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* 非会員 福島大学共生システム理工学類(Faculty of Symbiotic Systems Science, Fukushima University) 第 1 章 研究の背景と目的 2011 年 3 月の福島第一原子力発電所事故(以下、原発事 故)の発生に伴って、福島県は重大かつ深刻な放射能被害 を受けることになった。特に、田村市、南相馬市、川俣町、 大熊町、双葉町、富岡町、浪江町、広野町、楢葉町、川内 村、葛尾村、飯舘村の 12 市町村(以下、被災 12 市町村) では、警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域の いずれかに指定され、住民は避難を余儀なくされた。緊急 時避難準備区域については、2011 年 9 月に、田村市、南相 馬市、楢葉町、川内村、広野町の 5 市町村で解除されたが、 その他の区域については、2012 年 4 月の避難指示区域の見 直しの実施に伴い、帰還困難区域、居住制限区域、避難指 示解除準備区域に再編された。その後、2014 年 4 月には田 村市、同年 10 月には川内村の一部、2015 年 9 月には楢葉 町で避難指示が解除され、2016 年 6 月には川内村、葛尾村 の一部、同年 7 月には南相馬市の一部で解除されている(図 1)。政府は、2017 年 3 月までに、すべての居住制限区域と 避難指示解除準備区域を解除することを予定しており、現 在のところ、2017 年 3 月に飯舘村と川俣町で解除すること が決定されている。 政府は、避難指示の解除の要件として、①年間積算線量 20mSv 以下となることが確実であること、②電気、ガス、 上下水道、主要交通網、通信など日常生活に必須なインフ ラや医療・介護・郵便などの生活関連サービスがおおむね 復旧し、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に 進捗すること、③県、市町村、住民との十分な協議を掲げ ている 1)。上記の避難指示が解除された地域は、これらの 要件を満たした地域ということになり、安全に安心して生 活できる程度に放射能汚染が解消され、日常生活に困らな い程度にインフラが復旧した地域ということになる。しか し、現実には、20mSv 以下になったとはいっても、相対的 に空間放射線量率は高く、また、公共インフラは復旧して いても、店舗や医療・福祉施設などの生活インフラは十分 に復旧したとは言い難い状況にある。 本研究は、こうした避難指示が解除された地域における 住民の生活実態の一端を把握することを目的として、福島 県田村市都路地区における買い物行動を明らかにすること を目的とするものである。既往研究としては、原子力災害 被災地域における地域産業、中小企業の現状と課題につい 図 1.避難指示区域等と公設民営商業施設の位置

原子力災害被災地域における買い物行動に関する研究

-避難指示が解除された福島県田村市都路地区を事例として-

A study on shopping behavior in areas affected by nuclear disaster

- A case study of Miyakoji District, Tamura City, Fukushima Prefecture -

木下 佑樹*・川﨑 興太**・藤本 典嗣***・吉田 樹**** Yuki Kinoshita*, Kota Kawasaki**, Noritsugu Fuijimoto***, Itsuki Yoshida**** This study discusses the shopping behavior in Miyakoji District, Tamura City, Fukushima Prefecture where the evacuation order was lifted after Fukushima Nuclear Power Plant accident. This study points out that not a few residents have shopping problems and it is concerned that the number of people with limited access to shopping facilities will increase in the near future although restoration projects of shopping environment are implemented. Finally, it points out that it is important to consider shopping support programs based on the actual conditions of life and residents’ needs in areas where the evacuation order was lifted.

Keywords: Nuclear accident, Evacuation order, People with limited access to shopping facilities, Revitalization, Fukushima 原発事故, 避難指示, 買い物弱者, 復興, 福島

