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日本歯科放射線学会

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Academic year: 2021

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日本歯科放射線学会 第191 回 関東地方会・第 22 回 北日本地方会 第10 回 合同地方会事後抄録 1. PET 用腫瘍 RI トレーサー集積に対する細胞周期の依存性 岩手医大・歯・歯放 ○小豆島正典、守口 斉、泉澤 充、佐藤 仁、 星野正行、東海林 理、坂巻公男 グルコースのアナログである 18F-fluolodexyglucose (18FDG) は、癌のポジトロン CT (PET) 診断の際によく用いられる。18FDG 集積を体重と RI 投与量で標準化した SUV と いう値で示すと、T 分類が同一であっても SUV が大きく異なる事がある。病理標本の観察 から、SUV は癌細胞密度に依存していることがわかった。我々はこのほかに 18FDG 集積 が細胞分裂指数に依存していると推測し、細胞周期と18FDG 集積との関係を調べると共に、 従来からPET で使用されてきた11C-methionine と比較した。 使用細胞は、Hela S3 と呼ばれる培養癌細胞で、細胞周期の同調は高濃度 thymidine に よるダブルブロッキング法にて行った。同調の確認は、フローサイトメトリー (FCM) に て 行 っ た 。DNA 合 成 能 の 経 時 的 変 化 は 、 蛍 光 色 素 FITC が 結 合 さ れ た anti-Bromodeoxyuridine-FITC にて観察した。細胞膜表面に発現するグルコース輸送蛋白 (Glucosetransporter 1 : Glut 1) と細胞周期との関連性を調べるため、anti-Glut 1-FITC を用い、FCM にてその発現量の変化を求めた。 細胞同調させたHela 細胞に対する18FDG 集積量を調べたところ、18FDG は S 期前期・ 後期に取り込まれ、G2/M,G1 では集積が低下することがわかった。また Glut 1 の発現量 を調べると、S 期は G1 期よりもより多くの Glut 1 を発現していることがわかり、18FDG はGlut の活性化により細胞内に入ることが予測された。11C-methionine は S 期後期で集 積量が最大となりG1 で最小となった。以上のことから、18FDG や11C-methionine を癌ト レーサーとして利用したPET 検査では、癌組織の細胞分裂指数が反映された像が得られて いると推測された。

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2. 実験的骨粗鬆症モデルラットの顎骨におよぼすエックス線照射の影響 日歯大・歯放 ○生駒和之、梁 誠治、岩田 洋、那須優則*日歯大・共同利用研究所 代居 目的:口腔領域の悪性腫瘍の治療には放射線治療が用いられるが、その副作用として正常 組織への放射線障害がある。高齢化社会を迎え、骨粗鬆症患者が放射線治療を受ける機会 も増加してきている。それと同時に放射線治療後の顎骨にインプラント治療を施す症例も みられる。しかしながら骨粗鬆症の顎骨におよぼす放射線の影響について検討した報告は ほとんどみられない。 そこで今回われわれは卵巣摘出による実験的骨粗鬆症モデルラットの顎骨にエックス線 照射し、下顎骨骨密度におよぼす影響について検討をおこなった。 材料と方法:生後12 週齢の雌性 Wistar 系ラットに卵巣摘出処置(以下 OVX)および偽手術 (以下 SHAM)を行い、ラット用標準飼料で 3 ヶ月間飼育した。両グループをさらに無照射 群と照射群に分け、照射群には下顎骨に6MV のエックス線を線量率 200cGy/min で 10Gy 1 回照射した。照射 1,2,3 ヶ月後に下顎骨を摘出、4%パラホルムアルデヒド、70%アルコ ールで固定後、第一臼歯近心根根尖部歯槽骨を対象に動物用 pQCT 装置(XCT research SA+)を用いて骨密度を計測した。 結果とまとめ:皮質骨の骨密度は全ての群でほとんど変化がみられなかった。海綿骨の骨 密度は照射、無照射ともにSHAM 群に比べ、OVX 群で低値を示した。SHAM 群では無照 射に比べて照射により骨密度がわずかに低下したが、OVX 群では両群の間に差はみられな かった。顎骨へのエックス線照射により、特に海綿骨の骨密度に影響を与える事が示唆さ れた。

