Title
アルミニウム合金摩擦撹拌スポット接合継手の組織と機械
的性質に及ぼす接合パラメータの影響( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
戸﨑, 康成
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 甲第359号
Issue Date
2009-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33520
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位授与番号 学位授与日付 専 攻 学位論文題目 学位論文審査委員 戸 博 成 康判 工 ( 崎士 (岐阜県) 甲第 359 号 平成 21年 3 月 25 日 生産開発システム工学専攻 アルミニウム合金摩擦撹拝スポット接合継手の組織と機械的性質に及ぼす接合 パラメータの影響 (ElbctofprocessingparzmetersonmicrostruCtureandmechanicalpropertiesofBiction Stirspotwe)dsinaluminiunalloy) (主査)教 授 戸 梶 恵 郎 (副査)教 授 長谷川 典 彦 教 授 王 志 剛 准教授 植 松 美 彦
論文内容の要旨
アルミニウム(Al)の突合せ接合として1991年に英国で開発された摩擦撹拝接合(FrictionStirVelding, FSW)は,ショルダーとブロープから成る回転ツールを接合面に挿入し,摩擦熱によって軟化した材料を授 拝させて接合する固相接合技術である。FSWは従来の溶融溶接が困難な材料の接合が可能,変形が小さい, 機械的性質に優れる,環境負荷が小さいなどの多くの利点を有するので応用範囲が広がりつつある。この FSWを応用した新しい接合法として摩擦撹拝スポット接合(FrictionStirSpotWelding,FSSW)が開発さ れた。Al合金のスポット接合には鋼板と同様に抵抗スポット溶接の適用も可能であるが,鋼板に比べて設 備に要するコストや消費電力が高く,継手品質に問題がある。そこで,FSWの特徴をそのまま有するFSSV が薄板接合手法として期待されている。しかし,この技術は開発されて日が浅いため,FSSW接合継手の強 度や破壊機構に及ぼすツール形状や接合条件の影響に関する系統的な研究はほとんど行われていない。 こうした背景から,本論文では,Al合金A6061材のFSSW接合継手について組織や強度に及ぼす接合パラ メータの影響について検討している。 まず緒論では,「軽量金属材料の利用」,「FSWおよびFSSW」,「FSSWに関する従来の研究」,「本論文の目的 および構成」などについて述べている。 第Ⅰ編では,接合継手の組織と強度に及ぼすツールのブロープ長さ,ショルダー直径および接合条件の 影響について検討している。 第1章では,プロープ長さの異なる3種類のツールを使用し,ツール回転数とツール保持時間を変えて 接合した継手について,最初に断面観察を通じて接合組織を特徴付け,次いで引張せん断試験と十字引張 試験を行い,静的強度に及ぼすプローブ長さと接合条件の影響を検討している。その結果,接合組織はプ ロープ長さ,ツール回転数およびツール保持時間に依存することを明らかにし,ショルダー痕下の上板厚 さとナゲット寸法という接合組織における2つの重要な形状因子を見出している。すなわち,プローブが 長いほどナゲット寸法が大きく,保持時間が長いほど上板厚さが小さくなることを認めている。さらに, これらの形状因子によって引張せん断強度特性,十字引張強度特性,および双方において観察される異な る2種類の破壊形態の発生メカニズムを明らかにしている。 第2章では,ショルダー径の異なる3種類のツールを使用し,ツール回転数とツール保持時間を変えて 接合した継手について断面観察と引張せん断試験を行い,接合組織および静的強度に及ぼすショルダー径 および接合条件の影響と破壊機構を検討している。ショルダー径が10mmおよび15皿の場合,接合組織は ショルダー径と接合条件に依存して変化することを認めている。同一接合条件では,ショルダー径が大き いほどナゲット寸法は増加し,保持時間の経過とともに上板厚さは減少することを明らかにしている。引 張せん断強度はショルダー径7mmおよび10mmの場合,前述の2つの形状因子によって説明されるが,ショ ルダー径が大きい場合(15皿),形状因子のみでなく荷重方向に対する上下板境界面の形状も大きな影響を 及ぼすことを指摘している。 第ⅠⅠ編では,新たなツール形状を提案している。このツールは,プローブを無くし,ショルダー面に施 した渦溝によって材料を授拝するものである。このツールによってFSSWの欠点のひとつである接合部にプ ローブ穴が残らないFSSW接合が可能である。 第3章では,この渦ツールを使用して接合を行い,断面観察を通じて渦による揆拝効果を確認し,接合 条件と接合組織および継手性能との関連について検討している。渦ツールの場合,渦の無いツールの場合一23-よりも撹拝効果が顕著であり,板厚方向に深く撹拝されることを確落している。また,継手の引張せん断 強度は,渦の無いツールの場合はもとより,第Ⅰ編におけるプローブを有する通常のツールの場合よりも 向上することを認めている。これらに基づいて,渦ツールのFSSW接合における有効性を明らかにしている。 結論では,第Ⅰ編第1章から第ⅠⅠ編第3章までの主要な結果を総括するとともに,本研究成果の工学的 かつ学術的意義と今後の課題について述べている。
