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半順序の最適系列分割問題の構造 と算法構成

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(1)

半順序の最適系列分割問題の構造 と算法構成

加 地 太 一

1.は じめに

Kernighanの最適系列分割問題 1)・4)は,1か らnまでの連続的な番号を 各頂点 に付与 したグラフにおいて,各 ブロックの頂点の重みの総和がブロック サイズ B以下であり,かっ頂点番号の連続性が保持 される頂点集合の分割で, カ ッ ト辺のコス トの総和が最小 となるものを求める問題である。すなわち]見点 間が全順序な関係を もつ一列化 グラフに対す る分割を扱 った ものである この 問題の一つの応用例 としては,プログラムを一定の大 きさの単位で記憶容量 に 割当を行 うページングの問題などがある。 しか し,多 くのシステムの構成は単 純な全順序関係で構成 されるより,より複雑な半順序関係で構成される。

本論分ではより一般化 した半順序関係を もっ無閉路有向グラフの系列分割問 題に展開 し,より応用性の広い問題 に拡張す る。 このとき対象 となる問題 とし て半順序なグラフ構造を利用するスケ ジュー リング問題,ラインバ ランシング 問題,および並列処理等の問題が上げ られる。

全順序の系列分割問題の場合 は系列性を頂点の連続番号の保持によって表 し, また分割を単純にブレーク ・ポイン トを用いることによって表現す ることなど ができた。 これ らによって問題を単純 に体系づけることができ,また効率的な 算法を組む ことができた。 しか し,より一般化 した半順序の系列分割問題の場 令,問題を体系化 し,効果的な解法を構築す るためには,い くつかの点におい てより詳細化 した構成 と再定義が必要 となる。

185

(2)

186 第45巻 2号

本論分では,半順序の系列分割について理論的考察を行い,その性質を明 ら かにする。まずKernighanの頂点番号の連続性の保持 より一般化 した系列性 の保存の定義を示す。またブレーク ・ポイン トの切断に対 して,半順序集合の グラフの切断を明確化 し,部分集合を分離する概念か ら分割の定義を導 く の とき,部分集合問にサイクルが存在 しないとき,推移律が存在す る。以上の 系列性の保持,分離可能性,非サイクル性より半順序の系列分割が定義 される。

また,その性質より,系列分割か ら切断の鎖が導かれることができ,逆に切断 の鎖か ら系列分割が一意に導かれることを示 し,切断を考慮す ることによって 系列分割の概念を導出する。

次に,カッ ト辺の総和を最小にする系列分割を最適系列分割 と呼び,切断を 切断決定子で表す ことによって,最適系列分割問題を効果的に定義できること を示す。

さらに,最適系列分割問題の効果的な解法を考察する。まず,任意の切断決 定子か らレベルの一つ高い切断決定子を生成する基本操作 とその生成過程の関 係式を明 らかにす る。 この基本操作の展開によってすべての切断決定子を含む 木が導出される。次に,探索空間の縮小を試みるために,先の木を既約化する 算法について述べる この算法過程において,切断決定子の生成が,また同 レ ベルの切断決定子の判定が効率的に行えることを示す。さらに, この既約化 グ ラフを もとにした探索空間上で最適性の原理を用いて効果的に解を導 き出す こ とを示す。具体例 として,標準的な動的計画法による算法構成を提示する。ま た,増分 コス トの計算が漸化式により効率的に計算でき,さらに分枝限定法の 手法および細分化禁止別を導入することによって計算の負担を軽減する ことが できる可能性について付記する。

2.半順序 の系列分割 と切 断の鏡

無閉路有向グラフD (V,E)が与え られたとき,Dの有向辺が定めるV 上の関係の反射的かつ推移的な閉包を与える関係を≦とし,それか ら導かれる

(3)

半順序の最適系列分割 問題 の構造 と算法構成 187

半順序集合を (Ⅴ,≦) とす る。 これをグラフDか ら導かれた半順序集合 と呼 ぶ ことにす る。 この とき,Dについて次の性質が成 り立っ。(V,≦)の2 U,Wに対 して U≦Wが成立す るな らば, Uか ら出発Lwに至 るD上の有向 路が存在す る。またDが入 口 (source)と出口 (sink)を持っ とき, これ ら

