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井上 大介

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メ キ シ コ 民 衆 文 化 と し て の ル チ ャ ・リ ブ レ

ー テ ク ニ コ ・ル ー ド を め ぐ る 儀i礼 性 ・遊 戯 性 一

井上 大介

LuchaLibreasinMexicanPopularCulture:

RitualityandPlayfulnessofTecnico/Rudo

INOUEDaisuke

1一 は じ め に(問 題 設 定)

2一 民 衆 文 化 と し て の ル チ ャ ・ リ ブ レ の 起 源 と そ の 変 遷 3一 ル チ ャ ・ リ ブ レ の シ ー ク エ ン ス

1)試 合 前

2)第1試 合(前 座 試 合) 3)第2・ 第3試

4)第4試 合(メ イ ン ・イ ベ ン ト) 5)第5試 合(フ ァ イ ナ ル ・イ ベ ン ト) 4一 ル チ ャ ・リ ブ レ に お け る 儀 礼 性 ・遊 戯 性

1)儀 礼 的 次 元 一 遊 戯 的 次 元

2)儀 礼 的 次 元 一 遊 戯 的 次 元 に お け る 類 似 点 か ら み た ル チ ャ ・ リ ブ レ 3)儀 礼 的 次 元 一 遊 戯 的 次 元 に お け る 相 違 点 か ら み た ル チ ャ ・リ ブ レ 5一 ル チ ャ ・リ ブ レ に お け る 流 用

6一 結 論 に か え て

1一 は じ め に(問 題 設 定)

メ キ シ コ で は,ル チ ャ ・リ ブ レ(メ キ シ カ ン ・プ ロ レ ス 。 語 義 的 に は 自 由

な 闘 争 の 意 。 以 下 ル チ ャ と も表 記)が,サ ッ カ ー に 次 い で,民 衆 の 人 気 を博

し て お り,同 国 は ア メ リ カ,日 本 と と も に,プ ロ レ ス 大 国 と して 知 られ て い

る 。 多 くの 日本 人 プ ロ レ ス ラ ー も メ キ シ コ で 修 行 を積 み,現 在 で は,日 本 に

(2)

もメ キ シ コ風 プ ロ レス を看 板 と した プ ロ レス 団体 が存 在 す る ほ どで あ る。 ま た メ キ シコ観 光 の 中 に も,ル チ ャ観 戦 が 組 み 込 まれ,メ キ シ コ性 の発 見 とい

った ツー リズ ム的 意 味 で も,ル チ ャへ の 関 心 が存 在 す る。

本稿 で は,こ の よ うな現 代 性 を有 す るメ キ シ コ民 衆 文化 と しての ル チ ャを取 り上 げ,そ こ にみ られ る民 衆 との イ ンタラ ク シ ョンに よ って形 成 され た象徴 的 世界 観 に注 目 し,そ こでの 解釈 の され方 や社 会 的機 能 を分析 す る もの で あ る。

エ ドマ ン ド ・リー チ は,人 聞 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン を1)合 理 的 ・技 術 的 な 行 動,2)伝 達 的 行 動,3)呪 術 的行 動 に分 類 した上 で,儀 礼 的行 動 と して,2)

と3)を 包 含 す る こ とを主 張 して い る1。 同主 張 を援 用 しなが ら,エ ミー ル ・ デ ュ ル ケ ー ム の 集 合 表 象2と い う儀 礼 分 析 へ の視 点 を現 代 ス ポ ー ッ研 究 に展 開 して い る もの と して は,マ ル テ ィ ン ・セ ガ レ ンや ロベ ル ト ・ダマ タ3な ど に よ る,ス ポ ー ッ の儀 礼 象 徴 分 析 が 存 在 して い る。 儀 礼 研 究 にお い て は,ヴ ィ ク ター ・ター ナ ー4が,コ ム ニ タス や 社 会 劇 とい う視 点 を人 類 学 に導 入 し, 儀 礼 にお け る社 会 変 革 の可 能 性 やs観 客 を含 め たパ フ ォー マ ンス とい う側 面 を強 調 して い る と と もに ドン ・ハ ンデ ル マ ンな どに よ っ て儀 礼 と遊 戯 の相 違 点 ・類 似 点 が 分 析 さ れ て い る。 この よ う な視 点 は,ル チ ャ を演 劇 ・遊 戯 ・儀 礼 とい う多 様 な観 点 か らみ つ め,そ こで の 時 問,空 間,ル チ ャ ドー ル,観 客 と

い っ た次 元 にお け る象 徴 分 析 を展 開す る際,重 要 な枠 組 を提 供 して くれ よ う。

ク リフ ォー ド ・ギ ア ツは文 化 を 「象徴 に表 現 され る 意 味 の パ ター ンで,歴 史 的 に伝承 され る もの で あ り,人 問が 生 活 に 関す る知 識 と態 度 を伝 承 し,永 続 させ,発 展 させ る た め に用 い る,象 徴 的 な形 式 に表 現 され伝 承 され る概 念

の体 型 を表 して い る」 と定 義 し,象 徴 を 「意 味 を運 ぶ 容 器 と して機 能 す る, 事 物,行 為,出 来 事,関 係 性 」 で あ り,「 人 間 の外 部 に あ っ て,情 報 を伝 達 す る源 」 と位 置 づ け なが ら,そ の研 究 に 際 して は,法 則 性 や 説 明で は な く, 解 釈 が な され な け れ ば な らずr文 化 をテ ク ス トの 集合 体 と して捉 え,そ の解 釈 は社 会 の 生 活 とい う脈 絡 に根 ざ した 「厚 い記 述 」 で な けれ ば な らな い と主

1Leach1975:334 . 2デ ュ ル ケ0ム1991

3Segaren1998 ,ダ ・マ タ1983:246‑287。

4タ ー ナ ー‑1976 ,Turner1982。

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メ キ シ コ民 衆 文化 と して の ルチ ャ ・リブ レ83

張 して い る 。

一 方,本 稿 の 中心 テ ー マ で あ る民 衆 文 化5は,一 般 に は,「 民 衆,つ ま り 社 会 的 支 配 者層 に対 す る被 支 配 者 層 に よ って 形 成 され た文 化 」 と定 義 され る。

しか し民 衆 文 化 に 関す る研 究 で は,カ ル チ ュ ラル ・ス タデ ィー ズ(以 下CS と表 記)6に お い て,文 化 を支 配 者 層 ・被 支 配 者 層 に分 け た二 層 モ デ ル7に 依 拠 す る視 点,す な わ ち支 配者 層 の 文化,高 級 文化(ハ イ ・カル チ ャ)に 対 し

て 自律 性 を もっ た文 化 と して捉 え られ る立場8と,こ の二 層 モ デ ル を脱 却 し, 被 支 配 者 層 に よる 支 配 者 層 文 化 の流 用9と い っ た現 象 に焦 点 を あ て,両 者 の 断絶 を否 定 す る立 場 が あ る。 後 者 は,ポ ー ル ・トン プ ソ ンの 「労働 者 階 級 の 文 化 は,上 流 階 級 の 文 化 とは まっ た く異 な る資 源 か らつ く りだ され て い る わ

5「 民 衆 文 化 」(ポ ピ ュ ラ ー ・カ ル チ ャ)同 様 ,現 在 頻 繁 に使 用 さ れ て い る 「ポ ップ ・カ ル チ ャ ー 」 で あ る が,「 ポ ッ プ 」 は 語 源 と し て は 「ポ ピ ュ ラ ー 」 の 短 縮 で は あ る も の の

「ホ ッ プ ・ア ー ト」 と い っ た 使 用 例 の 如 く,「 流 行 の 」 と い う意 味 あ い が 顕 著 で あ り,本 稿 で は 「流 行 文 化 」 と 定 義 し た い 。 一 方,「 大 衆 文 化 」(マ ス ・カ ル チ ャ ー)も 後 者 と の 類 似 が み ら れ る が,本 稿 で は,マ ス ・メ デ ィ ア,文 化 帝 国 主 義 的 影 響 に よ っ て,上 流 階 級 一庶 民 間 の 文 化 的 不 平 等 を 撤 廃 し,国,民 族,言 語,地 域 的 差 異 を 均 一 化 す る 側 面 が 重 視 さ れ て い る た め,そ れ ら を 大 衆 文 化 の 特 徴 と し た い 。 さ ら に サ ブ ・カ ル チ ャ は,「 あ る 集 団 固 有 の 価 値 基 準 に よ っ て 形 成 さ れ た 文 化 」 と し,「 社 会 の 支 配 的 文 化 の 中 に 散 逸 的 に 存 在 す る も の 」 と し て お き た い 。 「カ ウ ン タ ー ・カ ル チ ャ 」(対 抗 文 化)は,「 支 配 文 化 を 支 え る既 存 の 社 会 構 造 と は 異 な っ た 枠 組 み を想 定 し,支 配 的 文 化 と相 争 う結 果 に な る も の 」 と 定 義 さ れ よ う 。 な お こ れ ら の 概 念 に お け る 混 乱 は,マ ス ・メ デ ィ ア に よ っ て 普 及 す る 大 衆 文 化,民 衆 文 化 が 同 位 置 に あ る と い う ア メ リ カ の 事 情 に 起 因 し て い る の で あ る 。 ガ ル シ ア ・カ ン ク リ ー こ な ど はs必 ず し も大 衆 的 文 化=民 衆 文 化 で は な い と す る。 彼 は 民 衆 文 化 の 核 と して 民 芸 品 を 取 り上 げ,民 俗 文 化(彼 は そ れ を 民 衆 文 化 とす る)の 特 異 性 に 言 及 す る 。本 稿 で は 「民 俗 文 化 」 を,「 民 芸 品,伝 統 工 芸 に 存 す る 手 作 業 的 ロ ー カ ル 的 特 徴 を有 し た3民 衆 文 化 よ り も さ ら に 持 続 力 の あ る 伝 統 的 非 支 配 者 層 文 化 」 と 定 義 して お く。 な お カ ン ク リ ー 二 は 民 俗 文 化 が そ の 持 続1生ゆ え に,支 配 の 正 当 化 と し て,権 力 に 側 に 利 用 さ れ や す い と 指 摘 す る 一 方,民 衆 文 化 を 複 数 形 で あ る こ と を 強 調 し な が ら,国 家, 民 族 内 下 位 セ ク タ ー に お い て,一 般 的 あ る い は 固 有 の 労 働 や 生 活 の 現 実 的 ・象 徴 的 理 解, 再 生 産,変 容 を 通 じ た,経 済 的 ・文 化 的 財 産 に お け る 不 平 等 の 流 用 過 程 に よ っ て 形 成 さ れ る と述 べ て い る 。GarciaCanclini2002:90。