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て考察した関(2016)2)、川内村を事例とした原子力災害被 災地域における被害者の生活再建と地域再生の課題につい て考察した徐本ら(2015)3)などが挙げられる。しかし、原 子力災害被災地域における買い物行動を分析・考察した研 究は見当たらない。 第 2 章 商工業再開状況と買い物環境の復旧事業 第 1 節 避難指示区域等が設定された地域における商工会 会員の事業再開状況 避難指示区域等が設定された地域における商工会会員の 事業再開は、依然として遅れている状況にある。2016 年 9 月時点で商工会会員に加盟している事業所数は 2,747 事業 所であるが、事業再開数は 1,651 事業所で、再開率は 60% となっている。そのうち、地元で再開された事業所数は 623 事業所で 38%となっており、残りの 62%にあたる 1,028 の 事業所は地元外での再開となっている。住民の帰還が進ま ないことのほか、事業者の高齢化や後継者不足などもあり、 事業再開率に加え、地元での再開率が低いままとなってい る(1) 第 2 節 避難指示区域等が解除された地域における買い物 環境復旧事業の実施状況 避難指示区域等が設定された地域では、避難指示が解除 された地域を中心に、避難者の帰還を促し、帰還した住民 の買い物利便性を向上させるため、さまざまな取り組みが 行われている。 (1)店舗の営業再開支援 2015 年 8 月に創設された国・県・民間のメンバーからな る福島相双復興官民合同チームは、2016 年 9 月現在、避難 指示区域等が設定された地域の約 4,200 件の事業者を訪問 し、事業再開に向け、補助金の交付や従業員の確保、帰還 するための支援を行っている4)。このうち、将来、地元で 事業再開したいという事業者は 43%(既に地元で事業再開 済みの方を含む)となっている4)。2016 年の 1 年間で 46 の事業者が、避難指示区域等が解除された南相馬市、楢葉 町などに帰還して営業再開に至っている5) (2)公設民営商業施設の開設 避難指示区域等が解除された田村市、南相馬市、広野町、 楢葉町、川内村の 5 市町村では、復興に向けた商業機能の 確保や買い物支援の充実を目的に、経済産業省や復興庁、 福島県から助成を受け、公設民営方式による商業施設が開 設されている(図 1)。また、今後、避難指示の解除が予定 されている浪江町、富岡町でも公設民営方式による商業施 設が開設されている。 (3)移動販売・宅配販売の支援 避難指示区域等が解除された地域では、帰還した住民は 高齢者が多いことから、買い物支援事業が積極的に行われ ている。楢葉町、葛尾村では、それぞれ地元の商店街が、 アサヒグループホールディングス株式会社が主催で福島県 が共催のアサヒビール商業コミュニティ助成事業、福島相 双復興官民合同チームの助成を受け、帰還した住民の生活 再建を目的に無料で宅配サービスを行っている。田村市で は、セブンイレブンが帰還支援として移動販売を事業化し、 都路地区内で巡回をしている。 (4)移動手段の確保 移動手段の確保については、応急仮設住宅に避難をして いる住民に対して行われることが多いが、葛尾村では、帰 還者向けサービスとして、村の補助金のもとに、田村市の 指定場所まで無料でのデマンド交通が行われている。 第 3 章 田村市都路地区における避難・帰還の状況と買い 物環境の状況 第 1 節 田村市都路地区における避難・帰還の状況 田村市都路地区とは旧都路村であり、2005 年 3 月に船引 町、常葉町、滝根町、大越町との 5 町村の合併により、田 村市の一部となった地域である。田村市の東部に位置する 中山間地域であり(図 1)、55 歳以上の人口が集落人口の 50%を超え、近い将来に限界集落となることが予想されて いる、いわゆる準限界集落である(2)6) 田村市都路地区は、原発事故の発生に伴って、福島第一 原子力発電所から 20km 圏内は警戒区域(後に避難指示解 除準備区域)に指定されて 380 人の住民が避難を強いられ、 30km圏内は緊急時避難準備区域に指定されて2,621人の住 民の多くが「自主的に」避難することになった。その後、 原子炉施設の安全性などを踏まえて、2011 年 9 月には緊急 時避難準備区域が解除され、また、放射能の自然減衰や除 染の実施に伴う放射線量の低下、インフラの復旧状況等を 踏まえて、2014 年 4 月には避難指示解除準備区域が解除さ れた。 都路地区の全域において避難指示等が解除されてから 2 年半が経過した2016年9月現在、帰還者は1,616人であり、 現在の都路地区の人口に対する帰還率は 64%(原発事故前 の人口の 54%)である(表 1)。避難指示区域等が設定され た他の市町村と比べて帰還率が高くなっているが(3)、これ は、ほとんどの住民が田村市の中心部である船引地区に避 難したためだと考えられる。都路地区の住民の年齢層につ いては、2011 年 3 月時点での住基登録人口によると、60 歳以上の高齢者の割合は 40%であるのに対し、2016 年 9 月現在では 47%と高い割合を示している。さらに、帰還し た住民については、60 歳以上の高齢者の割合は 55%となっ ており、帰還している住民は高齢者が多い状況となってい る(図 2)。 表 1.都路地区における住民帰還状況 第 2 節 田村市都路地区における買い物環境の状況 都路町商工会に加盟している小売店の数は、原発事故前 帰還者 帰還率 2011年3月時点 2016年9月時点 2016年9月時点 2016年9月時点 世帯数 121 108 81 75% 人口 380 320 232 73% 世帯数 873 798 537 67% 人口 2,621 2,198 1,384 63% 世帯数 994 906 618 68% 人口 3,001 2,518 1,616 64% 旧緊急時 避難準備区域 合計 住基登録人口 避難指示区域 項目 旧避難指示 解除準備区域 資料提供:田村市役所