に対応 して,(V,≦)は最小元 と最大元を持つ

ここで,空でない部分集合 U⊂Vか ら誘導 されたDの部分 グラフをHとす る。Hの任意の2点を結ぶDの有向路がすべてHの有向路 となるとき,H 半順序の系列を保持するDの部分 グラフであるとい う これは (V, ≦)の 部分半順序集合 (U, ≦)が H か ら派生 された半順序集合 (U, ≦) と一致 す ることを意味 している。

また,Vの部分集合AがAcxAか ら選んだ2元対 (x,y)に関 して,"x yが比較可能な らば常 にx<yが成立する" という性質を持っ とき,(Ac, A)をAによって定まるVの切断 という そ してAcを この切断の下租,Aを上 組 とい

2つの切断(Ac,A),(Bc,B)に対 して関係Ac⊆Bcが成立す るとき,(Bc, B) (Ac,A)より優位にあるといい,(Ac,A)< (Bc,B)で表す。

また真 に優位であることを記号 (Ac,A)< (Bc,B)で表す。Vの切断 集合の上で この関係 は半順序関係 となる。 2つの切断 (Ac,A),(Bc,B) を合成 して新 しい切断を生成す ることができることを以下に示す。

補題 1. (Ac,A), (Bc,B)が切断な らば (AcnBc,A uB)もまた切断 である。

証明 : AcnBc‑(A UB)Cであるか ら,(AcnBc,A uB) ((A UB)C,A uB)である。x∈AcnBcとy∈A UBは比較可能な 2元であるとすれば,x

∈Acかつ Ⅹ∈Bcであり,y∈Aまたはy∈Bである。y∈Aの とき,x∈Ac り,Ⅹ<y,またy∈Bのとき,x∈Bcより,x<yとなる。いずれに して もx

<yが導かれる

(4)

Jgg 45 2

さらに,V の互 いに素な部分集合XとYがそれぞれ V のある切断の下組 と 上組に含 まれ るな らば,X とY は切断によ り分離 され るといい,X IYで表す。

X とY につ いてX iY またはY IX が成 り立つ とき,XとY は分離可能であ る と い う X IYはXが Yよ り入 口 に近 い こ とを表 して い るO こ こで Kernighanの系列分割の2つの特徴を拡張 して,半順序の系列分割を次のよ

うに定義す る。

D (V,E)の頂点集合 Ⅴの分割 Vl,V2,・・・,Vkが次の性質を満 たす と き, これをVの系列分割 という 。

(1) 各Viは半順序の系列を保持す るVの部分集合である。

(2)任意 に選ばれた2つの部分集合VlVJは分離可能である。

(3) 任意 に選 ばれた部分集合の3つの組Vt,V,,Vkの間にはVilV,,

Vj 弓Vk,Vk LVlというサイクルを形成す る関係 は存在 しない.

このとき,(1)Kernighanの連続番号 の保持 と相応 し,(2)(3)は分割を形成 している各部分集合の前後関係が決定できることを保障す る 1は半順序関 係を表す無閉路有向グラフの系列分割の一例である。

以後,半順序の系列分割が切断の鎖 によって一意 に表現で きることを論証す る。まず,切断によって分離可能な集合 に対 して成 り立っ性質を以下に述べ る

一 ■ 一一 一■ 一 一 一一 一一一一一‑一一‑ ‑I 図 1 無閉路有向グラフの系列分割

(5)

半順序 の最適系列分割 問題 の構造 と算法構成 189

補題 2. XとYがある切断により分離可能であるとき,条件 ∃ (x,y)∈X xY ;x<yが成立す るな らば,X IYである。

証明 : X iYでな くY JXが成立 した とす ると,Yはある切断の下組 に,X は上組に属す るのだか ら,比較可能なすべてのx∈X,y∈ Yに対 してγ<x 成立 しなければな らない。 これは定理の条件 に矛盾す る。

X を半順序集合 (V, ≦)の部分集合 とす る。X か ら導かれ るV の部分集 P (X)を次のよ うに定義す る.

p (x)dgfxせズ(yly∈V,y≧xI (1)

