4年 社会科
「札幌市の人たちの昔のくらし」
この単元では「道具」の変遷をたどることで「道具」が便利に発展
することで人々の生活がよりよく変化してきたことを学習します。そ
の学習を経てきた子供たちに、「薪ストーブの売り上げが最近急増して
いる」という事実を提示します。一見不便に見える道具がなぜ売れる
のか、その理由を考える中で子供たちは道具の持つ「便利さ」の他に
「道具の持つよさ」に気づいていきます。このような視点を持つこと
が現在の道具を見直すことにつながると同時に、現在の道具を支える
化石燃料の限界について知り、これからの生活を支えるエネルギーを
考えるきっかけとなっていくと考えます。
1.
「便利さ」
「道具としてのよさ」の二つの側面から道具をとらえる
本単元のねらいは、道具の変遷をたどることで、昔の人々のくらしの様子と現在の自分達の生活の
様子を比べ、地域の人々の生活が道具によって変化してきたことを考えるようにすることである。
本単元ではさらにそのねらいに加えて、昔の道具の使用体験や「薪ストーブの売り上げがあがって
いる」という事実から、道具の発展の証である「便利さ」という観点からだけではなく、「道具として
のよさ」という新しい観点からも道具について考えさせていきたい。
「道具としてのよさ」を見直すことは、「便利さ」だけを追求し続けていくだけではない、これから
の生活をもう一度考えることにつながると考える。また、同時に「便利さ」を支えてきた化石燃料の
限界を知ることで、現在の快適な暮らしを続けるためには「化石燃料にかわるエネルギーが必要であ
る」という事実に着目させることができる。それがこれからのエネルギーについて考えるきっかけに
なるとも考えた。
2.
「暖房」を軸にとりあげることでわかる道具のよさ
本単元では、道具の変遷についての学習を「暖房」にしぼることとした。子供たちの視点を変える
「薪ストーブの売り上げが上がっている」という事実について考察するうえで、それまでの暖房器具
の変遷を追い、それぞれの道具の持つ「便利さ」によって人々の生活が変化してきたことや「道具と
してのよさ」を深く追求することが必要であると考えたからである。
そして、「道具としてのよさ」を考える時に必要となるのが昔の道具を使っての直接的な体験である。
七輪や湯たんぽ、薪ストーブなどの道具を実際に使用することで、子供たちはその「不便さ」から現
在の道具の「便利さ」を体感することができるであろう。だがそれとともに、昔の道具が持つ、あた
たかみやデザインのよさなどから「道具のよさ」を同時に体感することと考える。
3.これからのエネルギーについて
「道具としてのよさ」という新しい視点が生まれたとしても「実際に薪ストーブで暮らせるか?」
と問われたら子供たちの多くは「便利さ」を選択するのではないだろうか。ただ、その時に現在の「化
石燃料」中心の暖房器具では「これからの生活」を支えていけないという事実につきあたることにな
る。「これからの生活」を考えた時に、「道具としてのよさ」という視点から道具を見直すと共に、道
具の発展の証である「便利さ」を求めるのであれば、新しいエネルギーのあり方を考えなければいけ
ないということにも気づかせていきたい。
■「札幌市の人たちの昔のくらし」(8時間)
主な学習活動
指導上のポイント
わたしたちの生活にはどんな道具が?
北海道の冬の生活に欠かせない暖房
調べてみよう・お家の人に聞いてみよう
◆ 家庭や地域でのインタビュー
木材 → 石炭 → 石油
○自分達がたくさんの便利な道具に囲まれて生
活していることを知る。
○現在の道具についての交流を行う中で、北海道
の冬の生活に欠かせない暖房器具に焦点をし
ぼっていく。
○祖父母の代の人に聞くことで
例)ストーブ
薪 → 石炭 → 石油
のように道具の変遷をとらえさせたい。
○インタビューする際は、今の暖房との比較をし
てもらいながら当時の暖房を使っての生活の
様子などを詳しく話してもらうようにする。
○地域の人を招いて昔の様子を聞く活動も考え
られる。
○学校の資料室等で実物にふれる機会を作る。
○これまでの学習で学んだことをふりかえり、絵
や言葉による表現活動に取り組む。
○燃料=エネルギーの変遷もとらえさせる。
○道具の変遷を追うだけでなく、その時々の人々
の生活の様子にも焦点をあてる。
暖房器具にはどんな道具が?
