緒 言
酸性電解水は,塩化ナトリウムやカリウムの水溶液を 直流で電気分解した時に陽極側に生成する低pH,高酸 化還元電位で次亜塩素酸を含む機能水である6,7)。酸性電 解水は,次亜塩素酸,高酸化還元電位の作用で微生物や ウイルスに対して不活化作用があり,医療,食品加工分 野における殺菌資材として利用されている。 酸性電解水による殺菌作用は,植物病原菌に対しても 同様であり,Buck ら1)の報告では, Botrytis 属菌等の隔 壁の薄い分生子では30秒以内に殺菌され,Helminthosporim 属菌やCurvularia 属菌等の厚膜で褐色の分生子では2 分以上の処理時間が必要とされる。また,高浪ら11)は TMV 粒子を酸性電解水に20秒程度浸漬することで失活 できることを報告しており,植物病原菌類に対する高い 不活化能力が実証されている。 酸性電解水の防除資材としての利用については,籾枯 細菌病9)や馬鹿苗病10)等の種子消毒剤や鮮度保持剤8)へ の応用が検討されており,作物の地上部への散布によっ て,例えば,トマトうどんこ病,灰色かび病,葉かび病 等に対する,実用的な防除効果も示されてきた2-5)。 筆者らは,キュウリ,トマトに発生するうどんこ病の 酸性電解水による防除について報告してきたが4,5),隔膜 を有する電解装置を用いて調整したpH 2.7,酸化還元電 位 1100 mV の強酸性電解水が,炭疽病菌等の植物病原 菌に対して高い殺菌効果を示すことから,薬剤による防 除の難しいキュウリ炭疽病およびイチゴ灰色かび病に対 する防除効果について検討した。材料および方法
供試病原菌および分生子懸濁液の調整 キ ュ ウ リ 炭 疽 病 菌(Colletotrichum orbiculare), お よ び イ チ ゴ 灰 色 か び 病 菌(((Botrytis cinerea) は, 大 阪 府 立環境農林水産総合研究所の圃場において発生した罹 病 株 よ り 分 離 し た 菌 株 を 用 い た。 ま た, 水 稲 い も ち 病 菌(((Pyricularia grisea), ト マ ト 萎 凋 病 菌(((Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici),トマト輪紋病菌(Alternaria (( solani),ナス半身萎凋病菌(Verticillium dahliae),キュ ウリ根腐病菌(((Pythium aphanidermatum)は大阪府立環イチゴ灰色かび病およびキュウリ炭疽病に対する
酸性電解水散布の防除効果
草刈眞一・阿知波信夫
*・阿部一博
**・岡田清嗣
Shin’ichi Kusakari, Nobuo Achiwa*, Kazuhiro Abe** and Kiyotsugu Okada: The control effect of acidic
electrolyzed water (AWE) on gray mold of strawberry and anthracnose of cucumber in field conditions
Summary
The control effect of acidic electrolyzed water (AEW) on gray mold of strawberry and anthracnose of cucumber was evelu-ated in field conditions. The AEW contained 40 ppm of free-chorine with pH 2.7, ORP 1100 mV. The germination of fungal spores such as for Pyricularia grisea, Botrytis cinerea, Colletotrichum orbiculare, Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici, and Pythium
aphanidermatum were significantly prevented by the one minute AEW treatment. The dilution of AEW with DW at a ratio of
1:2.5 preserved inhibition of spores of B. cinerea and C. orbiculare. The efficacy of AEW as a foliar spray to suppress anthracnose of cucumber by C. orbiculare and gray mold of strawberry by B. cinerea was determined in field conditions. A total of 4 applica-tions of AEW with 7 and 8 days intervals inhibited gray mold of strawberry. The disease incidence increased 11 days after the final application of AEW to the same level as the control treatment. Anthracnose of cucumber by C. orbiculare was also inhibited by 3 AEW application at 7 days intervals. No physiological damage from the AEW application appeared on cucumber plants or strawberry in this study.
