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新たな列車在線情報取得装置の開発について

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Academic year: 2022

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新たな列車在線情報取得装置の開発について

西日本旅客鉄道株式会社 正会員 ○加島 敏博 西日本旅客鉄道株式会社 正会員 宗安 豊

1. はじめに

当社では,平成 18 年 1 月 24 日に発生した伯備線で の触車死亡事故以降,単線区間における運転状況確 認ルールの見直しや作業区間防護用 ATS 地上子およ び GPS 式列車接近警報装置の導入など,ソフト・ハー ド両面での対策を講じてきたところである.特にハ ード対策については,これまで専ら人の注意力のみ に頼ってきた保安体制に付加することにより,大幅 に保安度向上が図れるものとして積極的に導入して いく予定である.現在のところ,主たるハード対策と して GPS 式列車接近警報装置の導入を進めていると ころであるが,本装置の整備には CTC 装置の PRC また は SRC 化が前提であり,全ての線区に本装置を導入す ることができないのが現状である.今回,GPS 列車接 近警報装置を整備できない線区における新たなハー ド対策として期待できる列車在線情報取得装置を開 発したので,以下にその概要を述べる.

2. システムの概要

2.1 システム構成について

本システムは CTC センターの制御盤に表示してい る情報を CTC 中央装置から抽出し,データ変換を行っ た後,PC サーバ・携帯電話ネットワークを介して,携 帯電話端末に列車在線位置と列車進行方向を表示さ せるものである.システムの構成を図-1 に示す.

2.2 モバイル端末の表示情報について

携帯電話端末画面には図-2 に示す情報が表示さ れる.使用開始画面には現地作業員の位置情報を入 力する「区間選択」ボタンが表示され,このボタンを 押下することで,あらかじめ登録された当該線区の 駅情報がスクロール表示される.現地作業員がこの 画面で当該作業箇所を選択することで,上下 2 駅間の 列車の在線状況及び列車の進行方向を表示させるこ とができる.

列車見張り員支援システム 12:22

選択 メニュー 電話帳

関西本線 区間選択 設定確認 列車見張り員支援システム

12:22

選択 メニュー 電話帳

関西本線 区間選択 設定確認

列車見張り員支援システム 12:22

選択 メニュー

加太 柘植 新堂 佐那具 列車見張り員支援システム

12:22

選択 メニュー

加太 柘植 新堂 佐那具

作業区間選択画面 使用開始画面

列車見張り員支援システム 12:22

更新 メニュー 草津線

加太

柘植 新堂 佐那具 列車見張り員支援システム

12:22

更新 メニュー 草津線

加太

柘植 新堂 佐那具 列車見張り員支援システム

12:22

選択 メニュー 電話帳

関西本線 最新情報取得

区間選択 列車見張り員支援システム

12:22

選択 メニュー 電話帳

関西本線 最新情報取得

区間選択

CTCセンター CTC中央装置 PCサーバ

携帯電話 ネットワーク

データ変換装置

加 太

柘 植

新 堂

2

在線状況画面 最新情報取得画面

図-2 携帯電話端末画面イメージ 図-3 に在線情報表示の一例を示す.モバイル画面 には事前に設定された作業員の位置,列車の在線位 置情報に加え,列車の進行方向が表示される.進行方 向については方向鎖錠が固定された場合に表示され る仕組みとなっている.

図-1 システム構成

キーワード 単線区間 ハード対策 モバイル端末 列車在線情報 安全性向上 連絡先 〒530-8341 大阪市北区芝田2丁目4-24 TEL 06-6375-8960

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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2.3 信頼性向上に向けた取組み

本装置は信頼性を向上させるため,原則として人 的操作や情報取得に際しての人的介入を要さないも のとした.更に装置の信頼性を高めるため,データ更 新時やシステム故障時における対応策として以下の 方式を採用することとした.

①列車在線情報の取得・更新

・ 現場社員が携帯電話端末により,能動的に取得 する方式とする.

・ 取得情報は一定時間後に消去させ,過去の情報 による錯誤事故を防止できる方式とする.

②CTC 故障時の表示について

・ CTC 装置及び同システムが故障した場合には情 報送信をせず,配信不能状態とさせる.

・ CTC 指令において,CTC 装置及び同システムに異 常が発生した場合には警報を発する装置とす る.

2.4 システムのセキュリティ-対策について CTC 装置等のセキュリティー対策として情報伝達 は CTC 中央装置からデータ変換装置への一方通行と し,その間にファイアーウォールを設けることで PC サーバ及びモバイル端末からの情報流入を防ぐ構造 とした.これにより,外部から誤情報入力を防ぎ安全 性を確保することが可能となる.

3. 本装置の活用方法

本装置を導入することにより,万が一線路内立入 り時のダイヤの見誤りや作業責任者と輸送指令員 との運転状況確認に誤りがあった場合でも,それに

気付く可能性が大いに高まるものと考えられる.本 装置の具体的な活用方法としては,線路内への立ち 入り時に実施する作業責任者と輸送指令員との運 転状況確認および作業責任者と列車見張員との列 車ダイヤに基づく次列車確認の後に,本装置による 列車の在線位置情報を取得することにより次列車 を再確認することとする.なお,本装置は補助装置 として現行の線路立ち入り時のルールに付加して 使用することとし,これによる保安体制やルールの 変更は行わないこととする.また,当社では,操作ミ スや初期項目セット誤りの低減を図った「アラーム 時計」の開発を行っており,これを本装置と併用す ることにより,列車ダイヤに基づき一定時間前に列 車待避を行う場合に一層の保安度向上が図られる ものと期待している.

乗降場

加太駅 柘植駅 列車見張り員支援システム

1 2 : 2 2

更新 メニュー

加太

柘植 新堂 佐那具

作業員位置

(作業員が選択)

駅構内に在線、且つ

4. 本装置の試行

平成 20 年 7 月に,デモ機による現地での電波状況 の確認および機能確認を実施し,平成 20 年 9 月より 現場での試行を開始している.現時点では,設計の根 幹に関わるようなトラブルの発生はなく所定通り機 能しているが,一定期間使用し,現場ユーザーから更 なる付加機能を要望する声があがってきた.本装置 については,その性格上,新たな付加機能を追加する には機能そのものの信頼性確保はもちろんのこと, 機能の追加によって生じるリスクの検証が不可欠で あり,慎重に対応していきたいと考えている.

5. 今後の課題

今回,単線区間の線路内で作業を行う工務系社員 の安全性を向上させる取り組みの一つとして列車の 在線状況を現場で確認することができるモバイルシ ステムの開発を行った.本システムは現場での列車 ダイヤの誤認を気付かせるツールとして線路内作業 の安全性を高めることができると考えている.現在 システムの本格導入に向けてモニタリング調査を実 施しているところであり,技術的には実用化の目途 がついたものと考えている.今後,本装置の有効性や 他装置との優劣などを評価したうえで,更なる展開 を検討したい.

方向鎖錠が固定された 場合に表示

(列車進行方向)

:下り :上り

列車の在線位置

図-3 列車在線情報表示例(構内停止時)

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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