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太陽活動と対流圏・下部成層圏気圧系および海面水温との関係

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Academic year: 2021

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布を調べる。これらの解析を通して,太陽活動が地球気 候に及ぼす影響に関して新知見を得たので報告する。

2 .データおよび方法

①太陽黒点相対数:1950年 1月∼2000年12月の月平 均値 (The Sunspot Index Data Centor: SIDC)。

②10.7cm太陽放射フラックスデータ:1950年 1月∼ 2000年12月の月平均値 (National Geophysical Data Cen-ter: NGDC)。 ③500hPa,100hPa月平均高度偏差,海面更正気圧: 1950年 1月∼2000年 1月の月平均高度偏差,気圧偏差 (NCEP/NCER再解析データ)。 ④海面水温 (SST) データ:1960年 1月∼1999年12月 の月平均データ (気象庁およびNOAA編集)。 1 .はじめに 太陽活動には明瞭な11年周期があるが,それが地球の 気候に影響を与えている可能性がある。20世紀はその周 期がやや短い傾向にあったが,21世紀に入って,その周 期が急に長期化の兆候が現れている。周期が短いときに は世界で高温傾向,周期が長いときには低温傾向という 解析結果があり(Burroughs, 1992 ; Miyahara, et al., 2008), 今後の気温の推移が心配されるところである。 本稿では,20世紀後半のデータを用い,2 つの方法で 太陽活動と地球成層圏・対流圏の気圧系,ならびに海面 水温との関係を探究する。まず,太陽活動のフェイズ別 にみた気圧場の特徴を求める。次いで,太陽活動と海面 水温 (SST) との相関係数を格子点ごとに算出しその分

山川 修治

・大石 徹也

**

Relationships between solar activity and variations in the atmospheric circulation in the four phases of solar activity and sea surface temperature (SST) are examined. The cycles of solar activity are divided into four phases such as increasing years, maximum years, decreasing years and minimum years. Influences of solar activity on global atmospheric pressure variations in the four phases are also analyzed from 1950 to 2000. Results indicate that higher geopotential height anomalies tend to appear in the lower stratosphere and the troposphere. Blockng highs tended to appear over the northern high latitudes in January during the decreasing and minimum years. The global distribution of correlation coef-ficients between monthly relative sunspot numbers (SSN) and SST in the simultaneous month is shown over the 40-year period from 1960 through 1999. Significant positive correlation areas are relatively dominant in the whole sea areas, mainly in several regions of the Pacific. The SST distribution pattern that resembles the Pacific Decadal Oscillation (PDO) in the Pacific was exhibited from July to September.

Keywords: solar activity, atmospheric pressure pattern, blocking high, sea surface temperature (SST), Pacific Decadal Oscillation (PDO)

太陽活動と対流圏・下部成層圏気圧系および海面水温との関係

The Relationships between Solar Activity and Atmospheric Pressure System

in the Troposphere and the Lower Stratosphere and Sea Surface Temperature

Shuji YAMAKAWA

and Tetsuya OHISHI

** (Received November 17, 2014)

Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences,

Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan

** Takara Leben CO., LTD日本大学文理学部地球システム科学科:

〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

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図2  太陽黒点相対数の増大年5 か年の北半球1月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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山川 修治・大石 徹也

図3  太陽黒点相対数の極大年5 か年の北半球 1月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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図4  太陽黒点相対数の縮小年5 か年の北半球 1月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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山川 修治・大石 徹也

