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定時制高校スクールソーシャルワーカーによる生徒支援の実践プロセス

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Academic year: 2022

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人間科学研究 Vol. 29, Supplement(2016)

修士論文要旨

定時制高校スクールソーシャルワーカーによる生徒支援の実践プロセス

The practice of school social workers in part time high schools

小坂  陽(Yo kosaka)  指導:川名 はつ子

1.背景

 現在、不登校や暴力行為等学校における課題が社会問題 となっている。こうした課題に対応すべく、2008年度から スクールソーシャルワーカー(以下SSWer)活用事業が始 まった。SSWerは、「教育分野に関する知識に加え、社会 福祉分野等の専門的な知識・技術を用いて問題を抱える児 童生徒等への支援を行う専門職」である(文部科学省、

2008)。SSWerは小・中学校を中心に配置が進められてき たが、定時制高校を中心に、高等学校においても生徒の抱 える課題の存在が指摘されている。こうした課題に対し、

SSWerによる生徒支援が期待されており、少ないながらも 高校生を対象としたスクールソーシャルワーク実践が始 まっている。

 一方で、学校にSSWerを導入する上での課題も指摘され ている。学校には外部の者を容易に受け入れ難い教員集団 の「仲間意識」や学校の「閉鎖性」が存在し(宮之原、2008)、

こうした学校特有の「学校文化」(志水、2006)がSSWer の活動を困難なものにしている可能性がある。そのため、

SSWerのような異職種が学校に入る上ではこうした学校 の特徴を捉え、理解することが必要である(山野、2009)。

2.問題と目的

 高等学校においても、こうした課題が存在する可能性が ある。しかしながら、高等学校における実践上の課題や、

SSWerの取り組みに関する研究は少ない。そこで、本研究 においては特に生徒支援のニーズが高いとされる定時制高 校のSSWer対象にインタビュー調査を実施し、入職直後に おける課題やそれに対する取り組みについて明らかにする。

その結果から、SSWerを導入した望ましい生徒支援体制の 在り方を検討することを目的とする。

3.方法

 定時制高校における勤務経験を有するSSWer5名を対 象者とした。対象者はそれぞれの学校において最初に入職 した学校配置型SSWerである。半構造化面接を実施し、IC レコーダーで録音後逐語録を作成、木下(2005)が提唱し たM-GTAを用いて分析を行った。本研究は早稲田大学研 究倫理委員会の承認を経て実施した(承認番号:2015-048)。

4.結果

 SSWerは《入職初期の課題認識》を経て《課題への取り

組み》を行なっていた。その結果《実践環境の改善》がも たらされる一方で《依然として残る課題》も存在し、また

《新たに発現した課題》にも直面していた。こうした課題や 取り組みの背景には、《生徒支援上の促進要因》と《生徒支 援上の阻害要因》が存在しており、課題認識や取り組みに 影響を与えていると考えられる。

5.考察

 SSWerが行う《課題への取り組み》によって実践環境に 変化が見られた部分もあった一方で、「相談体制の不備」に 関してはSSWerの取り組みだけでは改善が難しいと考え られる。学校の形態や抱える課題を踏まえ、SSWerが入職 する以前に導入を決定する教育委員会と、導入される学校 が検討を行ない、配置場所や情報共有体制の整備を行って いく必要があると考えられる。また、SSWerの導入を決め る教育委員会が、学校ごとにどのような生徒支援のニーズ が存在するのかを把握した上で、学校とともに戦略的に導 入を考えるなど、SSWer導入以前の段階において教育委員 会・学校間で密な検討が必要であると考えられる。横浜市

(2015)のような、生徒支援専門教員の加配も有効であろう。

 また、文科省(2008)が「教職員などへの研修活動」を 役 割 と し て 位 置 づ け て い る 一 方 で、 今 回 の 調 査 で は

「SSWerの役割の説明」が理解されないことも語られた。先 行して導入されたSCなどの他の相談職との違いが難しい こと、環境に働きかけるというSSWerの特徴がそもそもイ メージしづらいことなどが原因として考えられる。一方、実 践を通して評価を獲得し、相談が増加していることから、実 際にSSWerのニーズはあると考えられる。説明を行うこと も重要であるが、SSWerが取り組む具体的な実践内容や扱 う課題を決め、実践を積むことや、具体的にどのような課 題に対応できるかなど、教職員から見てイメージしやすい 役割を示していくことも必要である。

6.課題

 今回触れられなかった、教員とSSWerがうまく連携し実 践を行っている事例からの高校におけるスクールソーシャ ルワークの在り方の検討、高校におけるSSWer活用事業に 関わる教員や教育委員会の指導主事から見た事業の在り方 への検討、他の配置形態における検討は今後必要であると 考えられる。

参照

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