6上 野&毛 利2000:224‑225。

7バ ー ク1988。

8ホ ガ ー ト1974。

9流 用 と い う概 念 は ,ド ・セ ル トー1987を も と に シ ャ ル チ エ1995な ど に よ っ て 発 展 し た 。 そ れ は 権 力 側 に よ る 戦 略 と対 比 さ れ た 戦 術 に 対 応 し,ブ リ コ ラ ー ジ ュ と も 呼 ば れ る 。

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け で は ない。 た だ 労働 者 た ち は,資 源 に対 す る独 自の 関 わ り方 や思 考,創 的 活 動 に よ っ て ま っ た く新 しい 特 徴 的 な文 化 を つ く りだ して い るの だ」10と の 言 葉 に代 表 され よ う。

現 在 のCSの 動 向 と して は,ト ンプ ソ ンの 立 場 に依 拠 した,「 エ ン コ ー デ ィ ング ・デ ィコー デ ィ ン グ」 論 な どを提 唱す るス チ ュ ア ー ト ・ホ ー ル11の 視 点 が よ り重 視 され て お り,そ こ で は,ジ ョ ン ・フ ィス クの マ ス ・メ デ ィ ア研 究 な どにみ られ る よ うに(そ こ に は民 衆 文 化 と大 衆 文化 の 同一 化 が み られ る

もの の),支 配 者 層 文 化 を独 自の仕 方 で解 釈 し,展 開 ・発 展 させ る と と もに, そ れ が 権 力 へ の抵 抗 や,権 力 か らの逸 脱 に よ る快 楽 と結 びつ い て い る とい っ た 民 衆 文 化 論 が焦 点 とな っ て い る12。

本 稿 で は,ル チ ャの演 劇 的 ・儀 礼 的 ・遊 戯 的側 面 に焦 点 を 当 て る とい う意 味 に お い て,上 記 した 人 類 学 研 究 に依 拠 す る と と もに,CS的 視 点 一 民 衆 文 化 と しての ル チ ャが民 衆 に よ る支 配 者 層 文 化 の流 用 に よ っ て発 展 した とい う

立 場一 を参 照 と しな が ら,ル チ ャ ・リブ レに お い て,ど の よ うな象 徴 的解 釈 が発 展 し,そ れ らが どの よ うな社 会 的 機 能 を果 た して い る のか,具 体 的 には そ れ が 民 衆 に お け る権 力 へ の 抵抗 と して機 能 して い る の か,あ る い は,権 力 か らの 逸 脱 を体 現 して い るの か,と い う点 に注 目 し論 を展 開す る。 そ の際 ル チ ャが,そ の性 質上,権 力 や 既 存 の 社 会 秩 序 へ の抵 抗 とい っ た次 元 を含 む

と同時 に,既 成 の権 力 構 造 の 維 持 と して も機瀧 して い る とい う両 義 的,重 層 的 役 割 を果 て して い る とい う仮 説 をた て,そ の 証 明 に努 め た い。

先 行研 究 に 関 して は,プ ロ レス につ い て は,ロ ラ ン ・バ ル トの記 号 学 的分 析13を 筆頭 に,日 本 の プ ロ レス に 関 して も,社 会 学,人 類 学,哲 学 な どの分 野 に お い て そ の成 果 が 多 数発 表 され て い る14。 しか し,ル チ ャ に関 して は, 写 真 家 に よ る作 品,カ ル ロス ・モ ンシ ヴ ァ イス15な ど評 論 家 に よる記 述 な ど の 他 は,メ トロ ポ リ タ ン 自治 大 学 社 会 人 類 学 科 の 学 士 論 文 に1本,メ キ シ

10サ ル ダ ー&ル ー ン2002:34。

11Hall1973 .

12フ ィ ス ク&ハ0ト レ ー1991,フ ィ ス ク1996:375‑391,フ ィ ス ク2003。

13/9レ ト1967。

14岡 村1991,松 浪1993,小 田&亀 井(編 著)2005他

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メキ シ コ民 衆 文 化 と して の ル チ ャ ・リブ レ

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コ ・パ チ ュー カの ルチ ャに 関 す る考 察16が 存 在 して い る の み で あ り,専 門 的 な学術 的考 察 は,あ ま り知 られ て い な い17。

本 稿 の意 義 は,そ の よ うに い まだ学 術 的 に深 化 され て い な い ル チ ャ とい う 豊 穣 な象 徴 的世 界 を,社 会 学,人 類 学 お よ びCSの 視 点 に よ っ て考 察 し,同 研 究 分 野 の 開拓 を試 み る こ とに あ る。

2一 民 衆 文化 と しての ル チ ャ ・リブ レの 起 源 とその 変 遷

人 類 学 的 研 究 で は,現 地 調 査 に よ る 共 時 的 理 解 が 重 視 さ れ,歴 史 的 側 面 が 無 視 さ れ る傾 向 が あ っ た が,マ ー シ ャ ル ・サ ー リ ン ズ18な どが 提 唱 す る歴 史 人 類 学 の よ う に,既 存 の 象 徴 分 析 を通 時 的 理 解 に お い て 展 開 し よ う とす る 方 向 性 も発 展 して い る 。 本 稿 で も,ル チ ャ ・リ ブ レ に 関 す る 歴 史 的 理 解 を 元 に, 民 族 誌 を 元 に し た 象 徴 分 析 を試 み た い 。

ル チ ャ ・リ ブ レ は プ ロ レス の メ キ シ コ版 で あ る が,基 本 的 に す べ て の 選 手 が テ ク ニ コ(善 玉),ル ー ド(悪 玉)に 別 れ て い る と と も に,そ の 半 分 以 上 は 覆 面 レ ス ラ ー で 構 成 さ れ て い る 。 試 合 形 式 は1対1,2対2,3対3が ス タ

ン ダ ー ドで あ り,リ ン グ の 上 で 戦 い が 展 開 さ れ る 。 勝 敗 は,フ ォ ー ル(3カ ウ ン ト),ギ ブ ・ア ッ プ,リ ン グ ・ア ウ ト,レ フ リ ー 一・ス トッ プ な どで 決 ま る が,レ フ リー も善 ・悪2人 登 場 す る 点 が ル チ ャ ・リ ブ レ の 大 き な特 徴 で あ る 。

メ キ シ コ に お け る ル チ ャ ・リ ブ レ の 公 式 的 発 端 は,1933年 に,CMLL (ConsejoMundialdeLuchaLibre.世 界 ル チ ャ ・リ ブ レ評 議 会)の 前 身 で あ る EMLL(EmpresaMexicanadeLuchaLibre.メ キ シ コ ・ル チ ャ ・リ ブ レ ・エ ン

15Monsivaisな ど メ キ シ コ 知 識 人 に よ る メ キ シ コ 民 衆 文 化 や ル チ ャ ・リ ブ レ に 関 す る 見 解 は 「メ キ シ コ 民 衆 文 化 」 と い う概 念 が 構築 さ れ て い く上 で 重 要 で あ っ た と考 え る 。 ル チ ャ に 触 れ た 箇 所 で は,「 観 衆 は ア ス テ カ 時 代 の 血 の 生 賛 を 思 い 出 す 」,な どの 表 現 に よ っ て,ル チ ャ ・リ ブ レ に 古 代 メ キ シ コ ・イ メ ー ジ が 付 加 さ れ て い る 。Monsivais1995:

126を 見 よ。 な お メ キ シ コ ・シ テ ィ の 歴 史 地 区 と よ ば れ る 場 所 に は,モ ン シ ヴ ァ イ ス の 個 人 コ レ ク シ ョ ン を 展 示 し たMuseodelaEstanquilla(タ バ コ 屋 博 物 館)が メ キ シ コ ・シ テ ィ の 集 合 的 記 憶 装 置(後 述 す る)と し て 存 在 す る が(2006年11月 オ ー プ ン),そ の 中 に は 「ル チ ャ ・リ ブ レ」 コ ー ナ ー も設 け ら れ て い た 。

ZsHernandez2002 .