図5  太陽黒点相対数の極小年5 か年の北半球 1月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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特に,アリューシャンの正偏差は,対流圏中層に及び, 強固なものとなっている。一方,低緯度帯の負偏差が顕 著で,南北流型につながっている。 3.2.2 極大年 地上気圧場 (図7-c) では,アイスランド付近の高気圧 が顕著で,大西洋側からのブロッキングを示唆する。一 方,ベーリング海峡付近は低気圧偏差で,オホーツク海 高気圧は現れにくい状況となっている。 500hPa (図7-b) においては,アリューシャン正偏差 とアイスランド正偏差が特徴的で,次に述べる100hPa (図7-a) でも同様の傾向なことから,明瞭なバロトロ ピック構造のブロッキングパターンとなっている。日本 付近は負偏差で梅雨前線活動の活発な状況を示す。北偏 する北太平洋高気圧からの湿潤な北東気流が梅雨前線の 活発化に繋がっている。 100hPaでは,チベット高気圧はほぼ平年並みだが, 西アジアと中国方面で幾分強いことがわかる。 3.2.3 縮小年 地上気圧場 (図8-c) では,モンゴル付近の低気圧偏差 が最も目立っている。ユーラシア大陸は全般に負偏差傾 向で,モンスーンが強化されることを暗示する。一方, 北極海では,ボーフォート高気圧が例年以上に発達して いる。その結果,北極海の日射量は平年より多く,北極 海海氷の融解が進む。また,北極海の高気圧性循環が活 発化して,海氷が北大西洋方面へ流出しやすくなる。近 年では,2007年がそれに該当する (山川,2010)。 500hPa (図8-b) では, シベリア西部を中心に,負偏差 が非常に強化され,一方,北極海では正偏差も強化され ていて,シベリアの北極海沿岸で偏西風が弱化し,南北 流型となることを示している。 100hPa (図8-c) では,チベット高気圧が比較的強く, 特に,中国東北部から北海道を含む日本列島へ張り出す (図8-d)。また,地中海付近では,同高気圧の張り出し が強く,500hPaの正偏差も勘案すれば,夏の乾燥が著 しい。 3.2.4 極小年 地上気圧場 (図9-c) は,チベット高原付近が低気圧偏 差で,インドモンスーンが強まることを示唆する。北極 海方面では低気圧偏差であるため,日射量は少なく,低 気圧性循環が卓越するので,海氷は比較的保たれる。北 太平洋高気圧は東偏強化で,日本付近はその西縁部で縁 辺流が入る一方,オホーツク海高気圧は現れやすく,梅 雨前線活動は活発で,台風も到来しやすい。北大西洋高 気圧は北偏・強化し,西欧もその東縁部で暑夏となる。 500hPa (図9-b) では,極渦発達の状況で,極前線の発 リューシャン低気圧は東偏することもあって,日本付近 の冬の季節風は弱い。 500hPa (図4-b) では,モンゴル付近の正偏差が強く, アラスカ西方とイギリス付近のブロッキング高気圧が現 れる。寒波は中東方面へ最も流出しやすいのに対し,東 アジア・アメリカ合衆国・西欧は暖冬傾向となる。

