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奈良学芸大学附属演習林における天然生林の林分構造に関する研究(1)

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

奈良学芸大学附属演習林における天然生林の林分構 造に関する研究(1)

著者 平田 善文, 栗栖 宏治

雑誌名 奈良学芸大学紀要. 自然科学

巻 10

号 2

ページ 195‑200

発行年 1962‑03‑26

その他のタイトル Studies on the Natural Stand in the

Experimental Forest attached to Nara Gakugei University (1)

URL http://hdl.handle.net/10105/4785

(2)

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Studies on the Natural Stand in the Experimental Forest attached to Nara Gakugei University ( 1 )

Yoshihumi HlRATA

Koji KURISU

(Deprtment of Forestry, Nara Gakugai University) Abstract

. The studies were made on the number and volume of trees in the natural stand in the experimental forest attached to Nara Gakugei University from a standpoint of the habitat, the tree species and the diameter of a tree trunk.

1) This stand is chiefly composed of coniferous and broad-leaved trees mixed in a ratio of 3 : 7 in volume and of 1.5 : 8.5 in number, respectively.

2) The volume and number of trees decrease in proportion to the altitude.

3) Though the trees belonging to a small diameter class (8-20cm) predominate all over the area, without any connection with altitude, the trees belonging to a middle diameter

class (20-32cm) and those belonging to a large one (above 32cm) are few in number.

4) In this stand, coniferous and broad-leaved trees with small diameter are in large number, and especially the latter are very numerous.

5) In regard to the volume of trees grouped into diameter classes, there is little difference, if any, as seen in the case of the number of trees, and the volume is large in the reverse order of the dimensions of diameter.

6) In coniferous trees, the volume is the greatest in those with middle diameter and the smallest in those with large one, but in broad-leaved trees, it is inversely proportionate to the dimensions of diameter.

1 If S

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196 平 田 善 文・栗 栖 宏 治

面積の54%、58%に相当する5700ha、37000haが天然林によって占められ、林道の開設ととも に、これら天然林の開発が急速に表面化されつつある。

本学附属演習林についても従来地利的条件に恵まれず奥地林の性格がきわめて強く、その施業 も暫定的な計画のもとに小面積ながらスギ、ヒノキの人工造林地の拡大、天然生林の一部保護・

育成と製炭事業を行ってきたにすぎなかったが、国道第168号線に沿う大塔村芋井部落より川原 樋用に沿って林道が開設され、漸く奥地林の性格から脱皮されようとしている。

このような天然生林の資源開発及び人工造林地の拡大に先だって、現存天然生林の実態把握、

とくに林分構成の解析を行いその成因を明らかにして、自然の要求する施業方針を樹てなければ ならない。このような意味から本学演習林の天然生林地域において、地域別に本数及び材積の構 成状態を調査し、奥地天然生林の資源開発の基礎資料とするとともに拡大人工造林における施業 仕組のあり方について考究しようとするものである。尚第一報として概要を報告し、次いで生長 量、生長率について報告する予定である。

2 諏査地の概況

調査地は奈良県吉野郡大塔村清水に所在し、十津川の支流川原樋川と赤谷川の分岐点より赤谷 川に沿う北に面した地域であって、面積175.9ha、海抜400mから1200mに及ぶ山岳杯である。地 形は大小の尾根が介在して比較的複雑である。傾斜は概ね北北西に画し、山麓附近は350内外で 比較的急しゅんであるが中腹附近ほ25ロ〜300、Jll頂附近は150〜200で比較的接かである。土壌は 山麓附近ことに赤谷川に沿う一帯を除いては、腐植質に富み地味良好である。

林況は世界第二次大戦前殆ど全林にわたってモミ、ツガを中心とした針葉樹、サクラ、ブナ、

クリを中心とした広葉樹の有用大径木の強度の択伐が行われた二次的天然生林であって、広葉樹 の小径木が多く、複層林型を構成している。

この地方は暖帯林に属しているが、海抜1200mに及び樹種は極めて多い。本学林学研究室、平 田助教授の調査によれば、48科115属199種を数え、これを生活型により分類すれば喬木59種、亜 喬木60種、潅木65種、その他近地表植物12種、蔓性のもの3種となっている。林内の主な樹種及 び植生の概要は、針葉樹ではモミ、ツガが大部分であって全林に点在しており、その他アカマ ツ、五葉マツ、カヤ等がわずかながら混生している。広葉樹は標高により可成り植生が異なるの で、次の三区分に従って主な樹種を述べると(1)山麓附近ではアカメガシワ、イヌシデ、ユヅ

