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植物種子有用成分抽出残渣を原料とする活性炭の製造

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愛総研・研究報告 第18号 2016年

植物種子有用成分抽出残;査を原料とする活性炭の製造

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渡辺藤雄¥架谷昌信

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WATANABE

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HASATANl

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Abstract The purpose of the present work is tostudy the feasibility ofproductionof activecarbon企om extraction residues of a seed plantsuch as jatropha curcas, coffee, etc.The extraction residues were at frrst carbonized and thenactivatedby steam.The effects ofactivationconditions on出echaracteristics of血eactive carbons obtainedwereexp巴rirnentallyinvestigated.From all the raw materialemployed

activ巴carbonshaving a relativelyhighspecificarea couldbe produced

andtheseare rich in micro-por巴stodiameter 0.5-0.8nrn. From theseresults, it seems that thewasteof solid state medium liketheextractionresidueof seed plant canbe reutilized as theraw material of activecarbon 1.緒言 人類の持続的発展を維持するためには地球規模のエネノレギ ー・資源および環境の問題を解決することが重要かっ喫緊課 題となる。この観点、から、廃棄物の高度再利用技術の確立が 求められている 植物由来の廃棄物に着目すると,とくに植 物種子の有用成分抽出残澄は一部堆肥家畜補食材に利用さ れている.しかし, 大半は焼却処分されている.なお,植物 残主査を原料とする活性炭製造の試みは既に報告されている[1]. 閃が,種子残溢を原料とする製造研究は十分とはいえない. 本研究では,植物種子の有用成分抽出残澄を対象とする高 度再利用技術の確立に向けた検討を行う.具体的には,バイ オ燃料油成分を多量に含むジャトロファ種子に着目し,この 油分抽出残澄の炭化物を原料とする活性炭の製造を試みた 実験では,活性炭化の手法左して水蒸気賦活法を採用し,種々 の賦活温度,賦活時間条件下で得られた活性炭の比表面積, 細孔分布および低級炭化水素の吸着特性の測定結果に基づく 本活性炭の性能評価を行った.比較のため, ヒメ種子,コー ヒ一種子の有用成分抽出残溢の炭化物についても同様の評価 を行った なお,ジャトロファ種子は,主要産出国のミャン マ一国を例にとれば,ジャトロファは 4,000,000ha強の栽培 T愛知工業大学総合技術研究所(豊田市) t t愛知工業大学工学部機械学科(豊田市) 面積を有し,約5凶laの種子を産する.種子は 46wt%程度の 油分を含む.また非食用である.この種子の物質精算を図l に示す油分抽出残澄65~70w仇であり, その後の炭化によ り35wt%程度の炭化物が得られ,これを賦活することにより 12~14wt%の活性炭の生産が想定される ジャトロフ7

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子 揮発分35-33w1叫 100wl唱 │摘出残遺70-65w1唱 固定民素 27-26w1唱 その他 日-7wt唱 図lジャトロファ種子の物質精算 2.実験

2

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1

試 料 3種の植物種子有用成分抽出残溢を使用した.この試料の 「五

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2

石炭類及びコークス類・工業分析法」に準拠した 表l残溢の工業分析値(wt%) 成分銅出残澄

ジャ卜

フ?穫予

ヒパ種子 コーヒー種子 135

(2)

愛 知 工 業 大 学 総 合 技 術 研 究 所 研 究 報 告3 第 18号, 2016年 分析結果,概観写真それぞれ表lおよび図2に示す ロファ油分抽出残澄には 37wt%程度の固定炭素が存在し,活 性炭化が可能であると思われる. ジャト 136 実験方法 2.2 この賦活に使 活性炭の製造で、は水蒸気賦活法を採用した 図 2ジャトロファ種子油分抽出残溢の概観 用した実験装置の概略を図3に示す.装置は電気炉内のPiiti'舌 反応器とここに導入する高温水槽で温度調整された水蒸気の 発生器で構成される.製造実験では,図 2の試料をあらかじ め破砕し粒径1.5~2mm にふるい分けした残j査試幸次5g 手自支) を反応器に装填し反応器内を窒素ガス雰囲気とし, 6500C で昇温し,その後水蒸気発生器より 700

