総 力 職 経 濟 の 蓮 命 曲 線
高橋次
郎
第一章
第二章
幻‑只①
第三章
第四章 総力戦経濟の蓮命曲線
縮少再生産克服の方途
入的生産力擾充
物的生産力擾充
綜合的技術の爽展
廣城経濟の構戊
第劇章総力職経濟の蓮命曲線
今日の戦孚は総力職と呼ばれる︒総力⁝戦の申に於て経濟の演ずる役割ば實に顯⁝著なるものがあるつ総力職維濟
に於ける再生産を圓滑に進行せしめるためには︑何が最も必要とせられるか?
組力戦経濟の蓮命曲線(高橋)︑.ご七
︑二八
かね此の問ひに封して︑嘗ろて填太利のモンテクックリィ元帥(竃8言28島)・が﹃一にも金︑二にも金︑︑三に
ノも金﹄((甲6=.Q匹傷⊆巳繋ooゴヨ巴︒︒Oo匡一)と答へた︒
ゴットル(︼賜目凶O畠噌凶07︿05一(甲Oθρ一ー()θ侍一幽一一〇旨{O一ユ)はこれ広倣つて﹃一にも帥労働︑二にも帥勢働︑三にも帥労働﹄(︾Hげ⑦剛び
野︾島o潔巷畠昌o︒ずヨ鑑ω︾告︒津一)と叫ぶ︒これは︑ドイツが今日苛烈なる戦争完途のための生産に於いて帥労働力
を如何に強く要求して居るかを表明する露はなる聲である︒
また今日の日本の現歌では職争完遽のために必要なものは﹃唄にも財貨︑二つにも財貨︑三にも財貨﹄(O窪︒ご
O警自=巳ぎ9ヨ9♂O俸︒N欄)とも云へるであらう︒そう云つたからと云つて︑財貨以外のものが不用だと云
蕊課ではない︒貨幣も勢働力も倶に財貨と相並んで必要なことは云ふまでもない︒た穿これによつて財貨が比
較的彊烈に必要とせられることを表明するに過ぎない︒同様に︑ゴットルの場合に於ても帥労働力以外のものが
不要だと云ふ課ではない︒唯だそれが他のものに比較して極度に不足を告げて居ることを効果的に表現するも
のに外ならないのである︒留
それ故に︑迫力を欲く表現となる憾みはあるが︑﹃職争途行に必要なものは︑Q︒冨Hヨ⑦9ヨ︒昌29鼠目暮⑦ユ㊤房
(・象藍・・)﹃人︑物及畿である﹂と云ふ方蓬かに蕩にして正難る表現となるであらう・これは︑今
日︑一般に言はれて居ることである︒このことは︑別に表現するとd﹃職孚経濟には貨幣資本(O巴押碧冨一)と︑
て
それを以つて購入するところの生産要素(勺3"賃吋凱o蕊壁写g窪)とが必.要である﹄と云ふ風に置き換へられる︒
今日︑金属同牧が聲高く叫ばれ榮務供出が日程に上つて居る︒これらのものは︑實物資本形成の素因となるも
ハのである︒しかし︑このととは︑決して貨幣資本の無用を物語るものであつてはならない︒物財が貨幣や艸労働
力よりも比較的多く不足せる時には物財が強く欲求せられ︑物財及び榮働力が豊富なる時には階ぐが如くに貨
幣が求められ︑それが問題の最前線に躍り出すに至る事は︑從來の景氣攣動の歴史が之を雄辮に物語つてゐる︒
生産を螢むためには︑生産手段と勢働力とが必要とせられる︒然るに︑これらのものを生産過程に於いて協
働させる様に準備するためには︑豫め貨幣資本を手牝して置く事を要する︒生産の當初に貨幣資本が在つて始
めて生産手段(勢働蜀象及び勢働手段)も勢働力も生産過程の中に呼び入れられることになるのである︒從つ
て︑生産過程は,前述せる人︑物及び金(Q◎]≦)の三者の協働を侯つて始めて可能となの︑その中の噌つでも
●
訣く事は許されないQ載争維濟に於ける経濟循環(再生産過程)も︑勿論︑この例に洩れない︒
