交通まちづくり
∼暮らしやすいまちをめざして∼
豊田都市交通研究所 所長
原田 昇
豊田都市交通研究 研究成果報告会・特別講演 2018年7月4日 豊田産業文化会館 小ホール略歴: • 1955年,愛知県生まれ. • 名古屋大学建築卒、東大都市工修士・博士修了、工学博士. • 東京大学工学部助教授,オックスフォード大学客員研究員,東京大学新領域創成科 学研究科教授を経て,現職(東京大学大学院工学系研究科教授). • 東京大学工学部長・工学系研究科長,副学長,国の社会資本整備審議会委員を歴任 • 学内では,まち大コース長,復興デザイン研究体総括,IOG運営会議議長を併任 • 学外では,TTRI所長,日本交通政策研究会代表理事(都計学会/交通工学研・元理事) • 「交通まちづくり」,「都市交通計画」,「都市輸出」など出版, • 土木学会論文奨励賞、都市計画学会論文奨励賞など多くの賞を受賞 • 東京大学まちづくり大学院,復興デザイン研究体,GLAFSにおいて,専門家育成を 手がける 研究テーマ: 1.交通まちづくりの政策研究 仙台都市圏交通計画調査,那覇市交通計画, スマプラ小委員会 2.課題対応型の交通行動分析 貨物車の高速道路利用促進,若者の交通行動解明, 同伴活動科研 3.地方都市におけるスマートモビリティの社会実験研究 黒部モデル,道の駅×自動運転, Ngrm研究会
原田昇(都市工学科教授)
オランダ国王を 迎える原田副学長TTRI所長としての思い
• 「交通まちづくり」をリードする豊田市において
その目標の実現に
事実や因果関係の解明を通じて貢献する。
• 多様な地区を包括する豊田市において
さまざまな交流を生み出す仕掛けを学び
その改善に貢献する。
・豊田都市交通研究所の知名度を上げる。
1. 問題意識
移動⇒活動⇒暮らし
2. 「交通まちづくり」とは
暮らしやすいまちとは何か
「居場所」×「新しい交通サービス」
3. 「居場所」
気の合仲間と好きなことができる「居場所」
4. 「新しい交通サービス」
活動ニーズに合わせた低廉で便利な交通サービス
5. おわりに
本日の話題
問題意識の変化「移動⇒活動⇒暮らし」
移動
交通弱者
交通行動分析(
頻度・
目的地・手段・経路)
活動
買物難民、通院難民
活動交通分析(時空間制約×施設利用×移動)
暮らし
暮らしやすいまち
なぜ、人は移動するのか
(誰と、何を、いつ、どこで、どのように)
交通の基本的役割
〇住み、働き、憩うという生活を支える
〇医療や教育のサービスを享受できる
○都市を支える
(物の動き)
「人間らしい生活」
を支える
交通サービスを提供すること
通勤、通学、買物、通院により職を確保し、学び、生活
に必要な物を入手し、健康を維持し病気を直すという
「人間らしい生活」を支える交通サービスを提供する
ヴァンソン藤井
実はフランスは
日本を超える「クルマ社
会」
である。しかし、人口
15万人以上の
地方都市の中心部には人が溢れ、活
気に満ちており、「歩いて楽しいまち」と
なっている。フランスには、
コンビニや
宅急便はない
が、それらを補って余り
ある豊かな暮らしが用意されている。
ストラスブール「徒歩憲章」
「クルマが出現した
20世紀に我々は大
きな自由を手に入れたが、同時に『人と
交わる』機会が少なくなった。クルマの
登場で、人々は自分の閉鎖空間に閉じ
こもり、そこに紛れ込むよそ者には厳し
い目を向けるようになった。
まちを歩き
、もう一度、市民がすれちがう『都市空
間』を取り戻そう
。」
つまり、
「人は歩き、人と出会い、自分とは違っ
た文化や考え方をもつ他の市民を尊重
しながら民主主義が育ってきた。」
フランスの交通まちづくり
Robert D. Putnam
様々な人と人とのつながり
=《社会的関
係資本》
(Social capital)
が、幸福な暮ら
しと健全な民主主義にとっていかに重
要かを膨大な調査データから立証した
全米ベストセラー。
「
20世紀後半の三分の一を通じてアメ
リカでは、社会的つながりと、市民参加
に関して重要な問題が発生した。」
その要因として判明したものは
