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1.「防犯性向上に資するまちづくり手法」(再生時間:40分)

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Academic year: 2021

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(1)防犯性向上に資するまちづくり手法. 建築研究所 住宅・都市研究グループ 主任研究員. 樋野 公宏.

(2) お話しする内容 • 「開いた防犯」の考え方 – 防犯環境設計の限界を踏まえて. • 「防犯まちづくりデザインガイド」 – 建築研究所の研究成果より. • 「開いた防犯」の適用事例 – 習志野市の土地区画整理事業地区 2.

(3) “開いた防犯”の考え方. 3.

(4) 閉じる日本の住宅 • 地域に対して開放的だった日本の住宅 →プライバシーの確保、防犯のため、 近年急速に閉じる傾向に • 集合住宅 – 鉄扉とRC 壁 – オートロック. • 戸建て住宅地 – タウン・セキュリティ – ゲーテッド・コミュニティ. ニュートンプレイス(江東区). 4.

(5) タウンセキュリティ • 公園等を映すWebカメラの映像を、 自宅で閲覧可 • 警備員が24時間常駐。青パトで巡回、 登校時の見送り • 通学路への緊急報知器の設置 日立市. 福岡. 大阪 5.

(6) ゲーテッドコミュニティ 1km. North Park (Irvine, CA). 6.

(7) 「閉じた防犯」への懸念 • 地域コミュニティの分断 • 外部空間に視線や関心が届かず危険に • 設備への依存による住民の防犯意識低下. マザービレッジ岐阜. 7.

(8) 「閉じた防犯」の背景 • 防犯環境設計の普及 (Crime Prevention through Environmental Design: CPTED). – 犯罪の原因を犯罪者の中に見出すのではなく、犯 罪が遂行される場所・状況に着目する理論の1つ – 日本では1990年代後半から国の指針等で参照. • 防犯環境設計の基本原則(4原則) – 間接的手法:監視性の確保、領域性の強化 – 直接的手法:接近の制御、対象物の強化・回避. 8.

(9) 防犯環境設計の基本原則 接近の制御 被害対象者 被害対象物. 犯罪企図者. 監視性の確保 領域性の強化. 被害対象の強化・回避. 居住者等 (目撃者). 間接的手法 直接的手法. 【参考】「安全・安心まちづくりハンドブック」(ぎょうせい). 9.

(10) 防犯環境設計の限界 • 分かりやすい「直接的手法」の偏重 • 防犯カメラに矮小化される「監視性の確保」 • 個別の敷地レベルの防犯には適する – 利用者が限定され、その自助による対策が前提. • 地区レベルの防犯には限界 – 個別の防犯の追及は必ずしも全体の利益(地域の 防犯)につながらない – 利用者が限定されない公共空間での「直接的手 法」は閉鎖的なまちづくりにつながりかねない 10.

(11) “Safer Places”(英国) • 2003年、内務省(警察を所管)と副首相府 (都市計画を所管)の連名 • 「犯罪及び秩序違反法(1998年)」により、 自治体等が職務を執行する際、それが地域内の犯罪 及び秩序違反に与える影響に配慮することが義務化 された。(第17条) • 実践的でない従来の理論に代わり、犯罪と都市環境 との関係を示す7原則を提供 • 「持続可能なコミュニティ」や「QOL 向上」といっ た上位目標を達する手段として防犯を位置づけ 11.

(12) アーバイン市の空間デザイン(カリフォルニア州) • 北米で最も治安が良い街 • 計画許可段階における警察の 防犯確認 – 特に公園の監視性を重視(見 通し、照明、住戸の窓との関 係など). • 防犯環境設計の採用 – ただし、直接的手法の代わりに Activity, Identityが基本原則に – 外部空間に人の目を増やして守る – 生活の質、資産価値といった上位 目標のための防犯 樋野・渡他(2009、日本建築学会). 12.

(13) 「開いた防犯」とは • 地区内で行われる人間活動(activitiy)を促進 すること、すなわち地域の活力を増す ことで犯罪や犯罪不安を減らそうとす る考え方 – 持続可能性やQOL向上という目標に、活発 な人間活動は不可欠 – こうした上位目標が不在のまま防犯対策が 進められると、防犯を至上目的とする「閉 じた防犯」が志向されやすい 13.

(14) 「防犯まちづくりの推進について」 (防犯まちづくり関係省庁協議会、2003年7月). 従来行われてきた住民、警察 等様々な主体によるソフト面 の防犯活動の充実、普及. •. 住宅、学校、公共施設等の 構造、設備、配置等に係る ハード面の取り組みの推進. 「防犯に特化した活動だけが重要であるの ではなく、むしろ、日頃から快適で活力の あるまちをつくることが防犯にも効果を有 するとの観点に立って幅広い視野から取り 組むことが望ましい」=”開いた防犯” 14.