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図 2.都路地区の住民の年齢層 が 23 店舗であったが、2016 年 9 月現在 18 店舗であり、小 売店の地元での営業再開率は 80%程度となっている(4) 買い物環境の主な復旧・復興事業としては、2013 年 9 月 から帰還支援として事業化されたセブンイレブンによる移 動販売がある。2014 年 4 月には公設民営方式の都路町商業 施設ど~もが、帰還した住民の生活安定を目的に経済産業 省や福島県から助成を受け、岩井沢地区と古道地区で開設 された(図 3)。また、2015 年 7 月には、都路地区で初とな るコンビニエンスストアのファミリーマートが、復興庁や 福島県、田村市から助成を受け、社会貢献事業として開設 されている。さらに、2016 年 3 月には、みやこじスイーツ ゆいが復興庁や福島県から助成を受け、開設されている。 図 3.都路地区における店舗の新設状況 写真 1.公設民営商業施設 写真2.コンビニエンスストア 第 4 章 田村市都路地区における買い物行動実態調査 第1節 調査の概要 田村市都路地区における住民の生活実態を把握し、買い 物行動を明らかにするため、2016 年 9 月 11 日から 9 月 17 日にかけて、避難指示等の解除後に都路地区に帰還した住 民を対象として、買い物行動に関する訪問式アンケート調 査を実施した(表 2)。回収数は 175 件(世帯)であり、仮 に2016 年9 月時点で都路地区に帰還している世帯数の618 世帯を母数とすれば、回収率は 28%である。 表 2.アンケート調査の概要 第 2 節 調査の結果 以下では、アンケート調査の結果に基づき、田村市都路 地区における住民の買い物行動の実態について分析する。 1.回答者の属性 (1)性別 回答者の性別について は、男性が 40%、女性が 58%で、女性の割合が高 い(図 4)。 (2)年齢 回答者の年齢につい ては、60 代、70 代が 22%で最も高い(図 5)。 60 代以上の割合が 67%を占めている。 (3)世帯構成 世帯構成については、 親子が 42%で最も高い (図 6)。次に高いのが、 夫婦のみで 24%、次が、 3 世代で 15%であり、単 身は 13%である。 (4)自動車免許の有無 自動車免許の有無につ いては、ありが 69%、な しが 29%で、ありが 2/3 を占めている(図 7)。 (5)送迎する人の有無 送迎する人の有無につ いては、都合が合えば送 迎を頼める人がいるが 46%で最も高い(図 8)。 いつも送迎を頼める人が いるは 29%、送迎を頼め る人がいないが 20%で ある。 29% 46% 20% 5% いつも 送迎を 頼める 人がいる 都合が合えば送迎を 頼める 人がいる 送迎を 頼める 人はい ない 無回答 (n = 175) 図 8.送迎する人の有無 図 7.自動車免許の有無 69% 29% 2% 自動車免許あり 自動車免許なし 無回答 (n = 175) 図 6.世帯構成 13% 24% 42% 15% 2% 4% 単身 夫婦のみ 親子 3世代 4世代 無回答 (n = 175) 図 4.性別 40% 58% 2% 男性 女性 無回答 (n = 175) 資料提供:田村市役所 目的 対象 調査項目 方法 実施期間 避難指示等の解除後に都路地区に帰還した住民とする。 1.回答者の属性 2.日常の買い物状況について 3.日常の外出状況について 2016年9月11日~9月17日 回収数 175世帯 ※2016年9月時点で都路地区に帰還している世帯数の618世 帯を母数とすれば、回収率は28%。 訪問式アンケート調査 田村市都路地区に帰還した住民の買い物行動を明らかにする ことを目的とする。 7% 5% 4% 9% 8% 6% 9% 7% 5% 8% 8% 6% 11% 9% 8% 16% 16% 16% 14% 19% 23% 14% 13% 15% 10% 12% 14% 2% 3% 3% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 住基登録人口 2011年3月時点 (n=3,001) 住基登録人口 2016年9月時点 (n=2,518) 帰還者 2016年9月時点 (n=1,616) 0~9歳 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80~89歳 90~99歳 2%4% 8% 18% 22% 22% 21% 2% 1% 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80~89歳 90~99歳 無回答 (n = 175) 図 5.年齢