100hPa (図4-a) では,500hPaのブロッキング高気圧 と関連して,東アジアとグリーンランド付近の正偏差が 著 し く,成 層 圏 突 然 昇 温 (松野,2013) を暗示してい る。 3.1.4 極小年 地上気圧場 (図5-c) で最も顕著なのは,アイスランド 低気圧が弱化し,地中海地方から中東にかけて低気圧傾 向で,NAOは負フェイズとなることである。一方,ア リューシャン低気圧は北偏・東西分化し,その南の北太 平洋高気圧は北東偏し,PNAパターンが強めに現れて いる。 500hPa (図5-b) では, 北極圏の太平洋側で寒気が蓄積 されていること,地中海方面へ寒波が進入していること が認められる。後者は,西は (太平洋の亜熱帯∼) 中米 ∼北大西洋中緯度と連なり,東はチベット高原に達する 寒帯前線帯の強化とみることもできる。 100hPa (図-a) でも,ほぼ同様の負偏差帯がみられ, 北極圏の太平洋側における負偏差は極めて発達してい る。それとは対照的に,東アジア北部とアイスランドの 正偏差が顕著で,ブロッキングパターンを呈する。 (2)7 月 3.2.1 増大年 地上気圧場 (図6-c) において,北太平洋高気圧は北東 偏し,小笠原高気圧が弱く,ユーラシア寒帯前線帯は発 達傾向となる。北大西洋でもアゾレス高気圧が北偏し, その影響を受けるフロリダ半島付近では高温となる。南 アジアのモンスーンは平年並みだが,その西方,アフリ カ北東部∼西アジアに低気圧偏差がみられる。 500hPa (図6-b) では,北極圏で正偏差傾向が強く,ブ ロッキングパターンとなっている。アリューシャン列島 付近の強い正偏差は,オホーツク海を経て,シベリア北 岸∼グリーンランドに達している。これは,地上のオ ホーツク海高気圧の発達 (図6-c) に繋がり,上記の小笠 原高気圧の未発達とあわせて,梅雨前線活動が本州南岸 で活発化し,梅雨明けが遅れるパターンといえる。しか し,梅雨明け後は平年並みの暑夏に移行する。 100hPa (図6-a) では,チベット高気圧の北偏強化が特 徴的である。東アジアのブロッキング高気圧が目立ち,

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山川 修治・大石 徹也

図6  太陽黒点相対数の増大年5 か年の北半球 7月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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図7  太陽黒点相対数の極大年5 か年の北半球 7月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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山川 修治・大石 徹也

図8  太陽黒点相対数の縮小年5 か年の北半球 7月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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図9  太陽黒点相対数の極小年5 か年の北半球 7月における100hPa高度偏差 (a),500hPa高度偏差 (b),海面気圧偏差 (c);    100hPa平均高度 (d),500hPa平均高度 (e),平均海面気圧 (f)

