久田督 著「尋常中学校・尋常師範学校・化学教科 書」の紹介
著者 板垣 英治
著者別表示 Itagaki Eiji
雑誌名 北陸医史
巻 42
ページ 4‑28
発行年 2020‑02
URL http://doi.org/10.24517/00061890
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
久 田 i
督 第
著 十 四
‑ ‑ ‑ ,
尋 ・ ロ
弓常 偉
中
学 年
校 . c !
寸
コ =t ロ 闊
常 師 範 学 校 .
化 学 教 科 書
板 L
の
垣 紹
英 介
治
第七章では︑塩素︑沃素︑臭素︑フッ素のハロゲン e t h y l e n e o r o l e f i a n t
分について記載している︒ここで附論として︑酸類
a c i d
s ︑
塩 基
類
b a
s e
s ︑
塩 類
s a l t
s の説明を挿入している︒
つ い で
︑ 五 酸 化 窒 素 又 は 無 水 硝 酸 n i t r o g e n
p e
n t
o x
i d
e
符号
Z 2
O 5 ︑一酸化窒素又は亜酸化窒素︑
笑 気 符 号
Z も
︑ 一
一 酸
化 窒
素 n i t r i c o
x i
d e
符号
NO
︑
三酸化窒素
n i t r o g e n t r i o x i d e
符号
Z 2
O a ︑四酸化窒素
n i t r o g e n p e
r o
x i
d e
符号
N 2
0 ,
{ N
0 2
) を記載し︑続いて
窒素および水素の化合物︑アムモニア
a m m o n i a
符
号
N H , を
記 し
た ︒
第五章では︑炭素
c a
r b
o n
符号
C と炭素と酸素
の化合物︑二酸化炭素
c a r b o n d i o x i d e
符合
c o
と ,
一酸化炭素
c a r b o n m o n o x i d e
符合 CO および炭水
二素の化合物︑有機化合物︑メセーン︑沼気︑
m e t h
,
符合
C H , 工セリーン︑生油気︑重炭化水素
ア セ
チ リ
ン ︑
a c e t
,
y l
e n
e
符合
C 2
符合 ̀ H
C 2 H 2
および煤気又は石炭ガス
c o a l
g a s ︑
サイヤ/ゼンガス︑青素︑
c y a n o g e n
g a s ︑
d i
c y
a n
, o
g e n
符合
C 2 N 2
を 説
明 し
て い
る ︒
第六章では︑物質の燃焼と焔の構造について説明
し て
い る
︒
a n e
について記載している︒塩素
c h l o r i n e
符合
C l ︑塩
化 水 素 及 び 塩 酸 h y d r o g e n c h l o
r i d e ︑
h y
d r
o c
h l
o r
i c
a c i d ︑
H C
I ︑ここに硝塩酸又は王水
n i t r
o , h
y d
r o
c h
l o
,
r i c
a c i d ︑
a q u a r e g i
a が挿入されている︒塩素と酸素
の化合物︑塩素酸類が記載される︒
臭素
b r o m i n e
符号
B r
︑沃素及び沃度
i o d i n e
符号 I ︑
沃化水素また沃酸
h y
d r
o i
o d
i c
a c i d
弗素
f l u o r i n e
符号 F
︑ 化 合 物 弗 化 水 素 h y d r o l l u
,
o r i c a c i d
符合
H F ︑
塩・臭.沃.弗︑四元素の関係︑ハロゲン元素の類似
した性質に触れている︒
第八章では倍数化合律
L a w o f m u l t i p l e p
r o
p o
r t
i o
n
倍数比例の法則の説明︒原子説
A t o m i c
t h
e o
r y
︑気
体の化合容量
A v
o g
a d
r o
' s
h y
p o
t h
e s
i s
︑ 元
素 の
分 子
説 ︑
M o
l e
c u
l e
s o f e
l e
m e
n t
s ︑
発 生
機 の
気 体
︑
n a
s c
e n
t g a s
和 価
︑
v a
l e
n c
e
(原子価︶等の重要な法則の説明がある︒
第九章では︑硫黄
S u
l p
h u
r
符号 S ︑硫黄及び酸素
の化合物︑硫酸
s u l f u r i c a c i d
符号
H , s o
︑硫黄及 ,
び炭素の化合物︑二硫化炭素
c a
r b
o n
b i s u l p h i d e
符号
c s
, ︑摂素
s e
l e
n i
u m
符号
S e
および的素
t e l
,
l u
r i
u m
符号
T e
に つ
い て
の 説
明 ︒
‑6‑
第十章では︑珪素
s i l i c o n e
符号
S i ︑
珪 素
化 合
物 ︑
珪酸
s i l i c i c a c i d
符号
H 4 S i 0 4
および硼素
b o r o n
符
号
B
硼 酸
b o r i c a c i
d ︑
H , B O : i
の 説
明 ︒
第 十 一 章 で は
︑ 燐 p h o s p h o r u s
符 号 P と 燐 酸 p h o s p h o r i c c a i d
硲は万
H : i P O ,
