Title
a-C:H薄膜のプラズマ処理による構造変化
Author(s)
勢理客, 勝則; 山下, 秀和; 比嘉, 晃; 渡久地, 實
Citation
琉球大学工学部紀要(58): 99-103
Issue Date
1999-09
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12000/14427
Rights
琉球大学工学部紀要第58号,1999年 99
aPOH薄膜のプラズマ処理による構造変化
勢理客勝則.山下秀和。、比嘉晃…渡久地實…
StructuralChangesofHydrDgenatedAmorphousCarbonThinFUms
byPIasman℃mmemt 中中CKatsunoriSERm〈Y】lKu.,HidekazuYAMAsrrA.。,A1[iramGA…andMinoruToGucm
AbstractThispaperisdesmbedabomstmctumlchangesofhydrogenatedamorphouscalbonfilms(a-C:H)eXposedby
inductivdycouplcdhydmgenpUasmaTTuea-C:Hfilmswe唾p【巳paIpdbymagnetmnsputteringusingVHFplasmaStmctm℃andopticalgapoftheplasmue】q〕oscdfilmswe”investigatedbyinfiar巳。皿)absmptionand
UWVisual(ⅥS)absorptionFmmmmeasuI巳mems,itiSfbundthathydmgencomcentmtioninthefilmsdecz噂ascdwithincIpasing③叩osedtimc・Thcnumbcrofsp3-CH3andsP2-CHbondsinUlefilmsdecrもasedas
conmDax巳dwiUusp3-CHSp3-m2inIhefnmsbyhydmgcnplasmaU巳atmcnLTheopticalgapdecr巳asedwiththe
bondmghydmgenconccntmtiomKeyWDrdg:hydmgenatedamorphouscaIbon,inductivelycoupledplasma(ICP),iIfm巳dmO,UWVisual
(ⅥS). スカーボン薄膜からは低電界による電子放出が報告されており,低鰯子親和力p]を利用しての電界放出ディスプレイ
例,真空マイクロエレクトロニクスなど[5J7]の実親へ向け て研究がなされている. 我々は,これまでにスパッタリング法によりa員C:H薄膜 を作製し,作製時の水素分圧が膜成長速度や結合水素濃度 に影響を与えることを報告している[8].また膜中の結合水 素濃度は,電気的物性,光学的特性と相関があり,aPCH 薄膜の物性を制御するのに非常に重要である. 本研究では,作製されたaCH薄膜をプラズマ処理する ことによって,薄膜の組成や構造を変化さ趣物性制御へ の可能性を探った.プラズマに着目した理由は,温度的に は低温でありながら,励起原子やイオンが非常に活性で反 応性に富むので,プラズマ処理によって薄膜表面あるいは 内部での鯛溌再結合などの再反応が期待できるためであ る.また,様々な原料ガスが分解可能であり,励起原子の 特性を活かしたプラズマ処理が可能となる.このプラズマ Au理による薄膜の改質について,赤外吸光分析,紫外可視 吸光分析によってHi轤造光学ギャップの変化を調べた. Lまえがき 水素化アモルファス炭素Ubdmg自画tedammphm遇cmbon:a算C、薄膜は.炭素を構造の主成分とし,その未結合手に
水素が結合したアモルファス構造を有する物質である.aP C:H薄膜は,高硬度,高電気抵抗率高熱伝導事表面平 滑性に優れる,化学的に不活性などの特長を有する材料で あり,一般にダイヤモンドライクカーボンのmmomPlUnecaIbon:DLqとも呼ばれている.これらの特長を利用して,
IC基板のヒートシンク劇1],超伝導体の保護膜心臓血 管の手術に用いる医療用インプラントや人工弁ロなどの応 用力糊待されている.また窒素をドープしたアモルファ 受理:11”年6月7日 第46会応用物理学関係連合鱒演会にて発表 ・大学院理工学研究科電気電子工学専攻 (GmduateStudeuIt,DepLofE1cdricalandE1ectTonicEngincermg) ・*三菱重工業株式会社 (MitsUbisMHeaWIn血slrieSCo.) *・・工学部電気電子工学科 (DcPLofElectricalmdElectmnicEIlgineeTingFac・ofEng.)勢理客・山下・比嘉・渡久地:a-C:H薄膜のプラズマ処理による構造変化 100 2-匹プラズマ処理法 プラズマ処理のためのプラズマは,誘導結合型プラ ズマ(InductivelyCoupledPlasma:ICP)を利用して行っ た.ICPはガラス製放電管の外部にコイルを巻きつけ, コイルに高周波電流を流し,磁束の時間変化により生 ずる誘導電界によりプラズマを保持する方式である. プラズマ処理装置の概略図をFig2に,処理条件を ThbleⅡに示す. このプラズマ処理法は,無極放電による処理法のため, 純粋にプラズマのみによる効果が得られる.したがっ て,種々の試料の改質が期待できる.試料は石英管内 で発生したプラズマの中央部に位置し,常に同条件内 で処理を行った.基板温度は300℃とした.これは 基板の温度が室温(約25℃)と低い場合には,水素ラ ジカルによる再反応が生起しにくいので,基板側の温 Z実験方法および評価方法 2-1.