大阪府立環境農林水産総合研究所・*ホシザキ電気・**大阪府立大学 Research Institute of Environment, Agricultural and Fishers,
Osaka Prefecture, *Hoshizaki Electric Co. Ltd. R&D Center, **Graduate School of Agricultural and Biological Science, Osaka Prefecture University 2013年1月29日受理
境農林水産研究所保存菌株を供試した。 キュウリ炭疽病菌,イチゴ灰色かび病菌,トマト輪紋 病菌,ナス半身萎凋病菌,水稲いもち病菌は,ブドウ 糖加用ジャガイモ煮汁寒天培地(PDA)により培養し, BLB ライトを照射して分生子を形成させ,蒸留水に懸 濁液し,分生子懸濁液(1×104個 /ml // )を調製した。 トマト萎凋病菌の小型分生子は,ブドウ糖加用ジャガ イモ煮汁培地で振盪培養後,培地中に生じる小型分生子 を採取し,蒸留水で希釈して分生子懸濁液(1×104個/ml// ) を 調 製 し た。 ま た,P. aphanidermatum の 遊 走 子 は, Schmitthenner’s 培地12)で培養した菌そうに蒸留水を添 加し,形成される遊走子を採取し,5.2×104個 /ml // の濃 度に調製し遊走子懸濁液とした。 酸性電解水の調整 酸性電解水は,ホシザキ電機(株)製の強酸性電解水 生成装置(プロトタイプ)を用いて調整した。電解液は 0.1%塩化カリウム溶液(蒸留水)を用い,10 mA,15 V の直流を通電して電気分解し,遊離塩素濃度 40ppm, pH 2.7,酸化還元電位 1100 mv の強酸性電解水を得た。 酸性電解水は,調整後30分以内に試験に供試した。 各植物病原菌の伝染器官に対する酸性電解水中の発芽抑 制効果 供試した7種類の植物病原菌の伝染器官に対する酸性 電解水の発芽抑制効果は,調製した分生子および遊走子 懸濁液と酸性電解水をそれぞれ 1ml を混合し,25°C で 1分経過後,8ml の蒸留水を混合して酸性電解水を希 釈し反応を止めた。酸性電解水処理後,4000 rpm で遠 心分離して分生子および遊走子を回収し,0.25%のグル コース溶液中で 25°C で16時間培養して胞子発芽を調査 した。 酸性電解水の希釈倍率と分生子発芽抑制効果 炭疽病菌および灰色かび病菌の分生子を用いて,酸性 電解水の希釈倍率と胞子発芽抑制効果について調査し た。反応液中において,病原菌の分生子を一定濃度とな るように酸性電解水の希釈率を変化させて発芽抑制効果 を検討した。 胞子懸濁液,酸性電解水,蒸留水の混合比は,第1 表に示した。調製した反応液は,25°C で16時間処理後, 15ml の蒸留水を混合して反応を止め,4000 rpm で10分 間遠心分離して胞子を回収し,1ml の蒸留水に懸濁後, 0.05%のグルコース溶液 1 ml を添加し,25°C で16時間 培養して発芽率を調査した。 酸性電解水散布による病害防除効果 1.キュウリ炭疽病に対する防除効果 キュウリは品種「夏すずみ」を供試し,2005年5月上 旬に播種し,5月19日に鉢上げ後,5月30日に株間 40 cm, 畦間 1.2 m で圃場(露地 0.3 a)へ定植した。試験区は, 1区20株の2区制とし,酸性電解水散布区,薬剤散布区, 無処理区の3処理区を設け,栽培管理は慣行とした。 酸性電解水は,遊離塩素濃度 40ppm,pH 2.7,酸化 還元電位 1100mv の強酸性電解水を用いた。酸性電解水 の散布は,キュウリに炭疽病の病斑の発生が見られた7 月10日に第1回目を,その後,1週間後の7月17日およ び2週間後の24日の計3回背負式動力噴霧機により 10a あたり 200L を散布した。 薬剤防除区については,酸性電解水の散布同日にTPN 水和剤(ダコニール1000)1000倍液を動力噴霧機で 10a あたり 200L 散布した。 炭疽病の発病調査は,最終散布7日後の7月31日に調 査した。調査方法は,試験区あたり10株について,株あ たり15葉の発病程度を調査した。