リハ、サクラ等が多い、(2)中腹附近ではクリ、ブナ、サクラ、カエデ、ミズキ等が多く、次い でヒメシャラ、シデ類等であり一部シャクナゲが群生している。(3〕山頂附近ではナラ、ブナ、

シデ類等が主なものであるが、下層にはクマササ、ミヤコササ等が多く群生し、密生している。

3 諷 査 方 法

調査に使用した用具は、Bitterlichの角算定標準地法の原理を応用した、扇田正二氏の林分胸 高断面積測定器で、ゲージ2を使用した。調査は地域別の林木構成を検討するため、標高600m

〜700m附近で40個所、900m〜1000m附近で30個所の測定個所を、何れも無作為に抽出した。林

分胸高断面積測定器によって数えられる林木については、3cm(1寸)括約で針葉掛、広葉樹別

に胸高直径を測定した。樹高測定は胸高直径測定本数の約2割程度行い針葉樹、広葉樹別に樹高

曲線を作成して材積計算の用に供した。なお樹高曲線は第2図の通りである。

(4)
(5)

198 平 田 善 文・栗 栖 宏 治

材積の算出は第1表の通り直径級別ha当り本数基準表を理論計算により作成し、農林省山林局 番の立木幹材横表を用いて算出した。なお針葉樹の大部分はモミ及びツガであるから、材積表使

用に際し針葉樹はモミとツガの平均数債を、広葉樹はブナの表を夫々使用した。

4 調 査 結 果

調査結果の概要を示せば算2表の通りである。

第2表        ha当 り径級別本数及び材積

(注) 針葉樹は主にモミ、ツガである。

広葉樹は主にサクラ、ブナ、クリ、ナラ、アカメガシワ等の喬木性のものである。

地域別のha当り本数は、標高600m〜700m附近では針葉樹132本、広葉樹671本であるのに対し て、標高900m〜1000m附近では針葉樹95本、広葉樹546本で何れも標高の高い地域は少ない傾向 を示している。

地域別のha当り材積は、標高600m〜700m附近では針葉樹20.3m3、広葉樹42.7m3であるのに 対して、標高900m〜1000m附近では針葉樹13.1m鴇、広葉樹26.6m等であって、本数の場合と同様 に何れも標高の高い地域が少ない。

地域別の平均単木材積は、標高600m〜700m附近では針葉樹0.154m8、広葉樹0.064m鴇である のに対して、標高900m〜1000m附近では針葉樹0.137mご1、広葉樹0.049m$であって何れも標高の 高い地域が小さい。

樹種別平均単木材積は、各地域とも針葉樹が広真樹より大きく、標高600m〜700m附近では 2.4倍、標高900m〜1000m附近では2.8倍の大きさを示し、針葉樹は広葉樹に比較して地域によ

る差が、わずかながら少ないようである。即ち針葉樹は広葉樹に比較して、標高の差異に基づく 立地要因の影響に支配されることが比較的少ない。

径級別本数は、針葉樹、広葉樹ともに小径木が著しく多く中大径木は少ない、とくに広葉樹の 小径木が著しく多く全林木本数の略80%で、針葉樹小径木は12%である。この傾向は地域には殆 ど関係なく略同じような状態であるが、標高の高い地域は小中大径木何れも成立本数が少ない。

径級別材積は、針葉樹については地域に関係なく中径木が最も多く、次いで小径木、大径木の 順である。広葉樹については小径木が著しく多く全林材積の略半数を占め、中径木、大径木は比 較的少ない。この傾向は地域により多少異なり、標高の高い地域は小径木の占める割合が多く、

中径木、大撞木は少ない、しかし各径級とも標高の低い地域は高い地域よりも材積が多い。

(6)

針葉樹、広葉樹の混交歩合は、本数、材積ともに地域による差異は殆ど認められず、本数では針 葉樹15〜16%、広葉樹85〜84%である。材積については針葉樹32〜33%、広葉樹67〜66%であ る。ここにおいても針葉樹の平均単木材積は、広葉樹のそれより大きいことを示している。

