先進諸国における理学療法教育の再編動向とその特徴
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(2) 先進諸国における理学療法教育の再編動向. 175. 表 1 理学療法教育(Entry level)に関する各国の現状 日本. アメリカ. カナダ. オーストラリア. イギリス. スウェーデン. ドイツ. フランス. 高卒. 大卒 *. 大卒. 高卒. 高卒. 高卒. 高卒. 高卒. 専門学校卒. 修士 **. 修士. 学士. 学士. 学士. 専門学校卒. 専門学校卒. 学士. DPT. 修士. 修士. 学士. 学士. 学士. ─. 3 or 4. 通常 3. 2. 4. 3. 3. 3. 3. 試験. 試験. 試験. 卒業. 卒業. 卒業. 試験. 卒業. 入学資格 1). 卒業必須レベル 取得可能学位. 2). 修学年数 資格取得条件 試験 / 卒業. 2014.8.27 現在 Entry level とは資格取得のための課程(卒前教育)を意味する. DPT:Doctor of Physical Therapy 1),2):たとえば日本では卒業必須レベルは専門学校卒であるが,学士課程も存在する. * 一部高卒で入学できる 6 年制コースがある. ** 2015 年にすべての課程が DPT に移行した.. 表 2 再編後(アメリカ:DPT 課程,スウェーデン:学士課程)の利点 クロス表 PT の社会的 地位向上. 就職率向上 Yes No 合計 アメリカ. 10. スウェーデン 合計. 4 14. p値. 質のよい希望 者増加. 直接診療拡大. 学生の能力 向上. カリキュラム 改善. Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値. 99 109 0. 入学希望者の 増加. 42. 4. 67 109. 4. 99 113 0.000** 46. 0. 37. 4. 3. 67 113 0.025* 40. 72 109 1. 66. 4. 4. 73 113 0.126 70. 43 109 0. 42. 4. 3. 43 113 0.142 45. 67 109 1. 82. 4. 4. 68 113 0.173 86. 27 109 0. 94. 4. 15 109. 4. 0. 27 113 0.330 98. 15 113 0.561. * p<0.05,** p<0.01. 表 3 再編後の問題点 クロス表 学生の経済的 負担が増えた Yes No 合計 アメリカ スウェーデン 合計. 74 0 74. p値. PT の社会的地 位の改善が遅 れている. 学習時間が増え 学生の負担が増 えた. Yes No 合計 p 値. Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値 Yes No 合計 p 値. 35 109 4. 4. 39 113 0.013*. 32 0 32. 77 109 4. 38. 4. 81 113. 2 0.258. 40. 71 109 2. 4. 学位にふさわ しい臨床実習 改善の遅れ. 38 2. 73 113 0.445 40. 71 109 2. 4. 73 113 0.445. 学位にふさわし い教育が質量と もに不十分. 学位にふさわし いカリキュラム 改善の遅れ. 8 101 109. 6 103 109. 0. 0. 4. 4. 8 105 113 0.742. 4. 4. 6 107 113 0.801. * p<0.05. なかった。修学期間は,アメリカは 3 年が多く,スウェーデン はすべて 3 年であり,3 年制への集約がアメリカ,ヨーロッパ で見られた。新課程開設の利点としては,「就職率向上」およ び「PT の社会的地位向上」はスウェーデンで高くアメリカは 低い傾向にあった。また, 「カリキュラム改善」および「学生 の能力向上」効果は両国ともに高く,再編の効果は教育内容面 で現れていた。しかし,両国ともに,問題点で「取得学位にふ さわしい臨床実習改善の遅れ」を挙げた課程が目立ち,臨床 実習では実習先の確保や実習内容面での課題が残されている。 DPT 課程への移行による「学生の経済的負担増」はアメリカ の大きな問題であったが(授業料を含む学生の 3 年間総経費平 6) 均は公立$ 50,294,私立$ 94,251 ),スウェーデンは授業料. 無料のため経済的な問題はなく,この点は大きな違いである。 理学療法教育の今後を検討するうえで,世界的な動向やアメ リカやスウェーデンにおける養成課程再編の成果や課題に関す る情報が有益であると考えられる。. 4. 文 献 1)Domholdt E, Kerr LO, et al.: Professional (Entry-Level) doctoral degrees in physical therapy: status as of spring 2003. J Phys Ther Educ. 2006; 20: 68‒76. 2)Plack MM: The evolution of the Doctorate of Physical Therapy: moving beyond the controversy. J Phys Ther Educ. 2002; 16: 48‒59. 3)Mathur S: Doctorate in Physical Therapy: Is it Time for a Conversation? Physiother Can. 2011; 63: 140‒142. 4)Mistry Y, Francis C, et al.: Attitudes toward Master’s and Clinical Doctorate Degrees in Physical Therapy. Physiother Can. 2014; 66: 392‒401. 5)タイヒラー U:ヨーロッパの高等教育改革.馬越 徹,吉 川裕美子(訳),玉川大学出版部,東京,2014,pp. 14‒93. 6)CAPTE: 2012-2013 Fact Sheet Physical Therapist Education Programs. http://www.capteonline.org/ CAPTESearch.aspx?q=fact % 20sheet(2015 年 1 月 10 日 引用).
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