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解析 I ・講義ノート

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Academic year: 2021

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(1)

解析

I

・講義ノート

第9回

(2020714()配信分)

(2)

第9回本題

  関数

f(x)

を微分することにより得られる関数を

f(x)

の導関

数と呼び、

f(x)

と表しました。逆に、導関数が

f(x)

であるよう

(

つまり微分すると

f(x)

が得られるような

)

関数を

f(x)

の原

始関数と呼び、通常は大文字を使って

F(x)

で表したり

(

従って

F(x) = f(x) )

f(x)dx

と表して、不定積分とも呼んだりしました。また、この原始関数 を求めることを、積分すると言いました。

 なぜ積分の方が記号が複雑なのかと言うと、元々は別のことに 由来するものが、ちょうど逆の操作になっていたと言うのが理由 のようです。微分が瞬間の速さ

(

や変化率

)

から来たのに対して、

積分は面積から来ています。

(3)

 線分で囲まれた図形

(

多角形

)

は、三角形に切り分けることで、

面積を求めることができますが、曲線で囲まれた図形では、そう は簡単にはいきません。でも、その曲線をいくつかに分けて、関 数のグラフとして表しておけば、後はその関数の原始関数を用い て、面積を求めることができると言うのが、定積分でした。でも 実は、面積の求め方

(

と言うか定積分の定義

)

が先にあって、この

面積を求める範囲を少しずつずらして変化させることにより、得 られる関数を不定積分と呼んだところ、じつはこれが原始関数

だったと言う流れです。従って、由緒正しい積分の導入としては、

不定積分ではなく定積分から入る方がよいようです。

(4)

 積分に関する基本的な公式については、高校でも学んでいるこ とですから、教科書で復習しておいていただくことにして、この 講義ノートでは今回、リーマン積分と呼ばれる定積分の定義につ いて、お話しておこうと思います。と言っても、あまり一般的に すると、関数の連続性や微分のとき同様、極限に関する議論が大 変になりますから、ここでは、主に

(

有限な

)

閉区間上の連続関数

に対象を絞って、直観的な説明も交えながらのお話にしようと思

います。

(5)

f(x)

は閉区間

[a, b]

上で定義された関数で、その値は

0

以上と

しておきます。負の面積を導入しさえすれば、この仮定は特に必 要ではないのですが、記述が複雑になるので、とりあえず仮定し ておきます。

 今、この関数のグラフと

x

(

直線

y = 0 )

、及び縦の2直線

x = a, x = b

で挟まれた図形の面積を求めることを考えます。

0 -

x 6

y

y =f(x)

a b

(6)

 いきなり正確な面積は見当がつかないので、とりあえずは、面 積がはっきりわかる図形で近似することを考えます。

 円の面積を求めるために、限りなく細かく、たくさんの扇形に 切り分け、各扇形を今度は二等辺三角形で近似して…と言うのを、

高校よりずっと前に、習ったことがあるのではないでしょうか?

 でも今回は三角形ではなく、座標軸に平行な辺からなる長方形 で近似します。そのためにまず、閉区間

[a, b]

n

個の閉区間に

切り分けます。

∆ : a = x0 < x1 < x2 < · · · < xn1 < xn = b

この

を閉区間

[a, b]

の分割と呼びます。この分割は

n

等分であ

る必要は全くありません。

(7)

 得られた小区間

Ii = [xi1, xi] (i = 1, 2, . . . , n)

の中で、最大の

ものの幅を、分割の大きさと呼び

||

で表します。

|| := max

1in(xi xi1)

|| ≥ b a

n

が常に成り立ちます。

(

等号成立はもちろん

n

等分の

ときに限ります。

)

f(x)

[a, b]

で連続のときは、各

Ii = [xi1, xi]

でも連続です

から、ワイエルシュトラスの定理より、

Ii

上での最大値と最小値

をとります。その値をそれぞれ

Mi, mi

と表すことにします。

(8)

 今、

x

軸上の線分

Ii

を底辺とし、関数

f(x)