17こ の あ た り に ル チ ャ ・リ ブ レ の ロ 承 伝 統 的 側 面 が 伺 え る 。 18サ ー リ ンズ1993。

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タ ー プ ラ イ ズ)が 設 立 さ れ た こ と に起 因 す る 。 同 会 社 は 「ル チ ャ ・リ ブ レの 父 」 と 呼 ば れ る サ ル バ ドー ル ・ル テ ー ロ ス 氏 に よ っ て 設 立,現 在 ル チ ャ興 行 の 大 御 所 と さ れ て い る 。

ル テ ー ロ ス 氏 は,ア ル バ ロ ・オ ブ レ ゴ ン 政 権 期 に,テ キ サ ス で ア メ リ カ ン ・プ ロ レス に ふ れ る 。 サ ー カ ス で の 出 し物 的 要 素 に 多 く依 拠 し な が ら発 展 を とげ た ア メ リ カ ン ・プ ロ レス は,当 時,善 玉 ・悪 玉 に わ か れ た シ ョー 的 要 素 を加 え な が ら活 況 を呈 し て お り19,ル テ ー ロ ス 氏 は そ の よ う な エ ン タ ー テ

ー メ ン トに感 動 を 覚 え

,プ ロ レ ス を メ キ シ コ に根 付 か せ,発 展 させ る と い う 夢 を 抱 い た 。 ル テ ー ロ ス 氏 は 共 同 出 資 者 と して フ ラ ン シ ス コ ・ア ウ マ ダ氏 の 協 力 を 得 る が,場 所 確 保 で は,ア レ ー ナ ・ナ シ オ ナ ル(ア レ ー ナ は ア リ ー ナ の 意)を 所 有 し て い た ボ ク シ ン グ 企 業 家 た ち に 断 られ る 。 そ の 後,半 ば 放 置 さ れ て い た 元 ボ ク シ ン グ用 施 設,ア レー ナ ・モ デ ロ を ヴ ィ ク トル ・カ ス テ ィ ー ジ ョ氏(所 有 者)か ら借 り受 け る こ と に 成 功

,1993年9月21日 に,第 一 回 の 興 行 が 開 催 さ れ た 。 同 試 合 に は,ア メ リ カ 人 ボ ビー ・サ ン プ ソ ン,ア イ ル ラ ン ド人 サ イ ク ロ ン ・マ ッ ケ イ,ア メ リ カ 生 ま れ の メ キ シ コ 人 ヤ キ ・ジ ョ ー らが 出 場 し た 。 初 回 で は,思 わ し い 成 果 は 出 な か っ た が,ア メ リ カ 人 レ ス ラ ー の ラ イ ・ラ イ ア ン との 契 約 等 に よ っ て,徐 々 に そ の 人 気 を 博 し て い く。

当 初 は ラ イ ア ン の 他,ド イ ツ 人 バ ク ソ ー ・ヒ ギ ン ズ,イ タ リ ア 人 ピェ トロ ・ チ ャ ン ドー こ と い っ た 外 国 人 選 手 が 活 躍 し て い た が,ル テ ー ロ ス 氏 の 意 向 で, チ ャ ロ ・ア グ ア ジ ョ,カ ル ロ ス ・タ ル サ ン ・ロ ペ ス,フ ィ ル ポ ・セ グ ー ラ, メ ル セ ・ゴ メ ス,ラ ウ ル ・ロ メ ー ロ,オ ク タ ビ オ ・ナ ノ ア と い っ た メ キ シ コ 人 レ ス ラ ー が 誕 生 し て い っ た 。

一 方 地 方 に お い て は

,労 働 者 的 環 境 の 中 で ル チ ャの 人 気 が 拡 大 し て い く。

パ チ ュ ー カ で は30年 代 後 半 に,炭 鉱 で 働 く男 た ち の 余 興 と し て ル チ ャ ・リ ブ レが ス タ ー トす る 。 そ の よ う な イ ベ ン トは,頑 強 で こ そ あ れ,決 し て トレ ー ニ ン グ で 鍛 え ら れ た ス ポwツ 選 手 た ち に よ る そ れ で は な く

,選 手,観 客 の 一・ 体 間 が 際 立 っ て い た と い う

。 こ の よ う な 地 方 的 展 開 は,や が て,EMLL の 全 国 展 開 に よ り結 集 さ れ て い っ た20。

19ア メ リ カ の プ ロ レ ス 発 展 史 に 関 し て は

,ボ ー ル1993,Thesz2001を 参 照 の こ と 。

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メ キ シ コ民 衆 文 化 と して の ル チ ャ ・リブ レ87

EMLL興 行1周 年 の1934年9月21日,ル テ ー ロ ス 氏 は4万 ペ ソ(当 時) の 宝 く じ を 引 き当 て る 。 メ キ シ コ ・シ テ ィ で は,ル チ ャ の 人 気 向 上 と と も に, ア レー ナ ・モ デ ロ 収 容 人 数 が 限 界 を超 え,ル テ ー ロ ス 氏 は 宝 く じ の 賞 金 を も

と に,新 施 設 の 建 設 を 決 断,1943年4月 に は ア レ ー ナ ・コ リ セ オ と い う 闘 技 場 が 修 道 院 の 跡 地 に誕 生 す る。 そ れ に 平 行 し て,プ エ ブ ラ,グ ア ダ ラハ ラ,

モ ン テ レ イ,ク エ ル ナ バ カ な ど各 都 市 に もEMLL専 用 の 闘 技 場 が 建 設 さ れ て い っ た と 同 時 に,地 方 で は小 さ な 闘 技 場 が 頻 繁 に 建 設 さ れ,ル チ ャ の 人 気 が 全 国 に普 及 す る 。 ル チ ャ ・リ ブ レ の 全 国 的 な 展 開 に よ り,メ キ シ コ ・シ テ ィ で は,新 た な ア レー ナ 建 設 が 課 題 と な り,ル テ ー ロ ス 氏 は,世 界 最 大 の ル チ ャ 会 場 の 建 設 を 決 意 。1953年 に,現 在 ル チ ャ ・リ ブ レ会 場 と し て 最 大 規 模 を 誇 る ア レー ナ ・メ ヒ コが ル チ ャ興 行 を 主 眼 と し た 室 内 総 合 競 技 場 と して,

ア レー ナ ・モ デ ロ の 跡 地 に誕 生 す る こ と に な る21。

1951年,2チ ャ ン ネ ル の 開 設 と と も に,ア レ ー ナ ・コ リ セ オ か ら の ル チ ャ ・リ ブ レ の テ レ ビ放 映 が 開 始 さ れ,ブ ル ー ・デ ー モ ン,エ ル ・サ ン ト,エ ル ・カベ ル ナ リ オ とい っ た 多 くの レス ラ ー が 子 供 た ち を筆 頭 に 大 衆 的 人 気 を 博 し た 。 しか し ル チ ャ ・リ ブ レ ご っ こ に よ る 死 亡 事 故 な ど が 社 会 問 題 と な り, 1955年 か ら1992年 ま で は 中 止 と な る 。 一 方 そ の 間 も,エ ル ・サ ン トな どが

映 画 へ の 出 演 に よ り人 気 を 博 し22,ル チ ャ と い う 大 衆 娯 楽 の ジ ャ ン ル を マ ス ・メ デ ィ ア に 確 立 し て い くの で あ る。 そ の 他 の 動 向 で は,70年 代 に,フ ラ イ ・ トル メ ン タ と い う選 手 が カ トリ ッ ク 司 祭 と い う立 場 で 自 ら の 孤 児 院 経 営 を補 うた め,ル チ ャ ドー ル と な り,社 会 的 話 題 を 呼 ん だ 。 現 在 最 も 人 気 が あ る ミス テ ィ コ は 同 選 手 の 孤 児 院 で 修 行 を う け ル チ ャ界 に 登 場,ル チ ャ ・リ ブ レ に 潜 む 民 衆 カ トリ シ ズ ム の 影 響 が 顕 在 化 し て い る23。

現 在 の テ レ ビ放 映 は,1992年,EMLLか ら独 立 し たAAA(Asistencia,As一

20Hernandez2002:59

21Grobet2006 .な お 開 所 式 に あ た り大 統 領,政 治 家 な どが 出 席 した との 記 述 は み られ な い 。 22エ ル ・サ ン トは1948年 よ り コ ミ ッ ク 誌 に 登 場 し 人 気 を 博 し,1952年 に 第 一 作 目 の 映

画 に 登 場 。 フ ラ ン ス な ど で は 知 的 階 級 に も人 気 が あ る と い わ れ て い る 。

23な お2006年 に は フ ラ イ ・トル メ ン タ を モ デ ル と し た 「ナ チ ョ ・リ ブ レ」 とい うハ リ ウ ッ ド映 画 が 上 映 さ れ,カ ト リ ッ ク 教 会 か ら は 非 難 の 声 が あ が っ て い る 。 民 衆 カ ト リ シ ズ ム と対 立 す る 制 度 的 カ トリ シ ズ ム の 動 向 が 伺 え よ う 。

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esoriayAdministracion.ア テ ン ダ ン ス ・コ ンサ ル タ ン トシ ッ プ ・ア ド ミニ ス トレ ー シ ョ ンの 意 で あ る が,一 般 に は ト リ プ レ ・ア ー と呼 ば れ て い る)と い う 団 体 の マ ス ・メ デ ィ ア を 利 用 した シ ョー ・ビ ジ ネ ス の 展 開 に 起 因 す る もの で あ る 。AAAの 設 立 者 は,以 前EMLLで ブ ッ カ ー一と 呼 ば れ る プ ロ レ ス の シ ナ リ オ 作 成 に 従 事 す る職 に あ っ た ア ン トニ オ ・ペ ー ニ ャ ・エ ラ ー ダ 氏 で あ る。

