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本 稿 執 筆 の 直 接 の 理 由 である 今 回 の 課 題 はリハビリテーション 臨 床 実 習 におけるものであるか ら,ということは,その 対 象 となる 患 者 さんは 既 に 診 断 と 治 療 が 開 始 されている.だが,リハビ リテーションとは 疾 病 や 外 傷 により 失

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Academic year: 2021

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リハビリテーション臨床実習における 歩行評価の方法についてまとめよ とする(機器を用いる歩行分析 を行え. 観察の前提知識 歩行運動は下肢と体幹によって される. だから,これらがどこかのどこかに 歩行障害の主な原因 ある地方病院外科における疾患 調べ)では,1 年間の総患者カルテ 10.4%,手指外傷 6.2%,足捻挫 上の疾患の分布とも一致するように 所を明確に特定できないことの 一層高くなっていると言われる やはり痛みの愁訴が少なく“歩きにくい・ に,歩行障害を主訴としながら膝 こうした疾患が歩行障害を主訴 た疾患の診断のヒントを得ることができる

歩行に関与する器官・

• 筋肉・骨・関節などの運動器 • 運動器からの感覚(表在感覚 枢に伝える感覚神経 • 筋肉を動かす運動神経 • 脊髄と脳の感覚路と錐体路 • 平衡感覚と体幹平衡機能 • 大脳の高次機能(認知, 1.構造上の問題 • 下肢長差 • 関節拘縮・強直 • 関節支持性の低下 における課題 についてまとめよ.原則的に歩行分析機器を用いない,目視 歩行分析に触れても構わない).また,それに基づいて によって行われるが,円滑な歩行は複数の器官と系の これらがどこかのどこかに障害があると,歩行の障害となって 疾患の内訳を調べたデータ(仲田和正先生(西伊豆病院院長 カルテ3,377 例中整形外科疾患は 77%を占め,腰痛 足捻挫4.8%,および頚椎疾患 1.9%であった. するように,“歩きづらい”という主訴で圧倒的に多 できないことの多い脊柱管狭窄症であり,患者が高齢化しているので われる.その他に多いものとして各種の脊髄障害,特に きにくい・足がよろける”という訴えで受診することが 膝や股関節に病変がある症例やパーキンソン病 主訴に発見されているということは,逆に,歩行 ることができるということである.

・系は?

運動器 表在感覚,位置覚・関節感覚・運動覚などの深部感覚 錐体路 体幹平衡機能を制御する内耳前庭,前庭神経・脳幹・小脳系 ,注意,歩行行為) 2.疼痛 • 関節痛のために荷重が 不十分 3.神経 • 失調 • 運動麻痺 • 感覚異常 下,しびれの

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矢野 寿 目視での観察について 観察による歩行評価 の協調によって遂行 となって表れる. 西伊豆病院院長(現在)) 腰痛18.9%,膝疾患 多いのは,痛みの箇 しているのでその頻度は に頚髄障害があり, することが多い.これ 病などが続いていく. 歩行の観察からこうし 深部感覚)を中 小脳系 神経・筋の異常 運動麻痺(筋力低下) 感覚異常(位置覚の低 しびれの出現)

