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人間らしい振る舞いを自動獲得するゲームAI に関 する研究

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人間らしい振る舞いを自動獲得するゲームAI に関 する研究

著者 藤井 叙人

URL http://hdl.handle.net/10236/00025224

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2015 年度 博士論文要旨

人間らしい振る舞いを自動獲得するゲーム AI に関する研究

関西学院大学大学院 理工学研究科 人間システム工学専攻 片寄研究室 藤井叙人

本論文は,人間らしい振る舞いを表出するエージェント(ゲームAIが制御するキャラクタ)を,

機械学習手法により自動的に獲得するゲームAIの開発を目的としたものである.

ビデオゲームにおけるエージェントの振る舞いの自動獲得において,「人間の熟達者に勝利する」

という長年の目標が達成されつつある.「強さを追求したゲームAI」は,人智を凌駕するコンピュー タの実現に多大な功績を残している一方で,これらのゲームAIが獲得したエージェントの振る舞い は過度に最適化されているため,人間プレイヤにとって機械的に映るという問題が浮き彫りになっ ている.ゲーム情報学領域における次のステップとしては,「人間らしい知性を再現すること」,す なわち,十分に強くなったゲームAIに如何にして「人間らしさ」を持たせるか,ゲームAIと一緒 に遊んだ人間プレイヤを如何にして「楽しませる」かが重要なテーマの一つとなっている.

特にビデオゲーム業界では,プレイフィール(プレイ時の感覚や印象)を決定づける要因の一つ であるゲームAIの存在を無視することはできない.ユーザ数の増加,ひいては,売上の増加には,

人間らしいゲームAI,人間プレイヤを楽しませるゲームAIの実装が欠かせない.そのため,市販 ビデオゲームでは,プログラマの経験に基づく綿密な作り込みと,数多くのデバッグプレイを繰り 返すことにより,プレイヤのレベルにあわせた難易度の調整を含めたゲームAIの振る舞いのデザ インがなされてきたが,その作業は極めて煩雑であり,リアリティを追求すると開発コストが膨大 とならざるをえない.人間らしく振る舞うエージェントを機械学習により自動獲得するゲームAI の試みもいくつか報告されているが,「人間らしさ」は個人性が強い項目であることも影響して,人 間らしいと思われる振る舞いの定義をどうするか,及び,人間らしさをどう評価するかという課題 に直面している.

本研究では,人間らしい振る舞いを表出するエージェントを,開発者のヒューリスティックに頼っ て実現するのではなく,機械学習手法によって自動的に獲得するゲームAIの開発を目標とした.人 間らしく振る舞うゲームAIの構成要素を検討した上で,人間プレイヤに戦略レベルで適応するゲー ムAIと,生物学的制約に基づく人間的なゲームAIの構築を目指した.まずは,戦略型ビデオTCG を対象に,戦略を自動学習する戦略学習機構としてゲームAIを実装した.戦略学習における困難性 として,部分観測に起因した巨大な状態空間が挙げられるが,サンプリング手法や,ゲームの特徴 を考慮した次元圧縮により解決した.戦略学習機構の評価として,ルールベース戦略を相手に学習 実験を実施し,戦略学習機構が様々な戦略への適応できていること,魔法や罠などの特殊効果に起 因する新たなルールの追加にも対応できていることを示した.次に,アクションゲームの“Infinite Mario Bros.”を学習対象とし,『人間の生物学的制約』を導入した機械学習及び経路探索により,人 間らしい振る舞いを表出するゲームAIを実装した.人間の生物学的制約としては「身体的な制約:

“ゆらぎ”,“遅れ”,“疲れ”」,「生き延びるために必要な欲求:“訓練と挑戦のバランス”」と定義し,

獲得されたエージェントの振る舞いが人間らしいかどうかを主観評価実験により検証した.実験結 果から,生物学的制約を導入したゲームAIは,人間プレイヤよりも人間らしいと評定されること が確認できた.しかしながら,これらエンタテインメント系システムの主観評価実験では,ユーザ のシステムに対する経験や知識,実験手順が結果に大きく影響するため,実験の信頼性を確保する ことが非常に難しい.そこで,ユーザ統制や実験手法による主観評価実験の信頼性確保を最終目的 とし,その足掛かりとして,エンタテインメント性を公正に評価するために考慮すべき統制視点に ついて議論した.具体的な実験計画として,アクションゲームの“ヨッシーアイランド”のプレイ 動画視聴における主観評価実験を実施し,その評定結果と発話プロトコル分析から,実験参加者間 の評定結果の差異,及び,実験参加者内での評価基準の変化が生じる例を示した.

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