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3. MR-sialography における唾液分泌刺激の影響 東医歯大院・口腔放射線 ○大林尚人、吉野教夫、鉄村明美、佐々木武仁 MR-sialography(MRS)は安静時の生理学的な唾液腺の状態を描出することができる。し かしながら、導管中の唾液量が不足していると導管の描出が悪く、また軽度な閉塞性導管 炎では安静時には導管が拡張していないため、MRS だけでは false-negative となってしま う症例がみられた(第42 回日歯放総会)。 今回我々はレモンタブレットを用いて 30 秒−1分程度唾液分泌を促したあと、耳下腺 MRS 像を得て刺激後像とした。撮像には表面コイル使用し、撮像シーケンスは Turbo Spin Echo(TSE) 法 (TR/TE=2800/1100msec; slice thickness/No.=30mm/1; acquisition time=7sec)を用いた。健常ボランティア 5 名、正常患者(WNL)18 名、耳下腺炎(導管炎) 9名、シェーグレン症候群13 名を対象とし、刺激前後の TSE による MRS を得て、ステ ノン管・腺内導管の描出能、信号強度、拡張の有無について比較を行った。 刺激前のMRS 像でステノン管が開口部まで完全に描出されたのは 21/45 例(46.7%)であ ったのに対し、刺激後には35/45 例(77.8%)と改善された。ステノン管および腺内導管の描 出能の向上が見られたのは22/45 例(48.9%)で、WNL 群で高く(66.7%)ボランティアで低か った(20%)。これは、WNL 群は安静時の唾液に比べて刺激時の唾液が増加した結果、導管 の描出能が改善したのに対し、ボランティアではもともと唾液量が多く唾液量の増加が描 出能の改善に結びつかなかったのが原因と考えられた。分泌機能を表すと考えられるステ ノン管や腺内導管の信号強度の上昇は全体では62.2%でみられたが、SJS では 34.3%にと どまった。導管炎では導管の拡張が高い頻度で見られ(5/9 例)、他には SJS に 1 例見られ ただけであった。刺激前の MRS では拡張なし診断されたのに、刺激により導管拡張が見 られた症例もあった。 MRS 刺激像は導管の描出能を向上させ、導管炎の検出率も向上させることがわかった。

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4. MRI による Rouviere リンパ節の年齢別リンパ節径について 日大・松戸歯・放 ○小椋一朗、内藤康雄、山城光明、李 光純、 森進太郎、金田 隆 目的:Rouviere リンパ節は上中咽頭の高さの咽頭後間隙内に位置し、臨床医が触診では 確認できない、すなわち画像上でのみ確認しうるリンパ節として、顎顔面領域疾患の画像 診断上重要である。また、同リンパ節は若年者ではしばしば正常所見として認められるが、 40 歳以上での描出は異常である可能性が高いと報告されている。しかしながら、正常者の 年齢による本リンパ節の定量的な検討はほとんどなされていない。今回我々は、MRI によ るRouviere リンパ節の年齢別リンパ節径について検討した。 方法:対象は2001 年 1 月から 2002 年 4 月の間に本歯科病院放射線科に来院し、顎関節 症の疑いでMRI 撮像を施行した症例のうち、顎顔面領域に明らかな炎症所見および全身疾 患を伴わなかった60 名(男性 9 名、女性 51 名、年齢 6∼74 歳、平均 32.2 歳)とした。使用 した MR 装置は 0.5T の超伝導型磁石装置(FLEXART,東芝メディカル)である。STIR 法 (short TI inversion recovery 法、TR:1500、TE:30、TI:100)にて頭頚部を撮像し、Rouviere リンパ節の短径を計測し、年齢と短径との関連について統計学的に評価した。

結果:MRI による Rouviere リンパ節の短径は 20 歳未満(n=20):6.4±1.6mm、20 歳∼39 歳(n=18):4.6±1.3mm、40 歳以上(n=22):3.3±1.2mm であり、3 群間において明らかな差 が認められた(p<0.01)。

