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極軟鋼せん断パネルダンパーの耐震性能に関する研究

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Academic year: 2021

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極軟鋼せん断パネルダンパーの耐震性能に関する研究

Research on the seismic performance of the low-yield-strength steel shear panel damper

山下友樹†,張 超鋒†,青木徹彦††

Tomoki YAMASHITA, Chaofeng ZHANG, Tetsuhiko AOKI

Abstract

A low-yield-strength steel shear panel damper (LYSPD) with 70% shear strain is

developed and verified by static incremental cyclic tests in previous research. The

mechanical properties and fatigue performance of the LYSPD deteriorate with the high

temperature caused by high strain speed and internal friction in constant cyclic dynamic

tests. To compare with the earthquake response wave, the deterioration mentioned above

may be overestimated. Thus, this study is also seeking to develop a scientific

understanding of the effects of heat and loading history on the LYSPD mechanical

properties and fatigue performance. Several waves, the most prone to damage at each soil

condition according to the DYMO simulation, are selected as dynamic test loading waves.

The test results suggest that the heat and loading history have no influence on the LYSPD

strength while they should to be taken into consideration of the fatigue evaluation.

1. はじめに 1995 年の兵庫県南部地震では,高速道路,鉄道の高架 橋など多数の重要公共構造物が甚大な被害を受けた.都 市と都市を結ぶ高速道路や高架橋などの重要構造物の崩 壊により都市機能の麻痺,救急車両の通行,救援物資の 運搬,復旧作業に大きな支障となった.その後,日本の 主な新設橋梁には免震ゴム支承が設けられるのが一般と なり,耐震性が格段に向上した.しかし,近年の公共投 資削減に伴い,コスト縮減の要求は強く,より経済的な 免震,制震デバイスが求められている1)2). 現在,広く用いられている免震ゴム支承は設置費用が 上部工の10%~15%を占めており,非常に高コストであ り,また免震ゴム支承を用いていない従来の橋梁と比べ, 桁遊間が大きくなり,大変形伸縮装置が必要となる1)2)3). さらに,重量トラック等の交通振動により,照明柱や標 識柱の基部における疲労破壊が発生するなどの,さまざ まな問題が報告されている. そこで,それに代わり,経済的で,エネルギー吸収量 が大きい極軟鋼せん断パネルダンパーの利用が考えられ る.著者らは,これまで,パネル隅角部に溶接交点を設 † 愛知工業大学大学院 建設システム工学専攻 ††愛知工業大学 都市環境学科土木工学専攻(豊田市) けないことなどの改善を行い,静的漸増繰り返し実験に おいて最大平均せん断ひずみ(最大水平変位とパネル部 有効高さの比)が 70%に達する極軟鋼せん断パネルダン パーを開発した4). 極軟鋼せん断パネルダンパー(以下ダンパー)を橋梁の 耐震設計を行う場合,地震時にダンパーが変形し,累積 損傷による荷重低下,すなわちエネルギー吸収量の低下 を考慮する必要がある. また,ダンパーに対しての静的漸増繰り返し実験は多 く行われているが,一定振幅および実地震波を入力した 動的載荷はほとんど行われておらず,ひずみ速度や温度 上昇に関しての研究は極めて少ない. そこで本研究では,高変形能力を有するダンパーを用 いて,低サイクル疲労寿命に着目し,静的および動的一 定振幅実験を行う.また,動的解析ソフトDYMO5)を利 用し,ダンパーを設置した橋脚の安全性について検討を 行う.動的解析の結果のうち最も破壊しやすい3 種類の 地震応答を用い,地震時の支承部に対する挙動を求め, ダンパーに地震応答履歴を用いた実験を行う.低サイク ル疲労実験と地震応答履歴載荷実験の結果から大変形, 高ひずみ速度で載荷されたダンパーの疲労特性を実験的 に明らかにする.

