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土壌物理実験結果の現地への適用性に関する研究 (I) 前処理の影響について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第33巻 第2号121∼125,1982

土壌物理実験結果の現地への適用性に関する研究

(Ⅰ)前処理の影響について

梅田 裕,山田宜良,八幡伸幸,青田 満

STUDIES ON THE FIELD APPLICABILITY OF THE EXPERIMENTAL

RESULTS ON PHYSICAL PROPERTIES OF THE SOIIJ

(Ⅰ)ONT王‡EINf:LUENCES OFTHE PREPARATORY WORKS

YutakaUMEDA,NoriyoshiYAMADA,NobuyukiYAHATA and MitsuruYosHIDA

Whentheresultsofexperimentsforphysicalpropertiesofsoilareappliedtothe field,theてe eXist three factors deciding the applicabilityofthem:Theyare(a)sampling,(b)preparatory works(Siev− ing・and air drying)and(C)method ofthe experiment.

In this paper,WereSearChed theinfluencesofprepar・atory WOrks on theexperimentalvalues of soil COnSistency。The results obtained are summarized as follows:

(1)Air dryingSignificantlyinfluencesthe PL value.In general,the smaller the PL value,the larger the moisture content after air drying.r Contrastively,IJL values areincreasedin sandy sam・・

ples and decreasedinclayey samples byit.

(2)Sievingincreased the valuesboth PL and LLby aboutlO%.Itseems to be based on the de−

CreaSeOfmoisture contentsby particleslarger than420pm

(3)ThoughLLvaluesofrelativelyless activesoilsarescarecelyinfluencedbypreparatory works,

PL valuesareinfluenced significantlyby preparatory worksregardlessof the activity ofsoils.

土壌物理実験結果を現地に適用する場合には,(a)サンプリソグ,(b)前処理,(c)実験方法などによって適用性が決 定される本論文でほ,これらのうちで特に前処理が土壌のコソシステンシ・−・に及ぼす影響に.ついて検討を加え, 以下の結論を得た (1)風乾はPLの測定値に大きな影響を及ぼし,−・般にPL値が小さい試料ほど値が増大したこれに対して LLは,粘土分含有盈の少ない試料では増大し,多い試料では減少した (2)フルイ分けによってPL,LLともに瀞10%測定値が増大したこれほ420〝m以上の土粒子が含水比を低 下させていたためと考えられる (3)LLの測定に際して,比較的活性度が低い土壌の場合には前処理の影響をはとんど受けないが,PLの測定の 場合には,活性度ケこかかわらず前処理の影響が大きい Ⅰ 緒 p 土壌の物理性実験結果の現地への適用性については,古くから検討し続けられてきた課題であるにもかかわらず, いまだに必ずしも一億の結論が得られているとはいいがたいその原因は,現行の実験がほとんど室内で行われて いることとも関連して,主として現地の状態を十分に再現できないところに問題があるものと考える 土壌物理実験結果の適用性そのものを分類すると,①実験結果がそのまま適用できるもの,②相似則や補正係数 導入の下に適用が可能なもの,③適用が困難なものおよび適用性が不明なもの,に大別することができよう“また, これらの適用性を決定している要因としては,㊥サンプリング,⑥前処理,㊤実験方法,などが考えられる.した がって土壌物理実験結果の現地への適用性を高めていくためには,これら個々の因子の影響を明らかにし,現地へ の適用を困難にしている要素を軽減していくことが必要であるものと考えるけ本報ではそのうちまず風乾,フルイ 分けなどのいわゆる前処理の影響について検討を加.えてみた

