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研究リポート

AFTAの進展と日本企業に与える影響

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[ 要  旨 ]

1. 1997 年の経済危機で深刻な経済不振に陥った ASEAN(東南アジア諸国 連合)は、不良債権問題などの後遺症に悩まされながらも、危機を克服 しつつあるようだ。そして、今後の経済発展のために、ASEAN は域内 リンケージを強めることを模索している。域内に自由貿易圏を創設しよ うというAFTA(ASEAN 自由貿易圏)構想はその要となるものであ る。 2. AFTAが実現すれば、東南アジアを包含する総人口5億人、GDP6 千億ドル超の一大マーケットが誕生する。こうした環境変化は現地進出 の日本企業に 大きな影響を与えるはずである。しかし現状、日本企業の AFTA への関心は総じて薄い。 本レポートでは、①AFTA はどの程度進展をみせているのか、②現地進出企 業にとって、AFTA の進展はどのような影響を与えるのか、の2点に絞って調 査・検討を行った。 3. 93 年にスタートしたAFTAでは、ASEAN で生産された工業製品、農 産品のほぼ全てが関税引き下げ対象とされている。そして、ASEAN 主 要6カ国については、2002 年までに域内関税率を5%以下に引き下げる ことが大きな目標となっている。 4. AFTA形成に向けた取り組みは、通貨危機とその後の経済混乱によっ て、大幅に後退するとの懸念が強まった。しかし、ASEAN は自由化の ペースを緩めなかった。外資を継続的に呼込むためには、自由化の推進 により投資先としての魅力をアピールしていかせざるを得なかったから である。ASEAN 主要 6 カ国は、自動車関連製品を除いた工業製品、農 産品の域内関税を2002 年までに5%以下に引き下げるとみられる。 5. AFTA進展によって域内企業が受ける最大のメリットは、関税引き下げに伴う コスト削減効果である。域内から部品・原材料を調達し、分業体制を構築し易 い業種に、こうしたメリットはより大きく効いてこよう。実際、AFTAを見据えて積 極的な対応を図っているのは、域内に複数の拠点を持ち、分業体制を構築

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築しやすい完成車メーカーや家電組み立てメーカーなどである。 6. 日本の製造業は、70 年代から進出を開始し、多額の資本を投下して ASEAN 市場を開拓してきた。この結果、現在、ASEAN 市場における 日系企業のプレゼンスは非常に大きい。しかし、通貨危機を契機として、 欧米系企業もASEAN への進出を積極化させている。これら企業の多く はAFTA実現後のASEAN 市場を睨んでの進出といわれる。これまで、 日系企業の独壇場ともいえたASEAN 市場で、今後は欧米系企業などの 食い込みにより競争が激化していく可能性がある。 7. このため、今後の日系企業の対応としては、従来にも増して現地のニー ズに根ざした製品作りを行っていく必要がある。こうした観点からは、 現地におけるR&D機能の強化や地域統括拠点のさらなる活用が求めら れよう。 富士総合研究所 調査研究部 アジア担当 主事研究員 苅込俊二 TEL:03-5281-7607 FAX:03-5281-7561 E-mail : [email protected]

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目 次 ]

はじめに ………1

1.

AFTAへの関心が低い日本企業 ………2

2.

AFTAはどこまで進展したか………5

(1)90年代に本格化した域内経済協力………5 (2)CEPTスキーム………6 (3)AFTAの進展状況………8

3. 現地進出企業に与える影響 ………13

(1)自動車産業………13 (2)家電産業………21 (3)その他の産業………26

結びに代えて ………28

参考文献 ………30

(5)

図表目次 ]

図表1 日本企業のASEAN に対する中長期的な見方………2 図表2 現地進出日本企業のAFTA への対応策………3 図表3 AFTA への対応を進める上での問題点………4 図表4 AFTA の関税引き下げスケジュール………7 図表5 通貨危機後の保護主義的な動き………8 図表6 AFTA スケジュール前倒しに伴う ASEAN6のコミットメント……9 図表7 CEPT 適用品目数の状況………10 図表8 関税率の引き下げ状況………11 図表9 主要日系メーカーの完成車生産・組み立て拠点………13 図表10 乗用車生産に関する量産効果………15 図表11 ASEAN4における自動車部品の生産状況………1 6 図表12 トヨタのASEAN 域内相互補完体制………1 8 図表13 ASEAN4の自動車市場規模………19 図表14 欧米系自動車メーカーのASEAN 展開………20 図表15 ASEAN における日系家電メーカーの生産体制(概念図)………2 1 図表16 タイにおける家電製品の関税引き下げスケジュール………22 図表17 松下電器の域内分業体制………23 図表18 日系家電メーカーのASEAN 事業展開(通貨危機以後)………25 図表19 市場規模拡大に伴う競争環境 ………28

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はじめに

1997 年の通貨危機により、深刻な経済不振に陥った ASEAN(東南アジア 諸国連合)は、不良債権問題などの後遺症に悩まされながらも、危機を克服 しつつあるようだ。こうしたなか、ASEAN が再び発展軌道に乗れるかどうか、 その行方を左右するファクターの一つに AFTA(ASEAN 自由貿易圏)構想が ある。AFTA 構想は、一部加盟国を除いて、2002 年までに、域内の関税を一 定比率(0∼5%)まで引き下げ、また非関税障壁を撤廃することにより、 ASEAN 全域を自由貿易地域にしようというものである。AFTA が実現すれば、 東南アジアを包含する総人口5億人、GDP6千億ドル超の一大マーケット が誕生することになる。 AFTA の誕生によって、域内の企業は ASEAN 地域を一つの市場とみなして 事業展開を行えるようになる。すなわち、域内から原材料や部品をより安く 調達したり、効率的な生産体制を構築することで、製品のコスト競争力を高 めることができる。逆に、高関税により外国製品から守られてきた企業にと っては、域内での競争に晒される結果、淘汰されてしまう可能性も生じよう。 このように、AFTA の実現は ASEAN に進出している日本企業に対して、少な からず影響を与えるはずだ。 しかしながら、現状、日本企業の AFTA に対する関心は必ずしも高くない。 その背景には、AFTA 進展による効果や影響が不明、また、AFTA 実現までの スケジュールが不透明、といった点が挙げられることが多い。 そこで本レポートでは、まず、ASEAN 諸国が目標期限どおり関税引き下げ を実行できるのか、そして AFTA の進展は ASEAN 進出企業にどのような影 響を与えるのか、の2点について調査、検討を行った。