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2. 実験計画 2・1 実験供試体 図-1 に示すように供試体のせん断パネルおよびリブの 材質は,極軟鋼のLYP100 で,厚さ t=24mm のパネル中央 を谷型に削り(t=12mm),左右に長方形リブを溶接した.パ ネル下端はM24 のボルトで固定されている.上部は下端 と平行移動できるリンクを設置することによってパネル 上端を面内で水平移動をさせている. 2・2 実験装置 実験で用いる実験載荷装置を図-2 に示す.実験供試体 の下端部を実験装置に固定し,供試体上部は,載荷板と の間に隙間を空けた.隙間を大きくすると制御が困難に なるため隙間の広さを調節できるような構造とした.水 平力は1000kN 動的アクチュエータにより与えた.また, 供試体上部と下部にレーザー変位計を設置し,その差を ダンパーの水平変位とした. 3. 低サイクル疲労実験 ダンパーについては低サイクル疲労に関する実験デー タが非常に少ない.そこで,本研究では前述で選んだ供 試体に対し,静的および動的一定振幅実験を行い,低サ イクル疲労寿命を明らかにする. 3・1 載荷パターン 静的実験では平均せん断ひずみ速度γv0.4%/sec と し,正負に20%,30%,40%,および 50%のせん断ひず み振幅を与える.これらの供試体名はST とし,そのあ とに振幅の数字を付ける.動的実験では,静的実験と同 じ,20%~50%の 4 種類のひずみ振幅を与え,それぞれ に載荷振動数0.5Hz(周期 2 秒)および 1.0Hz(周期 1 秒)の 2 種類の動的載荷を行う.これらの供試体を D05 と D10 とし,そのあとに振幅の数字を付ける.静的および動的 実験の供試体を合計12 体用意する.実験計画を表-1 に 示す. 3・2 荷重-平均せん断ひずみ履歴曲線 静的および動的実験から得られた結果から得られた, 荷重-平均せん断ひずみ曲線のうち,せん断ひずみ 30% および 40%の例を図-3 に示す.静的実験では,いずれ も始めの半サイクルで,荷重が除々に増加し,その後の サイクルにおいてもほぼ一定の荷重値を保っている.動 的載荷では,各サイクルごとに荷重が低下した.静的実 験は動的実験に比べ,荷重の除下および再載荷の過程で 直線に傾きがみられ,若干菱形となっているが,動的実 験はほぼ矩形を成している. 3・3 ピーク荷重履歴曲線 静的および動的実験の各サイクルでの最大荷重をピー ク荷重とする.ピーク荷重の変化の様子を図-4 に示す. 同図から静的載荷(ST-20~ST-50)では,繰り返し回数が 増加しても荷重は一定を保っているのに対し,動的載荷 では最大荷重まで荷重が増加した後は,急速に低下して いる.この原因はパネルが摩擦により発熱し,剛性が低 下したためと思われる.パネル表面温度は高いもので 600 度程度まで上昇した.また,荷重の最大値は動的載 荷の方が約 20%大きかった.図-4 の動的載荷の荷重の低 下の傾き,すなわち荷重低下速度 Fv(kN/sec)と平均せん 断ひずみ速度γVとの関係を求め,図示すると図-5 のよ うになる.同図から動的載荷における荷重の低下率 Fv は,平均せん断ひずみ速度γVが 50(%/sec)以上で直線的 な関係にあることがわかった. 3・4 低サイクル疲労特性 静的および動的一定振幅実験において,本研究では最 大荷重の 70%まで荷重低下した時を破壊と見なし,その 時点の繰り返し回数 N70 を疲労破壊の回数と定義する. 表-1 低サイクル疲労実験 実験計画 試 験 体 周 波 数 ( H z ) 振 幅 ( % ) 平 均 速 度 ( % / s e c ) S T - 2 0 2 0 S T - 3 0 3 0 S T - 4 0 4 0 S T - 5 0 5 0 D 0 5 - 2 0 2 0 4 0 D 0 5 - 3 0 3 0 6 0 D 0 5 - 4 0 4 0 8 0 D 0 5 - 5 0 5 0 1 0 0 D 1 0 - 2 0 2 0 8 0 D 1 0 - 3 0 3 0 1 2 0 D 1 0 - 4 0 4 0 1 6 0 D 1 0 - 5 0 5 0 2 0 0 動 的 ( D 1 0 ) 1 静 的 ( S T ) ━ 0 . 4 動 的 ( D 0 5 ) 0 . 5 図-2 実験装置 動的アクチュエータ 供試体 載荷ビーム 図-1 供試体寸法