(15) 防犯まちづくり デザインガイド. 15.

(16) 「防犯まちづくりデザインガイド」 (建築研究所、2011年5月). • 自然監視性や外部とのつながりを重視した 「開いた防犯」を提唱 • 各種理論を基に、防犯まちづくりの5原則で整理. 16.

(17) 防犯まちづくりの5原則 防犯環境設計. 静的. 監視性の確保 動的 ハード. 領域性の強化 接近の制御. 対象物の強化・ 回避. ソフト. デザインガイド 視認性の確保 :見通しや明るさの確保 活動の促進 :地区内の人間活動を活性化 領域の階層化 :空間の公私の階層の明確化 わがまち意識 :愛着、責任感、コミュニティ意識 対象物の強化・回避 17.

(18) 視認性の確保. p.44, 50. • 見通しや明るさの確保によって、公共 空間に人の視線が通る状態にすること 住宅内外の見通しが確保 された住宅外構. 低木と高木を組み合わせた 公園周囲の植栽 18.

(19) 活動の促進. p.55, 64. • 適度な活動が行われることによって、 犯罪リスクが削減され、安心感がある こと. 路上のオープンカフェとキオスク (新宿モア4番街). 約1万5千本の「みんなの風ぐるま」 (つくば市) 19.

(20) 領域の階層化. p.24. • 公的空間と私的空間の緩衝となる準公 (準私)的空間をつくるとともに、そ れらの階層を明確化すること。 青葉台ぼんえるふ (北九州市). ループ道路 共有のコモン. 20.

(21) わがまち意識. p.61. • 住民等の地区に対する 愛着、責任感、コミュ ニティ意識を高めるこ と。. 花咲爺会 (北中城村). けやきの公園(板橋区). 21.

(22) 対象物の強化・回避. p.57. • 犯罪の誘発要因を除去したり、犯罪の 被害対象になりうる物を強化したりす ること。. 22.

(23) デザインガイドの構成と概要 • 「理論編」:各キーワードの背景にある考え方の 理解を促すための論考 – 防犯まちづくりの考え方(樋野) – 景観と防犯を両立するサイトプランニング – 町並みづくりと防犯 –まちの免疫力 – 犯罪面から地域のコンテクストを読む – 防犯のまちづくりをルール化する. • 「キーワード編」:国内外の既存の研究 成果、理論や実践を踏まえ、防犯まちづく りの要素を38 のキーワードを用いて紹介 23.

(24) プロセス区分. p.16. • 各キーワードを 市街地形成段階 によって区分. A 土地利用・交通計画 開発の計画段階から配慮が必要な地 区全体にわたる取り組み. B 公共空間に関すること. C 個々の敷地に関すること. 道路、公園などの公共空間 に関する取り組み. 地区の防犯性に寄与する 各敷地内での取り組み. D マネジメントに関すること 住民などによる地区の維持、管理、運 営に関する取り組み. 24.

(25) 「ストーリー」の例示. p.68. • キーワードを実際に適用する際には、実現し たい市街地像を描いた上で、必要なキーワー ドを選択し、組み合わせる • 複数のキーワードの 組み合わせによる市 街地像として5つの 「ストーリー」を例示. 25.

(26) 活用事例 東京都足立区 • 2011年4月 「防犯設計ガイドライン」策定 • 同10月 「環境整備基準」改正 – 「事業者は・・・防犯設計ガイドラインに基づき 防犯環境設計に努めるものとする」(第5条) – 法定の申請手続き前に区長と事前協議を行う (150㎡以上の宅地開発事業、500㎡以上の大規模店舗建設事業). • 一定の防犯性を有する宅地開発事業を認定 – 計画段階の書類審査と竣工後審査の二段階の審査 – 書類審査に合格した段階で販促に使用可能 – 竣工後審査を経て、区長から認定書交付 26.

(27) 「開いた防犯」の適用事例 JR津田沼駅南口 特定土地区画整理事業地区. 27.

(28) 地区概要 • 組合施行による土地 区画整理事業 – – – –. 面積:約35ha 期間:2007-2014年度 計画人口:7,000人 愛称「奏の杜」.

(29) 防犯まちづくりの位置づけ 奏の杜まちづくり憲章. 『健やかな時間(とき)が息づくまち』 「5つの目標像」 • • • • •. 豊かな緑に包まれた美しいまちを共に奏でます 見守り見守られ安心できるまちを共に奏でます 人と地球にやさしく健康なまちを共に奏でます 子供たちがのびのび成長できるまちを共に奏でます 自分らしくいきいき暮らせるまちを共に奏でます. 防犯を「まちづくり・まち育て」の 一要素として位置づけ 29.