P (X)は部分集合Xの後続者集合であ り,P (X)につ いて次の補題が成立 す る。

補■3. X Vの半順序 の系列を保持す る部分集合 とすれば,(Pc(X), P (X))はVの切断である。

証明 : x Pc(X)y ∈ P(X)が比較可能 とす る。 まずP(X)の定義 よ ,y ∈ P(X)か ら∃ Z∈X ; Z≦y が成立す る。,x<yが成立せず, x≧ yとなった とす ると,上式 より Z≦xが導かれ,x∈ P(X)が結論 され

る。 これはx∈ Pc(X)に矛盾す る。

また,P(X)は和集合 に関 して次の補題を持つ

#3 4. P(X UY)‑P(X)UP(Y)

証 明 : ∀ Z∈ P(X UY)とす ると, ∃x∈X UY ; Z≧xとな る よっ x∈ X な らば,Z∈ P(X)であ り,x∈ Yな らば,Z∈ P(Y)である。そ れゆえ,x P(X)uP(Y)となる。

逆 に,x∈ P(X)uP(Y)な らば,x∈ P(X)で, これより∃Z∈X ;x≧ Z

またはx∈ P(Y)で, これよ りZ∈Y ;xZが成立す る この 2つの命題 を一つにまとめ ると,P(X)uP(Y)の属す る任意のxに対 して, ∃Z∈X

uY ;xZすなわちx∈ P(X UY)となる。

(6)

190 第45 2

補題 5. XIYな らば,X ⊆ Pc(Y),Y ⊆ P(Y)が成立する。

証明 : Y ⊆ P(Y)は自明であるO次に,X CIPc(Y)の成立 を背理法によっ て示す.X ⊆ Pc(Y)を否定すると,

jxE X ; xEP(Y)

を満たす元xが存在する。そうす ると,P(Y)の定義より

∃y ∈ Y ; y≦x

(2)

(3) をみたす元yが存在する。*) xrYよりx<yが成立 しなければな らない。

(2),(3)式は互いに矛盾する関係式 となる。

注 *) X とYが比較可能な元を持たぬ とき,(3)式の成立それ 自身がすでに

矛盾である。

定理 1. X,Y,Zは互いに分離可能である またX IY,YIz,ZIX いうサイクルを作 らない とす る。 この とき,X IY,YIZか らX IZが導か れる

証明 : X IYよりX ∈Pc(Y),Y ∈ P(Y)が成立 し,YiZよ りY ∈ Pc(Z), Z∈ P(Z)が成立す る。また ,切断 (P c(YUZ),P(YUZ)) (Pc(Y)n

Pc(Z),P(Y)uP(Z))をっ くる。 これより,明 らかにZ⊆ P(Y)uP(Z) ある。 ここで,X ⊆ Pc(Y)も成 り立っので,今,X ⊆ Pc(Z)は成立 しない と仮定す ると, ∃x∈ X ; x∈ P(Z)である。X Zは互 いに素であるか ら,x∈ P(Z)‑Zでなければな らない。 これより ∃Z∈ Z ; x>Zが成 立する。X Zは分離可能であるか ら,X EZまたはZ IXの何れか一方が成 立す る。条件x>Zに適合す る分離 はZ l̲Xである これはX IY,Y IZ, Z IX というサイクルは作 られないという仮定に反 し,X ⊆ Pc(Z)の成立を 示 している。

よってX ⊆ Pc(Y)nPc(Z),Z⊆ P(Y)uP(Z)が成立 し,定理の主張が

正 しく成立す る事が示 される

定理2. 系列分割 Vl, V2, ・, Vhか ら選 ばれた任意の 3つ組 Vf,

(7)

半順序の最適系列分割問題の構造 と算法構成 191

V,, V'kについて,VilV,・かつ V,FVkが成立すれば,V.rVkが成 り立 i<

証明 : これは定理 1より成 り立

補題6. Vt・を系列分割 Vl,V2,・・・,Vkのある成分 とす るとき,P(V.I) に属するx Viに属 していないとすれば,xを含む分割成分 V,はV,・IV, をみたす。