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各実験で得られた繰り返し回数 N70をプロットしたものを 図 -6 に 示 す . 同 図 に 示 す よ う に 各 実 験 点 に 対 し て Manson-Coffin 則による近似式を最小自乗法により求め た.これを式(1)~(3)に示す.近似式と各実験点はよく一 致している.同一せん断ひずみ振幅を与えた場合,載荷速 度が大きいものほど,疲労サイクル数は低下している. 静的実験(ST) γa=239N70-0.66 (1) 0.5Hz 動的実験(D05) γa=294N70-0.78 (2) 1.0Hz 動的実験(D10) γa=275N70-0.81 (3) γa:せん断ひずみ振幅 N70:繰り返し回数 3・5 累積塑性ひずみ 一般的に履歴型ダンパーは,弾性域では損傷は小さく 無視でき,塑性域において劣化する.よって各供試体の 荷重-平均せん断ひずみ履歴曲線から,破壊までの累積塑 性せん断ひずみを求めた.平均せん断ひずみ振幅との関 係を調べると図-7 のようになる.同図から静的実験は指 数関数的に,動的実験は直線的関係が得られた.また, 同図においてD10 の実験で,累積塑性ひずみはほぼ一定 値を示している.よって本ダンパーの疲労損傷度の限界 値はこれらの平均値として約1800%と見なすことにする. 3・6 累積エネルギー吸収量 載荷実験によって得られた荷重-平均せん断ひずみ履 歴曲線から累積エネルギー吸収量ΣE を求め,せん断ひ ずみ振幅γa との関係を図示すると図-8 のようになっ た.本せん断パネルに対して,累積エネルギー吸収能力 は,載荷加振周波数f=1.0Hz の平均値を累積エネルギー 吸収量の代表値と考え,890kN・m と見なす.この値は, f=1.0Hz 付近では,せん断ひずみ振幅,せん断ひずみ速 度に関係なく,ほぼ一定値である. (a) 20% (b) 30% (c) 40% (d) 50% 図-4 ピーク荷重履歴 図-6 疲労曲線 0 10 20 30 40 0 200 400 600 800 繰返し回数(回) ピー ク荷重 ( kN ) ST-20 D05-20 D10-20 0 10 20 30 40 0 200 400 600 800 繰返し回数(回) ピー ク荷重( kN ) ST-30 D05-30 D10-30 0 10 20 30 40 0 200 400 600 800 繰返し回数(回) ピーク荷重 ( kN ) ST-40 D05-40 D10-40 0 10 20 30 40 0 200 400 600 800 繰返し回数(回) ピーク荷重( kN ) ST-50 D05-50 D10-50 0 10 20 30 40 50 0 20 40 60 80 平均せん 断ひずみ( %) 疲労繰り返し回数 N70(回数) ST γa=239N70-0.66 D05 γa=294N70-0.78 D10 γa=275N70-0.81 図-5 平均せん断ひずみ速度と荷重低下速度の関係 0 50 100 150 200 250 0 10 20 30 40 せん断ひずみ速度γv(%/sec) 荷 重低 下速度 Fv ( kN /s ec ) D05 D10 (a) ST-30 (b) ST-40 (c) D05-30 (d) D05-40 (e) D10-30 (f) D10-40 図-3 履歴曲線(平均せん断ひずみ 30%,40%の例) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重 ( kN ) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重 ( kN ) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重 ( kN ) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重 ( kN ) -60 -30 0 30 60 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN )

