幼児 の 自由遊 び中にお ける動 きの種類 について
体育毅室 はじ
め
に 幼児期の運動発達 は
,運
動経験 (運動遊び)の
多彩 さ多様 さと頻度 に依存 し,仲
間 とこころを開 いて,力
いっぱい運動 をして遊ぶ経験が乏 しい と,運
動発達のみな らず幼児期の発達全般 に,さ
ら にはその後の発達 にも影響するとぃぇるP Gallahue分はヒ トの運動発達 と年齢区分 について,幼
児期 は「反射的運動の段階」か ら「初歩的運 動の段階」 を経て,ス
ポーッに関連す る運動の前段階 として「基本的運動の段階」 にあた り,人
間 が生涯 にわたって必要な基本的運動 を身につける段階 としている。 最近の幼児 を取 り巻 く環境 は決 して満足できる状況 にあるわけでな く,居
住環境・ 家族環境 な ど 運動経験が制限 され る条件が増大 している。´また,幼
児期の運動経験の必要性が重大視 され,や
や もすると幼児スイ ミングスクールな ど幼児 スポーツ教室に通わせて足 りるとした り,幼
児マラソン や幼児サ ッカー教室 などで鍛練的な体力づ くりの傾向さえみ られる。 幼児が初 めて集団生活 を経験する幼稚園,保
育園での生活体験 はその後の運動発達 に多大な影響 を与 えることが予想 され,園
生活中の運動 について動 きの種類 と頻度,ぎ
こちない運動様式か ら洗 練化 されてい く運動の しかたの把握が幼児期 にお ける体育的カ リキュラムの検討のためには必要 と なる。 基本的動作 とその分類 については,金
子°や宮丸。らの研究があるが,体
力科学 セ ンター調整力専 門委員会9では,幼
稚園の体育 カ リキュラム内容 は,体
力要素や教育 目標でな く動作 の様式 を基準 と することを提唱 し,就
学前の幼児が獲得す る基本動作 を平衡系・ 移動系 。操作系の3類
型 に区分 し て,個
々の動作 として84種類 を示 した。 本研究 は,幼
児の保育所内でみ られた自由遊 びの内容 と,そ
こに現われた動作 の種類 とその頻度 を記録するとともに,運
動量・運動強度の測定法 としてその簡便 さと身体活動 を妨 げない という理 由か らペ ドメターによる歩数 を求 め,幼
児が 自由遊 びで用いた遊具の関連 な ど,幼
児の集団生活 に おける望 ましい身体活動のあ りかたについて考察 し,今
後の幼児教育への基礎資料 を得 ようとする ものである。 研 究 方 法 対象児が保育所登所後,直
ちにペ ドメターを右前腰部に装着 し,体
育科学センターが分類 した84 種の基本動作をもとにして再構成 した54種 (いずれ も室内遊びであ り,泳
ぎに関する動作,う
く。 およぐについては除いた)の
動作が,30分
間の自由遊び中に出現する頻度を記録分析 した。 博 ´ 本 野 油264
油野利博 :幼児 の 自由遊 び中における動 きの種類 につ いて 自由遊 び中の動作の記録 にあたっては,対
象児 に調査者が各1名つ き,対
象児が注 目されている ことを意識 しないよう遠 くか ら観察するな どして一定 の配慮 をしなが ら,具
体 的遊 び内容 とともに 動作の内容 を言語 に置 きかえて,録
音再生す る方法 を とった。(録音する際に3名
の調査者 は,54種 の動作 を統一 しなが ら予備調査 を実施 し,動
作の見方 についての熟達 をはかった。) 測定期 日 昭和61年5月20日 (火)雨
・22日 (木)曇
。23日 (金)晴
8月27日 (水)晴
。28日 (木)晴
・29日 (金)晴
■月26日 (水)雨
・27日 (木)晴
・28日 (金)曇
計 9日 間 場所 鳥取県倉吉市立上灘保育所 対象児 保育所担当保母 の主観的 日常観察 によ り行動的で活発な活動がみ られる活発児,一
般的な普 通児,静
的遊びを好 む不活発児の男子3名を抽 出 した。 活発児0.Y(S.55.4.14生
第2子
) 普通児H.Y(S.55.8,5生
第3子
) 不活発児M.Y(S.56.1.9生
第3子
) 対象児の保護者 に幼児の保育歴,保
育所入所 までの主な養育者,家
庭での身体活動状況,両
親 の こどもへの身体面 に対す るかかわ り方,運