職争維濟に於いて︑政府は彪大化の一路を辿る貨幣的支出の財源を︑先づ正常手段としての租税及び公債に
求めざるを得ない︒斯かる國家的要請に封磨せんがために︑國民は増大せる租税を納めるのみならす︑また更
に進んで貯蓄をも行はなければならなくなる︒これがために︑國民の所得分からの控除分が増大を來すから︑
勢ぴその消費欲求を抑制し國民生活をば最低の程度にまで引き下げなければならなくなる︒これは︑勿論︑大
なる犠牲である︒しかし︑これは職線に於いて血を流して職闘して居る同胞の機牲に比すべくもない︒
國家が職費を調達するためには︑斯様に租税及び公債に頼る外第三の方法として通貨創出の途を選ぶことも
認力戦経濟の蓮命曲線(高橋)二九
三〇
出來る︒この方法は︑昔は改錆とか紙幣印刷とかによつた︒これは︑明らかに其の外形に於いて公債嚢行と匠
別せられるが︑今日では爾者に合流して了つて居るのである︒即ち︑通貨創出は如何なる場合に於いても現在
の信用組織の中に於いて行はれるρ政府はその必要とする貨幣を中央銀行から先づ借入れ︑それに樹して公債
を引受けさせる︒申央銀行はそれを更に各種の信用機關や國民に費却するのであ乃︒斯様にしてみると︑結
ゆノ局︑職費の調達は租視及び公債に訴えざるを得す,しがもそれは現在及び將來の國民所得にまつて絡局的に支
辮せられることを要するものに外ならぬと云ふことになる︒
増税は︑職争の進展に件れて次第に大幅に行はれる︒けれども︑これにも一定の限度がある︒國民の全所得
を徴税することは不可能であり︑叉假令如何に大なる租税を徴牧してもそれ丈けでば不足である︒從つて︑租
税の外に公債護行をも行はなければならなくなるのは︑理の當然である︒然らば︑此の方面に於ける限度は何
庭に横はるか?.︑,
の政府の公債嚢行に封する限度は︑ライト(≦H一讐貯)によると︑
幻國民のインフレーシヨンに封する恐怖︑N・㍉B制度的限界︑即ち銀行資金と公債市況とに依存する︒︒タく第︼の限界をなす國民のイレフレーかヨンに封する恐怖は︑各國の有する経験如何に左右される瓢も多いが︑
その國の統制力が強大なる所に於いては問題とならない︒第二の制度的限界は今日の強大なる國家に於いては
相當遠方に横はつて居ると云はれて居るつしかし︑その際に於いても強制的に國民に購入させるに非ざれば公
債の消化は仲々難かしい事となるであらう◎
とは云ふもの︑︑政府がその必要とする財政的支出のために貨幣を調達することに封して確定的限界を設定
ナる必要を見ない︒問題は寧ろ政府支出の眞實の員澹の側に在る事となる︒即ち︑それは生産力を構成する諸
要因︑例へば物財とか勢働力とかに依存すること︑なるb此虞に﹃生産力援充﹄の問題が喪生して來る︒若
しも此の生産力が國家の必要とする物資を豊富に生産し得る限抄︑その國の職争維濟は健全である︒ゴットル
のめ述べて居る様に︑﹁職争は︑経濟の健全に就いての最も嚴密なる検査である﹂︒職争中に於いても︑経濟は需
要と供給との糧績的調和の精神に於ける人間の共同的活動と云ふ課題を中断するζとなく途行して行かなけれ
ばならない︒このことは︑一國の國民経濟が﹃完全就業﹄(津目国ヨ包︒矯ヨ︒三u<︒ま・︒︒9弾凶㈹慧㈹)の域に達す