証明 : x∈ P(V7)であるか ら, y ∈ Vt;y xである.x毎 Vt・よりy

≠ xであ り,y ∈ Vt,x∈ V,,y<xである。よって補題 2よ りVzlV,

が導かれる。

与え られた系列分割 Vl, V2, ‑ ・,Vkの各要素Vi Q(Vz) 竺 p(vz) ∪ (u p(v s))

VHVs

によって定義 された集合 Q(V‑)を対応させ る。

(4)

このとき,以下の補題が成 り立

補題7. (Qc(Vi),Q(Vi))は切断である。

証明 : 各Vj(j‑ 1,2, ・・・,h)に対 して補題 3か ら (Pc(V,), P (Vj))は Vの切断となる。補題 1とQ(Vj)の定義を用いれば,

((P(Vz)∪ ( U P(Vk)))C, (P(Vi)∪ (U P(Vk)))) は切 断 とな る

Vr,lVh V,iVk

[

この切断をp(Vl)で表す.また この切断は明 らかに上組 にP(Vi),Viを含 む。

補題8. 系列分割 Vl, V2, ・‑ ,Vkか ら取 り出されたVi, Vjに対 し て,V7EV,・が成立するための必要かつ十分条件 はQ(V7)⊃ Q(V,)である。

証明 : 必要性を示す。VzEV,と定理2よ り,VjlVkに対 して VtlVk

が成立することか ら,

(8)

192 45 2 Q(V,A)=P(VJ)∪(U P(Vk)) ⊆ U P(Vk)⊂ Q(Vi)

VjIVk V.EVk

逆 にQ(V‑)⊃ Q(V,)のとき,V.・とVjが切断 (Qc(V,),Q(V,))により分 離可能であることを示す.V, Q(V,)は明かである。次にVz・⊆ Qc(V,) を背理法 によって示す。これを否定す ると,∃x∈ Vi ;X∈ Q(V,)となる。

(4)式よ り,x∈P(V,)か,またはViIVkを満たすあるVkについて,x∈

P(Vk)である。前者に対 しては ∃y∈V,;y<xよりVjLvi,後者 に対 し ては ∃y∈Vh;y< xよりVklviが導かれ,VilvhとあわせてV,7vi

となる。いずれに して も(4)式より,Q(VJ)⊃ Q(Vi)が導かれ,定理の前提に

矛盾す る

系列分割Vl,V2,‑ ・,Vkの各要素集合V昌こ切断p (Vt)(Qc(Vt), Q(Vi))を対応づ けると,切断の集合M‑ tp(Vl),P(V2),・・・,FL(Vh)) が得 られ る。 この集合に関 して次の定理が成 り立

定理3. 系列分割 Vl, V2, ・・・,Vkに対応す る切断の集合 M(p(Vl), P(V2), ・・.,P(Vk))

は切断の優位関係 <‑に関 して全順序集合を形成する。

証明 :

(1) 反射律をみたす。すなわち任意の VEに対 して,p(Vi)<P(Vi) となる。 これはQc(Vi)⊆ Qc(V.)より自明である.

(2) 反対称律をみたす。すなわちp(Vl)<‑FL(V,)かつP(V,)<‑FL(Vi) が成立すれば,FL(Vt).p(V,)となる

これは p(V7)<P(V,)よ り,Qc(Vi)⊆ Qc(V,)

また, FL(V,)<FL(Vi)より,Qc(V,)⊆ Qc(Vi) とな り, この両 者 よ り,Qc(Vi)‑Qc(VJ),またはQ(Vi)‑Q(V,)が導かれ,切断p(Vi)

〟(VJ)となる。

(3) 推移律が成立する。すなわちFL(Vi)<‑P(Vj),FL(V,)<‑FL(Vh)

(9)

半順序の最適系列分割問題 の構造 と算法構成 193

が成立すれば,p(Vi)<P(Vk)が成立す る。 FL(Vi)<FL(V,) よ り,Q(Vi)⊃ Q(V,I)であ り, VtIVjが成立す る。 FL(V,)<p(Vh) より,Q(V,)⊃ Q(Vk)であ り,VjlVhが成立す る。よって, VilVh が成立 し,Q(Vi)⊃ Q(Vh) とな る。す なわち FL(Vt)<p(Vh)がみ たされ る。

