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Detrended fluctuation analysisによる歩行時の下肢運動の変動性分析

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 150 44 巻第 2 号 150 ∼ 151 頁(2017 年) 理学療法学 第 44 巻第 2 号. 平成 26 年度研究助成報告書. 2.方法  被験者は健常若年成人 14 人であった。本研究は広島大学大. Detrended fluctuation analysis に よ る歩行時の下肢運動の変動性分析 ―変形性膝関節症患者への適用―. 学院医歯薬保健学研究科心身機能生活制御科学講座倫理委員会 の承認を得て実施した(承認番号:1415)。また,被験者に研 究の意義,目的について十分に説明し,口頭および文書による 同意を得た後に実施した。  課題動作はトレッドミル(ミナト医科学社製,AR-200)上. 1). 2)3). 1). 1). 4). 2)3). 谷本研二(PT) ,高橋 真(PT). ,徳田一貫(PT) ,. 澤田智紀(PT) ,阿南雅也(PT) ,新小田幸一(PT). での歩行とし,被験者は 15 分間のトレッドミル上での歩行を 以下の 3 条件で行った;通常歩行,計算課題が課された歩行 (計算課題歩行),視覚運動課題が課された歩行(視覚運動課題. 1). 歩行)。計算課題歩行では,被験者は歩行しながら 3 桁の数字. 2). から 13 ずつ引算を行った。視覚運動課題歩行では,被験者は. 3). トレッドミル上に投影された目印に右爪先を合わせるよう右下. 広島大学大学院医歯薬保健学研究科博士課程後期保健学専攻 広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門 広島大学大学院医歯薬保健学研究科附属先駆的リハビリテー. ション実践支援センター. 肢を振り出しながら歩行を行った。歩行スピードは各被験者の. 4). 大分大学福祉健康科学部理学療法コース. 快適スピードとし,全条件で統一した。  歩行データの計測には,3 軸加速度計および角速度計が内 蔵された無線モーションレコーダ(マイクロストーン社製,. キーワード:変動性,歩行,変形性膝関節症. MVP-RF8-GC-500)を被験者の下. に取りつけ,下. の加速. はじめに. 度および角速度データをサンプリング周波数 200 Hz にて取得.  変形性膝関節症(以下,膝 OA)は多くの高齢者が罹患す. した。. る膝関節構成体の退行変性疾患である。主な臨床症状として.  データ解析には Matlab 2014a(MathWorks 社製)を使用し. は膝関節の疼痛や筋力低下などがあり,日常生活活動(以下,. た。取得した下. 1). の矢状面角速度はカットオフ周波数 10 Hz に. 。なかでも歩行はもっとも頻繁に行. てローパスフィルタリング処理を行った。15 分間の全ストラ. われる動作であり,これまでに膝 OA 患者の歩行の特徴につい. イドにおける遊脚期のピーク値を抽出し,連続したストライド. て多くの研究がなされてきた。それらの研究の多くが,複数回. 毎の時系列データを作成した。下. のストライドの平均値を解析パラメータとしている。しかし近. を同定し,ストライド時間を算出した。そして連続したスト. 年,踵接地から足趾離地を左右の下肢で交互に繰り返す動作で. ライド時間の時系列データを作成した。解析パラメータとし. ある歩行において,ストライド時間の時間経過に伴う変動のパ. て,各時系列データのフラクタルスケーリング指数 α (以下,. ターンはランダムではなく,長時間相関という特性が存在し,. α ) を 算 出 し た。α は detrended fluctuation analysis( 以 下,. ある一歩のストライド時間が過去や未来のストライド時間と関. DFA)6)により時系列データの長時間相関の強さを定量化した. ADL)に障害をきたす. 連していることが示されている. 2). 。また,長時間相関は状況変. 化に対する適応能力を示すともいわれており 3),加齢や神経疾 患により減衰することが明らかとなっている. 4). ことから,歩. の加速度信号からは踵接地. 指標である。α は 0.5 に近いほど,時系列データはランダムと なり,1.0 に近いほど,長時間相関が強くなる。  統計学的解析には,統計ソフトウェア SPSS Ver. 22.0(日. 行制御についての評価指標として発展してきている。. 本アイ・ビー・エム社製)を用いた。条件間の比較には反復.  これまで長時間相関による歩行制御の評価は,ストライド時. 測定分散分析を行い,事後検定には対応のある t 検定を用い,. 間などの時間空間的パラメータに限られてきた。我々はこれを. Bonferroni 法による補正を行った。なお,有意水準は 5% とした。. 下肢運動学パラメータに適用することで,関節疾患である膝. 3.