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オフィス賃料は再上昇、訪日外客数増はホテル市場に加え地価を牽引-不動産クォータリー・レビュー2016年第1四半期

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要 旨  2015 年度の実質 GDP 成長率は、民間消費がふるわず 0.7%に留まった。全国の住宅着工は駆け込み需 要の反動減からは回復した模様だが、首都圏の分譲マンションについては供給の減少が続き平均価格 が上昇している。2016 年の地価公示は、8 年ぶりに全国全用途で上昇に転じ、上昇地点割合は継続的し て増加している。  東京オフィス市場は、A クラスの賃料が、新規供給の影響で前期に一旦下落したが再び上昇、空室率も 3.3%と低水準だが、一部では賃料水準が高まったことでテナント誘致に時間がかかる傾向も見られる。 東京主要 5 区のマンション賃料は上昇を続けていたが渋谷区以外では横ばいになってきている。訪日外 国人客数の過去 12 ヶ月合計は、2016 年 1 月から 3 月の各月で 2,000 万人を超え、ホテル稼働率は好調 を維持。大型物流施設市場は、首都圏、近畿圏ともに需要が強いが、首都圏では大量供給の影響から 空室率が上昇してきている。 2015 年第1四半期の J-REIT 市場は、マイナス金利導入の発表を受け長期金利が大きく低下したことな どから前年末比 8.5%上昇した。J-REIT による物件取得は、昨年第4四半期に大きく鈍化したものの、 2016 年に入り再び高い水準を回復している。 東京都心 A クラスビルの賃料・空室率の推移 19,706 9.11% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 1Q 2 00 0 1Q 2 00 1 1Q 2 00 2 1Q 2 00 3 1Q 2 00 4 1Q 2 00 5 1Q 2 00 6 1Q 2 00 7 1Q 2 00 8 1Q 2 00 9 1Q 2 01 0 1Q 2 01 1 1Q 2 01 2 1Q 2 01 3 1Q 2 01 4 1Q 2 01 5 1Q 2 01 6 賃料/月・坪(共益費除く) 空室率(期末:右目盛) (注)Aクラスビルは、エリア、延床面積(1万坪以上)、基準階面積(300坪以上)、築年数(15年以内)、設備のガイドラインを 基に、個別ビル単位で立地・建物特性を重視し三幸エステートが選定している。 (出所)空室率:三幸エステート、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所 (円/月坪) 3.4% 33,995 ニッセイ基礎研究所 2016 年 5 月 10 日

オフィス賃料は再上昇、訪日外客数

増はホテル市場に加え地価を牽引

不動産クォータリー・レビュー2016 年第 1 四半期

金融研究部 不動産運用調査室長 加藤 えり子 ekato@nli-research.co.jp

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1. 経済動向と住宅市場 2015 年 10-12 月期の実質GDP成長率(2 次速報値)は、民間消費の大幅減少などから前期比▲ 0.3%のマイナス成長となった。雇用情勢は、人口減少、少子高齢化を背景とした人手不足の高まり により改善がつついているが、民間消費は伸び悩んでいる。2016 年 3 月の日銀短観は、業況判断指 数(DI)が、大企業製造業・非製造業ともに低下した。マイナス金利が追い風となる傾向がある不 動産業はわずかに上昇した。しかし3 ヵ月後の景況感は不動産業も含め、総じて数値が低下している (図表-1)。 ニッセイ基礎研究所は3 月 8 日時点で、実質 GDP 成長率を 2015 年度 0.7%、2016 年度 1.2%、 2017 年度 0.0%と予測している(図表-2)1。ただしこの予測は2017 年 4 月の消費税率引上げを前 提としており、それにともなう景気減速を反映しているが、引上げが見送りとなった場合には改善す る可能性がある。 図表-1 日銀短観(3 月調査) 図表-2 実質 GDP 成長率の動きと予測 1 斎藤太郎『2016・2017 年度経済見通し~16 年 10-12 月期 GDP2次速報後改定』ニッセイ基礎研究所、Weekly エコノミスト・レター、2016 年 3 月 8 日 -60 -40 -20 0 20 40 60 0 6. 1 2 0 7. 6 0 7. 1 2 0 8. 6 0 8. 1 2 0 9. 6 0 9. 1 2 1 0. 6 1 0. 1 2 1 1. 6 1 1. 1 2 1 2. 6 1 2. 1 2 1 3. 6 1 3. 1 2 1 4. 6 1 4. 1 2 1 5. 6 1 5. 1 2 1 6. 6 E (出所)日本銀行「企業短期経済観測調査」 大企業・製造業 大企業・非製造業 大企業・不動産業 (「良い」-「悪い」) 0.4% 0.9% 2.0% ▲1.0% 0.7% 1.2% 0.0% ▲2% ▲1% 0% 1% 2% 3% 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 民間消費 設備投資 公的需要 外需 その他 実質GDP成長率の推移(年度) (前年比) (出所)内閣府経済社会総合研究所「四半期別GDP2次速報」(2016年3月を基にニッセイ基礎研究所が作成) (年度) 予測