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1. AFTAへの関心が低い日本企業

今回の通貨危機を通じて、多くの日本企業がアジアビジネスに伴うリスク の大きさを再認識させられた。そして、アジア経済が本格的な成長軌道に乗 るにはいま少し時間を要することから、アジアでのビジネスは、当面厳しい 状況が続くものと考えられる。 しかし、このような状況下でも、現地に進出している企業の ASEAN からの 撤退、あるいは大幅な事業縮小といった動きはあまりみられない。通貨危機 後、日本輸出入銀行(現、国際協力銀行)が行ったアンケート調査によれば、 ASEAN 以外に投資の重点を移していくとした企業の割合はわずか 2.7%にす ぎない(図表1)。ASEAN に進出している企業にとって、中長期的な ASEAN の重要性は失われたわけではなく、ASEAN は引き続き戦略的な投資先と位置 付けられている。現地進出企業の多くは、中長期的な ASEAN の成長性に期 待して、事業を継続させているのである。 図表1 日本企業の ASEAN に対する中長期的な見方 A 53.1% B 41.5% C 2.7% D 2.7% A.重要投資先としての投資戦略は変わらず、現在の生産体制を維持。 B.投資先としての重要性は変わらないが、現在の生産体制を再編も含めて見直す。 C.ASEAN 以外の地域に投資の重点を変えていく。 D.その他 (注)日本輸出入銀行「1999 年度海外直接投資アンケート調査結果」

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こうしたなか、ASEAN が今後、新たな経済発展を遂げる上で極めて重要と みられる AFTA(ASEAN 自由貿易圏)形成について、日本企業の認識は高く ない。 昨年8月、富士総合研究所がアジアに拠点を設けている 124 社に、AFTA に ついて聞いたところ1、そのうちの 35%、44 社は 2002 年に AFTA が本格稼動 することを認識していなかった。また、「認識している」と答えた企業に対し て、AFTA への対応を尋ねたところ、「特に行動なし」がトップ(図表2)と なるなど、AFTA に対する日本企業の対応が総じて低調であることが窺えた。 図表2 現地進出日本企業の AFTA への対応策 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 現 地拠点 の 規模縮 小 現地拠点での設備投資の抑制 現地拠点での人員削減 経営陣やR&Dの現地化 新たに拠点を設け現地体制を増強 電子取引を活用した調達・販売網 整 備 調 達先 ・販売先見直しによる体制強化 現地拠 点 の雇用 拡 大 ライン合理化等による現地体制増強 現地パートナーとの関係強化 特に行動なし (%) (N=75) (資料)富士総合研究所『アジアビジネスについてのアンケート調査』 なぜ、現地進出企業は AFTA を見据えた対応を行っていないのだろうか。 この点について、タイの日本人商工会議所は昨年 11 月、アンケートを行って いる。その結果をみると、AFTA 進展による効果や影響が不明、また、AFTA 実現までのスケジュールが不透明であることが上位に挙げられた(図表3)。 12000 年 8 月、郵送により実施。サンプル数は 1,200 社(会員モニター企業より無 作為抽出)。有効回答数は872 社(有効回答率 71.6%)。

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図表3 AFTAへの対応を進める上での問題点 0 20 40 60 80 100 体制見直し困難 メリット小さい 経済先行き不透明 スケジュール不透明 効果・影響不明 (社) (注)回答企業数 199 社(複数回答、回答総数 369)。 (資料)バンコク日本人商工会議所「タイ国日系企業景気動向調査」 そこで以下では、AFTA について、①ASEAN は目標期限どおり 2002 年2 域内関税を 5%以下に引き下げられるか、また、② AFTA の進展は現地進出企 業に対してどのような影響を与えるのか、という2点について検討を行うこ ととする。 2本稿では、AFTA の進展を見る上で、2002 年(ASEAN 主要6カ国が域内関税を 5% 以下に引き下げる目標期限)を重視している。というのは、ASEAN のなかで大き な経済的ウエイトを占める6カ国の域内関税が 5%以下になれば、AFTA の実効的 な効果は事実上発揮されると思われるからである。そして、2002 年は、ASEAN が AFTA に関して対外的にコミットした最初の期限であり、国際的な信認を維持でき るかを見る上で重要な年とみられる。

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2.AFTAはどこまで進展したか

(1)90 年代に本格化した域内経済協力 ASEAN はもともとインドシナ半島の共産主義勢力への対抗を目的として 1967 年に発足したが、次第に経済的な協力機構としての色彩を強めた。70 年 代後半以降、域 内 貿 易 の 自 由 化 推 進 プ ロ グ ラ ム や 産 業 協 力 プ ロ ジ ェ ク ト が 次 々 と 立 ち 上 げ ら れ た3。具体的には AIP4 ( ASEAN 産 業 プ ロ ジ

ェクト)、 AIC5( ASEAN 産業補完計画)、AIJV6( ASEAN 合弁事業

計 画 ) 、 PTA7( 特 恵 貿 易 協 定 ) プ ロ グ ラ ム な ど で あ る 。 し か し 、 こ うした取り組みは、制度自体の不備等 の た め に さ し た る 成 果 を あ げ る こ と は で き な か っ た 。たとえば、PTA は AFTA 以前に取り組まれた貿易自由 化推進プログラムであるが、関税引き下げ対象となる品目数が限定された上、 引き下げ幅も小さかったことから、域内貿易の拡大にほとんど寄与しなかっ た。 ところが、90 年代に入り ASEAN を取り巻く環境は大きく変化した。その 第一は、EU(欧州連合)の市場統合や米国を中心とした NAFTA 形成に向けた動 きなど、世界的に地域主義(リージョナリズム)の動きが活発化したことであ る。第二は、中国が経済的に発展し、ASEAN の競合国として台頭してきたこ とである。とくに、日本やアジア NIES などの投資が低廉な労働力を豊富に有 する中国へ向かい始めた。 こうした状況に危機感を抱いた ASEAN は、地域的な結束力を強化し、域内 統一の成長戦略を掲げた。92 年、シンガポールで開催された首脳会議で、 ASEAN は域内関税を段階的に引き下げ、AFTA(ASEAN 自由貿易圏)を形成 することを決定した。ASEAN は、AFTA を推進することで、域内企業・産業 の競争力を高める一方、外資を一層、域内に呼込むことによって、地域全体 を活性化させようとしたのである。 3 こうした取り組みの詳細については、箭内(1998)を参照。 4 ASEAN Industrial Projects.

5 ASEAN Industrial Joint Venture Scheme. 6 ASEAN Industrial Complementation Projects. 7 ASEAN Preferential Trading Arrangement.

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(2)CEPTスキーム

AFTA 形成にあたり、ASEAN 加盟国が域内関税の引き下げなどを行う具体 的なプログラムは、CEPT(Common Effective Preferential Tariff: 共通実効特恵 関税)スキームに沿って進められる。これは、次のようなものである。 AFTA では、ASEAN で生産された8工業製品・農産品のほぼ全て9が関税引 き下げ対象となっている。しかし、全ての品目について、一度に関税を引き 下げることは困難である。そこで、ASEAN は加盟国に、できるだけ早期に全 ての品目を関税引き下げ適用品目(Inclusion List:IL)にすることをまず求 めた。そして、次なる段階として、これら品目に対して低率の共通特恵関税 率 (CEPT) を設定し、 これを一定期間内に 0∼5%へと引き下げていくことと した。 ここで、各国が当面、保護しておきたい品目は、一時的除外品目(Temporary Exclusion List:TEL)として関税引き下げを猶予された。ただし、これら品 目も、遅くとも 2000 年までには CEPT 適用品目に編入することになっている。 なお、当初の計画では非加工農産品は関税引き下げ対象とはなっていなかったが、 96 年に引き下げ対象とされた10コメなどの特定農産品については他の製品よ りも引き下げ期限が猶予されて、2010 年までとなっている(センシティブ品 目=Sensitive List:SL)。