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5. 下顎腫瘍の顎骨内の進展範囲の評価における画像診断精度の向上 新潟大・院・顎顔面放射線学 ○平 周三、 林 孝文、 勝良剛詞、 小林富貴子、 中島俊一、益子典子、小山純市、田中 礼 緒言:以前われわれは、下顎腫瘍にて術前に撮影された画像所見と、病理組織像とを 比較検討した結果、MRI では腫瘍近傍のさまざまな微少な変化を鋭敏に検出してし、 約70%の症例において腫瘍進展範囲を実際より広く判定する傾向を認めた。これに対 しCT による評価では、腫瘍近傍の骨の状態を詳細に検討することにより、約 70%の症 例において進展範囲をほぼ正確に判定できた。今回われわれは、口腔癌のCT 検査にお いてMPR 画像を用い、腫瘍周囲の骨梁構造を評価し、摘出物の病理組織像と比較した 結果、若干の知見を得たので報告する。 資料ならびに方法:症例は本学歯学部附属病院にて2002 年 1 月より 4 月までに下顎腫瘍 と診断された2 例。撮影はヘリカル CT および MRI にて行った。骨梁評価の最適化のため、 手術摘出物を使用し、エックス線ビーム幅1 および 2mm・テーブル移動速度 0.5∼2.0mm /管球回転のヘリカルスキャンにて撮影をした。0.5mm 間隔再構成画像データを使用 しMPR 画像を作成し、当分野診断医により点数化による評価をした。MRI は、スライス 厚3∼5mm にて、T1 強調画像の造影前後(脂肪抑制を含む)および脂肪抑制 T2 強調画像 を撮影した。病理標本は、冠状断あるいは矢状断方向にて約8mm 毎に分割し、HE 染色 した。解剖学的構造(下顎孔、オトガイ孔、歯など)を基準とし術前の画像所見と比較 検討した。 結果:被曝軽減を考慮し、エックス線ビーム幅1mm、テーブル移動速度 1.5mm/管球回 転の撮影条件で十分診断可能であると思われた。 臨床例では、MPR-CT 画像は腫瘍の骨梁破壊の状態をほぼ正確に示したが、MRI 画像で は軽度の炎症反応も鋭敏に検出していまい、overestimation を生じた。腫瘍が著明 な骨破壊を伴わず骨梁間に浸潤した場合、MPR-CT 画像および MRI 画像ともに正確な診 断は不可能であった。 考察:腫瘍の顎骨内進展範囲の評価には、MPR-CT 画像は有用であるが、腫瘍細胞の生 検時の浸潤性格の把握も重要であり、病理像をふまえて画像診断をする必要性が示唆 された。

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6.Node-strut 解析の骨格特徴抽出画像 data 定量評価への応用 神歯大・歯放 ○渡邉 篤、 呰 謙介、 川股 亮太、 稲垣 将文、 櫻井 孝、 鹿島 勇 目的:Morphological filter 抽出骨梁骨格二値画像における骨格連結性に対する定量評価 法を確立すること。 方法:Node-strut 用ファントームとして連結性が6段階に変化するように構造を調整し たワイヤーファントームと, ヒト腰椎海綿骨より厚みが 2mm ずつ5段階で変化するよう に調整した骨ファントームを作製し, 規格撮影を行った。撮影条件は管電圧:30∼40 kV, 管電流:90 μA, 撮影時間:20 秒, 拡大率:3倍にて撮影し、CR-workstation にてデジ タル情報処理と morphology 処理による画像の骨格特徴抽出を行った。次いで骨格二値画 像data を転送用 personal computer にてフォーマット変換し, micro-CT 付属ソフトを用 いてnode-strut 解析を行った。 結果:ワイヤーファントームを用いた解析において, 数のパラメータと長さのパラメータ は共にr≧0.96 で実測値と良く相関した。骨ファントームを用いた解析において, 数, 長さ のパラメータは共に理論的な変動を示した。しかし, terminus(Tm)関連パラメータは node(Nd)関連パラメータよりも海綿骨厚との相関が低かった。また, morphology 処理の違 いにより相関係数は変動し, sumset n=2-5 の画像で最も高い相関を示した。 結論:Morphology 処理によって抽出された骨格二値画像における連結性の違いは, node-strut 解析を用いることにより Nd と Tm の数および strut の長さの変動として定量 化できることが示唆された。しかしながら, Tm 関連パラメータについては相関が低く, 算 出方法等, 更なる検討の必要性を認めた。

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7. イントラネットを活用した病院実習の試み 松本歯大・歯放 ○新井嘉則、内田啓一、永山哲聖、藤木知一、 塩島 勝 目的:OSCE などに対応するために、イントラネットを構築し病院実習に試用しその有用 性について検討を行った。 方法:本学では、臨床実習は5 年次 4 月から始まり、6名を1単位とした小グループで前 期に4日間、歯科放射線科の実習を受ける。イントラネットを構築し、この学生全員に各 1台のパーソナルコンピュータ(以下PC)を自由に使用できる環境を整備した。別階に ある当講座研究室のネットワークにも接続し、教授室や研究室からのアクセスも容易にし た。