動 に対する関心 などの項 目についての質問調 査 もあわせて実施 した。 ペ ドメター(YAMASA製
) 対象児の右前腰部 に装着 し,カウン ト数か ら勝部°の基準により運動量,運動強度 を評価 した。 結 果 と考 察(1)自
由遊 びの内容 対象児が 1日 1回30分間,計
9回の観察でみ られた遊 び内容 を表 1に まとめた。 午前9時
前後 に登所 し,そ
の後の30分間の 自由遊 びの観察であるが, 3人
の間 には共通の遊 び も み られるが,同
じ遊具 を使 ってのあそびで も,単
純 なすべ り台遊びか,す
べ り台 を利用 したおにあ そびなどであるか,大
型積木 を移動 させ組 み合せた り,積
み上 げるだけの構成遊 びか,積
みあげた 積木 を利用 して立体空間での「 とびお りる」「 とびわた り」などのダイナ ミックな運動遊 びか,壁
を 相手の単純 なボール蹴 りであるのか,サ
ッカー型のゲームに発展 しているのか,活
動内容が単独の ものか,複
数人でされた ものかの違 いが不活発児 と活発児の相違 として記録 された。 屋外での自由遊 びが制限 されていたため, 9回
の観察 は総て屋内遊び とな り,ブ
ラ ンコや砂場遊 び,ジ
ャングルジムでの遊びを観察することはなか った。 このため屋外遊 びで予想 され るブランコ を「たちこぐ」「すわ りこぐ」,砂
場 を「ほる」「や ま・ かわをつ くる」,ジ
ャングル ジムを「つたい のぼ り 。お り」「 くぐりぬけ」,鉄
棒 での「 まえまわ り」「 うしろまわ り」「 さかあが り」「 とびお り」 「 けんすい」 な どの動 きが経験できない ことにな り,雨
天時や積雪で屋外遊具の使用不可の 日が比 較的多い とされ る,山
陰地方における冬期間の運動遊 びで遊具・施設 などの運動環境 について配慮鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第30巻 第
2号 (1988) 265
されな けれ ばな らない こ とが考 え られ る。 不活発児 は同年齢 (同級生)の
者 と遊 ぶ よ り年下 の未満児 の クラスに出む き遊 ぶ とい う状 況 が, 2日間 にわ た って み られ,動
作 の未熟 さ,遊
びの幼 さ とい う面 に相互 に影響 してい るの で はないか と考 え られた。(2)ペ
ドメターによる歩数 について ペ ドメターによる歩数 と勝部による運動量 について表2に示 した。 ペ ドメターの歩数による幼児の運動量。運動強度 について勝部のは歩数を運動量の指標 としなが ら, 心理的満足度 について ものべ,宮
丸0,油
野9は遊 ぴの中の歩数 と心拍数 との関係 を報告 してい る。 表1.幼
児 の 自由遊 び中 に観 察 された主 な活動内容測定月 NIo 不活発児
(M.Y)S56.1.9
生 普通児(Ho Y)S55.8.5
生 活発児(O.Y)S55。 4.14 生5 月 ユ ・保育教材の「 ことり」つ くり(R) 切紙細工 (ほとんど歩かず定位置のまま) ・保育教材の「 ことり」つ くり(R) 切紙細工 ・走 る
(P)
・ブロック遊び (R) ・保育教材の「 ことり」つ くり(R) 切紙細工 ・ 追いか,テっこ(R) ・ ボール遊 び (P) 。すべ り台,平均台遊 び ボール け り(P) すべ り台 を利用 した鬼 ごっこ(P) 移動車 を押 し歩 く(P) ・ ボール遊び (サッカー型) ・ 移動車 を乗 りまわす (P, ば 耐 3 ・ 移動車 に友達 をのせ押す (P) ・ すべ り台,平均台で遊ぶ (P) (すべ りお りることの他逆方向か らのかけあが り) 。すべ り台を使 っての鬼 ごっこ(P) 。少林寺攀法 ごっこ(p) 8 月 4 大型積木で構成遊 び (P) 大型積木で構成遊び (P) ・ トランポ リン(P) 。大型積木で運動遊び (P) 5 ボールけり(P) (壁にむかってける相手のいない 一人遊 び) 大型積木で構成遊び (P) なわ とび (P) すべ り台遊 び (P) 。大型積木で構成遊び (P) 6 かけっこ(R) (未満児の保育室で未満児 と遊ぶ) 。大型積木,大型 ごみ箱の上にの り 遊ぶ ・観察者 をたた く(R) ・ 大型積木 (友達のつ くった)で運 動遊 び (P) ・ プロレスごっこ(ままごと用 クッ ション) H 一月 7 ボールけ り,ボールつき (壁にむかってける一人遊び) ・大 きなボールを使 って乗 る,ころ がす (P) 。お絵かき (R) 。大 きなボールを使 って乗 る, ころ がす (P) 。お絵かき(R)