のグラフを、ぎり

ぎり上から抑え込んで覆う長方形たちの面積の和を

S

で表しま

す。

f(x)

が連続のときは、

S = n

i=1

Mi(xi xi1)

で与えられます。この値によって、求めたい面積を近似したいの ですが、一般にその値は、グラフが水平

( f(x)

が定数関数

)

でな

い限り、求めたい面積より大きくなります。

0 -

x 6

y

y =f(x)

a= x0 x1 x2 x3 =b

(9)

S

と目標との差は、分割が粗い

( ||

が大きい

)

と結構大きい

ものになりますが、各

Ii

をさらに分割することによって、分割を 細かい

( ||

が小さい

)

ものに取り換えれば、

S

の値は減少し、

近似の度合いが改善されていくことが期待されます。

0

- x 6

y

y =f(x)

a b

||

x0

x1 x2 x3 x4 x5

||

x6

(10)

 そして分割の大きさ

||

を、限りなく

0

に近付けたときの極

限値

|lim|→0 S

を、関数

f(x)

の閉区間

[a, b]

における上積分と呼び、

b

af(x)dx

と表します。

(11)

 一方、各

Ii

を底辺とし、関数

f(x)

のグラフを、ぎりぎり下か ら支えるような長方形たちの面積の和を

s

で表します。

f(x)

連続のときは、

s = n

i=1

mi(xi xi1)

で与えられます。この値も、求めたい面積の近似に役立てたいの ですが、一般にその値は、グラフが水平でない限り、求めたい面 積より小さくなります。

0

- x 6

y

y =f(x)

a= x0 x1 x2 x3 =b

(12)

s

と目標との差も、分割が粗いとやはり結構大きいものにな りますが、この場合も、各

Ii

をさらに分割することによって、

s

の値は今度は増加し、近似の度合いが改善されていくことが期待 されます。

0

- x 6

y

y =f(x)

a b

||

x0

x1 x2 x3 x4 x5

||

x6

(13)

 そして

||

を、限りなく

0

に近付けたときの極限値

|lim|→0 s

を、関数

f(x)

の閉区間

[a, b]

における下積分と呼び、

b

af(x)dx

と表します。

(14)

 一般の関数においては、

||

を限りなく

0

に近付くように、分

を細かいものに取り替えていっても、

S

s

の差は解消

されるとは限らず、その場合、それらの極限

(

)

である上積分と

下積分は一致しません。しかし、

f(x)

が連続であるときには、

S s = n

i=1

(Mi mi)(xi xi1)

0

に収束し、上積分と下積分が一致することが示されます。

 いくらでも小さい任意の ϵ > 0 に対して、十分小さい δ > 0 をとってくれ

ば、|| < δ である分割 に対しては、全ての i = 1, . . . , n について

Mi mi < ϵ が成り立つことが、閉区間で連続と言う条件から導かれます。

(15)

0 -

x 6

y

y =f(x)

a= x0 x1 x2 x3 =b

0

- x 6

y

y =f(x)

a b

x||0

x1 x2 x3 x4 x5 x||6

(16)

 そしてその値こそが、求めたかった面積そのものであると考え るのは極めて自然です。

 一般に、上積分と下積分が一致するとき、その値を、関数

f(x)

の閉区間

[a, b]

における

(

リーマン

)

積分

(

定積分

)

と呼び、

b

a f(x)dx

と表します。また、このとき、関数

f(x)

は閉区間

[a, b]

(

リー

マン

)

積分可能であると言います。

 関数

x, x2, x3

それぞれについて、閉区間

[0, 1]

n

等分した分

に対し、

S, s, nlim→∞ S, nlim→∞ s

を計算してみましょう。

(17)

 連続でなくても、積分可能な場合は多くありますが、いつでも 積分可能とは限りません。たとえば教科書

98

頁にもある例

f(x) =

1 (x

は有理数

)

0 (x

は無理数

)

では、どんなに小さな区間

Ii

の中にも有理数と無理数の両方が含 まれているので、

Mi = 1, mi = 0

となり、閉区間

[a, b]