発病程度は,葉面にお ける病斑について,発病を認めないものを0,病斑面積 が葉面1/3以下を1,病斑面積が葉面1/3-2/3を2,病斑 面積が2/3以上を3,葉が黄化枯死しているものを4と して評価した。発病度は,以下の式により算出した。 発病度=(Σ(発病程度×発病程度別葉数)/(4× 調査総 葉数))×100 また,薬害については,散布処理期間中および最終の 調査時に茎葉部の障害を調べた。 2.イチゴ灰色かび病に対する防除効果 イチゴは品種「とよのか」を供試した。イチゴ苗は, 2005年2月に下旬ハウス内圃場に,畝幅 1.2 m,株間 30 cm で2条のちどり植えに定植した。試験区は,酸性電解水 散布区,無処理区の2処理区とし,1区20株の2区制と し,施肥 ・ 栽培管理は慣行とした。酸性電解水は,キュ ウリ炭そ病同様,遊離塩素濃度 40 ppm,pH 2.7,酸化 還元電位 1100mv の強酸性電解水を用いた。 第1表 胞子濃度を一定にした酸性電解水・分生子発芽試験液 の調整 酸性電解水 希釈倍率 胞子懸濁液量(ml) 酸性電解水量(ml) DW(ml) 1.25 1 4 0 1.7 1 3 1 2.5 1 2 2 5 1 1 3 10 1 0.5 3.5 cont. 1 0 4 遊走子,分生子懸濁液,蒸留水,酸性電解数を所定量混合し, 処理液中の胞子濃度が一定(5倍希釈)になるよう調製し,酸 性電解水の希釈倍数であらわした。
イチゴへの酸性電解水の散布は,4月16日に灰色かび 病罹病果実を除去後1回目を散布し,その後,4月23日, 30日,5月8日にそれぞれ肩掛け式噴霧機により 10a あたり 200L の割合で散布した。 酸性電解水のイチゴ灰色かび病に対する防除効果は, 4月21日,25日,5月3日,12日,16日,19日に,それ ぞれの試験区における罹病果率を調査し判定した。酸性 電解水散布のイチゴ苗への影響は,発病調査時に株の茎 葉,果実における障害の有無を調査した。
結 果
1.病原菌伝染器官に対する電解水の殺菌効果 数種の植物病原菌の分生胞子または遊走子を酸性電解 水に浸漬し,発芽率を調査したところ第2表の結果を得 た。供試した7種類の病原菌の分生子または遊走子を, 酸性電解水に1分間浸漬後に発芽率を調査したところ, 供試病原菌で発芽が抑制された。また,キュウリ炭疽病 菌およびイチゴ灰色かび病菌の分生子に対する酸性電解 水の発芽阻害効果を,胞子濃度が一定となるようにし, 酸性電解水の希釈倍数を変えて調査したところ,第3, 4表の結果を得た。pH 2.7,遊離塩素濃度 40 ppm の酸 性電解水を10倍から1.25倍に希釈して各分生子の発芽率 を調査したところ,供試したいずれの病原菌に対しても 2.5倍の希釈率まで発芽阻害効果が得られた。 2.キュウリ炭疽病の防除効果 キュウリ炭疽病の発病初期に酸性電解水およびTPN 水和剤(1000倍)を散布し,防除効果を比較したとこ ろ,第5表の結果を得た。酸性電解水散布の防除価は, 49.5,25.3,平均37.4で,対照薬剤 TPN 水和剤散布の防 除価よりは低くなったが,無処理区に比較すると被害抑 制効果が認められた。酸性電解水散布区におけるキュウ リに対する障害発生は,植物体および収穫果実とも認め られなかった。 3.イチゴ灰色かび病の防除効果 イチゴ収穫時の酸性電解水散布が灰色かび病菌による 腐敗果実の発生に及ぼす影響を第1図に示した。酸性電 解水散布5日後の4月21日では,無処理区および酸性電 解水散布区の発病果率は,それぞれ25 .0-46.9%,36.4-40.0%であったが,4月23日の2回目散布後の4月25日 の調査では,酸性電解水散布区は発病果率0%に対し て,無処理区は31.1-33.3%であった。さらに,4月30日 の調査では,無処理区が35.7-52.6%の発病果率に対して, 酸 性 電 解 水 散 布 区 は3.8%-6.1%, 5 月 3 日 に は, 同 22.2-46.2%に対して0%と低い発病果率を維持した。し かし,5月8日の最終散布以降は,発病果率が増加し, 最終調査の5月19日には無処理区と同程度の発病果率と なった。考 察