論文審査結果の要旨
アルミニウム(Al)の突合せ接合として1991年に英国で開発された摩擦撹拝接合(FrictionStirWelding, FSW)は,ショルダーとプローブから成る回転ツールを接合面に挿入し,摩擦熱によって軟化した材料を提 拝させて接合する圃相接合技術である。FSVは従来の溶融溶接が困難な材料の接合が可能,変形が小さい, 機械的性質に優れる,環境負荷が小さいなどの多くの利点を有するので,その応用範囲が広がりつつある。このFSWを応用した新しい接合法として摩擦撹拝スポット接合(Friction Stir Spot Yelding,FSSW)が
開発された。Al合金のスポット接合には鋼板と同様に抵抗スポット溶接の適用も可能であるが,鋼板に比 べて設備に要するコストや消費電力が高く,継手品質に問題がある。そこで,FSWの特徴をそのまま有する FSSWが薄板接合手法として期待されている。しかし,この技術は開発されて日が浅いため,FSSW接合継手 の強度や破壊機構に及ぼすツール形状や接合条件の影響に関する系統的な研究はほとんど行われていない。 こうした背景から,本論文では,Al合金A6061材のFSSV接合継手について組織や静的強度に及ぼす接合 パラメータの影響について検討している。本研究で得られた成果はAl合金のFSSW接合の広範な応用に多 大な貢献をなすものであり,学術的かつ工学的にきわめて意義深いものである。したがって,本論文は学 位論文として十分な内容と価値を有するものと認められる。以下に本論文の主要な結果を述べる。 第Ⅰ編では,接合継手の組織と強度に及ぼすツールのブロープ長さ,ショルダー直径および接合条件の 影響について検討している。 第1章では,プローブ長さの異なる3種類のツールを使用し,ツール回転数とツール保持時間を変えて 接合した継手について,最初に断面観察を通じて接合組織を特徴付け,次いで引張せん断試験と十字引張 試験を行い,静的強度に及ぼすプローブ長さと接合条件の影響を検討している。その結果,接合組織はプ ロープ長さ,ツール回転数およびツール保持時間に依存することを明らかにし,ショルダー痕下の上板厚 さとナゲット寸法という接合組織における2つの重要な形状因子を見出している。すなわち,ブロープが 長いほどナゲット寸法が大きく,保持時間が長いほど上板厚さが小さくなることを認めている。さらに, これらの形状因子によって引張せん断強度特性,十字引張強度特性,および双方において観察される異な る2種類の破壊形態の発生メカニズムを明らかにしている。 第2章では,ショルダー径の異なる3種類のツールを使用し,ツール回転数とツール保持時間を変えて 接合した継手の断面観察と引張せん断試験を行い,接合組織と静的強度に及ぼすショルダー径および接合 条件の影響と破壊機構を検討している。ショルダー径が10mmおよび15皿の場合,接合組織はショルダー 径と接合条件に依存して変化することを認めている。同一接合条件では,ショルダー径が大きいほどナゲ ット寸法は増加し,保持時間の経過とともに上板厚さは減少することを明らかにしている。引張せん断強 度はショルダー径7皿および10皿の場合,前述の2つの形状因子によって説明されるが,ショルダー径が 大きい場合(15皿),形状因子のみでなく荷重方向に対する上下板境界面の形状も大きな影響を及ぼすこと を指摘している。 第ⅠⅠ編では,新たなツール形状を提案している。このツールは,プローブを無くし,ショルダー面に施 した渦溝によって材料を摸拝するものである。このツールによってFSSWの欠点のひとつである接合部にプ ローブ穴が残らないFSSW接合が可能である。 第3章では,この渦ツールを使用して接合を行い,断面観察を通じて渦による横枠効果を確認し,接合条 件と接合組織および継手性能との関連について検討している。渦ツールの場合,渦の無いツールの場合よ りも撹拝効果が顕著であり,板厚方向に深く揖拝されることを確認している。また,継手の引張せん断強 度は,渦の無いツールの場合はもとより,第Ⅰ編におけるプローブを有する通常のツールの場合よりも向 上することを認めている。これらに基づいて,渦ツールのFSSW接合における有効性を明らかにしている。