5 考    察

標高600m〜700m附近におけるha当りの林木本数、材積及び平均単木材積は、標高900m〜1000 m附近のそれらに比較して、何れも少ないがこれは立地要因ことに気温及び土地的条件の差異 にもとづく結果であると一応考えられる。しかしながら二次的天然生林においては従来の林分取 扱いがその林分構成を大きく支配する場合があると考えられるので、更に検討する必要がある、叉 人工造林地の拡大に当っても局部的地域の地位査定を充分に行う必要あることがうかがわれる。

地域別平均単木材積は、針葉樹、広葉樹ともに標高の高い地域が小さい、しかしその小さくな る程度は針葉樹より広葉樹が大きく、針葉樹は広葉樹に比較して立地要因の影響をうけることが 小さいように考えられる。又樹種別平均単木材積は針葉樹が広葉樹より平均2.6倍大きい。何れ

にしても今後の施葉上、針葉樹への樹種転換の優位性を示すものと推定するが、次に報告予定の 生長量及び生長率をも加味して検討する必要がある。

径級別本数は各地域とも小径木が著しく多く、中大径木は少ない、とくに広葉樹小径木の多い ことは、世界第二次大戦前(演習林設定前)有要大径木の強度の択伐が行われ、更新・保続等に ついて全く考慮されなかった採取的伐採の行われたことによるものと考えられ、更に択伐に伴う 荊芽更新による結果であると考えられる。天然生林は一般に小径木本数が多いようであるが、本 調査地においても同様である。この林型は寺崎博士の林型分類にしたがえばⅡ∂に属し、略択伐 林型を構成している。従って資源開発の観点からも択伐形式を採用するとともに、広葉樹の不良 小径木の伐採除去を実施して、比較的多く現存する針葉樹の小径木及び天然更新稚樹の保育する 方針をとり、加えて人工植栽による樹種転換を実施して漸次針葉樹林への移行を計ることが、安 全性に富み容易確実であると考えられる。

径級別材積については、各地域とも針葉樹は中径木が最も多く、大径木を含めて全材積の22〜

23%を占め、資源開発の観点より最も有望視される点であると考えられるが、広葉樹小径木の材 積が全体の約半分を占めかなり困難が予想される。

6 摘    要

奈艮学芸大学附属演習林における天然生林の林分構成について、地域別、樹種別及び径級別に 本数及び材積を調査した。

(1)調査林分は針葉樹と広葉樹の混交林で、その混交割合は材積で3:7、本数では1.5:8.5 である。

(2)標高の高い地域は低い地域に比較して、本数及び材積が少ない。

(3)径級別本数については、殆ど地域に関係なく小径木(8−20cm)が多く、中径木(20〜

32cm)及び大径木(32cm以上)は少ない。

(4)樹種別の径級別本数については、針葉樹、広葉樹ともに小径木が多い。とくに広葉樹小 径木は著しく多い。

(5)径級別材積については、本数の場合と同様に地域による差異は比較的少ないが、各地域

(7)

200 平 田 善 文・栗 栖 宏 治 とも小径木が多く次いで中径木、大径木の順である。

(6)樹種別の径級別材積については、針葉樹は中径木が最も多く、小径木、大接木の順であ り、広葉樹は小径木、中径木、大径木の順である。

参 考 文 献

(1)中村賢太郎(1930):樺太におけるエドマツ、トドマツ天然林に関する研究 田)平田 善文(1953):奈良学芸大学紀要第2巻第2号

(3)藤島信太郎(1954):森林経理精義

は)石狩川源流原生林総合調査団(1955):石狩川源流原生林総合調査報告

(5)中山 博一(1957):林木材積軋定学

(6)青柳亜良汰(1958):九州大学農学部演習林集報 No.11 個 辻本 末清(1961):林 業 技 術 No・235

(8)平田 善文(1961):地域林業の実態と森林組合の現況(十津川地域)

(8)

1.広葉樹の新芽更新

3.モ ミ の大径木

2.上層木の樹冠

4.ブ ナ の大径木

5.ブ ナ の 樹 幹

参照

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