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2.日常の買い物状況について (1)食料品の買い物状況 食料品の買い物状況については、原発事故前は 62%、現 在は 56%の住民が主に自分自身で買い物に出かけている (図 9、10)(5)。自動車免許の有無別に見ると、自動車免許 なしの住民が主に自分自身で買い物に出かけるのは、原発 事故前は 46%、現在は 32%で、自動車免許ありの住民と 比べて低く、原発事故前、現在ともに 50%程度の住民が主 に家族に任せている。また、現在の住民の 9%、自動車免 許なしの住民の 22%が移動販売を利用することが多いと いう状況にあり、その割合は原発事故前に比べて増加して いる。 図 9.原発事故前の食料品の買い物状況 図 10.現在の食料品の買い物状況 (2)食料品の買い物をする場所 主に自分自身で食料品の買い物に出かけると回答した住 民の食料品の買い物をする場所については、原発事故前は 66%、現在は 80%の住民が田村市の中心部である船引地区 で買い物をしている(図 11)。原発事故前に比べ、現在、 船引地区での割合が高くなっているのは、原発事故前は大 熊町で買い物をしていた住民が、大熊町では避難指示が継 続しているため、船引地区に場所を移したことが大きい。 都路地区内で食料品の買い物をしている住民の割合は、 先述の買い物環境復旧事業の実施にもかかわらず、原発事 故前、現在も 15%程度である。ただし、自動車免許の有無 別に見ると、自動車免許なしの住民は、自動車免許ありの 住民と比べて、原発事故前、現在ともに田村市都路地区で 買い物をする割合が 30%~40%で高くなっている。 図 11.原発事故前と現在の食料品の買い物をする場所 (3)食料品の買い物頻度 主に自分自身で食料品の買い物に出かけると回答した住 民の食料品の買い物頻度については、原発事故前と現在で あまり変化はない(図 12)。自動車免許の有無別に見ても、 あまり違いはなく、現在では、週に 2~3 回の割合が 52% と最も高く、次に週に 1 回が 29%と高い。 図 12.原発事故前と現在の食料品の買い物頻度 (4)買い物時の利用交通手段 主に自分自身で食料品の買い物に出かけると回答した住 民の買い物時の利用交通手段については、原発事故前は 73%、現在は 82%の住民が自家用車である(図 13)。自動 車免許の有無別に見ると、自動車免許なしの住民の場合、 家族や同行者が運転する自動車の割合が、原発事故前は 31%であるのに対して、現在は 50%と高くなっている。 図 13.原発事故前と現在の買い物時の利用交通手段 66% 71% 48% 50% 80% 84% 56% 67% 14% 10% 31% 16% 13% 38% 5% 4% 13% 2% 3% 11% 13% 50% 1% 4% 1% 1% 1% 33% 2% 1% 4% 1% 6% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=109) 自動車免許あり (n=84) 自動車免許なし (n=23) 自動車免許無回答(n=2) 合計(n=98) 自動車免許あり (n=79) 自動車免許なし (n=16) 自動車免許無回答(n=3) 原発事故前 現在 田村市船引地区 田村市都路地区 田村市常葉地区 大熊町 三春町 郡山市 無回答 62% 69% 46% 50% 33% 26% 50% 25% 1% 2% 1% 1% 2% 2% 3% 1% 1% 25% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 原発事故前 主に自分自身で食料品の買い 物に出かけていた 主に食料品の買い物は家族に 任せていた 食料品の買い物は移動販売を 利用する こ と が多かっ た 食料品の買い物は宅配サービ スを 利用する こ と が多かっ た 震災・ 原発事故以前は、 都路 外に居住し ていた 無回答 56% 65% 32% 75% 35% 31% 46% 25% 9% 4% 22% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 現在 主に自分自身で食料品 の買い物に出かける 主に食料品の買い物は 家族に任せている 食料品の買い物は移動 販売を 利用する こ と が 多い 73% 93% 9% 50% 82% 99% 67% 9% 2% 31% 50% 10% 1% 50% 33% 8% 1% 35% 3% 19% 3% 2% 4% 1% 6% 2% 9% 1% 6% 1% 1% 1% 4% 1% 4% 1% 6% 2% 1% 4% 2% 13% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=109) 自動車免許あり (n=84) 自動車免許なし (n=23) 自動車免許無回答(n=2) 合計(n=98) 自動車免許あり (n=79) 自動車免許なし (n=16) 自動車免許無回答(n=3) 原発事故前 現在 自家用車 家族や同行者が運転す る 自動車 徒歩 自転車 路線バス 送迎バス タ ク シ ー その他 無回答 注:自動車免許の有無については、アンケート調査の実施時点での免許 の有無を示している。 6% 4% 13% 8% 8% 13% 51% 49% 57% 100% 52% 51% 56% 67% 31% 34% 26% 29% 29% 19% 33% 6% 8% 8% 9% 6% 2% 1% 4% 2% 3% 2% 2% 2% 2% 1% 6% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=109) 自動車免許あり (n=84) 自動車免許なし (n=23) 自動車免許無回答(n=2) 合計(n=98) 自動車免許あり (n=79) 自動車免許なし (n=16) 自動車免許無回答(n=3) 原発事故前 現在 週に5回以上 週に2~3回 週に1回 2~3週間に1回 月に1回 特に決ま っ ていない 無回答

