の症例は有意に心事故発生率が高値であると報告されている23。本研究で の PVR>3WUを検出する PACの cutoff値 2.01(ml/mmHg)はこの値と近似 していた。

PAC低値は右室収縮能低下、右室拡大と関連することから、PACは右室機 能障害と関連すると考えられる。この結果は、PH を伴う左心不全では、長期 的な右室後負荷の上昇により右心不全を合併するという病態に矛盾しないと考 えられる。左心不全に右室機能障害を伴う機序として、右室後負荷の他に右冠 動脈病変や右室にも及ぶ心筋症なども挙げられるため、本研究では、右室拡張 末期径も多変量解析で調整する共変数の一つとした。

左心不全の重症度を反映し、予後予測性のある非侵襲的な指標として、心エ コー図で求める PACの他に運動耐容能や BNPが挙げられる。PAC低下は BNP 上昇と関連が認められた。運動耐容能の限界としては、高齢者や重症左心不全 患者では正確に測定することが困難であるといった点がある。BNPの限界とし

(24)

ては、腎機能低下の影響を受けること、末期心不全で心筋細胞の線維化が進行 している症例では低値を呈するといった点が挙げられる。これらの点から、重 症左心不全患者における PACは有用性が高いと考えられる。

PACは、利尿薬や強心薬投与といった心不全治療により PAWPが低下する と改善する。従って心不全の重症度の評価だけでなく、治療の指標になる可能 性もある。本研究では入院時の PAC 値を基に心不全の予後との関係を検討し ているが、退院前の血行動態の安定した状態での PAC 値や、入院時と退院時 の PAC 値の差は心不全治療への反応性を反映し、心不全の予後を推定する可 能性がある。それらと心不全の予後との関係性については、今後の研究課題で あると考えられる。

右室後負荷は重症心不全の予後予測に有用とされているが、非侵襲的に右室 後負荷を評価する方法は確立されていない。この研究の結果は、心エコー図で 求められる右室後負荷の指標である PAC が、心不全診療において有用である ことを示している。

研究究のの限限界

研究の限界は以下の通りである。第一に、左室流出路でのドプラ法による時間 積分値から算出した一回拍出量は必ずしも右室からの一回拍出量と一致しない

(25)

可能性がある。しかしながら、右室流出路の径を心エコー図検査で正確に計測 することは困難であるため、右室流出路から算出するよりも正確であると考え られる。第二に、本研究では運動耐容能の指標を評価項目としなかった。第三 に、本研究の対象群は左室人工心臓の装着が必要となり得る重症心不全症例に 限定されている。今後、左室駆出率の保たれた左心不全の含む幅広い心不全症 例を対象とした研究を行う必要がある。最後に、本研究は単施設での後方視的 観察研究であるためサンプルサイズが少なく、多変量解析では調整する共変量 の数が制限された。

ま まととめめ

心エコー図による PACは右心カテーテル検査による PACと相関し、重症心不 全における予後予測に有用であると考えられた。

謝 謝辞辞

稿を終えるに臨み、研究・論文作成の御指導、御校閲を賜りました平山篤志教 授、大阪大学循環器内科の坂田泰史教授、大谷朋仁先生に深く感謝の意を表し ます。また、心エコー図検査の現場で御協力を頂きました勝木桂子氏、森本裕 美子氏、藤田麻理子氏に厚く御礼申し上げます。

(26)

表 表

表 1.肺高血圧症臨床分類(ニース分類)

1.肺動脈性肺高血圧症

1’肺静脈閉塞性疾患および肺毛細血管腫症 1’’新生児遷延性肺高血圧症

2.左心性心疾患に伴う肺高血圧症 1)左室収縮不全

2)左室拡張不全 3)弁膜疾患

4)先天性/後天性の左室流入路/流出路閉塞

3.肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症 4.慢性血栓塞栓性肺高血圧症

5.詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症

(27)

表 2.欧州心臓病学会の肺血行動態による肺高血圧症の分類

定義 血行動態 臨床病型

肺高血圧症 平均肺動脈圧 ≥25 mmHg 前毛細血管性肺高血圧症 平均肺動脈圧 ≥25 mmHg 肺動脈楔入圧 ≤15 mmHg

後毛細血管性肺高血圧症 平均肺動脈圧 ≥25 mmHg 左心性心疾患に伴う 肺高血圧症

肺動脈楔入圧 >15mmHg

(28)

表 3.Framinghamstudyの心不全診断基準

大項目 小項目

発作性夜間呼吸困難 浮腫

起座呼吸 夜間の咳

頸静脈怒張 労作時呼吸困難

湿性ラ音聴取 肝腫大

心拡大 胸水貯留

肺うっ血・肺水腫 頻脈(>120bpm)