の説明︑および燐と
水素との化合物
P H , の
説 明
︒
第十二章では︑砒素
a r s e n i c
符号
A s および砒素
化合物の説明︒砒素と酸素との化合物︑砒酸類︑砒
素と水素との化合物︑砒化水素︑および砒素と硫黄
との化合物︑硫化砒素の説明︒砒素ノ鑑識法︵定性
分 析
法 ︶
の 説
明 ︒
付 録 度 量 衡 比 較 表 第 一 部 第 2 項 化 学 基 礎 知 識
物理学と化学の違いの説明︒化学現象の説明︑物理的
変化と化学的変化︑水の電気分解の図あり︒
*混合物と化合物との区別五釈粉と硫黄粉の混合物は︑
加熱すると色が黒くなる
1 1 化学反応で硫化鉄が出来
る ︒
*元素の化合比量
元素の種類
1 1 6 3
種 で
︑
定比例の法則の説明
非金属元素と金属元素に分けら
れ る
︒
符号
1 1 元素記号︑化合量
1 1 原子量を化合量で記述して
いる︒元子
1 1 原子︑元子を使用している︒︵原子とす
べ き
で あ
る ︒
︶
親和力︑愛力
1 1 親
和 力
︑ a f f i n i t y
の 翻
訳 で
あ る
︒
元素表には非金属元素
種 1 5
と 金
属 元
素 4
1 種
が 記
載 さ
れ
て い
る ︒
例 を
示 す
︒ 名 称 英 名 符 号 原 子 量
︵ 化 合 量
︶ を 示 す
︒
塩素
C h l o r i n e C l
3 5 . 5
現行の原子量
3 5 . 4 5 3
ヂ ヂ
ミ ュ
ム D i d y m i u m D i
4 7
仮 想
元 素
で あ
る ︒
エ ル
ビ ュ
ム E r b i u m
E r
169
( ラ
ン タ
ノ イ
ド ︶
希 ガ ス 元 素 H e , A r X , e , R n な ど は 記 載 さ れ て い な
い︒名称のよみ方は英語読みである︒ランサナム
1 1 L a n t h a n u
符号で塩素に m
C L C l ,
が使用されている︒
反応式に多く記載されている︒
第 二 部 各 論 第 一 章 酸 素 と 水 素
第 1
項 酸 素
〇
︑ 化 合 量
16
︑原子量
16
︒
本章では原本の記述をそのまま写した︒
所在益取も広く多量に存在する元素である︒水素と化
反応して水素ガスが発生する︒︵第 1
図 ︶ 2 K +
2 H , O 1
1
2 K O H +
H , 2 N a +
2 H 2 0 1 1 2 N a O H
+
H ,
( 第
1 図
の 化
学 反
応 ︶
3 F e
+
4 H 2 0 1
1 F e 3
0 ,
十
2 H 2
ただし鉄粉は高温に加
熱 す
る 必
要 あ
り ︒
通常は亜鉛︑または鉄に希硫酸を加える反応を用いる︒
Z n +
H , S O ,
= N n S O ,
十
H ,
( 第 2
図 の
化 学
反 応
︶ ︒
F e
+
H , S O ,
1 1
F
e S O ,
十
H ,
( 水
素 ガ
ス の
製 法
︶
性質ら央・味ともに無い︑無色透明な気体︒最も軽い
気体であり︑拡散しやすい︒
動・植物の生活を補続しない︒点火すれは光輝なき炎
を放ち燃焼し水となる︒炎の温度は高温である︒
水素五酸素をー
: 2
で混合した気体は爆鳴する︒
l g
の水素は燃焼して多量の熱を発す︒︵水素ーモルの燃
焼熱
2 8 4 K J / m o
で l
あ る
︒ ︶
試験法;°種の記載あるが略す︒
来 歴
? l
6 0
0 年代に
P a r a c e l s u s
により発見された
元 素
で あ
る ︒
1766 年
C a v e n d i s
により性質が調べられ︑﹁可燃 h
性気体﹂と名づけた︒
効用丘日時は軽気球を滴たす気体とした︒高級金属の 第二章気体の容量を算定する法︵以下の章は簡略に 記
載 し
た ︶
ー.気体の温度により膨張は如何に変化するか︒
2 .気体の圧力の変化による容量の変化に関する法則︒
ボイル
B o y l
法則
( 1
6 6
2 年発見︶︑フランスでは
M a r i o t e e ' s l a
と w
言 う
︒
( 1
6 7
9 年
発 見
︶ ︒
︵ 略
す ︶
第三章水素と酸素の化合物
水と過酸化水素
H ,
O ︑
H 2 0 2
第 1 項.一酸化水素︑水
所在こ遊離した水︵海水︑河水︑泉水︑井水等︶︑地
球表面の
2/3
を覆っている︒動物︑植物体内の水︒ 製法~水素ガスと大気との燃焼、
2 H 2 十
o ,
1 1
2 H 2 0 C u O +
H , 1 1 C u +
H 2 0 F e , 0 3
+
3 H 2
1 1
2 F e +
3 H 2 0 ( 第
3 圏
の 化
学 反
応 ︶
酸化鉄を詰めた反応管に加熱下︑水素ガスを流す︒
純粋な水は蒸留器を使用する方法で得られる︑硝子蒸
留 器
法 ︒
熔融に酸水素炎を用いる︒
水の成分
酸素
水素
水
ー.水の電気分解でこの割合を確認︒陽極側に酸素ー
容量︑陰極側に水素 2
容 量
と な
る ︒
2 .イウジオメートル︵堅固なる硝子管に度メモリを
刻み︑その上端に 2 本の白金線を穿通して密にこれを
熔固したる管に水銀を満たし︑水銀槽中に倒立して︑
これに純粋の水素を送入し︑その容量を精密に測定す
る︒次に酸素を添入し︑またその容量を精密に測定す
べし︒酸素︑水素の量はイウジオメートルの長さの半 18
N
重量
N
16 容量
イ .