Mが全順序集合 となることを示すために,Mの任意の2元の比較可能性 を示せばよい。

(4)任意のp(Vi) とp(V,) は比較可能である。

VfとV,は分離可能である。一般性 を失 うことな くVlIV,とすれば, 補題 8よ り,Q(Vt.)Q(Vi)であ る よ ってFL(Vi)<p(V,)が成

立す る。

これよ り,Mを優位性 に関 して,その各要素を大 きさの順 に並べ変え ると, FL(Vl)<p(V2)<≠ ・ ・ ・<≠(Vk)

とただ一通 りに並べ ることがで きる。次 に〃 についての性質を以下 に表す。

補題9. Mの要素p(Vi)‑(Qc(Vi),Q(Vi))の直後 の要素 を p(V,)‑

(Qc(V,),Q (V,)) とす ると,Q(Vz)‑P(Vt)u Q(V,)が成立す る

証明 ・. p(Vt)p(V,)であ り, これ ら2つ の要素 の間に位置す る要素 は 存在 しない。それゆえ,FL(V,)以外 の p(Vl)の後続要素p(Vk) について

は,条件y(Vi)p(Vk) ば条件 p(Vj)p(Vk) と同等である。

p(Vz)p(Vk)Q(Vi)⊃Q(Vk)‑ VziVkとな るので次 の和 の計算が 成 り立

Q(Vt)=P(Vz)∪(耽 P(Vh))

=p(vz)∪(p(V,)uv,VvhP(Vh))

‑P(Vi)u Q(Vj) [

補題10. M の要素fL(Vl)の直後 の要素をFL(V]) とす るとき, VilVk

(10)

194 45 2

成立す るな らば,VI・とVkは切断 (Qc(V,),Q(Vj))によって分離される。

証明 : p(Vj)p(Vz)の直後の要素であることか らp(Vi)の後続要素 p(Vm) に対 して p(Vz)FL(V,)<FL(Vm),ただ しVt≠Vmが成立す るO

優位関係の定義 よ り,Q(Vl)⊃ Q(V,)⊃ Q(Vm) とな り, さらに補題 8より VtlV,および VI.lVm が導かれる。 これに補題5を適用すると,

Vi⊆ Pc(V,I),Vj⊆P(V,) および Vi⊆Pc(Vm),Vm⊆P(Vm)

が得 られる。一方,

Q(Vj)=P(V,)∪(V P(Vm))= vIVvmP(Vm)

(5)

上式 と(5)式より,Vt・はQ(V,)に含まれず,VtFVhをみたす VkQ(VJ)

に含まれることが結論 される。

定理 4. M の要素p(Vi)の直後の要素をFE(V,)とす ると, Vi‑Q(Vi)‑Q(Vj)

と書 き表す ことがで きる。

(Viが出口を含む分割成分の とき,V,‑¢,p(V,I)‑(V,¢)とす る.) 証明 : 補題9を使 うと,

Q(Vz)‑Q(V,)‑Q(V,)nQc(Vj)

‑(P(Vl)uQ(Vj))nQc(V,)

‑P(Vz)nQc(V,)

補題10よ りVi V) (Qc(V,),Q(Vj))によ り分離 され るか らVt⊆

Qc(Vj),またVl⊆P(Vt.)であるか ら,V,.⊆P(Vi)nQc(Vj)である。

次にP(V.)nQc(Vj)に属す るあるxViに属 さないとすると,補題 6 xを含む分割成分 VmViIVmをみたす。補題10の証明の中で用いた等式 Q(V,)vHvmP(V‑) よ り,x ⊆ Vm P(V‑) Q(V,)とな り,x ∈ Qc(Vj)であることに矛盾す る。よってP(Vt)nQc(Vj)⊆Vi

(11)

半順序の最適系列分割 問題 の構造 と算法構成 195

系列分割の成分 Viに対応する切断をFL7‑FL(Vt)で表すO定理3によれ ば切断の集合 (pilは,''<‑"に関 して全順序集合であり,その要素を優位 性の順に並べて切断の単調増加列にすることができる。さらにダ ミー要素 とし ての切断 (Ⅴ, ¢)を列の右端に加えて, この単調増加列を拡大する。列の要 素の並びの僧に したがって系列分割の成分番号を付け直 し,pk.1‑ (V, ¢)