Ⅲ音聴取 体重減少(>4.5kg/5日)

中心静脈圧>16mmH2O 肝頸静脈逆流

大項目 2項目、もしくは大項目 1項目+小項目 2項目で心不全と診断する。

(29)

表 4.NYHA分類

Ⅰ度 心疾患はあるが身体活動に制限はない。

Ⅱ度 軽度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。

Ⅲ度 高度な身体活動の制限がある。安静時には無症状。

Ⅳ度 心疾患のためいかなる身体活動も制限される。

(30)

表 5.研究1の患者背景

n=30

臨床床的的背背景

年齢 (歳) 53±16

男性比率 (n,%) 24(80)

Body massindex(Kg/m2) 22.3±3.4 NYHA分類 Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ (%) 6/57/27/10

収縮期血圧 (mmHg) 99±19

拡張期血圧 (mmHg) 62±10

心拍数 (bpm) 77±14

血液液生生化化学学検検査査デデーータ

血中 BNP濃度 (pg/ml) 674±554 e-GFR(ml/min/1.73m2) 55±21

血中ナトリウム濃度 (mEq/L) 137±4

ヘモグロビン値 (g/dl) 13±2

基礎礎心心疾疾患

拡張型心筋症 (n,%) 虚血性心筋症 (n,%)

その他(産褥性心筋症、心筋炎後、不整脈源性右室心筋症、

拡張相肥大型心筋症 各 1例) (n,%)

24(80) 2(7) 4(13)

心エエココーー図図検検査査デデーータ

左室拡張末期径 (mm) 72±10

左室収縮末期径 (mm) 65±11

左室駆出率 (%) 21±7

左房径 (mm) 47±10

僧帽弁逆流 Ⅲ・Ⅳ度 (n,%) 6(20)

三尖弁逆流 Ⅲ・Ⅳ度 (n,%) 4(13)

三尖弁逆流圧較差 (mmHg) 28±13

右心心カカテテーーテテルル検検査査デデーータ

心拍出量 (L/min) 3.0±0.6

心係数 (L/min/m2) 1.7±0.4

平均肺動脈圧 (mmHg) 27±11

肺動脈楔入圧 (mmHg) 19±10

肺血管抵抗 (woodunits) 2.8±1.6 e-GFR=推算糸球体濾過量

平均値 ±SD

(31)

表 6. 研究2の患者背景

highPAC lowPAC p値 (n=36) (n=36)

臨床床的的背背景

年齢 (歳) 46±14 47±12 0.88

男性率 (n,%) 22(61) 26(72) 0.31 Body massinex(Kg/m2) 21.0±5.3 20.8±4.5 0.85 糖尿病 (n,%) 4(11) 4(11) 1.00 虚血性心筋症 (n,%) 6(16) 7(19) 0.75 NYHA分類 Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ(%) 0/41/36/22* 0/11/50/38 0.03 収縮期血圧 (mmHg) 98±21 96±20 0.61 拡張期血圧 (mmHg) 62±15 61±14 0.80 心拍数 (bpm) 76±20 82±17 0.20 心房細動 (n,%) 4(11)* 0(0) 0.01

内服服薬

強心薬 (n,%) 13(36) 21(58) 0.50 β遮断薬 (n,%) 33(91) 33(91) 1.00 ACE阻害薬または ARBs(n,%) 30(83) 32(88) 0.49 利尿薬 (n,%) 33(91) 36(100) 0.07

血液液生生化化学学検検査査デデーータ

血中 BNP濃度 (pg/ml) 503±371* 932±595 <0.001 総ビリルビン値 (mg/dl) 0.8±0.4* 1.2±0.6 <0.01 血中尿素窒素値 (mg/dl) 26±12 24±14 0.40 クレアチニン値 (mg/dl) 1.0(0.8-1.4) 0.9(0.8-1.2) 0.48 e-GFR(ml/min/1.73m2) 54±24 60±23 0.28 血中ナトリウム濃度 (mEq/L) 135±3 133±4 0.07 ヘモグロビン値 (g/dl) 12±2 12±2 0.48 ACE=アンジオテンシン変換酵素, ARBs=アンジオテンシン受容体拮抗薬, e-GFR=推算糸球体濾過量.

