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長 島 真 人

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Academic year: 2021

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(1)

小学校の音楽科教育における創造的な音楽づくりの学習に関する研究

一総合的な学習への発展の可能性をみすえた学習指導のあり方を視点としてー

教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース 上 田 光 江

はじめに

21世紀を迎え,変化の激しい社会を子どもた ちが生きぬいていくために,学校教育において

「生きる力」を育むことが課題となっている。

そこで,本研究では,このような「生きる力」

を育むことをめざし 小学校高学年の児童を対 象として,創造的な音楽づくりの学習の題材,

および音楽の学習で、培った「生きる力」の基礎 が,深化・拡充していく「総合的な学習の時間」

の単元を構想する。そして,分かち合いを促す 具体的な実践を通して,子どもたちの学習状況 や指導過程等を検討することを目的とする。

1 .分かち合いを促す学校教育の本質と課題 学校とは関わり合い,学びあいながら,真理・

真実を探究し,分かち合う場所であり, •

r

生きる 力jを育みあう場所である。このような学び合 う共同体を形成することが,学校教育の本質で あるといえる。「生きる力」を育む学校の教育課 程は,教科等の学習と「総合的な学習の時間」

とに区分される。中でも総合的な学習の時 間 」 は 内 容 知J

r

自分知J

r

方法知」とし、う三 つの資質・能力が検討されるべきである。また,

教科等と「総合的な学習の時間Jとの関係は,

「基礎・基本」と「応用,発展」というように 明確に区分される側面がある一方,具体的な場 面における双方の学習指導の原理は同じである といえる。したがって,教科等で、培った資質・

能力を「総合的な学習の時間Jに援用していく

指 導 教 官 長 島 真 人

た め に は 内 容 知J

r

自分知J

r

方法知」に基づ いて検討したどのような資質・能力が「総合的 な学習の時間」へ応用,発展していくのかを特 定する必要がある。このように,資質・能力と いう観点に着目することによって,教科等と「総 合的な学習の時間」の関連もまた明らかになる

と考えられる。

II. 小学校の音楽科教育における

創造的な音楽づくりの学習 創造的な音楽づくりの学習は遊び」にみ られる特徴をそなえているべきであり音楽 とは何か」ということを問い直し,見えないも のを想像する力を取り戻そうとする学習であ るといえる口また,分かち合う力を育む学習で あるということを教師が認識したうえで, K.  スワンウィックの音楽的発達の螺旋状過程の モデ、ルを学習展開のモデルとして転用するこ とによって,教師は一人一人の子どもたちの音 楽的な成長を見極め,個人遊びや集団遊びを促 すための学習過程を構想することが可能にな

ると考えられる。

さらに,創造的な音楽づくりの学習において 培われるべき資質・能力を「総合的な学習の時 間」において獲得される「内容知J

r

自分知」

「方法知」に接近していくとしづ見地からとら え直し,特定した。本研究では,これらの資質・

能力を「芸術的認識力J

r

自己認識力J

r

文化的 な共同性」と呼ぶことにした。

‑380‑

(2)

m .   r

総合的な学習の時間」への発展の可能性 をみすえた創造的な音楽づくりの学習の 具体的構想

六年生の子どもたちを対象として,竹筒を音 素材とする「森の音楽をつくろう一心を合わせ て一」としづ題材で,音楽そのものをみつめる 対物意識と,対人意識との両方を意識した,分 かち合いを促す創造的な音楽づくりの学習指 導計画を構想した。一方総合的な学習の時 間Jは な ん て っ た っ て 小 松 島 !J というふ るさとをフィールドとする約1年間をかけた 学習を構想した。小単元1 í~義経太鼓』鑑賞 会Jでは,子どもたちの意欲を喚起し,小単元 2 i小松島の町おこしに取り組む人々」の調べ 学習を促した。また,様々なゲストティーチャ ーとの出会いを通して,学習者の状況を考慮、し,

小単元3iひびけ!元祖南校太鼓」を構想したo N.分かち合いの実現をめざした創造的な

音楽づくりの学習指導の試みと考察 本研究においては

r

総合的な学習の時間J への発展をみすえた創造的な音楽づくりの学 習の題材や「総合的な学習の時間」の単元を 構想,実践し,結果の検討を行ったO その結 果,創造的な音楽づくりの学習において,子 どもたちに培われた「芸術的認識力J

r

自己認 識力J

r

文化的な共同性」は,それぞれ「総合 的な学習の時間」で育むべき「内容知J

r

自己 知J

r

方法知Jへと応用,発展されていったこ とが,二つの実践を通して明らかになった。

このことから,子どもたちが取り組む課題は,

「総合的な学習の時間J と教科等の学習にお いて,それぞれ単独に成立しており,しかも,

双方において期待されている資質・能力に着 目することによって,教科で培われた資質・

能力が

r

総合的な学習の時間jへと発展し,

関連づいていたことが確認された。今後さら に検討するべき課題としては

r

総合的な学 習の時間」において,音楽による表現活動が なくても,音楽科の学習が応用,発展される ような「総合的な学習の時間」の具体像や,

「総合的な学習の時間」から音楽科の学習へ と応用,発展していくカリキュラムの具体像 を追求していくことが考えられる。

おわりに

本研究の中で総合的な学習の時間」へと 発展していく資質・能力を特定して,音楽授業 を行うことによって,教科等と「総合的な学習 の時間」との関連を明らかにすることができた。

また,授業実践を通して,次のような資質・能 力が,教師に求められることが推察される。第 一は,子どもたちの探究する具体的な事物・事 象の中に,子どもたちの「生きる力Jを育む価 値内容を特定するために必要とされる知識や,

解釈力である。第二は,子どもたちの現状を把 握したうえで,教科等の学習と「総合的な学習 の時間」において育むべき資質・能力を特定で きる力である。第三は,子どもたちの学習状況 を把握し,教科等の授業を構想すると同時に,

子どもたちの生活の現実をふまえた「総合的な 学習の時間」の単元を構想する力と,これらを 実践する力である。第四は,子どもたちに分か ち合いを促す学習指導の技である。第五は,教 師自身が,仲間の教師達と,そして子どもたち と共に,学び合う共同体を築いていく力である。

これらの資質・能力は,これからますます教師 に求められることになるであろう。今後,本研 究によって得ることができた知見を,実践の場 で生かすとともに 教師に求められる資質・能 力を身につけるように研鎖をつむことが課題 である。

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参照

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