口内法撮影の Video や関連する Home Page も自作し、それらを自由に閲覧させた。ま た、E-mail によって毎日の実習記録を各教員に配信し、学生の疑問に Interactive に答え た。最終日にはOSCEとして、学生相互で口内法撮影を行い評価した。以上を5グルー プに実施し、30 名の学生にアンケートを行いその結果を集計した。 結果:アンケートの結果、コンピュータ支援学習は9 割の学生が有用とした。また、E-mail による実習記録は6 割の学生が有用とした。OSCE の目的、手法を十分理解出来た学生が 9 割を占めた。多くの学生から Video で学習していたことをその理由に上げていた。 結論:以上の結果から、イントラネットの活用は病院実習に大変有効であると考えられた。

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8. OSCE 対応を考慮した口内法撮影技術レベルチェック −複数評価者による評価結果について−

日大・歯・歯放 ○川嶋祥史、橋本光二、岩井一男、荒木正夫、 本田和也、澤田久仁彦、篠田宏司

近年、臨床実習を行う学生、臨床研修医の技能不足が指摘され、平成17 年度から知識を 問 う コ ン ピ ュ ー タ 試 験 (Computer based testing : CBT) と客観的臨床能力試験 (Objective structured clinical examination : OSCE) による共用試験が臨床実習前の学 生に導入されることとなった。それに伴い、under graduate の学生のカリキュラムも早急 に見なおしが必要であると言われている。一方、エックス線撮影は医師、歯科医師、放射 線技師の専権事項であり、撮影技術および診断技能の向上が歯科医師に求められることは 言うまでもない。歯科放射線学におけるOSCE 課題としては、口内法撮影等が考えられる が、その評価項目の設定、評価マニュアルの作成について検討は未だ十分とは言えず、ま た、OSCE の評価は複数名で行うのが原則であるが、複数の評価者間で評価に差が有るか 否かを検討した報告はみられない。 当歯科放射線科では、OSCE の導入を考慮し、平成 13 年度より撮影技術および診断技 能に対するレベルチェックを臨床実習に取り入れている。その内容はデンタル、咬合法な どの口内法撮影および断層パノラマ撮影の撮影技術とフルマウスマウントや画像診断等の 診断技能のチェックである。今回、このうち口内法撮影技術のレベルチェックを紹介し、 その評価について、特に複数の評価者の間で評価に差があるか否かを検討してところ以下 の結果を得た。 1. 5 学年名のフィルムホルダー使用による口内法撮影技術レベルチェックにおいて、複 数評価者による評価の差の検討を行ったところ、平均87.2%という高い一致率を得た。 2. Altman の Weighted κによる検討においても 53.8%が Moderate 以上という高い一

致を示した。 3. 7 名の評価者の平均評点は 3 点、2 点、1 点の 3 段階評価で 1.83 点から 1.92 点であ り、評価者間に有意差は認められなかった。 4. 評価項目別の検討では、防護エプロンの使用、フィルムホルダーの選択、ホルダーへ のエックス線フィルムの装着、現像済みフィルムの扱いの 4 項目が 95%以上の高い 一致率を示し、撮影側の咬合平面の位置と照射時間の確認の2 項目が、70%以下の低 い一致率であった。 今回は、評価の一致率は高い一致を示し、評価者間の差が見られない等、概ね良好な結 果が得られ、評価項目、評価マニュアルともにほぼ妥当なものと考える。しかし、今回の 評価者は放射線を専門とする者のみであり、課題も比較的評価のしやすいものであった。 OSCE の導入にあたって放射線関連の課題をどのように評価するかは重要な問題であり、 評価者の主観に左右されない評価項目を設定し、評価マニュアルを作成することが、肝要 であると考える。今後は、フィルムホルダーを使用しない場合のデンタル撮影技術などよ り評価が困難であると思われる例の評価項目の設定や、放射線を専門とする評価者以外で も理解しやすい評価マニュアルの作成についても検討し、OSCE に結び付けていきたい。