結果. OA 患者の歩行制御の評価に有益な情報をもたらし,今後の理.  計算課題歩行において,ストライド時間の α は通常歩行と比. 学療法への活用と発展が期待されると考え,この研究を行った。. 較して有意に低値を示した(p < 0.05)。視覚運動課題歩行にお.  本研究は 2 つの研究から構成されている。まず研究 1 では健. いて,右下. 常若年者を対象とし,歩行への注意を変化させることで長時間. 高値を示した(p < 0.05) 。. 相関がどのような影響を受けるかを調査した。そして研究 2 で. 4.考察. は膝 OA 患者における,下肢運動学パラメータの長時間相関.  計算課題により歩行への注意を減じた場合,ストライド時間. の特徴および臨床スコアや膝関節機能との関連を調査した。な. の α は低くなり,よりランダムな変動パターンとなった。ス. 5). お,研究 1 の内容は Gait & Posture に掲載済みである 。. 角速度ピーク値の α は通常歩行と比較して有意に. トライド時間の長時間相関は,ストライド時間を制御する様々 な神経システムの相互作用と関連するという報告がなされてい 7). 研究 1. る. 1.目的. ムの相互作用に制約が加わったことで,ストライド時間の変動.  健常若年者を対象とし,ストライド時間および下肢運動学パ. がよりランダムになったものと思われる。. ラメータの長時間相関が,歩行への注意を変化させることでい.  視覚運動課題により下肢運動への注意を増した場合,下. かなる影響を受けるかを調査した。. 速度ピーク値の α は高くなり,あるストライドが過去や未来の. 。本研究では,計算課題により歩行制御に関与するシステ. 角.

(2) DFA による歩行時の下肢運動の変動性分析. 151. ストライドと関連が強くなり,より適応的な下肢の運動制御が. お,有意水準は 5% とした。. なされていることが示唆された。. 3.結果.  歩行に対する注意の変化による長時間相関への影響の仕方.  年齢,身長,体重,BMI は群間で有意差を認めなかった。. は,ストライド時間と下. さらに,トレッドミルの快適歩行スピードと下. 結果から,下. 角速度とで異なっていた。本研究の. 角速度パラメータに DFA を適用し,長時間相. 角速度ピーク. 値の α も群間で有意差を認めなかった。 角 速 度 ピ ー ク 値 の α は,KOOS. 関を調査することは,歩行制御の変化を洞察するうえで有益な.   膝 OA 群 に お い て, 下. 情報を付加することが示唆された。. ADL スコア(r = 0.604,p = 0.037)および膝関節伸展筋力(r = 0.655,p = 0.021)と有意な正の相関を示した。. 研究 2. 4.考察. 1.目的.  下.  研究 1 の結果を基に,膝 OA 患者の下肢運動学の運動制御に. れはトレッドミルの快適スピードに群間の差を認めなかったこ. ついての知見を得ることを目的として,膝 OA 患者と健常高齢. とから,歩行能力の高い膝 OA 群であったことが理由として考. 者の下. 角速度ピーク値の α は群間で有意差を認めなかった。こ. 角速度ピーク値の長時間相関について調査し,さらに. えられる。しかしながら相関分析により,膝 OA 群において. 長時間相関と臨床症状や機能障害との関連について調査した。. ADL 能力が低い者ほど,歩行中の下 角速度はよりランダムな. 2.方法. 変動パターンとなっており,下肢運動の適応性が低いことが示.  被験者は片側あるいは両側膝 OA と診断された膝 OA 患者 12. 唆された。また,膝関節伸展筋力は膝 OA 患者の ADL 能力に. 人と膝関節に疼痛を有さない健常高齢者 11 人であった。膝 OA. とって重要な機能であり 9),さらに本研究の結果から,歩行中. 患者は整形外科医により X 線画像で Kellgren-Lawrence 分類に. の適応的な下肢運動制御にも関与することが明らかとなった。. て診断を受けた者であった。神経学的疾患の既往および膝関節.  以上のことから,歩行中の下肢運動学パラメータの長時間相. 以外の下肢関節に整形外科的疾患の既往のある者,手すりを持. 関は膝 OA 患者の ADL 能力の指標となり得,長時間相関を高. たずトレッドミル上での歩行が困難な者は除外した。両膝 OA. めるような理学療法は歩行中の下肢運動の適応性,ADL 能力. 患者ではより症状の強い下肢を計測肢とした。健常高齢者では. の向上に有益であることが示唆された。. 膝 OA 群における計測肢の左右比に合わせ,計測肢をランダム. 文  献. に振り分けた。研究 2 の倫理的配慮は研究1と同様であった。  課題動作はトレッドミル(SportsArt 社製,T616)上での快 適スピードでの 10 分間の歩行とした。  歩行データの計測には,研究 1 と同一の無線モーションレ コーダを使用した。被験者の下. に取りつけ,下. の加速度お. よび角速度データをサンプリング周波数 100 Hz にて取得した。  