ロ
J . ¥
水素の発生装置 酸化鉄を詰めたガラス管 生成した水を集める装置 第 3 図 酸化鉄と水素との反応で
水を生成する実験。
分とする︒管の下口は樹脂で閉じておく︒第 4 図の様
に配置して︑白金線に導線をつなぎ︑電源とつなぐ︒
管の下には水銀槽を盾き︑これに倒立する︒電源より
通電すると︑白金線でのスパークにより酸素と水素が
反応して水ができる︒管を室温にして︑管内に水銀が
流入した量を測定する︒
内部の残っている空間︵ガスが残っている︶を調べる︒
この実験により酸素と水素が
1:2
容で反応すること
が 分
か る
︒
水の重量成分の分析法
黒色酸化銅若干量を反応管にとり︑これを熱して純粋
の水素を通じて反応させる︒
C u
O +
H 2
1
1
C u
+
H 2
0
反応後︑銅の重量変化および生成した水の重量を測定
す る
︒
第 4図 イウジオメート ル を 使 用 し て 、 水 素 と 酸 素の反応を調べる図
‑10‑
性質と無色︑無臭︑無味︑水の厚い層は青色を帯びる︒
水 は
0 ︒ C
で 凍
結 ︑
l o
o ︒
C
で 沸
騰 ︑
4 ︒ C で l c m 3
1 1
! g
r ︑
氷 は
l c m 3
1 1 0
. 9
g r
︑ 氷
は 水
上 に
浮 く
︒
水蒸気の緊張力︵蒸気圧︶という︒水は蒸発して水蒸
気となる︑この蒸発する力をいう︒
多くの物質を溶解する性質は大きい︵溶解性︶︑結晶
化の溶媒として使用される︒
結晶水とは︑水分子と塩類との化合により独特の色彩
をもつ結晶が出来る︒結晶に含まれる水を結晶水とい
二 つ
白色粉
C u S O
, 十
S H , O
1 1
C
u S O , ・ 5 H 2
青色結晶 0
結晶を加熱すると水が蒸発して無くなるものもある
ー 風
化 と
い う
︒
*金属酸化物と水の反応
K , O +
H , O 1 1 2 K O H , C a O +
H 2 0
1 1
C a ( O H ) ,
酸化カリウム水酸化カリウム 酸化カルシウム水酸化カルシウム
*硬水は
6 / 1 0 0 0
0 量以上の塩類を含む水で︑石けん
水は白い沈殿を生する︒飲用不可︒
軟水は
6 / 1 0 0 0
0 量
以 下
の 塩
類 を
含 む
水 ︑
飲 用
可 で
あ る
︒
一 時
硬 水
‑ C a ,
M g
の炭酸塩を溶解しているもの︒加
熱により沈殿を生じ軟水化する︒
永久硬水ー硫酸塩類︑ハロゲン化塩類を多く含む水︒
加 熱
し て
も 沈
殿 し
な い
︒
*天然水
ー.雨水酸素︑窒素︑アンモニア塩︑食塩︑有機
物 を
含 む
こ と
あ り
︒
2 .河川水川の通過する所の地質に依存した塩類を
含む︒硝酸塩︑亜硝酸塩︑アンモニア塩︑炭酸塩︑炭
酸カルシウム︑炭酸マグネシウム︑硫酸塩︑食塩︑鉄
塩類等を含む︒ 3 .井水岩石の質により含有される塩類は決まる︒
4 .鉱水ミネラル水︑
甲炭酸水︑乙アルカリ水︵童炭酸塩を含む︶
丙塩水鉄水︑マグネシア水︑硫酸ソーダ水 丁 珪 酸 水 珪 酸 ア ル カ リ を 含 む
5 .海水
3 . 6 / 1 0
0 量の固形物を含む︒
2 . 7 %
の食塩
を 含
む ︑
0 ︒ C
で 比
童
1 . 0 9 7 5
*飲用水無色無臭の清澄な水︒
第 2
項 過 酸 化 水 素
H 2 0 2
製 法 羞
a 0 2 +
H , S 0 4
1 1
B a
S 0
4 十
H 2
0 2
第 四 章 室 素 符 号
Z 原子量 14
所在る窒素は遊離して酸素と浪ざり︑大気中の 4/5
を占めている︒また化合物として硝酸およびアンモニ
アとなり︑多数の塩類を形成している︒また動物・植
物体の主要な成分を形成している︒
製 法
?
H 片に燐を載せて水の入った皿の中に浮かぺ︑
3 H 2 0
過酸化バリウムに稀硫酸を反応させると過酸化水素水
ができる︒これを排気鐘の中で蒸発させて漑縮する︒
無色無臭油状の流体︑苦味あり︒
性質こ徊物色素を酸化源白する︒過酸化水素は分解し
易い︒加温で爆発する︒金︑銀の粉末により過酸化水
素の分解が促進される︒
A g , O + H , O , 1 1 2 A g
+
H , O +
o ,
還元反応
鑑識:﹈
H 2 0 2
溶液に
1 1
2 滴の硫酪を加えて︑酸
性とし︑エーテル︑クロム酸カリウム液を加えて振盪
する︒ユーテルは青色に変色する︒
2
沃化カリウム溶液に硫酸鉄
F e S O , を
加 え
る と
︑
沃素
Iz
を 分
離 す
る ︒
4 K I + 2 F e S 0 4
十
3 H , O , 1 1 2 K 2 S 0 , + 2 1 , + F e 2 0
3 十 アンモニア水に塩素を通じ︑窒素を遊離させる︒ 内部には窒素ガスが残る︒ これをガラスベルで覆う︒大気中の酸素は燐と反応し︑
4 N H 3 +
3 ぷ
笞 l 2 1 1 3 N H 4 C I
+
l / 2 N 2
性質ら窒素は無色・無味・無臭の気体であり︑補燃性
および可燃性はない︒大気に比べた比蛍 0
. 9 7 1
3 ︑大
気より軽い気体︒化学的性質は安定して︑反応性は低
い︒市性なし︑但し窒素ガス中では動植物は直ちに空
息する︒酸欠状態による呼吸停止である︒
来 歴
:
1772
年 ・ R a t h e r F o r d
が窒素ガスを大気中よ
り 分
離 ・
製 取
す る
︒ 第 1 項 大 気 T h e A t m o s p h e
﹁
e
大気の定義"地球を包囲する所の気体であり︑地面よ
り約 8 万 m ︵二十里︶の外まで存在するもので︑他の
地より得られたものではない︒大気の酸素と窒素の分
量の比は殆ど一定である︒次の実験はこの事実を確か
め る
も の
で あ
る ︒
﹈事酸素ガス 1 容と窒素ガス 4
容 を
混 合
し て
も ︑
発 熱
・
化合はしない︒容燐は 5 容を保ち︑大気と同じである︒
2 .酸素︑窒素の分以は化学律に違背している︒酸素︑
窒素の二素の量はその化合量およびその倍数に比例せ
‑12‑
ず︑また両素の比例は時により少し異なることあり︒ 3 .少量の水と大気を共に振盪すると︑大気は少し水