‐ 。キャッチボールH.Yが相手 (P) 。お絵かき(R) ・ キャッチボールM.Yが相手 (P) 。お絵かき,ブロック遊 び (R) ・ サ ッカー遊 び (P) 。キャッチボール (P) 未満児 の保 育室 で未満児 と遊 ぶ (R) ボールつ き(R) 粘土遊 び (R) すべ り台で遊ぶ ボールころが し P P266 油野利博 :幼 児の 自由遊 び中における動 きの種類 につ いて 回数 5 10 15 20 5 10 15 20 5 10 15 2 おきる たつ・ たちあが さかだちす る かがむ し ゃがむ 動1上 系I下 の 1動 動I作 とぷ"とひこす とひつく あがる とびのる とびおりる お りる スキ ツプ ホ ップする クステツプ ワ,レツする ギャロ ップする 図
1
動 きの種類 と出現度数1回
30分間の観 察 3日 間の平均 (自由遊 び)鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第30巻 第
2号
(1988) 267
測 定 項 目 と 期 日 不 活 発 児 (M.Vl ュ穏囃 rH 勁 き の 種 類 時 期 些 乳lp■
520
0 15 作 系 効 作 荷 重 動 作 つ ぐ 月 月 日 5 8 ” きさえる 月周 月 け 8 H │ まこぷ 意こびいれる 月 月 月 5 8 H ― もつ もちあける もちかえる 月 月 こぐ (プランコ) 月 月 月 5 8 H十
おこす ひっは りおこす 月 月 日 5 8 H おす るしだす 月 月 月 0 8 m 5 停 「 おさえる おさえつける 月 月 白 5 8 , 1 ふ りおとす つきお とす 月 月 日 おぷ う おぶさる 月 月 腕 荷 室 動 作 心ろす )か えておろす 月 月 月 5 8 ■ もたれ る もたれかかる 月 月 月 5 8 H 一 B 日 一 捕 揺 動 作 つかむ つかまえる 月 月 月 5 8 H うける うけとめる 5月8月 らてる よけあてる 月 月 日 5 8 ﹁ いれる な けいれる 5 3 H わたす 月 月 日 5 8 ・1 す わ ま す る り お ふ ふ ︶ 5月 8月 11月 ころがす 月月 月 b 8 H Щ ユる 月 月 日 5 8 ︲1 攻 撃 的 勤 作 たた く うつ・ うちぁげる 月 月 日 5 8 ︲1 くすす たおす つ く 5月8月 5-ける け りとばす 5月 8月 2 伸 ひく ひつばる 5月 8月 11月 なける な けあげる 5月 8月 あたる ぷつかる 8月 11周 しばる しば りつける 月 月 自 図1(つづ き)268
油野利博 :幼児 の 自由遊 び中における動 きの種類 につ いて│
また,勝
部°は遊び と心拍数の関係から運動量の区分基準を75歩/分
以上 を大,74∼
40歩/分
を中,1 39歩
/分
以下 を小 と示 し,園
生活中の平均値 は「小」で, 5歳
児が,い理的に満足す る下限 は,60歩
/
十分で20分間程度持続 させて遊 んだ場合であると報告 してい る。 本測定の各30分間の値 と各月
3回
の平均歩数 は表2の通 りで,歩
数 による運動量 「大」 は活発児 に3回出現 し不活発児,普
通児 は各1回で,運
動量「小」の出現 した遊びは,い
ずれ も「切 りがみ・ ねんどあそび」の保育室での もので,不
活発児 は230歩,活
動児で も1000歩以下であつた。 9日 間の30分の平均歩数 は不活発児では1482.2± 550で 49.4歩/分
,普
通児 :1572.2±594で 52.4 歩/分 ,活
発児 :2113.0±567で 70.4歩/分
で3児
とも「中」の運動量の範囲内であつたが,活
発児 と不活発児・ 普通児の9回の平均値間 には5%水
準で有意 な差が認 め られ,あ
きらかに活動量 に差 があった。 表2.ペ
ドメター に よる歩数 と運動量 NoぐM.