10 時間と金銭面のプレッシャー、共働きなど 10 郊外化、通勤とスプロール現象 25 電子的娯楽、とりわけテレビ(当時) 50 世代的変化、関与の少ない世代への置換同じ社交でも「公」から「私」への急激な
偏りが進んだ結果、人づきあいがその
まま共同体を支える糧ではなくなって、
社会全体を枯渇させ始めている。
(生井英考、日経新聞「読書」2006/5/28)Bowling alone
; The Collapse and revival of American community, 2001/8/7「寂しい社会」
大野秀敏
Fiber City
日本の状況に即して俯瞰的にみれば
、高齢者だけでなく全世代で単身者が
増え単身世帯の比率が高くなっている
こと、グローバル経済によって収入格
差が拡大し平等な社会が崩壊し始め
ていること、自殺率が高いこと、近代
以前の社会から引き継いだ地域コミュ
ニティも近代的郊外コミュニティも弱く
なっていることなどを特徴とする。
一方、個人の生活的視点から見れば
、他人との接触が少なく、他人からの
精神的ならびに物資的支援を受け入
れられない孤立した孤児が増える社
会である。
こうした社会的傾向には、
都市空間の
編成そのものが、そのような方向を強
制していることがとりわけ重要である。
「小さい交通」
Designed by 根津孝太 https://whill.jp/ 足助 http://www.city.toyota.aichi.jp/topics/ 1022503/1022681.html出典; http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9502.html
社会的孤立の状況(OECD諸国の比較)
友人、同僚、その他宗教・スポーツ・文化グループの人と 全く、あるいはめったに付き合わないと答えた比率 結果は、アジア的で伝統的な 共同体意識が残っているとも 見られる日本で、もっとも社 会的孤立度が高く、逆に、犯 罪率が高く、自殺、同性愛、 安楽死を許容する程度が非常 に高い、欧州的な社会意識の 1つの典型をなすようなオラ ンダで社会的孤立の指標は最 も低い 日本の社会的孤立度の高さの 理由については、2つの見方 が成り立つ。ひとつは、伝統 的な社会の絆が戦後の経済発 展の中で失われてきたが新時 代に順応したコミュニティが 形成されていないためとする 見方、もうひとつは、社交が なくとも生活に支障が生じな い経済や社会が成立している ためとする見方である。 注. 第一の見方は、この図を引用してい る、広井良典、「持続可能な福祉社会 −[もう一つの日本」の構想」、ちくま 書房、2006年に詳しい。2. 「交通まちづくり」とは
「暮らしやすいまちの実現に貢献する交通計画
の立案・実施・戦略展開」
まちづくりと一体となった交通計画の立案と実現
• 公共交通を軸とするコンパクトシティ(富山市)
• 観光地と一体となった鉄道の再生(京都丹後鉄道)
暮らしやすいまち
「居場所」
(土地利用計画)
交通サービス
(交通計画)
「暮らしやすいまち」とは、若者も、子育て世帯も、
働き盛りも、高齢者も、男性も女性も、生きていく
ために必要な活動は勿論、それに加えて、それ
ぞれの人生を豊かにする、個人の望む活動を居
心地のよい仲間たちと共に展開できるまち。
「暮らしやすいまちのイメージ」を議論し、それを
実現するために施策の方向性を合わせ、失敗を
繰り返しながらも、戦略的に粘り強く進めていく。
幸せヘの鍵は、「居場所」×「新しい交通サービス」
暮らしやすいまちに貢献する交通まちづくり
気の合う仲間と好きなことができる「居場所」 活動ニーズに合わせた低廉で便利な交通サービス結 果
政策目標
と 目標指標/水準 <X期> 戦 略 プログラムの 実施 問題と機会 ・混雑 ・大気汚染 ・事故 ・人的資源 ・財源 ・技術 ・より広い政策問題参 加
・外出困難「将来像」の共有
関係者の「同意」
「推進コア」の粘り
「交通まちづくり」の計画プロセス
明るい将来 1. 暮らしやすい都市構造
上図の出典; 富山市資料「集約型都市構造」
・公共交通を軸とする
コンパクトシティ
・楽しく歩ける「都心」
「公共交通の上下分離」