CEPT スキームは 93 年、ASEAN に加盟していた6カ国(ASEAN6=シン ガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ブルネイ)でス タートした。当初、ASEAN6が域内関税を 5%以下に引き下げる期限は 2008 年とされていたが、徐々に前倒しされた11。現在、その期限は 2002 年である。 8 ASEAN で生産された製品とは、ASEAN 域内の 1 カ国ないしは複数の国で付加価値 の 40%以上が生産された製品をいう。 9 国家が治安や秩序維持のために輸入を制限している品目については、除外されてい る(一般的除外品目=General Exception List:GEL)。こうした品目には武器、イ スラム教国における酒類などがある。

10 この背景には、ウルグアイ・ラウンドの最終合意で、農産物も関税引き下げの交渉

品目とされたことがある。

11 目標期限が前倒しされた背景には、この時期、WTO や APEC などの多角的な貿易

自由化が大きく進展したことがある。ASEAN としては、APEC や WTO が推進する ようなグローバルな自由貿易体制が確立される前に、地域レベルで貿易自由化を実 施し、グローバルな自由貿易体制時代の到来に備えて少しでも国際競争力をつけて

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そして、99 年の ASEAN 首脳会議では、AFTA をさらに進展させ、遅くとも 2015 年までに域内関税を全廃することが決定された12(図表4)なお、93 年 以降、ASEAN に加盟した4カ国(ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジ ア)は、関税引き下げ対象とする品目、期限目標などが、ASEAN6よりも緩 く設定されている。これら4カ国は、ASEAN6に比べて経済発展の点で大き く立ち遅れているためである。ベトナムは 2003 年、ラオス、ミャンマーは 2005 年、カンボジアは 2007 年までに、できる限り多くの品目を適用品目へ編入し、 かつそれらの品目の域内関税を 0∼5%以下にすることとされた。 図表4 AFTAの関税引き下げスケジュール 1993年 2002年 2015年 0% へ 0∼ 5% へ 0% へ 0∼ 5% へ 0∼ 5% へ 0∼ 5% へ 1999年 2010年 2003年 ベ トナ ム カンボジア ミャンマー

ASEAN6

1995年 1997年 0% へ 0% へ 2007年 2005年 ラオス (注)ASEAN6は、マレーシア。インドネシア、シンガポール、タイ、 フィリピン、ブルネイ。 (資料)ASEAN 事務局資料などにより作成。 おこうという思惑があった。 12域内の貿易自由化に加えて、サービス分野での自由化を推進することも目指されて いる。96 年から、ASEAN は、サービス7分野(観光、通信、航空運輸、海上運輸、 ビジネス、金融、建設)における自由化交渉を始めている。

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(3)AFTAの進展状況 ASEAN6が 2002 年までに域内関税を 5%以下に下げられるかについては、 従来から懐疑的な見方があった。こうした見方は、通貨危機とその後の経済 混乱によって、より強まった。通貨危機後、自国経済を回復させるために保 護主義的な政策を採る国が出てきたからである(図表5)。たとえば、タイは、 自動車部品の国産化規制を 98 年中に撤廃することにしていたが、2000 年まで 延期した。また、フィリピンは繊維製品や自動車部品について輸入関税の引 き上げを行った。ASEAN 各国は通貨危機の克服に精一杯で、本当に自国産業 の保護を廃止し、自由化を進めることができるのか、疑問視された。 図表5 通貨危機後の保護主義的な動き 項 目 備 考 タ イ ・ 完 成 車 等 、11 分 野 の 関 税 引 き上げ(97/10) ・ 鉄 鋼 ・ 同 製 品 の 関 税 引 き 上 げ (98/5) ・ 自 動 車 部 品 の 国 産 化 規 制 撤 廃 を 延 期 (98/7) 完 成 車 2400cc 以 下 2400cc 超 カ メ ラ 、 時 計 等 冷 圧 延 の 鉄 鋼 等 表 面 加 工 鋼 板 、 鋼 管 チ ェ ー ン 等 当 初 予 定 の 98 年 か ら 延 期 42% → 80% 68.5% → 80 % 5% → 30 % 4% → 10 % 10% → 15% 12% → 20% 2 0 0 0 年 1 月 に マ レ ー シ ア ・ 重 機 械 の 輸 入 に 認 可 制 を 導 入 (97/10) ・ 建 設 機 械 、 建 材 、 自 動 車 、 二 輪 車 等 の 関 税 引 き 上 げ (97/10) 建 設 機 械 、 建 材 な ど 完 成 車 5∼ 25% → 10∼ 30% 140 ∼ 200% → 140% ∼ 300% フ ィ リ ピ ン ・ 繊 維 製 品 、自動 車 部 品 等 の 関 税 引 き 上 げ (98/10) ・ フ ォ ー ド ( 米 ) の A I C O 申 請 を 却 下 (98/12) 繊 維 製 品 自 動 車 部 品 10 % → 15% 3% →7 % ( 98 年 ) →10 %( 99 年 ) (資料)JETRO 投資白書などにより作成。

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これに加えて、AFTA を推進するリーダー役の不在が指摘された。ASEAN は、元来、インドネシアのスハルト氏、シンガポールのリー・クアンユー氏 といった首脳達の強力なリーダーシップによって推進されてきた面が強い。 しかし、スハルト氏の大統領退陣に象徴されるように、ASEAN 各国では現在、 指導者の代替わりの時期を迎えている。こうした状況下、AFTA 形成に向けた 推進力は急速に低下するとみられた。 このように、AFTA 形成に対する悲観的な見方が強まる中で、ASEAN が表 明したのは域内の自由化を更に推し進めることであった。98 年 12 月、ハノイ (ベトナム)で開催された ASEAN 首脳会議では、「大胆な措置に関する表明」 (いわゆる「ハノイ宣言」)が発表された。その内容は、①ASEAN6の関税 引き下げ期限を1年前倒しして、2002 年とする。②AICO13認可要件の一つで ある地場資本条件(現地資本比率 30%以上)を 2000 年末まで撤廃、③ASEAN 自由投資地域(AIA)を 2010 年までに完成させる、等である。これにより ASEAN6に課せられた義務は図表6の通りである。 図表6 AFTA スケジュール前倒しに伴う ASEAN6のコミットメント 2000 年 ・ほぼ全ての製品を CEPT 適用品目へと編入する。 ・域内関税 0∼5%の品目を全体の 85%以上とす る。 2001 年 ・域内関税 0∼5%の品目を全体の 90%以上とす る。 2002/2003 年 ・CEPT 適用品目全てを域内関税 0∼5%とする。 ただし、多少の柔軟性は容認 (資料)ASEAN 事務局資料 では、現在までに CEPT スキームはどの程度、進展しているのだろうか。 各国の取り組み状況を見る上で重要なのは、一時的除外品目(TEL)が どのくらい CEPT 適用品目に繰り入れられたかである。これについて象徴的 13 AICO スキームは、域内の産業競争力の強化と産業協力を図ることを目的に、96 年 に導入された。域内の複数の国に拠点を持つ企業は、認定された製品の域内での貿易 取引には 0∼5%の特恵関税が直ちに適用される。このため、AFTA の前倒し措置とい われている。