薄膜作製法[8] a-CH薄膜は反応性マグネトロンスパッタリング法 を用いて作製した.Figlにスパッタリング装置の概 略図を示す.真空槽内は陰極と陽極による平行平板型 の2極構造となっている.真空槽内は真空ポンプ(油 回転ポンプ,ターボ分子ポンプ)を用いており,10.,Pa 程度の真空度まで到達する.陰極にはターゲットとし て,直径4inch(=101.3mm),純度9991%のグラフア イトディスクを設置している〆対向する陽極には,タ ーゲットの直上に基板ホルダーを設置し,極板間距離 は50mmとした.電源には601V旺近の高周波電源を使 用した.高周波電源と電極との間には,インピーダン ス整合を図るために整合回路を設置しているスパッ タガスには水素(H2)とヘリウムGIC)を用い,流過計を 介して所定の流量に設定し,混合ガスとして槽内へ導 入する.基板にはシリコンおよび石英ガラスを用いて いる.Tnblelに主な成膜条件を示す. Genemtor Gememtor Prcs3Iregauge R1 ●●●●●●● ●●●●●●● Magnet …露顕麺函 …露顕麺函 Tillget l~l 、ノ 迅腫匪
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Fig.2.Schematicdiagmmofthe inductivelycoupledplasma(ICP)tIBatment system gas、
ThbleⅡ、ICPt唾amlentconditirms lhcuumpump P1asmagas GasnowmteIsccm】 Tbtalpz巳ssul巳IPa] rfPow巳r[W] Fr己quency[1V旺返] sub副mtetempcmtlm[℃] Pmccsstimc[mm】 H2 30 13.3 100 13.56 300 5(5),10(15),15(30), 30(60),30(90) Fig.1.Schematicdiagmmofthesputtering system. THbleLFilmsdepositionconditions. ThIget[puriW] Sputteringgas TbtalgaSnowmte[sccm] TbtalgaSp[CSS、巳[Pa】 HydrogcnpartialplEssur己pHPa] Power[W]・ FrcquencyD狂IZ] sub副mte mget‐SUbshatedistance[mm] Gmphitel9.99% H2+He 40 50 0-0.7 300 60 n-typeSi,FuscdsiUca 50 :TbtalDrocesstime 度を上げて膜中のCIMu=1,2,3)結合の再結合を促進さ せるためである.基板温度を300℃に設定したのは, 通常の堆積実験時の基板温度が約200℃であるので, その温度よりも高くしたいこと,また,これまでの熱 処理の実験において基板温度が400℃以上になると, 水素の離脱が盛んになり,1漠構造が変化することがわ Sputtaingtime 4琉球大学工学部紀要第58号,1999年 101 かっているためである.したがって,基板温度は CHm(、=1,2,3)結合の再結合を促進させ,且つ熱による 膜構造変化を抑えられる中間の値300℃に設定した. それにあたるものと考えられる.このように薄膜の形 成は,成膜時の水素分圧に強く依存するが,後述する ように形成された薄膜の構造についても違いが見られ る. ZP3LaPC:H薄膜の評価法 本研究で作製したa-CH薄膜は,主成分である C'ぬ(、=1,2,3)の吸収帯が赤外領域3200cm.'~2700cm’ にあるため,赤外吸収係数スペクトルから膜構造変化 を鯛ぺた.具体的には膜中の結合水素濃度を求め,さ らに,CIL(、=1,2,3)吸収帯にある複数の振動モードの 変化を評価した.また,紫外可視分光光度計による光 学ギャップの評価を行い,膜中の結合水素濃度との関 係について鯛ぺた. -:PDn=0.18Pa -----:Pil=0.43Pa ---:pH=0.S8Pa  ̄  ̄ 繩馳、
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2年 0 3.プラズマ処理によるa己C:H薄膜の構造変化と物性 $Lプラズマ処理前の膜構造 Fig.3に膜成長速度の水素分圧依存性を示す.薄膜 形成は全ガス圧50Paに対して水素分圧約0~2%の非常に狭い範囲(O~lPn)で成膜され,膜成長速度(Gmwth
Iate:Rb)はq2Pa付近で最大値を示す.低水素分圧側
では水素ガスの添加によってターゲットの化学スパッ タの効果が高まるため,膜成長速度は高くなる.しか 32003100300029002800z700Wpvenmmberの[cm-1]
Fig.4.皿absoIptioncoeEHciemtspcctmm theC-HstIctclmg妃gionofthea-C:H fiIms Fig.4に作製した薄膜のCH伸縮振動領域における 赤外吸収係数スペクトルを示す.図から,吸収強度お よびスペクトルの形状が異なることがわかる.吸収強 度の増加は,膜中結合水素濃度の増加を示し,またス ペクトルの形状の変化は,CIIの結合形態の違いを表 している.したがって,Fig4の吸収強度の変化から 02~q7Paの水素分圧範囲において,水素分圧の増大 と共に膜中の結合水素濃度が増加し,また炭素原子と 結合している水素原子の結合状態,すなわち膜の構造 が異なっていることがわかる. ノー60hmIz:ハー50Pa,PvHF=300W 80 印 ⑭ 0 2[(二・泊。ご呈國電・符』急参・』。