稀
η
期
普 通 児 *(H.Y)
活 発 児 * (0。Y)
5月20日 5月22日 5月23日 5月 平均230
(7.6)1800
(60.0)1950
(65,01326
(44.2) /Jヽ 中 中 中 0 0 0 0 0 0 3 0 闘 ぐ18 . H ぐ7. . 4 2 ぐ80 , 7 0 ぐ56 . /」ヽ 中 大 中 0 0 0 0 0 0 3 0 9 2 く30 . 0 4 ぐ68 . 3 0 ぐ76 , 7 5 ぐ58 . /Jヽ 中 大 中 8月27日 8月28日 8月29日 8月 平均1250
(41 6)1200
(40,0)2300
(76.6)1583
(52.0) 中 中 大 中 0 0 0 0 0 0 6 か 3 5 く45 . 7 0 ぐ56 . 8 3 ぐ6. . 6 2 ぐ54 . 中 中 中 中2200
(73.3)1660
(55.3)2010
(67.0)1956
(68.5) 中 中 中 中 且月26日 11月27日 11月28日 11月 平 均1590
(53.0)1420
(47.3)1600
(53.3)1556
(51.8) 中 中 中 中1970
(65.6)1530
(51.3)660
(22.0)1336
(44 4) 中 中 /1ヽ 中 7 D O じ 0 0 7 0 3 0 . 3 1 . 2 は 1 ■ 1 9 0 10 7 ① 6 偲 中 大 大 大 全 体 平均 S. D 中 2 0 0 8 5 9 . 4 5 は 中 2 4 0 7 9 2 . 5 5 6 中 3 7 0 1 6 “ 1 5 停*:勝
部の基準():歩
/分
t検定 P。 。5=1746
不 :普t=-0.334
不 :活t=-2.391孝
普 :活t=-1.972*
鳥取大学教育学部研 究報告 教育科学 第 30巻 第
2号 (1988) 269
(3)出
現動作 の種類 について 図1は,体
育科学セ ンターが示 した84種の動 きの うち,比
較的類似す る動作 を平衡系9分
類,移
動系18分類,操
作系27分類の合計54分類 にまとめ, 5月 , 8月 ,11月
に各 3日 にわた り3回 , 1回
30分間の観察で記録 された動作 を,平
均 して月別 に示 した ものである。 対象児,に共通 して現われた頻度の高い動作 は, 9回
分の平均でみると「お きる 。たつ 。たちあが る」が42回 ,「かがむ 。しゃがむ 。すわ る」が35回 ,「とぶ, とびこす 。とびつ く 。とびあが る」が 44回 ,「ある く」が265回 ,「は しる 。かける 。かけっこする」 を338回 ,「とまる」が27回であった。 しか し,操
作系の動作 においては「 もつ 。もちあげる 。もちかえる」が15回 ,「おす 。お しだす」 を 15回 ,「ける。1)り とばす」 を16回示 した不活発児 を除 き, 3人
共通 して頻度が10回以上現われた動 作 はなかった。 表3は平衡系 を9,移
動系を18,操
作系を27,合
せて54に分類 した動作が, 1回
30分 の観察中に 1度で も出現 したか どうかをまとめた ものであ る。 活発児 はいずれの系の動作 において も,ま
た何れの月において も動作全体(3系
)の
70%以
上の 出現がみ られたが,不
活発児では平衡系,操
作系 において,ま
た 8月 。11月及び全体 で50%未
満の 出現状況であ り,動
作の種類の貧困 さが ここで もあきらかである。普通児 は移動系が70%以
上の出 現率であるものの操作系の動作 において50%未
満の出現状況 にあ り,偏
りのある動 きの状態である ことがわか る。 表3.動
作 の分類種 別 出現度数 (各月1回
30分 ×3日) 不活発児 普 通 児 活 発 児 測定月 5月 8月 11月 平 均 5月 8月 11月 平 均 5月 8月 11月 平 均 平衡系の動作 9分類%
4 4 40
44.4 57 3 5.0