とお くと

pl<≠ p2<≠ ・・・くp h< FL k十1 (6) となる。 この新 しい番号付けによる系列分割の表現を正規表現,対応する切断 の単調増加列(6)を正規化された切断の鎖 という これに対 して,単調増加列に 並べ替え可能な切断の集合か ら作 られた切断の単調増加列を切断の鎖 という

正規化表現の もとで補題 9と定理 4の結果 は,Qi‑Q(V,),Pi‑P(Vi)

とす ると,次のように書 くことができる。

FLi‑(QiC,QI) (i‑ 1,2, ・・・,h) (7) Qt‑PiUQi.1 (i‑1,2, ・・・,h) (8)

Vz‑Qz‑Qi.1 (i1, 2, ・・・,h) (9) これまでは系列分割か ら切断の鎖を導 いたが,逆に鎖を形成す る切断の集合

(FLl)か ら系列分割を一意に導 くことができる.まず,要素番号を入れ替え て正規化 した鎖にす る。各ptの上組をAtとし,

V‑‑A,.‑At.1 (i1, 2, ・・・,k) (10) を作 ると, tVt)は V の系列分割 となる。 これは,容易に示す ことができる ように, iVf)が系列分割の定義(1), (2),(3)を満たす ことか ら明かである。

以上を以下の定理によってまとめる。

定理5.任意の半順序の系列分割は切断の鎖によって生成できる。

3.最適系列分割問題

最適系列分割問題で考えるネ ッ トワークは,入 り口と出口を持つ n個の頂 点か らなる無閉路有向グラフD(V,E )として与え られてお り,すべての頂

(12)

196 45 2

U∈Vには重みW(U)が,各有向辺 (U,W)∈ Eにはコス トC(U,W)が付 与 されている。 これ らの値 はすべてのU,W ∈Vについて,条件 o<W(U)

B,0≦C(U,W)を満たす整数であり,またBはブロックサイズ と呼ばれ る 問題に固有な正の整数である

Kernighanのブレーク ・ポイン トの考え方 はDedekindの切断の概念 と密 接 に関連 している。 ブ レー ク ・ポイ ン トは切断の上組の最小元 として定義 さ れ, これを与えることによって切断が一意に定まる 半順序集合の場合にもこ の考えを拡張 して切断決定子の概念を導入す る。半順序集合 (V, ≦)の切断 FL‑ (A c,A)の上組 A の極小元の集合を γとし, これを切断 pの切断決定 子 γと呼ぶ。 このγか ら (Pc(γ),P(γ))によって切 断 (Ac,A)を復元 できる

切断決定子の列

γ 1,72, ●●●,γ h (

に対 し,各7,‑に対応す る切断FLlと,FLh.1‑(V, ¢)か らなる列

pl,P2, ・・・,Pk,FLh.1

( 1 2 )

(6)式を満た し,正規化された切断の鎖を形成す るとき,列(ll)を切断決定子の 許容列 という。すなわち,切断決定子の許容列を与えるとそれに対応 して正規 化 された切断の鎖が得 られ, これか ら(10)式により決定 され る分割成分を持っ系 列分割が定まる。 これを切断決定子の許容列が定める系列分割 とい う,その各 成分 VⅠより誘導 されるDの部分 グラフをブロックと呼び,,I,γi.1) 表す。また,Viに属す るすべての頂点Uの重みW(U)の総和をブロック長 と いい l[γi, γi・1) ∑ ,E:,E,㌔+I)W(U,)と書 く 一万,どのブロックに も属 さないDの辺の集合をカッ ト・セ ットという

ブロック長がブロックサイズBを越えないという制約の もとで,カ ッ ト・

セ ッ トに属す る辺のコス トの総和を最小にす る系列分割を求める問題を最適系 列分割問題 という。

切断決定子の許容列か ら定まる系列分割について次の補題が成 り立 0

補題11. カ ッ ト・セ ッ トに属す るカ ッ ト辺 (U,W)について,始点Uが成

(13)