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3・7 破壊モード 載荷実験の破壊時付近の供試体の例を写真-1 に示す. 静的実験では,繰り返し増加とともに座屈変形量が大き くなり,パネル隅角部の一つから亀裂を生じ,リブの溶 接部に亀裂が広がり,荷重が低下した.動的実験では, パネルに局部座屈は生せず,繰り返しの増加とともにパ ネル面全体から発熱し,パネルの横方向に赤熱した帯が 現れ,その位置で横方向に破断した.以上のように破壊 モードは静的と動的実験で異なった 様子を見せた. 4. 橋梁への実用性についての解析 動的解析ソフト「DYMO」5)を用いて,橋梁の支承部にダ ンパーを設置する場合を想定し,レベルⅡ地震動に対して 解析を行う.動的解析によって得られたデータから,橋梁 への実用性を検討する.レベルⅡ地震動は千年に 1 度レベ ルの直下型大地震を想定している. 4・1 対象橋梁とそのモデル化 本解析で対象となる橋梁は,橋の動的耐震設計法マニュア ル5)の例題である鉄筋コンクリート橋脚を有する 5 径間連 続鋼Ⅰげた橋とする.この橋脚は我国で最も一般的に用い られているものである.対象橋梁の橋軸方向からの概略図 とそのモデルを図-9 に示す.橋脚柱部では弾塑性モデル を,その他は弾性モデルを用いた1質点モデルとした. 4・2 極軟鋼せん断パネルダンパーのモデル化 支承部に設置するダンパーの解析モデルは、過去に行 われた静的漸増繰り返し実験から得られた履歴曲線から 図-10 に示すような完全弾塑性モデル化したものとする. パネル 1 枚のせん断抵抗力は 600kN,最大変位 84mm(最大 平均せん断ひずみは 70%である.) 4・3 解析結果およびダンパーの設計 解析を行う際,ダンパーの厚さや高さ,パネルの枚数 を変更することによって様々な抵抗力を再現した.動的 解析を行うことによってダンパーの抵抗力の適用範囲を 決定し設計を行う.解析結果から,道路橋示方書6)で記さ れた以下の項目について,本ダンパーを設置した場合の橋脚 およびダンパーへの安全性の評価を行う. (a) 橋梁の照査項目 1. 橋脚の最大応答変位(塑性率) 2. 橋脚の残留変位(無次元化した残留変位) 3. 橋脚のせん断力 (b) パネルダンパーの照査項目 1. ダンパーの限界平均せん断ひずみ 2. ダンパーの限界累積塑性ひずみ (a) 橋梁の概略図 (b) 橋梁のモデル 図-9 橋梁の概略図およびモデル 図-10 パネルダンパーのモデル化 -80 -40 0 40 80 -800 -400 0 400 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN ) (a) ST-30(22 サイクル) (b) D10-30(終局) 写真-1 破壊モード 図-7 累積塑性ひずみ 図-8 累積エネルギー吸収量 0 20 40 60 0 1000 2000 3000 4000 5000 累積 塑性ひ ずみ( %) 平均せん断ひずみ(%) ST D05 D10 0 20 40 60 0 500 1000 1500 2000 累 積エネ ルギ ー吸収 量( kN ・ m ) 平均せん断ひずみ(%) ST D05 D10