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だったのは、マレーシアが昨年、自動車及び関連部品の関税引き下げを 2005 年まで延期することを主張し、これが認められたことである14。当初、こうし たマレーシアの動きに追随して、関税引き下げの猶予を求める国が出てくる のではないかと懸念された。しかし、マレーシアのケースを除けば、ASEAN 6は 2000 年までに CEPT 適用品目への繰り入れをほぼ完了させている(図表 7)。ASEAN6は、現在 4 万 5 千品目の関税引き下げ対象品目のうち、98.3% を適用品目に編入した。シンガポールは既に全ての品目の関税が0%である 他、タイ、ブルネイは全品目、適用品目への移行を完了している。 図表7 CEPT 適用品目数の状況(2001 年 3 月時点)

IL

TEL

SL

GEL

合計 シンガポール 5,859 0 0 0 5,859 タ   イ 9,104 0 7 0 9,111 マレーシア 9,989 218 83 53 10,343 インドネシア 7,191 21 4 68 7,284 フィリピン 5,621 6 50 16 5,693 ブルネイ 6,276 0 14 202 6,492 ASEAN6 合計 44,040 (98.3) 245 (0.6) 158 (0.4) 339 (0.7) 44,782 (100) ベトナム 4,233 822 51 139 5,245 カンボジア 3,115 3,523 50 134 6,822 ラオス 1,673 1,716 88 74 3,551 ミャンマー 2,984 2,419 21 48 5,472 ASEAN10 合計 56,045 (85.1) 8,725 368 734 65,872 (注)IL=CEPT 適用品目、TEL=一時的除外品目、GEL=絶対的除外品 目、SL=センシティブ品目。( )内は、各国の合計品目に対する割合。 (資料)ASEAN 事務局資料。 14 ただし、関税引き下げを延期した場合、不利益を被る国に対し補償などの措置を講 じなければならない。マレーシアは 2001 年 2 月から、タイ、インドネシアと補償交 渉を行っている。

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そして、CEPT 適用品目の関税引き下げも順調に進展している。CEPT 適用 品目の平均関税率は、ASEAN6カ国についてみると、スキームが開始された 93 年には 12.8%だったが、2000 年末には 3.5%まで下がった。各国の平均関 税率は、タイ、フィリピンを除き、既に 5%以下である(図表8)。 ただし、2000 年前後に一時的除外品目から適用品目に編入された品目は数 こそ少ないものの、関税率は依然、10∼20%前後と高水準である。今後の焦 点は、こうした品目の関税が予定通り引き下げられるかにある。しかし、こ れまでのところ引き下げが難航しそうな品目は見当たらない。ASEAN6は後 述するように、外資誘致の観点から域内自由化に前向きな姿勢をみせている。 国際社会に対する信認維持の観点からも対外的にコミットした 2002 年という 期限を遵守しようとするであろう。こうしたことから考えて、ASEAN6が 2002 年中に関税の引き下げを完了させる可能性は高いと思われる15 図表8 関税率の引き下げ状況 0 3 6 9 1 2 1 5 1 9 9 6 9 7 9 8 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 タイ イ ン ド ネ シ ア マ レ ー シ ア ブ ル ネ イ シ ン ガ ポ ー ル フ ィリピン ( 年 ) ( % ) (注)2000 年までは実績。2001 年以降は計画。 (資料)ASEAN 事務局資料。 15今後は、2000 年前後に適用品目に繰り入れられた品目の関税が引き下げられる。こ れら品目については、現在 20%前後と高率であるため、これから 2002 年までは関 税引き下げ効果が最も発揮されやすい時期といえるだろう。

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なお、後発加盟4カ国については、目標期限どおりに関税を引き下げるこ とは困難との見方が大勢である。これら4カ国と先行する ASEAN6との経済 格差は非常に大きい。これをわずか 1∼5 年の猶予で同条件にすることは現実 的にみて無理があるとみられる。 ところで、通貨危機後、なぜ ASEAN は域内自由化を更に推進する選択を したのであろうか。これには、企業がグローバルな活動を急ピッチで展開す る中にあって、ASEAN には魅力的なビジネス環境を提示しなければ、域内へ の投資は激減してしまうとの危機感があったとみられる。 ASEAN は、経済を発展させていく上で今後とも外資の力が不可欠と考えて いる。実際、通貨危機後の経済回復において、それを牽引したのは外資系企 業に他ならない。しかし、近年、先進国を中心とした直接投資は、経済的に 台頭著しい中国へと向かっている。こうしたなか、外資誘致の観点からは、 域内自由化を推進する姿勢を採らざるをえなかったのである。 そもそも AFTA を形成した目的は、①ASEAN 域内における分業体制を強化 し、域内企業とりわけ地場企業の競争力を強化すること、②域内自由化によ る市場規模の拡大といった投資先として魅力を呈示することにより、外国資 本の導入を促進すること、の二つにあった。AFTA 構想が打ち出された当時、 ASEAN は、経済発展をしていく上で、外資の力に当面、依存せざるを得ない が、いずれは地場企業が競争力をつけ経済発展を主導していくという姿を展 望していたと思われる。しかし、ASEAN が期待した地場企業の力が十分につ かないまま、通貨危機に直面した。ASEAN は通貨危機を克服し、経済を再活 性させるためには、より一層外資に依存せざる得なくなった。通貨危機を経て、 AFTA 推進の目的は、経済発展の担い手たる外資を呼込むための外資誘致策と しての意味合いを強めている。

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.現地進出企業に与える影響

AFTA の進展によって、現地に進出している企業はどのような影響を受ける のだろうか。AFTA は財の貿易自由化であることから、その影響は製造業に最 も強く及ぶ。ここでは、ASEAN に進出している中心的な業種、自動車、家電 産業などについて、部品・材料調達を含めた生産体制、販売体制という切り 口からその影響を検討していこう。

(1)自動車産業

多くの ASEAN 諸国は、自動車産業をその裾野の広さから経済発展上の基 幹産業16と位置付け、60 年代から育成を図ってきた。このため、完成車の輸 入禁止、高関税の賦課などの保護措置が講じられてきた。こうしたなか、日 本の自動車メーカーは、現地資本との提携や合弁という形で各国に進出し、 KD(Knock Down)17拠点を設けた(図表9) 図表9 主要日系メーカーの完成車生産・組み立て拠点 タイ マレーシア インドネシア フィリピン トヨタ

日 産

ホンダ

三 菱

マツダ

いすゞ

○ △

● ▲

(注)○ 合弁での乗用車生産・組み立て、△ 合弁での商用車生産・組み立て ● 提携先での乗用車生産・組み立て、▲ 提携先での商用車生産・組み立て (資料)日本興業銀行調査部「アジア危機後の産業地図」などにより作成。 16自動車は、部品点数が 2∼3 万と非常に多く、完成までに様々な工程を必要とする。 自前の自動車産業を有することは、一国の産業競争力を格段に高めるものとなる。 17KD方式とは、簡潔にいえばライセンス組み立てのことであり、部品段階からの組