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9. 障害児・者の全身麻酔下歯科診療におけるデジタル X 線検査 奥羽大・歯・歯放診 ○鈴木陽典、寺田秀雄、島田敏尚、高橋和裕 障害児・者の全身麻酔下における歯科診療では、一般に対象となる患者の術前の口腔内 診査がなされていない場合が多く、麻酔後に、はじめて口腔診査を行い、治療計画をその 場で立てざるを得ない場合も多い。このような場合において、CCD を用いたデジタル X 線診査は迅速に対応が可能であることや、術中に必要に応じて即時にX 線情報を提供でき、 その有用性は高く評価されている。一方、従来のフィルムと比較して、画質特性、形状、 感染予防などから取り扱い上の問題点もある。 演者らは1990 年から 1991 年に奥羽大学歯学部附属病院において全身麻酔下で歯科診療 を受けた障害児・者89 例のうち、デジタル X 線診査を必要とした 53 例を経験したので報 告する。 対象者の年齢分布は、3 歳から 56 歳で、平均は 23.2±13.8 であった。疾患別分布では、 精神遅滞が90%、その他 5%で、5%は歯科恐怖症の患者も含まれている。撮影依頼の第 1 目的は、スクリーニング48%、抜歯前 21%、根充前後 12%、術後 5%、その他 14%であっ た。使用したX 線 CCD センサは shick 社 CDR-L で、エックス線装置はモリタ Digi Max を用いた。撮影上の問題点は、X 線装置の位置づけでは、経鼻挿管の金属による陰影が、 また、口腔内ではセンサの位置づけでは、パッキングによる挿入制限が第一に上げられた が、変則的な角度や位置づけで、目的部位の撮影は可能であった。 患者あたりの平均撮影枚数は、16.0±4.8、全顎撮影では平均 18.0 枚で、上顎は平均 2.0 枚に対して、下顎は1.7 枚、部位では、前歯部 1.2 枚、犬歯小臼歯部 1.9 枚、大臼歯部 2.2 枚であり、Kodak INSIGHT フィルム 10 枚法と比較すると 60%の被曝線量であった。

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10. 生体および合成ハイドロキシアパタイトの X 線透過性 奥羽大・歯・歯放診 ○鈴木陽典、熊澤友子、高橋和裕、宮沢忠藏* *奥羽大・歯・口腔衛生 X 線を用いた骨塩量の定量において、標準試料を用いる比較測定では、標準試料の組成 や構造は重要である。一般に骨組織は、アルミニウムが実効原子番号や密度が近いため、 標準試料として簡便に用いられるが、精度を要求される場合は、さらに計測する組織の組 成、密度に近い形が望ましく、ウレタン樹脂にハイドロキシアパタイトを添加して作成さ れた骨塩定量ファントムも市販されている。しかし、歯の硬組織、とくにエナメル質のよ うに高石灰化しているものを対象とする場合の標準試料はなく、既存の市販骨塩定量ファ ントムの使用や、アルミニウムでは計測誤差が心配される。特にフィルム上に並置して X 線撮影による比較測定では、測定されるものと、標準試料のX 線透過性、大きさ、形状が 近似している方が散乱線などによる誤差を軽減できる。 演 者 ら は 生 化 学 工 業 社 製 ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト 粉 末 を PMMA(polymethyl methacrlate:ポリメタクリル酸メチル)により凝集させた Disc(以下合成 H P disc)を標準 試料としてすでに報告しているが、X 線透過性についてヒト抜去歯(複数歯、複数歯種)から 抽出したエナメル質粉末を重量比 10%の PMMA により凝集させた Disc(以下生体 H P disc)を作成し、両者の X 線透過性を比較した。 合成H P disc の Al 当量/厚さは 1.282±0.021 また生体 H P disc の Al 当量/厚さは 1.288 ±0.024 で両者の X 線透過性はほぼ等しい値を示した。合成 H P disc は、大きさや形状が 任意に作成可能であることや、生体エナメル質とX 線透過性が同程度であることから、標 準試料として多方面の比較測定に有効と考えられる。

