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宗長連歌自注-諸本および成立を中心に-

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(1)

仁王2 刀す

お | | ! 宗 長 は 古 今 伝 授 し た れ ど も あ ま り 念 を も い れ な ん だ な り 。 我 は 連歌しにてこそあれ道をったへてなにすべき事にもあらず。連歌の っ け あ 、 ち だ に よ く ば と い う て あ ま り か ま は な ん だ と な り 。 耳 底 記

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一 、 天 満 宮 本 ・ 京 大 頴 原 本 ﹁ 出 店 長 連 歌 自 注 ﹂ ︵ 以 下 連 歌 内 注 と 略 記 ︶ は 、 宗 祇 没 後 の 連 歌 界 の 指導的な地位にあった宗長が、白句の中から付句︵二句一連︶一九 九旬、発句三

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句をえらんで各句に注を施しながら、連歌の本歌本 説や寄合付等について教示した書で、興津藤兵衛尉正信宛のもの ︹ 注 l v と、壬生下総守綱雄宛との二部からなる。この書については、すで に﹁桂宮本叢書第十八巻連歌付﹂に﹁他に所伝をきかない孤本﹂と して翻刻紹介されているけれども、管見に入ったものとして他に次 の 二 本 が あ る 。 た い ふ し 二 本 と も 興 津 宛 連 歌 自 注 で 、 壬 生 宛 の も の は 含まない。以下、こ t A で扱う宗長連歌自注とは興津藤兵衛尉宛のも の を き す 。

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その付大阪天満宮文庫蔵本 大本会二×二六・三︶一冊。渋茶表紙。題簸に﹁柴屋軒宗長 随筆﹂とあり、その右にや L 細 字 で ﹁ 山 田 の す き み ﹂ と 併 記 。 内題なし。墨付八三枚。近世初期写。付句一九七句︵春二一 旬、夏九旬、秋三一旬、冬二

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句、恋二九旬、雑八八句︶、発 句 二 八 旬 。 その付京都大学頴原文庫本 桝形本︵一五・五×一六・

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︶一冊、薄茶表紙。左肩に題祭の 剥離したあとあり。その上に墨きで﹁貞徳筆﹂とある。内題な し 。 墨 付 六 八 枚 。 付 句 一 九 九 句 、 発 句 一 二

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句 。 連 歌 自 注 三 本 の 字 句 の 異 同 に つ い て は 、 後 に 校 異 表 に 一 不 す と お り であるが、この表から以下の事が明らかであろう。本文における字 句の異向は、かなり多く認められるものの、それはテニヲハや未梢 的な語句程度のもので、全体的にはほ丈一致し、文意に影響を与え るほどのものは少ない。しかし、三本間に直接の親子関係は認めら れない。次に、全体の校異項︵本文のみ︶五二四個所の中、

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桂宮 本と京大本との合致率を百分比で示すと二三%伸天満宮本と桂宮 - 27

(2)

本との合致率は一二%付天満宮本と京大本とは四

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で あ る こ と から、天満宮本と京大本とがもっとも近く、ついで桂宮本と京大 本、第三に校宮本と天満宮本の順となろう。さらに、校宮本にみら れるイ本の注記から考察すると、桂宮本にもっとも独自異文が多い と い え る 。 ところが、三本は以上のような関係にありながらも、全体的な面 からいえば、付京大本・天満宮本は桂宮本に対して