み立てのCKD(Complete Knock Down)と、それよりも簡単な組み立てを指すS KD(Semi Knock Down)がある。

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また、各国は、自動車部品の国内調達義務付けや輸入部品に高関税をかけ るなどして部品の国産化を図ってきた18。しかし、現地には日系自動車メーカ ーが要求する品質水準を満たすだけの部品メーカーがなかったため、日系自 動車メーカー(以下では、部品メーカーとの区別のために完成車メーカーと 呼ぶ)は系列部品メーカーに進出を要請した。日本の部品メーカーはこうし た要請に呼応する形で、ASEAN に生産拠点を設けた。 自動車部品メーカーは、完成車メーカーとは異なり、各国に拠点を設けて いる訳ではない。エンジンやプレスなど基幹部品の生産工場は投資額が大き い割に一国あたりの市場規模が小さいために、各国に拠点を設けると、採算 に合わないからである。部品メーカーの進出先は、基本的に自動車産業の集 積地であるタイに多いが、電装品はマレーシア、労働集約的製品はフィリピ ンというように、各国の特性に合わせた進出となっている。 ①域内における補完体制の強化 このような進出の特徴をもつ自動車産業に対して、AFTA の進展はどのよう な影響を及ぼすのであろうか。 AFTA の進展によって域内の関税障壁は大幅に低減される。これまで ASEAN 各国の関税障壁に阻まれて、ほとんど各国に生産拠点を構えざるを得 なかった完成車メーカーは、AFTA の進展に伴い量産によるメリットの大きい 部品を集約するなどの対応が図れるようになる。 自動車産業は量産効果が期待できる業種であるため、生産量の増加がコス ト削減のカギを握る。図表 10 は、乗用車生産の量産効果をみたものである。 これをみると、組み立て工程にかかるコストは生産規模が 10 万台以上になる と大きく削減できることがわかる。また、エンジン関連、プレス部品は量産 によるコスト削減効果が大きいため、完成車メーカーには、これら品目の生 産を集約する誘因が働こう。既に、各メーカーともに、エンジン関連製品、 18例えば、タイでは 71 年に自動車国産化政策を発表し、組み立て車種の制限と 25% の国産化義務の規制策を実施した。また、インドネシアでも、自動車国産化を目指し、 完成車輸入の禁止、民族資本によるCKD組み立ての義務付け等の政策を展開した。

(20)

大型プレス部品については、拠点間で相互補完体制を構築している19 図表10 乗用車生産に関する量産効果 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 エンジン 総 組 立 鋳 造 鍛 造 プレス 車 体 塗 装 20 30 40 (万 台 ) 10 単 位 あ た り コ ス ト ︵ 除 く 材 料 費 ︶ (資料)中小企業金融公庫「ASEAN における自動車産業の動向 とわが国中小部品メーカーへの影響について」p.31 また、部品生産については、AFTA の進展により基本的に、次のような対応 が図られよう。まず、同一部品が各国で生産されている場合には生産をいず れかの拠点に集約化させる。また、1カ国のみで生産されている部品は、そ こが域内への供給拠点としての役割を強めることになる。現状、ASEAN にお ける自動車部品の生産立地は、図表 11 のような状況にある。こうした立地状 況に、現地化の進展度合いなどを加味すると、AFTA 進展に伴う自動車部品の 生産集約の可能性は以下のように展望することができる20 19 トヨタ、三菱、いすゞはエンジン全体、ホンダ、日産はエンジン主要部品を対象と して域内相互補完を行っている。また、外板パネルなど大型のプレス部品について も相互補完体制が確立されつつある。 20 この展望は、中小企業金融公庫(1998)の考察(p.33∼44)に多くを拠っている。

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・エンジン関連部品 エンジン関連部品の生産は、投資金額を多く必要とするため、各国で同 一品目が生産される環境にはない。エンジン用ベルトなどを除き、多くの品 目がタイで生産されている。エンジン関連部品については、将来的に、タ イが ASEAN 域内の供給拠点となる可能性が高い。 ・ ミッション、ステアリング 技術的に高い水準を要求されるジョイント、ギア類は、タイが生産の中 心である。他方、クラッチやステアリングなどはインドネシアでかなりの 量が生産されるようになっている。ミッション、ステアリング関連部品は、 タイとともにインドネシアが中心的な生産拠点になっていく可能性がある。 ・ 足回り関連部品 ショックアブソーバーなどのバネ類はタイで、ブレーキ部品はマレーシ ア、フィリピンが中心的な生産地となっており、これらが域内の供給拠点 となっていく可能性がある。また、ホイールやタイヤは各国でそれぞれ生 産されている。現状、これらの品目の関税障壁が高いため、その多くは国 内向けに供給されている。しかし、AFTA の進展によって、いずれかの拠点 で生産集約が図られていくものとみられる。 ・ 車体装備品 自動車用ガラス、シート、ワイパー、防振ゴム、シートベルトなどはほぼ 各国で生産されている。また、フィリピンで灰皿やモケット(内装材)、イ ンドネシアで泥除け、フロアマットなどが生産されている。車体装備品の 多くは労働集約的な製品であるため、フィリピンやインドネシアが域内へ の供給拠点となっていく可能性が高い。もっとも、さらに労働コストの低 いベトナムなどに生産拠点が移管される可能性もある。 ・ 電装品、その他用品 ワイヤーハーネス、自動車用照明機器、電線、ケーブルなど、マレーシ アでの生産品目が多い。これには、技術的に高度なコントロールユニット なども含まれており、電装関連製品については、マレーシアに生産拠点が 集約されていく可能性が高い。

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このように、AFTA の進展に伴い、各国ごとの特性を活かした部品生産を行 い、それらを相互供給することで、自動車メーカーは補完的な分業体制の構 築が可能となる。自動車産業は AFTA の進展によるメリットを最も受ける業 種の1つといえる。 既に、完成車メーカーの多くは、AFTA の前倒し措置と言われる AICO スキ ームを利用することで、域内で一貫生産体制の構築を目指している。たとえば、 トヨタは従来から ASEAN 各国で完成車を生産、エンジンなどの中核部品の相互 補完21を進めてきたが、AICO スキームの利用により相互補完対象品目をさらに拡 大させている(図表 12)。AICO スキームは、これまでに 64 件が認可されてい るが、そのうちの 47 件が日系自動車関連メーカーによるものである。 図表12 トヨタの ASEAN 域内相互補完体制 タイ 20万台 フィリピン 3万台 <部品> <部品> 2Lディーゼルエンジン、プレス加工パネル、 トランスミッション、等速ジョイント ワイパーモーター、オルタネーター コンビネーションスイッチ、 スターター、ステアリングホイール コンビネーションメーター、灰皿 バンパーカバー、スタビライザー、ランプ <車両> HILUX(フィリピン向け) SOLUNA(シンガポール、ブルネイ向け) マレーシア 3万台 インドネシア 10.7万台 <部品> <部品> マニュアル/パワーステアリングギア、 ガソリンエンジン、クラッチ ワイパーアーム及びブレード シートアジャスター、ドアロック エンジンコンピュータ、エアコン ドアフレーム、ウインドーレギュレーター アンプリファイア、等速ジョイント <車両> ロアーボールジョイント、フラッツシャーリレー KIJANG(ブルネイ向け) アンテナ、ハブ及びナット フードロック (注)各国の数値は完成車生産能力。 (資料)中小企業金融公庫「ASEAN における自動車産業の動向とわが国中小部品メ ーカーへの影響について」p.46 21 トヨタは、BBC スキームを利用して域内での補完体制を強化してきた。ここで、