データ解析には Matlab 2014a(MathWorks 社製)を使用し た。取得した下. の矢状面角速度はカットオフ周波数 20 Hz に. てローパスフィルタリング処理を行った。10 分間の全ストラ イドにおける遊脚期のピーク値を抽出し,連続したストライド 毎の時系列データを作成した。解析パラメータとして,下. 角. 速度ピーク値の時系列データの α を算出した。   症 状 や ADL 能 力 の 評 価 に は, 日 本 語 版 Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score(以下,KOOS)8)の疼痛,症状, ADL 機能のサブスケールを用いた。  膝関節機能の評価として,膝関節伸展筋力を徒手筋力計(ア ニマ社製,μ Tas MT-1)を用いて測定した。股関節および膝関 節屈曲 90°の肢位で下. をベルトにて固定し,最大等尺性収縮. 筋力を 2 回測定し,最大値を解析に用いた。  統計学的解析には,統計ソフトウェア SPSS Ver. 22.0(日本 アイ・ビー・エム社製)を用いた。群間の比較には,データ が正規分布にしたがう場合は対応のない t 検定を,正規分布に したがわない場合は Mann-Whitney の U 検定を用いた。また, 下. 角速度ピーク値の α と KOOS スコアおよび膝関節伸展筋. 力との関係は,Pearson の相関係数を求めることで調べた。な. 1)Dekker J, van Dijk GM, et al.: Risk factors for functional decline in osteoarthritis of the hip or knee. Curr Opin Rheumatol. 2009; 21(5): 520‒524. 2)Hausdorff JM, Peng CK, et al.: Is walking a random walk? Evidence for long-range correlations in stride interval of human gait. J Appl Physiol. 1995; 78(1): 349‒358. 3)Goldberger AL, Amaral LAN, et al.: Fractal dynamics in physiology: alterations with disease and aging. Proc Natl Acad Sci USA. 2002; 99 Suppl 1: 2466‒2472. 4)Hausdorff JM, Mitchell SL, et al.: Altered fractal dynamics of gait: reduced stride-interval correlations with aging and Huntington’s disease. J Appl Physiol. 1997; 82(1): 262‒269. 5)Tanimoto K, Anan M, et al.: The effects of altering attentional demands of gait control on the variability of temporal and kinematic parameters, Gait Posture. 2016; 47: 57‒61. 6)Peng CK, Havlin S, et al.: Quantification of scaling exponents and crossover phenomena in nonstationary heartbeat time series. Chaos. 1995; 5(1): 82‒87. 7)Hausdorff JM: Gait dynamics, fractals and falls: finding meaning in the stride-to-stride fluctuations of human walking. Hum Mov Sci. 2007; 26(4): 555‒589. 8)Nakamura N, Takeuchi R, et al.: Cross-cultural adaptation and validation of the Japanese Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS). J Orthop Sci. 2011; 16(5): 516‒523. 9)O’Reilly SC, Jones A, et al.: Quadriceps weakness in knee osteoarthritis: the effect on pain and disability. Ann Rheum Dis. 1998; 57(10): 588‒594..

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参照

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