キュウリ炭疽病菌(Colletotrichum orbiculare),および, イチゴ灰色かび病菌(((Botrytis cinerea)の分生子の発芽 は,酸性電解水の2.5倍希釈においても発芽が阻害され, 2倍以上の希釈においても病原菌の伝染器官である分生 子発芽を抑制できることわかった。しかし,5倍以上の 希釈倍数では,発芽率が30-60%程度に達することから, 第2表 供試病原菌の分生子・遊走子に対する酸性電解水の発 芽阻害効果 病原菌名 伝染器官 個体数調査 個体数発芽 発芽率(%) Botrytis cinera 分生子 182.5 0 0 Colletotrichum orbiculare 分生子 232.2 0 0 Pyricularia grisea 分生子 195.2 18.5 9.5 Alternaria solani 分生子 231.5 22.1 9.5 Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici 分生子小型 175.5 0 0 Verticillium dahliae 分生子 165.5 0 0 Pythium aphanidermatum 遊走子 118 0 0 分生子または遊走子懸濁液,酸性電解水をそれぞれ 1ml を混 合し,25°C で1分間静置培養した。蒸留水を添加して酸性電 解水を希釈後,0.05%のグルコース溶液中で 25°C,16時間培養 後,胞子発芽を調査した。 第3表 酸性電解水の希釈率とキュウリ炭疽病菌分生子の発芽 阻害効果 酸性電解水 希釈倍数 調査胞子数(個) 発芽胞子数(個) 発芽率(%) 1.25 627 0 0 1.7 485 0 0 2.5 474 0 0 5 488 159 32.6 10 486 315 64.8 0 625 428 68.5 第4表 酸性電解水の希釈率とイチゴ灰色かび病菌分生子の発 芽阻害効果 酸性電解水 希釈倍数 調査胞子数(個) 発芽胞子数(個) 発芽率(%) 1.25 627 0 0 1.7 493 0 0 2.5 452 0 0 5 501 109 21.8 10 486 241 49.6 0 625 473 75.7発芽抑制効果が低下し,防除効果が得られない可能性が 考えられる。Buck らは1),酸性電解水が C. orbiculare や B. cinerea の分生子や菌糸を短時間で不活化し,短時間 で病原菌を殺菌することが病害防除に有効であることを 報告している。本試験においても,酸性電解水は,供試 した植物病原菌に対して,1分間の処理で分生子や遊走 子等に高い発芽抑制効果が得られたことから,これらの 病害の蔓延防止に効果があると考えられる。 キュウリ炭疽病に対して発病初期から酸性電解水を7 日間隔で3回散布したところ,無処理区に比較し発病葉 率,発病度で抑制効果が認められた。防除価の平均は 37.4で,対照薬剤 TPN 水和剤1000倍散布の90.5に比較し て低く,無処理区に対する防除効果はあるが,TPN 剤 散布区に比較すると不十分と考えられた。酸性電解水散 布を圃場において散布する場合,散布間隔を短くすると 防除効果が得られることが報告されており2,4),キュウリ 炭疽病防除については,散布間隔と防除効果の関係につ いて検討する必要がある。 イチゴ灰色かび病については,7日間隔で3回,さら に8日後に1回の計4回散布で,無処理区と比較して, 発病果率の低下を認めた。対照薬剤との比較はここでは 行わなかったが,無処理区の発病果率が22.2-52.6%の範 囲内にあるのに対して,酸性電解水2回目散布以降,散 布継続中は0-6.1%と低く推移したことから,高い防除 効果を有することがわかった。しかし,酸性電解水の散 布をやめると,イチゴ灰色かび病の発病率が上昇し,11 日後には無処理区とほぼ同等の40%近くにまで発病率が 上昇した。酸性電解水の散布は,処理をやめると被害が 急激に増加する傾向があり,散布間隔を短くして,収穫 時期は酸性電解水の散布を継続する必要がある。 低pH の酸性電解水は,作物に対して薬害発生が心配 されるが,キュウリ,イチゴについては,pH 2.7の酸性 電解水散布による障害発生は認められなかった。以上の 結果から,酸性電解水(pH 2.7, ORP 1100 mV,遊離塩 素濃度 40 ppm)のキュウリ,イチゴへの散布は,キュ ウリ炭疽病,イチゴ灰色かび病の被害発生を障害を伴わ ずに軽減できると考えられ,散布による病害発生抑制へ の今後の実用が期待される。 