BBC(Brand to brand Complementation)は自動車生産の域内分業を促進させるため AICO スキーム以前に導入されたスキームである。これは、完成車メーカーを対象 に、ASEAN 域内での生産比率が 50%以上ある部品を、国をまたがって交換する場 合、認定されれば部品輸入関税を 50%以上削減するというものである。

(23)

②欧米系企業との競争が激化する可能性 ASEAN 市場においては、欧米に先駆けて ASEAN へ進出した日系自動車メー カーのプレゼンスは非常に大きい。国民車メーカーの優遇政策を続けている マレーシアを除けば、各国における日系メーカーのシェアは圧倒的である(図 表 13)。しかしながら、通貨危機以後、欧米系企業の ASEAN 進出が積極化し ている(図表 14)。欧米系メーカーの多くは、AFTA 進展に伴う ASEAN 市場 を見据えて進出してきているといわれる。たとえば、GM は、最初から採算 の取れる車種をタイなどで集中生産し、これを域内全体に供給することによ り、アジア地域において一定のシェア確保に動いている。これまで、日系企 業の独壇場ともいえた ASEAN 市場で、今後は欧米系企業などの食い込みに より競争が激化していく可能性がある。 図表13 ASEAN4の自動車市場規模 (注)日系メーカーのシェアは 2000 年。 (資料)各種資料により作成。 販売台数(万台) 1990 年 95 年 99 年 2000 年 日系メー カーのシ ェア(%) タイ 24.3 43.9 21.8 18.4 77.7 マレーシア 19.2 24.6 28.9 25.4 13.5 インネシア 27.1 38.3 9.4 21.2 70.8 フィリピン 5.4 10.3 7.4 6.5 59.6 合計 75.9 117.1 67.5 71.5 51.5

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図表14 欧米系自動車メーカーの ASEAN 展開 GM ・ 94 年、インドネシアに組立拠点設立。 ・ 2000 年 5 月、タイ拠点で生産開始。 ・ いすゞ、スズキ、富士重工との提携による事業展開。 ・ 2005 年に GM 単独でアジア地域の市場シェア 10% を 目 標 。 フ ォ ー ド ・ 98 年 5 月、タイ拠点で生産開始 ・ 99 年 9 月、フィリピン拠点で生産開始 ・ マツダ、ボルボと共同で事業展開。 ・ タ イ で 、 デ ィ ー ラ ー 網 整 備 、 金 融 会 社 の 買 収 に よ り 販売力を強化。 ・ 2010 年にグループ全体でアジア地域のシェア 15% を 目 標 フォルクス・ ワ ー ゲ ン ・ 2000 年 7 月、タイで現地組み立てメーカーへの委託 生産開始。当 初生 産 、2000 台。中長期的な生産目標 1 万台 B M W ・ 2000 年 6 月、タイ拠点で生産開始。2004 年の生産 目 標 台 数1 万台。 ・ BMW 全体の売上高に占めるアジア地域のシェアを 現 在 の9%から中長期的には 25%へ引き上げる。 ル ノ ー ・ 日 産 と の 提 携 に よ る 事 業 展 開 。日 産 の 生 産 拠 点 で ル ノー車生産を予定。 (資料)森美奈子「欧米自動車メーカーのアジア展開と戦略的提携」などにより作成。

(25)

(2)家電産業

日本の家電メーカーの ASEAN 進出は、60 年代初めに開始された。ASEAN 諸国は当時、自国産業を育成する輸入代替工業化政策を進めるなかで、海外 からの輸入家電製品には高い関税をかけた。これら ASEAN 諸国に輸出を行 っていた家電メーカーは、高関税を回避するため各国に進出したのである。 こうした「輸入代替型」の拠点では、小規模ながら冷蔵庫や洗濯機22、扇風機 など複数品目が生産された。 そして、80 年代後半以降、円高の進行に伴い価格競争力の低下に直面する と、日本の家電メーカーの ASEAN 進出は加速化した。今回の進出企業の大 半は、国内市場とは遮断された輸出加工区への進出であった。進出企業は、 こうした拠点で日本から輸入した部品を現地の低廉な労働コストを用いて組 み立て、完成品を日本や欧米などに輸出した。 このような進出の経緯があるために、家電メーカーのなかには国内市場向 けの生産拠点と域外への輸出を目的とした生産拠点の2つを併存させている メーカーもある(図表 15)。 図表15 ASEAN における日系家電メーカーの生産体制(概念図) フ ィ リ ピ ン ASEAN 域 内 インドネシア 輸出品の生産拠点 国内市場向け生産拠点   マ レ ー シ ア   タ   イ 輸出加工区 輸 出 輸 出 各国の輸入関税による保護 箭内彰子「ASEAN における域内貿易自由化」 22いわゆる白物家電は、家事省力を目的として比較的価格も廉価であるため、経済発 展が早い段階から消費が伸びる商品といえる。

(26)

①輸入代替拠点を中心とした生産体制の見直し 日本の家電メーカーはさまざまな背景のなかで ASEAN に進出し、それぞ れの拠点はその目的を果たしてきたといえる。しかし、AFTA の進展に伴い、 域内障壁が大幅に低減されれば、多品種少量生産を行っている輸入代替拠点23 を各国に抱えるメーカーは経営効率を改善する余地が生まれる。すなわち、 製品ごとに生産を集約し量産効果を求めていくといった対応が図られよう。 家電メーカーの場合、これまでは ASEAN 各国の家電製品対する関税は20% 前後と高かったために、マレーシア拠点で生産した製品をインドネシアやフ ィリピンに輸出するという環境にはなかった。しかし、2000 年中にほぼ全て の家電製品が CEPT 対象品目への繰り入れを完了した。そして、現行 20%前 後かかる関税は、2002 年までに5%以下へと引き下がる予定である(図表 16)。  家電製品に対する関税が計画通り引き下がれば、各国市場への製品供給は 域内拠点からの輸出で対応可能となる。この場合、輸入代替型拠点を中心に 拠点見直しがなされるであろう。既に、松下電器は、各国に拠点を設け多品 目を少量ずつ生産するという生産体制(いわゆる「ミニ松下」体制)を見直 している。拠点ごとに生産品目を集約し量産効果を追求する一方、AICO スキ 図表16 タイにおける家電製品の関税引き下げスケジュール (単位:%) 年 1999 2000 2001 2002 引き下げ幅 アイロン 20 15 10 5 15 ポイント 電子レンジ 30 5 5 5 25 〃 カラーテレビ 20 20 10 5 15 〃 CD プレーヤー 20 20 10 5 15 〃 ビデオデッキ 20 20 10 5 15 〃 扇風機 20 2.5 2.5 2.5 17.5 〃 エアコン 30 15 10 5 25 〃 (注)2000 年以降は計画。引き下げ幅(ポイント)は 99 年の関税率から 2002 の関税率を引いたもの。 (資料)タイ関税局資料により作成。 23 こうした体制であっても、一定以上のマーケットシェアを有している状況下では、 相応の収益を上げることができた。