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新設住宅着工戸数は、2014 年 3 月の消費税率引上げの反動から 2015 年は回復してきており、2016 年に入って以降は前年同月比プラスで推移、3 月も前年同月比 8.4%増となった。(図表-3)。新築マ ンションについては、2016 年 1-3 月の首都圏供給戸数は金融危機後の低迷で供給が少なかった 2009 年と同程度の低水準となっており(図表-4)、過去 1 年(2015 年度)の供給戸数は前年比 14.4%の減 少となった。一方で、戸あたり価格、㎡坪単価は 4 年度連続して上昇、都心での富裕層向けの高額物 件供給が価格水準を底上げしている。 実需層に手の届く新築マンションの供給が少ないことも影響し、中古マンションの流通量が増加、 価格も顕著に上昇してきている。東日本不動産流通機構(レインズ)によれば、2016 年第 1 四半期の 首都圏中古マンションの成約件数は9,784 件(前年同期比+3.4%)、同 3 月の平均㎡単価は 47.78 万 円(前年同月比+5.5%)であった(図表-5)。建築工事費は、15 年前半がピークで後半からは低下傾 向となっているが、引き続き高い水準にある(図表-6)。中古マンションの流通量増加の要因の一つに、 建築費上昇の影響を直接受けないため割安とみられていることが挙げられるが、前述のように中古マ ンションの価格も上昇してきており、割安感は減りつつある。 図表-3 新設住宅着工戸数(全国) 図表-4 首都圏 分譲マンション新規発売戸数 0 2 4 6 8 10 12 14 07 .0 3 07 .0 7 07 .1 1 08 .0 3 08 .0 7 08 .1 1 09 .0 3 09 .0 7 09 .1 1 10 .0 3 10 .0 7 10 .1 1 11 .0 3 11 .0 7 11 .1 1 12 .0 3 12 .0 7 12 .1 1 13 .0 3 13 .0 7 13 .1 1 14 .0 3 14 .0 7 14 .1 1 15 .0 3 15 .0 7 15 .1 1 16 .0 3 持家 貸家 給与住宅 分譲マンション 一戸建 (万戸) (出所)国土交通省「建築着工統計調査報告書」 0戸 2,000戸 4,000戸 6,000戸 8,000戸 10,000戸 1月 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 (出所)不動産経済研究所