に溶解する︒その水を加熱・沸騰すると大気が再び放
出される︒これを集めて調べると︑二気体の割合は通
常の気体のものとは違っている︒酸素 l
容に窒素ー・
8
容である︒これは酸素が水に溶ける量が窒素より 7
多 い
た め
で あ
る ︒
大気中存在する酸素︑窒素の割合はつぎの様である︒
重 量 容 量
酸素
2 0 . 8
%
窒素
7 7
%
79.19%
4 .最も精密な測定法は﹁イウジオメートル﹂を使
用して︑大気に含まれる酸素と︑それと化合する水素
を加えて︑電気スパークで着火し爆発化合する方法で
あ る
︒
通常の実験では︑乾燥した純粋な大気を灼熱した銅
屑上に通じて酸素を除き︑遊離した窒素を真空の容器
内に導き︑その重蟄を測定する︒銅屑の重量の増加分
は酸素の重量に依っている︒
*大気中の酸素︑窒素以外の雑物はつぎのものであ
る ︒
︵ 略
す ︶ 23%
第 2 項.酸素と窒素の化合物
五 種
の 化
合 物
が あ
る ︒
名 称 化 学 式
一 酸
化 窒
素
N , O
二酸化窒素 ZO
︳ ︱
‑ 酸
化 窒
素
N , 0 3
四酸化窒素
N O ,
五酸化窒素 Z
, O s
硝酸
H N 0 3
第 3 項.硝酸
n i t r i c a c i d H N 0 3
分子量
7 3
所在こ遊離して大気中に存在する︒︵大気中での雷の
放電により Z2+
o ,
←
H N 0 3
が出来るからである︒︶
常にナトリウム︑カリウムと化合して広く存在する︒
硝化細菌の働きにより古い乾燥した土には
C a ( N 0 3 ) ,
が 含
ま れ
て い
る ︒
含窒有機物が腐敗してアンモニアを発生させる︒アン
モニアは硝化細菌により酸化されて硝酸塩となる︒地
中では硝酸カルシウムを製する︒井水中に多少硝酸塩
が 含
有 さ
れ る
︒ 来 歴 る e b e r
硝石︑明蓉︑丹蓉より精製したとのこ
と で
あ る
︒
当今は
G l a u b e
r の方法により生産している︒ 対応した酸
欠
欠
亜硝酸
H N 0 2
欠
N 2 0 5
製法こ乾燥した硝酸銀を
に熱して︑これに乾燥 6 0 C ︒
した塩素ガスに曝す︒反応後冷却し結晶化する︒
性質こヰ酸化窒素の結晶は白色六面柱状で︑
C で 3 0 ︒ 熔 融 し て
︑
40‑50 ︒ C
で分解する︒水とは激しく熱
を発して化合して硝酸を生成する︒
第 5
項 一 酸 化 窒 素 亜 酸 化 窒 素 o x i d e . N 2 0 製法
7 丸底フラスコに硝酸アンモニアの結晶を入れ
る︒これを徐々に加熱すると︑結晶は熔融して分解し︑
沸騰して
N 2 を発生する︒これを水を滴たしたシリ 0
ンダーを倒立し︑これに反応フラスコからのガラス管
を差し込む︒笑気は水と置換し︑メスシリンダー中に
貯 ま る ︒
笑 気 N i t r o u s
︵自然界には硝酸塩
( C
塩︶が乾燥した土壌中に蓄積 a
している︒これを灰処理によりカリウム塩︵硝石︶と
して火薬生産に使用した︒︶
効用は阻酸は金属を溶解する力が強く︑これを化学
および工学上に広く使用している︒
附論酸︑塩基︑塩類の定義︑説明あり︒︵略す︶
第 4 項 五 酸 化 窒 素 無 水 硝 酸 n i t r o g e n p e n t o x i d e .
性質~無色透明な気体、やや甘味あり、比重 1.53
、同容の冷水に溶解して︑ 7 ︒ C において
5 0 気圧を受けれ
ば︑比重
0 . 9 3
の液体に変わる︒ 6
真空中で速やかに蒸散させると︑その熱度は下がり
マイナス
1 4
0 C ︒
になる︒この気体は熱により容易に 分解して酸素を放出する︒補燃性は強い︒この気体
を吸入すれば精神を高揚させる︒酒に酔った状態にな
る︒喜笑いは自ら止めることは出来ない︒故に笑気と
い う
︒
来歴:1772 年
P r i e s t l e y 発 見 す る ︒ 効用芦外科医はしばしばこれを使用して手術をおこ な う
︒ 第 6 項.二酸化窒素
N i t r i c o x i d e ,
N O 分子量 30 製法:ガラス瓶に銅屑を入れ︑これに水および硝酸
を注ぐ︒発生した気体を冷水上で捕集する︒
性質;無色透明の気体︑大気または酸素に触れれば
酸化され忽ち赤褐色になる︒比重
1 . 0 3
︑ 9 水 に 溶 解 せ ず
︒
来歴:1772年
P r i e s t l e y N O を 発 見 し た
︒
︵ 以 下 を 略 す
︶
第 7
項 窒 素 と 水 素 の 化 合 物
アンモニア
A m m o n i a , N H
17 3 分子量
‑14‑
コークス︑石炭 最も普通なものは木炭である︒油煙︑
ガス︑骨炭︑石炭等もこれに属す︒
気炭タール︑石炭ガスの製造所で石炭を乾留する時
に鉄鍋の内壁に付着する堅硬緻密な炭素であり︑導電
性あるを以て電池︑電気燈に用いる︒
骨炭︑骨を密閉容器内で加熱して︑その残留した炭を
塩酸で灰分を除去して製したもの︒砂糖の精製に脱色
剤として使用する︒水の濾過にも使用する︒
石炭天然に産出するところの不純な炭素であり︑水
素︑酸素︑窒素を含む︒これは植物質の天然に炭化し
た も
の で
あ る
︒
炭素無味無臭︑これを溶解する溶媒︑溶融する方法
は な
い ︒
炭素は熱により酸素と化合するために︑酸化金属を還
元して金属を製するに使用する︒
第 1
項炭素と酸素の化合物
c o
と
c o ,
酸 化
炭 素
︑ 炭
酸 気
︑ c o ,
( 以
下 略
す ︶
酸化炭素
c o
( 以
下 略
す ︶
第 2
項炭素と水素の化合物
炭化水素
H y d r o c a r b o n ,
メタン︑沼気︑
m e t h a n
e ︑
C H
, ︑
エチレン︑生油気
乙 甲 O l e f
i a n t g a s E , t h y l e n e , C 2 H 4
所在こ沼気に混じり石炭坑中に存在する︒
ア セ
チ レ
ン ︑
A c e t h y l e
n e ︑
C 2 H 2
水素ガス中にコークスに電気を通ずる︒
2 C +
H ,
︐ ← C 2 H 2
(
電 気
ス パ
ー ク
︶
有機物燃焼不充分なるときに生す?