EMLLを 意 識 し た 彼 の 戦 略 は,マ ス ・メ デ ィ ア に 依 存 し た ア メ リ カ 流 エ ン タ ー テ ー メ ン ト的 興 行 に あ り,6角 リ ン グ の 使 用 な ど,伝 統 よ り も新 しい 要 素 を 取 り入 れ た 方 針 が 受 け 入 れ ら れ,現 在 で はCMLL(同 名 へ の 改 名 は AAAの 設 立 と 時 期 を 同 じ く し て い る)と と も に,メ キ シ コ2大 ル チ ャ ・リ ブ レ 団 体24に 発 展 す る に い た っ て い る 。 し か し一 方 で は,AAAが,民 衆 文 化 と し て の ル チ ャ ・リ ブ レ を 大 衆 文 化 に 変 容 さ せ,民 衆 的 想 像 力 の 固 定 化, 減 少 に加 担 し て きた と い う 点 は 看 過 さ れ て は な ら な い で あ ろ う25。 こ の 点 に つ い て は 後 述 す る。

3一 ル チ ャ ・リ ブ レの シ ー ク エ ン ス

「文 化 の 解 釈 学 」 に お い て,バ リ島 で の 闘 鶏 に 関 す る 民 族 誌 を も の し て い る ギ ア ツ は,同 書 に お い て,「 厚 い 記 述 」 に つ い て 触 れ て い る が,こ こ で は, ギ ア ッ の い う 「厚 い 記 述 」 を念 頭 に,ル チ ャ に つ い て 描 写 す る 。 具 体 的 に は, 試 合 前 か ら第 一,第 二 試 合 と続 く シ ー ク エ ンス を 意 識 し な が ら,ル チ ャ ・リ ブ レ観 戦 の 全 容 把 握 に 努 め た い 。

1)試 合 前

場 所 は ア レ ー ナ ・メ ヒ コ。CMLLの 興 行 で あ る 。 筆 者 は,イ ン フ ォー マ ン ト(ル チ ャ ドー ル 候 補 の 日本 人 青 年 。 在 墨1年)と 共 に,タ ク シ ー で 会 場 に 赴 く。 行 き先 を告 げ る と運 転 手(55歳 ・男 性)は 「俺 も ル チ ャ は 好 き だ が, 最 近 は ジ ャ ー ベ(固 め 技)が 減 っ た 。 ル チ ャ も変 わ っ て し ま っ た よ」 と。 会

24歴 史 的 に は,UWA(UniversalWrestlingAssociationユ ニ バ ー サ ル ・ レ ス リ ン グ 協 会) と い う 名 の 団 体 が1975年 に 発 足 し,ナ ウ カ ル パ ン を 中 心 に 活 発 な 活 動 を 展 開 し て い た が,1995年 に 廃 業 に 至 っ て い る 。

25Hernandez2002:59 .

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メ キ シ コ民 衆 文 化 と して の ル チ ャ ・リブ レ89

場 は地 下 鉄 クア ウテ モ ック駅 か ら3ブ ロ ッ ク。 こ の辺 りは 自動 車 の部 品屋 が 隣接 す る コ ロニ ア ・ドク トー レス。 治 安 の 悪 い 地 区 で あ る26。会 場 近 辺 は露 天 商 が 多 い 。 人 気 レス ラ ーの グ ッズ な ど集合 的 記 憶 商 品27が 所 狭 しと陳列 さ れ て い た 。 現 在 人 気 の ミス テ ィ コの ものが 多 い。 子 供 連 れ が 目立 つ 。 建 物 の 外 観 は古 い体 育 館 とい った 感 じ。 入 場 口 隣 に は,試 合 カー ド,入 場 料 が 掲 示 。

料 金 は,45ペ ソ(階 段 席),55ペ ソ(バ ル コニ ー),85ペ ソ(1階)・ ボ ク シ ン グで は そ の10倍 の 値 段 が 付 い て お り,衛 星優 先 の テ レ ビ放 映,北 米 大 都 市 主体 の 試 合 開催 な ど,既 に 高級 文化 に移行 した感 が あ る。 ル チ ャの 試 合 は 週2回 こ の場 所 で 行 わ れ,近 くの ア レー ナ ・コ リセ オ で も2回 の 興 行 が あ る とい う。 低 価 格,ア クセ ス の 容易 さ,試 合 頻 度 な どが,民 衆 的 ル チ ャ を支 え て い る の で あ る。

商 品購 入 の フ ァ ン,列 をなす 人 々,ダ ブや の だみ 声,走 り回 る子 供 た ち, 強 引 に品 物 を押 し付 け る商 人,汗 の匂 い,そ れ らの 喧騒 に,と にか く早 く巾 へ 入 りた い とい う気 持 ち に駆 られ て い た。 筆 者 は,85ペ ソの 入 場 券 を購 入 し,7時 に持 ち物 チ ェ ック を受 け入 場 。予 想 外 に大 きな競 技 場 で あ る。 当初 は3000名 ほ どの空 間 を想 像 して い たが,実 際 は,日 本 武 道 館 ほ ど もあ るス ペ ー ス で ,近 代 的 か つ 斬 新 な感 じが した。 案 内係 と座 席 を探 し当 て る。 客 席 は プ ラス チ ック製 の椅 子,座 り心 地 は よ くな い。 室 内 には,ロ ックが流 れ,薄 暗 い 空 間 に カ ラ フル な 回転 灯,リ ング だ けが ラ イ トで 浮 き上 が っ て い る。 神 聖 な感 じで あ る。 ス ナ ック類 販 売 業 者 の声 。 値 段 は映 画館 の 半 額 。 客 は落 ち

26そ の 意 味 で は,ル チ ャ へ の 往 復 は 現 実 の 危 険 に 身 を さ ら す 瞬 間 で あ り,試 合 会 場 こ そ が,警 備 員 の 存 在 も含 め,安 全 地 帯 と な る 。 闘 技 場 へ の 入 退 場 が,観 客 に お け る 現 実 の 戦 い の 休 止 ・再 開 の 瞬 間 な の で あ る。CSで は,ア イ デ ン テ ィ テ ィ と 空 間 に 関 す る 議 論 が 活 況 を 呈 し て い る が,1960年 代 後 半 に は ア ン リ ・ル フ ェ ー ブ ル が,異 な る 社 会 や 政 治 的 関 心,そ して 権 力 関 係 に お け る 争 い は 空 聞 的 配 置,あ る い は そ の 否 定 と し て 表 象 さ れ 認 識 さ れ る と主 張 し て い る 。メ キ シ コ ・シ テ ィ に お け る ア レ ー ナ の 地 理 的 配 置 は,労 働 者 階 級 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ と合 致 した も の で あ る と考 え ら れ る 。 上 野&毛 利2000:224‑225

を 参 照 の こ と。

27マ ス クsゴ ム 人 形,写 真,キ ー ホ ル ダ ー,DVD,リ ン グ の 玩 具,雑 誌(週 刊 ゴ ン グ ま で), リ ス ト・バ ン ド,Tシ ャ ツ な どが 並 ぶ 。 儀 礼 と 日常 を つ な ぐ集 合 的 記 憶 装 置 に 関 し て は, ア ル バ ッ ク ス1989を 参 照 の こ と 。 な お プ ロ レ ス を 用 い た リ ン グ 型 玩 具 の 歴 史 は 長 く, そ の 文 化 化 や 経 済 的 効 果,ル チ ャ の 持 続 性 に お け る 影 響 力 も無 視 で き な い 。

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着 きが な くこれ か ら始 ま るイ ベ ン トに参 加 し よ う とす るか の 雰 囲気 。 叫 ぶ で あ ろ う罵声 を練 習 し,準 備 運 動 を して い る。 マス ク を被 っ た フ ァ ンた ち。 子 供 た ち が リ ン グ に近 づ き,走 り回 る。 ス ー ツ姿 は ない 。 大 画 面 で は ,ミ ス テ ィ コの活 躍 を ビデ オ 上 映 。 会 場 で は ア ル コー ル,喫 煙 も許 可 され て い る。 前 列 に は,年 配 の女 性 グル ー プ。 常 連 客 との こ と。 選手 入 場 前 か ら,口 笛 コー ル,そ の音 が 次 第 に増 量 。 「早 く始 め ろ1」 ,「 激 し く!」 との叫 び。8時 す ぎ に ほ ぼ満 員(翌 日の テ レ ビ放 映 で は1万7625人 と報 道)。 黒 い ス ー ツの 司 会 者 が リ ング に登 場 し,拳 を掲 げ挨 拶 。 会 場 は興 奮 に包 まれ る。 選 手 入 場 口 に ラ イ トが灯 り,最 初 にテ ク ニ コ(善 玉),ル ー ド(悪 玉)に 分 か れ た レフ リー が 入場 す る。水 着 姿 の金 髪 女 性 に伴 われ て い る。 次 い で テ クニ コ,ル ー ドの 順 に各 自テ ー マ 曲 に の り,観 客 と握 手 を しなが ら入 場 。 ル ー ドは無 愛 想 。 通 路 周 辺 の客 は総 立 ち,花 道 に殺 到 す る。 三分 の 一 の観 客 は立 ち上 が って い る。