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図表-5 首都圏中古マンション成約件数と㎡単価の推移 図表-6 建設工事原価指数(東京都区部)の推移 2. 地価動向 3 月に公表された 2016 年 1 月公示地価は、全国全用途で+0.1%となり、8 年ぶりに上昇に転じた。 商業地、住宅地の双方で上昇地点割合は増加し、横ばいも増加したことから、下落地点割合が減少し た(図表-7、8)。全国商業地では、前回上昇のピークだった 2008 年より下落地点割合が低下した。 三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)と地方中枢都市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では 全ての用途で平均変動率がプラスとなったが、地方平均では改善はみられたものの全ての用途でマイ ナスとなった。 商業地の全国上昇率1 位と 2 位は大阪の商業中心エリアで占められた(図表-9)。1 位の「心斎橋」 は前年から45.1%、2 位の「道頓堀」は 40.1%であった。インバウンド効果による商業販売が好調な エリアで地価も大幅に上昇した。住宅地では「虻田郡倶知安町(北海道ニセコ周辺)」が19.7%と全国 で最も上昇している(図表-10)。当該エリアは、豪州や中国等の外国人にリゾート地として評価され ており、住宅地においてもインバウンド効果の影響が見られる結果となった。 20 25 30 35 40 45 50 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 01 .4 01 .12 02.8 03.4 03 .12 04.8 05.4 05 .12 06.8 07.4 07 .12 08.8 09.4 09 .12 10.8 11.4 11 .12 12.8 13.4 13 .12 14.8 15.4 15 .12 (万円/㎡) (件) 成約件数 ㎡単価 (出所)東日本不動産流通機構データを基にニッセイ基礎研究所が作成 95 100 105 110 115 120 1 0.8 1 0.1 1 1 1.2 11.5 11.8 1 1.1 1 1 2.2 12.5 12.8 1 2.1 1 1 3.2 13.5 13.8 1 3.1 1 1 4.2 14.5 14.8 1 4.1 1 1 5.2 15.5 15.8 1 5.1 1 1 6.2 (出所)建物物価調査会 集合住宅 RC 事務所 SRC 店舗 RC ホテル RC 倉庫 S

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0% 20% 40% 60% 80% 100% 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 全国/商業地 上昇 横ばい 下落 (出所)国土交通省「地価公示」 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 全国/住宅地 上昇 横ばい 下落 (出所)国土交通省「地価公示」 (価格:円/㎡、変動率:%) 2015年公示価格 2016年公示価格 変動率 (円/㎡) (円/㎡) (%) 1 大阪府 大阪市中央区心斎橋筋2丁目39番1 5,700,000 8,270,000 45.1 2 大阪府 大阪市中央区道頓堀1丁目37番外 2,020,000 2,830,000 40.1 (づぼらや) 3 愛知県 名古屋市中村区椿町1501番外 2,290,000 3,170,000 38.4 (ミタニビル) 4 大阪府 大阪市中央区宗右衛門町46番1外 7,010,000 9,550,000 36.2 (Luz(ラズ)心斎橋) 5 愛知県 名古屋市中村区名駅2丁目3603番 1,140,000 1,550,000 36.0 (松岡第二ビル) 6 大阪府 大阪市北区茶屋町20番17 1,930,000 2,550,000 32.1 (エスパシオン梅田ビル) 7 石川県 金沢市広岡1丁目112番外 343,000 450,000 31.2 (伊藤忠金沢ビル) 8 大阪府 大阪市北区小松原町18番3 1,060,000 1,350,000 27.4 (珍竹林) 9 大阪府 大阪市中央区難波3丁目27番27外 3,650,000 4,620,000 26.6 (なんば池田ビル) 10 北海道 札幌市中央区南1条東2丁目8番1 348,000 440,000 26.4 (サンシティビル) (出所)国土交通省「地価公示」 順 位 商業地 都道府県 標 準 地 の 所 在 地 (価格:円/㎡、変動率:%) 2015年公示価格 2016年公示価格 変動率 (円/㎡) (円/㎡) (%) 1 北海道 虻田郡倶知安町字旭305番38外 7,100 8,500 19.7 2 北海道 札幌市中央区大通西28丁目203番10 227,000 263,000 15.9 3 北海道 札幌市中央区宮の森3条7丁目55番 129,000 149,000 15.5 4 北海道 札幌市中央区北14条西15丁目35番25 80,000 92,000 15.0 5 北海道 札幌市中央区南4条西23丁目11番3内 142,000 163,000 14.8 6 北海道 札幌市豊平区旭町3丁目76番150外 96,000 110,000 14.6 7 北海道 札幌市中央区北8条西18丁目2番1外 104,000 119,000 14.4 8 福島県 いわき市泉ケ丘1丁目19番16 35,700 40,500 13.4 9 東京都 港区南麻布4丁目19番1外 2,190,000 2,480,000 13.2 10 福島県 いわき市平下平窪3丁目4番5 46,300 52,300 13.0 順 位 住宅地 都道府県 標 準 地 の 所 在 地 図表-7 商業地 公示地価上昇地点割合の推移 図表-8 住宅地 公示地価上昇地点割合の推移 図表-9 商業地 公示地価上昇率上位(全国) 図表-10 住宅地 公示地価上昇率上位(全国) 3. 不動産サブセクターの動向 ① オフィス 東京のオフィス市場では、賃料の上昇トレンドがより確かなものになってきている。三幸エステート とニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料データに基づくオフィスレント・インデックス2による と、2016 年第1四半期の東京都心部オフィス賃料は、A クラスビル333,995 円/坪、前期比+3.4%、前 年同期比+9.1%となった(図表-11)。2015 年第 4 四半期は、大型物件の供給の影響から一旦下落した ものの、当期は再び上昇に転じ、2012 年以降の回復基調が継続した。空室率については、前期から横ば いの3.3%で需要は底堅い。しかし、一部では賃料水準が高まったことからテナント誘致に時間がかかる 傾向も見られるため、今後上昇ペースは緩和する可能性がある。B クラスビル4の賃料も前期比+9.4%の 大幅上昇となり19,971 円/坪まで回復、空室率も 5 期連続で前期比マイナスの 3.0%まで低下した(図表 -12)。オフィス賃貸市況の改善は地方主要都市にも波及しており、仙台を除く主要都市で空室率の改善 が見られた(図表-13)。 2 三幸エステート株式会社『オフィスレント・インデックス』 http://www.sanko-e.co.jp/data/rent-index/publish-2016 3 述床面積 10,000 坪以上、基準階貸室面積 300 坪以上、築年数 15 年以内。 4 基準階面積 200 坪以上で A クラスに含まれないビル(築年数経過で A クラスの対象外となったビルを含む)。

