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学 位 論 文 の 要 旨

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Academic year: 2021

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学 位 論 文 の 要 旨

所 属 三重大学大学院医学系研究科

生命医科学専攻 病態修復医学講座 氏 名 荒 瀬 栄 樹

主論文の題名

Endocrine Disrupter Bisphenol A Increases In Situ Estrogen Production in the Mouse Urogenital Sinus

主論文の要旨

ビスフェノールA(BPA)は、プラスチックや食品の缶、歯科材料等に含まれてい る、内分泌かく乱物質の一つであり、エストロゲン様化学物質として知られている。

BPAは、母体や胎盤、胎児の血液から検出され、ヒトの安全基準と言われている50

g/Kg/day以下のBPA胎生期曝露によって、マウスにおける乳腺の発達、性行動、雌 生殖器の異常が報告されるようになった。前立腺については、胎生期における低用 量BPAの曝露が、低用量合成エストロゲンDES(ジエチルスチルベステロール)の曝 露と同様に、成獣時マウス前立腺の基底上皮細胞数の増加と扁平上皮化を誘導する ことが報告されている。さらに、ラット前立腺において前癌病変を誘導する事も報 告されている。

一方、内分泌かく乱物質の一部には、生殖臓器において性ステロイドホルモン環 境を変化させる作用が報告されているが、BPAによる泌尿生殖臓器内におけるエスト ロゲン環境への影響は明らかにされていない。そこで本研究では、胎生期にBPA曝露 したマウスより、前立腺や膣の発生母地である泌尿生殖洞 (urogenital sinus : UGS) を採取し、エストロゲン(エストラジオール)濃度、エストロゲン産生に直 接関わるアロマターゼ活性、性ステロイドホルモン合成に関連する遺伝子発現など の変化を調べた。

方法は、妊娠13~16日目の間、雌C57BL/6マウスに対して低用量BPA(20g/Kg/

day)もしくは低用量DES (0.2 g/Kg/day) を強制胃内投与し、出生前後 (E17~P1) のUGS、小脳、腎臓、心臓、精巣、卵巣を回収し、遺伝子検索およびReal-time PCR によるmRNAを測定した。UGS組織中のエストラジオール濃度測定は液体クロマト グラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS法)にて、アロマターゼ活性はト リチウム水遊離アッセイ法にて測定した。

(注)2,000字以内にまとめて記入すること。

(2)

結果は、雌雄の違いに関係なく、BPA曝露群ではUGS組織内におけるエストラジオ ール濃度やアロマターゼ活性、性ステロイドホルモン合成関連遺伝子群mRNA (アロ マターゼ遺伝子

Cyp19a1

、性ステロイドホルモン合成遺伝子の上流に位置する

Cyp11a1

、性ステロイドホルモン合成に必須な遺伝子転写調節因子

Nr5a1

)発現

が上昇し、UGS間質の初代培養におけるアロマターゼ発現細胞数も有意に増加した。

これらの遺伝子およびmRNAの変化は、DES投与群には認められず、BPA曝露群において のみ検出された。さらに、BPA曝露により性ステロイドホルモン合成関連遺伝子群 mRNAが発現上昇する臓器(UGS間質、小脳、腎臓、心臓、卵巣)において、BPAと強く 結合することが報告されている

Esrrg

(エストロゲン関連受容体ガンマ型)mRNAが発 現上昇することを見出した。

上記の結果から、胎生期における BPA 曝露は低用量においても、UGS 組織内のエス トロゲン産生を亢進させ、ホルモンバランスの不均衡により、泌尿生殖臓器の分化発 生異常および肥大症や癌といった前立腺異常増殖疾患の素因となる可能性、さらに は、他の臓器においても局所的なエストロゲン産生を亢進させる可能性が考えられ た。

参照

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