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ス マ ー トフ ォ ン を使 っ た 双 方 向 性 へ の 試 み

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Academic year: 2021

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【 実践報告】

ス マ ー トフ ォ ン を使 っ た 双 方 向 性 へ の 試 み

一 ス マ ホ を ク リ ッカ ー代 わ りに使 う一

大学院自然科学研究科理学専攻化学講座 藤 本 斉

1.は じ め に

大 学 の 授 業 で 双 方 向 性,学 生 参 加,協 同,問 題 解 決 な ど とtわ れ る よ うに な っ て 久 しい 。 さ らに は, ア ク テ ィブ ラー ニ ン グ と い う言 葉 が,学 内 を飛 び 交 う よ うに な っ たO日 本 で この よ うな こ とが 言 わ れ だ した 背 景 に は,1991年 の 大 綱 化 に 始 ま る 大 学 改 革,1998年 大 学 審 議 会 答 申 「21世紀 の 大 学 像 と今 後 の 改 革 方 策 に つ い て 」等,そ の 後 次 々 と 出 され た 答 申 を 踏 ま え た 教 育 改 革 が あ る の で あ ろ う。 今 回 取 り 上 げ るの は,授 業,特 に 受 講 者 が100名 を 超 え る 座 学 に お い て 双 方 向 性 を 意 識 した 試 み に つ い て で あ る。 木 野 茂 氏 は,「双 方 向型 授 業 」に つ い て

教 室 で 教 員 と学 生 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン が 取 れ て,学 生 の 主 体 的 ・能 動 的 な 授 業 へ の 参 加 が 実 現 して い る だ け で は 不 十 分 で あ り,教 室 で の 授 業 に よ っ て 学 生 に 学 習 意 欲 を 喚 起 し,教 室 外 で も 主 体 的 ・能 動 的 な 学 習 に 導 い た と き に こそ,主 体 的 ・能 動 的 な 学 び を 引 き 出 す 「 双 方 向 型 授 業 」が 実 現 した とい うべ き で あ る 。

と述 べ て い る[1]。 筆 者 は 大 学 教 育 を 研 究 の 対 象 と して い な い た め,本 稿 で は 「 双 方 向 型 授 業 」と は 何 か 等 を議 論 す る つ も りは な く,教 養 教 育 の 一 選 択 科[ヨに お い て 大 人 数 の 学 生 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン を 取 る た め に 授 業 中 に 行 っ た 試 み の 一 つ を 紹 介 させ て い た だ く。

教 養 教 育 の 選 択 科 目 で あ る 教 養 科 目 を担 当 して きて,あ る 時 期 か ら受 講 生 の 反 応 の 乏 しい こ とが 気 に な りだ した 。 毎 回 の 授 業 時 間 中 に 時 問 を取 っ て,そ の 回 の 授 業 内 で 新 た に 発 見 した こ とや 自 ら考 え た こ と と同 時 に,授 業 に 関 連 す る 質 問 事 項 を200宇 程 度 の 小 レポ ー トに 仕 上 げ て も ら っ て い る。 当 た り前 か も しれ な い が,受 講 生 は そ れ な り に何 か 新 た な もの を 見 っ け て い る こ とが 毎 回 の レポ ー トに は 記 載 され て い た 。 ま た,質 問 事 項 の 記 載 が あ れ ば,次 回 の 授f三1ま で に 学 修 管 理 シ ス テ ムLMS(初 期 はWebCT, 現 在 はMoodle)に 回 答 や 筆 者 の 考 え を掲 載 して き た 。

研 究 室 ゼ ミの よ うな 状 態 ま で は 期 待 しな い し,期 待 もで き な い が,で も何 か 足 りな い 。2013年 の授 業 中 に,受 講 生 数 を 制 限 して 少 人 数 の 授 業 にす れ ば,も う少 し何 か で き そ うな の だ が と言 っ た ら し く,あ る 学 生 の そ の 回 の 授 業 レポ ー トに ク リ ッカ ー を使 っ て は ど うか と の 助 言 が あ っ た 。 導 入 科 目の ベ ー シ ッ クで 使 わ れ て い る ら しいO釈 迦 に 説 法 で は あ る が,「ク リ ッカ ー 」とは[2],

授 業 で 学 生 が 応 答 用 に 用 い る リモ コ ン の こ とで あ る。ク リ ッ クす る も の で あ る こ と か ら通 称LLク リ ッカ ー"と 呼 ば れ て い る。

あ る い は[3],

学 生 が テ レ ビ リモ コ ン の よ うな カ ー ド端 末(レ ス ポ ン ス カ ー ド)の ボ タ ン を 押 す と,回 答1果 が 集 計 され て リア ル タイ ム に パ ソ コ ン の 画 面 」 二に 表 示 され る と い う シ ス テ ム で す 。 海 外 で は 大 学 に お け る 大 人 数 の講 義 な ど に お い て 一 般 的 に活 用 され て い る よ うで す 。