半順序の最適系列分割問題 の構造 と算法構成 197

Vt・に終点 W が成分V,に属す るな らば,i<jが成立す る。 また,入 り口は Vlに出口はVkに含 まれ る。

証明 : 半順序 に関 して,U<Wであるか ら,楠題 2よ りVi王Vjとなる。補 8を用 いれば,p(V壬)<FL(V,) とな り, pの単調性 よ りi<jが成立す

る。

この補題 11か ら, カ ッ ト辺の総和 は A

I (71,† 2, ‑ ・,γk)=.1!lC ([γt, γt・1))

と書 き表す ことがで きる。 ここで,C ([γ ., γt.1))は切 断決定子 γ 7の後 ろにγ ‥ 1を置いた ときの増分 コス トと呼ばれ る量で,始点がVlの中にあ り, 終点がj>iであ るVjの中にあ るすべてのカ ッ ト辺の コス トの総和 を表 して

いる

C ([7,i,γH l))‑ C(U,W)

U[11,γ..I),

WP(γ) qSE

以上 よ り,最適 系列分割問題 は,すべての切 断決定子 の許容列 <71, γ 2,

・・・,γh>の集合E2の上で, 制約条件

L[γi, γi.1) E B の もとで, 目的関数

A

I (71, γ 2, ・・・,γk)=Z写1C ([γ γ7・l))

を最小化す る問題 として定式化 され る。

4.アルゴリズム

列挙法 による解法では膨大な数 の可能解の中か ら最適解を導 くこととなる。

ここでは切断の鎖 を可能解の列挙のプロセスと考 え,状態問の遷移か ら解を効 果的に導 きだす。 まず,すべての切断を生成す る算法を考察 し,またそれがす べての切断を含んでいることを示す。 さ らに生成過程で同一な切断を既約す る

ことによ って, グラフの切 断数 に依存す る計算が可能 なデータ構造 を構成す

(14)

198 45 2

る。 これを利用す ることによって,最適解を見失 うことな く,探索領域を効果 的に限定 し解を導 きだす ことを示す。

4. 1 すべての切断決定子の生成

切断FL‑(Ac,A)に対応す る切断決定子を γとす るO この とき,下組Ac

の要素数を 〝または γの レベル と呼ぶ。優位関係 "<‑''について 〟より優位 にあり,かつ レベルの差が 1であるような切断をーとす ると,一は〝の上組 の極小元の一つをその下組に移す ことによって得 られたものであり,またそれ に限る。すなわち, γか ら適当に選んだUを ピボッ トとし, これを用いて,

(I)AJ‑A‑ (U), (A')‑AcuIuI を作 ると,

(Ⅱ) 〟((Aつ,Aつ

となる。

このとき, 〟に対応す る切断決定子 γか ら直接に対応す る切断決定子γ 導 く操作をγの基本操作 という ここで Vの元 x,yについてx< yでx<

2< yをみたす V の元 Zが存在 しないとき,yxの直後の元 と呼び,x≪

yで表す。U(∈ γ)の直後の元で,P(γ‑tu))に含 まれていない要素の集合 W とする。すなわち,

W ‑(w lu≪ w and w 毎 P(γ‑tu)))

となる。さらにWの極小元の集合をノとす ると,

(Ⅲ) γJ‑(7‑(ui)UWJ

によって,γよ り に対応す る切断決定子が生成 され,それは基本操作 とな る。また, 両 こ対 して生成される切断決定子数,すなわち, pの極小元の数 は 非決定的な値 となる。以下にこの事実の正当性を示す。

定理6. 基本操作により決定 された ((AJ)C,A')は切断であ り,かつγ

は対応す る切断決定子である。

証明 : 了 の元はすべてAの極小元であることはγの構成か ら明かである

(15)

半順序の最適系列分割問題の構造 と算法構成 199 ので,P(γJ)‑Aが成立す ることを示す ことによって,定理が証明で きる。

P(γ')‑A'の成立 はP(γ')‑P(γ)‑ iulを示す ことによって導かれる。

また集合関数P(X)に関 して次の性質を利用す る。

P(XUY) ‑P(X)UP(Y)

x≦ yな らP(fx‡)uP(ty ))‑P((x)) x∈ X な らP(ix))uP(X)‑P(X)