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安全性の照査結果の一例として,Ⅱ種地盤に対して道 路橋示方書で与えられた3 つの地震波について,橋脚の 塑性率を図-11 に,橋脚の残留変位を図-12 に示す.図中 に示された破線および数値は道路橋示方書 6)によって定 められた算定式による許容値となっており,ここでは1 つの地盤種に対して3 波のうち1つでも許容値を超えた 時点で橋梁が危険であると判定する.橋梁のせん断力に ついても同様の照査を行った. また図-13 はⅡ種地盤において,各抵抗力の解析によ って得られた支承部の応答変位の最大値をプロットした ものである.図中に示された破線は、パネル1枚のサイ ズを相似的に拡大することによって得られる抵抗力と最 大変位であり,実線はダンパーの高さを1.3 倍にして, 最大変位を調節したものである. ダンパーの抵抗力を小さくした場合,支承部の最大応 答変位がダンパーの最大変位を超えてしまうとダンパー は破壊されてしまう.よってこれをダンパーの抵抗力適 応範囲の最小値とする.以上4つの項目から安全性の照 査を行った結果,本研究のダンパーは,Ⅰ種地盤では抵 抗力(F)が 1600kN≦F≦2900kN,Ⅱ種地盤では 2300kN ≦F≦3100kN、Ⅲ種地盤では 2600kN≦F≦3100kN が適 用範囲となった. 最後に解析結果から得られた応答履歴からダンパーの サイズを変更することで最大平均せん断ひずみを調節す る.一例として,対象とするダンパーは最大せん断ひず みを 50%と仮定して求めた累積塑性ひずみとダンパーの 抵抗力の関係を図-14 に示す.一定振幅実験の結果から 本ダンパーの限界累積塑性ひずみの損傷度の限界値は約 1800%であった.応答解析の結果,最大でも累積塑性ひず みは 500%程度と小さく,数回の地震動に耐えられるため, 安全性は十分に確保されていると考えられる.図-14 か ら,地盤種によってグラフの傾向に大きな差が表れた. Ⅰ種地盤では累積塑性ひずみはダンパーの抵抗力の増 加とともに直線的に低下している.Ⅱ種地盤では共振に より累積塑性ひずみにバラツキが見られた.Ⅲ種地盤で は全体的に累積塑性ひずみが低く,一定値を保った.こ れはⅢ種地盤では地盤が軟らかく,地盤自体がダンパー と同じ働きをしているためと考えられる. 5.地震動応答変位履歴実験 ダンパーのモデル化の妥当性やパネルに内部摩擦によ る温度の影響などがあるかを実験的に確かめる.また一 定振幅実験で得られた疲労式の妥当性を破壊度によって 検討する. (a) Ⅰ種地盤 (b) Ⅱ種地盤 (c) Ⅲ種地盤 図-14 パネルダンパーの累積塑性ひずみ 1000 1500 2000 2500 3000 35000 200 400 600 ダンパーの抵抗力(kN) 累積塑性ひずみ (%) Ⅰ-Ⅰ Ⅰ-Ⅱ Ⅰ-Ⅲ 20000 2500 3000 3500 200 400 600 ダンパーの抵抗力(kN) 累積塑性ひずみ (%) Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅱ-3 20000 2500 3000 3500 200 400 600 ダンパーの抵抗力(kN) 累積 塑性ひずみ(% ) Ⅲ-1 Ⅲ-2 Ⅲ-3 図-11 橋脚の塑性率の照査(Ⅱ種地盤) 図-12 橋脚の残留変位の照査(Ⅱ種地盤) 図-13 パネルダンパーの 平均せん断ひずみの照査(Ⅱ種地盤) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 1000 2000 3000 4000 ダン パーの 抵抗 力 (k N) δF/δy Ⅱ-Ⅱ-1 Ⅱ-Ⅱ-2 Ⅱ-Ⅱ-3 6.83 OUT 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 0 1000 2000 3000 4000 ダン パーの抵抗力 (k N) δR/δy Ⅱ-Ⅱ-1 Ⅱ-Ⅱ-2 Ⅱ-Ⅱ-3 2.93 OUT 0 80 160 240 320 400 480 0 1000 2000 3000 4000 最大応答変位(mm) ダ ン パ ー の 抵 抗 力 ( k N ) Ⅱ-1 Ⅱ-2 Ⅱ-3 適用範囲 1.3δ70 δ70