上の上積

分は

b a (

教科書では

1 0 = 1 ),

下積分は

0

となって、一致し

ません。

(18)

 閉区間

[a, b]

で連続な

f(x)

に対し、

n = 1

のとき、つまり分割

していないときを考えると、

m1(b a) ab f(x)dx M1(b a)

が成り立っています。

0

- x 6

y

y =f(x)

a b

最大値

最小値

(19)

 今、最小値

m1

と最大値

M1

を実現する

x

を、それぞれ一つず

つ選び、

a1, b1

とすると、

f(a1)(b a) ab f(x)dx f(b1)(b a)

より

f(a1) 1 (b a)

b

a f(x)dx f(b1)

が成り立ちます。従って、中間値の定理より、

a1

b1

の間に、

f(c) = 1 (b a)

b

a f(x)dx

を満たす

x = c

が存在します。

(20)

0

- x 6

y

y =f(x)

a b

最大値

最小値

平均値

 この事実を積分の平均値の定理と呼びます

(

教科書

115

頁参照

)

(21)

 今、閉区間

[a, b]

上の任意の

x

に対し、

F(x) = x

a f(x)dx

により定義される関数を

(

定積分に対して

)

不定積分と呼びます

(

こちらが本来の不定積分の定義です

)

 さらに、開区間

(a, b)

上の任意の

x

x + h (h ̸= 0)

に対し、

0

- x 6

y

y =f(x)

a x b

F(x)

... x +h

F(x + h)

(22)

積分の平均値の定理より、

F(x + h) F(x)

h = 1

h

(∫ x+h

a f(x)dx ax f(x)dx

)

= 1 h

x+h

x f(x)dx

= f(c)

を満たす

c

が、

x

x + h

の間

( h > 0

のとき

x < c < x + h, h < 0

のとき

x + h < c < x )

に存在します。

0 -

x 6

y

y =f(x)

a x b

F(x)

... x +h

F(x + h)

c

f(c)h

(23)

h 0

のとき、

x + h

x

に近付きますから、間にある

c

もまた

x

に近付きます。今、

f(x)

は連続ですから、

hlim0

F(x + h) F(x)

h = limcx f(c) = f(x)

すなわち、

F(x) = f(x)

が成り立ち、不定積分

F(x)

f(x)

の原始関数

(

の一つ

)

であるこ

とがわかります。

 この事実を微積分学の基本定理と呼びます

(

教科書

98

頁参照

)

(24)

第8回練習課題の解答

 対数関数

log x

x = 1

におけるテイラー級数展開

n=1

(1)n1

n (x 1)n

x = 2

を代入すると、

n=1

(1)n1

n = 1 1

2 + 1

3 1

4 + · · ·

となりますが、これは典型的な交項級数

(

符号が交互に入れ替わ

り、絶対値は単調減少で

0

に収束するような数列の級数

)

で、収

束することが知られています。

(25)

 三角関数

sinx, cos x

x = 0

におけるテイラー級数展開はそ れぞれ

k=0

(1)k

(2k + 1)!x2k+1 = x

k=0

(1)k

(2k + 1)!(x2)k

k=0

(1)k

(2k)! x2k =

k=0

(1)k

(2k)! (x2)k

なので、とりあえず別のべき級数

k=0

(1)k

(2k + 1)!yk,

k=0

(1)k (2k)! yk

を考えます。

(26)

 それぞれの収束半径を

r′′, r

とすれば、ダランベールの判定条 件より、

1

r′′ = lim

k→∞

|(1)k+1/(2k + 3)!|

|(1)k/(2k + 1)!| = lim

k→∞

1

(2k + 3)(2k + 2) = 0 1

r = lim

k→∞

|(1)k+1/(2k + 2)!|

|(1)k/(2k)!| = lim

k→∞

1

(2k + 2)(2k + 1) = 0

なので、

r′′ = r =

を得ます。これから

sinx, cosx

のテイラー

級数展開の収束半径も

であることがわかります。

参照

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