カーバイト︵炭化カルシウム︶
C a C 2
+
2 H 2 0
←
C a (
O H
) ,
+
C 2 H 2
タール有機合成の原料になる︒煤気の性質;石炭の
種類で変わる︒蒸留の温度により成分が変わる︒比重
0 .
3 4
1
0 . 6 5 ︒
煤気の成分表
水 素 湿 気
3 5 . 9 4 5 0 . 0 5
4 1 . 9 9 3 2 . 8 7 1 2 . 8 9
第六章燃焼及び焔の構造
燃焼とは熱および光を発する所の化学的作用を言う︒
しかし通常目にするものは物体と大気中の酸素との化
合する作用である︒そして物体が燃焼すると気体状と
なるときは︑必ず焔が発生する︒この気体の質により 0
. 3 2
1 0 . 0 7
c o c o ,
1 . 1 9
重炭化水素
1 0 . 8
1
3 . 8 1
‑16‑
第 七 章 塩 素
所在;天然に遊離のものは無い︒常に金属と化合して
存在する︒殊にナトリウムと化合して食塩となり︑多
量に存在する︒その他カリウム︑カルシウム︑マグネ
シウム等と化合して鉱泉︑海水中に存在する︒
来歴?
l 7
7 4
年
S c h e e l
に e
よ り
発 見
さ れ
る ︒
1809 年
G a L y u s s a
c ︑
T h e n a r
d により元素である
ことを証明し︑﹁クロリン﹂と命名した︒
第 1
項.塩化水素︑塩酸
H y d r o g e n c h l o r i d e , H y d r o , c h l o r i c a c i d , H C l
所在こ塩化水素は少置であるが噴火山の噴気中および
動物の胃液中に存在する︒
塩素と酸素の化合物
一 酸
化 塩
素
C h l o r i d e m o n o x i d e C l 2 0
C h l o r i n e
その焔の光の明らかなものが生する︒またはその熱度
︵燃焼温度︶の高いものがある︒この温度が高いものは︑
光輝はいたって少ない︒ 蝋燭の炎の構造~内部より、 1 .焔心、 2 .気体の未
燃 焼
の 部
分 ︑
3 .光輝を発する最も著明な部分︑還元
焔 ︑
内 焔
︑
4 .最外部︑酸化焔︑外焔より成る︒
こ の
製法益歩一酸化水銀と塩素との反応により製す︒
2 H g 0 +
2 C l 2 C l 1 1
2 0 +
H g , O C 1 2
三酸化塩素
C h l o r i n e t r i o x i d e C l , 0 3
三酸化塩素は一=酸化ヒ素と塩素酸カリウムおよび稀硫
酸を混和して製する︒
A s 2 0 3 +
2 K C I 0 3 +
2 H 2 S 0 4
十
2 H 2 0
1 1
2 K H S 0 4
十
2 H 3 A s 0 4 十
C l 2 0 3
四酸化塩素
C h l o r i n e P e r o x i d e C l 0 2
四酸化塩素は塩素酸カリウムに硫酸を加えて製する︒
3 K C l 0 3 +
2 H 2 S 0 4 1
1
K C l 0 4
十
2 K H S 0 4
十
2 C l 0 2
十
H 2 0
塩素酸
C h l o r i c a c i d , H C I 0 3
塩素酸はいまだに純粋なものは得られていない︒
水溶液を作るには︑稀硫酸を以て塩素酸バリウムを分
解 す
る ︒
B a ( C l 0 3 ) 2 +
H , S 0 4 ←
B a S O , 十 2 H C l 0 3
過塩素酸
H C l 0 4
過塩素酸カリウムを熱して熔融すると︑その酸素を
放出する︒そしてまだ悉く酸素を放出してない状
態で︑加熱を止めて反応を抑える︒過塩素酸が未反
応の塩素酸カリウムと共に反応器の中に存在する︒
第 八 章 倍 数 化 合 律
︵ 倍
数 比
例 の
法 則
︶
元素は互いに相化合するには︑一種以上の割合を以て
する︒例えば酸素︑窒素とは 5 種の化合物を作り︑ま
た酸素と水素とは 2 種の化合物を作る︒今試しにこの
L a w o f M u l t
i p l e P r o p o r t i o n
C a F 2
+
H , s o , 1
1
2 H F + C a s o ,
これを製することは甚だ困難である︒
第 4 項.フッ素
F l u o r i n e
F 原子量 19
存在こノッ素はカルシウム化合物として蛍石として存
在する︒またアルミニウム︑ナトリウムと化合して
クライオライト
c r y o l i t e
として産出する︒動物の歯牙︑
血液︑脳髄等に痕跡を有す︒
H . M o r i s o
1886 年︑フッ素の研究︑分離に成功︒ n ︑
電 気
炉 を
使 用
︒
1906
年 ノ
ー ベ
ル 賞
受 賞
︒ 液 体 フ ッ 化 水 素 ( H F )
に一︱フッ化水素カリウム
( K H F 2 )
を溶かす溶液を電気分解法でフッ素を単離し
た ︒
1886 年︵明治