プ ロ レス 自体 に あ ま り興 味 が な い筆 者 も,観 客 の 反応 で 立 ち上 が っ て い た 。 選 手 をエ ス コー トした6人 の女 性 は花 道 に並 び ポ ー ズ。 「強 い 男 を取 り巻 く 美 しい 女 性 た ち」 とい っ た マ チ ズ ム の 再 生 産 が 確 認,こ の あ た りに文 化 帝 国 主 義 の侵 略 が看 取 で きる。

2)第1試 合(前 座 試 合)

前 座 は2対2の タ ッ グ マ ッチ 。 テ ク ニ コ は,ス ペ ル ・ノ ヴ ァ,ト ニ ー ・リ ベ ラ,ル ー ドは ア ポ カ リ プ シ ス ,ラ ム ス テ イ ン,各 々 中 間 ク ラ ス の 人 気 で あ る。1本 目 は 開 始 早 々,固 め 技 の 応 酬 が 続 き,ル ー ド優 勢 と な る 。 ル ー ドの ア ポ カ リ プ シ ス が 大 技 で ノ ヴ ァ を投 げ飛 ば し,ロ ー プ ニ 段 目 か ら ア ピ ー ル 。 会 場 か ら ブ ー イ ン グ 。 「悪 玉 は み ん な オ カ マ な の よ1」 と の 婦 人 の 罵 声 に 会 場 か ら は 爆 笑 が 沸 く。 ル ー ドに よ る 怒 りの パ フ ォー マ ンス 。 そ の 隙 に ノ ヴ ァ の 投 げ 技 が 決 ま る 。 客 か ら は 大 歓 声 。 テ ク ニ コ優 勢 と な り,タ ッチ 交 代,リ ベ ラ と ラ ム ス テ イ ン に よ る 固 め 技 の 応 酬 ,投 げ 技 へ の 移 行 。 リベ ラ が ル ー ド の ラ ム ス テ イ ン を 場 外 へ 投 げ 飛 ば し,ト ッ プ ・ロ ー プ か らボ デ ィ ー ・ア タ ッ

ク 。 ラ ム ス テ イ ン は そ れ を 受 け 止 め 卒 倒,悶 絶 す る 。 歓 声 が 際 立 つ 。 筆 者 も

立 ち 上 が っ て い た 。 そ の 後 テ ク ニ コ優 勢 の ま ま ノ ヴ ァが 固 め 技 で3カ ウ ン ト

を奪 う。 レ フ リ ー が 儀 礼 執 行 者 の 如 く勝 者 の 手 を 高 々 と 上 げ,勝 利 が 公 式 の

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メ キ シ コ民 衆 文化 と して の ルチ ャ ・リブ レ91

もの と な る。 開 始15分,照 明 が 点 灯 。 負 け た ア ポ カ リ プ シ ス は,1分 以 上 リ ング に大 の字 。 場 外 で は ラ ムス テ イ ンが倒 れ た ま ま。 テ ク ニ コ らが ロー プ ニ 段 目か ら ガ ッッ ポ ー ズ 。大 歓 声 。 再 び照 明 が 落 ち花 道 に ス ポ ッ ト。 「二 本

目」 との カー ドを もった 女性 が 現 れ,男 性 客 の視 線 が 集 中 し口笛 の コー ル 。 2本 目は反 則 プ レイ の応 酬 に よっ て ル ー ド側 が 終 始優 勢 。 悪 玉 の 執 拗 な攻 撃 に対 し女 性 客 か ら は 「そ れ ぐ らい で よせ1」 との コー ル 。 「家 で もこ うや っ て妻 を殴 るぜ 」 との ル ー ドの い い訳 に会 場 が 大爆 笑 とな る。 結 果 ル ー ドの フ ォー ル に よっ て勝 敗 が 決 ま る。 大 多 数 の客 は 申 し合 わせ て い た か の よ う に, ブ ー イ ング を送 る。

3本 目は正 攻 法 に よ って,テ クニ コの フ オー ル 勝 ち とな る。勝 利 した テ ク ニ コ側 の選 手 は,観 衆 か らの 喝 采 を浴 び なが ら颯 爽 と引 き上 げ る。 リ ング に 残 っ た ル ー ド側 の 選 手 は,立 ち上 が り,勝 利 したか の ご と く,ガ ッツポ ー ズ で客 にア ピー・ル を繰 り返 し,な か な か リ ン グ を降 りな い。 「ホ モ 野 郎 」 「負 け 犬 」 な どの ブ ー イ ングが 飛 ぶ 。 罵 声 を浴 びせ る方,浴 び され る方 もや り取 り

を楽 しん で い る。 選 手 た ち は,控 え室 へ 帰 って い く際 も,勝 利 した か の ご と く,観 客 に ア ピー ル 。 他 で は見 られ な い勝 敗 の逆 転 が 現 出 して い た 。

こ こまで の観 察 で,日 本 よ りも罵声 が 多 く,客 と選 手 の交 流 が顕 著 で あ る こ とが 理 解 で きた 。客 自体 その 場 に最 適 の 罵声 を投 げか け るべ く互 い に競 って い る感 が あ り,そ れ らへ の見 返 りと して の爆 笑 が 頻 繁 に生 じて い た。 また 空 中殺 法 が顕 著 で ス ピー デ ィ,小 柄 な選 手 が 目立 ち,演 技 的立 ち 回 りが 際 立 って い る とい う印象 を受 けた 。ル チ ャにあ ま りな じみ の なか った筆 者 も,多 少 の 退 屈 感 に苛 まれ て い た た め か,可 視 的 な プ レイ を待 ち望 む よ うに な っ て い た 。

3)第2・ 第3試 合

第2試 合 も3対3の タ ッグ マ ッチ 。 再 び 司 会 者 が 登 場,同 じ プ ロ セ ス で, テ ク ニ コ の フ ェ リ ー ノ,マ キ シ モ,バ リエ ン テ が 入 場,大 歓 声 を 受 け る 。 ル ー ド側 か ら は

,黒 装 束 の 日本 人 選 手3人 が,和 服 の 日本 人 女 性 と と も に,日 の 丸,日 本 刀 を 振 りか ざ し入 場 。 日本 的 イ メ ー ジ を駆 使 して の 入 場 で あ る 。 覆 面 は1人 もい な い 。 興 味 深 か っ た の は,入 場 す る2分 間,会 場 に メ ヒ コ ・

コ ー ル が 起 こ り観 客 が 一 体 と な っ て い た こ と で あ る 。 日本 人 で あ る筆 者 に お

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い て は,在 墨10年 で あ りな が ら,少 数 派 と して の緊 張 感 す ら覚 え た。

結 果 は ル ー ドが3対1の 反 則 プ レイ な どで2勝1敗 の 勝 利 を得 る。 会 場 か らは 「ノ ー」,「何 故 」 な どの ブ ー イ ングが 鳴 り止 まず,怪 詩 な顔 が 多 く観 察 さ れ た。 試 合 中注 意 を ひい たの は,ゲ イ ・イ メ ー ジ を付 され たマ キ シモ の投 げ キ ッス な ど に会 場 か ら歓 声 が 沸 き起 こっ て い た こ とで あ る。 入 場 時 の客 の 反 応 か ら も彼 の 人気 の 定 着 度 は理 解 で きた。 カ トリ ック教 会 の影響 もあ り,

メ キ シ コ にお け るゲ イへ の偏 見 は 強 い28。 この よ うな公 の場 に お け る ゲ イ ・ イ メ ー ジの表 出,そ れへ の リア ク シ ョンは現 実 社 会 の動 向 とは合 致 して お ら ず 興 味 深 い シ ー ン とな った 。 終 了 時 に は ル ー ドが,「 人 で な し」 「帰 れ」 「

カ」 な どの罵 声 に,空 手 の型 で応 戦 し,そ そ くさ と退 場 して い った 。 リ ン グ に残 っ た敗 者 側 は,3人 で両 手 を挙 げ,し ば ら く客 の声 援 に応 えて い た。 先 ほ ど同様 こ こ で も勝 敗 の転 倒 が起 こっ てい た の で あ る。

第 三 試 合 も3対3の タ ッ グマ ッチ 。 結 果 は反 側 攻 撃 に苦 しむ もテ ク ニ コが 2勝1敗 で勝 利 を収 め る。 会 場 は熱 気 を帯 び て い る。

4)第4試 合(メ イ ン ・イ ベ ン ト)

続 く第 四 試 合 に は ミス テ ィ コ が 登 場 。 そ の 人 気 は テ レ ビ ・ニ ュ ー ス で も紹 介 さ れ て い る 。 ア メ リ カ 人 コ ル レ オ ー ネ,覆 面 の エ ル ・サ グ ラ ー ド,ミ ス テ ィ コ,セ コ ン ドの 小 人 レス ラ ー(全 身 ピ ン ク の 猿 の 被 り もの を 装 着)の 順 で 善 玉 が 入 場 。 ミス テ ィ コ は,ニ ュ ー エ イ ジ の メ ロ デ ィ ー に の り,同 じ覆 面 を つ け た 子 供 を 抱 き入 れ て の 入 場,子 供 の 味 方,ヒ ー ロ ー との イ メ ー ジ を 表 出 す る 。 彼 へ の 歓 声 が 一 際 高 い 。 次 い で 悪 玉 の 「ロ ス ・ペ ロ ス ・デ ル ・マ ル 」 (悪 い 犬 た ち)組 が,ラ ッ プ に の っ て,覆 面 の ブ ル ー ・デ ー モ ンJR,ミ ス テ ル ・ア ギ ラ,エ ル ・イ ホ ・デ ル ・ペ ロ ・ア グ ア ー ジ ョの 川 頁に 入 場 。 デ ー モ ン な ら び に ア グ ア ー ジ ョは 有 名 な 伝 説 的 レ ス ラ ー の 息 子 で あ り,同 じ名 前 で 現 在 人 気 を博 して い る 。 イ ン フ ォ ー マ ン トに よ れ ば,ミ ス テ ィ コ とア グ ア ー ジ

281994年 の 統 計 で は,メ キ シ コ 国 民 全 体 で,73%が 同 性 愛 者 と の 同 居 を 拒 否 し て い る 。 ち な み に 他 宗 教 信 徒,黒 人 と の 同 居 で は そ れ ぞ れ44%,26%と い う 数 値 を示 し て お り, 同 性 愛 者 へ の 非 寛 容 度 は 人 種,宗 教 的 相 違 に 対 す る そ れ よ り も 高 い 値 と な っ て い る 。 Beltran1996:118.