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山川 修治・大石 徹也 (2)2 月(図10-b) 2.1)正偏差有意域 1月に引き続き,黒潮続流域が顕著で,東方拡大の傾 向もみられる。インド洋北部∼南シナ海∼黒潮流域を連 ねる正相関域が特徴的となる。ハワイ近海の正偏差も継 続するが,ハワイ南西方約2,000 kmに中心を移す。南太 平洋では,東部にまとまる傾向だが,有意域は縮小する。 インド洋では,北高南低のパターン化が進み,ベンガ ル湾とアラビア海に集中するものの,有意域は僅かとな る。北大西洋では,イギリス西方沖とカナリア諸島西南 西約2500kmにおいてやや拡大する。南米南部東方沖 は,ブラジル南東端部沖とアルゼンチン南部沖に二極分 化する。南極海では,フェゴ島南方のみの有意域が縮小 する。 2.2)負偏差有意域 太平洋では,アリューシャン列島西部と東部近海の有 意域がやや拡大する。インド洋ではオーストラリア西方 沖に出現する。北大西洋ではグリーンランド南西沖の デーヴィス海峡に出現する一方,バミューダ北東方では 終息する。ブラジル高原東方沖では,強めの有意域が現 れる。南極海の負相関値は約9 割を占め,有意域も拡大 する。特に,南極大陸のインド洋側の有意域は拡大・離 岸し,ビクトリアランド近海でも拡大傾向となる。 (3)3 月(図10-c) 3.1)正偏差有意域 2月以上に,インド洋北部∼南シナ海∼黒潮・黒潮続 流域の帯状構造が明瞭化する。なかでも,関東地方東方 沖の相関は1∼3月と次第に強度を増す。ハワイ近海の 正偏差も継続し,ハワイ南西方約1,500 kmを中心に,西 南西∼東北東の帯状構造が顕在化する。これは亜熱帯高 圧帯の南縁を吹く貿易風帯に相当し,同高圧帯が南に拡 大,日射量が増大したことに起因するものと推測され る。チリ沖のサンフェリックス島付近に有意域が出現す る。 インド洋では,北高南低型が続くが,スマトラ島北西 方のベンガル湾南東部と同湾中西部に正のピークがみら れる。その南,赤道の南縁部にも有意域が東西に連な り,それは赤道西風の強化と赤道湧昇流の弱化を示唆す る。北大西洋では,亜熱帯正相関域が中心を大西洋中央 部に移す。ブラジル南東端部沖の正相関は強度を増す。 南極海では,正偏差の有意域が皆無の状態となる。 3.2)負偏差有意域 太平洋では,アリューシャン列島近海の有意域がやや 縮小傾向となる。インド洋では,オーストラリア西方沖 達が地上の低気圧発達につながる。シベリア,カナダ中 部,北大西洋にブロッキング高気圧があり,ブロッキン グ型の循環系を示す。亜熱帯高圧帯は全般に弱く,亜熱 帯リッジの張り出しがないところでは冷夏傾向といえ る。日本は極東リッジの影響を受け,地上のオホーツク 海高気圧の出現もあって,冷夏傾向といえる。 100hPa (図9-a) では,チベット高気圧は比較的弱く, シベリアと中東は正偏差で干ばつ傾向を示す。北極圏に 寒気が蓄積されやすい構造となっている。 4 .太陽活動の海面水温との相関関係 1960年 1月∼1999年12月について,太陽黒点相対数 とSSTの関係を相関係数によって解析した。同時相関か ら太陽活動先行の6 か月ラグ相関まで求めたが,ここで は同時相関に絞って示す。太陽放射線・太陽風の影響は 数時間から約2日で地球へ到達し,7日後をピークに影 響が現れると考えられている (宮原,2014) ためである。 対象年間は40年なので,およそ 0.33以上,−0.33以下 が95%で有意となる。本稿では「有意域」とはこの95% 水準を指す。その分布について月別に海域ごとに記述す る。 (1)1 月(図10-a) 1.1)正偏差有意域 全般に正相関が優勢となっている。これはReid (1987) の成果と一致している。北太平洋とその周辺では,日本 東方の黒潮続流域で,西は日本海北東部,東は日付変更 線付近まで及び,世界的にみて強度の点でも面積の点で も最も顕著な海域といえる。また,ハワイ諸島の南約 200kmを中心として,北太平洋東部の亜熱帯海域に広 がる。南太平洋では,ペルー西方約2,000 km,ニュー ジーランド東方2,000∼5,000 kmで強めに現れている。 インド洋ではスマトラ島・ジャワ島の南西沖,アラビ ア海南部が目立つ。大西洋は比較的少ないが,イギリス 西方沖,大西洋中央部の北回帰線付近,アンゴラ西方 沖,アルゼンチン東方沖に認められる。南極海ではフェ ゴ島南方沖のみとなる。 1.2)負偏差有意域 太平洋では,アリューシャン列島付近,ニュージーラ ンド北東方海域に出現する。北大西洋では相関係数が東 高西低傾向で,バミューダ諸島の北東方海域が該当す る。南極海では約7割は負相関で,特に,南極大陸のイ ンド洋側と太平洋側東部で有意域が広く認められる。