1 9 )
フッ化水素
H y d r o f l u o r i c a c i d H , F
製 法
" 蛍
石 F l u o r i t e
の粉末を白金製或いは鉛製の器中
に入れて︑強硫酸を注ぎ︑熱してフッ化水素を製造し
t こ ︒
一 酸
化 窒
素
二酸化窒素
三酸化窒素
四酸化窒素
五酸化窒素
H 2 0
一 酸
化 水
素 H 2 0 2
二酸化水素
右の化合物を見ると窒素および水素の量は皆同一であ
るが︑酸素の化学量は
1 6 であり︑その他は
の 2 1 6
倍 数
︑
3 倍数である︒この様な事実から︑
J o h n D a l t o n
は こ
れに﹁倍数比例の法則﹂を設けた︒これが諸化合物を
分析して︑あまたの実験を積み重ねて初めて発見した
一定不動の通則であり︑その後︑化学者の試験を重ね
てその事実が確かめられた︒
原子説
A t o m i c t h e o r y D a l t o n
は自ら制定した﹁倍数化合律﹂を解釈するた
めに︑原子説なるものを立てた︒その説には﹁凡そ物
N 2 0 N , 0 2 N , 0 3 N , 0 4 N , O s
N
3 2
水素量 2
28
酸素量
1680
28
6 4
28
4 8
28
3 2
2 8
16
酸素の量 各種の化合物中に含有する酸素︑窒素の重量を列挙す ると驚くべき事実を発見する︒
窒素の量
体は化学上にて再び分砕することの出来ない所の極細
幽微なる一定の小分子より成るものなり﹂即ちこれを
原子と言う︒またその重量の比例は各元素の化合量︵原
子量︶をもって之を示す︒例えば酸素は 1 原子を水素
1 原子に比べれば
と であり︑窒素に比べれば 1 6 1
1 6
と
1 4 で
あ る
︒
気体の化合容量
A v o g a d r o
, s h
y p o t h e s i s
アヴォガルドが気体の比重を研究して︑次の説を提出
し た
︒
﹁同容積の気体は同温︑同圧においては︑総て同数*
の 分
子 を
含 む
﹂
例えば酸素 l 認を水素 l 認に比べれば︑その重さは
1 6
倍である︒そしてその中に含まれる分子の数は同一で
ある︒故に酸素 1 分子は水素 l 分子より
倍の重さは 1 6
共に水素の重量を定準にして算定するものなり︒故に
気体の分子量はその比重と同一なり︒しかるに︑元来︑
比重を算定するには︑水素の半分子を定準としたもの
であるから︑気体の分子量はその比重に 2 倍して︑気
体を為す元素の化合物はその比重と同じものとする︒
気体
1m o l e
の標準状態での分子数をアヴォガル
ド 数
と 呼
ぶ ︒
* 元素の分子
M o l e c u l e s o f e l e m e n t s
前に述べた﹁アヴォガルド﹂氏の説により水素・塩素・
酸素・窒素の分子量を算定するに︑水素 2 ︑塩素
7 1 ︑
酸素は
3 2 ︑窒素は
2 8 であることを知る︒即ち各々の値
はその化合量︵原子量︶の 2 倍である︒これに依って
見れば︑この気体元素の分子は各 2 原子より成ること
が 明
ら か
で あ
る ︒
今さらにこれを論証するに﹁ 1 認の水素は
1 0 0 0
の 分
子を含有すると仮想するときは︑ 1 認の塩素もまた
1 0 0 0
分子を含むことになる︒そして此の 2 元素の各
l 認
を 化
合 す
る と
き は
︑
2 認の塩酸を得るべし︒そし
て 2 認の塩酸は
2 0 0 0
分子の塩酸を含有すること明ら
かなり︒また塩酸 l 分子は水素及び塩素各 1 原子より
なることは分析に依って知るところなり︒
すべて他の元素を見るには皆これを同様なり︒
( 2
︑ 3
の元素はこれに一致していない︒即ち燐および砒素は︑
各 1 分子はその 4 原子より成り︑亜鉛︑水銀の 1 分子
は そ
の
1 原子より成っている︒︶これによって見れば︑
元素
1 分子はその 2 原子より成立することを普通とす
る ︒
‑20‑
第 九 章 硫 黄
S u l p h u r , S u l f u r
原子量
3 2
所在"遊離して火山地方に多量に存在する︒我が国殊
に富めり︒即ち阿蘇︑浅間︑箱根︑立山等に多蜃にこ
れを産出する︒ヨーロッパにおいては﹁シシリー島﹂
S i c i l y I s l a n
d は有名な産地である︒また︑多数の金属 │
ヽN =
U) = C
=
和価
V a l a n c e (
原 子
価 ︶
既に論述した諸化合物の符号を見るに其の間に一種の
差異あることを発見する︒例えば塩素 l 原子は水素ー
原子と化合し︑酸素 l 原子は水素 2 原子と化合し︑窒
素 l 原子は水素 3 原子と化合するが如し︒故にこの 3
元素の水素と化合する力は互いに不同にして︑酸素1
原子は塩素より 2 倍の水素と化合し︑窒素はその 3 倍
と化合するが如し︒その他諸種の化合物を調べるとそ
の各元素の化合比例は皆同一でない︒故に今水素1原