(30) 奏の杜の防犯まちづくり. 維持管理. 運営. 進行管理. 30.

(31) エリアマネジメントとは • 「地域における良好な環境や地域の価値を維 持・向上させるための、住民・事業主・地権 者等による主体的な取り組み」 • エリマネが注目される背景 – 維持管理・運営の必要性の高まり – 環境や安全・安心への関心の高まり. • エリマネの契機となるもの – 地域の安全性の低下 (犯罪の発生、風紀の悪化、不審者の増加等) – 迷惑行為の増加(違法駐車・駐輪の増加、ゴミの増加等). • エリマネの好例には商業地が多い (住宅地では資金調達が難しい) 『街を育てる―エリアマネジメント推進マニュアル』(2008) 国土交通省 土地・水資源局土地政策課(監修). 31.

(32) 1. 防犯に配慮した基盤施設整備 • 周辺からの見通しが確 保された歩行者専用道 路、地区公園 • 景観と防犯を両立する 照明計画. • イメージハンプ等によ る領域の明示. 32.

(33) 2. 防犯環境設計マニュアルの作成 犯罪の無い安全で安心な街を実現するた め、個々の宅地はもとより、街全体の防 犯性能の向上に資する建築物の整備促進 を図ること 各種建築物を計画する際に、防犯の観点か ら配慮すべき事項について、参考となる対策 手法等を示すもの 一部項目を必須(重点項目)化 都市計画法や土地区画整理法で実現を担保 33.

(34) 1 ・バルコニーは周囲からの見通 しが確保された構造とする ・生垣等は見通しの妨げになら ないよう工夫する. 2 ・環境緑地や生垣等を整備し街 並みに統一感を与えることで 地域の領域性を強化する. 3 ・建物や植栽等を適切に維持 管理する. まちのためにできること いえのためにできること. 4. 5 ・門扉等を設置することで物理的・心理的に 侵入しにくいものとする ・バルコニーは縦どい等を利用した侵入が困 難な位置に設置する. ・玄関扉や窓の鍵やガラスは破壊が困難な材質・ 構造とする ・門扉や勝手口等も玄関扉等と比較して防犯性能 が劣ることのない材質・構造とする.

(35) 3. 防犯まちづくり活動計画の策定 ●ながら防犯パトロール運動の実施 ●一戸一灯運動の推進. ●遊休地の適切な維持管理 ●ごみ集積所の適切な維持管理 ●環境緑地の適切な維持管理 ●工事期間中の通学路・歩行者ルートの安全点検. ●防犯灯・防犯カメラの維持管理 ●防犯に配慮した建築物の推進(防犯環境設計マニュアル). ●地域の活動拠点として利用できる場所の確保 ●住民による公園の美化活動(習志野市からの補助金) ●地域の防犯情報共有のしくみ構築(HP、広報誌、回覧). ●地域活動に参加しやすい仕組みづくり(インセンティブ) ●地域コミュニティを育むイベント等の開催(わがまち意識) 35.

(36) 4. エリアマネジメントの推進 • 2011年6月「奏の杜パートナーズ」設立 – 地区の魅力や価値の 維持・発展を目的 – 土地区画整理事業組 合を継承. • 主な事業 – 共有資産の管理業務 →防犯灯、防犯カメラ等の管理 – 各種ルールの周知・運用 →防犯環境設計マニュアルの周知・運用 – コミュニティ活動の企画・開催 →防犯まちづくり活動計画の推進 36.

(37) おわりに. ~安全・安心社会へ.  日本の犯罪認知件数は2002年以降減少  OECD34カ国中もっとも安全 (OECD幸福度指標, 2011).  しかし、社会的紐帯が弱い  過去1か月に他人を手助けした経験あり:23%  友人や同僚などと共に時間を過ごすことが 「ほとんどない」「全くない」:15%.  弱い社会的紐帯が不安社会の一因  社会的紐帯を強めるような防犯まちづくり (開いた防犯、防犯を契機とするエリアマネジメン ト)を目指すべき 37.

(38) 主要文献 •. 樋野公宏、石井儀光、渡和由、秋田典子、野原卓、雨宮護「防 犯まちづくりデザインガイド ~計画・設計からマネジメントま で」、建築研究資料第134号、2011年5月. •. 樋野公宏・渡和由・柴田建「戸建住宅地における防犯と生活の 質の両立に関する考察-カリフォルニア州アーバインランチで の事例調査から」、『住宅系研究報告会論文集』、第4号、日本 建築学会、2009年. •. 樋野公宏「”防犯まちづくりデザインガイド~計画・設計からマ ネジメントまで”の作成と普及」、『住宅』61号、日本住宅協会、 2012年1月. 38.

(39)

参照

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