(27)

ームを利用することで、部品の相互供給を実現している(図表 17)。 なお、拠点見直しに際して、現実的な対応として既存拠点の閉鎖という選 択肢を採ることは容易ではない。「輸入代替型」拠点は現地資本との合弁など で設立されている場合が多く、撤退を承認しないとみられるからである。従 って、まず既存拠点をどう活用していくのかという視点に立って、検討が行 われていくものと考えられる。 図表17 松下電器の域内分業体制

成形部品

 タ  イ

特殊部品

プレス部品

モーター

アジア統括拠点

インドネシア

 フィリピン

 マレーシア

 シンガポール

(注)扇風機・換気扇の生産に際して、AICO スキームの利用により、域内で 部品の相互供給を行っている。 (資料)亀山卓二他「21 世紀の ASEAN 戦略」などにより作成。 ②域内からの部材調達の促進 家電メーカーにとって、部品、原材料の現地・域内調達を促進していくこ とは、ASEAN 拠点の競争力を強化する上で極めて重要である。 部材の現地・域内調達強化は通貨危機の教訓ともなっており、すでに進め られている。国際協力銀行の調査によれば、電機・電子組み立てメーカーに よる部材の域内調達比率は 90 年に 31%だったものが 98 年には 58.7%へと上 昇している24。AFTA の進展は、域内から安価な部品や原材料の調達を可能と 24 セットメーカーの積極的な ASEAN 展開に伴って、90 年代に日系部品メーカーが大 挙して ASEAN に進出した。この結果、ASEAN は電機・電子部品の一大集積地にな っている。

(28)

させるから、域内からの部材調達の動きをより促進させるものとなろう。そ して、今後は、コスト削減の観点から、基幹部品の生産を域内に移管したり、 系列関係にとらわれず地場部品メーカーを積極活用するなどの対応も図られ てこよう。 なお、低コストで良品質の部品を必要な量だけ調達するためには、部品・ 素材メーカーに関する情報や生産拠点の購買ニーズを把握する必要があるが、 松下電器産業やソニーなどでは、シンガポールの地域統括会社がこうした機 能を担っている。 ③競争相手の多様化による競争激化 AFTA の進展によって、ASEAN 各国から域内マーケットへの輸出が可能と なる。このため、輸出先国で展開している競合他社との競争が今以上に厳し くなることが予想される。従来、韓国企業などとの競合は、低価格帯の製品 に限られていたが、最近では DVD などの主力製品においても競合が生じてい る。加えて、中国企業の台頭が目覚しく、ASEAN 市場で圧倒的なシェアを有 していた日本企業を脅かすまでになっている。 もっとも現在、販売先として ASEAN 域内マーケット、域外輸出いずれを 重視するかに関わらず、家電製品における競争環境は厳しい。こうしたなか、 各メーカーが共通として掲げているのが、更なるコストダウンである。各メ ーカーはこうした観点から既に、AFTA への対応として予想される「効率的な 生産体制の構築」や「部材の域内調達の強化」に取り組んでいる(図表 18)。

(29)

図表18 日系家電メーカーの ASEAN 事業展開(通貨危機以後)

拠点再編

部材調達

販売・物流等

松 下 電

・ミニコンポの生産 拠点をシンガポー ルに集約(97/9) ・TVの生産拠点を タイに集約(99/6) ・タイで域内輸出向 けMD基幹部品、 光ピックアップの 生 産 を 開 始 (99/10)。 ・マレーシアでの販 売体制を販売会社と の通信網構築などに より強化(2000/5) ・現地ニーズに適合 する白物家電の開発 拠点設立(99/6)

ソニー

・TV、VTR生産 拠点をマレーシア に集約(99/7)。 ・インドネシアのT V生産拠点を閉鎖。 生産ラインをオー ディオ機器生産拠 点に統合(98/6) ・マレーシアで平面 ブ ラ ウ ン 管 を 生 産。アジア地域の 組み立て拠点に輸 出(2000/2) ・アジア向け製品の R&D機能を強化 (99/7)

シ ャ ー

・タイで最新機種の 冷蔵庫生産を開始。 全世界向け輸出拠点 と し て の 位 置 付 け (99/6) ・ASEAN 域内で調 達した部品の検査機 関を設置(98/9) ・マレーシアでMD 基幹部品の光ピック アップ、駆動ユニッ ト の 生 産 を 開 始 (98/9) ・ ア ジ ア 向 け の T V、VTRの設計機 能を強化(99/7)

東芝

・VTR 生産、開発拠 点 を タ イ に 集 約 (97/9) ・ 低 価 格 ブ ラ ウ ン 管、小型テレビの生 産をインドネシアに 集約(99/12) ・タイで平面ブラウ ン管の生産開始。ア ジア地域のTV組立 拠 点 に 輸 出 が 目 的 (99/7) 白物家電の欧州、中 東向け輸出強化。タ イ に 物 流 拠 点 設 置 (2000/2) (資料)野田(2000)、新聞報道等により作成。

(30)

(3)その他の産業

AFTA の進展によりもたらされる効果、影響としては、①部品、材料の調達 コスト削減、②域内での分業体制の構築、③域内への販路拡大といった点を 挙げることができよう。そして、①域内で部品、材料が調達しやすい、②域 内での分業体制を構築可能、③販売先が ASEAN 域内向け、である場合に、 AFTA 進展に伴う効果や影響を大きく受けると考えられる25。そこで、以下で は、域内での分業体制の構築を目指している「繊維産業」、域内マーケット指 向業種として「石油化学産業」を取り上げた。 <繊維産業26 大手繊維メーカーは 60 年代後半に、ASEAN 各国の輸入代替政策への対応 として、現地市場向けの生産拠点を設けた。その後、現地での品質向上や合 理化の進展によってコスト競争力が高まったことから、徐々に域外への輸出 拠点としての特色を強めていった。特に、80 年代後半以降、円高の進行と相 まって、企業の多くは低付加価値製品や汎用品の生産をシフトさせた。そし て現在、大手繊維メーカーの多くが ASEAN 域内に複数の拠点を設けており、 川上から川中、更には川下までを一貫生産する体制を敷いて、事業の効率化 を図っている。AFTA の進展はこうした体制構築をさらに促進させるものとな ろう。 なお、大手繊維メーカーの多くは、グローバルな事業展開を図るなかで ASEAN 拠点を位置付けている。たとえば、東レは、各拠点が適地生産・適地 販売を目指しながら、拠点間の有機的な連携を図ることでグループ全体の利 益を極大化させる「グローバルオペレーション」を基本戦略に掲げている。 これは、欧州の景気は良いがアジアの景気が悪いといった場合、ASEAN で域 内向けに生産していた製品を欧州への輸出に切り替えるといった、機動的な オペレーションを目指したものである。 25 ただし、同じ業種であっても企業ごとに海外戦略が異なること、また経営環境が異 なるため、その影響は企業ごとに異なることは言うまでもない。 26繊維産業の場合、川上の化学繊維や綿紡績といった分野では大手企業が中心である が、川中の織布と染色、川下の縫製の分野では、大企業から中小企業までその規模 は幅広い。