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(5)買い物に関する活動変化の有無 買い物に関する活動変化の有無については、原発事故前 と現在を比較して、なにかしら買い物活動が変化した住民 の割合は 69%である(図 14)。自動車免許の有無別に見る と、自動車免許ありの住民の方が自動車免許なしの住民に 比べ、変化した割合が 10%程度高くなっている。 図 14.買い物に関する活動変化の有無 (6) 買い物に関する活動変化の内容 買い物に関する活動変化の内容については、原発事故前 に比べコンビニエンスストアの利用が増えた住民の割合が 33%で最も高く、自動車免許ありの住民では 41%となって いる(表 3)。次に高いのが、移動販売の利用が増えた住民 の割合で 21%であり、自動車免許なしの住民では 32%とな っている。これらの結果は、原発事故後に、社会貢献事業 として開設されたファミリーマート及び、帰還支援として 事業化されたセブンイレブンの移動販売の影響が大きいと 考えられる。そのほか、自動車免許なしの住民については、 誰かに買ってきてもらうことが増えた住民が 18%と高く なっている。 表 3.買い物に関する活動変化の内容 3.日常の外出状況について (1)外出環境に関する活動変化の有無 外出環境に関する活動変化の有無については、原発事故 前と現在を比較して、なにかしら外出環境が変化した住民 の割合は 55%である(図 15)。自動車免許の有無別に見て も、さほど変わらない。 (2)外出環境に関する活動変化の内容 外出環境に関する活動変化の内容については、原発事故 前に比べ外出頻度が減少した住民の割合が 29%で最も高 く、自動車免許なしの住民では 46%となっている(表 4)。 図 15.外出環境に関する活動変化の有無 表 4.外出環境に関する活動変化の内容 次に高いのが、行きたい場所が少なくなった住民の割合で 19%となっている。 (3)移動手段の利用頻度 移動手段の利用頻度については、自家用車に関しては、 週に 3 日以上の住民の割合が 51%であり、利用しない住民 の割合が 32%である(図 16)。家族や同行者の送迎に関し ては、66%の住民が利用しておらず、路線バス・らくらく 図 16.現在の移動手段の利用頻度 図 17.原発事故前と比較した移動手段の利用頻度の変化 55% 55% 56% 50% 43% 44% 40% 50% 1% 1% 2% 1% 2% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 変化し た 変化し ていない 分から ない 無回答 69% 71% 60% 75% 27% 26% 32% 25% 2% 1% 4% 2% 2% 4% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 変化し た 変化し ていない 分から ない 無回答 はい いいえ はい いいえ はい いいえ はい いいえ ひとりで出かけるようになった 5% 95% 5% 95% 2% 98% 25% 75% 誰かと一緒に出かけるようになった 5% 95% 5% 95% 4% 96% 0% 100% 宅配サービスの利用が増えた 4% 96% 5% 95% 2% 98% 0% 100% 宅配サービスの利用が減った 2% 98% 2% 98% 0% 100% 0% 100% 移動販売の利用が増えた 21% 79% 17% 83% 32% 68% 0% 100% 移動販売の利用が減った 1% 99% 0% 100% 0% 100% 25% 