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本稿執筆の直接の理由である今回の課題はリハビリテーション臨床実習におけるものであるか ら,ということは,その対象となる患者さんは既に診断と治療が開始されている.だが,リハビ リテーションとは「疾病や外傷により失われた機能を回復させる」ことであり,いかに回復した かを評価するためにどう失われていたか(どういう疾患でどう失われるのか)を知ることが欠か せない. よって,ここでは歩行障害という病的状態の評価法・診断法についての記述を引き続き進めて いく. 歩行と姿勢の観察および評価・診断 歩行障害の診察は,患者が診察室に入るときから始まる(患者が目に入った時から既に始まっ ている). 姿勢,歩き方,方向転換,椅子への座り方を観察する.歩行では,手足の動かし方とスムーズ さ(協調運動),膝の上げ方,手の振り,足の運び(歩幅)と足の開き具合,着床時の足の状態, 歩きかた(歩容),体の動揺,左右差,スピード,安定度をみる. 〔これらはまずは普通に歩いている様子を見ての観察点だが,指示が可能ならば,継ぎ足歩行, 突進現象試験(pulsion test),Rombergロ ン ベ ル グ試験を行って,さらなる鑑別のヒントとする.〕 と,見るべきポイントを羅列しても,これらは個々に評価されるものではないので実際性には 乏しい.これらはパターンとして全体的に評価されるもので,それが以下のような異常パターン に当てはまらないかを確認すべきである. ① 草刈り歩行(痙性片麻痺による): 上肢は肩関節を内転・回内,肘を屈曲,前腕を回内位にして,手首と手指を屈曲した独特の異常 特徴 疾患 Parkinson病,Parkinson症候群 基底核の多発性梗塞 変形性股関節症 変形性膝関節症 腰部脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症(PAD) 間欠性跛行 歩行開始時には症状は強くなく,歩行 するにつれ疼痛,しびれ,脱力,こわば り等が出現して跛行となる.休息すると 再度歩行可能となる. 動揺性歩行 腰部の筋力低下のため腰部を前方に, 殿部を後方に突き出して腰を左右に振 りながら歩く. 進行性筋ジストロフィー 関節障害性跛行 下肢の関節疾患による関節痛か,痛み がなくともROM制限や下肢長差がある と跛行が出現する.歩行の開始時より 跛行がある. Parkinson様歩行 歩行開始前の立ちすくみ,特有な小幅 歩行が見られる. 鶏足歩行 下垂足を補うために必要以上に膝を上 げて床を叩くようにして歩く. 腓骨神経麻痺 典型的な歩行障害パターンと原因疾患 痙性歩行 挟み足,尖足,ときには上体が飛び跳 ねるように歩く. 脳出血,脳梗塞,脊髄症 失調性歩行 酩酊様の歩行(千鳥足歩行)で,調和 のある円滑な歩行ができない. 小脳・脊髄・前庭疾患

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姿勢をとり,下肢は強く伸展・回内し,尖足(足底側へ屈曲)を呈する. Wernickeウ ェ ル ニ ッ ケ-Mannマ ン 肢位と呼ばれる(右の図1 参照).下肢を伸展したまま足 先で地面を擦るように大きく外方に弧を描くように回旋させながら歩く (草刈り歩行). 麻痺側の筋緊張は亢進して痙性を示し,腱反射は亢進する.Babinskiバ ビ ン ス キ ー徴 候やChaddockチ ャ ド ッ ク反射が出現することが多い. 大脳半球の病変を示唆し,実際,脳血管障害などで一側性の上位運動ニ ューロン(錐体路)に障害のある片麻痺患者でみられる. ①’痙性対麻痺性歩行(はさみ脚歩行): 両側錐体路の障害で痙性対麻痺を生じたときの歩行である.下肢伸筋と 大腿内転筋の筋緊張が高まるために,下肢を突っ張り内旋させ,内反尖足 位で,支え足を後方に,踏み出し足を前方にと交叉させながら歩く. 腱反射の亢進,Babinski 徴候や Chaddock 反射などの錐体路症状,下肢筋緊張亢進,折りたた みナイフ現象1,足間代そくかんたい2などを認める.疾患によっては,感覚障害や排尿障害を認めることもあ る. 両側錐体路を侵す脊髄疾患によることが多いが,脳幹や大脳疾患でも起こる.原因として脊髄 炎,多発性硬化症,外傷性脊髄損傷,HAM(HTLV-I 関連ミエロパシー)などが考えられる. ② 失調性歩行 失調性歩行は,円滑な運動ができないために,つたなく不確実な歩行をするものである. ②a‐小脳性失調歩行: バランスをとるために,両足を大きく開脚し両上肢も大きく外転させて,頭部や体幹を動揺さ せて不安定に特に患側へよろけながら歩く.両足の動きは大きく過剰な動作が入り,歩幅は一定 せず,軌跡は千鳥足様となる. 小脳の病変によっており,他の小脳症状(眼振,四肢の失調,筋緊張低下,爆発性・断綴性の 構音障害など)を伴うことが多い.目の開閉によっても症状に変化はない3 ②b‐脊髄癆性(脊髄後索障害性)歩行: 下肢は膝が過伸展し,足下を見ながら足底を床に叩きつけるように歩く.脊髄後根および後索 障害による下肢の深部感覚障害に起因した歩行障害である. 一歩ごとに足を高く上げて眼で足元を確かめながら足を運ぶので,下の④で扱う鶏歩症に似る が,踵が足先よりも先に降り,あたかも地面を打つような感じになる. 1 関節を他動的に屈曲または伸展させた時にはじめは抵抗が強く,あるところまで動かすと次第に抵抗が減じる現象のことで, 錐体路障害による 痙 けい 縮 しゅく に特徴的である. 2 麻痺側の膝を軽く屈曲し,左手でふくらはぎを,右手で足先をもって下腿三頭筋を勢いよく伸展すると見られる,律動的・不 随意的な筋の収縮で,痙性麻痺の特徴である. 3 下半身からの深部感覚が障害されているかを見るロンベルグ試験は,明所(開眼)では起立保持が可能であるのに対し,暗所 または閉眼時にはこれが著しく障害される場合に陽性とする. 大径末梢神経線維障害や脊髄後索病変の際に陽性となる.眼からの情報入力により深部感覚障害が代償されているから,目を 閉じさせてこれを取り除いてやることで深部感覚の障害を表に出させるのである.ということは逆に,その代償を担う側の一部 である小脳の障害によっている場合,そもそも代償はきかないから目の開閉による症状変化は少ないことになる.