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達し,東方へ伸びてピークを迎える。インド洋では,南 インド洋寒帯前線帯に沿うようにNW−SE走向の有意 域が出現するが,グローバルにみて特徴的な存在で,極 大期の寒波到来を暗示している。北大西洋では,グリー ンランド中部の西方と東方に初めて出現する。 (7)7 月(図12-a) 7.1)正偏差有意域 太平洋では,梅雨前線に沿うように,津軽海峡東方約 500 kmから東南東方2,000∼3,000 kmにかけて,有意域 が断続的に現れる。台湾東方約1,000 km,ニューギニア 島の東方約2,000 kmのツバル島西方近海にも有意域の ピークが現れる。概略,太平洋10年規模振動 (Pacific decadal oscillation: PDO;Hare,1996; Mantua and Hare, 2002) の負フェイズに類似のパターンが現れ始める。 インド洋では,マダガスカル島の南方に,北大西洋で は,ニューファンドランド島東南島方約3,000 kmに有 意域が現れる。西インド諸島の南方,南米北縁の海域に 有意域が発現する。南大西洋では,ブラジル高原の東方 約1,500 km,ならびにケープタウンの西方約2,000 kmに 有意域が認められる。 7.2)負偏差有意域 北太平洋では有意域は皆無となる。ハワイ島の南南 東,赤道付近には有意域が認められ,PDO負に類似す るパターンの中枢を占める。南太平洋では,ニュージー ランド北島の東方約2,500,3,500 kmにピークをもつ有 意域が現れる。インド洋では,南極海に面する方面で, 有意またはそれに近い値がみられる。北大西洋では,グ リーンランド中部の東西に現れ,ハドソン湾にも繋が る。南極海では,フェゴ島の西南西方約4,500∼6,000 km, ケープタウンの南方約2,000∼3,000 kmの広大な有意域 をはじめとして,負相関域が卓越している。 (8)8 月(図12-b) 8.1)正偏差有意域 太平洋では,三陸沖約2,500 km東方に有意域が認めら れ,北太平洋高気圧の発達に呼応すると考えられる。海 南島の東方約200 km,ならびにニューギニア島の西方 海域,および同島東方約1,500 kmのナウル島南方近海に 有意域が現れ,同系統の解析 (Yamakawa, et al., 2015) と整合する特性がみられる。概略,PDO負に類似のパ ターンが継続している。 インド洋では,ベンガル湾南方の赤道付近にホットス ポットともいえる海域が現れることは特筆される。太陽 活動不活発年に地球磁場が弱まり,下層雲量が増加し し,東南東方へ拡大する。南大西洋では,アルゼンチン 東方沖約3000kmの有意域は南方へ拡大傾向となる。 (5)5 月(図11-b) 5.1)正偏差有意域 太平洋では有意域が減少する。インドシナ半島南方の 南シナ海における有意域はさらに発達し,グローバルに みて,最も顕著となる。モンスーンの開始時期に当たり 注目される。太陽活動の極大期 〔極小期〕 にSSTが高温 〔低温〕 になるため,沿岸部は多雨 〔少雨〕 となるが,モ ンスーンは不活発 〔活発〕 になると考えられる。 ハワイ近海では有意域が消える。南米西方沖の有意域 はペルーに接岸し,引き続き,チリ西方沖約3,500 kmの イースター島付近で発達する。インド洋では,北高南低 型傾向は残るなかで,上記の南シナ海から繋がる有意域 がベンガル湾南東部から南シナ海南西部にかけて顕在化 する。北大西洋では,4月にその兆候はみえていたが, ニューファンドランド島南縁部に強い有意域が発現す る。熱帯の有意域がカリブ海南部に初めて出現し,亜熱 帯から南下してきた有意域と連結して卓越する。 5.2)負偏差有意域 太平洋ではアリューシャン列島近海の有意域が西部中 心で残る。インド洋では有意域はベンガル湾南東部のみ となる。大西洋ではグリーンランド南西部の西方とアイ スランド北方約500 kmに有意域が現れる。アルゼンチ ン東方沖約3,000 kmの有意域は南方拡大傾向となる。 (6)6 月(図11-c) 6.1)正偏差有意域 太平洋では有意域の少ない状況が続く。関東地方東南 東方,つまり小笠原諸島の東方約2,000 kmに有意なピー クが現れる。南太平洋では,ニュージーランドの北北東 方約2,000 kmに有意域があり,その東方には,イースター 島近海,および,アタカマ沙漠沖に有意域が存在する。 インド洋では,北東部で正相関傾向が弱まる。アフリ カ中南部東岸には卓越する有意域が現れる。北大西洋で は,ニューファンドランド島南縁部の有意域が強化さ れ,また,イギリス北方近海にかけて正相関帯が繋が る。南大西洋では,アンゴラ西方沿岸からブラジル東縁 海岸線から約800 kmまで,卓越した有意域が認められ る。これらアフリカ大陸を挟んで東西に卓越する有意域 は,太陽活動極大期 〔極小期〕 に南大西洋∼南インド洋 西部の亜熱帯リッジが強化 〔弱化〕 することを示唆する。 6.2)負偏差有意域 太平洋では,アリューシャン列島近海の有意域が再発