55.67 8 7,7
85.6 移動系の動作 18分類%
1 0 10.7 59,4 1 2 1 4 13.3 73 9 1 7 16.3 90.6 操作系の動作 27分類%
1 1 12,0 44.4 1 2 12.7 47.0 2 3 20,6 76.3 合計(54)
%
55,6 46.3 46.3 49.43 0 2 5 2 5 26.7 2 9 3 5 2 9 31.0 53.7 64.8 53.7 57.4 4 7 3 9 4 8 44.7 87 0 72.2 88.9 82.7 図2は活発児の出現動作回数 を100%と して,普通児,不活発児の動作出現割合 をみた ものである。 不活発児の動作出現率 は平衡系の動作で35.9%,移
動系の動作で49.8%,操
作系の動作 では73.3%で
あるが,操
作系動作 を内容別 にみると「 もつ 。もちあげる。もちかえる」「おす 。お しだす」「 け る 。け りとばす」の出現度数が きわめて高 く,操
作系動作 としての出現割合 を高 めただ けで,動
作 に偏 りがあることになる。 普通児 については操作系の動作全体で27.1%,荷
重 。脱荷重動作では31.1%,捕
捉動作 では25.0%,攻
撃的動作 で24.5%と何れの動作で も低 レベルであ り,動
作内容の乏 しい状態であ った ことが うかが える。油野不」博:幼児の 自由遊 び中における動 きの種類 につ いて I平衡系の動作
H移
動系の動作 上下移動動作 水平移動動作 回転移動動作 Ⅲ操作系の動作 荷重動作 脱荷重動作 捕捉動作 攻撃的動作 r////////2・ 口 ‐‐ :不活発児 膿I壬撃■1■・:普
通児 図2
活発 児 と普通児・ 不活発児の動作出現回数の比較 (活発児 の出現 回数 を100%とす る) 表4は,不
活発児の観察で 9日 間の出現頻度が5回
以下の動作 について抽出 し,普
通児・活発児 と比較 した ものである。 不活発児 は平衡系の9分
類の動作中5分
類,移
動系18分類 中7分
類・操作系27分類中12分類,全
体で54分類 の動作中24分類の動作が5回以下の出現 回数であ り,動
作全体の44.4%を
占めている。 また,12分
類 の動作で出現回数が0で
あつた。 不活発児 において,出
現回数が5回以下であった24分類の動作 を活発児の例でみ ると,出
現 回数 は13回∼68回の間で平均回数 は33.3回とな り,不活発児がわずか1.5回であつた ことと比べ多彩 な動 きの状態であった ことが うかがえる。普通児 において も出現動作が5回以下であつた ものは12分類 で,全
体 の22%を
占め,平
均出現回数は8.8回であ り,出
現回数が10回以下の動作 に枠 を拡 げる と, 操作系の動作 において27分類のうち16分類で59%に
もなる。 不活発児 と普通児の出現回数の共通 して少ない動作である「お う。おいかける」「かわす 。とこげる。 にげまわ る」「お こす 。ひっぱ りお こす」「おぶ う 。おぶ さる」「つかむ。つかまえる」「 うける 。う けとめる」「わたす」 な どは2人又は,複
数人で しかで きない動作であって,遊
び友達,遊
び相手, 篭 び仲間の多少が動作の出現 に影響 していることが うかが え,活
発児のように遊び仲間の中心的存 在であるとき,種
類 。頻度 において も高い値 を示す ことになる。 表5は出現動作 回数 を月別,動
作内容別 に示 した もので,活
発児は動作の種類,頻
度 において5鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第30巻 第
2号
(1988) 271
月 よ り11月に は増加 した ことを示 したが,不
活発児 と普通児 は動作 の種類 。頻度 とも増加 の傾 向 は み られなか った。 表4,
自由遊 びの中 で特 に少 ない動作 (30分×9回の遊 びの中で,数