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下肢の深部感覚(振動覚,位置覚,関節運動覚など)が高度に障害されており,閉眼や暗所な ど視覚による補正ができない状態にすると動揺が強まり転倒する(Rombergロ ン ベ ル グ試験陽性=Romberg 徴候). 脊髄炎,多発性硬化症,変形性頸椎症,脊髄腫瘍,ビタミン B12 欠乏性脊髄障害など脊髄後 索を侵す疾患や,深部感覚が障害される多発ニューロパチー(原因として糖尿病性,慢性炎症性 脱髄性,Guillainギ ラ ン -Barreバ レ ー症候群などがある)が原因として頻度が高い. ③ Parkinsonパ ー キ ン ソ ン様歩行: 体幹を前屈・前傾させ,上肢と下肢も軽く屈曲させ,上肢は体幹に付けて ほとんど振らず,両下肢を摺り合わせるように小さな歩幅でチョコチョコと 歩く.手足の動きに左右差があり,体幹も左右いずれかに傾く. 歩を進めるのは早く,次第に前傾が強まり小走りになり(加速歩行),停 止できずに突進する(突進現象).歩行開始時や方向転換時にすくみ足4が出 現することもある.体幹のバランスが悪く転倒しやすい. 上肢では歯車様,下肢では鉛管様の固縮5を認め安静時振戦が出現する. 表情は硬く仮面様である. Parkinson 病に特徴的な姿勢と歩行であるが,その他 Parkinson 症候群 でも出現する.Parkinson 病では病初期は左右差が顕著であるのに対して, それ以外の疾患では左右差が乏しい. ③’小刻み歩行・小歩症: いわゆる脳血管性偽パーキンソニズムに典型的にみられる歩行障害で,やや開脚位で下肢を伸 展し,足底は床を擦るように小刻みに歩く.Parkinson 様歩行と異なり,姿勢に前傾や前屈はな く,上肢はやや広げて何かに掴まろうとする. 多発脳梗塞,血管性大脳白質病変が原因である.進行性核上性麻痺(PSP)でも類似の歩行を 示すことがある. ④ 鶏けい歩ほ,垂れ足歩行: 足の背屈筋の麻痺により,爪先が下垂して背屈できない6ために,大腿を大 きくもち上げて歩く.まず爪先が着地して次に踵が着地するので,ペッタン ペッタンと音をたてる.踵立ちはできない. 前脛骨筋や足指背屈筋の麻痺や萎縮を伴い,下肢腱反射は低下している. 前脛骨筋の麻痺を起こすような疾患・外傷が原因となり,片側性では外傷 が,両側性では多発ニューロパチー,Charcotシ ャ ル コ ー-Marieマ リ ー-Toothト ゥ ー ス病,遠位型ミオパ チーなどが考えられる. 4 歩行の開始時または継続中に足底が地面に貼り付いたように歩けなくなってしまう様子を言う. 5 錐体路障害の痙縮に対して,錐体外路障害では筋固縮(筋 強きょうごうとも)が見られる.受動運動中に始めから終わりまで一様な 抵抗を感じるものを鉛管様強剛,カクンカクンと歯車を動かす時の感じに似ているものを歯車様強剛と呼ぶ. 6 腓骨神経が麻痺すると,足背が屈曲できなくなり,足尖が垂れ下がってしまう(前脛骨筋を支配するのは深腓骨神経!).こ の状態を下垂足と呼ぶ.一方, 尖 せん 足 そく とは足底筋や足関節に拘縮が伴い,足関節が底屈位にて固定した変形をいう.