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が幾分東方・南方に移動傾向となる。南太平洋東部の東 太平洋海嶺付近で有意域が発達する。 インド洋では,マダガスカル島北北西方のケニア・タ ンザニア東岸で有意域が残る。インド洋の南部,中央イ ンド洋海嶺南部付近に非常に発達した有意域が出現す る。北大西洋では,西インド諸島の東方約500 kmの有 意域はやや強めのままで継続する。南大西洋では東西中 央,15°S付近の有意域が顕著となる。 11.2)負偏差有意域 太平洋では,グレートバリアリーフの東方約1,500 km, ニュージーランド北島の東北東方4,500∼5,000 kmに現 れる有意域は,その東に正相関有意域が接するので,気 圧配置への影響が大きいとみられる。つまり,南太平洋 中央部の高気圧循環が発達し,12月のハワイ南方への正 相関拡大につながる。インド洋南東部のオーストラリア 南西端の南方には発達した有意域が残る。 (12)12 月(図13-c) 12.1)正偏差有意域 太平洋では,三陸沖東方約2,000∼2,500 kmの有意域 が幾分拡大傾向となる。ハワイ南西方近海にも有意域が 現れ,同系統の解析 (Yamakawa, et al., 2015) と類似す る。南太平洋東部の東太平洋海嶺付近の有意域は北上し て20∼25°Sで継続する。 インド洋では,北東部の特に,ベンガル湾中部ならび にジャワ島南岸に有意域が出現する。北大西洋では,西 インド諸島の東方約3,000∼3,500 kmに有意域が残る。 12.2)負偏差有意域 太平洋では,フィリピン・台湾の東岸における有意域 が発達する。このことは,太陽活動極小期にラニーニャ 現象が現れやすいことを示す。極小期の冬には北太平洋 高気圧から北熱帯収束帯に向かう貿易風(偏東風)が強 化すること (図5-b, e) に対応する。そして, 極小年の12 月に発現したラニーニャ現象が,ハドレー循環の強化, ならびに,ロスビー波の励起によって,1月のシベリア 高気圧を発達させる (図5-c, f) というプロセスも,本稿 の総合的成果として導き出される。 大西洋では,ブラジル高原東方沿岸部で有意域が再発 する。南極大陸のインド洋側に有意域が出現する。これ らは,南大西洋高気圧と南インド洋高気圧の発達に伴う 海水循環の強化によるところが大きいものと推測される。 5 .議論とまとめ 本稿で得られた新知見について,議論を含めてまとめ ると,太陽活動のフェイズ別にみた気圧場の観点,なら 赤道湧昇流の強化 〔弱化〕 →SST低下 〔上昇〕 のプロセス が推論される。南太平洋では,チリ西方約4,000 kmに ピークをもつ有意域が現れ,南極海との繋がりが認めら れる。インド洋では皆無となるが,その南西方・南東方 の南極海に,広域の有意域が発現している。 (9)9 月(図12-c) 9.1)正偏差卓越域 太平洋では,三陸沖約2,000 km東方に有意域が残るほ か,ベーリング海北部に発現する。海南島の近海,なら びにニューギニア島の東北東方約2,000 kmのナウル島近 海にも有意域が認められる。 インド洋では,マダガスカル島の北と南に有意域が現 れる。北大西洋では,ニューファンドランド島南西方約 500 kmに有意域が現れ,ほぼ連続的に西インド諸島の 北東方および東南東方に有意域が多発し,広域の正相関 領域をなす。このことから,太陽活動強化 〔弱化〕 →バ ミューダ高気圧発達 〔非発達〕 →日射量の増大 〔減少〕 →SST上昇〔低下〕のプロセスが推論される。 9.2)負偏差有意域 グローバルに有意域が皆無となる。 (10)10 月(図13-a) 10.1)正偏差有意域 太平洋では,三陸沖約2,000 km東方に東西に長軸をも つ楕円形の有意域が存在する。ニューギニア島の北東方 約2,000 km,東北東方約3,000 km,東方約1,000 kmに有 意域の強いピークが認められる。 インド洋では,マダガスカル島周辺,特に東方100∼ 500 kmで有意域が発達する。アラビア海北部に有意域 が現れる。北大西洋では,ニューファンドランド島南東 方約500 kmに有意域が移る。キューバ島の北東岸およ びその東方に有意域が伸びる。 10.2)負偏差有意域 太平洋では,カムチャッカ半島の南端沖,アリュー シャン列島の南約1,000 kmに有意域が現れる。ニュー ジーランド北島の東方3,500∼5,000 kmにも有意域が現 れる。インド洋ではほぼ中央部,オーストラリア寄りに 有意域が認められる。オーストラリアの南西方近海には 発達した有意域が出現する。南大西洋では,ブラジル南 東部沖の有意域が接岸傾向となる。 (11)11 月(図13-b) 11.1)正偏差有意域 太平洋では,三陸沖東方約2,000∼2,500 kmの有意域