るまで問題なく行はれる︒
然るに︑遊休設備や遊休螢働力が無くなると︑それ以上に生産を増大させることが不可能になる︒こ︑に國
民経濟は衰弱化するおそれが現れる︒そこで︑これに封して種々の封策が講ぜ乃れなければならぬ破目に陥
る︒}國の生産指数が上昇の一路を辿るか︑停滞叉は下降の衰勢を飴儀なくせられるか︑これは︑その國の職
争維濟の蓮命の首を擁するる決定的軍要性をもつ曲線である︒この﹃職孚経濟の運命曲線﹄(︒︒︒寓魚ω櫛尻ざH︿ゆ
牙戦内誉σqω鼠賊富︒冨津)を操縦する所の﹁生産力﹂の諸要素を︑次に吟味して見よう︒
総力戦樫濟の蓮命曲線(高橋)噌噌= サ
三二
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第=章縮少再生産克服の方途 ぎ遣↓冨
職争完途のためには︑凡ゆる遊休設備及び榮動力を動員して老大なる軍需の充足をはかる必要がある︒それ
が極限にまで達した曉には︑所謂﹃完全就業﹄が出現する︒職争の進展に⁝伴れて︑経濟循環過程は次第に崎形
的︑逆行的︑漕極的︑破行的性質を帯び︑職争経濟の運命曲線は下降の一路を辿らざるを得なくなる︒斯く
て︑維濟循環は年々狭隆化し︑牧縮する螺旋形を描いて﹃縮少再生産﹄を螢むこと玉する︒
斯かる縮少再生産は︑或る限界までは績けられるが︑此の限界を超えると全輕濟循環の破壊を招くに至るゆ
此の限界は︑
淘財政的支出の堪え得る限度︑(︑.別國民の生活程度の最低限までの低下︑‑MC勢働力の彿底︑・.再(噺
ぢD生産のための物財(原材料)の枯渇︑(
に依存する︒・第﹂の財政的支出の限度に就いては既に考察せる所によつて明かなるが如く︑近代的大國家には
相當の程度までそれに堪え得る能力がある︒第二の國民の生活について︑日本の如き國は職前絵り贅澤になれ
て居なかつたので︑下げ得るマーヂンも小ではあるが︑それにも拘らす相當の程度までその生活程度を低下さ
せる事によつて︑銃後の問題解洗の一端に資することが出來るであらう︒銃後とは︑⁝戦争のために組織せられ
た國民協同膿である︒銃後の問題は︑職暁に於ける民需と軍需との矛盾に表現せられて居る︒銃後の國民は︑
一方に於いて職孚に必要なる物財を供給しなければならないが︑地方に於いて最低の生活程度を維持しなけれ
ばならないのである︒か﹂る矛盾の本質は︑戦線の需要ゆ銃後の費用によつて賄はれること︑及び職線の消費
水準の上昇は銃後のそれの低下を意味する黙に在る︒そとで︑職線と銃後との間に物財を適薦なる割合で計誰
的に配分することが︑職争経濟に課せられた一つの重荷となるのである︒貯蓄政策や投資政策の如き貨幣的側
面に於ける措置は︑或る程度まで此の問題の解決を操縦する力を有するものと言へるであらう︒
次に︑第三及び第四の限界に就いて見る︒職争の進行と共に︑生産増強に封して諸種の障碍が現はれる︒斯
かる障碍の中︑で直接に生産過程に作用するものは︑勢働力及び生産手段と云ふ﹁人﹂及び﹁物﹂の方面に於
かむける聞題︑即ち﹁勢働力の彿底﹂及びh原材料め枯渇﹂である︒これは︑既に前に述べた様に﹁金﹂即ち貨幣
資本の問題ではなくして︑それを以つて購入する生産諸要素の問題である︒完全就業に到達した後に於いて︑
総力戦経濟の蓮命曲線(高橋)・三三