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⑤ 動揺性歩行: 下肢帯の筋力低下のために,足を交互に骨盤ごともち上げ,大きな弧を描くように,上体と肩 を支持足側に大きく傾け揺すりながら歩く.アヒルがよたよたと歩くような印象を与えるのでア ヒル歩行(Trendelenburgト レ ン デ レ ン ブ ル グ跛行とも)と呼ぶ. 進行性筋ジストロフィー症,多発性筋炎,脊髄性筋萎縮症など が考えられ,これらの場合,下肢近位筋の萎縮と筋力低下が特徴 的であり,腱反射も低下している.また,先天性股関節脱臼でも この歩行が見られる. ⑥ 間欠性跛行 間欠性跛行には痛みが伴う場合が多いので,ここで痛みによる 歩行異常についても触れる. 痛みによる歩行異常: 腰痛,坐骨神経痛,股関節痛,膝関節痛,外反母趾による関節 炎,痛風発作などでは,痛みを最も和らげるような姿勢をとって歩く.変形性股関節症であれば 片脚の外旋,片方の足を引きずるような歩き方,急性腰痛の場合は腰椎前彎が減少して少し前か がみになることが特徴的である. 動脈性の間欠性跛行では虚血性の筋痛が,神経根・馬尾性の間欠性跛行でも神経圧迫による下 肢の疼痛が出るが,このとき,痛みのある側の下肢はゆっくりと注意深く地面につき,接地時間 を短くし,痛みのない方の下肢をすばやく前に出すような歩き方が見られる. 間欠性跛行: 間欠性跛行(ある一定の距離を歩くと痛みや脱力,感覚異常から歩行困難となり,休息により 回復するが再び歩き続けると同様の現象が生じて歩行持続困難となる現象)には,動脈性(PAD) でも神経根・馬尾性(腰部脊柱管狭窄症)でも痛みを伴う. けれども,馬尾性では馬尾神経の圧迫が増強する立位や腰椎伸展位の持続のみでも症状が生じ, 痛み出現と歩行距離との間の一定の関係はなく,一方,坐位と臥位で痛みは消失する.自転車に 長時間乗ることができるのも腰部脊柱管狭窄症の特徴で,むしろ前屈位が取れるので楽である. 虚血性の痛みの場合には自転車であっても虚血を促進する運動であることには何の変わりもない のでこうはいかない. 腰部脊柱管狭窄症は非常に頻度の高い疾患であるが,歩行の様子だけから言うとParkinson 病 の初期と腰部脊柱管狭窄症の歩行障害がときに全く区別できないほどよく似ている. ただし,Parkinson 病の場合は静止時に症状が出ないが,脊柱管狭窄症の場合は静止時でも痛 みが消退しない.また,Parkinson 病の患者は立ったままの動作や作業が苦にならないが,脊柱 管狭窄症の患者は椅子に坐ったり何かによりかかったり,しゃがみ込んでしまうことが多い7 7 この点を聞くために,女性には「夕方の台所での炊事が立ったままできますか?」,男性には「知人と並んで会話しながら道 を歩けますか?」と問診するのがよい.

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⑦ ヒステリー歩行: ヒステリー患者は,あたかも麻痺があるようであるがいかにも誇張的で,上述のいずれのパタ ーンにも属さない歩行が見られる.これをヒステリー歩行と呼ぶ. 歩行のし方はその時々の状況(他人の目など)で変化する. 図の出典 図1 『今日の診断指針 第 5 版』「歩行障害」図 1(痙性片麻痺の Wernicke-Mann 肢位と草刈り 歩行) 図2 同 図 2(Parkinson 病の前屈姿勢とすくみ足) 図3 同 図 3(垂れ足歩行) 図4 同 図 4(筋疾患の動揺性歩行)

参照

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