(31)

<石油化学産業> 石油化学産業は巨額の投資を必要とする装置産業としての性格をもつ。こ のため、現地にプラントを持つ石油化学メーカー27は、AFTA の進展により量 産効果のメリットを享受しやすいといえる。しかし、基本的に域内需要をタ ーゲットとしているために、域内の需要如何で業績が大きく左右されてしま う可能性もある。 通貨危機時には、最終需要者の製品が国内市場向けなのか、輸出向けなの かによって、影響の度合いが異なった28。自動車メーカー向けにポリプロピレ ンなどを生産している拠点では自動車販売が低迷しているため、需要が大き く減った。一方、家電については、欧米向けが堅調だったこともあり、家電 メーカー向けにポリスチレンなどを生産している拠点では需要の落ち込みは 比較的少なかったといわれる。 27日系石油化学メーカーは 90 年代半ばに ASEAN への進出が相次いだ。こうした背景 には、需要者である自動車や家電の市場急拡大に伴って石油化学製品の需要拡大が 見込めたことがある。そして、自動車産業が集積しているタイには自動車用素材を 生産する工場、日系合繊メーカーが多く進出しているインドネシアには合繊向け工 場というように、需要先企業の立地に合わせた進出となっている。 28山根・吉川(1999)p.43。

(32)

結びに代えて

AFTA 実現によって企業が受ける生産面でのメリットは、域内関税の切り下 げに伴うコスト削減効果である。域内から安価な部品・原材料の調達が可能 となることは、コスト競争力の強化に大きく貢献しよう。そして、分業を必 要とする工程を多く持つ業種、多くの原材料や部品を必要とする業種に、こ うしたメリットはより大きく効くものと考えられる。実際、AFTA 実現を見据 え、積極的な対応を図っているのは、域内に複数の拠点を持ち分業体制を構 築しやすい完成車メーカーや家電組み立てメーカーである。 ただし、拠点集約化や拠点再編といった対応を実際に行える企業はそう多 くない。ASEAN に進出している日本企業のなかで、生産拠点が1拠点という 企業は全体の約6割を占める。現状、現地進出企業の多くがこれといった対 応を行っていない背景にはこうした事情があるものと思われる。もっとも、 今後、完成車や家電組み立てなどアセンブリ企業の対応が進展するにつれて、 部品や素材メーカーが日本国内の生産ラインを ASEAN にシフトさせたり、 既存拠点の再配置などの対応を図る動きがでてこよう。 図表19 市場規模拡大に伴う競争環境

日系企業

市場セグメント

高級品

低級品

アセアン企業

日系企業

NI

ES、中国企業

(資料)向山英彦他「新世紀に向かうアジア経済と日本企業のアジア戦略」をも とに作成。

(33)

また、AFTA 形成後の域内市場を展望すれば、競争優位の違いから、図表 19 にみられるようにある程度、棲み分けが生じるものと考えられる。しかし、 競合企業同士の競争は激化することが予想される。このため、今後は、現地 のニーズに根ざした製品作りが従来にも増して求められてこよう。こうした 観点からは、現地におけるR&D機能の強化や地域全体の戦略を考え、モニ タリングを行う地域統括拠点の役割は重要性を高めるものと考えられる。 いずれにせよ、2002 年の関税引き下げ期限は目前に迫っている。AFTA へ の対応が今後の ASEAN における競争力を左右するともいえ、AFTA への対応 を真剣に検討する時期に来ているといえそうだ。

(34)

[参考文献]

ASEAN Secretariat, AFTA Reader, vol.1∼5, ASEAN Secretariat

青木健、馬田啓一 編著『日本企業と直接投資−対アジア投資の新たな課題』、勁草 書房、1997 年 ボブ・ウィドヤハルトノ、井草邦雄 編『AFTA とインドネシア経済』、アジア経済 研究所、1994 年 亀山卓二、藤原勇二、粂内太郎、田中奈々子、山内利夫「21 世紀の ASEAN 戦略」(SRI レポート)、三和総合研究所、1999 年 9 月

Menon, Jayant, Adjusting towards AFTA: The Dynamics of Trade in ASEAN, Institute of Southeast Asia Studies(ISEAS), 1996

森美奈子「欧米自動車メーカーのアジア展開と戦略的提携」(RIM.2000.Vol.1)、 さくら総合研究所、2000 年 1 月 富士総合研究所調査研究部『現地取材版アジア経済 2001』中央経済社、2001 年 3 月 向山英彦、川手潔、大八木智子「新世紀に向かうアジア経済と日系企業のアジ ア戦略」(RIM,1999,vol4)、さくら総合研究所、1999 年 10 月 野田秀彦「わが国家電産業の今後の ASEAN 事業の方向性」(開発金融研究所 報)、国際協力銀行、2000 年 4 月 箭内彰子「ASEAN における域内貿易自由化」(研究リポート)、富士総合研究 所、1998 年 3 月 中小企業金融公庫調査部「ASEAN における自動車産業の動向とわが国中小部 品メーカーへの影響について」(中小公庫レポート)、1998 年 4 月 北村かよ子 編『東アジアの中小企業ネットワークの現状と課題』アジア経済研究 所、1999 年 3 月 櫻井雅夫「ASEAN 諸国の貿易自由化」(『貿易と関税』1996 年1∼6月号)、関税 協会、1996 年 山根俊彦、吉川康之「アジアの経済危機と日本企業」第一勧銀総合研究所、 1998 年 10 月 日本興業銀行調査部『アジア危機後の産業地図』日本経済新聞社、1998 年

図表 14 欧米系自動車メーカーの ASEAN 展開 GM  ・  94 年、インドネシアに組立拠点設立。 ・  2000年5月 、 タ イ 拠 点 で 生 産 開 始 。 ・  いすゞ、スズキ、富士重工との提携による事業展開。 ・   2005 年 に GM 単独でアジア地域の市場シェア 10 % を 目 標 。  フ ォ ー ド ・  98 年 5 月 、 タ イ 拠 点 で 生 産 開 始・  99年9 月、フィリピン拠点で生産開始・  マツダ、ボルボと共同で事業展開。 ・  タ イ で 、 デ ィ
図表 18 日系家電メーカーの ASEAN 事業展開(通貨危機以後) 拠点再編 部材調達 販売・物流等 松 下 電 器 ・ミニコンポの生産 拠点をシンガポールに集約(97/9)・TVの生産拠点を タイに集約(99/6) ・タイで域内輸出向 けMD基幹部品、光ピックアップの生 産 を 開 始(99/10)。 ・マレーシアでの販売体制を販売会社との通信網構築などにより強化(2000/5)・現地ニーズに適合 する白物家電の開発 拠点設立(99/6) ソニー ・TV、VTR生産 拠点をマレーシアに集約(99/7)。

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