平均値 ±SD,中央値 (四分位間範囲) *:p<0.05vsLowPAC

(32)

表 7. 研究2の心エコー図検査データ

highPAC lowPAC p値 (n=36) (n=36)

左室拡張末期径 (mm) 70±10 73±10 0.20 左室収縮末期径 (mm) 64±10 67±11 0.17 左室駆出率 (%) 21±7 23±7 0.18 左房径 (mm) 47±10 51±9 0.14 E波 (m/sec,n=65) 0.8±0.3 0.8±0.2 0.78 A波 (m/sec,n=43) 0.4±0.1 0.3±0.1 0.08 E/A比 (n=43) 1.7±0.8* 2.6±1.0 <0.01 E波減速時間 (ms,n=63) 134±55 114±25 0.35 E/e’(n=52) 16.1±8.1 18.8±9.0 0.28 肺動脈弁逆流圧較差 (mmHg) 9±5* 12±5 <0.001 三尖弁逆流圧較差 (mmHg) 27±10* 45±11 <0.0001 右室拡張末期径 (mm) 38±10 42±7 0.05 三尖弁輪部移動距離 (mm) 14±4 14±4 0.78 右室面積変化率 (%) 24±11 21±7 0.19 推定心拍出量 (L/min) 3.6±1.1* 2.2±0.6 <0.001 最大下大静脈径 (mm) 16±6 17±5 0.74 僧帽弁逆流 Ⅲ・Ⅳ度 (n,%) 12(33) 19(52) 0.09 三尖弁逆流 Ⅲ・Ⅳ度 (n,%) 5(13) 12(33) 0.05 平均値 ±SD *:p<0.05vsLowPAC

(33)

表 8.単変量解析

Hazard ratio 95%CI p値 年齢 (1歳増加) 0.96 0.93-0.98 0.004

男性 0.35

PAC(1ml/mmHg増加) 0.38 0.21-0.63 <0.0001 収縮期血圧 (1mmHg上昇) 0.97 0.94-0.98 0.001 NYHA分類 Ⅲ・Ⅳ 3.99 1.57-13.43 0.002 e-GFR

(1.0ml/min/1.73m2上昇)

0.44 LogBNP(1.0logunit上昇) 1.80 1.19-2.82 0.003 総ビリルビン値 (1mg/dl上昇) 2.25 1.34-3.65 0.002

左室拡張末期径 (1mm拡大) 0.15

左室駆出率 (1%上昇) 0.95 0.91-1.04 0.03

左房径 (1mm拡大) 0.93

E/A比 (0.1上昇,n=43) 0.09

E/e’(1上昇,n=52) 0.65

肺動脈弁逆流圧較差 (1mmHg上昇) 0.31

三尖弁逆流圧較差 (1mmHg上昇) 1.02 1.00-1.05 0.01 右室拡張末期径 (1mm拡大) 1.05 1.01-1.09 0.007

三尖弁輪部移動距離 (1mm増加) 0.11

右室面積変化率 (1%上昇) 0.10

推定心拍出量 (1L/min増加) 0.56 0.37-0.82 0.002 最大下大静脈径 (1mm拡大) 1.07 1.00-1.13 0.02 PAC=pulmonaryarterialcapacitance,e-GFR=推算糸球体濾過量.

(34)

表 9. 多変量解析

PAC(1ml/mmHg増加)

Hazardratio 95%CI p値 モデル 1(年齢、性別、NYHAⅢ・Ⅳ) 0.40 0.22-0.69 <0.001 モデル 2(年齢、性別、LogBNP) 0.42 0.22-0.71 <0.0001 モデル 3(年齢、性別、左室駆出率) 0.38 0.21-0.62 <0.0001 モデル 4(年齢、性別、右室拡張末期径) 0.43 0.23-0.73 <0.001 モデル 5(年齢、性別、最大下大静脈径) 0.37 0.20-0.63 <0.001 モデル 6(年齢、性別、総ビリルビン値) 0.40 0.21-0.69 <0.001 モデル 7(年齢、性別、三尖弁逆流圧較差) 0.29 0.13-0.56 <0.0001 PAC=pulmonaryarterialcapacitance

(35)

図 図

図 1.心エコー図検査で測定した指標

(36)

図 2.心エコー図による PACの算出

PAC=pulmonaryarterialcapacitance

(37)

図 3.心エコー図による右心機能評価心エコー図による右心機能評価

(38)

図 4.心エコー図での PACと右心カテーテル検査での血行動態指標との関係

PAWP= 肺動脈楔入圧,PVR=肺血管抵抗,echoPAC=心エコー図検査により 算出した pulmonaryarterialcapacitance.

(39)

図 5.PVR>3WUを予測する

AUC=areaundertheROC

を予測する ROC曲線

ROCcurve

(40)

図 6.PACの分布

PAC=pulmonaryarterialcapacitance

(41)

図 7.生存時間分析

PAC=pupulmonaryarterlmonaryarteriaialclcapacitance

(42)

図 図説説

図 1.