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メ キ シ コ民 衆 文 化 と して の ルチ ャ ・リブ レ93

ヨに は 因 縁 関 係 が あ る と い う。 司 会 に よ る 選 手 紹 介 。 ミス テ ィ コ,ア グ ア ー ジ ョの 順 に観 客 の 人 気 が 分 散 し て い る。 身 体 的 特 徴 と し て は,テ ク ニ コ ・チ ー ム の 身 体 は鍛 え 上 げ ら れ た 筋 肉 質 な の に 対 し

,ル ー ド選 手 た ち の そ れ に は, 多 少 の 贅 肉 が 認 め ら れ る 。 ミ ス テ ィ コ は 非 常 に小 さ い 。 装 い は 覆 面 テ ク ニ コ が 白 を基 調 に金 や 銀 が あ し ら わ れ た も の で あ る の に 対 し,ル ー ドで は ア グ ア ー ジ ョが 腰 に黒 いTシ ャ ツ を巻 き

,長 髪 に 髭 面,犬 柄 の ブ ー ツ姿,ア ギ ラ が, 金 髪 に し た モ ヒ カ ン に 黒 のTシ ャ ッ,黒 の ヘ ア.̲̲̲バン ド,破 れ か け た 綿 パ

ン と い っ た 風 貌 で 反 社 会 的 メ ー ジ を演 出 して い る 。

試 合 開 始 と同 時 に,ミ ス テ ィ コ,ア グ ア ー ジ ョ以 外 の4人 が リ ン グ 上 で も み 合 い と な る 。 場 外 で は ア グ ア ー ジ ョが ミス テ ィ コ に椅 子 攻 撃 。 会 場 か ら は 悲 鳴 が あ が る 。 開 始 早 々 完 全 な る混 乱 状 態 。 ア グ ア ー ジ ョが,ト ッ プ ・ロ ー プ に ミス テ ィ コ を 座 らせ,覆 面 の ヒ モ を 解 く。 客 の 悲 鳴 が 最 高 潮 と な る 。 筆 者 も惹 きつ け ら れ て い る 。 覆 面 は 剥 が され ず 場 外 に て 攻 撃 を 受 け 続 け る ミス テ ィ コ 。 そ の 姿 は,野 蛮 な男 に 虐 待 さ れ る か 弱 い 女 性 とい っ た イ メ ー ジ で あ る 。 そ の 問,リ ン グ で は,ル ー ドに よ る3対1の 攻 撃 が 展 開 さ れ,ル.̲̲..ド が 1勝 を あ げ る。 ア グ ァ ー ジ ョ は コ ー ナ ー か ら ア ピ ー ル,場 内 か ら は 声 援二 。 前 座 試 合 と は 違 っ た 展 開 で あ る 。 続 い て,テ ク ニ コ側 セ コ ン ドの 小 人 レ ス ラ ー が 顔 面 に ドロ ッ プ ・キ ッ ク を 受 け る な ど,悪 玉3人 に徹 底 し た 攻 撃 を受 け る 。 善 玉 が 救 出 し よ う とす る も及 ば な い 。 ア グ ア ー ジ ョ は 馬 乗 り と な り小 人 レ ス

ラ ー ヘ ビ ン タ攻 撃,被 り もの を 剥 ぎ に か か る 。 突 如,警 備 員 が 現 れ,小 人 レ ス ラ ー が 控 え 室 に運 び 出 さ れ る 。 会 場 の 悲 鳴 は な りや ま な い 。 筆 者 は 弱 者 虐 待 に 対 す る 嫌 悪 感 す ら覚 え た が,会 場 か ら は 悲 鳴 と と も に 喜 び の 大 歓 声 が 上 が っ て い る 。 フ ァ ン の 心 理 は0応 で は な い 。 サ ッ カ ー の よ う に,応 援 が 敵, 味 方 に 分 か れ て お らず,歓 声,罵 声,悲 鳴 が 同 時 に飛 び 交 う 。 ま さ に カ オ ス で あ る 。 筆 者 は3箇 所 同 時 の 展 開 に 惑 っ て い る 。 しか しル ー ドの優i勢 ぶ り, 悪 辣 ぶ りは 十 分 に 伝 わ っ て い る 。

2本 目 開 始 後 も し ば ら く は ル ー ド優 勢 。 様 々 な 展 開 の 後,一 機 に体 制 が 逆

転 し テ ク ニ コ優 勢 と な る 。 耐 え忍 ん で い た 多 くの 観 客 も 一 斉 に歓 喜 を 表 明 。

そ の 後 ミ ス テ ィ コiア グ ア ー ジ ョ以 外 全 員 リ ン グ 外 に去 り,二 人 の 一 騎 打 ち

と な る 。 メ イ ン ・テ ー マ の よ う で あ る 。 ロ ー プ に 振 ら れ た ア グ ア.̲̲̲ジョ に ミ

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ス テ ィ コの 回転 式 腕 固 め(ミ ス テ ィ コ の 必 殺 技)が 決 ま り,ア グ ァ ー ジ ョが ギ ブ ァ ッ プ 。 一 瞬 の 出 来 事 で あ る 。 観 客 か ら は 大 歓 声,期 待 ど お りの 展 開 の よ う で あ る 。 無 意 識 的 に ミス テ ィ コ を応 援 し て い た 筆 者 も安 心 感 を 覚 え た 。 3本 目 開 始 時 に は,場 外 で ミ ス テ ィ コ が プ ラ ・カ ー ドに よ る 反 側 攻 撃 を ア グ ア ー ジ ョ に展 開 。 客 は気 に し て い な い よ う。 筆 者 に と っ て は,解 釈 を 要 す る 光 景 で あ っ た 。 そ の 後 も展 開 は テ ク ニ コ優 勢 の ま ま。 リ ン グ で は,再 び ミ ス テ ィ コ対 ア グ ア ー ジ ョの 一 騎 打 ち 。 客 の声 援 を確 認 す る ミス テ ィ コ 。 闘 志 を む き 出 す ア グ ア ー ジ ョ。 ミス テ ィ コ が ア グ ア ー ジ ョ を ロ0プ に振 り,2本

目 を と っ た 同 じ技 を繰 り出 す も,今 度 は か わ さ れ る 。 ア グ ア ー ジ ョが そ こヘ パ ワ ー ボ ム2連 発,ミ ス テ ィ コ が フ ォー ル負 け を 喫 す る 。 ア グ ア ー ジ ョ は ロ ー プ2段 目 か ら ア ピ ー ル 。 歓 声 を 上 げ る も の,立 ち 上 が り,「 何 故?」 と い っ た 表 情 の も の,「 頑 張 れ 」 と叫 ぶ も の,動 か な い ミス テ ィ コ を見 つ め る も の 。 観 客 の 熱 中 度 が 高 ま る 中,様 々 な 解 釈 が 錯 綜 し て い る よ う で あ る 。 こ の カ ー ドが 前 座 試 合 よ り も複 雑 な 構 図 で あ る こ とが 分 か る 。 ギ ア ツ な ら デ ィ ー プ な プ レ イ と呼 ぶ か も し れ な い 。 筆 者 も疑 問 に か られ,期 待 を裏 切 ら れ た 気 持 ち と な っ た 。 次 い で 全 選 手 が リ ング 中 央 に 集 合,マ イ ク を握 っ た ア グ ア ー ジ ョが 「… ミス テ ィ コ の 時 代 は 終 わ っ た 」 と叫 ぶ 。 観 衆 か ら は 歓 声 。 ミス テ ィ コ も反 論,し か し ブ ー イ ング に よ っ て 聞 き取 れ な い 。 ル ー ドへ の 応 援 が テ ク ニ コ の 存 在 を か き消 す 形 とな る 。 マ ス ・メ デ ィ ア に よ っ て ミス テ ィ コ の 絶 大 な る 人 気 を確 信 し て い た 筆 者 に とっ て は 意 外 で あ る 。 ミス テ ィ コ に 嫌 悪 を 抱 い て い る 観 客 も か な りい る こ と が 分 か る 。 か ろ う じ て ミ ス テ ィ コ の 「マ ス ク対 カ ベ ジ ェ ラ で 試 合 を決 め よ う」 との 声 が 聞 き取 れ,客 か らは 大 歓 声 。 筆 者 も興 奮 ぎみ と な る 。 も み 合 い に な る 両 者 。 ミス テ ィ コが ア グ ア ー ジ ョ を場 外 へ 投 げ飛 ば し ダ イ ブ 。 試 合 で は負 け た は ず の ミス テ ィ コが リ ン グ に 戻 り ロ