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図表-11 東京都心Aクラスビルの賃料・空室率の推移 図表-12 東京都心 B クラスビル賃料・空室率の推移 図表-13 主要都市のオフィスビル空室率 19,706 9.11% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 1Q 2 00 0 1Q 2 00 1 1Q 2 00 2 1Q 2 00 3 1Q 2 00 4 1Q 2 00 5 1Q 2 00 6 1Q 2 00 7 1Q 2 00 8 1Q 2 00 9 1Q 2 01 0 1Q 2 01 1 1Q 2 01 2 1Q 2 01 3 1Q 2 01 4 1Q 2 01 5 1Q 2 01 6 賃料/月・坪(共益費除く) 空室率(期末:右目盛) (注)Aクラスビルは、エリア、延床面積(1万坪以上)、基準階面積(300坪以上)、築年数(15年以内)、設備のガイドラインを 基に、個別ビル単位で立地・建物特性を重視し三幸エステートが選定している。 (出所)空室率:三幸エステート、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所 (円/月坪) 3.4% 33,995 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% 10% 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 1Q 2 00 0 1Q 2 00 1 1Q 2 00 2 1Q 2 00 3 1Q 2 00 4 1Q 2 00 5 1Q 2 00 6 1Q 2 00 7 1Q 2 00 8 1Q 2 00 9 1Q 2 01 0 1Q 2 01 1 1Q 2 01 2 1Q 2 01 3 1Q 2 01 4 1Q 2 01 5 1Q 2 01 6 賃料/月・坪(共益費除く) 空室率(期末・右目盛) (注)Bクラスビルは、基準階面積200坪以上でAクラスビルに含まれないビル (築年数経過でAクラスの対象外となった ビルを含む) (出所)空室率:三幸エステート、賃料:三幸エステート・ニッセイ基礎研究所 (円/月坪) 3.2% 19,971 0% 4% 8% 12% 16% 20% 24% 99 /1 2 00 /1 2 01 /1 2 02 /1 2 03 /1 2 04 /1 2 05 /1 2 06 /1 2 07 /1 2 08 /1 2 09 /1 2 10 /1 2 11 /1 2 12 /1 2 13 /1 2 14 /1 2 15 /1 2 東京23区 札幌市 仙台市 名古屋市 都心3区 大阪市 福岡市 空室率 (出所)三幸エステート