75% 買い物に出かける頻度が増えた 7% 93% 10% 90% 2% 98% 0% 100% 買い物に出かける頻度が減った 9% 91% 9% 91% 6% 94% 25% 75% 誰かに買ってきてもらうことが増えた 7% 93% 3% 97% 18% 82% 0% 100% 誰かに買ってきてもらうことが減った 0% 100% 0% 100% 0% 100% 0% 100% コンビニエンスストアの利用が増えた 33% 67% 41% 59% 10% 90% 50% 50% コンビニエンスストアの利用が減った 2% 98% 1% 99% 4% 96% 0% 100% 行きたい店にいけるようになった 1% 99% 1% 99% 0% 100% 0% 100% 行きたい店にいけなくなった 10% 90% 8% 92% 12% 88% 25% 75% 自動車免許 なし (n= 50) 自動車免許 無回答 (n= 4) 合計 (n= 175) 自動車免許 あり (n= 121) 51% 2% 13% 9% 1% 1% 1% 5% 3% 1% 1% 10% 2% 1% 3% 1% 2% 32% 66% 90% 90% 2% 5% 3% 5% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 自家用車( 自分で運転) 家族や同行者の送迎 路線バス( 郡山行以外) ・ ら く ら く タ ク シー 通常のタ ク シー ( ら く ら く タ ク シ ー以外) 週に3日以上 週に1~2日 月に2~3日 月に1日 月に1日未満 利用し ない 無回答 ( n = 175) はい いいえ はい いいえ はい いいえ はい いいえ 外出頻度が減少した 29% 71% 21% 79% 46% 54% 50% 50% 外出頻度が増えた 15% 85% 21% 79% 2% 98% 0% 100% 自家用車を運転できなくなった 1% 99% 1% 99% 0% 100% 0% 100% 自家用車を運転するようになった 1% 99% 2% 98% 0% 100% 0% 100% 家族や知人等の送迎に頼れなくなった 1% 99% 1% 99% 0% 100% 0% 100% 家族や知人等の送迎に頼るようになった 3% 97% 1% 99% 8% 92% 0% 100% 行きたい場所が少なくなった 19% 81% 17% 83% 22% 78% 50% 50% 行きたい場所が増えた 1% 99% 2% 98% 0% 100% 0% 100% 1ヶ月の交通費が少なく済むようになった 2% 98% 0% 100% 6% 94% 0% 100% 1ヶ月の交通費が多くかかるようになった 11% 89% 16% 84% 0% 100% 25% 75% 外出がおっくうになった 14% 86% 12% 88% 20% 80% 25% 75% 外出したいと思うようになった 3% 97% 2% 98% 6% 94% 0% 100% 自動車免許 無回答 (n= 4) 合計 (n= 175) 自動車免許 あり (n= 121) 自動車免許 なし (n= 50) 11% 5% 1% 1% 69% 76% 80% 79% 17% 5% 3% 3% 3% 14% 16% 17% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 自家用車( 自分で運転) 家族や同行者の送迎 路線バス( 郡山行以外) ・ ら く ら く タ ク シ ー 通常のタ ク シ ー ( ら く ら く タ ク シー以外) 増えた 変わら ない 減っ た 無回答 ( n = 175)