とあ る。 正 式 名 称 は,AudienceRespnnseSystemと い う もの で あ っ た 。 あ い に く,当 該 授 業 と 同 じ時 間 帯

にべ 一 シ ッ クが 開 講 され て お り,ク リ ッ カ ー の 数 の 関 係 か ら翌2014年 の 授 業 で も使 う こ とは な か っ た 。

(2)

あるときネットを眺めていて,日経ビジネスに掲載された小泉巨人氏(東海大学文学部広報メディア 学科教授)のインタビュー記事[4]が目に留まった。株式会社天間堂が提供するソフトウエアー「イマキ ク」[5]によるスマートフオンを使った双方向型の授業についてのインタビューであった。「イマキク」は,

無料であった(2015年il月から有料化された)こともあり,使ってみることにした。

2。「イマキク」の概要

「イマキク」では,以下のような設問が可能である。

。複数回答可能(1〜10回及び無制限)な多肢選択(選択肢数に制限なし)

・自由投稿(自由記述)とその投稿に対する投票

・各設問に自由記述棚の追加可能

加えて,リアルタイムに集計され,棒グラフ,円グラフ,レーダーチャート等の様々なグラフにして 表示される。講師は,予め設問を用意して授業に臨み(図1).スマートフオン,タブレットあるいはラッ プトップPC等で設問集にアクセス,開始すると6桁の暗証番号とQRコードが表示される(図2)。

受講生は,同社の「スグキク」サイトにスマートフオンやタブレットでアクセスし,表示された6桁の 数字を入力あるいはORコードを読み込むだけで回答のための準備は終わる(図3)。後は開始するだけで,

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図4.リアルタイム集計結果画面

図3.受講者佃l入口画面

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(3)

設問が受講者に表示され,受講者の投票や投稿内容がリアルタイムで設定しておいたグラフに表示され る(図4)。自由記述も可能で,それに対して他の受講者は投票もできる。

基本的にネットワークに接続できる環境さえあれば利用が可能である。受講生側から見ても匿名での 回答や投稿のため,質問行動に対する嬬曙も少なくなる。総務省の発表[6]によると,2014年11月の段 階でスマートフオンの利用率が10代で68.6%,20代で94.1%に上る。また,株式会社日経BPコンサルティ ングの調査[7]でも2015年7月の段階でスマートフオンの利用率が高い年代を見ると,女'性の20〜24歳 94.0%,同25〜29歳90.0%,男 性の15〜19歳89.0%,同20〜24歳85.0%の順となっている。タブレットや コンピューターは所有していなくとも,ほとんどの学生がスマートフォンを保有していることになる [ 8 ] 。

3.利用事例

実際にこのシステムを利用したのは,2015年度前学期に担当した教養科目(選択)の「化学入門c」であ る。受講者は,文系学部学生1年次97名,2年次5名の合計102名であった。学部別内訳は,文学部58名,

教育学部30名及び法学部14名であった。受講生にこのシステムへの参加を強制はしなかった。

初回のガイダンスにおいて使い方を簡単に説明した後,授業テーマとして取り上げてほしい内容を多 肢複数選択で回答してもらい,加えて自由記述で入力してもらった。回答率92%(回答者93名,出席者 101名)であった。受講生側の設定から回答まで特段の支障もなく進んだ。その日の小レポートには,今 後も利用を続けてほしい旨の記載が複数寄せられたため利用形態を含めて模索することになった。

シラバスには事前学習用に各授業の簡単な概要リストを示してある。まず考えたことは,授業を始め る前後の受講者の知識を問うことであった。授業内容に関係するいくつかの事象や項目について知って いるかどうか程度の選択問題を授業開始時に出し,授業後に改めて理解したかどうかを確かめてみた。

また,授業の途中でもアンケート形式の投票をしてみた。参加を義務としていないことや授業によって は小レポート作成の時間中に質問をしたこともあり,参加率には授業によって40〜90%とかなりのばら つきがあった。無線LAN(Wi‑Fi)の混雑状況によって,接続が不安定になることもあった。

受講生からは,授業終了時に取った授業改善のためのアンケートの自由記述柵に肯定的な意見が5件 寄せられていた。加えて,もう少し双方向的なやり取りがあればとの意見も1件あった。

4.おわりに

今回の授業で用いた「イマキク」は,スマートフォン側で特段の設定やアプリケーションのダウンロー ド及び登録などをする必要は一切ない。また,匿名による回答や投稿ができること,自由記述が可能で あること,リアルタイムで投票状況が表示されること等 従来のリモコン式のクリッカーにはない特徴 をもつ。加えて,授業時に器材の搬入,配布回収,接続設定等の手間も不要である。今後さらにスマー トフォン等のスマートデバイスは普及するであろうことを考えると,授業担当者として双方向を意識し た授業のために活用を視野にいれてもよいと思われる。受講生側からは,授業への参加を意識でき,また,