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陽活動の極大期 〔極小期〕 にSSTが高温 〔低温〕 になるた め,モンスーンが不活発 〔活発〕 になると推論される。 ④4∼6月には,アフリカ南東岸ならびに中米東方の 正相関有意域もかなり強まる。6月にアフリカ大陸を挟 んで東西に卓越する有意域は,太陽活動極大期 〔極小期〕 に南大西洋∼南インド洋西部の亜熱帯リッジが強化 〔弱 化〕 することを示唆する。 ⑤7∼9月には,一時弱化・南下していた黒潮続流域 の正相関有意域が再び強まるとともに,太平洋10年規 模振動 (PDO) 負フェイズのパターンが支配的となる。 中米東方の正相関有意域は移ろうが継続する。太陽活動 と北半球亜熱帯高気圧の成層圏70hPaを中心とする有意

な正相関は,Labutzke and van Loon (1992) により論述 されているが,本稿まとめの (1) ⑥ (左記) と関連して 考察すれば,PDO負フェイズのSSTパターンが対流圏 における北太平洋高気圧の発達へ関与している可能性を 示すものとして注目される。 ⑥8月にインド洋では,ベンガル湾南方の赤道付近に ホットスポットが現れるが,太陽活動不活発年に地球磁 場が弱まり,下層雲量が増加し (Svensmark and Friis-Christensen, 1997),SSTが低温化するというプロセス が推論される。 ⑦8月に,ハワイ南方,赤道上に負相関有意帯が出現 するが,太陽活動強化 〔弱化〕 →南北の太平洋高気圧発 達 〔非発達〕 →赤道付近の東風強化〔弱化〕→赤道湧昇 流の強化 〔弱化〕 →SST低下 〔上昇〕 のプロセスによって 解釈できよう。 ⑧10∼12月には,インド洋北部の正相関有意域が強 度・面積ともにピークとなる。黒潮続流域と南米西方沖 はそれぞれ独立して正相関有意域が発達するものと捉え られる。また,極小年〔極大年〕のこの時期には,ラニー ニャ現象〔エルニーニョ現象に類似した海況〕が発現し やすいことが特筆される。 以上,太陽活動が地球の気候に与える影響について, 2 系統の方法で論述した。今後,そのメカニズムについ て探究していく必要がある。メカニズムに関しては,成 層圏からの下方伝搬理論 (Kodera and Kuroda, 2002) の 導入による解釈とともに,海面から大気への応答という 観点からも検討が必要であろう。それらの探究が進展し たとき,数か月ないし数年先の長期予報の精度が向上に 貢献できるものと考えられる。 謝辞 本研究を遂行するにあたり,遠藤邦彦名誉教授(当時:教 授)には「ハイテクリサーチプロジェクト経費」の一部を使 ある。 ③縮小年の1月には,顕著なブロッキング高気圧が極 東,アラスカ,西欧に生じやすく,日本は暖冬傾向となる。 ④極小年の1月には,北大西洋振動 (NAO) は負フェ イズで,北大西洋に強いブロッキング高気圧が現れやす い。極小年のQBO東風フェイズで成層圏突然昇温が起