ー プ2段 目か ら勝 利 ポ ー ズ 。 観 衆 か ら は大 歓 声 。 ミス テ ィ コ の 挑 戦 は セ コ ン ドの 制 止 で 実 現 し な い ま ま,場 外 乱 闘 で 試 合 の 幕 は 閉 じ た 。 結 果,ミ ス テ ィ コ が 敗 北 した メ ッ セ ー ジ は 残 らず,筆 者 も な に か ほ っ と し た 気 持 ち と な っ た 。

5)第5試 合(フ ァ イ ナ ル ・イ ベ ン ト)

フ ァ イ ナ ル は,ル ー ドの エ ク トル ・ガ ル サ,

ウ ル テ イ モ ・ゲ レ ロ の 一一・騎 打

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メ キ シ コ民 衆 文 化 と して の ル チ ャ ・リブ レ95

ち。 これ も因縁 試合 で あ っ たが 比 較 的単 純 な構 図 とな る。 観 客 の 大部 分 が ゲ レ ロ を応 援 し,そ の ま ま,ゲ レロが 勝 利 した か らで あ る。 終 了 時 に は,ゲ ロが観 衆 に ア ピー ル し,颯 爽 と控 え室へ,ガ ルサ は リ ング 内 で大 の 字 とな る。

白衣 の 医 者 が登場 し,寄 り添 う よ う に退場 してい っ た。

イベ ン トは11時 過 ぎに終 了 とな る。 多 くの客 は急 ぎ足 で 会 場 を後 にす る。

地 下 鉄 の終 電 が 迫 っ て い る。 一 方,出 口 で は選 手 た ち が 写真 撮 影 や サ イ ンの 要 求 に応 え て い た。

4一 ル チ ャ ・リ ブ レ に お け る儀 礼 性 ・遊 戯 性

「ス ポ ー ツ の 動 きが 持 つ 巧 み さ で は な く,あ く ま で 儀 礼 の 動 き」29等 の 描 写 に見 られ る よ う に,プ ロ レス を儀 礼 と して 考 察 す る 研 究 は 多 い 。

一 方 ,遊 戯 に 関 し て は ヨハ ン ・ホ イ ジ ン ガ が,そ れ を 人 類 の 諸 活 動 に 先 立 つ 根 源 的 次 元 で あ る と い う点 を 強 調 し,そ こ で の1)自 由 な 行 動,2)非 日常 的 仮 構 的 活 動 領 域,3)時 空 間 的 限 定 性,4)固 有 の 秩 序,と い っ た 特 徴 を あ げ, そ の 現 実 変 革 に 対 す る 可 能 性 を 主 張 し て い る30。 さ ら に,儀 礼 と遊 戯 に は 非 常 に 似 た 特 徴 が 存 して お り,こ れ ま で に も 人 類 学 者 に よ っ て そ の 類 似 点 ・相 違 点 が 考 察 さ れ て き た 。 こ こ で は,ハ ンデ ル マ ン の 遊 戯 と儀 礼 の 類 似 点 ・相 違 点 に 関 す る 考 察 を も と に,サ リ ー ・ム ー ア ー,バ ー バ ラ ・マ イ ヤ ー ホ フ ら の 主 張 す る儀 礼 の 諸 特 徴,レ ヴ ィ ー ・ス トロ...ス に よ る分 類 を 包 含 し な が ら, 儀 礼 的 次 元 一 遊 戯 的 次 元 とい う二 つ の タ ー ム を設 定 し,観 察 記 を 元 に し た ル チ ャ の 社 会 的 機 能 を 考 察 した い31。

1)儀 礼 的 次 元一 遊 戯 的 次元

儀 礼 に 関 して ム ー アー,マ イ ヤ ー ホ フ らは そ の 諸 特徴 を次 の6点 に,一 ハ ンデ ル マ ンは遊 戯 と儀 礼 の 類 似 点 を 日常 的 世 界 との 関連 で以 下 の8点 に要

29ブ イ ス ク1996:381。

30ホ イ ジ ン ガ1983。

31な お 本 論 に お け る 儀 礼 ・遊 戯 の 分 析 で は 青 木 の 論 に 多 く を 依 拠 し て い る 。 し か し そ こ に は 遊 戯 か ら儀 礼,儀 礼 か ら遊 戯 へ の シ フ トに 関 す る 分 析 が み られ な い 。 青 木1984を 参 照 の こ と 。

(16)

約 し た32。

儀 礼 の 諸 特 徴(ム ー ア ー 他) 儀i礼 と遊 戯 の 類 似 点(ハ ン デ ル マ ン)

1(1)

反 復(場,内 容,形 式)

1(7)

社 会 的 タ イ プ を還 元 す る

2(2)

演 ぜ られ る行 為

2(8)

象 徴 的 タ イ プ に属 す る

3(3}

特 別 の 行 動,ス タ イ ル ・非 日常

3(9}

手 段 と 目的 の 変換 が な さ れ る

4(4) 秩序 4(10)

状 況 認識 の 一 致 が み られ る

5(5) 喚起的表現 5(11}

社 会 的 自己 を余分 とす る

6(6} 集合的次元 6(12)

フ レー ム付 け され た 領域

7(13)

リ ミ ナ リ テ イ の メ タ ・メ ッ セ ー ジ を 伝 え る

8(14)

社 会 的 現 実 の 秩 序 づ け に つ い て の メ タ ・メ ッ セ ー ジ を 発 す る

マ イ ヤ ー ホ フの掲 げ た儀 礼 の特 徴 は,同 時 に遊 戯 の 特 徴 と も重 な って い る と考 え られ るの で,こ こで は そ れ ら14の 特 徴 を双 方 の 類 似 点 と し儀 礼 的 次 元一 遊 戯 的次 元 にお け る類 似 点 と してお きた い 。 ただ 儀 礼 的次 元 で は各 項 目 にお け る諸 傾 向 が 高 い の に対 し,遊 戯 的 次 元 にお い て は低 い と考 え られ よ う。

一 方,ハ ンデ ル マ ン33は,儀 礼 と遊 戯 の相 違 点 と して,以 下 の7点 を指 摘 す る。

儀 礼 一 遊 戯 の 相 違 点(ハ ン デ ル マ ン)

儀礼 遊戯

1(1)

複 雑 な 手続 き 単 純 な手 続 き

2(2)

弾 力 の あ る 強 い フ レー ム 緩 や か で 弱 い フ レ ー ム

3(3)

社 会 の モ ラル を定 め よ う とす る 社 会 の理 念 を弱 め よ う とす る

4(4)

聖 性,道 徳 性,真 実 の メ タ ・メ ッ セ ー ジ 懐 疑,非 道 徳 性,誤 謬 の メ タ ・メ ッセ ー ジ

5(5) 社会秩序の表現 社会秩序を表現

6(6)

社 会 批 判 に対 す る 適合 範 囲 は狭 い 社 会 批 判 に対 す る適 合 範 囲 は広 い

7(7) 時空間の構造全体に対する註釈

社 会 的 現 実 の今 進 行 中 の 断 片 に つ い て の 註 釈

他 方,レ ヴ ィ ー ・ス トロ ー ス に よ れ ば そ こ に は 以 下 の 特 徴 が 存 す る と い う。

儀 礼 一 遊 戯 の 相 違 点(レ ヴ ィ ー ・ス トロ ー ス)

儀礼 遊戯

1(s) 不平等か ら平等が形成

平 等 か ら不 平 等 が 形 成(差 異 化)

儀 礼 的 次 元一 遊 戯 的次 元 にお け る相 違 点 に 関 して は以 上8点 の特 徴 を元 に,

32Moore&Myerhoff(ed .)1.977,Handelman1976:155‑192.

33Handelman] .976:185‑192.

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メ キ シ コ民 衆 文 化 と して の ルチ ャ ・リブ レ97

ルチ ャの性 格 を整 理 したい 。 なお 後 ほ ど見 る よ うに この よ う な儀 礼 的 次 元一 遊 戯 的次 元 は そ れ ぞ れ 民 衆 文 化 的一 大 衆 文 化 的 側 面 に対 応 して い る こ とを こ

こ で 断 って お きた い 。

2)儀 礼 的 次元 一 遊 戯 的 次 元 に お け る類 似 点 か らみ たル チ ャ ・リフ レ まず,マ イ ヤ ー ホ フの挙 げ た6点 につ い て見 て い こ う。

(D「 反 復 」:観 察 か ら も分 か る通 り,ル チ ャ に は諸 形 式 にお い て 反復 が存 在 す る。 た だ そ の頻 度 は要 素 に よっ て様 々 で,高 い ほ ど よ り儀 礼 的 ル チ ャ ・リ ブ レが 設 定 され る。

(2)「 演 ぜ られ る行 為 」:バ ル トも指 摘 す る よ う に34,演 技 的 行 為 が 芝居 の よ う に意 識 的 に展 開 され る。 そ れ らは,ル チ ャ ドー ル の大 げ さ な苦 痛 の表 明, 技 が 決 ま る ご とに観 客 にお こ な うア ピー ル,敗 北 姿 の 露 呈 な どで も看 守 され

よ う。 ま た 一連 の演 技 的 行為 が 観 衆,リ ン グ,控 え室 とい っ た劇 場 装 置 に よ っ て支 え られ て い る点 も 自明 で あ る。 演 技 性 との 関連 で は,選 手 間 にお け る 遺 恨,2世 レス ラー の 活 躍 な ど も重 要 とな る。