・財源確保の仕組み
・「契約」制度
「低廉な公共交通」
・ITを活用したSMN
「社会的費用の低減」
・環境プライシング
Hospital-Home Hospital community 24時間訪問介護と ホームヘルパー 住居 GP 社会参加 長距離診断 IT ネットワーク 健康情報 薬局 主治医 患者学 買物 外食 レクレーション 娯楽 統合されたヘルスケアシステム 交通サービス
明るい将来 2. Aging in Community
出典; 東京大学高齢社会総合研究機構・資料
Holt-Lunstad J1, Smith TB, Layton JB. Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review. PLoS Med. 2010 Jul 27;7(7):e1000316. doi:10.1371/journal.pmed.1000316. から引用改変
様々な活動の複数実施とフレイル(虚弱)へのリスク
フレイルに対するリスク
(年齢、性別で調整)n=49,238(自立高齢者)
*p<0.001 1.0 1.5 2.1* 2.2* 5.4* 5.9* 6.4* 16.4* 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 n 5,212 385 22,688 1,476 246 9,411 4,150 5,670身体活動
○
○
○
×
×
×
○
×
文化活動
○
×
○
○
×
○
×
×
ボランティア・
地域活動
○
○
×
○
○
×
×
×
(吉澤裕世、飯島勝矢. 2017年 日本老年医学会学術集会発表、論文準備中)運動習慣なし
他の活動あり
運動習慣あり
他の活動なし
豊田市交通まちづくりビジョン2040・行動計画
計画[策定年月] 期間 基本理念・ 将来像 第8次豊田市総合計画 2017∼2024 つな がる つく る 暮ら し 楽し むま ち ・ と よ た [2017.3] 豊田市都市計画マ ス タ ープ ラ ン 2018∼2027 つな がる つく る 暮ら し 楽し むま ち ・ と よ た [2018.3] 豊田市公共交通基本計画 2016∼2025 様々な 暮ら し 方を 質の高い多様な 移動で 支え る ま ち の実現 [2016.3] 豊田市交通安全計画 2016∼2020 交通事故のな い社会を 目指し て [2016.8] 豊田市の幹線道路網計画 [2017.4] 2017∼2024 こ れま で の広域交流・ 都市間交流を 支え る 道路、 市域の 一体性を 高める 道路に、 災害時における 迅速かつ確実な 緊急活動を 可能にする 緊急輸送道路網等を 加え 、 防災・ 減災力の向上、 都市の強靭化を 図り ま す。 と よ た快適自転車プ ラ ン [2015.5] 2015∼2017 歩行者・ 自転車・ 自動車が互いに意識し 譲り 合え る 安全 で 快適な 利用環境を 整備し 、 人と 環境にやさ し い自転車 のま ち 豊田の実現を 目指し ま す 豊田市環境基本計画 [2018.3] 2018∼2025 私たち は、 「 W E LOVE と よ た」 を 合言葉に、 “豊かな 自 然の恵み”と “先進的な 技術”を 活かし て 、 将来にわたっ て 環境にやさ し く 、 多様で 豊かな 豊田市を つく り ま す。 第2次豊田市環境モ デル都市 2014∼2016 ア ク シ ョ ン プ ラ ン [2014.3] 中期30、 長期 都心環境計画 2016∼2027 森と 矢作川に育ま れた祝祭・ 交流空間の創造 [2016.3] 第3期豊田市中心市街地活性化 2018∼2023 緑の環境都市軸(ス タ ジ アムアベニュ ー)の創造 基本計画[2018.3] 人と 環境と 技術が融合する 環境先進都市「 ハイ ブリ ッ ド ・ シ ティ と よ た」 交通 環境 関 連 計 画 都心 上位 計画3. 「居場所」
魅力的な都市空間を創生するため、道路空間
の多様な利用が進んでいる。
・ ニューヨーク タイムズスクウェア蝶ネクタイ
(2010-18)