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5・1 載荷パターン 図-14 の各地盤種の累積塑性ひずみから,最も条件の厳 しいパターンを選び,解析を行い,得られた応答変位履歴 を載荷パターンとした.Ⅰ種地盤ではダンパーの抵抗力が 1600kN とⅠ-1,Ⅱ種地盤では抵抗力が 2600kN とⅡ-1,Ⅲ 種地盤では抵抗力が 2600kN とⅢ-2 の組み合わせを採用し た.また載荷終了後に残留変位を 0mmに戻し,冷却して から実験を繰り返す.荷重が最大荷重の 70%低下した時 点で実験を終了とし,繰り返し載荷回数を求める. 5・2 実験のグループ分け グループを2 つに分け,それぞれに対して実験を行い, 結果を考察する.これらのグループを表-2 に示す. (1)グループ 1(地盤種の違いによる影響) 5.1 節で述べた各地盤種ごとの違いによる影響を調べ る.解析において累積塑性ひずみが最も高かったものを 選んだ.また,地盤種ごとの最大せん断ひずみが同一振 幅70%になるように入力地震波を調節し実験を行う. (2)グループ 2(最大振幅の違いによる影響) グループ1の中で最も高い累積塑性ひずみ 507%をも つ地盤種(Ⅱ-1)を選び,最大振幅の最大せん断ひずみ50%,70%,80%になるように入力地震波の振幅を調 節して実験を行う. 5・3 履歴曲線 グループ1およびグループ 2 の実験結果から得られた 履歴曲線のうち 1 回目,および 2 回目をそれぞれ図-15 お よび図-16 に示す.また W02-70 の供試体はどちらのグル ープにも属するため図-15 においては省略する.1 回目の 載荷では解析値と実験値の荷重に多少の差が生じていた が,2 回目の載荷以降は解析値と実験値でほぼ一致した. よって静的漸増繰り返し実験の結果からモデル化は妥当 であると思われる. 5・4 ピーク荷重履歴曲線と温度履歴曲線 (1)ピーク荷重履歴曲線 1 回の実験ごとの最大荷重をここではピーク荷重と呼 ぶ.ピーク荷重曲線は地震応答の回数に対するピーク荷 重の変化である.グループ 1 のピーク荷重を図-17 に, グループ 2 を図-18 に示す. 表-2 実験計画(グループ分け) せん断力 最大振幅 累積塑性ひずみ (kN) γ(%) Σγp(%) W01-70 Ⅰ-1 1600 445 W02-70 Ⅱ-1 2600 507 W03-70 Ⅲ-2 2600 251 W02-50 Ⅱ-1 2600 50 362 W02-70 Ⅱ-1 2600 70 507 W02-80 Ⅱ-1 2600 80 580 1 70 グループ 名前 地震波 2 (a) W01-70 1 回目 (b) W01-70 2 回目 (c) W03-70 1 回目 (d) W03-70 2 回目 図-15 グループ1の履歴曲線 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重 ( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN ) 実験値 解析値