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② 賃貸マンション 東京都心5 区のマンション賃料は、2012 年以降緩やかな上昇基調を続けてきたが、16 年に入り渋 谷区以外では上げ止まり感がある。(図表14)。また、東京都心部の高級賃貸マンションは、空室率 の低下傾向が続き2016 年第 1 四半期は 6.27%となった(図表-15)。前回同程度の空室率に低下した 2006 年第 4 四半期には、賃料が 16,000 円/坪を超えているが、当期は、15,601 円/坪と 16,000 円/坪に 届いておらず、空室率が下がっても以前ほどには賃料が上昇していない状況にある。賃料負担力のあ る外国駐在員等が減少し、入居者層が変化していることが要因の一つと考えられる。 図表-14 東京都心 5 区のマンション賃料 図表-15 高級賃貸マンションの賃料と空室率 ③ 商業施設・ホテル・物流施設 業態別の商業販売額は、百貨店の変動幅が大きいが、総じて前年同期比プラスで推移している。特 にコンビニエンスストアは、安定的に前年同期比プラスで推移している(図表-16)。図表-17 に、東京 12,500 13,000 13,500 14,000 14,500 15,000 15,500 16,000 16,500 17,000 10 .1 10 .4 10 .7 10 .1 0 11 .1 11 .4 11 .7 11 .1 0 12 .1 12 .4 12 .7 12 .1 0 13 .1 13 .4 13 .7 13 .1 0 14 .1 14 .4 14 .7 14 .1 0 15 .1 15 .4 15 .7 15 .1 0 16 .1 (円/月坪) (出所) リーシング・マネジメント・コンサルティング「都心主要5区 平均募集坪単価推移」 ※集計対象:集計時点(月次)から過去10年間に竣工したRC・SRC造マンションタイプ 中央区 港区 渋谷区 新宿区 千代田区 12,000 13,000 14,000 15,000 16,000 17,000 18,000 19,000 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 19 99 2 Q 20 00 2 Q 20 01 2 Q 20 02 2 Q 20 03 2 Q 20 04 2 Q 20 05 2 Q 20 06 2 Q 20 07 2 Q 20 08 2 Q 20 09 2 Q 20 10 2 Q 20 11 2 Q 20 12 2 Q 20 13 2 Q 20 14 2 Q 20 15 2 Q 空室率 賃料(右目盛) (円/月坪) (注)期間中にケンコーポレーションで契約されたうち、賃料が30万円/月または専有面積が30坪以上のもの (出所)ケン不動産投資顧問 空室率 6.27% 15,601

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および地方主要都市のプライム商業エリアの路面店舗賃料の推移を示した。銀座は2015 年上期までは 上昇が続いたが、2015 年下期は前回ピークの 2008 年の水準までは届かずに上昇は一服した。地方主 要都市では、心斎橋、天神(福岡)などが上昇基調にある。 図表-16 百貨店・スーパー・コンビニエンスストアの販売額(既存店、前年比) 図表-17 主要都市のプライム商業エリア路面店舗賃料 訪日外客数の過去12 ヶ月合計値を各月で見ると図表-18 のようになる。2016 年 1 月以降は既に年間 2,000 万人を超えている状況にある。円安が顕著になってきた 2015 年に入って以降、増加のペースも 上がってきている。その影響もあり、ホテル客室稼働率は好調が続いている。2016 年に入り、全国 61 都市のホテル客室稼働率は2015 年とほぼ同水準を維持、2016 年 3 月は、前年同月比+0.7 ポイントの 82.6%であった(図表-19)。力強い需要を背景に、既存ホテルへの投資が活発化し価格が上昇するとと もに、新規開発計画も相次いでいる。2015 年度の宿泊業用建築物の着工床面積は、前年比 40%増、着 工棟数は34%増となった。しかし 2005-8 年の水準には戻っていない(図表-20)。 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 30 0 7. 1 2 0 8. 4 0 8. 8 0 8. 1 2 0 9. 4 0 9. 8 0 9. 1 2 1 0. 4 1 0. 8 1 0. 1 2 1 1. 4 1 1. 8 1 1. 1 2 1 2. 4 1 2. 8 1 2. 1 2 1 3. 4 1 3. 8 1 3. 1 2 1 4. 4 1 4. 8 1 4. 1 2 1 5. 4 1 5. 8 1 5. 1 2 百貨店 スーパー コンビニエンスストア (出所)経済産業省「商業動態統計」、日本フランチャイズチェーン協会「JFAコンビニエンスストア統計調査月報」 前年同月比(%) (既存店ベース) 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 08 上期 08 下期 09 上期 09 下期 10 上期 10 下期 11 上期 11 下期 12 上期 12 下期 13 上期 13 下期 14 上期 14 下期 15 上期 15 下期 (円/月坪) 銀座1F 大通(札幌)1F 心斎橋1F 天神(福岡)1F 栄(名古屋)1F (情報データ提供)アトラクターズ・ラボ (出所)日本不動産研究所、ビーエーシー・アーバンプロジェクト「店舗賃料トレンド」