・ パリ
七大交通広場のグリーン化
(2016-20)
・ ロンドン
「街路と道路に関するビジョンと方向性」
・ サンフランシスコ
Parklet,「歩行者戦略」「Walk First」
・ ポートランド
The City repair project, Intersection repair
・ ソトノバ
(http://sotonoba.place/category/street)
これらは、「気の合う仲間と好きなことができる
居場所」を創ろうとする時代の潮流である。
The RTF vision for London’s streets and roads
公共領域
(the public realm)を改善し、都市街路上で展開され
るすべての活動に対してより良くより安全な場所を提供し、生活
の質を改善する。
「移動
(movement)」機能と「場所(place)」機能の組合せによる
新たな道路機能分類
を採用。
出典;Roads Task Force, Executive summary “The vision and direction for London’s streets and roads”,2013 出典;TfL, “Station public realm design guidance”, August 2015
「場所」機能 時間を使う
Parklet
道路上の駐車スペースに一日だけ植
物や椅子を置き、オープンスペースを
つくる活動
”PARK(ing) Day”
2005年にReBarというサンフランシス
コのアートスタジオによって始まった
2009年にPARK(ing) DayがParklet
の公式な制度
”PAVEMENT TO
PARKS(=P2P) PROGRAM”’ へと発展
出典; 村山顕人、Tactical Urbanismとストリート、 20160315、ストリートデザイン・マネジメント研究会ミ ニシンポジウム 注. 錦二丁目歩道拡幅社会実験(次頁)の紹介ありP2P program: 都市空間の25%を占める道路を魅力的な公共空間へ変える
「街路イメージの再考×非動力手段の利用促進×歩行の促進と安全地確保」を図る 「我々の街路の多くは過剰に広く、無駄な空間を含んでいる」 http://pavementtoparks.org/ 出典; Sanfrancisco Parklet Manual, version2.2, 2015春豊田市 都心環境ビジョン/計画+デザインブック
出展; 豊田市、都心の未来デザインブック、平成29年10月〇都心環境ビジョン(2015年1月)
「生まれ変わる! 人・まち・ミライに誇れる都心」
〇都心環境計画(2016年3月)
「森と矢作川に育まれた 祝祭・交流空間の創造」
〇都心の未来デザインブック(2017年10月)
様々な活動やにぎわいがあちこちで生まれ、にぎわい
の風景が連続する。そんな豊田のまちなか空間。
市民を巻き込んだ ‘まちづくり’ 市民WS 市民シンポ アドバイザー会議 推進会議 あそべるとよたDay ペデ広場実証実験 新豊田駅前広場WS4. 「新しい交通サービス」
ICTを活用した新しい交通サービスが普及し
つつある。
・
SMN(Smart Mobility Network)
・
Car Club/ Car Sharing
・
MaaS(Mobility as a service)
自動運転の普及もすすみつつある。
これらは、低廉で便利な「新しい交通サービ
ス」を可能とする時代の潮流である。
オンデマンド 交通サービス オンデマンドバス 共同利用 自転車・車 エコ見える化 健康見える化 統合型利用者サービス 携帯アプリ・コミュニティサイト 配車デポ 再配置問題 モビリティデザイン 利用者 行動理論 プローブパーソン技術 ポイントインセンティブ技術
利用者行動理論を下敷きにした,環境
と健康に優しい新たなモビリティサー
ビスを実現する市民参加型の仕組みの
こと.オンデマンド・バスや共同利用
自転車などを様々な認証技術で包括的
に管理・運用するとともに,エコと健
康の見える化技術を援用することで個
人の交通行動の変容を実現する.