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11. セファロメトリーを用いたパノラマ X 線撮影時の前歯部断層幅の検討 第 1 報 鶴見大・歯・歯放 ○山本勝之、小林 馨、山本 昭、塩島 勝* *松本歯大・歯放 パノラマX 線撮影においては、切歯部の断層厚さが臼歯部よりも狭いことが、欠点のひ とつとしてあげられる。そこで本研究においては、パノラマX 線撮影装置の断層厚さを求 め、セファログラムを用いた実際の人体上での上下顎切歯の平均的な位置を計測し、それ と断層域との関りについての検討を行った。 本学で常用しているパノラマエックス線撮影装置朝日レントゲン社製のAuto-1000 と同 社短時間撮影型パノラマエックス線装置TSP-7000 の 2 装置について、McDavid ら示した Ne 値を求めてその不鮮鋭度から断層厚さを求めた。その結果断層厚さは、Auto-1000 では 4.9mm、TSP-7000 では 2.1mm であった。 本学歯科矯正科に所属するほぼ正常咬合と判定されたボランティア 13 名(男 4 名、女 9 名)に側面のセファログラムとパノラマ X 線撮影時、本学では通常は眼耳平面を基準とし、 上顎犬歯尖頭を切歯部の断層中心にあわせて撮影を行っている。セファログラム像から眼 耳平面を基準とし、犬歯尖頭の位置から上下顎中切歯の再前方部と根尖、下顎正中部の唇 側と舌側までの前後的な距離を計測した。 その結果上顎中切歯根尖は、断層域内にほぼ位置した。下顎中切歯根尖は、中心咬合位 では断層域よりも後方に位置するが、切端咬合位ではほぼ断層域内に位置した。切縁は上 下顎いずれの切歯でも断層域内には位置していなかった。 切歯の傾斜を考慮に入れて、切縁から根尖までの唇舌幅は15.8mm あり、これをすべて 断層域内におさめるには、Auto-1000 では、線束幅を現行の 2.9mm から 1.0mm 程度に狭 める必要があり、実際上はフィルム到達線量の大幅な減少が生じ、実用的には不可能であ る。 今後装置のメカニズムやデジタル化等も視野に入れ、パノラマX 線装置に必要な断層厚 さを再考する必要がある。

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12. 拡大逆相回転撮影を用いた回転パノラマ写真の解像力の向上 明海大・歯・歯放 ○佐藤昭弘、中浜久則、石井憲一、井上信行、 井上 浩、保刈成志、高橋伸年、奥村泰彦 パノラマ撮影は歯および顎骨を1 枚の X 線写真に表示することが可能であり,きわめて簡 潔かつ便利な撮影法である。しかし最大の欠点は解像力が低いことである。特に近年普及 してきたディジタルパノラマ法はフィルム法に比較してより解像度が低くなっている。そ こで画像工学的な観点から,拡大撮影の技術を用いることによりこれらパノラマ像の解像 力向上を目的に実験を行なった。 実験を行なうために,通常回転と逆相回転可能なパノラマ撮影用シミュレータを作成し た。解像力を良くする方法は,物理的に MTF が低い撮影系を利用しながらセンサー部分の 画像処理によって行なった。つまり,なるべく小さな焦点の管球を使用して被写体の拡大撮 影を行ない,その画像を通常の大きさに縮小することにより解像力の向上を行なった。拡大 率は,通常回転時 1.2 倍に,逆相回転の時には焦点被写体間の距離を変えることにより任意 に設定できるようにした。画像評価はエッジ法にてそれぞれの場合の MTF を算出した。 使用した X 線発生装置の焦点サイズは 0.7mm×0.7mm。受光系は解像力を故意に低く設 定した(0.6cycles/mm)ものを用いた。その結果,受光系の解像力が低い撮影系では,被写体を 受光系に密着させるより,適正な拡大撮影をする方がより解像特性が向上することが分か った。 その結果,次のような結論を得た。 1. 本研究で使用した 0.6Lp/mm の cut-off 周波数を持つ受光系と 0.7×0.7mm2サイズのX 線管焦点による拡大逆相パノラマ撮影の実験では4倍拡大が最適拡大率であった。 2. 4 倍拡大逆相パノラマ撮影では 0.6Lp/mm の受光系の cut-off 周波数を 1.5Lp/mm まで その解像特性を2.5 倍に向上させることができた。 3. 拡大撮影法はパノラマ撮影以外の単純撮影系でも応用が可能であり、受光系の解像特 性の悪い場合に、その特性の向上には格別な装置の開発の必要もなく極めて有効な方 法であることが判明した。