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香川大学農学部学術報告 第33巻 第2号(1982) 122 Ⅰ各種土壌物理実験結果の現地への適用性 現在行われている主な土壌の物理性乗験結果の現地への適用性についてまとめてみると表−1のようになるu 表−1土壌物理乗除結果の現地への適用性 この表における適用性および決定の要因は,Ⅰで論述した分類にもとづいており,文献(1)を参照して筆者らがま とめたものであるL表−・1からわかるように,土粒子の其比患,粒度のような基本的性質については,室内に.おけ る実験結果がほとんどそのまま現地に適用でき,また現地に.おいて実験を行うこと自体に.もあまり意義が認められ ないことから,いわゆる現地への適用性を論じる余地は少ないものと考え,今後の研究における検討の対象外とし たしかしながら花コウ岩質土壌の場合,長石の比重が風化皮を適確に反映してし、たという報告(2)もあり,本質的 に.まったく問題がないわけではない その他の項目についてほ,それぞれに.軽重はあるものの,いずれも現地への適用性について論じるこ.とが有意義 であることを示しているなかでも圧密,セソ断などの力学的試験ほ応用性も高く,その適用性の解明が塞要であ るが,これらの試験に到達する前に.,・まずより基本的な項目と,その適用性を支配する因子についての検討が必要 であるものと考えるたとえばLL,PLなど土壌のコソシステンシー一に関する試験は,土壌の物理性の基本的指標 として盈要な位贋をしめるにもかかわらず,現地への適用性を論じる際に.は多くの問題点を有して:いる.根本的問 題は現地でのコソシステンシー∴試験法が確立されていないことであり,そのために.現状では室内試験に腐らざるを えないが,実験に.先立って行われる風乾,フルイ分けなどの前処理によって,現地の土壌とは異なる供試体のコソ システンシ−・を測定している可能性が高い.その他の試験に.ついても多かれ少なかれ同様な問題を含み,そのため に主として室内で行われる土壌の各種物理性実験結果の現地への適用性が低められる結果となっている Ⅷ 風乾がコンシステンシーに及ぼす’影響 風乾が土壌のコンシステソシ・一に影響を及ぼすことは古くから知られた事実であり,特に火山灰土壌のような親 水性で自然含水比の高い土ではこの傾向が強い(3)ことから,現在ではむしろ風乾させないでコソシステンシ一試験 を行うことが−・般化しつつある(4)しかしながら,風乾を行うことによってpF5.5付近に土壌水分が統一できる ので,試験条件の均一イヒという意義があり,また同時にフルイ分けを行う場合には風乾試料のほうがはるかに作業 が行いやすい.したがって自然含水比(一・般にpF2∼3程度の土壌水分)における測定結果と,風乾時の値との 関係を把捉しておくことに.より,より広い範囲に.わたる土壌水分の変動に対する応用が可能に.なるものと考える‖ ここでは表−2に示した7種の土壌について,自然含水比の下での値と風乾後の値とを対比させてみた これらの供試土壌のうちで,池戸A∼Cは花コウ岩質運療土,大官A,Bは安山岩質風化残帯土,西鹿庭は花コ ウ岩質風化残債土,日本原は火山灰土(黒ボク)である試料の採坂にあたっては,できるだけ粒度が異なるもの を選定し,原則として表土を100m∼の定容採土器によっでサツプリングした風乾の有無によるLL,PLの変化 は,それぞれ図−1,2に示すとおりである

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梅田 裕,山田富良,八幡伸幸,青田 満:土襲物理乗験結果の現地への適用性(f) 123 表−2 供試土壌の物理的性質

池戸A一泡戸B

大宮Al大官B

西鹿庭 日 本原 其 比 重 レキ分(%) 砂 分(%) シルト分(%) 粘土分(%) く420/Jm(%) LL (JIS)% PL (JIS)% 9 4 9 J 3 7 0 3 P a O682465895.N 40 60 80 風紀省略試料のLL 100 120 ㈲ 20 図−1風乾の有無によるLL値の変化 このうち図−2においては,西鹿庭ならびに月木原■ のPLの風乾時の値がいずれもNP(測定不能)であ ったので省略してある、図一・1,2の結果からわかる ように,風乾に.よってPLはかなりの影響を受け,特 に低水分領域での含水比の増加僚向が著しいこれに 対してニLLの値は,火山灰土である日本原の結果を除 けば,PLほどには夙乾の影響を受けないように思え るしかしながら図−1の結果を各供試土壌の粘土含 有盈との関連でみると国−3のようになり,LLの測 定においても夙乾の影響は−・定の慣向を示すことがわ かる′′ 国−3の結果からみると,粘土分が多いほど風乾試 料の値が相対的に・高くなる傾向があり,粘土分約30% のとき 両者がほぼ一・致する結果が得られるが,これ に対する明解な説明は現状でほ不可能であり,今後さ らに試料を増して検証していきたいと考えている. 風30 乾 試 料20 の

PL lO

餅) (殉 10 20 30 40 風紀省略試料のPL 図−2 風乾の有無によるPL侶の変化

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香川大学農学部学術報潜 第33巻 第2号(1982)

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(瑚 10 20 粘土分合有率 30 40 50 図−・8 粘土分含有率による風乾効果のちがい Ⅳ フルイ分けがコンシステンシー試験に及ぼす■影響 土壌の物理的性質に関する試験を行う際には,目的に応じてフルイ分けが行われるのが普通であるフルイ分け は2,000〝mフルイによるものが一・般的であるが,コソシステンシー試験ほ420〟m■フルイ通過試料を対象にして 行われる点に.特色がある試料の最大粒径として420/上mが導入された理由には不明な点も多いが,−・般に土壌の コソシステンシー・を決定する粒径は粘土やシルトのような細粒であるものと考えられることい粗粒な土粒子が存在 するとJISによるコン、=ンステンシ1一牒坊定上障害が生じることが明らかであること,などから−・応ほ理解できる.し かしながら■7ルイ分けを行ったことにより,供試土壌は尿土とは異なる粒径組成をもつので,その影響が生じる可 能性も否定できないそこ∴で義一2に・示した7種の土壌について,フルイ分けの有無によるLL,PL値の変化を 測定したその結果は図−4,5に示すとおりであるい これらの図からわかるように,フルイ分けを行うとLL,PLともに値が増大し,その差は絶対値の大小にかか わらず含水比に.して約10%に達する,したがってフルイ分けの影響は,特にLL,PLの値が小さい土壌ほど癖著 であるものと考えられる.この結果は>420JJmの粒子が多い土壌については,それらの粗大な粒子が含水比を低 0 0 0 0 6 0 1 フルイ分け試料のPL