こりやすいこと (Labitzke and van Loon, 1988) と関連す るので,興味深い。 ⑤増大年の7月には,オホーツク海高気圧が現れるこ とがあり,小笠原高気圧が弱く,梅雨前線が活発という 状況となる。梅雨明け後には,北太平洋高気圧は北偏強 化し,チベット高気圧は日本へ強く張り出しやすくなる ので,暑夏傾向となる。増大年7月における 日本∼華 北∼中東∼地中海地域における猛暑・干ばつ傾向は,増 大年8月の中央アジアを中心に南北に連なる乾燥帯 (山 川,1998) との関連性がみられる。 ⑥極大年の7月には,北太平洋高気圧の日本付近へ平 年並みに張り出すが,チベット高気圧も東方張り出しが 強く,猛暑傾向となる。中央アジアは,高気圧圏内に入 りやすく,干ばつ傾向であることを示すが,増大年8月 の乾燥域 (山川,1998) と類似している。 ⑦縮小年の7月には,北太平洋高気圧の日本付近への 張り出しは南方から徐々に進行し,チベット高気圧の東 方張り出しは強く,日本では梅雨明け後に猛暑傾向とな る。アジアの広域にみられる低気圧傾向は,縮小年8月 に日本とチベットにみられる湿潤域 (山川,1998) に繋 がる。 ⑧極小年の7月には,チベット高気圧の東方張り出し は強いが,極東リッジとオホーツク海高気圧が現れやす く,日本は冷夏傾向となる。極小年7月の日本における 冷夏・多雨傾向は,8月の日本ならびに南アジア・東南 アジアにみられる湿潤傾向 (山川,1998) に移行する。 (2)太陽活動と海面水温との相関関係 ①通年で,正相関域が負相関域を上回っており,有意 域の出現面積も正相関の方が約5 倍の出偏状況を示す。 この結果は期間を代えて検討した解析 (Yamakawa et al., 2015) と整合性がある。南極海は例外的に約 9割が負相 関でその値は2月を中心に高まり,有意域も拡大する。 ②1∼3月には,黒潮続流域,ハワイ諸島付近の亜熱 帯,オーストラリア南東方沖の正相関有意域が顕著であ る。特に,3月にはインド洋∼南シナ海∼黒潮流域の正 相関有意帯が卓越する。 ③4∼5月には,インド洋方東部から南シナ海の正相 関有意域が卓越し,モンスーンの開始時期に当たり,太

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山川 修治・大石 徹也

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わせていただくとともに,終始励ましをいただきました。ま た,吉井敏剋元教授には解析図示手法に関して有益なご教示 をいただきました。さらに,佐野清文非常勤講師には,種々 の適切なコメントをいただきました。3 先生に深く御礼申し 上げます。 なお,本稿は第2 著者が日本大学大学院・総合基礎科学研 究科・地球情報数理科学専攻の2003年度修士論文で執筆し た内容に基づいてまとめた。その後11年の時間が経過した が,その発表価値は高まったと判断し本紀要にまとめた次第 である。

参照

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