1

、部立を設 け な い 2 、排列︵鴎ケ所︶の二点において異なり、口天満宮本は 京大本・桂宮本に対して

1

、版文

2

、 脱 落 ︵ あ る い は 省 略 か 。 七 ケ 所 ︶ 3 、 評 語 ﹁ ゅ う ﹂ の 一 一 一 点 に つ い て 独 自 の 性 格 を も っ て い る 。 上述の諸点から総合判断すると、桂宮本と天満宮とが両端にあっ て京大本はその混合本と考えておきたい。なお、さきに桂宮本は多 くの独自異文をもっと述べたけれども、これは底本を再検討するこ とによって多少訂正し得る個所があるかと思われる。つぎに、天満 宮 本 の ﹁ 敏 文 ﹂ を 本 書 の 成 立 問 題 と か ら ま せ な が ら 考 察 し て み よ う 。 桂 宮 本 ・ 京 大 本 の ﹁ 政 文 ﹂ ︵ 話 一 M M 林 ブ ン ︶ 愚句寄合付の事数年承候、さらにいづれを、それともいひかたく は侍れと、此度熱海湯治中、いさ L かつ与しるしあつめ、叉こ t A に キ も と ま で 此 此 の 愚 句 中 、 か な ら す 寄 合 と は な け れ と 本 一 時 な と を を か て て キ ひ キ よそ書加候、老かおほえの事のみおほかるへく候、比興々々 × × × x x x x x x x 興 津 藤 兵 衛 尉 殿 宗 長 判 天 満 宮 本 の ﹁ 政 文 ﹂ 此 一 冊 は 駿 河 国 興 津 名 乍 の 桁 き あ り 、 六 七 年 か け て 問 中 旬 の 心 を 柳 見 え し る し て と 懇 切 一 せ し 化 、 と か く し て 去 年 の 夏 六 月 、 伊 勢 山 田 一 品 惚 の 筆 の ず さ ひ に 室 一 て つ か は し 侍 り 、 い か 与 し て 安 元 ま て ち り ほひのほりける事也、はつかし/\、比興々 十 一 月 二 日 於 有 馬 湯 治 書 之 宗 長 二、連歌自注の成立 本書の成立は、桂宮本叢書解題に、発句の部巻頭の﹁七十の春を のみつむわかなかな、七十のいたつらに年をのみつみ侍る事のみな るへし﹂に徴して、宗長七十歳永正十四年正月以後の撰注との目安 をたてられている。ところが、同じ発句の部の﹁有明や空に霜かれ ︵ 注 Z ︶ の 花 す L き﹂の句は、大永三年冬、有馬の児屋寺での詠であるか ら 、 永 正 十 四 年 よ り さ ら に 六 年 降 っ て 大 永 一 二 年 宗 長 七 六 歳 以 降 の 成 な と な る 。 こ 与 で 天 満 宮 本 の 政 文 に か え っ て み よ う 。 右の大永三年の句を基点に考祭をす L め る と 、 ﹁ 去 年 の 夏 六 月 、 伊 勢 山 田 逗 留 ﹂ は 大 、 氷 二 年 七 月 の 伊 勢 下 向 を 指 し て い る の で は な い か。つまりこの年宗長は宇津山の草庵を五月に出発し、小夜の中 山、浜名、勝山、苅屋等を経て七月下旬伊勢に到着。そして八月四 ︵ 注 3 ︶ 日 か ら 五 日 間 に 百 一 っ て 伊 勢 千 句 を ま い て い る 。 八 月 十 六 日 ま で 山 田 滞 在 の の ち 、 越 前 朝 倉 教 且 一 の 許 を 目 ざ し て 出 立 し た も の の 、 途 中 亀 山で戦乱にあい、九月

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日再び山田に引き返し、以後十月までほ立 一 ヶ 月 滞 在 。 宗 長 の 伊 勢 下 向 は 前 後 六 回 を 数 え る こ と が で き る が 、 戦乱に妨げられるという事情はあるにしても、このような長期滞在 ︵ 注 4 ︶ は こ の 回 限 り で あ っ て 、 ﹁ 山 閃 辺 倒 の 準 の す さ び ﹂ の 事 情 は 大 方 袋 小 せ ら れ る と 思 う 。 次 に 、 ﹁ 十 月 二 日 於 有 馬 湯 治 ﹂ に 触 れ て み る 。

(3)

大 永 二 年 十 月 伊 勢 を 発 っ た 宗 長 は 、 山 城 国 薪 の 酬 恩 庵 に て 越 年 。 翌大永三年三月上洛して三条西実隆に謁。四月十一日、紫野大徳寺 山門造営の出費を仰ぐため越前朝倉教景の許へ下向。大任を果して の帰洛は九月中旬。のち江州観音寺、志賀、京四条坊所などで発句 詠 。 冬 に は 有 馬 湯 治 。 こ L で ﹁ 有 明 や 空 に 霜 か れ の 花 す ふ き ﹂ を 詠 む。再び酬思廊にて越年。翌大永四年四月十一日駿河帰国のため離 洛。以上大永二、一二年の宗長の動静を追ってみたが、政文の﹁十 一 月 二 日 ﹂ の ﹁ 有 馬 湯 治 ﹂ は 、 山 門 造 営 費 勧 進 に 奔 走 し 、 そ の 大 任 を 果 し た 後 の 有 − 烏 湯 治 で あ る と ほ X 断 定 で き る の で は あ る ま い か 。 し か し 、 こ の よ う に ﹁ 伊 勢 山 田 逗 留 ・ 十 一 月 二 日 有 馬 湯 治 ﹂ を 一 応の結論に導きえても、なお一つの疑点がのこる。それは﹁去年の 夏六月﹂である。現存資料によれば宗長の伊勢下向は、上述のよう ハ 注 5 V ︹ 注 6 ﹀ に長享二年七月︵四一歳﹀、延徳二年初夏︵四三歳﹀、永正二年 7 V ︵ 注 S V ベ 注 ︾ 六 月 頃 ︵ 五 八 歳 ﹀ 、 、 流 証 斗 l 三年六月末︵六九歳︶、永正十六年八月 頃︵七二歳︶大永二眠包月下旬︵七五歳﹀の、六回を確かめうるこ とができる。その中で夏の訪問は二、三、四回のそれであるけれど も、かりに本書の執筆の上限を七