Xの極小元の集合‑Xな らP(X)‑P(X') 以上の性質 より,

P(γ)‑(U)

‑(P(γ‑iul)uP((U)))‑fu)

‑P(7‑fu))U(P(iu))‑(U))

‑P(γ‑(U))uP(W)

‑P(γ‑iu))uP(W ')

‑P((γ‑ tu))uW /)

‑P(γ‑) [

すべての切断を決定す るのに切断を節点 とする木を生成する。切断 〟に対応 する切断決定子を γとしたとき, (i), (Ⅱ)を適用す ることによって, 1 ベル高い切断pl, P2, ・・・,Pkが作 りだされ,それ らの対応す る切断決 定子 は (Ⅱ)より導かれ る。 この とき, pを親節点,pl,FL2, ・・・,Pk を展開 して得 られる子節点 と考える。さらに切断 (申,Ⅴ)を根 として, この 操作を繰 り返す ことによって,高 さ n+1の多分岐平衡木が得 られ る。図3

は図2のグラフの木 となる。また葉 はレベル値がnの切断 (V, ¢)に対応す る。 この木 によってすべての切断が得 られ る。なぜな らば,いかなる切断に対 して も,必ずその親 となる切断が存在 し,かっ有限回繰 り返す ことによって レ ベル値0の切断 (¢,Ⅴ )に到達することか ら明かである。

また木の各節点にその直接の親節点が展開す るのに用いた ピボッ トを割 り当て ることによって,根か ら葉 までの一つの経路 は V の一列化 に対応 し,葉の赦

(16)

200

は一列化の数 となる。

45 2

2 無閉路有向グラフ

(5)4

(6)5

□ 6

5u4′‑ノI︹ nnu61nHJHHHu 46 54nHU 46日HHu6・‑・□nu nHHuHHHu41,6

{

3 すべての切断決定子を生成する多分木平衡木

(17)

半順序の最適系列分割問題 の構造 と算法構成 201

4.2 既約化 された グラフの生成

この基本操作を用いて木を生成す ることによって,すべての切断を生成で き ることを上記 によって示 した。 この とき,切断の下組 の一列化 の組み合わせの 可能性を考慮す ることによ って,ある切断が複数生成 され ることが示 され る。

複数 の同一 な切 断を伴 う木 において,切 断〝fを根 とす る部分 グラフ と切 断 FL)を根 とす る部 分 グ ラ フが等 しいな ら

ば, これ ら2つ の節 点 を根 とす る部分 グ ラ フは同形 で あ る。 したが ってFLt‑ FLj

と置 くことによ って既約化 す る ことが可 能 で あ る。 また同一 な複数 な切 断 はその 切 断の下組 の数 が等 しい ことよ り同 レベ ル な切 断の集 合 中に しか存在 しない。 こ の性質 を用 いて, (少,n)の根 か ら横型 に探索 す る ことによ って効 果 的 な既約化 が行 われ る。 この既約化 によ るすべ て の 切 断 の 生 成 算 法 を以 下 に示 す。 これ に よ って切 断の優位 関係 にお いて半順序 な 関 係 を もつ 既 約 化 グ ラ フが 生 成 され る ( 4参 照)。 またオ ープ ン ・リス トか ら 取 り出 され る順 に並 べ た切 断の列 は既約 化 グラフが一列化 された もの となる。

(1)

. 2 ,

i

3

′‑

Jヽ・し ( 4 1人Y いRU 3 琶i ) ノ上Y I nHu5 R U 上Y侵 ← 射RU Ru52 nHu

ヽ 6 (

J

4 すべての切断決定子を含む 既約化 グラフ

(1) OpenList:‑¢;OpenList:γ S ;

(2) While (OpenList≠ ¢) begin

(3) "OpenListの先頭要素 γtを取 り出す ";

(4) for (aErt ) begin

(5) "aを ピボ ッ トとして γ,か らγ gを生成す る";

(6) "γ gか らγtへのポイ ンタを確保す る";

図 3 すべての切断決定子を生成する多分木平衡木
図 4 すべての切断決定子を含む 既約化 グラフ

参照

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