子の親和力をーと定め︑これを定準となすとき︑例え
ば酸素の親和力は 2 にして︑窒素の親和力は 3 等の如
し︒これを原子の和価という︒凡て原子の和価を示す
にはその符号の冒頭あるいはその傍に小線を附するこ
とを常法とす︒即ち左のごとし︒
│ H
│ ︑
│ 0
│ ︑ 二酸化硫黄無水亜硫酸︑ て硫酸鉱となり存在する︒ と化合して︑硫化鉱となり︑金属および酸素と化合し
s o , ︑
S u l p h u d r i o x i d e
所在~火山より噴出する気体中にあり。
‑ =
酸 化
硫 黄
無 水
硫 酸
︑
S 0
3 ︑
S u l p h u t r r i o x i d e
製 法 品 ; o ,
+ o ,
1 1 S 0 3
海綿状白金触媒使用︑冷やし
て結晶化する︒発煙硫酸を加熱して
S 0 3 を
発 生
さ せ
る ︒
硫酸
S u l p h u r i c a c i d , H 2 S 0 4
所在二天然に遊離し︑火山地方の河川水および鉱水中
に存することある︒他金属と化合して多量に存在︒
製 法 品
e S 0 4
←
F e , 0 3
+
S 0 3
+ s o
( ,
加 熱
分 解
︶
S 0 3 +
H 2 0 1 1 H 2 S 0 4
現今専ら用いられるは英法と称して右の化学的変
化に基つくものなり︒
鉛室法払鉛板で巨室を作り︑各室は鉛管で接合す︒木
筐に支架して︑一方に炉を置き︑鉛室と炉には絶えず
大気を通じ︑その中で硫黄を燃やす︑この焔を硝石と
硫酸の混合物を入れた容器を加熱すると︑同時に間断
なく水蒸気を室内に噴入する︒この室の外端には高い
煙突を設ける︒室内は絶えず
s o ,
︑ NO ︑
H 2 0 で充満
する︒ここに生ずる硫酸は鉛室の底に貯まる︒
真 性
珪 酸
︑ H 2 S i 0 3 異性珪酸珪酸塩゜
純粋な珪酸は製することは出来ない︒珪酸の性質は乾
燥すれば分解して︑水と二酸化珪素となる︒その水溶
液は珪酸アルカリの溶液に塩酸を注げばコロイド状に
なり沈殿する︒無定形コロイド状のものは洋皮紙を透
過することが出来ない︒
四弗化珪素
S i l i c o n t e t r a f l u o r i d e S i F 4
製法こ白砂︑蛍石に粉末をガラス瓶に入れ︑ 8 倍の硫
酸を注ぐ︑これを加熱する︒
硼素
B o r o n , B ,
原子量
1 0 . 9
所在二天然に遊離したものはない︒硼酸として︑金属
類と化合して︑硼酸塩として産出す︒
硼酸
B o r i c a c i d H 3 B 0
所在
: 4 タリアタスカニーの火山近傍の水蒸気中に
在り︒噴出気を﹁サフォニ﹂
S u f f o n i
と い
う ︒
第 十 一 章 燐 P h o s p h o r u s P 原子量
3 0 . 9 6
所在二天然に遊離のものは存在しない︒化合物として
リン酸カルシウムは︑植物の子実︑動物の骨質中に存
在する︒広く地中に散在する︒頭脳神経に少量を含む︒
三酸化リン酸︑無水亜リン酸
P h o s p h o r u s t r i o x i d e
P 2 0 3
︒リンの少量を乾燥した大気または酸素の中に讃
くと徐々に酸化されて生成する︒白色粉である︒臭気
はややニラに似ている︒直ちに水と化合して亜リン酸
と な
る ︒
亜リン酸
p h o s p h o r o u s a c i d
H 3 P 0 3 P C l 3
+ 3
H , O
1 1 H 3 P 0 3 + 3 H C I 結 宙 呻 性
i あり
ニラ臭を有する酸で︑湿気で分解しやすい︒還元力は
強い︑銀塩等より銀を分離・析出する︒強熱すれば分
解してリン酸およびリン化水素となる︒
五 酸 化 リ ン 無 水 リ ン 酸 P 2 0 5
リンを酸素中で燃焼すると製する白色の粉末︑水と化
合してリン酸を成する︒吸湿性が強い︒
P h o s p h o r i c c i a d H 3 P 0 4 P +
H 3
N 0 3 1 1 H 3 P 0 4
十
2 N 0 2
+
NO
性質~無色透明なる結晶であり、すこぶる水に溶解
し易い︒大気中におけば吸湿して無色の濃厚液とな る。リン酸は一二塩基酸であり、 H2NaP04•
H 2
0 ︑
H N
a ,
2 P 0 4
・ 1 2 H
2 0 ︑
N a 3 P 0 4
・ 1 2 H , O
が あ
る ︒
第十二章 リン酸
砒素
A r s e n i c As 原子量
7 4 . 9
P h
o s
p h
o r
u s
p e
n t
o x
i d
e
所在二天然遊離して存在することありと雖も︑多くは
金属と化合して砒化物となり︑あるいは硫黄と化合
して硫化物として存在する︒その主な鉱石は砒化鉄
鉱
F e A s 2 ,
白色コバルト鉱
( C o N i F e ) A s 2 ,
砒化ニッ
ケル鉱
N i A s .