㈲)20 40 60 80 100 120 140

■フルイ省略試料のLL フルイ省略試料のPL 40 60 80 100 (%)20 図−4 フルイ分けの有無によるLLの変化 図−・5 コルイ分けの有無によるPLの変化

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梅田 裕,山田畳良,八幡伸幸,青田 満:土壌物理実験結果の現地への適用性(Ⅰ) 125 下させる作用を及ぼすものと考えられるので当然の結果ともいえるが,池戸B,大官Cのように.ほとんど100%が <420/Jmの粒子から成る土壌濫.おいてもこの傾向が得られた理由については不明である.場合に.よってはフルイ 分け作用そのものがある程度の影響を及ぼしている可能性もあろう また今回供試した土壌では,フルイ分けを省略したためにNPとなる例はみられなかったが,粗大粒子の存在は JISの方法による測定には妨害因子となり,またデー・タのばらつきもより大きくなる條向がみられたので,実用上 は一・定の限界,たとえば<420/Jmの粒子が50%以下の土壌に対してはフルイ分けが省略できない,といった制限 事項が必要なことは十分考えられることである Ⅴ 前処理の影響に関する総合的考察 Ⅲ,Ⅳに・おいては,風乾ならびにフルイ分けが土壌のコソシステンシ一に及ぼす影響について検討し,それぞれ の処理がもつ意味に.ついてこ考究をすすめたが,−・般に前処理にはこの両老が併用されるので,両者のいわゆる相乗 効果が考えられる.それを検討するに.はいわゆる生土と,前処理を完全に.実施した試料との対比が必要であるが, この相方を対此させたデータほ削′点数が少なく不十分であるので,図−1∼5をもとに.して検討を加えることにす る‖ まずLLについては,図−1と4との関連からわかるように,比較的前処理の影響ほ小さいものといえよう特 に風乾に基づく変動の傾向と,フルイ分けによる変動とが,多くの場合逝方向に作用していることから,いわゆる 前処理全体としてほこの両者が相殺しあい,それほど重要な影響ほないものと推察できる.しかしながら日本原 (火山灰土)の場合には風乾によって測定値がNPとなり,またフルイ分けを行わない場合の測定はきわめて困難 であった.したがっで比較的惰性度の低い土壌のLLの値は前処理にそれほど影響されないが,そうでない土壌に. ついては前処理の有無を厳密に規定する必要があるものと考え.られる, つぎにPLについては,園−・2と5とを対比させれば明白なように.,特にPL値が小さい土壌の場合に.前処理の 影響が大きいといえようり しかも風乾,フルイ分けともに.PL値を高める方向に作用しており,この場合に.は前処 理の有無に関する規定が必須の条件になるものと考える..PL値が小さい土壌は−・般に清性虔も低いものとみ.なし うるので,この理屈は主として420/Jm前後の粒径をもつ砂分の作用に.よるところが大きいのでほなかろうか。い ずれにしろ最大の問題点8ま,実際の現地に・おける土壌のコンシステンシ−が,室内実験でどのような前処理を行っ たときに最も適切に反映されているかということであるり その意味からはむしろ現行のJISのコソシステンシ・一測 定法ではなく,現地においても室内と同様な測定が可儲な方法を用いての検証が必要となるであろう.この問題に ついては,次報において詳しく検討を加えたい Ⅵ あ と が き 本論文では主として前処理が土壌のコソシスチッシー・に及ぼす影響について考究し,いくつかの知見を得たが, 同時に問題点も見出された.特に現地の土壌の物理性をいかに正確に把握するかという見地からは,室内実験結果 の現地への適用性を高めていく方向と同時に,現地において直接物理性を測定する手段についても検討を加える必 要があるものと考えられるそしてそれらの結果を総合して,はじめて現地における土壌の物理性が適確に.把握で きるのではないかと考えている, 引 用 文 献 (1)土質工学会:土質調査試験結果の解釈と適用例, 土質工学会編(1979) (2)松尾新一・郎,西田一層:PhysicalandChemical

Properties oftheDecomposed Granite Soil

Grains,Soils and Foundations,Ⅶ−4,10

(1968)

(3)山崎不二夫,竹中 壊:風乾がアック・−ベルグ 限界に及ぼす影響,濃土論集,14,46(1965) (4)土質工学会:土質試験法,土質工学会編(1979)

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