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図表-18 訪日外客数の推移 図表-19 全国ホテルの平均稼働率推移 図表-20 宿泊業の建築着工動向 -100% -50% 0% 50% 100% 150% 200% 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 08 .1 08 .4 08 .7 08 .1 0 09 .1 09 .4 09 .7 09 .1 0 10 .1 10 .4 10 .7 10 .1 0 11 .1 11 .4 11 .7 11 .1 0 12 .1 12 .4 12 .7 12 .1 0 13 .1 13 .4 13 .7 13 .1 0 14 .1 14 .4 14 .7 14 .1 0 15 .1 15 .4 15 .7 15 .1 0 16 .1 (万人) (出所)日本政府観光局(JNTO) 過去12ヶ月間累計値(万人) 単月値前年同月比(%) 55% 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (出所)オータパブリケイションズ「週刊ホテルレストラン」を基にニッセイ基礎研究所が作成 全国平均客室稼働率 0 50 100 150 200 250 300 350 400 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 20 13 20 14 20 15 棟数 床面積(右) (万㎡) (棟) (出所)「建築統計年報」「建築着工統計」

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シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の 16 年第 1 四半 期空室率は前期から1.4 ポイント上昇し 8.3%となり、2010 年第 4 四半期以来の高い水準となった(図 表-21)。新規需要は高水準ではあったが、当該四半期における 12 万坪の新規供給を吸収しきれなか った。竣工1 年以上の空室率は 1.7%と引き続き低いことから需要は底堅いが、それを上回る供給によ り空室率が高まった。第2 四半期は 13 万坪を、第 3 四半期は 9 万坪をそれぞれ超える新規供給が予定 されていることから、その間は空室率が高めで推移すると考えられる。近畿圏の空室率は0.1 ポイント 低下の3.4%となった(図表-19)。近畿圏では第 3 四半期に 8 万坪弱の過去最高となる供給が予定さ れていることから、2016 年の後半は空室率が高まる可能性が高い。首都圏、近畿圏ともに供給増の影 響で全般に賃料はやや下がると予想されるが、物件に希少性があり複数の消費地を後背地として持つ 外環道周辺(首都圏)や京都周辺(近畿圏)では足元賃料は上昇しており、今後も下落リスクは相対 的に低いと思われる。 図表-21 大型マルチテナント型物流施設の空室率 4. J -REIT(不動産投信)・不動産投資市場 2016 年第 1 四半期の東証 REIT 指数(配当除き)は、日本銀行が 1 月末に「マイナス金利付き量的・ 質的金融緩和」の導入を発表し長期金利が大きく低下したことなどから前年末比 8.5%上昇した。セク ター別ではオフィスが 9.0%、住宅が 4.8%、商業・物流等が 9.3%上昇した(図表-22)。3 月末時点の 分配金利回りは 3.3%(対 10 年国債利回りスプレッド 3.3%)、NAV 倍率は 1.3 倍、市場時価総額は 11.7 兆円である。 J-REIT による第 1 四半期の物件取得額(引渡しベース)は 5,509 億円(前年同期比+11%)となった。 J-REIT の外部成長ペースは昨年第4四半期に大きく鈍化したものの、2016 年に入り再び高い水準を回復 している(図表-23)。銘柄数は 2/17 にラサールロジポート投資法人が運用資産 8 物件・1,614 億円で上 場し 53 社に増加した。 マイナス金利は J-REIT 市場の分配金を押し上げる効果が期待できる。図表-24 は、2015 年下期(7-12 月期)における市場全体の収益構造を示している。投資家の受け取る分配金原資(1,531 億円)は、保有 不動産が稼ぎ出す賃貸事業収益(3,223 億円)から、運用資産額にほぼ連動する減価償却費(814 億円) 8.3% 3.4% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 2Q 2 00 5 4Q 2 00 5 2Q 2 00 6 4Q 2 00 6 2Q 2 00 7 4Q 2 00 7 2Q 2 00 8 4Q 2 00 8 2Q 2 00 9 4Q 2 00 9 2Q 2 01 0 4Q 2 01 0 2Q 2 01 1 4Q 2 01 1 2Q 2 01 2 4Q 2 01 2 2Q 2 01 3 4Q 2 01 3 2Q 2 01 4 4Q 2 01 4 2Q 2 01 5 4Q 2 01 5 首都圏 近畿圏 (出所)CBRE 空室率 ニッセイ基礎研究所