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グループ 1,2 いずれも荷重をかけ始めた1回目の地震 応答で,荷重が徐々に増加している.しかし,その後の 地震応答ではほぼ一定の荷重値を保っている.これは一 定振幅実験の静的載荷のピーク荷重履歴と同じ傾向であ る.しかし,一定振幅実験ではパネル表面温度は 600℃ 程度上昇したが,地震動応答変位履歴実験ではパネル表 面温度は最大でも 120℃程度しか上昇せず,ピーク荷重 の結果から,パネルの摩擦による材質の軟化は起きず, 荷重低下の影響は大きくなかった. 5・5 累積塑性ひずみ 各試験体の荷重-せん断ひずみ履歴曲線から得られた 累積塑性ひずみを図-19 に示す. グループ 1 では地盤種によって累積塑性ひずみに差が生 じた.これは各供試体では正側に相当する最大変位を 70 %に調整してあるが,負側に相当する最大変位にはバラ ツキおよび,地盤種ごとに波の繰返し回数に差があるた めと考えられる. グループ 2 では最大振幅が大きくなるにつれて,累積 塑性ひずみも大きくなった.これは最大振幅が大きくな ることによる劣化が起きたためである.W02-50 の累積塑 性ひずみは 1848%であり,一定振幅実験で得られた累積 塑性ひずみは,本ダンパーの限界値である 1800%にほぼ 一致した. 5・6 累積エネルギー吸収量 各供試体の荷重-平均せん断ひずみ履歴曲線から得ら れた累積エネルギー吸収量を図-20 に示す. グループ 1,グループ 2 共に累積塑性ひずみと同じ傾 向が見られた. (a) W02-50 1 回目 (b) W02-50 2 回目 (c) W02-70 1 回目 (d) W02-70 2 回目 (e) W02-80 1 回目 (f) W02-80 2 回目 図-16 グループ 2 の履歴曲線 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷 重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) 実験値 解析値 -90 -60 -30 0 30 60 90 -800 -600 -400 -2000 200 400 600 800 平均せん断ひずみ(%) 荷重( kN ) 実験値 解析値

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5・7 載荷回数 各供試体の載荷回数を表-3 に示す.全ての供試体で5 回以上の載荷に耐えることができた.グループ 1 では累 積塑性ひずみの結果と同様,負側に相当する最大変位に はバラツキおよび,地盤種ごとに波の繰返し回数に差が あるためと考えられる.グループ 2 では最大振幅が大き くなるにつれて載荷回数が低下した.これは,ダンパー へ与える正負最大振幅の大きさに大きく影響し,損傷を 受けると考えられる. 表-3 載荷回数 5・8 Miner 則による破壊度の検討 地震波などのランダム波に対しての疲労寿命の評価と して Miner 則を用い,次式(1),(2)から 1 回の地震波に対 して破壊度を算出し,照査を行う.破壊度 D が1に達し た時,ダンパーは破壊すると考える. Di=ni/Ni...(1) D=ΣDi...(2) Di=破壊度 ni=振幅γiの回数 Ni=疲労サイクル数である. 一定振幅実験から得られた 3 つの疲労式から破壊度の 計算をした.ダンパーの破壊となる D=1.0 を地震動応答 履歴実験から得られた載荷回数で割ることによって 1 回 の地震動に対する破壊度を算出した.これを実験値(表-2 参照)とし,疲労式による結果と比較したものを図-21 に 示す.実験値と疲労式から得られた理論値を比較した結 果,疲労式から得られた破壊度は実験値とどれもほぼ一 致する結果が得られたが, W02-50,W02-70 では,疲労式 で推定した破壊度よりも実構造物で生じるであろう実験 値で得た破壊度が下回り,安全側に評価することができ グループ 地震波 載荷回数 1 回の地震の 破壊度 D=1/N 1 W01-70 6 0.17 W02-70 8 0.13 W03-70 7 0.14 2 W02-50 16 0.06 W02-70 8 0.13 W02-80 5 0.20 図-17 グループ 1 のピーク荷重 図-18 グループ 2 のピーク荷重 図-19 累積塑性ひずみ 図-20 累積エネルギー吸収量 0 3 6 9 12 15 18 0 200 400 600 800 W01-70 W02-70 W03-70 載荷回数 (N) ピーク荷重 (k N ) 0 3 6 9 12 15 18 0 200 400 600 800 W02-50 W02-70 W02-80 載荷回数 (N) ピーク 荷重 (k N ) 0 250 500 750 1000 1250 1500 1750 2000 w01-70 Ⅰ種地盤 w02-70 Ⅱ種地盤 w03-70 Ⅲ種地盤 w02-50 振幅50%振幅w02-7070%振幅w02-8080% 累積塑性ひずみ (%) グループ1 グループ2 0 250 500 750 1000 1250 1500 w01-70 Ⅰ種地盤 w02-70 Ⅱ種地盤 w03-70 Ⅲ種地盤 w02-50 振幅50% 振幅70%w02-70 振幅80%w02-80 エネルギー吸収量 (kN ・ m) グループ2 グループ1