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13. 上顎智歯が起因となった含歯性嚢胞の 3 例 日歯大・歯・歯放 ○黒田利宣、生駒和之、河津徳敏*、鈴木宗一日歯大・歯・附属病院口外 熊澤康雄、代居 含歯性嚢胞は、下顎智歯部、上顎智歯部、前歯部に多いといわれている。今回我々は、 上顎智歯を起因として、上顎洞内に進展した比較的大きな3 症例を経験したので供覧した。 更にパノラマ写真上で嚢胞発生原因とは反対側の智歯の状態を観察することにより、原因 を検討できる可能性を考え、智歯の抜歯における難易度を第二大臼歯との位置関係で表し ているG.B.Winter の分類を用い分類を試みた。 (症例 1) 15 歳男性。上顎左側第二大臼歯遠心歯肉腫脹および排膿を主訴に来院。単純 X 線写真より、左上顎洞に境界明瞭な単房性の不透過像の存在、上方部に歯牙様構造物を認 めた。CT 像では病変が左側上顎洞を満たし、壁を外側に膨隆させているのが認められた。 反対側智歯は第二大臼歯に対して、歯冠の最下点が第二大臼歯歯頸部の上方に存在し、近 心傾斜していた。 (症例 2) 18 歳男性。上顎右側臼歯部の疼痛を主訴に来院。単純 X 線写真より右側上顎洞 の不透過性の亢進、上顎洞中央部に歯牙様構造物を認めた。CT 像では病変は後壁を破壊し、 外下方に局在しているのが認められた。反対側智歯は第二大臼歯に対し、歯冠の最下点が 第二大臼歯歯頸部の上に存在し、遠心傾斜していた。 (症例 3) 22 歳男性。上顎右側大臼歯部歯肉の疼痛、違和感および排膿を主訴に来院。単 純X 線写真より右側上顎洞底部に歯牙様構造物を認め、帯状の不透過像が上顎洞内周囲を 取り巻くように存在していた。CT 像で病変は含気腔を含み、上顎洞後壁の膨隆、破壊を伴 っているのが認められた。反対側智歯は第二大臼歯に対し、歯冠の最下点が第二大臼歯咬 合面と同じレベルに存在し、垂直位であった。 反対側智歯をパノラマ写真において観察し、G.B.Winter の分類に従って分類したところ、 3 症例中 2 症例に歯冠の埋伏位置、萌出方向に関して所見が認められたが、1 症例におい ては所見を認めず、3 症例に共通するものは検出されなかった。

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14. 下顎前歯部にみられた悪性腫瘍の 1 例 日大・歯・歯放 ○荒木正夫、橋本光二、松本邦史、篠田宏司、 *日大・歯・病理 小宮山一雄* 顎骨領域に発生する悪性腫瘍には、扁平上皮癌が多く見られ、そのうち舌に発生するも のが50%前後で、その他歯肉や頬部などに多くみられる。顎骨に侵襲する方式としては辺 縁不規則で浸潤性の骨吸収を伴うものが多い。本症例はX 線学的には、単胞性の透過像と してみられたタイプで、下顎前歯部顎骨に下掘れ型に発育した歯肉癌の一例を経験したの で報告した。 症例:患者は33 歳の男性で、初診は平成 9 年 8 月 21 日に下顎前歯部舌側部の腫脹の精 査の主訴で日本大学歯学部付属歯科病院に紹介された。患者の既往歴・家族歴に特記すべ き事項はみられなかった。現病歴として、約5 年前に下顎前歯部舌側歯肉に腫脹を認めた が、疼痛などがないため放置していた。その後同部位は腫脹と消退を繰り返していたため、 半年前に某歯科に受診し同部の歯周治療を受けた。最近違和感が増大してきたため某歯科 を再度受診し、精査のために来院した。口腔外所見としては、顔貌は左右対称、左右顎下 リンパ節は触知しなかった。口腔内所見としては、下顎前歯舌側根尖相当部を中心に20× 20mm 大の有茎性腫瘤が認められ、表面は凹凸不整、硬さあh弾性軟で周囲に硬結は認め なかった。下顎前歯6 歯は生活反応を示した。 初診時のパノラマX 線像では、下顎切歯を多少離開させ槽間中隔部に単胞性の透過像と してみられ、口内法像では隣接歯の白線の消失を伴い、頬舌的な骨膨隆は見られなかった。 歯根1/2 付近での水平断 CT 像では、頬舌的皮質骨は消失し同部に円形の low-density な骨 吸収がみられた。臨床診断は腫瘍性病変が考えられた。 処置および経過:8 月 21 日に局所麻酔下にて生検を施行した。腫瘤は下顎前歯根尖相当部 付近の歯肉と連続しており同部から歯槽骨内に浸潤していた。摘出後の骨腔内面は粗造で あり、下顎前歯の歯根の露出はなかった。 病理組織像は扁平上皮癌が疑われるとのことで、悪性腫瘍に沿った検査と化学療法を加 え、同年10 月 13 日に下顎骨辺縁切除術を行った。術後の経過は良好であり、本大学口腔 外科にて経過観察を行っている。 下顎骨の辺縁切除後の病理組織像でも、歯肉癌の low-grade タイプで下顎骨を破壊性に 増殖したものであると考えられた。X 線像からは、辺縁部から内部へ入り込んだ悪性腫瘍 と診断するには、歯槽部に限局する単胞性透過像のタイプで隣在歯の歯根を離開させるも のであったことから診断が難しかった症例であった。