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と資産運用報酬等(523 億円)、及び融資関連費用を含む支払利息(356 億円)を引いた金額である。こ のうち、有利子負債額(約 5.7 兆円)に対する支払利息の利率は年率 1.2%であり、マイナス金利導入 後の新規の借入利率は 0.7%と推測される。したがって、既存の借入金のリファイナンスが進んで借入 利率が現行水準から 0.5%低下した場合(1.2%→0.7%)、支払利息の減少によって分配金は 144 億円増 加し 9%の増益要因となる。 図表-22 東証 REIT 指数(配当除き、2015 年 12 月末=100) 図表-23 J-REIT による物件取得額(四半期毎) 80 85 90 95 100 105 110 115 120 14. 12 15 .1 15. 2 15. 3 15 .4 15 .5 15. 6 15 .7 15 .8 15. 9 15. 10 15. 11 15. 12 16. 1 16 .2 16 .3 (出所)東京証券取引所 東証REIT指数 オフィス指数 住宅指数 商業・物流等指数 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (億円) 4Q 3Q 2Q 1Q (注)引渡しベース(優先出資証券は除く)。新規上場以前に取得した物件は上場日に取得したと想定 (出所)開示資料をもとにニッセイ基礎研究所が作成 (年)

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図表-24 J-REIT 市場全体の収益構造(2015 年下期) 2016 年第 1 四半期に公表・報道された不動産投資取引(図表-25)では、外資系ファンドによる出 口売却に加え、上場リートによる物件売却などが確認できた。価格の上昇が物件売却を促している状 況がうかがえる。外資系ファンドによる売却では、大型物件は見られず、中小型物件の売却がほとん どであった。物件取得において競合が厳しい状況が続く中、ファンドが保有する大型物件については 売却せずに継続保有とする判断もある模様だ。売却先としては、国内不動産会社や建設関連の会社な どであった。また一方で、外資系ファンドは物件取得も行っているが、これについても小ぶりな物件 が多く、所在地は東京都心 5 区に加え、相対的に割安な周辺区へ拡大する傾向が見られる。国内勢の 取引では、上場リートによるポートフォリオの入れ替えのための売却物件を取得するケースが含め、 事業会社等が物件を取得する事例が多く見られた。日本土地建物による虎ノ門の 2 物件取得は、再開 発を踏まえたものであり、当該エリアの開発が複数個所で本格化している状況を反映している。 マイナス金利の環境下、金利水準との相対感から、さらに取引利回りが低下する可能性があるもの の、一方でプライム物件は希少で市場に出にくい状況となっていることから、実際に取引実行になる 案件は限定されると思われる。一方投資対象は、相対的に利回りの高い地域・用途に拡大する傾向に ある。 1,531 1,675 356 211 523 523 814 814 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 2015年 下期実績 借入利率が 0.5%低下したケース +144億円 (9%増加) 分配金 原資 資産運用 報酬等 減価 償却費 支払 利息 賃貸事業 収益 (3,223億円) (億円) (注)47社を対象に集計。分配金原資は売却損益を除く経常利益 (出所)開示資料をもとにニッセイ基礎研究所が作成