(6)

公益社団法人日本都市計画学会 都市計画報告集 No.15, 2017 年 2 月

Reports of the City Planning Institute of Japan, No.15, February, 2017

タクシー(6)、通常のタクシーに関しては、90%の住民が利 用していない状況にある。なお、これらのいずれの移動手 段についても、原発事故前と比べて利用頻度は変わってい ない(図 17)。 (4)自分自身が「やろう」と思えばできること 自分自身が「やろう」と思えばできることについては、 買い物をはじめ、ほとんどの日常生活の活動に関して、ひ とりで十分にできる住民の割合が 70%以上となっている (図 18)。インターネットで買い物をすることについての み 40%と低くなっているが、できないが困っていない割合 が 42%となっている。 図 18.自分自身が「やろう」と思えばできること (5)公共交通の状況について感じていること 都路地区の公共交通の状況は、船引地区との間で走るバ スが、平日については一日に 6 本、休日については 4 本と なっている。 こうした公共交通の状況について感じていることについ ては、63%の住民が自動車を運転できる、また、24%の住 民が自動車で送迎してもらえることから、公共交通を利用 する必要がないとなっている(図 19)。しかし、自動車免 許の有無別に見ると、自動車免許なしの住民の 14%につい ては、公共交通を利用して移動する必要があるが、不便を 感じることが多いとなっている。 図 19.公共交通の状況について感じていること (6)日常の買い物の問題点の有無と内容 日常の買い物の問題点の有無については、日常の買い物 に問題がある住民の割合は 23%であり、全国の状況と比べ ると少し高くなっている(図 20)(7)。自動車免許の有無別 に見ても、その割合はさほど変わらず、自動車免許なしの 住民が、問題がないと回答している割合が高いのは、主と して家族に、自動車を運転できる者がいる、買い物を任せ ることができる者がいる、送迎してもらえる者がいること によると思われる。 日常の買い物の問題点の内容については、近くにお店が ないという意見が最も高く 15%である(図 21)。 図 20.日常の買い物の問題点の有無 図 21.日常の買い物の問題点の内容 (7)都路地区にほしい商業施設 都路地区にほしい商業施設については、食料品等が買え るスーパーマーケットが最も高く 21%である(図 22)。 図 22.都路地区にほしい商業施設 第 5 章 結論 田村市都路地区では、原発事故前には 23 店舗であった小 63% 89% 50% 24% 7% 68% 25% 1% 2% 2% 8% 5% 1% 14% 2% 2% 2% 3% 1% 6% 25% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 自動車を運転し ているので、 普 段、 公共交通を利用する必要がな い 自動車で送迎し ても ら えるので、 普段、 公共交通を利用する必要が ない 徒歩・ 自転車・ バイ ク 等で行動し ているので、 普段、 公共交通を利 用する必要がない 公共交通を利用し て移動する必要 があるが、 不便を感じ るこ と は少 ない 公共交通を利用し て移動する必要 があるが、 不便を感じ るこ と が多 い その他 無回答 23% 24% 18% 50% 74% 71% 82% 50% 3% 5% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答 (n=4) 問題がある 問題がない 無回答 15% 19% 4% 25% 4% 5% 2% 4% 3% 4% 25% 1% 4% 2% 2% 4% 0% 10% 20% 30% 合計(n=175) 自動車免許あり (n=121) 自動車免許なし (n=50) 自動車免許無回答(n=4) 近く にお店がない 都路地区のお店の 品揃えが悪い 都路地区のお店の 値段が高い 交通手段がない その他 であり、あ まり意味 がないと 思ったた めクロス 集計を行 っていま せん」とい うことで すが、理由 が同じで あること を示すと いうこと が大事な 場合があ ります。こ の場合は、 そうした ことを示 すことが 大事です。 修 正 し ました。 ●なお、母 数を問題 ありと回 答した住 民おかず にすると、 よりシャ ープにな るのでは ないでし ょうか? 複 数 回 答 も あ るため、 母 数 は 問 題 あ り で は なく、全 体 に し ました。 74% 74% 74% 76% 74% 40% 75% 76% 77% 5% 5% 4% 4% 1% 2% 3% 2% 15% 15% 15% 3% 4% 5% 19% 17% 18% 3% 3% 4% 8% 13% 42% 2% 2% 1% 1% 1% 1% 1% 2% 6% 6% 9% 2% 2% 2% 2% 2% 2% 2% 2% 2% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 食料品の買い物に出かけるこ と 日用品の買い物に出かけるこ と 普段着る服の買い物に出かけるこ と 移動販売で買い物をするこ と 宅配サービスで買い物をするこ と イ ンタ ーネッ ト で買い物をするこ と 医師の診察を受けに出かけるこ と 銀行・ 郵便局等でお金をおろすこ と 家族や友人に会いに出かけるこ と ひと り で十分にで き る ひと り で何と かで き る 誰かの助けがあれ ばできる できないが困っ て いない できなく て困っ て いる 分から ない 無回答 ( n= 175 ) 21% 10% 5% 5% 4% 4% 2% 2% 2% 1% 10% 0% 5% 10% 15% 20% 25% スーパーマーケッ ト 娯楽施設 飲食店 病院 総合スーパーマーケッ ト 職場 ド ラ ッ グスト ア 衣料品スーパー 移動・ 宅配販売 ホームセンタ ー その他 ( n= 175 )