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15. 上顎歯原性角化嚢胞から発生したと考えられる扁平上皮癌の画像所見 日歯大・新潟歯・歯放 ○外山三智雄、原田美樹子、堅田 勉、佐々木善善 彦、羽山和秀、土持 眞 嚢胞上皮から発生した扁平上皮癌は、嚢胞と同様の画像所見を呈することがあり注意を 要する。今回、上顎歯原性角化嚢胞から発生したと考えられる扁平上皮癌を経験したので、 その画像所見の特徴を報告する。 54 歳の男性。歯科治療のため本学総合診療科を受診。パノラマ写真にて左側上顎部の病 変を指摘され口腔外科に転科。既往歴は糖尿病にて内科でcontrol 中。39 歳時、喉頭ポリ ープ摘出。家族歴には特記事項なし。 パノラマ写真では、左側上顎部に類円形、比較的境界明瞭、内部均一なエックス線透過 性病変を認める。本病変により左側上顎洞底挙上、鼻腔底不明瞭、歯根の圧排、吸収はみ られない。左側上顎4 の抜歯窩との交通がみられる。 CT では、本病変は比較的内部均一な軟組織陰影を示す。抜歯部に連続して AIR region がある。経静脈造影CT では、本病変は enhance されず液体成分に富む内容物と思われた。 骨表示 CT では、本病変による骨膨隆を認めないが、口蓋側皮質骨が菲薄、粗造、一部消 失し、周囲の骨硬化像を認める。また鼻腔底部の本病変は mass 状を呈し、鼻腔底、鼻中 隔の一部が消失している。 以上、本病変は類円形、境界ほぼ明瞭、内部均一で歯槽骨内に存在することから、歯原 性の良性腫瘍や嚢胞を疑った。一部に骨破壊部位がみられたが、炎症の併発と考えた。本 病変は液体成分が主体で、骨の膨隆や歯根の圧排、吸収がみられないことから、嚢胞の可 能性が高いと考え、その中でもinvasive な部分があり、歯を含まないことから、歯原性角 化嚢胞や残存嚢胞を疑った。 本症例は歯原性嚢胞の診断にて嚢胞摘出術が行われた。摘出物の病理診断は、歯原性角 化嚢胞の上皮から発生したと考えられる扁平上皮癌だった。 今回の症例では鼻腔底や鼻中隔などの部分的な骨破壊がみられ悪性を疑う所見と思われ た。

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16.歯科治療後に生じた頸部皮下気腫の画像所見 昭和大・歯・歯放 ○酒巻紅美、荒木和之、木村幸紀、松井義郎*昭和大・歯・第一口腔外科 岡野友宏 歯科治療時の根管治療交互洗浄が原因と思われる頸部気腫の一例を経験した。患者は 45歳女性。某歯科にて右側下顎第一大臼歯の根管治療交互洗浄中に強い痛みを自覚 した。このとき使用した薬剤は過酸化水素水と次亜塩素酸であった。FCを根管貼薬 し帰宅した。数時間後顎下部の腫脹が出現し、嚥下痛を自覚したため、再度この歯科 を受診した。第一大臼歯の仮封は除去され患者は帰宅したが、顎下部、口底部の腫脹 と嚥下痛が増悪し、開口障害も出現したために、昭和大学病院を受診した。その際、 当院口腔外科を紹介され、来院した。 初診時の口腔外所見は、オトガイ下から右側 顎下および頸部にかけてのび漫性の腫脹と軽度の発赤を認め、触診にて顎下部に捻髪 音が認められた。口腔内所見では、第一大臼歯の舌側歯肉および口腔底に発赤、腫脹 が認められた。パノラマ撮影では右側下顎第一大臼歯は残根状態で存在し、遠心根の 根尖部および、根分岐部に透過像が認められた。翌日にCT撮影を行った。右側の顎 舌骨筋は対側と比較して腫大していた。下顎孔の高さから縦隔上部の高さまで広範囲 にair density area が認められた。Air の認められる隙は、右側旁咽頭隙、両側顎 下隙、オトガイ下隙、右側頸動脈間隙、両側前頸間隙、気管前間隙、後咽頭隙、縦隔 であった。この後、顎下から頚部にかけての腫脹は徐々に軽減した。後日原因と考え られた右側下顎第一大臼歯を抜歯した。その際、根分岐部と遠心舌側根の2 箇所に穿 孔が認められた。原因については現在考察中である。

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