SMN(スマートモビリティネットワーク)
KACITEC総会20090817原田資料に原田加筆データに基づく新たな公共交通の社会実験
• 羽藤資料
IBS研究会で説明の一枚
• 二月であれば、実験の結果を追加できるはずなの
で、もう一枚いれる
28 ● ステーション (出展; 豊田市交通まちづくり推進会議(H29.11.16)資料2より抜粋) 出展; 広報とよた H291201号
世帯保有の車が自動運転になると
車を二台
一台は通勤に
一台は、学校へ
の送迎と私用に
「移動の新技術」への期待
出展; Disruptive Mobility: AV Deployment Risks and Possibilities, 20 July 2015, BARCLEYS Brian Johnson
自動運転車一台
全てをカバー
空走行(破線)
💬💬増大するはず
出展; Disruptive Mobility: AV Deployment Risks and Possibilities, 20 July 2015, BARCLEYS Brian Johnson 年間走行距離 空車による 走行距離の増加 SAV一台で9台 SAV一台、単位距離当たりのコスト 四人乗り 二人乗り 流れ図; 待ち時間1分のロボットタクシー 年間走行距離 PSAV一台で 15-18台 走行距離の 削減 四人乗り 二人乗り PSAV一台、単位距離当たりのコスト 流れ図; 待ち時間5分の連続的乗車 相乗り無し 相乗り有り
ロボットタクシー(運転手無しタクシー)
モビリティの将来シナリオ
世界八地域
出展; ITDP, Three Revolutions in Urban Transportation, May 3,2017 https://www.itdp.org/3rs-in-urban-transport/
SAV
諸都市が三種類の
技術革新を受け入
れるならば、二酸
化炭素の排出量を
80%削減できる
2050年までに3Rに
より都市の車両交
通コストは四割削
減できる。
ライドシェアリング
と再生可能エネル
ギーは、その達成
に欠かすことはで
きない
BAU
2R
3R
シ ナ リ オ の 記 述 2050年まで、 人口と所得は トレンド増加。 内燃機関の車 を増大する比 率で利用。ト ランジットと シェアドビー クルは現状の 率で利用。 EVが2030年に、 自動運転AVが 2040年に支配 的になる。た だ し 、 SOV が ほ と ん ど で VMTはBAUケー スより増大す る。 2Rに加えて、 2030年までに ライドシェア リングも普及。 バスのオンデ マンド運行。 徒歩と自転車 のインフラも 充実。 2050 年 の 道 路上の車両数 21億台 21億台 5億台 2050 年 の 二 酸化炭素排出 量 4,600 メガトン 1,700 メガトン 700 メガトン人キロ
台キロ
CO2
シェアリングサービスの無い世界
in New York
出展; UNSUSTAINABLE? The Growth of App-Based Ride Services and Traffic, Travel and the Future of New York City, FEBRUARY 27, 2017, SCHALLER CONSULTING
TNC乗客数は、2016年
秋には2015年4月の三
倍以上となった。
TNCsは、yellow cabと乗用車の台マ
イルが削減する中、過去三年間に、
ニューヨーク市全体で6億台マイルの
交通量を追加した。
登録台数 利用者数TNCs
とは、アプリベースの乗車サービス。UberやLyft等。 図1. TNCsの登録台数と利用者数、 2014年から2016年 図2. 年間走行量(台マイル、単位=百万)、 2013年と2016年2015年には、タ
クシーとハイヤ
ーの乗客の増
加は、トランジッ
ト(地下鉄とバス
)の乗客の増加
を上回り、2016
年にはこの傾向
は強まり、現在
のニューヨーク
では、乗用車以
外の移動の増
加を牽引してい
る。これは1990
年から2014年ま
で、トランジット
が牽引していた
増加からの大き
な変化である。
2012→2013 2013→2014 2015→2016 2014→2015 0 一年間の変化量(単位=百万) 地下鉄、バスからの 転換が起きている交通手段別の利用者数の変化
一年間の変化量(単位=百万) 一年間の変化量(単位=百万) 一年間の変化量(単位=百万)PAV 自家用自動運転車の影響とは
出展;
Projecting Travelers into a World of Self-Driving Cars: Naturalistic Experiment for Travel Behavior Implications, Mustapha Harb, UCB
三週間の社会実験を
行い、第一週と第三
週は通常のままで、
第二週に運転手付き
の車を導入し、その
影響を分析した。
1500ドル/世帯。
全員が、家族や友人
をエスコートするため
、彼らの利用に対応
するために、自分の
乗っていない車を使
った。これらはVMT
の増加量全体の38%