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歳におき、前年の伊勢下向の永 正十三年六月末を採るとしても、永正十四年中に﹁有馬湯治﹂の記 録を見いだすことができない。とすれば本書の、発句の部の例句を もっとも有力な資料として、﹁去年夏六月﹂は宗長の記憶違いとす る か 、 又 は 、 新 し い 資 料 を 待 つ 以 外 に な い 。 こ与で桂宮本、京大本の﹁政文﹂に戻る。例句に大永三年の発句 を有する以上、こ与に云う﹁此麗熱海湯治﹂も大永三年以降となる 円 注 U ︶ わけだが、宗長の熱海湯治は、生涯を通じても享禄三年十二月一日 ハ 注 ロ ﹀ ︵ 八 三 歳 ︶ 、 死 の 前 年 享 禄 四 年 六 月 頃 の 二 回 に 過 ぎ な い 。 壬 生 下 総 守 宛 ﹁ 連 歌 自 注 ﹂ が 八

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歳以後の成立と考えられ、しかも興津宛自 注と壬生宛自注とにただ一句を除いて例句の重複がないことは、両 書の成立時期が接近していず、数年を隔てた別の時期になったと考 えるのが最晩年の作品としても至当ではなかろうか。そこで稿者と しては天満宮本の政文を採り、桂宮本、京大本の政文を退けて、興 津 宛 宗 長 連 歌 自 注 本 の 成 立 は 、 大 永 三 年 十 一 月 ニ 日 | 大 永 二 年 秋 、 伊勢山田に長期逗留の靭に稿を草し、翌年冬多少の手直しをしなが らとの私見を述べておきたい。 、 評 語 ﹁ 艶 ・ ゅ う ﹂ 本書には﹁おもかげ﹂﹁余情﹂﹁有心﹂﹁幽玄﹂などの評語がみ られる。いずれも中世の歌論、連歌論の枠を出ない評語で、そこに おのずから宗長の連歌理念、文芸意識の志向するところを探ること も可能であるが、これについては稿を改めて論じたい。こ L で は 評 語 の 一 つ で あ る ﹁ 艶 ・ ゅ う ﹂ に つ い て の 疑 念 を 提 起 し て お く 。 桂宮本では﹁艶﹂が七ケ所、﹁ゆふ﹂が一ケ所みえる。ところが 京 大 本 、 天 満 宮 本 で は 次 の よ う な 異 同 を み る 。

一 桂 宮 本 一 ゆ ふ 一 え ん 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 ー 一 京 大 本 一 艶 一 え ん 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 一 艶 一天満宮本一ゅう一ゅう一ゅう一ゅう一ゅう一ゅう一ゅう一艶 ︵ 注 ﹀ 頁 数 は 桂 宮 本

-

(4)

29-桂宮本における他の評語の出度数は、おも影四、幽玄二、絵情 一、有心二、うちひらめ四で、﹁艶﹂の七はきわだって多い。しか し表に示すように、桂宮本の七ケ所の﹁艶﹂は天満宮本では六ケ所 までが﹁ゅう﹂となっている。一方、天満宮本にも﹁艶﹂が一ケ所 だけあり、叉、桂宮本の﹁ゆふ﹂が京大本では﹁艶﹂であることか ら 、 誤 読 あ る い は 誤 写 に よ る 異 同 と は 考 え ら れ な い 。 ﹁ 歌 論 に お け る 優 の 概 念 は な か な か 明 確 に し 、 が た ﹂ く ﹁ 遠 島 御 歌 ︵ 注 目 ︶ 判詞には三ケ所に見える﹂﹁優﹂は、例えば芝草句内岩橋︵本能寺 本︶、宗長百番連歌合、矢嶋小林庵何人百韻などの注文には見い出 す こ と が で き な い 。 と こ ろ が 、 ﹁ 艶 ﹂ は 芝 草 句 内 山 石 橋 に 十 二 ケ 所 、 宗長百番連歌合に四ケ所、壬生宛自注に一ケ所みられ、心敬が﹁さ L めごと﹂に﹁この道に入らむともがらは先づ艶をむねと修行すべ き事といへり﹂と説くように、﹁艶﹂をむねとすることが連歌修 行の基本であった。か tふる点から云えば、自注本の性格としては ﹁艶﹂がふさわしいと思われるけれども、これについての結論はこ L で は 明 確 に し が た い 。 壬 生 宛 連 歌 自 注 は 付 句 一