(7)

売店は、現在では 18 件に減少しているが、公設民営商業施 設の開設、コンビニエンスストアの開設、民間事業者によ る移動販売などが行われている。特にコンビニエンススト アや移動販売については、自動車免許なしの住民を中心に、 原発事故前と比べて利用機会が増えた住民が一定程度存在 するなど、それらの取り組みはそれなりの効果をあげてい ると考えられる。 他方、日常の買い物に問題がある住民は 23%となってお り、その理由としては、近くにお店がないことが多く挙げ られている。もっとも、この 23%という数値は、多くの住 民は、高齢であっても自分で自動車を運転できる、または、 家族に自動車を運転できる者がいる、あるいは、都合が合 えば送迎を頼める人がいるという状況にある中での数値で あり、逆に言えば、買い物に困らない住民が帰還している 場合が多いと推察される。しかし、住民の年齢や世帯構成 を踏まえると、近い将来において、高齢単身世帯をはじめ とする買い物弱者(交通弱者)の増加が懸念される。 福島県では、2017 年 3 月までに、双葉町と大熊町を除く 市町村において、帰還困難区域を除き、避難指示が解除さ れる予定である。避難指示の解除は、単に居住制限を解除 するものであって、住民の生活再建や町の復旧・復興の実 現を意味するものではない。本研究では、避難指示が解除 された田村市都路地区における買い物行動の分析を行った が、上述の通り、買い物環境復旧事業が実施されているも のの、将来的には買い物弱者が増加することが見込まれる 中で、住民一人ひとりの生活実態と意向をきめ細かく把握 し、避難指示解除地域における買い物支援のあり方を検討 していく必要がある。 【補注】 (1) 商工会会員のデータについては、福島県商工会連合会へのヒアリン グ調査によるものである。 (2) 限界集落とは、65 歳以上の高齢者が集落人口の50%を超え、冠婚葬 祭をはじめ田役、道役などの社会的共同生活の維持が困難な状態に ある集落であり、準限界集落とは、55 歳以上の人口が集落人口の50% を超え、現在は集落の担い手が確保されているものの、近い将来、 その確保が難しくなっている限界集落の予備軍的存在になっている 集落である。 (3) 行政区域の全域に緊急時避難準備区域が設定された広野町の帰還率 は 5 割程度であるが、避難指示区域が設定された楢葉町、川内村、 葛尾村、南相馬市における避難指示が解除された地域での帰還率は 1 ~2 割程度である。 (4) 都路町商工会の小売店のデータについては、都路町商工会へのヒア リング調査によるものである。 (5) 以下の分析において、自動車免許の有無でクロス集計を行っている ものがあるが、これはアンケート調査の実施時点での免許の有無を 示している。 (6) らくらくタクシーとは、田村市船引地区内を、利用者の要望に応じ て自宅などから目的地まで送迎する交通システムのことである。路 線バス等の利便性の低下、商店街等への客足の低下を打開するため に、2006 年4 月から開始されている。 (7) 内閣府「平成22 年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」 において、日常の買い物に不便と回答した割合は 17%となっている。 【参考文献】 1) 原子力災害対策本部(2011)「ステップ2の完了を受けた警戒区域及 び避難指示区域の見直しに関する基本的考え方及び今後の検討課題 について」(2011 年12 月26 日に決定) 2) 関満博(2016)「震災5 年を経過した地域産業、中小企業―津波被災 地と放射能被災地の現状と課題」地域開発,Vol.612,pp.6-10 3) 除本理史、渡辺淑彦(2015)「原発災害はなぜ不均等な復興をもたら すのか―福島事故から「人間の復興」,地域再生へ―」ミネルヴァ書 房 4) 復興庁福島復興局(2016)「福島復興加速への取り組み」(2016 年 11 月) 5) 福島相双復興官民合同チーム(2016)「福島相双復興官民合同チーム の活動状況について」(2016 年12 月26 日) 6) 大野晃(2008)「限界集落と地域再生」河北新報出版センター

参照

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