C

の飽和水蒸気を流通 させ温度700-850oC,保持時間1-6hの条件下で賦活反応を 行わせた 得られた活性炭試料については,比表面積細孔分 布測定装置(日本ベル製

BELSORP

max)による一

1

9

5

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C

におけ る窒素ガス吸着等温線の測定を行い, この結果に基づいて比 図

H

町舌に使用した真験装置の概略 { 三 時 嬰 表面積および細孔分布を求めた.一部については,常温化の n-フ守タンの吸着特性評価ならびに酸素,窒素の吸着特性評価 3.1 紋 率,比表面積,級干し分布 3.実験結果および考察 を行ったー コ ヒ 賦活時間 図 4賦活温度7500Cの収率 図 4に,一例として賦活温度 7500C

R

両舌時間と収率の関 係を示す 図中の斜線部は脱灰処理後を基準とする収率であ る.なお,脱灰は1%-HCl水溶液に 24h浸漬させる方法で処 収半[%] 原料 賦j舌温度 7500C 8000C 8500C 賦活時間 j舌炭 脱灰炭 賦j舌炭 脱灰炭 賦活炭 [h] ジャトロファ 2 4 5612..12 5424..9 1 46.6 37.6 40.3 32.6 19.9 種子 6 45目4 ヒバ種子 4 68.2 59.3 6 62.8 コーヒー 2 20.8 18.9 20.8 16.7 種子 4 14.3 14.3 12.1 9.7 目町舌時間,

P

町舌温度と収率 表 2 ジャトロファとヒパ種で、 は 20~60%程度あるのに対してコーヒーでは15%未満と小 理 し た 収率は原料により異なり, さい また,脱灰処理により収率は約1割~2害時呈度減少す さらに,収率は目武活温度と収率によっても異なったので、 る ジャトロファ種子の収率は その値を一括して表2に示す. この値は石 ヒパ種子の収率はジ 8000C

2h賦活の脱灰炭で 32.6%となっており 炭を原料とする活性炭と同程度である ャトロファより大きいこと,コーヒー種子のそれは前2種に 比表面積[m2jg] 原 料 賦j舌温度 7500C 8000C 8500C 賦活時間 賦j舌炭脱灰炭 賦j舌炭 脱灰炭 賦j舌炭 [h] ジャトロファ 2 125 200 640 808 4 433 468 764 845 875 種子 6 486 ヒパ種子 4 6 2309 49 300 コーヒー 2 192 338 967 873 種子 4 675 762 1121 1310 R酎舌時間, ~jî匂舌温度と収率 表3 比べて小さいことについては後述のこれらの比表面積値との 比表面積は献活温度の 比較で次節で考察する. 表3に賦活炭の比表面積値を示す 上昇および肱活時間の増大に伴って大きくなる.本実

E

鮪包囲 内で、はコーヒ一種子の8000C,4h賦活の脱灰炭で最大の比表 面積値13lOm2jgを得た一方,ジャトロファ種子では 800oC, 4h賦活の脱灰炭で845

m

2jgとなり,石炭を原料とする活性炭 の1.

4

倍程度となる.またこの値は本実験の同条件で得たヤ ヒ なお, シ殻活性炭の比表面積(1033m2jg)の 0.82倍となる

(3)

植物種子有用成分抽出残j査を原料とする活性炭の製 造 パ種子ではジャトロファと比較して同一賦活温度、賦活時間 での賦活炭の比表面積は0.6倍程度であり,耐舌の進行が緩 慢であることが示唆される.コーヒ一種子では7500C,4h賦 活炭の比表面積値がジャトロファ種子の 8000C,2h賦活炭の それと同程度となり R釘舌が容易であると示唆されるが,その 収率が3分のl以下となる。 以上の結果より,ジャ トロファ種子原料の賦活炭は収率, 比表面積を指標とすれば木研究で検討した種子残溢の中では 実用的に有望な活性炭となることが分かる このことから以 降はジャトロハ種子の賦活炭に限定した検討を行う. 図5,6にジャトロファ種子の