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図表-25 2016 年第 1 四半期に公表された主な売買取引 (ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありませ ん。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもあり ません。 外資系企業による売却物件(2016年1-3月公表分) 物件名 所在地 延床面積 取得者 売却者 取引額 青山タワービル、タワービル別館 港区 1万㎡ 竹中工務店 アメニティ55(品川区) 品川区 0.2万㎡ スター・マイカ プライムゲート目黒三田 目黒区 0.7万㎡ ヒューリック クアトロ室町ビル 中央区 0.7万㎡ 平和不動産 御茶ノ水Sビル 千代田区 0.1万㎡ ヒューリック S&Sビルディング 新宿区 0.9万㎡ ヒューリック 大博多ビル 福岡市博多区 3万㎡ SIA不動産投資法人などのSPC モルガンスタンレーのSPC 約109億円 上大崎で建設中のビルの底地 品川区 0.4万㎡(土地) 大林新星和不動産 ローンスターのSPC 非公表 サンエース徳川 名古屋市東区 0.8万㎡ ネクストステップ アストロ・ジャパン・プロパティ・トラスト(豪リート) 13.7億円 ネストホテル大阪心斎橋等ホテル7棟 大阪市他 - いちごクループHD IPC CorporationのSPC 149.4億円 外資系企業による取得物件 (2016年1-3月公表分) 物件名 所在地 延床面積 取得者 売却者 取引額 大手町建物須田町ビル 千代田区 0.3万㎡ メットライフ生命保険 合同会社フォーマル・ハウト 非公表

THE GATE MITA 港区 0.1万㎡ 兆望有限公司(香港) サンフロンティア不動産 非公表

サンシャイン名駅ビル等3棟 名古屋市他 合計18万㎡ ラサール不動産投資顧問のSPC - 非公表 グラスキューブ品川 品川区 1.9万㎡ フェニックス・プロパティ・インベスターズ(香港) NTT都市開発の私募ファンド 非公表 コスモパークビル 荒川区 1.2万㎡ ラサール不動産投資顧問のSPC フォートレスのSPC 非公表 原宿駅前の店舗ビル 渋谷区 0.1万㎡ グリーンオーク・リアルエステートのSPC ザック合同会社 非公表 ザ・ペニンシュラ東京の建物 千代田区 5.8万㎡ ペニンシュラ東京 三菱地所 103億円 カールスジュニア入居ビル 千代田区 0.7万㎡ 欣鎰立(台湾) アドロス 非公表 山口ビル7 台東区 1.1万㎡ ラサール不動産投資顧問のSPC 個人の資産管理会社 非公表 その他の主な取引 (2016年1-3月公表分) 物件名 所在地 延床面積 取得者 売却者 取引額

The Kitahama PLAZAの一部 大阪市中央区 7.3万㎡ 不明 オリックス不動産投資法人 57.1億円

東雲の物流施設、社員寮 江東区 合計1.3万㎡ 不明 三井造船 譲渡益168億円 ららぽーと豊洲本館の底地 江東区 10.6万㎡(土地) 三井不動産 IHI 200億円 虎ノ門東洋ビル、KDX虎ノ門ビル 港区 合計1万㎡ 日本土地建物 ケネディクス・オフィス投資法人 154億円 岩本町ビル等約20物件 - - NTT都市開発・プライベート投資法人 NTT都市開発など 約300億円 TOKYU REIT 八丁堀ビル 中央区 0.9万㎡ 国内事業会社 東急リアル・エステート投資法人 50.1億円 Daiwa 渋谷道玄坂ビル 渋谷区 0.6万㎡ 国内事業会社 大和証券オフィス投資法人 64億円 ジョイフルタウン岡山 岡山市 5.6万㎡ 国内事業会社 フロンティア投資法人 87億円 NTT幕張ビル 千葉市美浜区 17万㎡ 合同会社(名称不明) NTT都市開発 215億円 上野イーストタワー(共有持分60%) 台東区 4.1万㎡(全体) 日本ビルファンド投資法人 ナエバ・プロパティーズ特定目的会社 216億円 日土地虎ノ門ビル 港区 1.1万㎡ ケネディクスオフィス投資法人 日本土地建物 155億円 グリーンオーク・リアルエステートのSPC PAGインベストメント・マネジメントのSPC 非公表 非公表 (出所)日経不動産マーケット情報、上場リート開示資料をもとにニッセイ基礎研究所が作成

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