3-2プラズマ処理による膜構造変化 Fig.5に膜中の結合水素濃度に比例する積分強度の 照射時間変化を示す.いずれの水素分圧で作製された 試料も水素プラズマ処理によって膜中の結合水素濃度 が減少していることがわかる.これは水素プラズマ照 射による膜構造の変化を示唆している.膜中CH結合 の解離が一因して,膜中の結合水素濃度は減少したも のと考えられる.そこでcILu結合の相対的な量を比較 するため,吸光度の最大値をlとして規格化した赤外 吸収係数スペクトルの照射時間依存性をFig6(a)~に) に示す.(a)がpH=O18Pa,(b)がpH=0.43Pa,(c)が pH=0.53Paである.照射時間と共に,(a)~(C)における スペクトルの形状に変化が見られた.(b),(c)において は,膜中のsP3LCH,Sp3-CH2結合に比較してsp3-CH3, sP2-CH結合による吸光度の相対的な減少が見られた. 0 00.20.40.6 H2partialpressurDj町,[Pa] 0.8 Fig.3.Gmwthmteofthca-C:Hfilmsasa fimctionofhydmgenpanialpl巳ssmc. し,さらに水素ガス圧を高くすると,膜の成長を促進 するよりも,水素による薄膜のエッチング作用が優位 になるため,膜成長速度は低下する.結果として,適 当な水素分圧で膜成長速度に最大値を持つと考えられ る.本実験条件においては水素分圧pH=O2Pn付近が勢理客・山下・比扇・渡久地:a-C:H薄膜のプラズマ処理による樹造変化 102 3-3.プラズマ処理による光学ギャップの変化 Fig.7にa-CH薄膜を水素プラズマ処理したときの 光学ギャップの照射時間依存性を示す.この図より, 照射時間の経過につれて,光学ギャップが減少してい ることがわかる.12o分後には,照射前に比較して 6.37%~11.38%減少している.このプラズマ処理によ る光学ギャップの減少は,Fig.5に示したように,プ ラズマ処理による膜中の結合水素濃度の減少によるも のと考えられる.すなわち,膜中の結合水素濃度の減 少より,炭素のダングリングボンドを補償していた水 素が膜から脱離し,それによる局在準位の増加が光学 ギャップの減少を引き起こすものと考えられる.光学 ギャップは,グラファイト的結合であるsp2結合の存 在によっても減少を示すが,本実験においてはそのよ うな傾向は見られず,光学ギャップは主に膜中の結合 水素濃度に依存するものと考えられる. これより,高次の結合が多い膜ほど構造変化が顕著で あることがわかった. 釦扣
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Ffg、5.IntCgmtedintenSiwofthCa-C:H filmsasafimctionofexposedtime. 20 2.4  ̄←:pH=0.18pa -▲ ̄:0.53Pa 2.3sp3CH3、、
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0 1 (c)PIFO53Pa -:皿印Dwn ---:Omi、. …..:Smin、 --.-:10min. (c) 4゜まとめ 本研究では,スパッタリング法で作製されたa-CH 薄膜のプラズマ処理による膜の構造および物性につい て認ぺた.基板温度300℃で水素プラズマ処理を行 うと,a-CH薄膜の膜中の結合水素濃度が減少し,Sp3-CH,sp3-CH2に比較してsP2-CH,sp3-CH3の相対的に
減少することがわかった.また,それに伴って光学ギ ャップも減少する傾向を示すことがわかった.?{
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Fig.6.NOnnalizednabsorbancespectm mlheC-HstrCtchingI巳gionoflhea-C:H mmsfbrhydmgenplasman℃atmenttimes.琉球大学工学部紀要第58号,1999年 103 謝辞 本研究の一部は,文部省科学研究費補助金 (NolO6SO314)の援助を得て行った. 参考文献 [1]Ganapatlm,S・GUes,andRamaRao:AppLPhysLett、 63(1913)Pp、993-995. PIENiedzieUski:DiamomdandRclatedMaterials6 (1997)pp、721-724. [3]B、S、Satyajamyama,AHarLWI、Miline,J・Robertson: DiamondandRclatedMaterials7(1998)pp656-659. [4]0.Gr6ningO、MKmtel,EGr6ningbandL SchlaPbach:AppLPhys・陸tt、71(1997)pp、2253‐ 2255. [5]Rusil,IRObertsoILGAJ、Amamtmga:Diamondand RclatcdMatemals6(1997)pp、700勺03. [6]EmgJOonChLJaeYeObShim,andHongKooBa止, SungManl毛c:AppLPIWsLett、71(1997)pp324‐ 326. [7]J・Robertson,M、IRutter:DiamondandRelated Materials7(1918)pp620-625. [8]MmomTbguchi,AkimHiga,TnkahamShimaand MasakiMiyazato:JPnJ・Appl・Phys、33(1994)pp 747-750.