R

制舌炭の累積細孔分布を示す. 図より,面封切.5nm以上の細孔容積洲町舌温度の上昇,賦 活時間の増大に伴って増加している 7500C, 2h賦活炭は0.5 ~0.7nm の細孔のみが形成されており,それ以上の細孔径領 域ではほとんど細孔が存在しないことが分かる つまり,細 孔径0.5~0.7nmの単分散賦活炭となる. 賦活温度 7500Cの条 件でR町舌時間を増大すると 0.5~0.8nm の細孔容積が 2hの場 合の

2

-

3

倍に増大し,かっ0.7nm以上の細孔が形成される. 8000C2h賦活炭でもO.5~0.8nmの細孔のみが形成されてお り,それ以上細干し主計頁域ではほとんど細孔が存在しないこと が分かるつまり,細孔径0.5~0.8nmの単分糊悶炭となる 賦活温度8000Cの条件で賦活時間を増大すると0.5~0.8nm 細孔容積が

2

h

の場合の

2

倍以上に増大し,同時に0.8nm以 上の細孔が形成される 上記の結果は,低温,短時間賦ジャトロファ種子

R

町舌炭は 単分散細孔を利用する分子ふるいカーボンとして機能するこ とが示唆される。 一方、高温、長時間賦活のそれは通常の活 性炭として機能すると考えられる.これらについては後節の 吸着特性評価でさらに検討を加える 3.

2

吸着特性 図6に得られた賦活炭の吸着特性評価の一例として

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-

ブ、タ ンの40度の吸着等温線の測畝吉果を示す.図には,比較のた め市販の粒状ヤシ掛創生炭(比表面積;17

m2/g)の結果を併示 した.図より、ジャトロファ賦活炭の相対圧

0

.

2

基準の吸着 量は8000C,4h 賦活活性炭 >7500C、4h~酎舌活性炭>炭化物 の順であり3 その吸着量はそれぞれ

1

1

0

,55およびほぼゼロ となっているつまり,nーフ、タン吸着量は比表面積値とほぼ 比例関係にある.この比例関係はヤシ殻活性炭にも当てはま る.これらより,ジャトロファ種子泊分抽出残j査を原料とす る賦活炭はヤシ殻活性炭と類似の

n

ーブ、タン吸着性を有して いると考えられる. つぎ、に,ジャトロファ賦活炭 7500C,2hを例とする一790C における酸素,窒素の吸着等温線の測定結果を図7に示す. 窒素に比べて酸素を選択的に吸着することがわかる.この傾 向は他の条件下の目制舌炭でも観察されたが,賦活時間により

1

3

7

2.5 一 +ージャトロファ.750'C. 2h -ーージャトロフア.750.C. 4h 一台ージャトロファ,750・''C,6h ぞ1.5 E

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0.5 1.5 細孔径[nmJ 2.5 図5 750oC~尚古炭の累積細孔分布 4 3.5 3

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Ft15 嬰 1 0.5

0.5 一←ジャトロ77,8

'C,2h -←ジャトロフ7,8ω'C,4h 1.5 2 細孔径[nmJ 2.5 3 図5 8000C賦活炭の累積細孔分布 山 反 山 灰 性 性 活 活 必 活 活 凡 賦 紙 ヴ h h -物 白 山 汚 ' d

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0.1 02 0.3 相対圧[ー] 0.4 図6目前舌炭のn-ブ、タン吸着平衡 (400C) 吸着量に相異があることを認めた.そこで¥相対圧P!Pa=l.O における酸素,窒素の吸着量qOh qN2を読み取り, この比Rs を,次式で定義し,