字 :出現 回数 ) 系 動作
名 不活発児 普 通 児 活 発 児 系 動
作
名 不活発児 普 通 児 活 発 児 平 衡 系 さかだちする まわる る す た わ わ る ぶ ま る き が ろ る り た る ろ こ の の わ あ ラ ﹂ ね 0 2 2 19 14
45
28
29
39
33
操 作 系 か つ ぐ す つ す す ろ る う る と と お れ る ・ え お お す え る い す る け く さ り き ア ﹂ か れ げ た て つ た さ ぶ つ お か い な わ あ ぶ た ひ く 。ひっぱる おぶ う おぶ さる おさえる うける うけ とめる 1 0 6 2 0 018
5 612
313
12 43 33 49 13 14 74 40 23 15 14 68 移 動 系 はう ふむ スキップ ホ ップ 2ス テ ップ ワルツステ ップ か くれ る くぐる 。もぐる はいる はい りこむ 748
29
3 015
17
30
27
39
27
34
13
56
平 均 1.5 8.333.3
表5.動
作 の 出現 回数 (3回の合計) 児 象 対 不活発児 普 通 児 活 発 児 動作名測定月 5月 8月 11月 5月 8月 11月 5月 8月 11月 平 姿勢変化 87 119 65 移 動 系 の 動 作 上下動作 水平動作 回転動作 81 27 22 1484 1222 1021 50 10 34 112 185 89 2306 1709 1596 74 107 51 80 211 56 1575 2273 3184 129 183 243 合 計 1615 1259 1077 2492 2001 1736 1784 2667 3483 操 作 系 の 動 作 荷重動作 脱荷重動作 捕捉動作 攻撃的動作 204 88 32 14 2 3 59 8 7 65 55 159 12 63 10 18 4 5 16 4 37 14 11 65 69 62 118 42 21 42 40 16 175 88 47 232 合 計 342 153 201 239 146 567 総 合計 平均 2055 1448 1325 685 483 442 2639 2202 1918 880 734 639 2181 3001 4208 727 1000 1403
272
油野利博:幼児の 自由遊 び中における動 きの種類 につ いて 出現 した動作回数 を総合計 してみると,活
発児 は■月 に平均で 1日1403回を示 し,不
活発児の442 回に比べ3倍
以上 もの出現頻度であつた ことを示 している。 活発児の11月の観察で比較的多 くみられた「 うける 。うけとめる」「あて る 。なげあてる 。ぶつけ る」「わたす」「 ける 。け りとばす」 については, 5月
・ 8月 においてなかった手具 ボールが プレイ ルームにおかれ自由に使 うことができたことが大 きな理由 と考 えられ る。 不活発児 において も自由にボールが使用で きる状況 にあったが,「あてる 。ぶつける」「なげる」 「 うける 。うけとめる」の動作 は増加す ることはなかった。 この ことは遊ぶ相手,仲
間のいない1 人遊びであったためであ り,ボ
ール遊 び も壁が相手の「壁 けり」であった り,「ボールつ き」という 変化に乏 しい運動であって,遊
びが持続 しなか った こと,ボ
ール を使 ってのゲームに発展 しなかっ たことが理由 として考 えられ る。(4)保
護者へのアンケー トか ら 両親の運動に対す る考 え方,家
庭での遊び場所 な どは,こ
どもの運動発達 に影響す ることは十分 予想 され る。今回の調査で は対象児が3名であるため一般化することは困難であ り,不
活発児に他 の2人と異なる状況がみ られ,保
育所での活動 と合せ考 えると納得す る部分 もあるが,今
回は傾向 をみるに とどめた。 不活発児の両親 は,過
去で も運動 は得意でな く,現