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た.しかし,W01-70,W03-70 および,W02-80 では,疲労 式による破壊度の推定値は実験値よりも下回っており, 危険側に評価してしまう可能性がある.よって Miner 則 を用いた破壊度の検討を行う場合には ST(静的実験)で 評価することはできず,D05(動的実験)から得られた疲労 式で評価する必要がある. 6. 結論 本研究は高変形性能を有する極軟鋼せん断パネルダン パーを用いて,静的および動的一定振幅実験と,橋梁の 適応性に着目し,耐震性能を調べたものである.解析お よび実験によって得られた結論は以下のようにまとめら れる. 1) 一定振幅実験において,荷重-せん断ひずみ履歴曲 線の各サイクルのピーク荷重は,静的載荷では一定 値を保ったのに対し,動的載荷では繰り返しととも に直線的に低下した.これはパネルが摩擦により発 熱し,剛性が除々に低下したためと思われる.また, 初めの 2,3 サイクルで達する最大荷重は動的載荷 の方が 20%程度大きくなった. 2) 静的および動的一定振幅実験において,本パネルダ ンパーの疲労損傷度の限界累積塑性ひずみで約 1800%となった. 3) 静的および動的一定振幅実験において,せん断ひず み振幅と繰り返し回数との間に Manson-Coffin 則 の関係から3つの疲労式を導くことができた. 4) 想定地震動を入力した解析結果では,固定支承で安 全性を満足することができなかった橋梁に対して 極軟鋼せん断パネルダンパーを設置したことによ って安全性を確保することができた. 5) 地震動応答履歴実験では,最も厳しい条件として与 えた最大振幅せん断ひずみ 80%に調整したレベル Ⅱ地震動に対して,載荷回数は 5 回まで耐えること ができた. 6) 疲労性能の照査では,累積塑性ひずみで評価した場 合,限界累積塑性ひずみだけでは判断できず,平均 ひずみ振幅の影響が大きい. 7) 疲労式を用いた Miner 則で評価した場合,ST(静的 実験)から得られた疲労式で評価を行うと,破壊度 を危険に評価してしまう場合がある.よって D05(動 的実験)から得られた疲労式で破壊度を評価する必 要がある. 参考文献 1) 川島一彦:兵庫県南部地震と今後の耐震設計,特集 最新の耐震設計と施工例,土木技術,52 巻 2 号, 1997 年 2 月 2) 山本亮明,青木徹彦,鈴木森晶:基部に極軟鋼を用 いた鋼製橋脚の耐震性能に関する研究,愛知工業大 学“研究報告”No.40(2005) 3) 日本免震構造協会:免震積層ゴム入門,平成 9 年 9 月 1 日 第 1 版第一刷発行 4) 張超鋒,青木徹彦,:高変形能を有する極軟鋼せん断 パネルダンパーの開発,鋼構造論文集,第 18 巻第 72 号、2011 年 12 月 5) 橋の動的耐震設計方マニュアル-動的解析および 耐震設計の基礎と応用‐財団法人 土木研究セン ター,平成18 年 5 月 6) (社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説,Ⅴ耐震 設計編,2003 年 3 月 (受理 平成 24 年 3 月 19 日) 図-21 破壊度の検討 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 W01-70 W02-70 W03-70 W02-50 W02-70 W02-80 破壊度 ST D05 D10 実験値

参照

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