(3>「 特 別 の 行 動 ・ス タ イル ・非 日常 性 」:コ ス チ ュ ー ム,マ ス ク の使 用,歴 史 的定 義 を うけ た技 や そ の名 称 か ら も理 解 で き,そ れ らが イベ ン ト,各 試 合 の 開始 ・終 了 とい う時 間枠,ア レー ナ とい う限 定 され た 空 間 に支 え られ 非 日 常 的 世 界 を形 成 す る35。プ レイ ・ス タイ ル に 関 して は,日 本 で の イ メ ー ジは, 華 麗 な空 中殺 法 で あ るが,伝 統 的 ル チ ャで は 固 め技,寝 技 な どが 人気 を博 し て きた。 タク シー で も聞 か れ た よ うに,そ の よ うな伝 統 的ス タイ ル が減 少 し, 民 衆 的記 憶 が 風 化 に晒 され,ビ ジュ ア ル重 視 の 技 が 一 般 化 して い る とい う。

(4>「 秩 序 」:0見 無秩 序 にみ え る ル チ ャ に もル ー ルが 存 在 し,勝 敗 が そ れ に よっ て決 定 す る。 しか し規 定 は曖 昧 で,試 合 や レ フ リー に よ って 変 更 され, レ フ リー の 選 別 に も厳 正 さ を欠 く。 限 界 に関 して は当然 見 世 物 で あ る ゆ え,

34/AILト1967:50

35時 間 に 関 し て 付 言 す れ ば,ス ポ ー ツ に は 種 ま きや 刈 り入 れ と い っ た 時 期 に 符 号 し て 行 わ れ る 農 耕 儀 礼 に 類 似 す る よ う な シ ー ズ ンが 設 定 さ れ て い る こ とが 多 い が,ル チ ャ の 場 合 は1年 を 通 じ て 行 わ れ て お り,そ こ に ル チ ャ の 日常 に お け る 戦 い と い っ た テ ー マ が 看

守 で き よ う 。

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凶器 使 用 が 暗 黙裡 に許 容 され る に して も,他 者 を殺 傷 して は な ら ない 。 客 へ の危 害 も認 め られ ない 。 ヌ ー ドに な る とい っ た例 も聞か れ な い 。 しか し反則 を始 め,時 間無 制 限 試合,場 外 乱 闘,ト ッ プ ・ロー プか らの ダ イ ブ な ど時 空 間 の 限 界 突破 は常 に標 榜 され,こ れ らが 社 会 構 造 へ の抵 抗 とい っ た意 識 を顕 在 化 させ る。 しか し ダイ ブ や攻 撃 を受 け止 め る な ど相 手 選 手 を輝 か せ る プ レ イ に選 手 の 意 識 が 集 中 して い る こ とか ら も,ル チ ャ ドー ル の 関心 は興 行 の成 功 とは無 縁 で は ない 。 つ ま り社 会 構 造 とは無縁 で は な い の で あ る。 これ らの 点 は類 似 点 働 の 箇 所 で さ らに深 め たい 。

(5)「 喚 起 的表 現 」:マ イ ク に よる相 手 方 ・観 客 へ の ア ピー ルや 大 げ さな受 身, マ ッ トへ の衝 撃 音 な どか ら自明 で あ ろ う。 観 客 の歓 声 は衝 撃 音 の大 小 に左 右 され て いた 。

(6)「 集 合 的 次 元 」:存 在 す る。 これ は ⑯ の 「リ ミナ リテ ィ」 と も重 複 す る。

ダ ・マ タに よれ ば,そ こ で は普 段 隠 蔽 され て い る メ ッセ ー ジが 顕 在 化 す る36 と され るが,ル チ ャ にお い て もそ れ は確 認 で きた。 こ れ ら につ い て も後 述 し た い。

次 にハ ンデ ル マ ンの掲 げ た8点 につ い て見 て い きた い 。

(7)「 社 会 的 タ イプ を還 元 す る」:善 玉 ・悪 玉 の存 在 な ど,社 会 的諸 要 素 の還 元 が な され て い る。 レフ リー は警 察 官 あ る い は弁 護士 とい っ た役 割 を担 い, 正 邪 を裁 く司 法 的側 面 が 彼 等 の不 正 行為 な ど も含 め還 元 され て い る。 前 述 し た ル ー ル で あ るが,頻 繁 に変 化 す る憲 法 や 交 通 法 の メ タ フ ァー と して,あ い は後 述 す る流 用 の 具 体 例 と して 理解 で き よ う。

(8)「 象 徴 的 タ イ プ に属 す る」:勝 敗 に よ る 「生 と死 」,マ ス ク に よ る 「神 秘 性 」 の 表 出,テ クニ コ ・ル ー ドに よ る 「正 義 ・悪 」 の 表 象 な どは そ の 中心 で あ る。 観 察 で は,善 玉 が 女 性,子 供 に支 持 され て いた とい う傾 向が 看 取 され た と と もに,各 身体 が 記 号 論 的 な 意 味 を有 して い た。 人 気 の善 玉 の多 くは筋 肉質 で理 想 化 され た 身 体 を有 し,比 較 的小 柄 で あ る。 悪 玉 の多 くは大 柄 で脂 肪 質,醜 悪 な 身体 を体 現 して い た。 そ の た め 善玉 で は ア ク ロバ テ ィ ッ ク な技 が,悪 玉 で は接 近 戦 に よ る絞 め技 な どが 顕 著 と な って い る。 フ ィス ク は 「身

36DaMatta1978

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メ キ シ コ民 衆 文化 と して の ル チ ャ ・リブ レ99

体 はヘ ゲ モ ニ ー の ア キ レス腱 」37と述 べ て い る が,悪 玉 の 身 体 に は反 体 制 的 な 意 味 が付 され て い る。 この 点 も相 違 点 で ふ れ た い 。象 徴 効 果 で 特 筆 す べ き は,も っ と も熱 狂 度 の 高 い 「マ ス カ ラ対 カ ベ ジ ェ ラ」 と 呼 ば れ る 覆 面 と (長)髪 を懸 け た試 合 が,多 くの観 客 に お い て,「 生 と死 」 の 表 象 と して解 釈 さ れ て い る点 で あ る。 レ ヴ ィー ・ス ト「ロー ス が,仮 面 の役 割 につ い て,「 象 徴 か ら意 味へ,呪 術 か ら 日常 へ,超 自然 の もの か ら社 会 的 な ものへ とい う移 行 を は っ き り示 す も ろ もろ の 中 問 形 態 をあ らわ す 」38とす る 一・方,リ ー チ は 長 髪 を,精 神 医 学 者 の考 える リ ビ ドー,人 類 学 的 に は,構 造 に は ま り き らな い 要 素 を あ らわ して い る39と 指摘 す る。 この 意 味 で は,覆 面,長 髪 双 方 と も タ ブー 的,中 間 的存 在 とな り,そ れ の破 壊 は,曖 昧 な世界 か ら,生 と死 の 二 元 的 世 界 が 復 活 し,後 述 の カー ニバ ル 的 カオ ス が 終 了 す る とい う構 図 に な っ

て い る と思 わ れ る40。

(9)「 手段 と 目的 の変 換 」:勝 敗 が 観 客 の現 実 とな ん ら直 接 的 な関係 を有 して い な い とい う意 味 に お い て 自明 で あ る。 勝 敗 の 転 倒 につ い て も観 察 で触 れ た。

また他 の ス ポー ツ の よ う に勝 利 が社 会 的意 味 を有 さず,人 気 選 手 の傾 向 か ら も,怪 我 や 老 い を乗 り越 え,プ レイ し続 け る こ とが ルチ ャ ドー ル の勝 利 とな る。 民 衆 的 日常 と限 りな く類 似 して い る の で あ る。

(10)「状 況 認 識 の 一 致 」(11)「 社 会 的 自己 を余 分 とす る」:こ れ らの特 徴 も 自明 で あ ろ う。観 客 は ルチ ャで あ る とい う認 識 の も とに試 合 観 戦 して お り, 社 会 的 自己 は余 分 とな る。 しか し値 段 差 に よ る座 席 指 定 な ど,社 会 的 差 異 を 強 調 す る要 素 も存 在 し,複 雑 な構 図 とな って い る。 故 に後 述 す る流 用 とい う 概 念 が重 要 に な る の で あ る。

(12)「フ レー ム付 け され た領 域 」:フ レー ム とは グ レ ゴ リー ・ベ イ トソ ンに よ って 主 張 され る多 元 的世 界 を意 識 した下 位 世 界 にお け る独 立性 に 関す る枠 組

37ブ イ ス ク2003:123。

38レ ヴ ィ ー ・ス ト ロ ー ス1992:286 39Leach1958:147‑1640

40山 口 が 「カ ー ニ ヴ ァ ル の 祝 祭 的 な 諸 特 徴 は,日 常 世 界 で は 過 度 に 呪 わ れ た 不 徳 に な る 。 そ れ ゆ え,カ ー ニ ヴ ァ ル の 終 わ り に,こ れ ら の 不 徳 は 人 形 に 託 し て 焼 き 捨 て ら れ る かS 破 壊 さ れ る か し な け れ ば な ら な い 」 と 述 べ て い る 点 と 奇 し く も 合 致 し て い よ う 。 山 口 1993:490

参照

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