R

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=qoJ qN2 (1) この値を表4に示した.表4には,市販の分子ふるいカーボ ン(M

S

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)

について同様の酸素、窒素の吸着等

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泉の測定を行 った結果を併記した.ジャトロファ種子の炭化物では,酸素,

(4)

138 愛 知 工 業 大 学 総 合 技 術 研 究 所 研 究 報 告 , 第18号, 2016年 窒素の吸着量は他に比べて最大lβ程度と小さいこと,Rs値 はR武J舌炭の4~5 倍であり市販のMSCとほぼ比肩できること, がわかる. さらに,図 7の吸着平衡測定は定容法により測定された結 果であり,この測定と問時に短い時間間隔ごとに吸着過程の 吸着容器内圧力が同時記録されるので,たとえば

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/

P

a

=

0

.2

(

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Pa

は蒸気圧力, -790Cの自包和蒸気圧)付近のデータに着 目し,この時の短い時間範囲の吸着器内の濃度(C-Ce)/(Co-Ce)

(

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;

供。における濃度,

C

o

;

θ

=

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0

における濃度,Ce;平衡濃 度)と時間

O

の値を得て,これをプロッ卜すれば窒素吸着に 対して図8の吸着速度に相当する実測の濃度変化を得る.実 測の濃度は時間とともに減少している この減少量から吸着 材単位質量あたりの吸着量q[kglkg]を算出し,本系の吸着に 吸着材粒子の球形,吸着速度の表面拡散律速の仮定を行った 吸着速度式より,拡散係数

D

[

m

2

/

s

]

をパラメータとする実測の 濃度変化に最適合な計算結果を得れは図8に示す

1

農度変化 計算結果を得る.このような方法で得られた酸素,窒素の拡 散係数値

D

0

2

,仏Gおよび次式で、定義する拡散係数比Rn値を 表5に示した. R

o=

Dα/ DN2 (2) 表5より,ジャトロファの

R

D

値はl以上の値となり,窒素 に比べて酸素の吸着速度が速く,その炭化物で最大約 7倍と なるこの値はまた市販のMSCが1以下の小さな値で、あるこ とと対照的に異なる つまり,ジャ卜ロファの炭化物,賦活 物を使用する圧力スイング吸着空気分離に適用した場合に は,速度分自盟吸着材として機能する可樹生が示唆される. 4.結 言 ジャトロファ種子油分抽出残澄を原料とする活性炭の製造 を行い,その吸着特性評価を行った その結果,本活性炭は 比表面積,n-ブ?タン吸着平衡基準で市販の活性炭と同程度の性 能を有することを認めた.また,窒素,酸素の吸着平衡及び 吸着速度特性評価より本活性炭が速度分間担の圧力スイング 空気分離吸着材として適用できる可能性を示唆した 説括字 本研究は(株)実践環境研究所の協力を得て行われた 参考文献 [lJ 渡辺藤雄他,化学工学論文集, 11, 609-612 (1985) [2J Bevia, F. R., et. a1., Ind. Eng.Ch巴m.,23, 269-276 (1984) 70 60 { ¥ ∞

ε ]

酬拠

10 0.2 0.4 0.6

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08 図7 酸素,窒素の吸着平衡 (-790C) 表 4 政策,窒素の吸着量 試 料 Q02 QN2 Rs [mg/gJ [mg/g]

[

一]

ジャトロファ 炭化物 18 3 6 種子 2h賦活炭 62 43 1.4 4h賦活炭 65 54 1.2 市販のMSC 72 9 8

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図8~謝舌炭の窒素吸着速度 表 5 酸素,窒素の拡散速度 試 料 D02

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D [10-6m2/sJ [10-6m2/s]

[

]

ジャト口ファ 炭 化物 0.24 0.035 6.9 種 子 2h賦 活 炭 0

.

4

8 0.21 2.3 4h賦活 炭 1.5 0.89 1.7 市販のMSC 0.19 0.98 0.19

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