硫砒鉄鉱
F e 2 S 2 A s ,
鶏冠石
A s 2 S 2 ,
石
黄
A s 2 S
2 これなり︒また酸素と化合して三酸化砒素
A s , 0
3 となり現出することあり︒その他諸種の硫化鉱
の多くは少量の砒素を混在しているものあり︒
三 酸 化 砒 素 ま た は 無 水 亜 砒 酸
A s , 0 3
所在二天然に白砒石と称する鉱石となり産出する︒
五酸化砒素
A r s e n i c p e n t o x i d e A s 2 0 5
五酸化砒素を製するの方法は一二酸化砒素に硝酸を注ぎ︑
これを蒸発乾固して
2 7
0 に熱するにあり︒白色粉 C ︒
末にして︑さらに加熱すると分解して三酸化砒素およ
び酸素となる︒五酸化砒素を水中に溶かし︑これを蒸
発すると砒酸の結晶が得られる︒このものは金属と化
合して砒酸塩類を製する︒その成分はリン酸塩類に符
合するまた晶形も同一である︒
砒酸
H 3 A s 0 4
砒酸﹁ソジウム﹂二水素
H 2 N a A s 0 4
+
H 2 0
A r s e n i c t r i o x i d e
砒酸一ソジウム水素
H N a 2 A s 0 4 + 1 2 H 2 0
砒 酸
︱ ︱
ソ ジ
ウ ム
N a 3 A s 0
+ 4
1 2 H 2 0
砒素と水素との化合物
砒化水素に一一種あり︑一は気体にして
A s H 3
なり︒ま
た一は個体にして
A s 2 H 2 な
り ︒
気体砒化水素
A s i n e , H y d r o g e n r A s e n i d e A s H 3
製法"水素を発生させるビンに亜鉛と砒素の化合物を
いれ︑ロート管より希硫酸を注ぐ︒砒化水素は水素と
と も
に 発
生 す
る ︒
性質ぶ無色の気体︑すこぶる猛毒なり︒固有の悪臭を
有す︒マイナス
4
0 C で無色の液体となる︒点火する ︒
と暗青色の炎を発し︑三酸化砒素の白煙を生す︒
砒素と硫黄との化合物
二硫化砒素
A s 2 S 2 ,
I
I
一硫化砒素
A s 2 S 3 ,
五 硫 化 砒 素
A s 2 S 5
二硫化砒素の天然に産出するものを鶏冠石と称す︒こ
れを製するにはその各和量に応じて砒素と硫黄を混
和し︑これを熱するにあり︒この如くして生すると
ころのものは赤色の固体にして燃焼すれば白煙を発
す︑これ煙火を製するに供用する︒︳︱‑硫化砒素は天
然に産するものを石黄または雄黄と称す︒その製法
‑24‑
は一二酸化砒素の酸性溶液に硫化水素を通じ沈殿させ ることである︒これ黄色の粉末にして其の色美なる
故に顔料に用いる︒
考
明治 察
2 2 年に出版された久田督著﹁尋常中学校・尋
常師範学校・化学教科書﹂は︑当時としては記述的内
容が非常に多いことが特徴である︒久田がどの様な参
考書を使用していたかは明らかでないが︑多くの化学
翻訳書を使用したに違いない︒その結果︑化学の理論
的な記述が少なくなっている︒これは明治初期に我国
に伝えられていた化学の専門書に問題があったと推定
される︒多くの無機化学的反応式が記載されているが︑
なぜこの反応が進行するかの説明に欠いている︒
特に電離説︑イオン説の記述は全く無い︒この原因
は︑アレニウスが
1883
年にスウェーデンのウプ サラで電離説を発表していたからである
( 9
) ︒明治
2 2 年
( 1 8 8 9 )
にはまだ我国にこの重要な電離説︑イ
オン説は伝来して居なかったのである︒
では我国にイオン説が伝わったのはいつ頃であっ
たかを推定した︒明治
2 0 1 3
0 年代の化学教科書の出版 情況を表ーに示した︒
この時代にイオン説︑電離説を化学教科書に記述し
ていたのは︑池田菊苗と大幸勇吉の二人に過ぎず︑そ
の他は教科書には取り入れていなかった︒
池田菊苗著の﹁化学教科書﹂﹁訂正第二版﹂明治
3 1
年
月刊 1 2
( 1 8 9 8 )
の訂正第一一版緒言には次の様に記
述 し て い る ︒ ( 1 0 )
十余年来ファントフの溶液論︑アレニウスの電気解
離説等︑陸続として世に公にせられ︑化学の理論は 根底より改造されたるの顧あり︒此等の新学説は一 時頑硬なる反対を受けた︒著者は此の学説の伝播を
勤め︑その教育上に重要なることを偶道した︒
本書に物理化学の一篇を増加し︑もって此等の新学
説の大要を説述する機会を得たるは著者の大に喜ぶ所
な り
︒ 第 四 篇 物 理 化 学 一 斑 第 二 節 電 気 分 解
571 頁
イオン︑水素イオン︑陽性イオン︑陰性イオン︑
電気解離について記述した︒
池田が記述した様に︑我国においてイオン説︑電離
説の受け入れには強い反対があった︒池田菊苗﹁化学
教科書﹂訂正全︑︵
323 項︑(575頁︶にイオ ︶ 1 0
ン に
つ い
て の
記 述
が あ
る ︒
﹁塩酸塩における水素および塩素原子の如く電気を
帯び解離して存在する原子若しくは原子団をイオンと
称し︑水素イオンの如く陽電気を有するものをカチオ
ン︵陽性イオン︶といい︑塩素イオンの如く陰電気を
帯ぶるをアニオン︵陰性イオン︶という︒また陰極を
カトード︵カソード︶︑陽極をアノードという︒かく
の如く化合物がイオンに分解するを電気解離という︒﹂
この様にして︑イオンが我国の化学に定着していった
歴 史
が あ
っ た
︒
表 1
出版年 1880 1883 1884 1889 1891 1893 1894
1896 1897 1898
著 者
下山順一郎
磯 野 徳 三 郎 太 田 雄 寧久 田 督
高 松 豊 吉 吉 田 彦 六 郎 池 田 菊 苗 竹 尾 将 信レムゼン、原 松井元治郎他
大 幸 勇 吉 吉 田 彦 六 郎 大幸勇吉、池田菊苗、