在 も特別 な運動 はなされてな く,幼
児 と積極 的に運動遊 びな どの特別 な身体活動 はされていないなど運動 に対 して消極的態度であった。 家庭での遊び環境 で も普通児・ 活発児 は,近
くに自然豊 な山 。小川 。田や公園があ り,比
較的遊 び環境 として利用 され るに対 して,不
活発児の遊 びは自宅周辺 という状況であった。 対象児 には姉が1人又 は2人
,祖
父母,両
親 とい う家族構成であったが,活
発児 において家庭で も,遊
び相手 も姉以外 に友達の家に往 き来 して よ く遊んでいる状況であった。 保育歴で も活発児 は5年
,普
通児及び不活発児 は3年
と違 いがみ られ,早
くか ら保育所での集団 生活 して きたことも行動面 に影響 していることをうかがわせた。 また,不
活発児 は 1月 の生れ月で いわゆる早生れであ り,この時期の 6カ 月は運動能力 に著 しい発達がみ られ るЮl'こ とか ら活発児・ 普通児 との行動 に差があ らわれた理由 とも考 えられ る。 と め1.遊
具 を使 う遊 びにおいて,活
発児 は遊具の単純 で直接的な遊びのみでな く,遊
具 を取 り込んだ 他の遊びに発展 (大型積木の構成遊び→構成 した積木での運動遊び 。すべ り台→すべ り台を使 っ ての鬼遊 び 。ボール蹴 り→サ ッカー遊び)さ
せ,遊
びが よ り複雑化 される傾 向にあった。2.遊
具の有無が,動
きの出現の有無 となってあ らわれ,室
内で もプランコ・ ジャングルジム・ 鉄 棒 などを設置 し立体空間での遊 びを引 き出す手立 てや,幼
児が 自由に使用で きる各種 ボールを準 備する必要があることが示唆 された。3.活
発児 と普通児・ 不活発児の自由遊び中の歩数 に有意 な差が認 め られ,担
任保母 の主観的観察 の活発,不
活発状態 を数量的把握がで きた。4.自
由遊び中の動 きの出現 は,種
類では活発児で全体 の80%程
度,不
活発児 は50%未
満 であ り, なかで も操作系の出現 は普通児 も50%以
下であ り,偏
りのある動 きの状態であった。5.活
発児の動 きの出現頻度 を 1と した とき,不
活発児 は操作系の動作 で偏 った動作 のため73%を
鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 30巻 第
2号 (1988) 273
示 したが,平
衡系・移動系の動作 いずれ も50%以
下であ り,普
通児の操作系の動作 の出現回数 は30%以
下であった。6.30分
間9回
の自由遊びの観察で,不
活発児で は出現回数5以下の動 きが54分類 の動作 の うち44.4%を
しめ,「さかだちする」「 まわ る」「の る 。の りまわす」「 はう」「ぶむ」「スキ ップ・ ホップ」 「 2ス テ ップ・ ワルツステ ップ」「かつ ぐ」「 ささえる」「ぶ りお とす 。つ きお とす」「お こす 。か かえおろす」「いれ る 。なげいれ る」の出現 は0で
あった。7.ボ
ール遊 び中に多 くみ られ る「いれ る 。なげいれ る」「わたす」「あてる・ぶつける」「たた く・ うつ」「 うける 。うけとめる」「 ころがす」「なげる。なげあげる」などの動作の出現頻度 は,遊
び が複数人であ るか単独行動で左右 され,遊
び友達,遊
び相手,遊
び仲間が影響 していることが考 えられ る。 本稿をまとめるにあたりご協力いただきました倉吉市上灘保育所のみなさん,測定にあたって く れた足羽由紀子・樋口美恵・藤原佳代さんに記 して感謝いたします。引
用
文
献
1)宮
丸凱史:幼児期 の運動発達。女子体育30(8):4-9。
(1988)2)Ganahue,David L:Developmental Movement Experiences for Children,JOHN WILEY&SONS Inc., 5-9(1982)