を占め、「空」のVMT
を21%増大させた。
家族利用 運転手私的利用 「空車」利用凡例
退職者1∼5 ミレニアルズ1∼4 家族1∼4出展; Mobility as a Service; Can it be even better than owning a car? ,
SAMPO HIETANEN, SAMI SAHALA, MaaS Canada montreal, Mar 9, 2016
Mobilty as a Service の目指すもの
モビリティオペレータ
ーから、
専用アプリを使って、
モビリティサービスパ
ッケージを購入して、
使用
する。
1) MaaS の提案者である SAMPO HIETANEN氏による説明
情報シェアのコストを
格段に安くしたインタ
ーネット×オープン
データベース
(原田コメント)出展; Mobility as a Service; Can it be even better than owning a car? , SAMPO HIETANEN, SAMI SAHALA, MaaS Canada montreal, Mar 9, 2016 ➤ すべての移動手段を、自分のニー ズに合わせたベストな組合せで使え るよ。 ➤ すべての操作は、同じモバイル ツールからですむよ。 ➤ しかも、請求は、月に一度、すべて 込みだよ。 モビリティパッケージ 250€/月; ➤ 地域公共交通 ➤ タクシー(Uber, Lyft等を含 む)は100kmまで、 ➤ カーシェアリングは500km まで ➤ 長距離公共交通は1500km まで ➤ シティバイクは20時間まで
出展; Mobility as a Service: A Critical Review of Definition, Assessments of Schemes, and Key Challenges, Anna-Maria Feneri, Eindhoven University of Technology, Urban Planning, 2017, Volume 2, Issue 2, 13–25 #1 MaaSの目標は、マルチモーダルな交通を束にし て、利用者のインターモーダルな移動に使いやすく することによって、公共交通の利用を促進することに ある。対象手段は、公共交通、タクシー、カーシェア リング、ライドシェアリング、バイクシェアリング、レン タカー、オンデマンドバスなどである。都市域を超え たサービスの場合は、長距離バス、鉄道、飛行機、 フェリーを含む。 特徴 1.交通手段の統合 2.タリフ 3.統合プラットフォーム 4.複数のアクター 5.技術の利用 6.需要への対応 7.登録の要請 8.パーソナライズ 9.カスタマイズ
2) SCRIPTSプロジェクトによるMaaS 12プロジェクトの整理
2012年以降実施されたMaaS実験/実装の12例を比 較整理している。12事例は、TransitApp、Optymod、 Mobility 2.0 services、SHIFT-Project100、UbiGO、 Mobility Shop、Smil、Tuup、My Cicero、Moovel、 Whim、WienMobil Labである。【料金の支払い】 利用者が自らのニーズに合わせて複数のモビリティサービスを 自由に組み合わせて使い、その料金を後から支払うというタイプのMaaSと、月ぎめ でモビリティパッケージを購入するタイプのMaaSがある。 【統合プラットフォーム】 MaaSの利用者はデジタルプラットフォーム(モバイルアプ リかウェブページ)を通して、その移動に必要な全てのサービスにアクセスし、予約 し、発券し、支払い、リアルタイム情報を入手する。また、天気予報、個人の活動 スケジュールとの調整、移動履歴レポート、請求書発行、フィードバック等のその 他のサービスを利用できる場合がある。 【複数のアクター】 MaaSのエコシステムは、異なるアクターの相互作用の上に構築 される。アクターは、モビリティの需要者(個人と企業)、交通サービスの供給者(民 間と公共)、プラットフォーム所有者である 【技術面】 モパイルコンピュータ、スマートフォン、モバイルインターネット(WiFi, 3G, 4G, LTE)などのデバイス、GPS、電子発券と電子決済、データベース管理システ ムと統合インフラ(IoT)など、が活用される。 【需要への対応】 需要応答型サービスを含むマルチモーダルなトリッププランニ ングを通して、顧客の観点から最適な交通解決策を提供しようとする。 【登録の要請】 利用者は利用可能なサービスにアクセスするためにプラットフ ォームへの参加を要請される。個人、ケース、世帯に対してアカウントが発効され 、サービス利用を容易にし、サービスのパーソナライゼーションを可能にする。 【パーソナライズ】 システムは、彼/彼女のプロファイル、表示されたし好、過去の 行動(移動履歴など)に基づき、特定の勧告やテーラーメイドの解決策を提供する。 【カスタマイズ】 利用者は、より好ましい移動を経験するために、特定のトリップ チェインや様々な手段の利用を自由に組合せたモビリティパッケージを構築する。