洗濯機
炊飯器
石油
ストーブ
道具の移り変わりによって人々の生活や、
使うエネルギーも変化してきたんだ。
昔の人はどんな暖房器具を
使っていたのだろう
昔と今では大きく違う。道具は時間をかけ
て便利に発展してきたんだ。
暖房年表を作って発表しよう
薪
ストー
ブ
石炭
ストー
ブ
石油
ストー
ブ
自動車
ファン
ヒーター
薪ストーブ
いろり
電気カー
ペット
こたつ
火鉢
家や学校の暖房器具の歴史を調べよう
石炭
ストーブ
主な学習活動
指導上のポイント
昔 今
時間がかかる すぐにできる
たいへん かんたん
おもしろい つまらない
○暖房に絡め「あったかくする道具」の視点で昔
の道具の体験を行う。
○洗濯版を使っての体験等も同時に取り入れる
ことも考えられる。
※参考
『北海道開拓記念館』
で火鉢や昔の道具を借りられる。
TEL 011-898―0456
○昔の道具と今の道具を「便利さ」「道具として
のよさ」の観点で比較する。
○これまでの体験活動や調べ活動を根拠に課題
に取り組ませる。
○これまでの学習の観点である「道具のよさ」と
「便利さ」に加えて「エネルギー」の観点から
も考える。
○「くらしを支える電気」で学習した新エネルギ
ーについて想起させる。
○それぞれの暖房の長所と短所を考えながら自
分の考えでこれからの暖房を考えていく。
実際に昔の道具を使ってみよう
今、なぜ薪ストーブが人気なの?
現在の道具はとても便利だな
でも昔の道具にもよさがあるかも
七輪 薪
ストーブ
湯たんぽ
便利さ
便利さ 資源
エネルギー
薪
ストーブ
石油
ストーブ
よさ
これからは便利さだけではなくエネルギー
や道具のよさも考えて道具を選ばなければ
道具の選び方もあるんだね
暖房年表の続きを
作ってみよう
新エネルギー
を使って
道具とし
てのよさ
■授業例
◆授業のねらい
薪ストーブの人気の秘密を考えることで、便利さだけではない道具のよさに気づくことができる。
また、昔と今の道具のエネルギーに着目することでこれからの道具のあり方を考える。
主な学習活動
指導上のポイント
薪ストーブを使うのは
とても大変
便利な石油ストーブ
があるのに…
道具としてのよさがあるんだ!
・薪ストーブの資料は
前 時 ま で の 学 習 に
加え教師が用意
・前時までに学んでき
た 現 在 の 道 具 の よ
さ と 異 な る 事 実 か
ら問いを生む.
・子どもの見方や考え
方を「道具としての
よさ」と「便利さ」
の 視 点 か ら と ら え
る.
・エネルギーを中核に
こ れ ま で の 学 習 か
ら考える。
・「くらしを支える電
気」で学習した化石
燃 料 の 埋 蔵 量 を 想
起させる。
・薪ストーブの燃料に
な る 木 材 は 循 環 可
能 な エ ネ ル ギ ー だ
と い う こ と は 教 師
から説明する。
●前時まで
現在の道具と昔の道具を比べながら調べていくことで、現在の道具
の便利さに気づいている。また、昔の道具の体験から昔の道具のよ
さについても気づき始めている
①薪ストーブ
・煙突が必要
・値段が高い
・火がつきにくい
②薪ストーブの売
り上げが上がっ
ているという記
事とグラフ
今、なぜ薪ストーブが人気なの?
よさ
雰囲気
デザイン
あたたかみ
調理にも使える
便利さ
火がつきにくい
薪の用意が大変
みんなが薪ストーブを使えば…
昔にもどるほうがよいということ?
これからは便利さだけでなく道具の持つよさやエネル
ギーのことも考えながら道具を選んでいかなければ
エネルギー
石油 40 年
石炭 150 年
お金
新しく買うのは
お金がかかるよ
資源
化石燃料は
使わずにすむ
お金
値段が高い
燃料代は安い
環境
木がなくなる
二酸化炭素は出さ
ない
■発展的な学習のアイディア
主な学習活動
指導上のポイント
○自分達の学校の暖房について
・どのような仕組みであたためられているか
・どれくらいのお金がかかっているのか
・学校の暖房の歴史
などを調べていく
○それぞれ調べたことをもとに、グラフや表など
にわかりやすくまとめる。
・各グループで学校の中で調査活動に取り組んで
もよい。
・1日の燃料の消費量や1ヶ月の燃料の値段など
を事務職員の方にインタビューする。
・暖房に使われる燃料の量や値段を知ることによ
り、これからの暖房の使用方法についても考え
させたい。
主な学習活動
指導上のポイント
○自分達が普段使っている暖房について、消費電
力や燃料消費量について調べる。
○「消費電力」「燃料」の観点から現在の暖房器
具を調べる
○これまで調査した結果から「暖房のエコ」を考
える。
・消費電力の多い順に並べるなど、ランキングで
表示すると分かりやすい。
・近くのお店に行き調べたり、ちらしやインター
ネットなどで調査したりすることが考えられ
る。
主な学習活動
指導上のポイント
○それぞれの家庭でのエアコンの使用率・種類を
調べる。
○「消費電力」「機能」の観点から他の冷暖房器
具との違いを調べる。
○これまで調査した結果からこれからの生活に
必要な冷暖房器具は何かを考える。
・エアコンについての基礎的な知識も学習する。
・お店に行き調べたり、ちらしやインターネット
などで調査したりすることが考えられる。
・「機能」「エネルギー」の観点から考えさせるよ
うにする。
◆学校の暖房調べ(2 時間)
◆暖房のエコ(2 時間)
◆エアコン調べ(2 時間)