集中力の回復にもつながる。設問作成用のインターフェースも分かり易く,実際の授業での使用も簡単 かつ手軽である点は評価できる。ただ,仕様等かなり作りこまれているため仕方ないことではあるが,

有料化されたことは残念である。

(4)

初めての利用であったことと授業の組み立てを考えたりする準備等の時間に余裕がなかったため実施 できなかったが,受講生からの指摘があったようにもっと双方 性を意識した使い方も可能であると考え る。例えば,授業の途中にそれまでの授業内容について質問事項を隣席の受講生同士が話し合って投稿 し,他の受講生からその質問への回答の投稿を求める等のいわゆる参加型授業や問題解決型授業へ展開 できる可能 性がある。

最後にいくつか注意すべきことを挙げておく。既に指摘されている[9]が,個人所有のスマートフォ ンを利用する場合,考えなければならないことがある。個人'情報の漏えいと課金やパケットの使用料金 である。今回の「イマキク」に関しては,通常のweb閲覧程度の情報漏えいに関するリスクを伴う。使用 料の発生は,学内の無線LAN(Wi‑Fi)環境を利用することで避けられる。ただし,多くの学生の一斉接 続に耐えられる無線LAN環境が必要となる。

本稿では実際に授業で行った試みを紹介した。今回のシステム以外にも有料・無料を含め様々なものが あり,大規模授業における双方向性を実現する一つの方法として利用する価値はあると考える。

参考文献

[1]木野茂,「教員と学生による双方向型授業一多人数講義系授業のパラダイムの転換を求めて−」,

京都大学高等教育研究,15,1(2009).

U R L : h t t p : / / w w ¥ v . h i g h c c l u . k y o t o ‑ u . a c . j p / k i y o u / d a t a / k i y o u 1 5 / 0 l ̲ k i n o . p d f

[2]鈴木久雄,武貞正樹,引原俊哉,山田邦雅,細川敏幸,小野寺彰,「授業応答システム"クリッカー による能動的学修授業−北大物理教育での1年間の実践報告一」,北海道大学高等教育ジヤーナルー 高等教育と生涯学習−,16,1(2008).

U R L : h t t p : / / s o c y o . h i g h . h o k u d a i . a c . j p / J o u m a l / J 1 6 P D F / N o l 6 0 1 . p d f

[3]島根大学,平成21年度文部科学省特別教育研究「学生の学びを中心に据えた教職員ネットワークの 構築とFDの組織化〜山陰地域のFD拠点化に向けて〜」,プロジェクト4ICT活用実践プロジェクト

「オンラインFDネットワーク」の構築.

U R L : h t t p : / / c e r d . s h i m a n e ‑ u . a c . j p / r d / p r o j 4 / c l i c k e r . h t m l

[4]小泉屋人教授インタビュー記事(聞き手,小野口哲氏),「スマホを使って"ライブ感"のある双方向講 義を実現 今どきの学生"の意見を引き出すスマホ講義」,日経ビジネス,2014年4月30日.

U R L : h t t p : / / b u s i n e s s . n i k k e i b p . c o . j p / a r l i c l e / i n t e r v i c w / 2 0 1 4 0 4 2 5 / 2 6 3 5 1 4 /

[5]株式会社天間堂が提供によるリアルタイム投票,投稿,アンケートが可能なwebソフトウエアー「イ マキク」。受講者側のアプリケーション等のダウンロードや個人情報入力は一切ない。初期は一部 機能を除き無料であったが,2015年11月から有料化された。

U R L : h t t p s : / / i m a k i k u ・ c o m / j a / # /

[6]総務省情報通信政策研究所,「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告 書」,2015年5月19日.

U R L : h t t p : / / w w w . s o u m u . g o . j p / m e n u ̲ n e w s / s ‑ n c w s / 0 1 i i c p O l ̲ 0 2 0 0 0 0 2 8 . h t m l

[7]株式会社日経RPコンサルティング,「携帯電話・スマーl、フォン"個人利用"実態調査2015J,2015年8

月31日.

U R L : h t t p s : / / c o n s u l t . n i k k e i b p . c o . j p / n c w s / 2 0 1 5 / 0 8 3 1 s p /

(5)

[8]内閣府の「消費動向調査」によると2015年の29歳以下の世帯におけるコンピューターの普及率は約6 割タブレット型端末の普及率は3割となっている。個人ではなく,世帯調査のためスマートフオ

ンの保有率とは直接比較はできない。

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[9]田島貴裕,「クラウド型クリッカーの活用事例とその課題一スマートデバイスに対する学生の意識の

観点から−」,コンピューター&エデュケーション, 38,62(2015).

参照

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