第5表 酸性電解水散布によるキュウリ炭疽病の防除効果 試験区 区 散布前 散布後 発病葉率 (%) 発病度 1) 発病葉率 (%) 発病度 1) 防除価2) (発病度) 薬害 酸性電解水 ① 13.3 4 42.7 20.2 49.5 ― ② 10.7 3.5 39.2 18.3 25.3 平均 12 3.8 41 19.3 37.4 TPN 水和剤 ① 9.4 2.5 10.7 3.5 91.2 ― ② 17.3 6 5.3 2.5 89.8 平均 13.4 4.3 8 3 90.5 無処理区 ① 10.7 3.5 77.1 40 ② 12 3.8 57.3 24.5 平均 11.4 3.7 67.2 32.3 発病程度を,0;発病無し,1;病斑面積が葉面1/3未満,2;病斑面積が葉面1/3-2/3,3;病斑 面積が2/3未満,4;葉面が黄化枯死とし,発病度を算出した。
1)発病度は,Σ(i・di/4・ii n) ・ 100<di を発病程度 i の個体数,n を総個体数>とした。
2)防除価=(1-処理区の発病度/ 無処理区の発病度)×100 第1図 酸性電解水散布によるイチゴ灰色かび病の防除効果 酸性電解水を4/16,4/21,4/30,5/8に散布し,イチゴ の収穫果実について灰色かび病の被害果実数を調査 し,発病果率を示した ―●― 無処理区 --◯-- 酸性電解水散布区
摘 要
1.水稲いもち病菌(((Pyricularia grisea),トマト萎凋 病菌(((Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici),トマト輪紋 病菌(((Alternaria solani),キュウリ炭疽病菌(Colletotrichum orbiculare),イチゴ灰色かび病菌(Botrytis cinerea(( )ナ ス半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)の分生子および キュウリ根腐病菌(((Pythium aphanidermatum)遊走子 を,酸性電解水(遊離塩素濃度 40ppm,pH 2.7,酸 化還元電位 1100mv)で処理したところ,1分間の処 理で発芽が抑制された。 2.酸性電解水の希釈濃度と発芽抑制効果について検討 したところ,キュウリ炭疽病菌,イチゴ灰色かび病菌 の分生胞子に対して,2.5倍希釈まで発芽抑制効果が 得られた。 3.圃場においてキュウリ炭疽病およびイチゴ灰色かび 病に対する酸性電解水散布による防除効果を検討した ところ,イチゴ灰色かび病では,無処理区に対して高 い発病抑制効果が得られた。炭疽病に対しては,対照 薬剤のTPN 水和剤に比較すると防除効果は低いが, 無処理区に比較すると障害抑制効果が得られた。キュ ウリ,イチゴに対する薬害発生は認められなかった。 キュウリ炭疽病やイチゴ灰色かび病についても,酸性 電解水の散布による防除が可能であることが確認され, 今後,散布間隔,回数等を検討することで,これらの病 害防除への実用化が可能と考えられる。
引 用 文 献
1)Buck, J. W., M. W. van Iersel, R. D. Oetting and Y.-C. Hung (2002) Plant Disease 86: 278-281. 2) 福田富幸・勝山直樹・成田久夫(2008)岐阜県農業試験場 報告 8:14-21. 3) 富士原和宏・土井龍太・飯本光雄・史 慶春(1998)生物 環境調節 36:245-249. 4) 草刈眞一・阿知波信夫・阿部一博(2006)近畿中国農業研 究 8:16-19. 5) 草刈眞一・岡田清嗣・瓦谷光男(1999)大阪府農林技術セ ンター研究報告 35:25-28. 6) 松尾昌樹・高橋 亮(1997)農業及園芸 72:693-698. 7) 松尾昌樹・高橋 亮(1997)農業及園芸 72:805-808. 8) 太田敬子・原田和夫(2000)園学雑 69:520-522. 9)大森敏弘・岡 工・狗田 徹・石郷岡博・荒田洋治(2000) 防菌防黴 28:485-491. 10) 園田亮一・宮坂 篤・吉野正敬(2001)日植病報 67:200. (講要) 11)高浪洋一・安長知子・松尾孝徳・古屋成人・松山宣明(1994) 日植病報 60:741.(講要)