心尖部三腔像あるいは四腔像においてサンプルボリュームを僧帽弁弁尖に置き、

超音波パルスドプラ法を用いて、左室流入血流速波形の急速流入血流期血流速 波形(E波)と心房収縮期血流速波形(A波)の高さを計測した(A)。心尖部 四腔像にて僧帽弁弁輪部(中隔側)にサンプルボリュームを置き、組織ドプラ 法にて波形を記録し、僧帽弁輪部速度の拡張早期の陰性波(E’波)と心房収 縮期の陰性波(A’波)を計測した(B)。心窩部像を描出し、肝静脈直下で下 大静脈径を計測した(C)。

図 2.

心エコー図による一回拍出量は、左室流出路でのドプラ法による時間積分値と 左室流出路径から測定した(A)。心尖部四腔像にて三尖弁逆流を描出し、連続 波ドプラ法を用いて三尖弁逆流圧較差を測定した(B)。また、大動脈弁口レベ ル左室短軸像にて肺動脈弁逆流を描出し、連続波ドプラ法を用いて肺動脈弁逆 流圧較差を測定した(C)。

(43)

図 3.

右室に焦点をあてた心尖部四腔像にて、右室拡張末期径、三尖弁輪部移動距離、

右室面積変化率を評価した。右室拡張末期径は拡張末期における右室中部径を 測定した(A)。三尖弁輪部移動距離は、右室自由壁側の三尖弁輪の長軸方向移 動距離を M モード法にて計測した(B)。また、右室面積変化率は右室断面積

の右室収縮による変化率であり、(拡張末期右室面積-収縮末期右室面積) /拡 張末期右室面積により算出した(C)。

図 4.

心エコー図による PACと、右心カテーテル検査で測定した PAC、PAWP、PVR の相関関係を示す。

図 5.

ROC分析を用いて心エコー図検査における PACの PVR>3WUの検出力を評 価した。

図 6.

研究2の対象症例 72例における心エコー図による PACの分布を示す。

(44)

図 7.

研究 2の対象症例 72例の Kaplan-Meier曲線を示す。

(45)

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表 2 .欧州心臓病学会の肺血行動態による肺高血圧症の分類 定義 血行動態 臨床病型 肺高血圧症  平均肺動脈圧 ≥25 mmHg  前毛細血管性肺高血圧症 平均肺動脈圧 ≥25 mmHg  肺動脈楔入圧 ≤15 mmHg  後毛細血管性肺高血圧症 平均肺動脈圧 ≥25 mmHg  左心性心疾患に伴う 肺高血圧症肺動脈楔入圧 &gt;15mmHg
表 3 .Fram inghamstudyの心不全診断基準 大項目 小項目 発作性夜間呼吸困難 浮腫 起座呼吸 夜間の咳 頸静脈怒張 労作時呼吸困難 湿性ラ音聴取 肝腫大 心拡大 胸水貯留 肺うっ血・肺水腫 頻脈(>120bpm) Ⅲ音聴取 体重減少(>4 .5kg /5日) 中心静脈圧>16mmH 2 O 肝頸静脈逆流 大項目 2項目、もしくは大項目 1項目+小項目 2項目で心不全と診断する。
表 5 .研究1の患者背景 n=30 臨 臨床 床的 的背 背景景 年齢 (歳) 53±16 男性比率 (n ,%) 24(80) Body massindex(Kg /m2)  22 .3±3 .4 NYHA分類 Ⅰ/ Ⅱ/ Ⅲ/ Ⅳ (%) 6 /57 /27 /10 収縮期血圧 (mmHg) 99±19 拡張期血圧 (mmHg) 62±10 心拍数 (bpm) 77±14 血 血液 液生 生化 化学 学検 検査 査デ デー ータタ 血中 BNP濃度 (pg /m l) 674±554 e-GFR(m
表 6 . 研究2の患者背景 h ighPAC lowPAC p値 (n=36) (n=36) 臨 臨床 床的 的背 背景景 年齢 (歳)  46±14  47±12 0 .88 男性率 (n ,%) 22(61)  26(72)  0 .31 Body massinex(Kg /m 2 ) 21 .0±5 .3  20 .8±4 .5 0 .85 糖尿病 (n ,%) 4(11)  4(11)  1 .00 虚血性心筋症 (n ,%) 6(16)  7(19)  0 .75 NYHA分類 Ⅰ/ Ⅱ/ Ⅲ/
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