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二句。興津宛連歌自注と重複す る例句は﹁いはしとおもふこ i ふ ろ も そ う き / と も か く も 人 こ ときかぬ宿もかな﹂の一句のみ、八

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歳 以 降 の 成 立 。 注

2

、 宗 宮 沢 手 記 ︵ 瑚 臨 む 大 永 三 年 。 ﹁ 有 馬 の 湯 治 の つ い で に 。 川 A M m d にて。しなかとりゐな野を ゆきのあした此有明やそらに州かれのはなす L き ﹂ 注

3

、 宗 長 手 記 。 ﹁ か ね て 立 制 酬 の 事 あ り て 。 常 官 に を い て 千 旬 。 山 市 碩 法 師 主 そ ひ く た し : ・ 初 日 三 川 組 問 一 向 吟 ﹂ 注

1

4

、法楽千旬をはじめ、光貞、橋村新次郎清正興行の一座に出 座したり︿さののわたり︶、西行谷見物等、積極的に最後の 伊 勢 の 旅 を 味 わ っ て い る 。 注

5

、大神宮法楽千句 注 日 、 一 二 一 川 下 り ︵ 国 会 図 書 館 本 、 野 坂 本 平 松 本 ︶ 注

7

、 市 十 六 隆 公 記 六 月 廿 三 日 条 ﹁ 宗 長 有 害 状 、 当 時 在 伊 勢 関 山 田 云 々 ﹂ 注

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、 千 沖 山 記 。 那 智 寵 発 句 詞 室 田 ︵ 北 野 神 社 本 ︶ 注目、同日平八月廿四日条﹁宗長法師伊勢国にありしに文っかは す と て ﹂ 机 問 、 伊 勢 千 旬 。 再 同 日 草 七 月 十 五 日 条 。 さ の の わ た り 。 机 日 、 京 長 日 記 十 二 月 。 住 刊 は 、 再 日 日 草 六 月 十 四 日 条 ﹁ 宗 長 法 師 た よ り に つ け て 伊 豆 国 熱 海 の 湯 に 入 て あ か る と て 柱 に か き つ け し と て ﹂ 注 目 、 古 典 文 学 大 系 ﹁ 歌 論 集 二 六 二 文 ﹂

1

1

頁 数 ・ 行 数 は 桂 宮 本 に よ る 。 り

210

印 は 桂 宮 本 と 同 一 な る こ と を 一 不 す 。

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、×印は桂宮本にあって、天満宮本ある い は 京 大 本 に 欠 く こ と を 示 す 。

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又の日は、所々に御文書き給ふ。色々の紙の、色はだ へなどえならぬ、あまた取り散らして、墨こまやかに押 し磨りつつ書き給ふ。御手は、﹁げになどてか少し物の 心知らむ人のいたづらに返さむ L と、見ゆるに、御歌ど もぞ、なべての人の口付にてだにをかしとも見えぬは、 悪しう人のまねびためるにや。 ︹ 口 訳 ︺ 次の臼五月五日の端午の節句には、中将の君はあちらこちらにお 手 紙 を お 書 き に な る 。 色 さ ま ざ ま の 紙 の 、 そ の 色 や 紙 の き め な ど の 何 と も 号 一 口 え ず 立 派 な の を 、 た く さ ん 取 り 散 ら し て 、 墨 を こ ゆ く 押 し すり押しすりして手紙をお書きになる。その御筆践は、﹁ほんとに さ ゆ ら し さ む ら し さ ゆ ら し 也 な る へ し

︵ 本 学 助 教 授 ︶ ︵

9

どうして少しでも物の情趣を解する人ならいいかげんな返事を書こ うか、いや、きっとま心こめて書くに違いない﹂と思われるほどお 見 事 で あ る 、 が 、 御 歌 な ど は 、 普 通 の 人 の つ く っ た も の と し て さ え お も し ろ い と も 見 え な い の は 、 聞 き 伝 え た 人 、 が 悪 く 誤 っ て 言 い 伝 え た の で も あ ろ う か 。 ︹ 注 記 ︺ 。 叉 の 日 | 前 に ﹁ 卯 月 も 過 ぎ て 五 月 四 日 に も な り に け り ﹂ と あ っ た ので、ここは五月五日、端午の節句の日である。その端午の節 句 の お 祝 い の た め の 御 手 紙 で あ る 。 。 所 々 − | 次 の ﹁ 左 大 将 の 御 女 ﹂ ﹁ 一 条 院 の 姫 宮 ﹂ な ど の こ と で あ w h v o o 色 々 の 紙 | 当 時 手 紙 に は 色 々 の 色 の 紙 を 用 い て い た 。 。色はだへ﹁色はだへ﹂という語は、竹取物語以下源氏物語な

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